特許第6852753号(P6852753)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852753
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】エレベーター装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20210322BHJP
   B66B 7/00 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   B66B5/00 D
   B66B7/00 C
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-102756(P2019-102756)
(22)【出願日】2019年5月31日
(65)【公開番号】特開2020-196564(P2020-196564A)
(43)【公開日】2020年12月10日
【審査請求日】2020年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】杉山 義和
(72)【発明者】
【氏名】堀 武史
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−184757(JP,A)
【文献】 特開2010−132362(JP,A)
【文献】 特開2015−231890(JP,A)
【文献】 特開2013−245086(JP,A)
【文献】 特開2013−018618(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/189074(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00 − 5/28
B66B 7/00 − 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの昇降路に設けられ、つり合いおもりの移動を案内するガイドレールと、
前記昇降路のピットに設けられ、前記ガイドレール及び第1昇降路壁の間に配置された巻上機と、
前記ピットに設けられ、前記第1昇降路壁に対向する第2昇降路壁に隣接するように配置された制御装置と、
前記第2昇降路壁に設けられ、前記制御装置の下方に配置された受け金と、
作業足場と、
を備え、
前記つり合いおもりと前記巻上機とは、平面視において、前記第1昇降路壁と前記第2昇降路壁との間に形成された第3昇降路壁に沿うように並んで配置され、
前記作業足場は、
第1端部が前記受け金に着脱可能な足場板と、
前記足場板の第2端部に設けられた脚と、
を備え、
前記足場板は、前記第1端部が前記受け金に取り付けられると、前記ガイドレールと前記第1昇降路壁との距離より前記第2端部と前記第1昇降路壁との距離の方が短くなるように、前記第2昇降路壁から突出するように配置されるエレベーター装置。
【請求項2】
前記足場板は、前記第1端部が前記受け金に取り付けられると、前記巻上機の駆動綱車の回転軸と前記第1昇降路壁との距離より前記第2端部と前記第1昇降路壁との距離の方が短くなる請求項1に記載のエレベーター装置。
【請求項3】
前記足場板の幅は、前記制御装置の幅より小さい請求項1又は請求項2に記載のエレベーター装置。
【請求項4】
前記受け金は、
前記第2昇降路壁にアンカーボルトを介して固定された第1板部と、
前記第1板部から前記第1昇降路壁側に突出するように設けられ、上面にねじ孔が形成された第2板部と、
を備え、
前記足場板の第1端部に貫通孔が形成され、
前記足場板は、前記貫通孔を貫通したボルトが前記ねじ孔にねじ込まれることによって前記受け金に取り付けられる請求項1から請求項3の何れか一項に記載のエレベーター装置。
【請求項5】
前記つり合いおもりを前記昇降路に吊り下げる主ロープと、
前記主ロープによって前記昇降路に吊り下げられるかごと、
を更に備え、
前記かごは、第1乗場と前記第1乗場より上方の第2乗場にのみ停止し、
