(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852778
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】負荷駆動回路
(51)【国際特許分類】
H03K 17/06 20060101AFI20210322BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
H03K17/06 063
H03K17/687 A
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-216310(P2019-216310)
(22)【出願日】2019年11月29日
(62)【分割の表示】特願2015-141315(P2015-141315)の分割
【原出願日】2015年7月15日
(65)【公開番号】特開2020-31449(P2020-31449A)
(43)【公開日】2020年2月27日
【審査請求日】2019年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】特許業務法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】簑谷 由成
【審査官】
竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−100895(JP,A)
【文献】
特開2015−056781(JP,A)
【文献】
特開2007−228180(JP,A)
【文献】
特開2002−009602(JP,A)
【文献】
特開2005−027380(JP,A)
【文献】
特開2007−295184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/00−17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷のハイサイドにて前記負荷をオン・オフ駆動する負荷駆動回路において、
電源と前記負荷との間に接続されるNチャネルのMOSFETと、
前記MOSFETをオン・オフさせるオン信号またはオフ信号が入力される入力回路と、
前記オン信号が入力されたときに前記入力回路から出力される信号を受けて前記電源の電圧を基準とした第1の電圧を生成する第1内部電源と、
前記第1内部電源が生成した前記第1の電圧を受けて動作し、異常状態を検知したときに異常状態を知らせる信号を出力する検知回路と、
前記検知回路が異常状態を検知していないときに前記電源の電圧を基準とした第2の電圧を生成する第2内部電源と、
前記検知回路が異常状態を検知していないときに前記第2内部電源が生成した前記第2の電圧を受けて前記MOSFETを制御する信号を生成する昇圧回路と、
を備えた、負荷駆動回路。
【請求項2】
前記第1内部電源は、前記オフ信号が入力されたときに前記入力回路から出力される信号を受けて前記電源の電圧を前記第1の電圧として出力することで前記検知回路の動作を停止し、前記第2内部電源は、前記検知回路が異常状態を検知したときに前記電源の電圧を前記第2の電圧として出力することで前記昇圧回路の動作を停止する、請求項1記載の負荷駆動回路。
【請求項3】
前記第2内部電源は、前記検知回路の出力にインバータ回路を介して接続される、請求項1記載の負荷駆動回路。
【請求項4】
前記第2内部電源は、前記検知回路の出力信号と前記入力回路から出力される信号とに基づいて前記第2の電圧の生成が制御される、請求項1記載の負荷駆動回路。
【請求項5】
前記第2内部電源は、前記検知回路の出力信号を論理反転した反転信号と前記入力回路から出力される信号との論理積をとる論理回路の出力に接続される、請求項4記載の負荷駆動回路。
【請求項6】
前記昇圧回路は、発振回路を備えたチャージポンプ回路を有する、請求項1記載の負荷駆動回路。
【請求項7】
前記昇圧回路にて生成された前記MOSFETを制御する信号を前記MOSFETの前記負荷側の電位を基準としたゲート信号に変換するゲート駆動回路を備えた、請求項1〜6のいずれか1項に記載の負荷駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は負荷駆動回路に関し、特に待機時の消費電流を小さくした負荷駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車では、モータなどの負荷をスイッチング制御する負荷駆動回路が多く搭載されており、このような負荷駆動回路としては、負荷のハイサイドに配置されて負荷を駆動するタイプのものが多く用いられている。このハイサイドの負荷駆動回路は、負荷がグランド側に接続されているので、負荷の交換の際に、感電の危険がなく安全に行えるなどの利点を有している。また、ハイサイドの負荷駆動回路の半導体スイッチにMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)を用いる場合、Pチャネルよりも単位面積当りのオン抵抗の小さなNチャネルを用いることが多い(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
