特許第6852688号(P6852688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6852688ティーチングシステム、ティーチングユニット、ターゲットプレート、及びティーチング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852688
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】ティーチングシステム、ティーチングユニット、ターゲットプレート、及びティーチング方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20210322BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   G05D1/02 Z
   H01L21/68 A
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-21812(P2018-21812)
(22)【出願日】2018年2月9日
(65)【公開番号】特開2019-139474(P2019-139474A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2019年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】青本 和也
【審査官】 中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/038268(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0341229(US,A1)
【文献】 特開2017−092307(JP,A)
【文献】 特開平11−320298(JP,A)
【文献】 特開2005−221702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00− 1/12,
H01L21/68,
B65G 1/00− 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送車が被搬送物を移載部へ移載する際に用いられるティーチングデータを取得するティーチングシステムであって、
前記移載部に設置され、位置決め部と識別子とを有する、ターゲットプレートと、
前記位置決め部の位置を検出する位置検出部と、前記識別子を識別する識別部と、を有し、前記搬送車に保持されて用いられるティーチングユニットと、
前記位置検出部に前記位置決め部の位置を検出させる位置検出制御と、前記識別部に前記識別子を識別させる識別制御と、を実行する制御部と、を備え、
前記識別子には、前記移載部において前記被搬送物が載置される位置と前記ターゲットプレートに設けられた位置決めピンの位置とのずれ量である補正値を示す情報が含まれており、
前記制御部は、前記位置検出制御によって検出される前記位置決め部の位置に基づいて取得した前記ティーチングデータを、前記識別制御によって識別された前記識別子に含まれる前記補正値を示す情報に基づいて補正する、ティーチングシステム。
【請求項2】
搬送車が被搬送物を移載部へ移載する際に用いられるティーチングデータを取得するティーチングシステムであって、
前記移載部に設置され、位置決め部と識別子とを有する、ターゲットプレートと、
前記位置決め部の位置を検出する位置検出部と、前記識別子を識別する識別部と、を有し、前記搬送車に保持されて用いられるティーチングユニットと、
前記位置検出部に前記位置決め部の位置を検出させる位置検出制御と、前記識別部に前記識別子を識別させる識別制御と、を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記識別子と、前記移載部において前記被搬送物が載置される位置と前記ターゲットプレートに設けられた位置決めピンの位置とのずれ量である補正値と、が関連付けて記憶された記憶部を有し、
前記制御部は、前記位置検出制御によって検出される前記位置決め部の位置に基づいて取得した前記ティーチングデータを、前記識別制御によって識別された前記識別子に関連付けて記憶された前記補正値を前記記憶部から読み出し、読み出された前記補正値に基づいて補正する、ティーチングシステム。
【請求項3】
前記ティーチングユニットは、前記搬送車に保持される本体部と、前記本体部に対して鉛直方向に離接可能に設けられると共に、前記位置決め部に接触することで当該位置決め部の位置を検出する前記位置検出部と、前記本体部と前記位置検出部との間の距離を検出する距離検出部と、を有する、請求項1又は2記載のティーチングシステム。
【請求項4】
前記制御部は、前記距離検出部によって検出される距離が所定距離となったとき、前記識別制御を実行する、請求項記載のティーチングシステム。
【請求項5】
前記制御部は、前記位置検出制御を少なくとも二回以上実行し、二回目以降の前記位置検出制御を、直前の前記位置検出制御によって取得される前記ティーチングデータに基づいて実行すると共に、最後の前記位置検出制御を実行した後に前記識別制御を実行する、請求項1〜の何れか一項記載のティーチングシステム。
【請求項6】
前記識別子は、一次元コード又は二次元コードであり、前記識別部は、コードリーダである、請求項1〜の何れか一項記載のティーチングシステム。
【請求項7】
搬送車が被搬送物を移載部へ移載する際に用いられるティーチングデータを取得するティーチングシステムに用いられるターゲットプレートであって、
前記移載部に設置された際に、前記搬送車によって保持されるティーチングユニットに設けられた位置検出部によって検知可能な位置決め部と、前記ティーチングユニットに設けられた識別部によって識別可能な識別子と、を有し
