特許第6852661号(P6852661)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852661
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20210322BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20210322BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20210322BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   H02J7/04 A
   H02J7/00 P
   H01M10/44 Q
   H01M10/48 P
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-232400(P2017-232400)
(22)【出願日】2017年12月4日
(65)【公開番号】特開2019-103263(P2019-103263A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】内田 圭
【審査官】 早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−124728(JP,A)
【文献】 特開2015−070661(JP,A)
【文献】 特開2016−086609(JP,A)
【文献】 特開2017−175706(JP,A)
【文献】 特開2004−037868(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0077721(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102790418(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00−7/12
H02J7/34−7/36
H01M10/42−10/48
B60L1/00−3/12
B60L7/00−13/00
B60L15/00−58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列接続し、入力した電力指令値に従った出力電力を出力する2つの充電器と、
前記2つの充電器からの総出力電力を制御する総電力指令値を最大指令幅毎に階段状に目標総電力値まで上昇させて出力するフリッカ制御部と、
総出力電力値が前記2つの充電器の内の第1の充電器の最大可能出力値以下である場合には前記総出力電力値を前記第1の充電器に割り当て、前記総出力電力値が前記第1の充電器の最大可能出力値を超える場合には前記最大可能出力値を前記第1の充電器に割り当て、前記総出力電力値から前記最大可能出力値を減算した残余電力値を前記2つの充電器の内の第2の充電器に割り当てる分配マップに従って、前記目標総電力値を前記2つの充電器に分配した各充電器の目標電力値を出力する分配部と、
前記2つの充電器の前記目標電力値がゼロよりも大きく、前記分配マップに従って前記総電力指令値を前記2つの充電器に分配すると前記2つの充電器の内の1つの充電器へ出力する前記電力指令値がゼロになる場合、前記総電力指令値を前記2つの充電器に分配した前記各充電器の前記電力指令値として、ゼロよりも大きい前記電力指令値を前記2つの充電器へ出力する再分配部と
を備えることを特徴とする充電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の充電装置であって、
前記2つの充電器の前記目標電力値がゼロよりも大きく、前記分配マップに従って前記総電力指令値を前記2つの充電器に分配すると前記1つの充電器へ出力する前記電力指令値がゼロになる場合、前記再分配部は、前記総電力指令値を2で除算した値を前記2つの充電器へ出力する
ことを特徴とする充電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の充電装置であって、
前記総電力指令値を2で除算した値が前記第2の充電器の前記目標電力値を超える場合、前記再分配部は、前記第2の充電器の前記目標電力値を前記第2の充電器へ出力し、前記第2の充電器の前記目標電力値を前記総電力指令値から減算した残余電力値を前記第1の充電器へ出力する
ことを特徴とする充電装置。
【請求項4】
