(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852756
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ(HUD)ミラーアセンブリおよびハウジング
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20210322BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-115604(P2019-115604)
(22)【出願日】2019年6月21日
(65)【公開番号】特開2020-8848(P2020-8848A)
(43)【公開日】2020年1月16日
【審査請求日】2019年6月21日
(31)【優先権主張番号】16/032,749
(32)【優先日】2018年7月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500164385
【氏名又は名称】デンソー インターナショナル アメリカ インコーポレーテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン オースティン
(72)【発明者】
【氏名】松井 佑允
【審査官】
山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−131651(JP,A)
【文献】
特開2017−144847(JP,A)
【文献】
特開2017−116670(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0371158(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第107817604(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/00,26/08,26/10,27/01
B60K 35/00
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面および後面を有し、長手方向軸に沿って延びるミラー、
ミラーの前面が露出するようにミラーを収容すべく、互いに接続された周辺フレーム部および後本体部と、周辺フレーム部から離れるように延び、かつ長手方向軸に沿って延びる第1および第2ペグと、を有するハウジング、
第1および第2スロットをそれぞれ含む第1および第2取付部と、それらの間に延びる支持アームと、を有するブラケット、
後本体部および支持アームに取り付けられた引張ばね、および、
第2ペグからハウジングに向かって長手方向軸に沿ってハウジングに保持力を及ぼす捻りばね、を備え、
第1ペグは、その先端側の側面の一部に、第1ペグの表面を削いだ形状のペグスロットが形成されており、当該ペグスロットは、第1スロットの一方の側面と位置合わせされて、第1ペグを第1スロットの底部まで移動させるために使用されるものであり、ペグスロットと反対側の第1ペグの表面は、第1スロットの底部において、および、第1ペグが長手軸方向に沿って移動するとき、支持面として、第1スロットの他方の側面に着座した状態を維持する、ヘッドアップディスプレイ(HUD)ミラーアセンブリ。
【請求項2】
支持面は弓形の輪郭を有する請求項1のHUDミラーアセンブリ。
【請求項3】
支持面は一定の輪郭を有する請求項1のHUDミラーアセンブリ。
【請求項4】
第1スロットが長軸および短軸を有し、引張ばねが長軸に対して垂直および平行な方向に、かつ第1取付部に沿って保持力を及ぼす請求項1のHUDミラーアセンブリ。
【請求項5】
長手方向軸に沿って延びる周辺フレーム部、
ミラーの反射面が露出するようにミラーを収容すべく、周辺フレーム部に接続される後本体部、および、
周辺フレーム部から離れるように延び、かつ長手方向軸に沿って延びる第1および第2ペグ、を備え、
第1ペグは、その先端側の側面の一部に、第1ペグの表面を削いだ形状のペグスロットが形成されており、当該ペグスロットは、第1スロットの一方の側面と位置合わせされて、第1ペグを第1スロットの底部まで移動させるために使用されるものであり、ペグスロットと反対側の第1ペグの表面は、第1スロットの底部において、および、第1ペグが長手軸方向に沿って移動するとき、支持面として、第1スロットの他方の側面に着座した状態を維持する、ヘッドアップディスプレイ(HUD)ミラーハウジング。
【請求項6】
支持面は弓形の輪郭を有する請求項5のHUDミラーハウジング。
【請求項7】