前記識別子には、前記移載部において前記被搬送物が載置される位置と前記ターゲットプレートに設けられた位置決めピンの位置とのずれ量である補正値を示す情報が含まれている、ターゲットプレート。
【請求項8】
搬送車が被搬送物を移載部へ移載する際に用いられるティーチングデータを、位置決め部と識別子とを有し、前記移載部に設置されるターゲットプレートと、前記位置決め部の位置を検出する位置検出部と、前記識別子を識別する識別部とを有し、前記搬送車に保持されて用いられるティーチングユニットと、を用いて取得するティーチング方法であって、
前記識別子には、前記移載部において前記被搬送物が載置される位置と前記ターゲットプレートに設けられた位置決めピンの位置とのずれ量である補正値を示す情報が含まれており、
前記移載部に前記ターゲットプレートを設置する設置ステップと、
前記位置検出部に前記位置決め部の位置を検出させる位置検出ステップと、
前記識別部に前記識別子を識別させる識別ステップと、
前記位置検出ステップによって検出される前記位置決め部の位置に基づいて取得した前記ティーチングデータを、前記識別ステップによって識別された前記識別子に含まれる前記補正値に関する情報に基づいて補正する補正ステップと、を含む、ティーチング方法。
【請求項9】
搬送車が被搬送物を移載部へ移載する際に用いられるティーチングデータを、位置決め部と識別子とを有し、前記移載部に設置されるターゲットプレートと、前記位置決め部の位置を検出する位置検出部と、前記識別子を識別する識別部とを有し、前記搬送車に保持されて用いられるティーチングユニットと、前記識別子と、前記移載部において前記被搬送物が載置される位置と前記ターゲットプレートに設けられた位置決めピンの位置とのずれ量である補正値と、が関連付けて記憶された記憶部と、を用いて取得するティーチング方法であって、
前記移載部に前記ターゲットプレートを設置する設置ステップと、
前記位置検出部に前記位置決め部の位置を検出させる位置検出ステップと、
前記識別部に前記識別子を識別させる識別ステップと、
前記位置検出ステップによって検出される前記位置決め部の位置に基づいて取得した前記ティーチングデータを、前記識別ステップによって識別された前記識別子に関連付けて記憶された前記補正値を前記記憶部から読み出し、読み出された前記補正値に基づいて補正する補正ステップと、を含む、ティーチング方法。
【請求項10】
前記位置検出ステップは、少なくとも二回以上実行され、
二回目以降の前記位置検出ステップは、直前回の前記位置検出ステップによって検出される前記位置決め部の位置に基づいて取得される前記ティーチングデータに基づいて前記ティーチングユニットが制御された後に実行され、
前記識別ステップは、最後の前記位置検出ステップが実行された後に実行される、請求項8又は9記載のティーチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティーチングシステム、ティーチングユニット、ターゲットプレート、及びティーチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のティーチングシステムとして、被搬送物を搬送する天井搬送車と、天井搬送車により被搬送物が載置される移載部へ被搬送物を移載する際のティーチングに用いられるティーチングユニットと、を備えた天井搬送車システムが知られている(例えば特許文献1参照)。この天井搬送車システムでは、天井搬送車に保持されたティーチングユニットの位置検出部を移載部に設けられている位置決め部に接触させることによってティーチングが行われている。
【0003】
例えば、搬送コンベヤ及び特殊な装置等、位置決め部が設けられていない移載部(ポート)をティーチングしたい場合がある。この場合には、位置決め部が設けられたターゲットプレートを搬送コンベヤ等に予め設置することによってティーチングが行われる。そして、取得されたティーチングデータは、予め記憶された補正値(実際に被搬送物が載置される位置とターゲットプレートに設けられた位置決めピンの位置とのずれ量)によって補正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−71288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにターゲットプレートを使用してティーチングを行う場合、例えば、移載部の状況等に応じてターゲットプレートを交換すると、その都度、上記の補正値を変更したり、種々のターゲットプレートごとに配備された専用のティーチングユニットに交換したりする必要があり、手間であると共に、補正値の設定を間違えたり、交換すべきティーチングユニットを間違えてセットしたりするリスクがある。複数種のターゲットプレートが用いられる運用の場合には、これらの課題は顕著となる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、複数種のターゲットプレートを用いてティーチングをするときの手間を軽減できると共に正確性を確保できる、ティーチングシステム、ティーチングユニット、ターゲットプレート、及びティーチング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のティーチングシステムは、搬送車が被搬送物を移載部へ移載する際に用いられるティーチングデータを取得するティーチングシステムであって、移載部に設置され、位置決め部と識別子とを有する、ターゲットプレートと、位置決め部の位置を検出する位置検出部と、識別子を識別する識別部と、を有し、搬送車に保持されて用いられるティーチングユニットと、位置検出部に位置決め部の位置を検出させる位置検出制御と、識別部に識別子を識別させる識別制御と、を実行する制御部と、を備え、制御部は、位置検出制御によって検出される位置決め部の位置に基づいて取得したティーチングデータを、識別制御によって識別された識別子に基づいて補正する。