並列接続し、入力した電力指令値に従った出力電力を出力する複数の充電器と、
前記複数の充電器からの総出力電力を制御する総電力指令値を最大指令幅毎に階段状に目標総電力値まで上昇させて出力するフリッカ制御部と、
総出力電力値が前記複数の充電器の内の1つ以上の第1の充電器の最大可能出力値の合計値以下である場合には前記総出力電力値を前記1つ以上の第1の充電器の数で除算した値を前記1つ以上の第1の充電器に割り当て、前記総出力電力値が前記1つ以上の第1の充電器の前記最大可能出力値の合計値を超える場合には前記最大可能出力値を前記1つ以上の第1の充電器に割り当て、前記総出力電力値から前記最大可能出力値の合計値を減算した残余電力値を前記複数の充電器の内の残余の1つの第2の充電器に割り当てる分配マップに従って、前記目標総電力値を前記複数の充電器に分配した各充電器の目標電力値を出力する分配部と、
前記複数の充電器の内の2つ以上の充電器の前記目標電力値がゼロよりも大きく、前記分配マップに従って前記総電力指令値を前記複数の充電器に分配すると前記複数の充電器の内の1つの充電器以外の充電器へ出力する前記電力指令値がゼロになる場合、前記総電力指令値を前記複数の充電器に分配した前記各充電器の前記電力指令値として、ゼロよりも大きい前記電力指令値を前記2つ以上の充電器へ出力する再分配部と
を備えることを特徴とする充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
充電装置から二次電池へ高電力を出力するために、充電装置は、並列接続した複数の充電器を備えることがある。並列接続した複数の充電器からの総出力電力を制御するための総電力指令の値は、各充電器に入力する系統電力のフリッカを抑制するために、目標総電力値まで階段状に上昇あるいは下降するように設定される。また、入力した系統電力から生成される総出力電力の効率を向上させるために、総電力指令値に対応する総出力電力が可及的に少ない数の充電器によって生成されるように、分配マップに従って複数の充電器に総電力指令値は分配される。各充電器は、入力した電力指令値に対する所定の追随性能を有し、入力した電力指令値に対応する出力電力を追随性能に従って出力する。
【0003】
なお、関連する技術として特許文献1及び2に記載の技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−86609号公報
【特許文献2】特開2015−70661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、総出力電力が可及的に少ない数の充電器によって生成されるように総電力指令値を分配マップに従って複数の充電器に分配すると、充電装置全体の応答性能は、動作する(出力電力を上昇させる)充電器の追随性能の合成分しか得られない。この結果、充電装置1からの総出力電力が目標総電力に到達するまでに時間がかかる。
【0006】
本発明の一側面に係る目的は、フリッカ制御を行いつつ目標総電力に対する応答性能が向上した充電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一つの形態である充電装置は、2つの充電器と、フリッカ制御部と、分配部と、再分配部とを備える。2つの充電器は、並列接続し、入力した電力指令値に従った出力電力を出力する。フリッカ制御部は、2つの充電器からの総出力電力を制御する総電力指令値を最大指令幅毎に階段状に目標総電力値まで上昇させて出力する。分配部は、分配マップに従って、目標総電力値を2つの充電器に分配した各充電器の目標電力値を出力する。分配マップにおいて、総出力電力値が2つの充電器の内の第1の充電器の最大可能出力値以下である場合には、総出力電力値が第1の充電器に割り当てられる。また、分配マップにおいて、総出力電力値が第1の充電器の最大可能出力値を超える場合には、最大可能出力値が第1の充電器に割り当てられ、総出力電力値から最大可能出力値を減算した残余電力値が2つの充電器の内の第2の充電器に割り当てられる。再分配部は、2つの充電器の目標電力値がゼロよりも大きく、分配マップに従って総電力指令値を2つの充電器に分配すると2つの充電器の内の1つの充電器へ出力する電力指令値がゼロになる場合、総電力指令値を2つの充電器に分配した各充電器の電力指令値として、ゼロよりも大きい電力指令値を2つの充電器へ出力する。
【0008】