前記かごが前記第2乗場に停止した時の前記かごの下端は、前記かごが前記第1乗場に停止した時の前記かごの上端より下方に配置される請求項1から請求項4の何れか一項に記載のエレベーター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベーター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、昇降路に設置された機器を点検する際に使用される作業台が記載されている。特許文献1に記載された作業台は、制御盤の下方に収納される。エレベーターの保守員は、作業台を組み立てて作業台に上り、制御盤の点検を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−18618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エレベーター装置では、昇降路に種々の機器が設置される。特許文献1に記載されたエレベーター装置では、作業台を制御盤の点検のためにしか使用することができない。例えば、制御盤から離れた位置に他の機器が設置されている場合は、もう一つの作業台が必要になる。機器ごとに作業台を組み立てる必要があり、機器の点検に時間と手間とが掛かるといった問題があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされた。この発明の目的は、昇降路に設置された機器の点検を効率良く行うことができるエレベーター装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベーター装置は、エレベーターの昇降路に設けられ、つり合いおもりの移動を案内するガイドレールと、昇降路のピットに設けられ、ガイドレール及び第1昇降路壁の間に配置された巻上機と、ピットに設けられ、第1昇降路壁に対向する第2昇降路壁に隣接するように配置された制御装置と、第2昇降路壁に設けられ、制御装置の下方に配置された受け金と、作業足場と、を備える。つり合いおもりと巻上機とは、平面視において、第1昇降路壁と第2昇降路壁との間に形成された第3昇降路壁に沿うように並んで配置される。作業足場は、第1端部が受け金に着脱可能な足場板と、足場板の第2端部に設けられた脚と、を備える。足場板は、第1端部が受け金に取り付けられると、ガイドレールと第1昇降路壁との距離より第2端部と第1昇降路壁との距離の方が短くなるように、第2昇降路壁から突出するように配置される。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るエレベーター装置であれば、昇降路に設置された機器の点検を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1におけるエレベーター装置の例を示す図である。
図2図1のA−A断面を示す図である。
図3図2のB−B断面を示す図である。
図4】受け金の例を示す斜視図である。
図5図3のC−C断面を示す図である。
図6】実施の形態1におけるエレベーター装置の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付の図面を参照し、本発明を説明する。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるエレベーター装置の例を示す図である。図2は、図1のA−A断面を示す図である。図3は、図2のB−B断面を示す図である。
【0011】
エレベーター装置は、かご1及びつり合いおもり2を備える。かご1は、昇降路3を上下に移動する。かご1及びつり合いおもり2は、主ロープ4によって昇降路3に吊り下げられる。つり合いおもり2は、かご1が移動する方向とは反対の方向に昇降路3を移動する。
【0012】
かご1の移動は、一対のガイドレール5によって案内される。ガイドレール5は、昇降路3に鉛直に設けられる。平面視において、かご1は、ガイドレール5の間に配置される。ガイドレール5は、昇降路3のピット3aから昇降路3の頂部に亘って配置される。つり合いおもり2は、一対のガイドレール6によって案内される。ガイドレール6は、昇降路3に鉛直に設けられる。平面視において、つり合いおもり2は、ガイドレール6の間に配置される。ガイドレール6は、昇降路3のピット3aから昇降路3の頂部に亘って配置される。
【0013】
図2に示すように、昇降路3のピット3aは、昇降路壁7〜10に四方が囲まれる。エレベーターの乗場の出入口は、昇降路壁7に形成される。昇降路壁8は、乗場から見て奥側の壁である。昇降路壁8は、昇降路壁7に対向する。昇降路壁8は、昇降路壁9及び10の間に形成される。昇降路壁9は、乗場から見て左側の壁である。昇降路壁10は、乗場から見て右側の壁である。昇降路壁9及び10は、互いに対向する。
【0014】
主ロープ4は、巻上機11の駆動綱車12に巻き掛けられる。かご1及びつり合いおもり2は、駆動綱車12の回転に応じて移動する。即ち、かご1は、巻上機11によって駆動される。巻上機11は、昇降路3のピット3aに設けられる。巻上機11は、例えば支持装置13の上に固定される。巻上機11は、支持装置13に支持されることにより、ピット3aの底面から一定の高さに配置される。
【0015】