【0008】
この構成のティーチングシステムは、識別子が付されたターゲットプレートが用いられる。そして、ティーチングユニットは、ターゲットプレートにおける位置決め部の位置を検出すると同時にターゲットプレートの識別子を識別する。制御部は、検出された位置決め部の位置に基づいてティーチングデータを算出すると共に、識別された識別子に基づいて取得される補正値に基づいてティーチングデータを自動的に補正する。これにより、作業者がターゲットプレートを交換するごとに補正値を入力したり、ティーチングユニットを交換したりしなくても、ターゲットプレートを設置したことを考慮した適切なティーチングデータが算出される。この結果、ターゲットプレートを用いてティーチングをするときの手間を軽減できると共に正確性を確保できる。なお、ここでいう識別子には、ターゲットプレートの種類を認識できる情報だけでなく、上記補正値そのものを示す情報も含まれる。
【0009】
本発明のティーチングシステムでは、ティーチングユニットは、搬送車に保持される本体部と、本体部に対して鉛直方向に離接可能に設けられると共に、位置決め部に接触することで当該位置決め部の位置を検出する位置検出部と、本体部と位置検出部との間の距離を検出する距離検出部と、を有していてもよい。この構成では、簡易な構成でターゲットプレートの位置決め部の位置を正確に認識させることができる。
【0010】
本発明のティーチングシステムでは、制御部は、距離検出部によって検出される距離が所定距離となったとき、識別制御を実行してもよい。この場合、識別部と識別子との距離が予め定められた距離となり、識別部に識別子を確実に識別させることが可能になる。
【0011】
本発明のティーチングシステムでは、制御部は、位置検出制御を少なくとも二回以上実行し、二回目以降の位置検出制御を、直前の位置検出制御によって取得されるティーチングデータに基づいて実行すると共に、最後の位置検出制御を実行した後に識別制御を実行してもよい。この構成の天井搬送車システムでは、位置検出部が位置決め部の位置をより正確に認識できるようになると共に、識別部が識別子をより確実に識別できるようになる。
【0012】
本発明のティーチングシステムでは、識別子は、一次元コード又は二次元コードであり、識別部は、コードリーダであってもよい。この構成の天井搬送車システムは、容易かつ安価な構成でターゲットプレートの識別が可能になる。
【0013】
本発明のティーチングユニットは、搬送車が被搬送物を移載部へ移載する際に用いられるティーチングデータを取得するティーチングシステムにおいて、位置決め部と識別子とを有し、移載部に設置されるターゲットプレートと共に用いられるティーチングユニットであって、搬送車に保持可能に設けられると共に、位置決め部の位置を検出する位置検出部と、識別子を識別する識別部と、を有する。
【0014】
この構成のティーチングユニットでは、ターゲットプレートにおける位置決め部の位置を検出すると同時にターゲットプレートの識別子を識別する。これにより、ティーチングシステムに含まれる制御部は、検出された位置決め部の位置に基づいてティーチングデータを算出すると共に、識別された識別子に基づいて取得される補正値に基づいてティーチングデータを補正することができるようになる。このため、作業者がターゲットプレートを交換するごとに補正値を入力したり、ティーチングユニットを交換したりしなくても、ターゲットプレートを設置したことを考慮した適切なティーチングデータが算出される。この結果、ターゲットプレートを用いてティーチングをするときの手間を軽減できると共に正確性を確保できる。
【0015】
本発明のターゲットプレートは、搬送車が被搬送物を移載部へ移載する際に用いられるティーチングデータを取得するティーチングシステムに用いられるターゲットプレートであって、移載部に設置された際に、搬送車によって保持されるティーチングユニットに設けられた検出部によって検知可能な位置決め部と、ティーチングユニットに設けられた識別部によって識別可能な識別子と、を有する。
【0016】
この構成のターゲットプレートは、ターゲットプレートを識別するための識別子が設けられている。これにより、識別子を識別するための識別部を有するティーチングユニットは、ターゲットプレートにおける位置決め部の位置を検出すると同時にターゲットプレートの識別子を識別できるようになる。また、ティーチングシステムに含まれる制御部は、検出された位置決め部の位置に基づいてティーチングデータを算出すると共に、識別された識別子に基づいて取得される補正値に基づいてティーチングデータを補正する。これにより、作業者がターゲットプレートを交換するごとに補正値を入力したり、ティーチングユニットを交換したりしなくても、ターゲットプレートを設置したことを考慮した適切なティーチングデータが算出される。この結果、ターゲットプレートを用いてティーチングをするときの手間を軽減できると共に正確性を確保できる。
【0017】
本発明のティーチング方法は、搬送車が被搬送物を移載部へ移載する際に用いられるティーチングデータを、位置決め部と識別子とを有し、移載部に設置されるターゲットプレートと、位置決め部の位置を検出する位置検出部と、識別子を識別する識別部とを有し、搬送車に保持されて用いられるティーチングユニットと、を用いて取得するティーチング方法であって、移載部にターゲットプレートを設置する設置ステップと、位置検出部に位置決め部の位置を検出させる位置検出ステップと、識別部に識別子を識別させる識別ステップと、位置検出ステップによって検出される位置決め部の位置に基づいて取得したティーチングデータを、識別ステップによって識別された識別子に基づいて補正する補正ステップと、を含む。
