(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態>
〔画像形成システムXのシステム構成〕
まず、
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る画像形成システムXのシステム構成について説明する。
画像形成システムXは、認証許可を行うサーバー1と、顧客環境に設置された複数の画像形成装置2と、非登録者の端末3とが、ネットワーク5を介して接続されて構成される。
【0011】
サーバー1は、PC(Personal Computer)や汎用機等の情報処理装置である。サーバー1は、複数の画像形成装置2を使用するユーザーが認証許可を管理し、課金、保守、サービス対応等を行う。つまり、サーバー1は、イントラネット上で「プルプリント」等を実行したり、印刷等のジョブを管理するサーバーであったりしてもよい。このため、サーバー1は、汎用のサーバーOS(Operating System)上で、認証許可を実行する認証許可プログラムを実行している。以下、本実施形態においては、このサーバーOSが、マイクロソフト社製のWindows(登録商標)サーバー系のOSである例について説明する。
また、サーバー1は、画像処理、OCR(Optical Character Recognition)処理、分類処理、及び、電子メールや共有フォルダー(文書ボックス、保存フォルダー)や業務若しくは事務用のDMS(Document Management System)等への送信処理を実行してもよい。
【0012】
画像形成装置2は、MFP、ネットワークスキャナー、ドキュメントスキャナー、ネットワークFAX、スキャナー機能付きのプリンター、単機能プリンター等のドキュメント機器である。また、画像形成装置2は、認証許可用のクライアントアプリ、保守管理用のアプリを実行することが可能であってもよい。
また、画像形成装置2は、印刷、複写(コピー)、スキャンによる電子文書化、ネットワークスキャン、ファクシミリ送受信、ネットワークファクシミリ送受信、電子文書を格納する文書ボックス等の各種の機能を備えていてもよい。また、各機能については、白黒、単色カラー、フルカラー等の設定が可能であってもよい。
また、画像形成装置2は、印刷機能を有するMFPやプリンター等の場合、感光体ドラム、露光部、現像部、転写部、及び定着部等を備えている。これにより、画像形成装置2は、帯電、露光、現像、転写、定着からなる画像形成プロセスを実行することで、記録紙にトナー像を記録し、印刷することが可能である。
また、画像形成装置2は、ユーザーの認証用の操作パネル部を備えている。また、画像形成装置2は、IDカードを読み込ませるカードリーダー、生体認証機器等が接続されていてもよい。また、画像形成装置2は、コインベンダー、各種電子マネーやクレジットカードのリーダー、NFC(Near Field Communication)等によりカード課金する機器等(以下、「課金装置等」という。)が接続されていてもよい。
【0013】
端末3は、非登録者の使用するPC、スマートフォン、PDA(Personal Data Assistant)、携帯電話等の端末である。端末3は、各種汎用のOSが動作している。また、端末3は、電子メール、各種メッセンジャー、SMS(Short Message Service)、ボイスメール等(以下、「電子メール等」という。)を受信することが可能である。
【0014】
ネットワーク5は、LAN(Local Area Network)等のイントラネット(Intranet)、インターネットや携帯電話網等のWAN(Wide Area Network)等のネットワークである。
サーバー1及び各画像形成装置2は、ルーター(Router)やゲートウェイ(Gateway)等を介して、ネットワーク5に接続されていてもよい。また、ネットワーク5は、VPN(Virtual Private Network)を構成していてもよい。
【0015】
次に、
図2により、サーバー1の構成について説明する。
サーバー1は、制御部10、ネットワーク送受信部15、及び記憶部19を含んでいる。
【0016】
制御部10は、GPP(General Purpose Processor)、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Processor、特定用途向けプロセッサー)等の情報処理手段である。
制御部10は、記憶部19のROMやSSDやHDDに記憶されている制御プログラムを読み出して、この制御プログラムをRAMに展開させて実行することで、後述する機能部として動作させられる。本実施形態において、この制御プログラムは、サーバーOSと、認証許可プログラムとを含む。
【0017】
ネットワーク送受信部15は、ネットワーク5に接続するためのLANボードや無線送受信機等を含むネットワーク接続手段である。
【0018】