第2ペグは、HUDミラーハウジングが組み立て形態にあるとき、第2ブラケット取付スロットにて支持されるように構成された第2支持面を有する請求項5に記載のHUDミラーハウジング。
【請求項8】
第1および第2ペグが、後本体部と一体的に形成される請求項5のHUDミラーハウジング。
【請求項9】
第1ペグは、エンドキャップで終端する請求項5のHUDミラーハウジング。
【請求項10】
第1ペグのスロットは、平坦部分を有する底面を含む請求項5のHUDミラーハウジング。
【請求項11】
長手方向軸に沿って延びる前面および後面を有するミラー、ミラーの前面が露出するようにミラーを収容すべく互いに接続される周辺フレーム部と後本体部と、周辺フレーム部から離れる方向に延び、かつ長手方向軸に沿って延びる第1および第2ペグとを有するハウジング、および、第1および第2スロットをそれぞれ含む第1および第2取付部と、それらの間に延びる支持アームとを有するブラケット、を含み、第1スロットは、長軸および短軸を有する、ヘッドアップディスプレイ(HUD)ミラーアセンブリを組み立てる方法であって、
第1ペグが第1スロットの下面に着座するように、ハウジングを長軸に沿って垂直方向下方へ移動させること、および、
第1ペグの支持面が第1スロットの後面に着座するように、長手方向軸に沿う、ブラケットから離れる横方向にハウジングを移動させること、を含む方法。
【請求項12】
引っ張りばねが、長軸と垂直な方向に、第1取付部に沿って、第1ペグに保持力を及ぼすように、引っ張りばねを後本体部と支持アームとに取り付けることをさらに備える請求項11の方法。
【請求項13】
長手方向軸に沿ってハウジングに保持力を及ぼし、第2ペグからハウジングに向かって長手方向軸周りのモーメントを及ぼすために、捻りばねを使用することをさらに備える請求項11の方法。
【請求項14】
第1ペグは、支持面と反対側にスロットを含む請求項11の方法。
【請求項15】
第1移動ステップの間、第1ペグのスロットが、第1取付部の第1スロットの後面に乗る請求項14の方法。
【請求項16】
第1ペグのスロットは、平坦部分を有する底面を含む請求項14の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用ヘッドアップディスプレイ(HUD)ミラーアセンブリに関し、より具体的には、凹面鏡を含むHUDミラーアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドアップディスプレイ(HUD)装置は、車両の乗員によって視覚的に認識可能な虚像を表示するために車両内で使用することができる。虚像は、HUD装置の一部である凹面鏡から投影することができる。凹面鏡は、自動車のインストルメントパネルの背後に据え付けられるアセンブリの一部とすることができる。凹面鏡アセンブリ内での凹面鏡の位置合わせは、HUD装置の適切な動作を維持するために重要である。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態において、ヘッドアップディスプレイ(HUD)ミラーアセンブリが開示される。HUDミラーアセンブリは、前面および後面を有し、かつ長手方向軸に沿って延びるミラーを含む。HUDミラーアセンブリはまた、ミラーの前面が露出するようにミラーを収容すべく、に互いに接続される周辺フレーム部と後本体部とを有するハウジングを含む。第1および第2ペグが、周辺フレーム部から離れる方向に延び、および長手方向軸に沿って延びる。HUDミラーアセンブリはさらに、それぞれ第1および第2スロットを含む第1および第2取付部と、それらの間に延びる支持アームとを有するブラケットを含む。HUDミラーアセンブリはまた、引張りばねと捻りばねを含む。引張りばねは、後本体部および支持アームに取り付けられている。捻りばねは、第2ペグからハウジングに向かって、長手方向軸に沿ってハウジングに保持力を及ぼす。第1ペグは、ミラーアセンブリが第1および第2組み立て形態にあるときに、第1ペグの支持面で、第1スロット上に支持される。
【0004】
別の実施形態では、ヘッドアップディスプレイ(HUD)ミラーハウジングが開示される。HUDミラーハウジングは、長手方向軸に沿って延びる周縁フレーム部と、ミラーの反射面が露出するようにミラーを収容すべく、互いに接続される周縁フレーム部に接続される後本体部と、周辺フレーム部から離れる方向に延び、かつ長手方向軸に沿って延びる第1および第2ペグと、を含む。この実施形態では、第1ペグは、HUDミラーハウジングが組み立てられた形態にあるときに、第1ブラケット取付スロットで支持されるように構成された第1支持面を有する。
【0005】