【0018】
このティーチング方法では、作業者がターゲットプレートを交換するごとに補正値を入力したり、ティーチングユニットを交換したりしなくても、ターゲットプレートを設置したことを考慮した適切なティーチングデータを算出できる。この結果、ターゲットプレートを用いてティーチングをするときの手間を軽減できると共に正確性を確保できる。
【0019】
本発明のティーチング方法の位置検出ステップは、少なくとも二回以上実行され、二回目以降の位置検出ステップは、直前回の位置検出ステップによって検出される位置決め部の位置に基づいて取得されるティーチングデータに基づいてティーチングユニットが制御された後に実行され、識別ステップは、最後の位置検出ステップが実行された後に実行されてもよい。これにより、位置取得部がターゲットプレートの位置決め部の位置をより正確に認識できるようになり、識別部がより確実に識別子を識別できるようになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ターゲットプレートを用いてティーチングをするときの手間を軽減できると共に正確性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態に係るティーチングシステムを示す正面図である。
図2図1のターゲットプレートの斜視図である。
図3図2のターゲットプレートに設けられるバーコードを示した図である。
図4図1のティーチングユニットを正面から見た斜視図である。
図5図1のティーチングユニットを側方から見た断面斜視図である。
図6図2のターゲットプレートと図4のティーチングユニットとを側方から見た断面斜視図である。
図7図1の天井搬送車システムの機能構成を示すブロック図である。
図8】一実施形態に係る天井搬送車システムのティーチング動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
一実施形態に係るティーチングシステム100は、図1に示される天井搬送車システム1において、天井搬送車(搬送車)10に後述するロードポート(移載部)103の位置をティーチング(教示)するために用いられる。ここでは、まず、天井搬送車システム1について説明する。天井搬送車システム1は、走行レール2と、天井搬送車10と、ロードポート3と、ロードポート103と、を備えている。
【0024】
走行レール2は、例えば、半導体デバイスが製造されるクリーンルーム内の天井付近に敷設されている。ロードポート3は、例えば、半導体ウェハに各種処理を施す処理装置に設けられている。以下、天井搬送車10の走行方向に平行な方向をX方向とし、水平面に平行且つ天井搬送車10の走行方向に垂直な方向をY方向とし、鉛直方向に平行な方向をZ方向とする。図1においては、ロードポート3,103は、二つしか図示されていないが、天井搬送車システム1では、二つ以上設けられてもよい。
【0025】
天井搬送車10は、走行レール2に沿って走行し、例えば、複数枚の半導体ウェハが収容されたカセット(いわゆるFOUP(Front Opening Unified Pod))を被搬送物Aとして搬送すると共に、ロードポート3,103において被搬送物の移載を行う。ロードポート3には、位置決めピン3Aが設けられており、FOUPには位置決めピン3Aに係合する凹部が形成されている。ロードポート103は、例えば搬送コンベヤ等の上に設定される移載部であり、位置決めピン3Aが設けられていない。
【0026】
天井搬送車10は、走行部11と、横送り部12と、回動部13と、昇降部14と、保持部15と、コントローラ(制御部)16と、を備えている。走行部11は、走行レール2に沿って敷設された高周波電流線から非接触で電力の供給を受けることで、走行レール2に沿って走行する。横送り部12は、回動部13、昇降部14及び保持部15をY方向に沿って移動させる。回動部13は、昇降部14及び保持部15を水平面内において双方向に回転させる。昇降部14は、下端部に保持部15が取り付けられた複数本のベルト14aを繰り出し又は巻き取ることで、ロードポート3,103に対して保持部15を昇降させる。保持部15は、一対の爪部材15aを有する。保持部15は、一対の爪部材15aを開閉させることにより、被搬送物を保持する。
【0027】
コントローラ16は、天井搬送車10の各部の動作を制御する。コントローラ16は、設定されたティーチングデータに基づき天井搬送車10の動作を制御し、ロードポート3,103へ被搬送物を移載させる。ティーチングデータは、被搬送物をロードポート3,103へ移載するための制御パラメータ(又は移載条件)である。コントローラ16は、天井搬送車10にティーチングユニット20が装着された際のティーチング動作も制御する。
【0028】
ティーチングデータは、被搬送物をロードポート3,103への移載時における、保持部15のX方向及びY方向における位置である並進(X,Y)と、Z方向における位置(高さZ)と、保持部15の水平面内の回転角度(回転θ)と、を含んでいてもよい。また、例えば、ティーチングデータは、被搬送物Aをロードポート3,103への移載時における、走行部11のX方向位置(又は走行部11の駆動量)及び回動部13、昇降部14及び保持部15のY方向位置(又は横送り部12の駆動量)である並進(X,Y)と、昇降部14及び保持部15の回転角度(又は回動部13の駆動量)である回転θと、保持部15のZ方向位置(又は昇降部14の駆動量)である高さZと、X方向及びY方向における水平方向からの傾きである傾き(αx,αy)と、を含んでいてもよい。ティーチングデータ(並進(X,Y)、高さZ、回転θ、傾き(αx,αy))は、コントローラ16の記憶部16aに記憶されている。
【0029】