本発明に係る一つの形態である充電装置は、フリッカ抑制のために階段状に上昇する総電力指令値が目標総電力値に到達するまでの過程において、目標電力値がゼロではない各充電器から電力を出力することで、総出力電力が目標電力に到達するまでの時間を短縮する。それ故、本発明に係る一つの形態である充電装置によれば、フリッカ制御を行いつつ、目標総電力に対する応答性能を向上することができる。
【発明の効果】
【0009】
実施形態に従った充電装置によれば、フリッカ制御を行いつつ目標総電力に対する応答性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に従った充電装置の構成例を示す図である。
図2】実施形態に従った総電力指令制御の一例の説明図である。
図3】実施形態に従った分配マップの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
図1は、実施形態に従った充電装置の構成例を示す図である。図1に示す構成例では、充電装置1は、例えば、電気自動車、プラグインハイブリッド車、又は電動フォークリフト等の車両に、二次電池2及び車両制御部3と共に搭載される。
【0012】
図1に示すように、充電装置1は、複数の充電器11、フリッカ制御部12、分配部13、及び再分配部14を備える。なお、図1には2つの充電器11が示されているが、充電装置1は3つ以上の充電器11を備えてもよい。
【0013】
複数の充電器11は、並列接続し、入力した電力指令値に従った出力電力を出力する。具体的には、各充電器11は、入力した交流電力を直流電力に変換して出力し得る最大可能出力値を有し、各充電器11には、当該充電器11の最大可能出力値以下の電力指令値が入力する。なお、各充電器11の最大可能出力値は異なってもよいが、以下では、各充電器11の最大可能出力値が同じであるものとして説明する。各充電器11は、入力した電力指令値に対する所定の追随性能を有し、入力した電力指令値に対応する出力電力を追随性能に従って出力する。
【0014】
図1に示すように、各充電器11は、充電器制御部111及びAC/DC(Alternating Current/Direct Current)コンバータ112を備える。充電器制御部111は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU、又はプログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device)等)により構成される。充電器制御部111は、入力した電力指令値に従ってAC/DCコンバータ112の動作を制御する。AC/DCコンバータ112は、充電器制御部111の制御に従って、電力系統4から入力した交流電力を、電力指令値に対応した直流電力に変換して出力する。こうして、並列接続した充電器11から二次電池2へ直流電力が出力される。
【0015】
フリッカ制御部12、分配部13、及び再分配部14は、例えば、CPU、マルチコアCPU、又はプログラマブルなデバイス(FPGAやPLD等)により構成される。
充電装置1が二次電池2を充電する場合、フリッカ制御部12には、並列接続した複数の充電器11が二次電池2へ出力する目標総電力値に対応する車両電力指令値が車両制御部3から入力する。目標総電力値とは、並列接続した充電器11、すなわち充電装置1がフリッカ制御に従って二次電池2へ最終的に出力する電力値を指す。車両制御部3は、車両の走行等を制御する装置であり、例えば、CPU、マルチコアCPU、又はプログラマブルなデバイス(FPGAやPLD等)により構成される。図2に示すように、フリッカ制御部12は、複数の充電器11からの総出力電力を制御する総電力指令値を最大指令幅毎に階段状に目標総電力値まで上昇あるいは下降させて出力する。
【0016】
図2は、実施形態に従った総電力指令制御の一例の説明図である。図2に示すように、系統電力のフリッカを抑制するために、総電力指令値を階段状に変化させる最大指令幅ΔWが設定される。フリッカ制御部12は、出力する総電力指令値を最大指令幅ΔW毎に上昇させ、上昇させた総電力指令値を一定時間維持する。総電力指令値が維持される時間は、最大指令幅ΔWに追随して出力電力を上昇させる充電器11の追随性能に従い得る。フリッカ制御部12は、こうした制御を繰り返すことで、車両電力指令値が示す目標総電力値まで総電力指令値を階段状に生成して出力する。なお、図2は目標総電力値に向って上昇させる図を示したが、下降させる場合も同様に最大指令幅ΔW毎に下降させ、一定時間維持する制御を繰り返す。
【0017】