さらに別の実施形態において、ヘッドアップディスプレイ(HUD)ミラーアセンブリを組み立てる方法が開示される。HUDミラーアセンブリは、長手方向軸に沿って延びる前面および後面を有するミラー、ミラーの前面が露出するようにミラーを収容すべく互いに接続される周辺フレーム部と後本体部と、周辺フレーム部から離れる方向に延び、かつ長手方向軸に沿って延びる第1および第2ペグとを有するハウジング、および、第1および第2スロットをそれぞれ含む第1および第2取付部と、それらの間に延びる支持アームとを有するブラケットと、を含み、第1スロットは、長軸および短軸を有する。方法は、第1ペグが第1スロットの下面に着座するようにハウジングを長軸に沿って垂直方向下方へ移動させること、および、第1ペグの支持面が第1スロットの後面に着座するように長手方向軸に沿う、ブラケットから離れる横方向にハウジングを移動させること、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、一実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置の概略図を示す。
【
図2】
図2は、一実施形態によるミラーアセンブリの背面図を示す。
【
図3】
図3は、一実施形態による意図された組み立て形態におけるミラーアセンブリの第1サイドペグおよびスロットの断片的な上面図を示す。
【
図4】
図4は、
図3に示される意図された組み立て形態におけるミラーアセンブリの第1サイドペグおよびスロットの部分的な断面図を示す。
【
図5】
図5は、一実施形態による意図しない組み立て形態におけるミラーアセンブリの第1サイドペグおよびスロットの断片的な上面図を示す。
【
図6】
図6は、
図5に示される意図しない組み立て形態におけるミラーアセンブリの第1サイドペグおよびスロットの部分的な断面図を示す。
【
図7】
図7は、
図3に示される意図された組み立て形態における第1サイドペグおよびスロットの斜視側面図を示す。
【
図8】
図8は、一実施形態による第1組み立て形態におけるミラーアセンブリの第1サイドペグおよびスロットの断片的な上面図を示す。
【
図9】
図9は、
図8に示されるような第1組み立て形態におけるミラーアセンブリの第1サイドペグおよびスロットの部分的な断面図を示す。
【
図10】
図10は、一実施形態による第2組み立て形態におけるミラーアセンブリの第1サイドペグおよびスロットの断片的な上面図を示す。
【
図11】
図11は、
図10に示されるような第2組み立て形態におけるミラーアセンブリの第1サイドペグおよびスロットの部分的な断面図を示す。
【
図12】
図12は、
図8に示される第1組み立て形態における第1サイドペグおよびスロットの斜視側面図を示す。
【
図13a】
図13aは、一実施形態による第1組み立てステップ中のミラーアセンブリの斜視側面図を示す。
【
図13c】
図13cは、意図された最終的な組み立て形態における
図13aのミラーアセンブリの斜視側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
適宜、本発明の詳細な実施形態が本明細書に開示される。しかしながら、開示された実施形態は本発明の単なる例示であり、それは種々の、および代替の形態で具体化され得ることが理解されるべきである。図は必ずしも正確な縮尺率ではない。いくつかの特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために、誇張されまたは最小化されるかもしれない。従って、本明細書に開示される特定の構造上および機能上の詳細は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に、本発明を様々に使用することを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0008】
図1は、一実施形態によるヘッドアップディスプレイ(HUD)装置10の概略図を示す。HUD装置10は、車両14のインストルメントパネル12内に配置される。HUD装置10は、車両14のフロントガラス16に画像を投影する。フロントガラス16は、車両乗員20によって視認可能な虚像18として画像を投影するように構成されている。虚像18は、車両乗員20によって認識可能な様々な情報を含み得る。そのような情報の非限定的な例には、例えば、車速、燃費、燃料残量、走行可能距離、および1ガロン当たりの平均マイル数などの車両状態情報、ならびに、例えば、外気温、室内温度、天気情報、道路状況情報、およびナビゲーション情報などの車両環境情報が含まれる。
【0009】