図11は代表的なハイサイド用の負荷駆動回路を示すブロック図、
図12は内部電源の回路例を示す図、
図13は負荷駆動回路の動作状態を示す真理値表の図である。なお、以下の説明においては、端子名とその端子における電圧、信号などは、同じ符号を用いることがある。
【0004】
図11に示す負荷駆動回路は、特許文献1に開示されているものであって、入力回路1、第1内部電源3、第2内部電源4、検知回路5、昇圧回路8および出力MOSFET7を備えている。
【0005】
入力回路1は、入力端子INに出力MOSFET7をオン・オフ制御する入力信号を受けるように構成されている。入力信号は、接地端子GNDを基準とした論理信号、すなわち、ハイ(H)またはロー(L)レベルの信号である。入力回路1の出力は、第1内部電源3に接続され、入力信号に対応する論理信号が供給される。
【0006】
第1内部電源3は、電源端子VCCと接地端子GNDとに接続されて、電圧VCCを基準とした内部電源電圧GND1を出力する。この第1内部電源3は、たとえば、
図12に示したように、ツェナーダイオード3aおよび2つのMOSFET3b、3cを直列に接続することによって構成されている。ツェナーダイオード3aのカソードは、電源端子VCCに接続され、MOSFET3cのソースは、接地端子GNDに接続されている。ツェナーダイオード3aのアノードとMOSFET3bのドレインとの接続点は、この第1内部電源3の、内部電源電圧GND1を出力する出力端子を構成している。MOSFET3bは、デプレッション型のMOSFETであり、ツェナーダイオード3aに一定の電流を流す電流源を構成し、MOSFET3cは、入力回路1から出力される出力信号に応じてオン・オフ動作をするスイッチとして機能する。したがって、この第1内部電源3は、入力回路1からHレベルの論理信号を受けると、MOSFET3cがオン動作をし、電圧VCCからツェナーダイオード3aの降伏電圧を差し引いた値に近い内部電源電圧GND1を出力する。一方、入力回路1からLレベルの論理信号を受けると、MOSFET3cはオフ動作をするので、第1内部電源3は、電圧VCC(Hレベル)の電圧を出力する。
【0007】
第2内部電源4は、電源端子VCCと接地端子GNDとに接続されている。この第2内部電源4は、たとえば、ツェナーダイオードと抵抗との直列接続回路で構成され、電圧VCCからツェナーダイオードの降伏電圧を差し引いた値に近い、すなわち、電圧VCCを基準とした内部電源電圧GND2を出力する。
【0008】
検知回路5は、電源端子VCCと第1内部電源3の出力とに接続され、電圧VCCと内部電源電圧GND1との間の電圧で動作する。検知回路5は、この負荷駆動回路の異常を検知したときに信号Bを昇圧回路8に出力する。すなわち、検知回路5は、異常が検知されていないときには、Lレベルの論理信号である信号Bを出力し、何らかの異常が検知されたときには、Hレベルの論理信号の信号Bを出力する。
【0009】
昇圧回路8は、電源端子VCCと第2内部電源4の出力とに接続され、出力MOSFET7をオン制御するときには、電源端子VCCよりも高い電圧を生成し、出力MOSFET7をオフ制御するときには、昇圧の動作を停止する。
【0010】
出力MOSFET7は、そのドレインが電源端子VCCに接続され、ソースが出力端子OUTに接続されている。この出力端子OUTは、負荷LDの一方の端子に接続され、負荷LDの他方の端子は、グランドに接続されている。
【0011】
なお、この
図11では、昇圧回路8の出力が出力MOSFET7のゲートに接続され、出力MOSFET7が電圧VCCを基準とした信号で制御されているように記載されている。しかし、出力MOSFET7は、NチャネルMOSFETであり、そのソース・ゲート間電位の信号で制御されるので、実際には、出力端子OUTの電位を基準とした信号に変換されて駆動制御される(たとえば、非特許文献1参照)。
【0012】
上記の構成の負荷駆動回路によれば、
図13に示す真理値表のように、まず、入力端子INにLレベルの入力信号が入力されると、入力回路1は、Lレベルの信号を出力し、これにより、第1内部電源3のMOSFET3cがオフされる。すると、第1内部電源3は、電圧VCC(Hレベル)の電圧を出力するので、検知回路5は、その動作が停止され、Hレベルの信号Bを出力する。昇圧回路8は、Hレベルの信号Bを受けると、その昇圧動作を停止し、出力MOSFET7をオフし、出力端子OUTをオフ状態にする。