また、充電装置1が二次電池2を充電する場合、分配部13には、目標総電力値を表す車両電力指令値が車両制御部3から入力する。分配部13は、目標総電力値を複数の充電器11に分配した各充電器11の目標電力値を、図3に示すような所定の分配マップに従って計算して出力する。各充電器11の目標電力値とは、充電装置1が目標総電力を二次電池2へ出力した場合に、並列接続した各充電器11が出力する電力値を指す。
【0018】
図3は、実施形態に従った分配マップの一例を示す図であり、充電装置1が2つの充電器11を備える場合の分配マップの一例である。図3に示す分配マップでは、総出力電力値が2つの充電器11の内の第1の充電器11の最大可能出力値A[W]以下である場合には、総出力電力値の全てが第1の充電器11に割り当てられる。また、総出力電力値が第1の充電器11の最大可能出力値A[W]を超える場合には、最大可能出力値A[W]が第1の充電器11に割り当てられ、総出力電力値から最大可能出力値A[W]を減算した残余電力値が2つの充電器11の内の第2の充電器11に割り当てられる。このように、充電装置1が備える複数の充電器11の内、第1の充電器11には、分配マップに従って電力指令値が優先して割り当てられる。また、複数の充電器11の内、第2の充電器11には、分配マップに従って第1の充電器11に劣後して電力指令値が割り当てられる。
【0019】
なお、充電装置1が任意の複数の充電器11を備える場合、分配マップは以下のように設定されてもよい。すなわち、総出力電力値が複数の充電器11の内の1つ以上の第1の充電器11の最大可能出力値の合計値以下である場合には、総出力電力値を該1つ以上の第1の充電器11の数で除算した値が該1つ以上の第1の充電器11に割り当てられる。また、総出力電力値が1つ以上の第1の充電器11の最大可能出力値の合計値を超える場合には、最大可能出力値が該1つ以上の第1の充電器11に割り当てられ、総出力電力値から最大可能出力値の合計値を減算した残余電力値が複数の充電器11の内の残余の1つの第2の充電器11に割り当てられる。
【0020】
前述したように、各充電器11は、入力した電力指令値に対する所定の追随性能を有し、入力した電力指令値に対応する出力電力を追随性能に従って出力する。そこで、図2に示すような総電力指令制御において、充電装置1からの総出力電力が最大指令幅ΔW分上昇するために要する時間は、入力した電力指令値に従って出力電力を上昇させる充電器11の数が多い程短くなる。したがって、入力した電力指令値に従って出力電力を上昇させる充電器11の数が多い程、総出力電力が目標総電力に到達するまでにかかる時間は短くなり、目標総電力に対する充電装置1全体の応答性能は向上する。
【0021】
しかしながら、フリッカ制御部12が出力する総電力指令値が目標総電力値に到達するまでの過程で、図3に示すような分配マップに従って総電力指令値を複数の充電器11に分配すると、目標電力値がゼロではない充電器11へ出力する電力指令値がゼロになる場合がある。例えば、分配マップに従って総電力指令値を充電装置1が備える2つの充電器に分配すると、2つの充電器の内の1つの充電器へ出力する電力指令値がゼロになる場合がある。こうした場合、目標総電力に対する充電装置1全体の応答性能は、各充電器11が所定の追随性能を有するにもかかわらず、動作する(出力電力を上昇させる)充電器11の追随性能の合成分しか得られない。
【0022】
より具体的には、例えば、図3に示すように、各充電器11の最大可能出力値がA[W]であり、車両電力指令値に対応する目標総電力値がB[W]であると仮定する。この仮定において、フリッカ制御部12が出力する総電力指令値が目標総電力値B[W]に到達した場合、充電装置1が備える2つの充電器11の内、第1の充電器11に対する電力指令値は、該第1の充電器11の最大可能出力値A[W]である。また、第2の充電器11に対する電力指令値は、B[W]からA[W]を減算したC[W]である。このように、総電力指令値が目標総電力値B[W]に到達した場合には各充電器11の出力電力はゼロよりも大きくなるため、各充電器11の目標電力値はゼロよりも大きい。しかしながら、総電力指令値が目標総電力値B[W]に達する以前のA[W]以下において(A[W]に到達する過程において)分配マップに従うと、総電力指令値は第1の充電器11のみに割り当てられ、第2の充電器11には割り当てられない。すなわち、第1の充電器11の電力指令値は総電力指令値の上昇と共に上昇し、第2の充電器11の電力指令値はゼロである。