HUD装置10は、本明細書に開示されるように、HUD装置10の機能性をサポートするために、メモリ23に格納された命令、コマンド、および他のルーチンを実行するように構成されたコントローラ22を含む。コントローラ22によって実行される命令、コマンド、および他のルーチンは、任意の非一時的媒体を含む、任意の適切なプロセッサ可読媒体または記憶装置を使用して、不揮発的にメモリ23に格納されてもよい。1つまたは複数の実施形態において、コントローラ22は、フロントガラス16に対するHUD装置10のミラー24の角度または向きを変えるための命令を実行するように構成される。1つまたは複数の実施形態において、コントローラ22は、表示機器26に信号を送信するための命令を実行するように構成される。表示機器26は、レーザスキャナであり得る。表示機器の他の非限定的な例は、薄膜トランジスタ(TFT)またはデジタル光処理(DLP)技術を使用する表示機器を含む。
図1に示すように、表示機器26の一例としてのレーザスキャナは、信号をスクリーン28上に投影される画像に変換するように構成される。スクリーン28は、表示機器26から受け取った画像をミラー24に投影するように構成される。ミラー24は、スクリーン28から受け取った画像を媒体32を介して、フロントガラス16に投影するように構成されており、フロントガラス16は、今度は虚像18を生成する。媒体32は、インストルメントパネル12に形成された開口部でもよいし、インストルメントパネル12の開口部内に取り付けられた透明窓でもよい。
【0010】
HUD装置10の組み立ての間に、ミラー24はハウジング30内に取り付けられる。ミラー24とハウジング30の一体型ユニットは、ブラケット33に取り付けられる。ミラー24、ハウジング30、およびブラケット33をまとめてミラーアセンブリ34と呼ぶことがある。ミラーアセンブリ34は、コントローラ22から受信した信号に基づいて、フロントガラス16に対するミラー24の角度または向きを変えるように構成された駆動ユニット36をさらに含むことができる。
【0011】
図2は、一実施形態によるミラーアセンブリ100の背面図を示す。ミラーアセンブリ100は、ミラー102、ハウジング104、駆動ユニット106、およびブラケット108を含む。1つまたは複数の実施形態において、ミラー102は凹面鏡である。ミラー102は、前面と、反対側の後面とを含む。
図2には示されていないが、それらはハウジング104によって覆い隠されているので、前面はページに面し、後面はページの外側に面し、ハウジング104に面する。前面は、スクリーン28からミラー102に投影された画像をフロントガラス16に反射するための反射材料を含む。
【0012】
ハウジング104はミラー102を収容するように構成されている。ハウジング104は、ミラー102を収容し支持するのに必要な強度を有する成形ポリマー材料で製造することができる。ハウジング104は、周辺フレーム部110、後本体部112、第1サイドペグ114、第2サイドペグ116、および取付部118を含む。ハウジング104の周辺フレーム部110は、少なくとも部分的にミラー102の周辺縁部120を覆う。ハウジング104の後本体部112は、少なくとも部分的にミラー102の後面を覆う。いくつかの留め金、例えば留め金122が、ハウジング104の周辺フレーム部110に形成されている。いくつかの止め具、例えば止め具124が、ハウジング104の後本体部112に形成されている。他の実施形態では、いくつかの留め金が後本体部112に形成されてもよく、いくつかの止め具が周辺フレーム部110に形成されてもよい。対応する留め金および留め具は互いに噛み合って、周辺フレーム部110と後本体部を取り付け、その中にミラー102を保持する。第1サイドペグ114は、後本体部112の第1側壁126から外向きかつ一体的に突出している。第2サイドペグ116は、後本体部112の第2側壁128から外向きかつ一体的に突出している。取付部118は、後本体部の第2側壁128から延びている。
【0013】
ブラケット108は、第1取付部130、第2取付部132、第3取付部134、第1取付部130と第2取付部132との間に延びる第1支持アーム136、および第2取付部132と第3取付部134との間に延びる第2支持アーム138を含む。ブラケット108は、ハウジング104を支持するのに必要な強度を有する打ち抜き金属合金で製造することができる。第1取付部130は、第1垂直部140と第1水平部142とを含む。第1水平部142は、ブラケット108をインストルメントパネル12内の取付面に取り付けるためのいくつかの開口部(図示せず)を含む。1つまたは複数の実施形態では、第1水平部142は、車両14の前進面と少なくとも実質的に平行となるように取り付けられるが、他の実施形態では、取付角度は車両14の前進面と実質的に平行ではない。第2取付部132は、第2垂直部144と第2水平部146とを含む。第2水平部146は、ブラケット108をインストルメントパネル12内の取付面に取り付けるためのいくつかの開口部(図示せず)を含む。1つまたは複数の実施形態では、第2水平部146は、車両14の前進面と少なくとも実質的に平行となるように取り付けられるが、他の実施形態では、取付角度は車両14の前進面と実質的に平行ではない。第2垂直部144は、駆動ユニット106を取付ブラケット108に取り付けるように構成されている。第3取付部134は、第3垂直部148を含む。