巻上機11及びガイドレール6は、ピット3aにおいて、昇降路壁8に隣接するように配置される。例えば、平面視において、巻上機11及びつり合いおもり2は、奥側の昇降路壁8に沿うように並んで配置される。巻上機11は、昇降路壁10にも隣接するように配置される。巻上機11は、乗場から見てガイドレール6の右側に配置される。ガイドレール6の一方は、昇降路壁9にも隣接する。巻上機11は、ガイドレール6と昇降路壁10との間に配置される。つり合いおもり2は、平面視において、巻上機11と昇降路壁9との間に配置される。
【0016】
巻上機11は、制御装置14によって制御される。即ち、制御装置14は、かご1の移動を制御する。制御装置14は、昇降路3のピット3aに設けられる。例えば、昇降路壁9に近い一方のガイドレール5と一方のガイドレール6との間に支持装置(図示せず)が設けられる。制御装置14は、この支持装置に支持される。制御装置14は、支持装置に支持されることにより、ピット3aの底面から一定の高さに配置される。制御装置14は、昇降路壁9に隣接するように配置される。例えば、平面視において、制御装置14は、かご1と昇降路壁9との間に配置される。
【0017】
本実施の形態に示す例では、昇降路3のピット3aに、巻上機11と制御装置14とが設けられる。エレベーターの保守員は、昇降路3のピット3aにおいて、巻上機11及び制御装置14の点検を行う。このため、本実施の形態に示す例では、昇降路3のピット3aに、保守員が点検時に使用するための作業足場15が備えられる。
【0018】
作業足場15は、保守員が使用する際に保守員によって取り付けられる。保守員は、点検が終了すると、作業足場15を取り外してピット3aに収納する。作業足場15は、例えば足場板16と脚17とを備える。また、作業足場15を取り付けるための受け金18が昇降路壁9に設けられる。
【0019】
図4は、受け金18の例を示す斜視図である。受け金18は、作業足場15を支持するための部材である。受け金18は、昇降路壁9に設けられる。受け金18は、制御装置14の下方に配置される。図4に示す例では、受け金18は、全体としてL字形状である。受け金18は、例えば板部19、及び板部20を備える。
【0020】
板部19は、昇降路壁9に沿うように配置される。例えば、昇降路壁9にアンカーボルト21が設けられる。アンカーボルト21は、制御装置14の下方に配置される。板部19は、アンカーボルト21を介して昇降路壁9に固定される。板部20は、板部19の下端部から昇降路壁10側に突出するように設けられる。板部20の上面にねじ孔20aが形成される。
【0021】
作業足場15の足場板16は、一方の端部16aが受け金18に着脱可能である。図5は、図3のC−C断面を示す図である。図5は、足場板16の端部16aが受け金18に取り付けられた例を示す。例えば、足場板16の端部16aに貫通孔16cが形成される。足場板16は、端部16aが受け金18の板部20に載せられた状態で貫通孔16cを貫通したボルト22がねじ孔20aにねじ込まれることにより、受け金18に取り付けられる。ボルト22を緩めることにより、足場板16を受け金18から外すことができる。
【0022】
脚17は、足場板16のもう一方の端部16bに設けられる。脚17は、足場板16に対して折り畳み可能である。足場板16の端部16aは、受け金18に支持される。足場板16の端部16bは、脚17に支持される。脚17は、図2に示すように梯子状であることが好ましい。保守員は、脚17から足場板16の上に移動することができる。
【0023】
足場板16は、端部16aが受け金18に取り付けられると、図2に示すように昇降路壁9から突出するように配置される。足場板16の端部16bは、ガイドレール6より昇降路壁10に近い位置に配置される。即ち、足場板16の端部16aが受け金18に取り付けられると、ガイドレール6と昇降路壁10との距離より、足場板16の端部16bと昇降路壁10との距離の方が短くなる。
【0024】
本実施の形態に示す例であれば、エレベーターの保守員は、ピット3aにおいて、作業足場15の足場板16の上で制御装置14の点検を行うことができる。また、保守員は、足場板16の上を移動するだけで、巻上機11にアクセスできる。例えば、保守員は、足場板16の上から巻上機11の上部の蓋23を外すことによって、駆動綱車12に形成された溝の摩耗状態を点検する。保守員は、足場板16の上から正面カバー24を外すことによって、内部のブレーキ装置25及びエンコーダ26を点検する。
【0025】
