特許第6852788号(P6852788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852788
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】電力変換装置の制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/16 20060101AFI20210322BHJP
   H02H 7/122 20060101ALI20210322BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20210322BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20210322BHJP
【FI】
   H02H3/16 A
   H02H7/122
   H02J1/00 309Q
   H02M7/48 M
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-524837(P2019-524837)
(86)(22)【出願日】2017年6月23日
(86)【国際出願番号】JP2017023251
(87)【国際公開番号】WO2018235278
(87)【国際公開日】20181227
【審査請求日】2019年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(72)【発明者】
【氏名】多和田 義大
(72)【発明者】
【氏名】インスンサ フィゲロア ルベン アレクシス
(72)【発明者】
【氏名】安保 達明
(72)【発明者】
【氏名】木下 雅博
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−032601(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/098523(WO,A1)
【文献】 特開平8−015345(JP,A)
【文献】 特開2012−023875(JP,A)
【文献】 特開2015−128335(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0380589(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/16
H02H 7/122
H02J 1/00
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールと電力変換装置との間の直流電路が開閉器を介して接地されているシステムにおいて前記開閉器を制御する接地制御部と、
前記太陽電池モジュールから出力された直流電圧を検出する直流電圧検出部と、
前記開閉器が前記接地制御部の制御により開いている際に、前記直流電路において地絡が発生しているか否かを判定する地絡判定部と、
を備え
前記接地制御部は、前記直流電圧検出部により検出された直流電圧の値が徐々に小さくなって0になるまでの間において前記直流電圧検出部が予め設定された閾値よりも小さい値の直流電圧を検出し、前回の地絡の判定が行われてからの経過時間に基づいて現時刻が昼から夜に向かっている時刻であると判定した際に、前記開閉器を開き、その後、前記直流電圧検出部により検出された直流電圧の値が0となるまでに前記開閉器を閉じる電力変換装置の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力変換装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電力変換装置の制御装置を開示する。当該制御装置によれば、太陽電池モジュールと電力変換装置との間の直流電路において地絡が発生していることを検出し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特開2016−100962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の制御装置は、直流電路が接地されていないシステムに対して設定される。このため、当該制御装置は、直流電路が接地されているシステムに対して地絡を検出できないこともある。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされた。この発明の目的は、太陽電池モジュールと電力変換装置との間の直流電路が接地されているシステムの直流電路において地絡が発生していることを検出することができる電力変換装置の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る電力変換装置の制御装置は、太陽電池モジュールと電力変換装置との間の直流電路が開閉器を介して接地されているシステムにおいて前記開閉器を制御する接地制御部と、前記太陽電池モジュールから出力された直流電圧を検出する直流電圧検出部と、前記開閉器が前記接地制御部の制御により開いている際に、前記直流電路において地絡が発生しているか否かを判定する地絡判定部と、を備え、前記接地制御部は、前記直流電圧検出部により検出された直流電圧の値が徐々に小さくなって0になるまでの間において前記直流電圧検出部が予め設定された閾値よりも小さい値の直流電圧を検出し、前回の地絡の判定が行われてからの経過時間に基づいて現時刻が昼から夜に向かっている時刻であると判定した際に、前記開閉器を開き、その後、前記直流電圧検出部により検出された直流電圧の値が0となるまでに前記開閉器を閉じる

【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、制御装置は、開閉器が開いている際に直流電路において地絡が発生しているか否かを判定する。このため、太陽電池モジュールと電力変換装置との間の直流電路が接地されているシステムの直流電路において地絡が発生していることを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態1における電力変換装置の制御装置が適用される電源システムの構成図である。
図2】この発明の実施の形態1における電力変換装置の制御装置の要部のブロック図である。
図3】この発明の実施の形態1における電力変換装置の制御装置による地絡の判定のタイミングの例を説明するための図である。