【0014】
駆動ユニット106は、ラック150の歯と噛み合うピニオンを駆動するためのモータを含む。ピニオンの回転運動は、ラック150をピニオンに対して弧状の経路で動かす。ラック150は駆動ユニット106のペグ152に接続されている。ペグ152は、ハウジング104の第2サイドペグ116と連通している。ペグ152とラック150とが接続され、ペグ152がハウジング104の第2サイドペグ116と連通し、ハウジング104とミラー102とが接続されるので、弧状経路に沿ったラック150の移動は第2サイドペグ116の回転移動を引き起こし、それは、ミラー102に、ブラケット108の第1水平部142および第2水平部146に対する配向角度を変化させる。モータは、第1または第2回転方向のいずれかにピニオンを駆動するようにモータに指示するためにコントローラ22によって送信された信号を受信するように構成される。ピニオンおよびラック150は、ピニオンの回転運動がラック150に適切に移されるように互いに噛み合うようになっている。ピニオンとラック150とが、ミラーアセンブリ100の動作中に適切に噛み合わされていない場合、この回転運動は適切に移されない可能性がある。
【0015】
第1取付部130の第1垂直部140は、ミラーアセンブリ100の第1サイドペグ114を受け入れるように構成された第1スロットを含む。本明細書でさらに説明され図に示されるように、組み立てられた状態において、第1サイドペグ114が第1スロット内に受け入れられる。第2取付部132の第2垂直部144は、第2サイドペグ116を受け入れるように構成された第2スロットを含む。第3取付部134の第3垂直部148は、駆動ユニット106のペグ152を受け入れるための第3スロットを含む。ペグ152に対向するラック150の表面は、ハウジング104の取付部118に当接する。取付部118は、第2サイドペグと連通するように、このラック表面から延びる部分を受け入れるための開口部も含む。この組み立てられた形態では、駆動ユニット106およびハウジング104(ミラー102を含む)は、これらのペグが駆動ユニット106によって駆動されたとき、第1および第2サイドペグ114、116および駆動ユニットペグ152の回転運動を通して、ブラケット108に対して一緒に動く。
【0016】
1つまたは複数の実施形態において、引張ばね154および捻りばね156は、組み立てられた形態にあるときに、ミラーアセンブリ100を機能状態に維持するように構成される。引張ばね154は、第1および第2フック端部とそれらの間に延在するコイルとを含む。後本体部112は、ミラーアセンブリ100が組み立てられた形態にあるときに、引張ばね154の第1フック端部を受け入れるように構成されたノッチ158を含む。ブラケット108の第1支持アーム136は、ミラーアセンブリ100が組み立てられた形態にあるときに、引張ばね154の第2フック端部を受け入れるように構成された開口を含むタブ160を含む。組み立てられた形態では、引張ばね154は、矢印162で示すように、そして以下により詳細に説明するように、引張ばね154の長手方向軸に沿って力を働かせる。この力は、この力と少なくとも部分的に対向する方向へのミラー102の意図しない移動を妨げるように構成される。
【0017】
捻りばね156は、第1および第2直線状端部とそれらの間に延びるコイルとを含む。組み立てられた形態では、駆動ユニット106のペグ152が、捻りばね156のコイル内に着座している。捻りばねの第1直線状端部は、ブラケット108の第3取付部134の第3垂直部148に形成された開口内に収容されている。組み立てられた形態では、捻りばね156は、ハウジング104の取付部118とブラケット108の第3取付部134の第3垂直部148との間に配置されている。以下により詳細に説明するように、捻りばね156は、ミラーアセンブリ100に対するねじり力および線形力の影響を制限することによって、つまり、ハウジング104に作用する外力に対して、長手方向軸回りのモーメント及び長手軸方向に沿う保持力をハウジング104に及ぼすことによって、第1サイドペグ114を含むハウジング104をブラケット108に対して適切な横方向の定位置に維持するように構成される。