記憶部19は、一時的でない記録媒体を用いた記憶手段である。記憶部19は、主記憶部として、RAM(Random Access Memory)等を含んでいてもよい。また、記憶部19は、補助記憶部として、ROM(Read Only Memory)、eMMC(embedded Multi Media Card)、SSD(Solid State Drive)等のフラッシュメモリー、及び/又はHDD(Hard Disk Drive)等含んでいてもよい。この場合、記憶部19の補助記憶部には、サーバー1の動作制御を行うための制御プログラムが格納されていてもよい。
【0019】
なお、制御部10は、RAMやROMやフラッシュメモリー等を内蔵していてもよい。
【0020】
〔画像形成システムXの制御構成〕
ここで、
図2を参照し、画像形成システムXの制御構成について説明する。
サーバー1の制御部10は、通知イベント設定部100、イベント通知部110、イベント送信設定部120、イベント送信部130、及び認証部140を備えている。
サーバー1の記憶部19は、イベント設定情報300、イベント310、送信設定情報320、及びアカウント設定340を格納する。
画像形成装置2は、認証送信部200を備えている。
【0021】
通知イベント設定部100は、サーバー1のエラーを非登録者に認識可能なイベント310として通知するよう設定する。通知イベント設定部100は、イベント設定情報300に、この設定を行う。
【0022】
イベント通知部110は、エラーが実際に発生した場合、通知イベント設定部100により設定されたイベント310を通知する。
【0023】
認証部140は、ユーザーの認証情報により画像形成装置2を使用するための認証許可を行う。
【0024】
通知イベント設定部100は、自装置のエラーを、認証部140により認証許可を行うように登録されていない非登録者に認識可能なイベント310として通知するよう、イベント設定情報300に設定する。
この通知イベント設定部100が設定するエラーは、画像形成装置へのジョブに割り当てられた割り当て領域の不足、ユーザーの認証許可のエラー、及び自装置の制御プログラムに原因があるジョブの実行エラーを含んでいてもよい。
【0025】
イベント通知部110は、エラーが実際に発生した場合、通知イベント設定部100により設定されたイベント310を通知する。
【0026】
イベント送信設定部120は、イベント通知部110によるイベント310の通知があった場合、非登録者に当該通知を送信するための送信設定を行う。イベント送信設定部120は、例えば、イベント310を監視して非登録者にイベント310の通知を行う設定を、送信設定情報320に設定する。
【0027】
イベント送信部130は、イベント通知部110により通知されたイベント310を、実際に非登録者に送信する。イベント送信部130は、この送信を、電子メール等で行ってもよい。
【0028】
認証送信部200は、操作パネル部等からユーザーの認証情報を取得する。そして、認証送信部200は、取得したユーザーの認証情報をサーバー1へ送信する。
【0029】
イベント設定情報300は、非登録者に認識可能なイベント310として通知するためのエラーの設定である。イベント設定情報300は、例えば、通知をオン又はオフにするか(Enabled)、通知するイベント310の識別名(Rule Name)、ログの種類(Type)、エラーを検出するための認証許可プログラムのモジュール(Subsystem)、非登録者への送信方法、キーワード(Text)とを含んでいる。このログの種類は、例えば、Windows(登録商標)OSの場合、「Info」「Warning」「Error」「Notice」「Debug」「Critical」が、エラーの種類に対応して設定可能であってもよい。また、キーワードは、エラーの種類を示すキーワードであってもよい。
【0030】
イベント310は、OSのアプリケーションやサービスの動作結果等を示す情報であり、OSの機能として自動的に収集される。本実施形態においては、Windows(登録商標)OSの「イベントビューアー」で閲覧可能に記録(ログ)される「イベント」である例を示す。また、本実施形態のイベント310は、画像形成装置へのジョブに割り当てられた割り当て領域の不足、ユーザーの認証許可のエラー、及び自装置の制御プログラムに原因があるジョブの実行エラーに関するイベントを含む。
【0031】
送信設定情報320は、イベント310として非登録者に送信するための送信設定の情報である。この送信設定情報320は、例えば、OSのタスクマネージャーに設定された、イベント310を監視して電子メール等を非登録者へ送信するタスクの情報であってもよい。
【0032】
アカウント設定340は、ユーザーの認証情報により画像形成装置2の認証許可を行うための、ユーザーのIDとパスワード等が設定されたデータベースである。また、アカウント設定340は、ユーザー毎に、ユーザーの属性及び所属するグループについての情報等を含んでいてもよい。このユーザーの属性としては、例えば、画像形成装置2を運用する組織に所属しているか否か、組織内の地位、組織内の権限等が設定されていてもよい。なお、このアカウント設定340は、サーバー1の認証許可プログラムのユーザーやプログラム自体を管理する管理者(以下、「認証許可管理者」という。)や外部の上位サーバー等から設定可能であってもよい。
【0033】