このような天井搬送車システム1では、天井搬送車システム1の構築時又はメンテナンスとして定期的に、天井搬送車10によりロードポート3,103へ被搬送物Aを移載する際のティーチングを実施する。ティーチングとは、天井搬送車10がロードポート3,103において被搬送物Aの移載を行うために走行部11が走行レール2の所定位置に停止して保持部15が所定距離下降させられた状態で、保持部15の位置が目標位置からどれだけずれるかを知得し、天井搬送車システム1の稼働時に目標位置からのずれがなくなるように、天井搬送車10に実施すべき動作であるティーチングデータを算出又は記憶させることである。以下、当該ティーチングを実施する際に用いられるティーチングシステム100について説明する。
【0030】
本実施形態のティーチングシステム100は、例えば、搬送コンベヤ及び特殊な装置等、図1に示されるような位置決めピン3Aが設けられていないロードポート(移載部)103をティーチングしたい場合にも利用することができる。この場合には、図2に示されるような、位置決めピン(位置決め部)66が設けられたターゲットプレート60を搬送コンベヤ等に予め設置することによってティーチングが行われる。以下、ターゲットプレート60を用いてティーチングする場合を例に挙げて説明する。
【0031】
ティーチングシステム100は、図1に示される天井搬送車10と、図2に示されるようなターゲットプレート60と、図4及び図5に示されるようなティーチングユニット20と、天井搬送車10に搭載されるコントローラ16と、を含んで構成される。天井搬送車10については、上述したので再度の説明は省略する。
【0032】
図2及び図6に示されるように、ターゲットプレート60は、上板61と、下板62と、載置部63と、側板64と、支柱65(図6参照)と、位置決めピン66,66,66と、識別子表示部70と、を備えている。下板62は、板状部材であって、X方向に対向して配置される角柱状の載置部63にまたがるように配置される。載置部63は、搬送コンベヤ等に接触配置される部分である。上板61は、下板62に平行に配置されており、下板62から立設する三つの支柱65,65,65に支持されている。上板61には、三つの位置決めピン66,66,66が配置されている。三つの位置決めピン66,66,66のそれぞれは、三つの支柱65,65,65のそれぞれの直上に配置されている。Y方向手前側には、側板64が設けられている。下板62には、一組の取っ手67,67が設けられている。
【0033】
上板61の中央部分には、図3に示されるような識別子表示部70が配置されている。識別子表示部70は、識別子としてのバーコード(一次元コード)71が表示される部分と、上記バーコード71に対応する数値73が表示される部分と、を有している。なお、数値73が表示される部分は、省略されてもよい。バーコード71に対応する数値73は、ターゲットプレート60の種類を示す第一部分73A(2桁目〜6桁目)と、実際に被搬送物Aが載置される位置とターゲットプレート60に設けられた位置決めピン66の位置とのずれ量(補正値)を示す第二部分73B(7桁目〜8桁目)と、を含んで構成されている。なお、1桁目は、補正値がZ方向に+なのか−なのかを示している。具体的には、「1」はZ方向に+であることを示し、「0」はZ方向に−であることを示している。
【0034】
コントローラ16は、第一部分73Aの数値を読み取れば、どのような種類のターゲットプレート60が配置されているかを判断することができ、第二部分73Bの数値を読み取れば、ターゲットプレート60を配置したことによって、ティーチングする際に、ティーチングユニット20によって取得された位置決めピン66の位置を、Z方向(高さ方向)にどれくらい補正すればよいかを判断することができる。本実施形態では、後述するティーチングユニット20に設けられたバーコードリーダ(識別部・コードリーダ)57によって、第一部分73A及び第二部分73Bの数値が読み取られる。
【0035】
図5及び図6に示されるように、ティーチングユニット20は、本体部22と、一対の第一検知ユニット30,30と、第二検知ユニット40と、減速センサ27,27と、バーコードリーダ57と、ティーチング制御部29(図7参照)と、を備えている。ティーチングユニット20は、FOUPを搬送する天井搬送車用のユニットである。ティーチングユニット20は、FOUPと同等のサイズを有する。
【0036】
本体部22は、フランジ部23と、第一本体部24と、第二本体部25と、を有している。フランジ部23は、天井搬送車10の昇降部14で昇降される保持部15に保持される。フランジ部23は、ティーチングユニット20の上部中央に配置されている。第一本体部24は、Z方向に延在し、第二本体部25から立設している。第一本体部24は、後段にて詳述する第一検知ユニット30,30と、第二検知ユニット40と、が固定される。第二本体部25は、水平方向に延在する板状部材である。第二本体部25は、後段にて詳述する減速センサ27,27及びティーチング制御部29が固定される。
【0037】
一対の第一検知ユニット30,30のそれぞれは、X方向に沿って配置されている。第一検知ユニット30は、支持部材31と、リニアガイド33と、タッチパネル(位置検出部)35と、第一測距センサ(距離検出部)53と、を有している。
【0038】
支持部材31は、本体部22に対してZ方向に移動可能に設けられている。支持部材31は、Z方向に延在しており、一方の端部にはタッチパネル35が接続される。リニアガイド33は、支持部材31を本体部22に対しZ方向にスライド移動可能に支持する。タッチパネル35は、本体部22に対しスライド移動可能に設けられた支持部材31に固定されることで、本体部22に対して離接可能に設けられている。タッチパネル35は、第二本体部25の下面に略平行なタッチ面を下面に有する。タッチパネル35は、ターゲットプレート60に設けられた位置決めピン66(図3参照)の先端に接触することで当該位置決めピン66の位置を検出する。