【0018】
図3〜
図7は、一実施形態によるミラーアセンブリ200を示す。これらの図は、ミラーアセンブリ200が組み立てられた形態にあるときの第1サイドペグ202とスロット204との間の相互作用を示す。
図3は、意図された、組み立てられた形態における、第1サイドペグ202およびスロット204の断片的な上面図を示す。
図4は、意図された、組み立てられた形態における、第1サイドペグ202およびスロット204の部分的な断面図を示す。
図5は、意図しない、組み立てられた形態における、第1サイドペグ202およびスロット204の断片的な上面図を示す。
図6は、意図しない、組み立てられた形態における、第1サイドペグ202およびスロット204の部分的な断面図を示す。
図7は、意図された、組み立てられた形態における、第1サイドペグ202およびスロット204の斜視側面図を示す。
【0019】
図3、
図4、および
図7に示されるように、第1サイドペグ202は、意図された組み立て形態においてスロット204内に着座する。スロット204は、第1および第2上側部210および212にそれぞれ接続する、対向する第1および第2上部面取部206および208を含む。スロット204の弧状下部214の端部は、上側部210および212で終端している。面取部206および208、ならびに側部210および212は、ミラーアセンブリ200を組み立てる工程中に、弧状下部214に向かう下方への垂直経路に沿って第1サイドペグ202を案内するように構成される。弧状下部214は、矩形セグメント220によって連結される第1および第2円形セグメント216、218を含む。
【0020】
第1サイドペグ202は、エンドキャップ222、基部224、およびエンドキャップ222と基部224との間に延在する摺割り部226を含む。エンドキャップ222は円形であり得る。基部224もまた円形であり得る。図に示されるように、摺割り部226は、それぞれエンドキャップ222の一部、基部224、および摺割り部226によって境界が定められる第1および第2スロット228、230を含む。各スロット228、230の下面は平面であってもよい。他の実施形態では、各スロット228、230の下面は弓形であってもよい。
【0021】
図3、
図4、および
図7に示されるように、意図された組み立て形態において、第1サイドペグ202の支持面232はスロット204に載せられている。意図しない組み立て形態においては、
図2の矢印164で示すように、高い横方向衝撃力(例えば、8G以上であるが、この閾値は設計によって異なることがある)により、ミラーアセンブリ200が横方向に移動して、支持面232を脱落させる。この状態において、
図2の矢印162で示すように、引張ばね154の力は、ミラーアセンブリ200が意図された組み立て位置に戻ることを妨げるかもしれない。
図7の矢印234は、第1支持アーム236の外面に対してx方向(すなわち、スロット204の長軸に対して垂直な方向)に作用している引張りばね力の成分を示している。この図には示されていないが、y方向(すなわち、スロット204の長軸に平行な方向)の力成分もある。意図しない組み立て形態では、駆動ユニット106のピニオンとラック150が適切に噛み合っておらず、ミラー102の動作に故障を引き起こす可能性がある。意図しない組み立て形態が、
図5と
図6に示されている。第1サイドペグ202が、支持面232でスロット204に載っている代わりに、第1サイドペグ202は、第1スロット228でスロット204に載っている。
【0022】
別の実施形態は、スロット204とは異なる輪郭を有するスロット300と、第1サイドペグ202とは異なる構造を有する第1サイドペグ302とを有する。これらの違いにより、上記の意図しない組み立て形態を回避することができる。
図8〜
図12は、この他の実施形態によるミラーアセンブリ304を示す。これらの図は、ミラーアセンブリ304が組み立てられた形態にあるときの第1サイドペグ302とスロット300との間の相互作用を示す。
図8は、第1組み立て形態における第1サイドペグ302とスロット300の断片的な上面図を示す。
図9は、第1組み立て形態における第1サイドペグ302とスロット300の部分的な断面図を示す。
図10は、左右方向の衝撃力によって引き起こされる第2組み立て形態における第1サイドペグ302とスロット300の断片的な上面図を示す。
図11は、第2組み立て形態における第1サイドペグ302とスロット300の部分的な断面図を示す。
図12は、第1組み立て形態における第1サイドペグ302とスロット300の斜視側面図を示す。
【0023】
図8〜