【0013】
入力端子INにHレベルの入力信号が入力されると、入力回路1は、Hレベルの信号を出力し、これにより、第1内部電源3のMOSFET3cがオンされる。すると、第1内部電源3は、電圧VCCからツェナーダイオード3aの降伏電圧を差し引いた値に近い、内部電源電圧GND1を出力するので、検知回路5は、正常動作に復帰し、Lレベルの信号Bを出力する。昇圧回路8は、Lレベルの信号Bを受けると、昇圧動作を行い、出力MOSFET7をオンし、出力端子OUTをオン状態にして、負荷LDに給電する。
【0014】
入力端子INに出力MOSFET7をオンにするHレベルの入力信号が入力されているとき、検知回路5が何らかの異常を検知すると、検知回路5は、Hレベルの信号Bを出力する。すると、Hレベルの信号Bを受けた昇圧回路8は、その昇圧動作を停止し、出力MOSFET7をオフし、出力端子OUTをオフ状態にする。
【0015】
このように、
図11に示す負荷駆動回路は、出力MOSFET7をオフにする入力信号が入力されている待機時では、第1内部電源3および検知回路5が動作停止されているので、その分、消費電流を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第4632415号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】International Rectifier、Data Sheet 6.124-G IR6311G、第1頁、Block Diagram、[online]、[平成27年5月28日検索]、インターネット<URL:http://www.irf.com/product-info/datasheets/data/ir6311.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、特許文献1に示される負荷駆動回路は、出力MOSFETをオフにする入力信号が入力されている待機時においても第2内部電源が通電しているため、昇圧回路を含めて待機時消費電流の発生源となっている。
【0019】
また、出力MOSFETをオンにする入力信号の入力時に検知回路が異常を検知して出力MOSFETをオフしているときでも、第2内部電源および昇圧回路は通電しており、電流を消費している。
【0020】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、待機時の消費電流をさらに低減した負荷駆動回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明では上記の課題を解決するために、負荷のハイサイドにて負荷をオン・オフ駆動する負荷駆動回路が提供される。この負荷駆動回路は、電源と負荷との間に接続されるNチャネルのMOSFETと、MOSFETをオン・オフさせるオン信号またはオフ信号が入力される入力回路と、
オン信号が入力されたときに入力回路から出力される信号を受けて電源の電圧を基準とした第1の電圧を生成する第1内部電源と、第1内部電源が生成した第1の電圧を受けて動作し、異常状態を検知したときに異常状態を知らせる信号を出力する検知回路と、
検知回路が異常状態を検知していないときに電源の電圧を基準とした第
2の電圧を生成
する第
2内部電源と、
検知回路が異常状態を検知していないときに第2内部電源が生成した第2の電圧を受けてMOSFETを制御する信号を生成
する昇圧回路と
、を備えている
。
【0022】
このように、
第2内部電源は、検知回路が異常状態を検知していないとき、電源の電圧を基準とした第2の電圧を生成する動作をするが、検知回路が異常状態を検知していると
きは、動作を停止する。
【発明の効果】
【0023】
上記構成の負荷駆動回路は、検知回路が異常状態を検知しているとき第2内部電源は動作を停止することから、消費電流を低減させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1の実施の形態に係る負荷駆動回路を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る負荷駆動回路の動作状態を示す真理値表の図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る負荷駆動回路の動作状態を示すタイムチャートである。
【
図4】第2の実施の形態に係る負荷駆動回路を示すブロック図である。
【
図5】第2の実施の形態に係る負荷駆動回路の動作状態を示す真理値表の図である。
【