【0039】
第一測距センサ53は、第二本体部25に固定されている。第一測距センサ53は、本体部22とタッチパネル35との間の距離を検出する。第一測距センサ53の光軸は、第二本体部25に設けられた貫通孔25bを介してタッチパネル35に交差する。第一測距センサ53は、測定した距離を、ティーチング制御部29に出力する。例えば、第一測距センサ53は、タッチパネル35によって位置決めピン66が検出された際の本体部22とタッチパネル35との距離をティーチング制御部29に出力をする。
【0040】
第二検知ユニット40は、一対の第一検知ユニット30,30が配置される方向を正面として見たとき、一対の第一検知ユニット30,30の後方に配置されている。第二検知ユニット40は、一つだけ配置されている。第一検知ユニット30と第二検知ユニット40とは、X方向及びZ方向に直交するY方向に配列されている。第二検知ユニット40は、バンパープレート41と、リニアガイド43と、第二測距センサ55と、を有している。
【0041】
バンパープレート41は、Z方向に延在する支持部41aと、水平方向に延在する接触部41bと、を有する。支持部41aは、リニアガイド43を介して本体部22の第二本体部25に固定される部分である。接触部41bは、板状部材であり、第一検知ユニット30のようなタッチパネル35は固定されていない。支持部41aは、第二本体部25に設けられた貫通孔25aに挿通されている。リニアガイド43は、バンパープレート41を本体部22に対しZ方向にスライド移動可能に支持する。第二測距センサ55は、第二本体部25に固定されている。第二測距センサ55は、本体部22とバンパープレート41との間の距離を検出する。第二測距センサ55の光軸は、第二本体部25に設けられた貫通孔25bを介して上記バンパープレート41の接触部に交差する。第二測距センサ55は、測定した距離を、ティーチング制御部29に出力する。例えば、第二測距センサ55は、バンパープレート41が位置決めピン66に接触された際の本体部22とバンパープレート41との距離をティーチング制御部29に出力をする。
【0042】
減速センサ27,27は、第二本体部25に固定されており、第二本体部25から下方に光軸が向けられている。減速センサ27,27は、Y方向に二つに設けられている。減速センサ27,27は、ティーチングユニット20の下方に存在する物体との距離を計測する。例えば、減速センサ27,27は、ティーチングに用いられるターゲットプレート60との距離を計測する。減速センサ27,27は、計測した距離をコントローラ16に出力する。例えば、減速センサ27,27は、本体部22とロードポート3,103との距離が予め定められた距離になったことを検知すると、その旨をコントローラ16に出力をする。
【0043】
バーコードリーダ57は、第二本体部25の中央部上面に設けられている。バーコードリーダ57は、バーコード71を光学的に読み取る(識別する)装置である。本実施形態のバーコードリーダ57は、バーコード71に非接触で、バーコード71を読み取ることができる。バーコードリーダ57は、第二本体部25に設けられた開口部25dを介してターゲットプレート60に設けられたバーコード71を読み取る。バーコードリーダ57の動作、すなわちバーコードの読み取りタイミングは、コントローラ16によって制御される。
【0044】
ティーチング制御部29は、ティーチングユニット20の各種機能を制御する制御部である。ティーチング制御部29は、一対のタッチパネル35,35のそれぞれによって取得された位置決めピン66の位置情報、一対のタッチパネル35,35のそれぞれが位置決めピン66に接触したときの第一測距センサ53の計測値、及びバンパープレート41が位置決めピン66に接触したときの第二測距センサ55の計測値に基づいて、ティーチングデータ(並進(X,Y)、高さZ、回転θ、傾き(αx,αy))を算出する。ティーチング制御部29は、算出したティーチングデータをコントローラ16に送出する。
【0045】
コントローラ16は、予め記憶されたティーチングデータに基づいて天井搬送車10を制御する。コントローラ16は、タッチパネル35に位置決めピン66の位置を検出させる位置検出制御と、バーコードリーダ57にバーコード71を読み取らせる識別制御と、を実行する。コントローラ16は、位置検出制御を少なくとも二回以上実行し、二回目以降の位置検出制御を、直前の位置検出制御によって取得されるティーチングデータに基づいて実行すると共に、最後の位置検出制御を実行した後に識別制御を実行する。本実施形態では、二回の位置検出制御を実行する。また、コントローラ16は、第一測距センサ53によって検出される距離が所定距離となったとき、識別制御を実行する。
【0046】
コントローラ16は、位置検出制御によって検出される、位置決めピン66の位置情報、第一測距センサ53の計測値、及び第二測距センサ55の計測値に基づいて、ティーチング制御部29によって算出されたティーチングデータを補正する。具体的には、コントローラ16は、識別制御によって読み取られたバーコード71の一部であり、実際に被搬送物Aが載置される位置とターゲットプレート60に設けられた位置決めピン66の位置とのずれ量(補正値)を示す第二部分73Bから取得される数値に基づいて、上記ティーチングデータの高さZを補正する。コントローラ16は、記憶部16aに記憶されている初期条件としてのティーチングデータを、上述の内容で補正されたティーチングデータに更新する。
【0047】
次に、上記ティーチングシステム100においてティーチングを行う際の動作について説明する。図8は、一実施形態に係る天井搬送車システムのティーチング動作(ティーチング方法)の一例を示すフローチャートである。
【0048】