図12に示すように、第1サイドペグ302は、ペグスロット306と、対向する支持面308と、基部310と、エンドキャップ312とを含む。エンドキャップ312は円形であり得る。基部310も円形であってもよい。図に示されるように、ペグスロット306は、エンドキャップ312と基部310とによって境界が定められる。ペグスロット306の下面は平面であってもよい。他の実施形態では、ペグスロット306の下面は弓形であってもよい。
図8〜
図12に示すように、スロット300は、前側部318および後側部320にそれぞれ接続する前上部面取部314及び後上部面取部316を含む。スロット300は、底部324および下部面取部326を介して後側部320に接続される、前弧状部322も含む。
【0024】
図8、
図9、および
図12の第1組み立て形態に示されるように、第1サイドペグ302は、支持面308でスロット300の後側部320に載っている。示されるように、支持面308は円形であるが、他の弓形の外形を有することができる。
図2の矢印164によって示されるように、高い横方向衝撃力(例えば、8G以上であるが、この閾値は設計によって異なることがある)は、ミラーアセンブリ304を横方向にシフトさせる。この状態、すなわち、
図10および
図11に示すような第2組み立て形態において、第1サイドペグ302が、支持面308でスロット300の後側部320上に着座し続ける。大きな横方向の衝撃が終了した後、ミラーアセンブリ304は自由に第1組み立て形態に戻ることができる。しかしながら、いずれの組み立て形態においても、
図2の矢印162で示されるように、引張ばね154の力が、ミラーアセンブリ304が意図された組み立て位置に戻るのを妨げないように、支持面308とスロット300との間の接触が維持される。従って、意図しない組み立て位置は、横方向の力および引張ばねの力のため、1つまたは複数の実施形態では経験されない。
【0025】
図13aから
図13cは、1つまたは複数の実施形態による組み立て工程中のミラーアセンブリ400の側面斜視図を示す。
図13aに示されるように、第1組み立てステップにおいて、ミラーハウジング402(HUDミラーを収容する)は、ブラケット406に対して、矢印404によって示されるように、垂直方向下方へ移動される。第1組み立てステップの間、ミラーハウジング402のサイドペグ408は、スロット412の下面410に着座するようになる。
図13bに示されるように、第2組み立てステップにおいて、ミラーハウジングは、矢印414によって示されるように、ブラケット406に対して横方向に移動される。
図13cに示すように、第2組み立てステップの間に、ミラーハウジング402のサイドペグ408の支持面416は、スロット412の後面418に着座するようになる。これは、意図された最終の組み立て形態である。1つまたは複数の実施形態では、この2軸(すなわち、下方への垂直方向の軸と横方向の軸)組立方法は、組立工程の完了後のミラーハウジング402の垂直方向および前後方向の移動を防止する。
【0026】
なお、以上の説明は、第1サイドペグとスロットとの関係についてのものであるが、第2サイドペグとスロットとの関係も、第1サイドペグとスロットとの関係と同様に構成されてもよい。
【0027】
例示的な実施形態が上述されているが、これらの実施形態は本発明の全ての可能な形態を説明することを意図するものではない。むしろ、本明細書で使用されている言葉は、限定ではなく説明の言葉であり、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく様々な変更がなされてもよいことが理解される。さらに、様々な実施形態の特徴を組み合わせて本発明のさらなる実施形態を形成することができる。
【符号の説明】
【0028】
10:HUD装置、12:インストルメントパネル、14:車両、16:フロントガラス、18:虚像、20:車両乗員、22:コントローラ、23:メモリ、24:ミラー、26:表示機器、28:スクリーン、30:ハウジング、32:媒体、33:ブラケット、34:ミラーアセンブリ、36:駆動ユニット、100:ミラーアセンブリ、102:ミラー、104:ハウジング、106:駆動ユニット、108:ブラケット、110:周辺フレーム部、112:後本体部、114:第1サイドペグ、116:第2サイドペグ、118:取付部、120:周辺縁部、122:留め金、124:止め具、126:第1側壁、128:第2側壁、130:第1取付部、132:第2取付部、134:第3取付部、136:第1支持アーム、138:第2支持アーム、140:第1垂直部、142:第1水平部、144:第2垂直部、146:第2水平部、148:第3垂直部、150:ラック、152:駆動ユニットペグ、154:引張ばね、156:捻りばね