巻上機11の点検を更に行い易くするため、足場板16は、端部16bが駆動綱車12の回転軸27より昇降路壁10に近い位置に配置されても良い。即ち、足場板16の端部16aが受け金18に取り付けられると、駆動綱車12の回転軸27と昇降路壁10との距離より、足場板16の端部16bと昇降路壁10との距離の方が短くなる。この例であれば、保守員は、足場板16の上で巻上機11の正面に立って巻上機11の点検を行うことができる。なお、駆動綱車12の回転軸27は、昇降路壁8に対して垂直に配置される。
【0026】
足場板16は、複数の板部材を備えることによって伸縮自在であっても良い。例えば、足場板16は、端部16aが受け金18に取り付けられた後に手動で伸長されることにより、端部16bが駆動綱車12の回転軸27より昇降路壁10に近い位置に配置されても良い。
【0027】
保守員は、足場板16の上での点検が終了すると、ボルト22を緩めて足場板16を受け金18から外す。また、保守員は、脚17を折り畳んで作業足場15を昇降路3のピット3aに収納する。作業足場15の取り付け及び取り外しは狭いピット3aで行われるため、作業足場15は軽量であることが好ましい。作業足場15を軽量化するため、足場板16の幅を小さくしても良い。例えば、足場板16の幅w1は、制御装置14の幅w2より小さくても良い。制御装置14の点検は、基本的に制御装置14の正面から行われる。このため、足場板16の幅w1が制御装置14の幅w2より小さくても、点検時の作業性が極端に悪化することはない。この例によれば、足場板16の長さとして巻上機11及び制御装置14の双方の点検に必要な長さを確保した上で、作業足場15の重量を抑えることができる。
【0028】
他の例として、受け金18の板部19に所謂ダルマ孔が形成されても良い。板部19にダルマ孔が形成されていれば、アンカーボルト21を使用した受け金18の固定を容易に行うことができる。また、受け金18の板部19に、受け金18の設置高さを調整可能にするための複数の貫通孔或いは複数のダルマ孔が形成されても良い。かかる場合、作業足場15の脚17は伸縮可能に構成される。
【0029】
本実施の形態では、保守員が足場板16の上で巻上機11と制御装置14の点検を行う例について説明した。これは一例である。図2に示すように、昇降路壁9から昇降路壁10側に延びる足場板16は、平面視においてつり合いおもり2の前を通過するように配置される。このため、保守員は、足場板16の上からつり合いおもり2の点検を行っても良い。
【0030】
図6は、実施の形態1におけるエレベーター装置の他の例を示す図である。図6は、かご1が乗場28と乗場28より上方の乗場29とにしか停止しない例を示す。図6に示されていない構成に関しては、上述した何れかの例と同様である。図6は、かご1に2つの出入口が形成される例を示す。かご1が乗場28に停止すると、かご1に備えられた一方のドア1aが開閉する。かご1が乗場29に停止すると、かご1に備えられたもう一方のドア1bが開閉する。例えば、ドア1bは、ドア1aに対向する位置に配置される。
【0031】
図6に示す例では、かご1が上方の乗場29に停止した時のかご1の下端が、かご1が乗場28に停止した時のかご1の上端より下方に配置される。例えば、かご1が乗場28に停止した時のドア1bの上端は、乗場29に備えられたドア29aの下端より上方に配置される。
【0032】
一般に、つり合いおもり2の点検は、保守員がかご1を手動で動かす点検モードにおいて、かご1の上から行われる。点検モードでは、かご1の上にいる人の安全及びピット3aにいる人の安全を確保するため、かご1の可動範囲が狭い範囲に制限される。このため、図6に示すようなかご1の昇降行程が短いエレベーター装置では、点検モードにおいて、つり合いおもり2の点検位置に合わせてかご1を停止させることができない場合がある。即ち、図6に示す例では、つり合いおもり2の点検をかご1の上から行うことが難しい。したがって、このようなエレベーター装置に作業足場15が備えられていれば、足場板16の上からつり合いおもり2の点検を行うことができる。これにより、昇降路3に設置された機器の点検を更に効率良く行うことができる。
【符号の説明】
【0033】
1 かご、 1a ドア、 1b ドア、 2 つり合いおもり、 3 昇降路、 3a ピット、 4 主ロープ、 5 ガイドレール、 6 ガイドレール、 7〜10 昇降路壁、 11 巻上機、 12 駆動綱車、 13 支持装置、 14 制御装置、 15 作業足場、 16 足場板、 16a 端部、 16b 端部、 16c 貫通孔、 17 脚、 18 受け金、 19 板部、 20 板部、 20a ねじ孔、 21 アンカーボルト、 22 ボルト、 23 蓋、 24 正面カバー、 25 ブレーキ装置、 26 エンコーダ、 27 回転軸、 28 乗場、 29 乗場、 29a ドア
図1
図2
図3
図4
図5
図6