このため、充電装置1の総出力電力は、総電力指令値がA[W]を超えるまでは、第1の充電器11の追随性能にのみ依存して上昇する。また、総電力指令値がA[W]を超えて目標総電力値B[W]に到達するまでにおいて分配マップに従うと、第1の充電器11の電力指令値は第1の充電器11の最大可能出力値A[W]に維持され、第2の充電器11の電力指令値はC[W]まで上昇する。このため、充電装置1の総出力電力は、総電力指令値がA[W]を超えて目標総電力値B[W]に到達するまでは、第2の充電器11の追随性能にのみ依存して上昇する。このように、目標総電力に対する充電装置1全体の応答性能は、各充電器11が所定の追随性能を有するにもかかわらず、動作する(出力電力を上昇させる)充電器11の追随性能の合成分(この場合1台分のみの追従性能)しか得られない。
【0023】
そこで、フリッカ制御部12が出力する総電力指令値が目標総電力値に到達するまでの過程において、再分配部14は、充電装置1が備える各充電器11に総電力指令値を以下の説明のように分配し、各充電器11の電力指令値を出力する。
【0024】
再分配部14には、フリッカ制御部12が出力した総電力指令値と、分配部13が出力した各充電器11の目標電力値とが入力する。入力した2つ以上の充電器11の目標電力値がゼロよりも大きい場合、再分配部14は、入力した総電力指令値を分配マップに従って複数の充電器11に分配すると複数の充電器11の内の1つの充電器11以外の充電器11へ出力する電力指令値がゼロになるか否かを判定する。例えば、再分配部14は、分配マップに従って総電力指令値を2つの充電器11に分配すると2つの充電器11の内の1つの充電器へ出力する電力指令値がゼロになるか否かを判定する。
【0025】
分配マップに従うと1つの充電器11以外の充電器11へ出力する電力指令値がゼロになる場合、再分配部14は、総電力指令値を複数の充電器11に分配した各充電器11の電力指令値として、ゼロよりも大きい電力指令値を、目標電力値がゼロよりも大きい2つ以上の充電器11へ出力する。例えば、分配マップに従うと2つの充電器11の内の1つの充電器11へ出力する電力指令値がゼロになる場合、再分配部14は、総電力指令値を2つの充電器11に分配した各充電器11の電力指令値として、ゼロよりも大きい電力指令値を2つの充電器11へ出力する。
【0026】
具体的には、再分配部14は、充電装置1が備える各充電器11の電力指令値を式(1)及び式(2)に従い計算して出力する。
1つ以上の第2の充電器11の内の各第2の充電器11の電力指令値=min(総電力指令値/目標電力値がゼロではない充電器11の数,各第2の充電器11の目標電力値) ・・・(1)
第1の充電器11の電力指令値=総電力指令値−1つ以上の第2の充電器11の電力指令値の総和 ・・・(2)
【0027】
例えば、充電装置1が2つの充電器11を備える場合、式(1)は式(3)のように表され、式(2)は式(4)のように表される。
第2の充電器11の電力指令値=min(総電力指令値/2,第2の充電器11の目標電力値) ・・・(3)
第1の充電器11の電力指令値=総電力指令値−第2の充電器の電力指令値 ・・・(4)
【0028】
式(3)及び式(4)の計算によって、再分配部14は、総電力指令値を2で除算した値が第2の充電器11の目標電力値を超えるまで、総電力指令値を2で除算した値を電力指令値として2つの充電器11へ出力する。そして、総電力指令値を2で除算した値が第2の充電器11の目標電力値を超えると、再分配部14は、第2の充電器11の目標電力値を第2の充電器11へ電力指令値として出力する。また、再分配部14は、第2の充電器11の目標電力値を総電力指令値から減算した残余電力値を第1の充電器11へ電力指令値として出力する。
【0029】
このように、充電装置1は、フリッカ抑制のために階段状に上昇する総電力指令値が目標総電力値に到達する過程において、目標電力値がゼロではない各充電器11が電力を出力するようにすることで、総出力電力が目標電力に到達するまでの時間を短縮する。したがって、実施形態に従った充電装置によれば、フリッカ制御を行いつつ、目標総電力に対する応答性能を向上することができる。
【0030】
本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 充電装置
2 二次電池
3 車両制御部
4 電力系統
11 充電器
12 フリッカ制御部
13 分配部
14 再分配部
111 充電器制御部
112 AC/DCコンバータ
図1
図2
図3