図6】第2の実施の形態に係る負荷駆動回路の動作状態を示すタイムチャートである。
【
図7】第3の実施の形態に係る負荷駆動回路を示すブロック図である。
【
図8】第3の実施の形態に係る負荷駆動回路の動作状態を示す真理値表の図である。
【
図9】第3の実施の形態に係る負荷駆動回路の動作状態を示すタイムチャートである。
【
図10】各信号のレベル変化を拡大したタイムチャートである。
【
図11】代表的なハイサイド用の負荷駆動回路を示すブロック図である。
【
図13】負荷駆動回路の動作状態を示す真理値表の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に述べる各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を組み合わせて実施することができる。
<第1の実施の形態>
図1は第1の実施の形態に係る負荷駆動回路を示すブロック図、
図2は第1の実施の形態に係る負荷駆動回路の動作状態を示す真理値表の図、
図3は第1の実施の形態に係る負荷駆動回路の動作状態を示すタイムチャートである。
【0026】
第1の実施の形態に係る負荷駆動回路10は、
図1に示したように、入力回路11、第1内部電源13、第2内部電源14、検知回路15、昇圧回路18、ゲート駆動回路19および出力MOSFET17を備えている。
【0027】
入力回路11は、入力端子INに接続された入力と、信号Eを供給する出力と、接地端子GNDに接続されたグランドとを有している。
第1内部電源13は、電源端子VCCと接地端子GNDとに接続され、入力回路11の出力を受ける入力と、内部電源電圧GND1を供給する出力とを有している。第2内部電源14は、電源端子VCCと接地端子GNDとに接続され、入力回路11の出力を受ける入力と、内部電源電圧GND2を供給する出力とを有している。なお、第1内部電源13および第2内部電源14は、たとえば、
図12に示した回路で構成することができ、入力回路11の信号Eにより、電圧VCC(Hレベル)の電圧または電圧VCCからツェナーダイオードの降伏電圧を差し引いた電圧(Lレベル)の内部電源電圧GND1,GND2を出力する。
【0028】
検知回路15は、電源端子VCCと第1内部電源13の出力とに接続され、電圧VCCと内部電源電圧GND1との間の電圧で動作する。検知回路15は、負荷駆動回路10の正常または異常の状態を示す状態信号Dを受ける入力と、状態信号Dの状態に応じた信号Bを供給する出力とを有している。
【0029】
昇圧回路18は、電源端子VCCと第2内部電源14の出力とに接続され、電圧VCCと内部電源電圧GND2との間の電圧で動作する。昇圧回路18は、チャージポンプ回路を有し、電源端子VCCよりも高い電圧を生成する。
【0030】
ここで、検知回路15および昇圧回路18は、それぞれ第1内部電源13および第2内部電源14によって別々に給電するように構成されている。これは、検出系の検知回路15の電源を駆動系の昇圧回路18の電源から分離して、検知回路15が昇圧回路18を構成するチャージポンプ回路の発振回路から放出されるノイズの影響を受けないようにするためである。
【0031】
ゲート駆動回路19は、電源端子VCCと出力端子OUTとに接続され、昇圧回路18で昇圧された電圧を基に出力MOSFET17を制御するゲート信号Gを生成し、そのゲート信号Gを出力MOSFET17のゲートに出力する。
【0032】
以上のように、この負荷駆動回路10では、第1内部電源13および第2内部電源14は、ともに入力回路11の信号Eで制御されるように構成されている。そして、負荷駆動回路10の出力端子OUTは、負荷LDの一方の端子に接続され、負荷LDの他方の端子は、グランドに接続されている。
【0033】
ここで、負荷駆動回路10の動作を
図2に示した真理値表を参照しながら説明する。まず、真理値表の1行目のように、入力端子INにLレベルの入力信号が入力されると、入力回路1は、Lレベルの信号Eを出力する。これにより、第1内部電源13および第2内部電源14は、それぞれHレベルの内部電源電圧GND1,GND2を出力するので、検知回路15および昇圧回路18は、ともに動作を停止する。このように、入力端子INにLレベルの入力信号が入力されているタイミングでは、第1内部電源13および第2内部電源14とともに検知回路15および昇圧回路18が動作を停止しているので、待機時消費電流を従来よりもさらに低減することができる。このとき、ゲート駆動回路19は、Lレベルのゲート信号Gを出力しているので、出力MOSFET17はオフし、出力端子OUTがオフ状態になる。
【0034】