図4】この発明の実施の形態1における電力変換装置の制御装置の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
図5】この発明の実施の形態1における電力変換装置の制御装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における電力変換装置の制御装置が適用される電源システムの構成図である。
【0011】
図1において、電源システムは、電力系統1と太陽電池モジュール2と電力変換装置3と直流電路4と交流電路5と開閉器6と電圧検出装置7と地絡検出装置8と制御装置9とを備える。
【0012】
電力系統1は、屋外に設けられる。太陽電池モジュール2は、屋外に設けられる。電力変換装置3は、屋外に設けられる。電力変換装置3は、電力系統1と太陽電池モジュール2との間に設けられる。
【0013】
直流電路4の入力部は、太陽光モジュール2の出力部に接続される。直流電路4の出力部は、電力変換装置3の入力部に接続される。交流電路5の入力部は、電力変換装置3の出力部に接続される。交流電路5の出力部は、電力系統1の入力部に接続される。
【0014】
電圧検出装置7は、直流電路4に設けられる。地絡検出装置8は、直流電路4に設けられる。開閉器6の一側は、直流電路4の正側および負側の一方に電気的に接続される。例えば、開閉器6の一側は、直流電路4の負側に接続される。開閉器6の他側は、接地される。
【0015】
制御装置9の入力部は、電圧検出装置7の出力部と地絡検出装置8の出力部とに接続される。制御装置9の出力部は、電力変換装置3の入力部と開閉器6の入力部とに接続される。
【0016】
例えば、電力系統1は、電力会社により運用される。太陽電池モジュール2は、太陽の光エネルギーを直流電力に変換する。電力変換装置3は、直流電路4を介して太陽電池モジュール2から直流電力の供給を受ける。電力変換装置3は、当該直流電力を交流電力に変換する。例えば、電力変換装置3は、当該直流電力を三相交流電力に変換する。電力変換装置3は、交流電路5を介して当該交流電力を電力系統1に供給する。
【0017】
電圧検出装置7は、太陽電池モジュール2からの直流電圧を検出する。制御装置9は、電圧検出装置7の検出結果に基づいて電力変換装置3の動作と開閉器6の開閉とを制御する。
【0018】
開閉器6が開いている際、地絡検出装置8は、直流電路4において地絡が発生しているか否かを検出する。制御装置9は、地絡検出装置8の検出結果に基づいて直流電路4において地絡が発生しているか否かを判定する。
【0019】
次に、図2を用いて、制御装置9の要部を説明する。
図2はこの発明の実施の形態1における電力変換装置の制御装置の要部のブロック図である。
【0020】
図2に示されるように、制御装置9は、直流電圧検出部9aと接地制御部9bと地絡判定部9cとを備える。
【0021】
直流電圧検出部9aは、電圧検出装置7の検出値に基づいて太陽電池モジュール2から出力された直流電圧を検出する。例えば、接地制御部9bは、直流電圧検出部9aの検出結果に基づいて開閉器6を開くか否かを決定する。地絡判定部9cは、開閉器6が接地制御部9bの制御により開いている際に地絡検出装置8の検出結果に基づいて直流電路4において地絡が発生しているか否かを判定する。
【0022】
次に、図3を用いて、地絡の判定のタイミングの例を説明する。
図3はこの発明の実施の形態1における電力変換装置の制御装置による地絡の判定のタイミングの例を説明するための図である。図3の横軸は時刻である。図3の縦軸は直流電圧検出装置7に検出された直流電圧である。
【0023】
第1設定がなされている場合、接地制御部9bは、直流電圧の値が徐々に小さくなって0になるまでの間において直流電圧検出部9aが予め設定された閾値よりも小さい値の直流電圧を検出している際に開閉器6を開くか否かを決定する。例えば、接地制御部9bは、前回の地絡の判定が行われてからの経過時間に基づいて開閉器6を開くか否かを決定する。
【0024】
具体的には、接地制御部9bは、前回の地絡の判定が行われてからの経過時間に基づいて現時刻が昼から夜に向かっている時刻であるか否かを判定する。現時刻が昼から夜に向かっている時刻である場合、接地制御部9bは、当該直流電圧を用いて開閉器6を開く。現時刻が昼から夜に向かっている時刻でない場合、接地制御部9bは、開閉器6を開かない。
【0025】
開閉器6が接地制御部9bの制御により開いている際、地絡判定部9cは、当該直流電圧を用いて地絡検出装置8の検出結果に基づいて直流電路4において地絡が発生しているか否かを判定する。
【0026】
第1設定において、接地制御部9bは、予め設定されたタイミングで開閉器6を閉じる。例えば、接地制御部9bは、直流電圧検出部9aにより検出された直流電圧の値が0となるまでに当該直流電圧を用いて開閉器6を閉じる。例えば、接地制御部9bは、直流電圧検出部9aにより検出された直流電圧の値が0となって直流電圧の値が徐々に大きくなる際に当該直流電圧を用いて開閉器6を閉じる。
【0027】
第2設定がなされている場合、接地制御部9bは、直流電圧の値が0から徐々に大きくなって予め設定された閾値になるまでの間に直流電圧検出部9aが当該閾値よりも小さい値の直流電圧を検出している際に当該直流電圧を用いて開閉器6を開く。この状態において、地絡判定部9cは、当該直流電圧を用いて地絡検出装置8の検出結果に基づいて直流電路4において地絡が発生しているか否かを用いて判定する。
【0028】
第2設定において、接地制御部9bは、予め設定されたタイミングで当該直流電圧を用いて開閉器6を閉じる。例えば、接地制御部9bは、直流電圧検出部9aが閾値よりも小さい値の直流電圧を検出している際に当該直流電圧を用いて開閉器6を閉じる。
【0029】
次に、図4を用いて、第1設定がなされている際の制御装置9の動作の概要を説明する。
図4はこの発明の実施の形態1における電力変換装置の制御装置の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【0030】
ステップS1では、制御装置9は、太陽電池モジュール2から出力された直流電圧を検出する。その後、制御装置9は、ステップS2の動作を行う。ステップS2では、制御装置9は、直流電圧の値が徐々に小さくなっているか否かを判定する。
【0031】