ここで、サーバー1の制御部10は、記憶部19に記憶された制御プログラムを実行することで、通知イベント設定部100、イベント通知部110、イベント送信設定部120、イベント送信部130、及び認証部140として機能させられる。
また、画像形成装置2の制御部は、記憶部に格納された制御プログラムを実行することで、認証送信部200として機能させられる。
また、上述のサーバー1、画像形成装置2、及び端末3の各部は、本発明のエラー通知方法を実行するハードウェア資源となる。
なお、上述の機能構成の一部又は任意の組み合わせをIC、プログラマブルロジック、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等でハードウェア的に構成してもよい。
【0034】
〔サーバー1によるイベント通知送信処理〕
次に、
図4〜
図6を参照して、本発明の実施の形態に係るサーバー1によるイベント通知送信処理の説明を行う。
本実施形態のイベント通知送信処理は、サーバー1のエラーを、非登録者に認識可能なイベント310として通知するよう設定する。そして、エラーが実際に発生した場合、設定された前記イベント310を通知する。この通知されたイベント310は、非登録者に送信される。
本実施形態のイベント通知送信処理は、主にサーバー1の制御部10が、記憶部19に記憶された制御プログラムを、各部と協働し、ハードウェア資源を用いて実行する。
以下で、
図4のフローチャートを参照して、本実施形態のイベント通知送信処理の詳細をステップ毎に説明する。
【0035】
(ステップS101)
まず、イベント送信設定部120が、イベント送信設定処理を行う。
イベント送信設定部120は、非認証者の電子メール等の送信先(以下、「アドレス等」という。)を送信設定情報320に設定する。イベント送信設定部120は、例えば、通知イベント設定部100により設定されたイベント310を監視して電子メール等を、非登録者のアドレス等に送信するタスクを、OSのタスクマネージャーに、送信設定情報320として設定する。
イベント送信設定部120は、例えば、記憶部19に格納された非登録者の情報を取得して、この設定を行ってもよい。
【0036】
(ステップS102)
次に、通知イベント設定部100が、通知イベント設定処理を行う。
通知イベント設定部100は、サーバー1のエラーを、非登録者に認識可能なイベント310として通知するよう、イベント設定情報300に設定する。通知イベント設定部100は、例えば、サーバー1の認証許可管理者、図示しない上位サーバーからの指示等により、この設定を行ってもよい。
【0037】
図5(a)は、通知イベント設定部100が、イベント310の通知(Enabled)を「ON」にして、通知するイベント310の識別名(Rule Name)を「Test」、ログの種類(Type)を「Info」、モジュール(Subsystem)が「CLI」、非登録者への送信方法を「電子メール(Email sender)」、キーワード(Text)を、「設定なし(当該モジュールのエラーを全て送信)」と設定した例を示している。この「設定無し」の場合、エラーの種類は、イベント310に通知される文字列上に表示される。
また、
図5(b)に示すように、「イベント310の識別名」を一覧にして確認することも可能である。
【0038】
(ステップS103)
次に、認証部140が、認証稼働処理を行う。
ここで、ユーザーが画像形成装置2を使用する際に、認証送信部200は、ユーザーに対して、操作パネル部の入力部でユーザーのID及びパスワードを入力させたり、カードリーダーにIDカードを読み込ませたり、生体認証機器等で認証情報の入力を行わせる。認証送信部200は、入力されたユーザーの認証情報をサーバー1へ送信する。
この認証情報を取得した認証部140は、アカウント設定340を参照して、認証を行う。
これにより、認証が成功したユーザーについては、通常の画像形成装置2の使用が許可され、各種機能を利用可能となり、プルプリント等が実行可能となる。
【0039】
(ステップS104)
ここで、イベント通知部110が、通知するエラーが発生したか否かを判断する。
イベント通知部110は、イベント設定情報300を参照し、サーバー1について非登録者に通知するエラーが発生していることを検知する。イベント通知部110は、このエラーが発生していた場合、Yesと判断する。イベント通知部110は、それ以外の場合に、Noと判断する。
Yesの場合、イベント通知部110は、処理をステップS105に進める。
Noの場合、イベント通知部110は、イベント通知送信処理を終了する。
【0040】
(ステップS105)
通知するエラーが発生した場合、イベント通知部110が、イベント通知処理を行う。
イベント通知部110は、該当するエラーが実際に発生したことを検知した場合、OSにイベント310を通知する。
イベント通知部110は、例えば、イベント310が、OSのログとして記憶部19に格納されるように通知してもよい。
【0041】
(ステップS106)
次に、イベント送信部130が、イベント送信処理を行う。
イベント送信部130は、イベント通知部110により通知されて、記憶部19に格納されたイベント310を、実際に非登録者に送信する。