なお、入力端子INにLレベルの入力信号が入力されているタイミングでは、検知回路15が動作を停止している。したがって、真理値表の2行目のように、検知回路15に入力される状態信号Dが異常を表すHレベルの信号であるか正常を表すLレベルの信号であるかに関係なく、出力端子OUTはオフ状態のままである。
【0035】
次に、真理値表の3行目のように、入力端子INにHレベルの入力信号が入力されて、入力回路1がHレベルの信号Eを出力し、検知回路15には、正常を表すLレベルの状態信号Dが入力されているとする。このとき、第1内部電源13および第2内部電源14は、それぞれLレベルの内部電源電圧GND1,GND2を出力するので、検知回路15および昇圧回路18は、ともに動作を開始する。検知回路15は、異常を検知していないとき、Lレベルの信号Bを出力し、Lレベルの信号Bを論理反転入力に受けた昇圧回路18は、昇圧動作を行う。これにより、ゲート駆動回路19は、Hレベルのゲート信号Gを出力するので、出力MOSFET17はオンし、出力端子OUTはオン状態のHレベルとなる。このとき、昇圧回路18は、入力回路1がHレベルの信号Eを出力して第2内部電源14がLレベルの内部電源電圧GND2を出力することによって動作している。つまり、入力端子INから出力端子OUTまでの経路で、検知回路15を経由することなく信号伝達が行われる経路となるので、従来よりも信号伝達が早くなり、応答性が改善される。
【0036】
入力端子INにHレベルの入力信号が入力されているタイミングのときに、真理値表の4行目のように、検知回路15が異常を表すHレベルの状態信号Dを検知すると、検知回路15は、Hレベルの信号Bを出力することで、昇圧回路18は、動作を停止する。これにより、ゲート駆動回路19は、Lレベルのゲート信号Gを出力するので、出力MOSFET17はオフし、出力端子OUTは、その電位が負荷LDおよびゲート駆動回路19を経由して放電されることで、Lレベルのオフ状態になる。
【0037】
次に、
図3に示したタイムチャートは、入力信号INおよび検知回路15の状態信号Dがそれぞれレベルを変化したときの信号E、内部電源電圧GND1、信号B、内部電源電圧GND2、ゲート信号Gおよび出力端子OUTのレベル変化を示している。すなわち、異常が検知されず(D=Lレベル)に、入力信号INがLレベルのとき、信号E、ゲート信号Gおよび出力端子OUTは、Lレベルであり、内部電源電圧GND1,GND2および信号Bは、Hレベルである。逆に、入力信号INがHレベルのとき、信号E、ゲート信号Gおよび出力端子OUTは、Hレベルであり、内部電源電圧GND1,GND2および信号Bは、Lレベルである。なお、内部電源電圧GND1,GND2のHレベルは、電圧VCCに等しく、Lレベルは、電圧VCCより低い内部電源電圧GND1,GND2に相当する。また、出力端子OUTのHレベルは、オン状態に相当し、Lレベルは、オフ状態に相当する。
【0038】
ここで、
図3には、異常が検出(D=Hレベル)されたタイミングについて、4つの場合について示している。第1の状態信号D1は、入力信号INがオンのタイミングの期間に、異常を検知し、次のオンのタイミングの期間に、異常がなくなった場合を示している。この場合、第1の状態信号D1の期間、ゲート信号Gは、Lレベルであり、出力端子OUTも、Lレベルである。
【0039】
第2の状態信号D2は、入力信号INがオンのタイミングの期間に、異常を検知し、次のオフのタイミングの期間に、異常がなくなった場合を示している。この場合、ゲート信号Gは、異常を検知したタイミングでLレベルになるため、出力端子OUTも、異常を検知したタイミングでLレベルになり、異常がなくなった後は、入力信号INが次のオンのタイミングになったときにHレベルとなる。
【0040】
第3の状態信号D3は、入力信号INがオフのタイミングのときに、異常を検知し、次のオンのタイミングのときに、異常がなくなった場合を示している。この場合、ゲート信号Gは、次のオンのタイミングのとき、最初、Lレベルを維持し、異常がなくなったタイミングで遅れてHレベルになるため、出力端子OUTも、同様に、異常がなくなったタイミングで遅れてHレベルとなる。
【0041】
第4の状態信号D4は、入力信号INがオフのタイミングのときに、異常を検知し、次のオフのタイミングのときに、異常がなくなった場合を示している。この場合、異常を検知している期間、ゲート信号Gは、Lレベルのままであるので、出力端子OUTも、その期間、Lレベルのままである。
<第2の実施の形態>
図4は第2の実施の形態に係る負荷駆動回路を示すブロック図、
図5は第2の実施の形態に係る負荷駆動回路の動作状態を示す真理値表の図、
図6は第2の実施の形態に係る負荷駆動回路の動作状態を示すタイムチャートである。なお、この
図4において、
図1に示した構成要素と同じまたは均等の構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0042】