上記実施形態のティーチングシステム100では、天井搬送車10の昇降部14の保持部15に保持されたティーチングユニット20のタッチパネル35,35を、ターゲットプレート60に設けられた位置決めピン66に接触させることにより取得される情報を用いてティーチングが行われる。そこで、作業者は、ティーチングをしたい移載部、例えば、搬送コンベヤ等の所定位置(ロードポート103)に図2に示されるターゲットプレート60を設置する(ステップS1:設置ステップ)。
【0049】
コントローラ16は、記憶部16aに記憶された初期設定のティーチングデータに基づいて天井搬送車を制御する(ステップS2)。具体的には、コントローラ16は、ティーチングの対象となるロードポート103のZ方向上方に停止させる。このとき、コントローラ16は、初期設定として記憶されたティーチングデータ(走行部11のX方向位置)を用いて天井搬送車10をロードポート103のZ方向上方に停止する。次に、コントローラ16は、ティーチングユニット20をロードポート103に載置させるために昇降部14を下降させる。この場合も、コントローラ16は、初期設定として記憶されたティーチングデータ(回動部13、昇降部14及び保持部15のY方向位置と、昇降部14及び保持部15のθ方向位置と、保持部15のZ方向位置)を用いて天井搬送車10の横送り部12、回動部13、及び昇降部14を制御する。
【0050】
コントローラ16は、減速センサ27,27によってティーチングユニット20の本体部22とロードポート103に設置されたターゲットプレート60との距離が所定距離になったことが検知されると、昇降部14の下降速度を減速させる(減速動作)。これにより、タッチパネル35,35がターゲットプレート60の位置決めピン66と接触するときの下降速度を遅くして、タッチパネル35,35が破損することを防止する。
【0051】
次に、コントローラ16は、一対のタッチパネル35,35及びバンパープレート41の全てが、位置決めピン66に接触するまで、昇降部14を下降させる。コントローラ16は、一対のタッチパネル35,35及びバンパープレート41の全てが、位置決めピン66に接触されたことを検知すると、昇降部14を上昇させる。このとき、一対のタッチパネル35,35の両方は、位置決めピン66に接触することで得られた当該位置決めピン66の位置情報をティーチング制御部29に出力する(ステップS3:位置検出ステップ)。
【0052】
ティーチング制御部29は、一対のタッチパネル35,35のそれぞれによって取得された位置決めピン66の位置情報、一対のタッチパネル35,35のそれぞれが位置決めピン66に接触したときの第一測距センサ53の計測値、及びバンパープレート41が位置決めピン66に接触したときの第二測距センサ55の計測値に基づいて、ティーチングデータ(並進(X,Y)、高さZ、回転θ、傾き(αx,αy))を算出する(ステップS4)。そして、ティーチング制御部29は、算出したティーチングデータをコントローラ16に送出する。コントローラ16は、記憶部16aに記憶されている初期条件としてのティーチングデータを、上記ステップS2において取得された位置決めピン66の位置情報に基づいて算出されるティーチングデータに更新する。
【0053】
本実施形態では、ステップS2の位置検出制御を二回実施する。二回目の位置検出制御(ステップS3)は、直前の位置検出制御(一回目の位置検出制御)によって取得された位置決めピン66の位置情報に基づいて算出されたティーチングデータに基づいて、横送り部12、回動部13、及び昇降部14が制御される。
【0054】
しかしながら、このような位置検出制御によって得られる位置決めピン66の位置情報に基づいて算出されるティーチングデータは、本来、被搬送物Aを載置したい位置よりもZ方向上方にずれている。すなわち、ターゲットプレートの高さH(図2参照)だけ、Z方向上方にずれている。そこで、本実施形態のティーチングシステム100では、このZ方向上方にずれたティーチングデータを自動的に補正する補正処理を実行する。
【0055】
具体的には、コントローラ16は、ティーチングユニット20のタッチパネル35が位置決めピン66の位置を検出する際に、バーコードリーダ57を作動させ、ターゲットプレート60に付されたバーコード71を読み取らせる(ステップS5:識別ステップ)。更に詳細には、コントローラ16は、第一測距センサ53によって検出される第二本体部25とタッチパネル35との距離が所定距離となったとき、ステップS5の識別制御を実行する。
【0056】
コントローラ16は、バーコードリーダ57によって読み取られた情報から第二部分73Bの数値、すなわち、実際に被搬送物Aが載置される位置とターゲットプレート60に設けられた位置決めピン66の位置とのずれ量(補正値)を取得する(ステップS6)。コントローラ16は、当該補正値に基づいて、ステップS4で算出されたティーチングデータを補正する(ステップS7:補正ステップ)。コントローラ16は、記憶部16aに記憶されている一回目の位置検出制御(ステップS2)によって取得された位置決めピン66の位置情報に基づいて算出されたティーチングデータを、上記ステップS7において補正されたティーチングデータ(並進(X,Y)、高さZ1、回転θ、傾き(αx,αy))に更新して記憶させる(ステップS8)。
【0057】
本実施形態では、上記のステップS1〜ステップS8の一連の動作によって、ロードポート103のティーチングが行われる。
【0058】