ステップS2で直流電圧の値が徐々に小さくなっていない場合、制御装置9は、ステップS1の動作を行う。ステップS2で直流電圧の値が徐々に小さくなっている場合、制御装置9は、ステップS3の動作を行う。
【0032】
ステップS3では、制御装置9は、直流電圧の値が閾値よりも小さいか否かを判定する。
【0033】
ステップS3で直流電圧の値が閾値よりも小さくない場合、制御装置9は、ステップS1の動作を行う。ステップS3で直流電圧の値が閾値よりも小さい場合、制御装置9は、ステップS4の動作を行う。
【0034】
ステップS4では、制御装置9は、前回の地絡の判定が行われてからの経過時間に基づいて現時刻が昼から夜に向かっている時刻であるか否かを判定する。
【0035】
ステップS4で現時刻が昼から夜に向かっている時刻でない場合、制御装置9は、ステップS1の動作を行う。ステップS4で現時刻が昼から夜に向かっている時刻である場合、制御装置9は、ステップS5の動作を行う。
【0036】
ステップS5では、制御装置9は、開閉器6を開く。その後、制御装置9は、ステップS6の動作を行う。ステップS6では、制御装置9は、直流電路4における地絡の判定処理を実施する。その後、制御装置9は、ステップS7の動作を行う。
【0037】
ステップS7では、制御装置9は、予め設定されたタイミングで開閉器6を閉じる。その後、制御装置9は、ステップS1の動作を行う。
【0038】
以上で説明した実施の形態1によれば、制御装置9は、開閉器6が開いている際に直流電路4において地絡が発生しているか否かを判定する。このため、太陽電池モジュール2と電力変換装置3との間の直流電路4が開閉器6を介して接地されているシステムの直流電路4において地絡が発生していることを検出することができる。
【0039】
また、制御装置9は、直流電圧の値が予め設定された閾値よりも小さい場合に地絡の判定を行う。このため、電力変換装置3の動作時間を極力長くすることができる。
【0040】
また、制御装置9は、前記直流電圧検出部9aにより検出された直流電圧の値が徐々に小さくなって0になるまでの間において地絡の判定を行う。このため、太陽電池モジュール2からの直流電圧を用いて地絡の判定を適切に行うことができる。
【0041】
また、制御装置9は、前回の地絡の判定が行われてからの経過時間に基づいて地絡の判定を行うか否かを決定する。このため、電力変換装置3が本格的に動作している昼の間に地絡の判定が行われることを防止できる。また、時刻設定の間違いによる地絡の誤判定を防止できる。また、太陽電池モジュール2の発電開始時間が地域により違うことによる地絡の誤判定を防止できる。また、太陽電池モジュール2の発電開始時間が季節により違うことによる地絡の誤判定を防止できる。
【0042】
また、制御装置9は、直流電圧の値が0となるまでに開閉器6を閉じることもある。この場合、電力変換装置3の故障を抑制することができる。
【0043】
また、制御装置9は、直流電圧の値が0となって直流電圧の値が徐々に大きくなる際に開閉器6を閉じることもある。この場合、電源システムの故障を全体的に抑制することができる。
【0044】
次に、図5を用いて、制御装置9の例を説明する。
図5はこの発明の実施の形態1における電力変換装置の制御装置のハードウェア構成図である。
【0045】
制御装置9の各機能は、処理回路により実現し得る。例えば、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ10aと少なくとも1つのメモリ10bとを備える。例えば、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア11を備える。
【0046】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ10aと少なくとも1つのメモリ10bとを備える場合、制御装置9の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ10bに格納される。少なくとも1つのプロセッサ10aは、少なくとも1つのメモリ10bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置9の各機能を実現する。少なくとも1つのプロセッサ10aは、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。例えば、少なくとも1つのメモリ10bは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。
【0047】
処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェア11を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。例えば、制御装置9の各機能は、それぞれ処理回路で実現される。例えば、制御装置9の各機能は、まとめて処理回路で実現される。
【0048】
制御装置9の各機能について、一部を専用のハードウェア11で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、接地制御部9bの機能については専用のハードウェア11としての処理回路で実現し、接地制御部9b以外の機能については少なくとも1つのプロセッサ10aが少なくとも1つのメモリ10bに格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現してもよい。
【0049】
このように、処理回路は、ハードウェア11、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで制御装置9の各機能を実現する。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように、この発明に係る電力変換装置の制御装置は、太陽電池モジュールと電力変換装置との間の直流電路が接地されているシステムの直流電路において地絡が発生していることを検出するシステムに利用できる。
【符号の説明】
【0051】
1 電力系統、 2 太陽電池モジュール、 3 電力変換装置、 4 直流電路、 5 交流電路、 6 開閉器、 7 電圧検出装置、 8 地絡検出装置、 9 制御装置、 9a 直流電圧検出部、 9b 接地制御部、 9c 地絡判定部、 10a プロセッサ、 10b メモリ、 11 ハードウェア
図1
図2
図3
図4
図5