図6によると、イベント送信部130は、例えば、OSのタスクマネージャーに設定された、イベント310を監視して電子メール等を非登録者のアドレス等へ送信するタスクを実行してもよい。
図6の例では、ウィンドウズ(登録商標)イベントビューアーで閲覧可能なイベント310の内容と同様の文章を、電子メール等で送信した例を示している。
以上により、本発明の実施の形態に係るイベント通知送信処理を終了する。
【0042】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
従来の画像形成システムにおいては、認証認可に関するエラーの状態(ステータス)を非登録者へ通知することができなかった。
これに対して、本発明の実施の形態に係る画像形成システムXは、画像形成装置2と、画像形成装置2を使用するユーザーの認証許可を行うサーバー1とを備える。画像形成装置2は、ユーザーの認証情報をサーバーへ送信する認証送信部200を備える。サーバー1は、ユーザーの認証情報により認証許可を行う認証部140と、自装置のエラーを、認証部140により認証許可を行うように登録されていない非登録者に認識可能なイベント310として通知するよう設定する通知イベント設定部100と、エラーが実際に発生した場合、通知イベント設定部100により設定されたイベント310を通知するイベント通知部110とを備える。
このように構成することで、認証認可用のサーバー1に登録されてない非登録者に、サーバー1のエラーの状態を通知することが可能となる。このため、例えば、IT管理者、SIer等に通知できるようになり、サーバー1管理、サポートの手間を少なくすることができ、サポートコストを削減することができる。
【0043】
また、本発明の実施の形態に係るサーバー1は、イベント通知部110によるイベント310の通知があった場合、非登録者に当該通知を送信するための送信設定を行うイベント送信設定部120を更に備えることを特徴とする。
このように構成することで、認証許可管理者が設定用ファイルを設定する等して手動で設定しなくても、イベント送信設定部120により設定することで、イベント310を電子メール等で非登録者に容易に送信して知らせることが可能となる。
【0044】
また、本発明の実施の形態に係るサーバー1は、エラーは、画像形成装置へのジョブに割り当てられた割り当て領域の不足、ユーザーの認証許可のエラー、及び自装置の制御プログラムに原因があるジョブの実行エラーのいずれかであることを特徴とする。
このように構成することで、非登録者により管理、サポートする必要のあるエラーの状態をイベント310により通知することが可能となる。よって、サーバー1の管理、サポートの手間を少なくすることが可能となる。また、認証許可管理者やユーザーの手間も減らせる。
【0045】
〔他の実施の形態〕
なお、上述の実施の形態では、イベントを電子メール等で非登録者へ直接送信する例について記載した。しかしながら、通知されたイベントが送信されなくてもよい。この場合、通知されたイベントは、イベントビューアー等で閲覧可能な状態なまま保存されていることが好適である。
このように構成することで、非登録者が電子メール等を受信できなくても、サーバー1にアクセスしてイベントを閲覧することで、エラーの内容を把握することが可能となる。
【0046】
また、イベントについては、タスクマネージャーで設定されて送信されなくても、別のプログラム等により送信されるように構成されていてもよい。
【0047】
また、上述の実施の形態においては、イベント設定情報300及び送信設定情報320を認証許可管理者が設定するように記載した。
しかしながら、端末3から非登録者自身がイベント設定情報300及び送信設定情報320を、通知イベント設定部100及びイベント送信設定部120をそれぞれ介して設定するように構成してもよい。
このように構成することで、イベントを通知したい非登録者が変更等されても、引き継いだ人物が設定可能となり、サーバー1の管理、サポートの手間を少なくすることができる。
【0048】
また、上述の実施の形態では、Windows(登録商標)OSのイベントビューアー用にイベント310を設定して、非登録者へ送信する例について説明した。しかしながら、サーバー1のOSが他のサーバーOSであっても、同様の構成で対応可能である。たとえば、サーバー1のOSは、Linux(登録商標)、POSIX(Portable operating system interface)インターフェイスを含む*NIX系のOS、リアルタイムOS等であってもよい。また、OSが仮想マシン(Virtual Machine)等により実行されていてもよい。
ここで、サーバー1のOSが*NIX系のOSであった場合、cronとプロセス間通信等を用いて、同様に非登録者へ送信することが可能である。
【0049】
また、本発明は、画像形成装置以外の情報処理装置にも適用できる。つまり、ネットワークスキャナー、スキャナーをUSB等で別途接続したサーバー1等を用いる構成であってもよい。
【0050】
また、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。