この第2の実施の形態に係る負荷駆動回路10aは、第1の実施の形態に係る負荷駆動回路10と比較して、第2内部電源14の制御方法を変更している。すなわち、第1の実施の形態に係る負荷駆動回路10の第2内部電源14は、入力回路11が出力する信号Eによって制御しているのに対し、第2の実施の形態に係る負荷駆動回路10aの第2内部電源14は、検知回路15が出力する信号Bによって制御している。
【0043】
第2内部電源14の入力は、インバータ回路16aを介して検知回路15の出力に接続されている。これにより、第2内部電源14は、検知回路15が出力する信号Bを論理反転した信号Jが入力される。したがって、第2内部電源14は、入力端子INにHレベルの入力信号が入力されていて、検知回路15が異常を検知していないときだけ、動作することになる。つまり、第1の実施の形態に係る負荷駆動回路10では、第2内部電源14は、入力端子INにHレベルの入力信号が入力されている間、動作していることになる。これに対し、第2の実施の形態に係る負荷駆動回路10aでは、検知回路15が異常を検知しているときには、第2内部電源14を動作させないようにして、その分、消費電流を低減している。
【0044】
この負荷駆動回路10aの動作を
図5の真理値表で説明すると、入力信号INがLレベルのとき、状態信号Dの論理レベルに関係なく、入力回路11の信号EはLレベル、検知回路15の信号BはHレベル、インバータ回路16aの信号JはLレベルである。したがって、ゲート駆動回路19のゲート信号GはLレベルであり、出力MOSFET17はオフし、出力端子OUTがオフ状態になる。
【0045】
入力信号INがHレベルのときで、状態信号Dが正常のLレベルであれば、入力回路11の信号EはHレベル、検知回路15の信号BはLレベル、インバータ回路16aの信号JはHレベルである。したがって、ゲート駆動回路19のゲート信号GはHレベルであり、出力MOSFET17はオンし、出力端子OUTがオン状態になる。
【0046】
入力信号INがHレベルのときに状態信号Dが異常のHレベルになると、検知回路15の信号BはHレベル、インバータ回路16aの信号JはLレベルになる。したがって、ゲート駆動回路19のゲート信号GはLレベルになるので、出力MOSFET17はオフし、出力端子OUTがオフ状態になる。
【0047】
次に、
図6に示したタイムチャートによれば、入力信号INがHレベルの期間と状態信号D1〜D4がHレベルの期間とが重なっている期間、内部電源電圧GND2は、Hレベルで、非動作状態になっている。したがって、入力信号INがHレベルであって状態信号DがHレベルの期間、すなわち、出力MOSFET17がオンのときに異常が検知されたとき、第2内部電源14および昇圧回路18は、停止状態になる。これにより、昇圧回路18を経由したリーク電流の発生が阻止される。また、第1の実施の形態に係る負荷駆動回路10では、出力MOSFET17がオンのときに異常が検知されて出力MOSFET17がオフしたとしても、入力信号INがHレベルのままである限り、第2内部電源14は内部電源電圧GND2をLレベルで出力し続け、昇圧回路18は電源端子VCCと内部電源電圧GND2の間で動作状態を維持していたが、この第2の実施の形態に係る負荷駆動回路10aでは、第2内部電源14および昇圧回路18を停止させることで消費電流をさらに低減している。
<第3の実施の形態>
図7は第3の実施の形態に係る負荷駆動回路を示すブロック図、
図8は第3の実施の形態に係る負荷駆動回路の動作状態を示す真理値表の図、
図9は第3の実施の形態に係る負荷駆動回路の動作状態を示すタイムチャート、
図10は各信号のレベル変化を拡大したタイムチャートである。なお、この
図7において、
図1および
図4に示した構成要素と同じまたは均等の構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0048】
この第3の実施の形態に係る負荷駆動回路10bは、第2内部電源14が第1の実施の形態による入力回路11の信号Eと第2の実施の形態による検知回路15の信号Bとの組み合わせによって制御されている。すなわち、入力回路11の出力は、AND回路16bの一方の入力に接続され、検知回路15の出力は、AND回路16bの他方の論理反転入力に接続され、AND回路16bの出力は、第2内部電源14の入力に接続されている。入力回路11の信号Eと検知回路15の信号Bを論理反転した信号との論理積をとるAND回路16bを設けたことにより、第2内部電源14は、AND回路16bが出力する信号Kによって制御される。
【0049】
この負荷駆動回路10bの動作を