本実施形態のティーチングシステム100は、バーコード71が付されたターゲットプレート60が用いられる。本実施形態のティーチングユニット20は、ターゲットプレート60における位置決めピン66の位置を検出すると同時にターゲットプレート60のバーコード71を読み取る。コントローラ16は、検出された位置決めピン66の位置に基づいてティーチングデータを算出すると共に、読み取ったバーコード71の第二部分73Bの数値に基づいて取得される補正値に基づいてティーチングデータを自動的に補正する。これにより、作業者がターゲットプレート60を交換するごとに補正値を入力したり、ティーチングユニット20を交換したりしなくても、ターゲットプレート60を設置したことを考慮した適切なティーチングデータが算出される。この結果、ターゲットプレート60を用いてティーチングをするときの手間を軽減できると共に正確性を確保できる。また、ターゲットプレート60の種類ごとにティーチングユニット20を揃える必要がなくなるので、保管スペースを確保しなくても済む。
【0059】
本実施形態のティーチングシステム100では、コントローラ16は、第一測距センサ53によって検出される距離が所定距離となったとき、識別制御を実行する。これにより、バーコードリーダ57がバーコード71を読み取るときのバーコードリーダ57とバーコード71との距離が予め定められた距離となり、バーコードリーダ57にバーコード71を確実に読み取らせることが可能になる。
【0060】
本実施形態のティーチングシステム100では、コントローラ16は、位置検出制御を二回実行し、二回目の位置検出制御を、一回目の位置検出制御によって取得されるティーチングデータに基づいて実行し、二回目の位置検出制御のタイミングで識別制御を実行している。これにより、タッチパネル35による位置決めピン66の位置検出がより正確になると共に、バーコードリーダ57がバーコード71をより確実に読み取れるようになる。
【0061】
本実施形態のティーチングシステム100では、識別子としてバーコードが採用され、識別部としてバーコードリーダが採用されている。これにより、容易かつ安価な構成でターゲットプレート60の識別が可能になる。
【0062】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0063】
上記実施形態の識別子表示部70に表示されるバーコード71は、主に、ターゲットプレート60の種類を示す第一部分73Aと、補正値を示す第二部分73Bと、を含んで構成されている例を挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、バーコード71は、ターゲットプレート60を用いてティーチングした際の補正に用いられる補正値のみを示すバーコードであってもよい。
【0064】
また、例えば、バーコード71は、ターゲットプレート60の種類を示すコード情報のみを示すバーコードであってもよい。この場合には、例えば、ターゲットプレート60の種類を示すコード情報ごとに補正値を関連付けた補正値情報を記憶部16aに記憶しておけばよい。これにより、コントローラ16は、バーコードリーダ57によって読み出されたターゲットプレート60のコード情報に関連付けられた補正値を、記憶部16aから読み出すことができる。
【0065】
上記実施形態又は変形例では、ターゲットプレート60を識別する識別子としてバーコード71を例に挙げて説明したが、二次元コードであってもよく、また、カラーバーコードとしてより遠距離からの識別を可能にしてもよい。また、ターゲットプレート60の識別情報又は補正値情報を埋め込んだタグを採用してもよい。当該タグをターゲットプレート60に貼付して、電磁界や電波などを用いた近距離無線通信によって当該情報を読み取る技術(RFID:radio frequency identifier)を採用してもよい。
【0066】
上記実施形態又は変形例では、位置検出制御を二回実行する例を挙げて説明したが、当該制御は、三回以上実行されてもよいし、繰り返し実行されなくてもよい。位置検出制御が三回以上実行されるティーチングシステム100では、コントローラ16は、位置検出制御を三回以上実行し、三回目(N回目)以降の位置検出制御を、直前回(N−1回目)の位置検出制御によって取得されるティーチングデータに基づいて実行し、最後(N回目)の位置検出制御のタイミングで識別制御を実行してもよい。これにより、タッチパネル35による位置決めピン66の位置検出がより正確になると共に、バーコードリーダ57がバーコード71をより確実に読み取れるようになる。また、二回以上の位置検出制御が実行される場合には、位置検出制御間に、更に揺れ補正を行う制御を取り入れてもよい。揺れ補正とは、ティーチングユニット20を位置決めピン66に接触させる下降動作と、当該下降動作の後に所定量の上昇動作を繰り返して揺れ量を収束させる動作である。
【0067】
上記実施形態又は変形例では、タッチパネル35がX方向(走行方向)に配列されている例を挙げて説明したが、タッチパネル35は一枚であってもよいし、Y方向に配列されてもよい。また、タッチパネル35がY方向に配列される場合には、タッチパネル35とバンパープレート41とはX方向に配列されてもよい。
【0068】
上記実施形態又は変形例では、バンパープレート41を備える例を挙げて説明したが、バンパープレート41を備えないティーチングユニットとして構成してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…天井搬送車システム、3…ロードポート(移載部)、10…天井搬送車(搬送車)、16…コントローラ(制御部)、16a…記憶部、20…ティーチングユニット、29…ティーチング制御部、30…第一検知ユニット、31…支持部材、35…タッチパネル(位置検出部)、53…第一測距センサ(距離検出部)、55…第二測距センサ、57…バーコードリーダ(識別部)、60…ターゲットプレート、66…位置決めピン(位置決め部)、71…バーコード(識別子)、100…ティーチングシステム、103…ロードポート(移載部)、A…被搬送物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8