図8の真理値表で説明すると、入力信号INがLレベルのとき、状態信号Dの論理レベルに関係なく、入力回路11の信号EはLレベル、検知回路15の信号BはHレベル、AND回路16bの信号KはLレベルである。したがって、ゲート駆動回路19のゲート信号GはLレベルであり、出力MOSFET17はオフし、出力端子OUTがオフ状態になる。
【0050】
入力信号INがHレベルのときで、状態信号Dが正常のLレベルであれば、入力回路11の信号EはHレベル、検知回路15の信号BはLレベル、AND回路16bの信号KはHレベルである。したがって、ゲート駆動回路19のゲート信号GはHレベルであり、出力MOSFET17はオンし、出力端子OUTがオン状態になる。
【0051】
入力信号INがHレベルのときに状態信号Dが異常のHレベルになると、入力回路11の信号EはHレベル、検知回路15の信号BはHレベル、AND回路16bの信号KはLレベルになる。したがって、ゲート駆動回路19のゲート信号GはLレベルになるので、出力MOSFET17はオフし、出力端子OUTがオフ状態になる。
【0052】
次に、
図9に示したタイムチャートによれば、入力信号INがHレベルの期間と状態信号D1〜D4がHレベルの期間とが重なっている期間、内部電源電圧GND2は、Hレベルで、非動作状態になっている。したがって、入力信号INがHレベルであって状態信号DがHレベルの期間、すなわち、出力MOSFET17がオンのときに異常が検知されたとき、第2内部電源14および昇圧回路18は、停止状態になる。これにより、昇圧回路18を経由したリーク電流の発生が阻止され、第2内部電源14および昇圧回路18による消費電流がさらに低減されることになる。
【0053】
また、検知回路15が異常を検知していないとき、入力端子INから出力端子OUTまでの経路で、信号伝達が早くなっている。具体的には、
図10に、各信号の論理レベルの立ち上がりおよび立ち下がりの部分を拡大して示したように、入力信号INのレベルが変化してから出力端子OUTのレベルが変化するまでの応答時間が立ち上がりの側よりも立ち下がりの側で短縮されている。
【0054】
すなわち、入力信号INがLレベルからHレベルになるとき、入力回路11は、その入力閾値を超えたレベルが検出された時点で信号EをLレベルからHレベルに変化させる(期間a)。信号Eを受ける第1内部電源13は、信号Eが立ち上がって所定のレベルを超えると、内部電源電圧GND1をHレベルからLレベルに変化させ、検知回路15の信号BをHレベルからLレベルに変化させる(期間b)。信号Bが立ち下がって所定のレベルを下回るときには、信号EがHレベルになっているので、AND回路16bは、信号KをLレベルからHレベルに変化させる(期間c)。信号Kを受ける第2内部電源14は、信号Kが立ち上がって所定のレベルを超えると、内部電源電圧GND2をHレベルからLレベルに変化させる(期間d)。内部電源電圧GND2が立ち下がって所定のレベルを下回ると、昇圧回路18およびゲート駆動回路19が動作を開始し、ゲート信号GをLレベルからHレベルに変化させる。ゲート信号Gが所定のレベルを超えると、出力MOSFET17がターンオンし、出力端子OUTがLレベルからHレベルに変化される。
【0055】
一方、入力信号INがHレベルからLレベルになるとき、入力回路11は、その入力閾値を下回るレベルが検出された時点で信号EをHレベルからLレベルに変化させる(期間e)。信号Eを受ける第1内部電源13は、信号Eが立ち下がって所定のレベルを下回ると、内部電源電圧GND1をLレベルからHレベルに変化させ、検知回路15の信号BをLレベルからHレベルに変化させ、信号KをHレベルからLレベルに変化させる(期間f)。信号Kを受ける第2内部電源14は、信号Kが立ち下がって所定のレベルを下回ると、内部電源電圧GND2をLレベルからHレベルに変化させる(期間g)。内部電源電圧GND2が立ち上がって所定のレベルを超えると、昇圧回路18およびゲート駆動回路19が動作を停止し、ゲート信号GをHレベルからLレベルに変化させる。ゲート信号Gが所定のレベルを下回ると、出力MOSFET17がターンオフし、出力端子OUTがHレベルからLレベルに変化される。
【0056】
このように、入力信号INがHレベルからLレベルになるオフタイミングのとき、内部電源電圧GND2から信号Bへ信号伝達を行う検知回路15が出力端子OUTをHレベルからLレベルに変化させる動作に関与しない分、応答時間を短くすることができる。
【符号の説明】
【0057】
10,10a,10b 負荷駆動回路
11 入力回路
13 第1内部電源
14 第2内部電源
15 検知回路
16a インバータ回路
16b AND回路
17 出力MOSFET
18 昇圧回路
19 ゲート駆動回路
GND 接地端子
IN 入力端子
LD 負荷
OUT 出力端子
VCC 電源端子