(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852857
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】物品計数投入装置
(51)【国際特許分類】
B65B 35/44 20060101AFI20210322BHJP
G06M 7/00 20060101ALI20210322BHJP
A23L 13/00 20160101ALN20210322BHJP
【FI】
B65B35/44
G06M7/00 301B
!A23L13/00 E
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-2447(P2017-2447)
(22)【出願日】2017年1月11日
(65)【公開番号】特開2018-111508(P2018-111508A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000142850
【氏名又は名称】株式会社古川製作所
(72)【発明者】
【氏名】平谷 隆幸
【審査官】
長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−328110(JP,A)
【文献】
特開平08−230801(JP,A)
【文献】
特開昭61−021308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 35/44
G06M 7/00
A23L 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計数のためのリテーナを複数本並列に連結した無端軌道を備えた投入コンベアと、前記無端軌道を所定のピッチで間欠回転させる駆動機構と、前記投入コンベアの先端部に備えられ包装機に計数した物品を投入する投入ホッパーと、投入コンベアの後端部に計数前の物品を貯留する物品プールホッパーと、を備えた物品計数投入装置であって、
前記無端軌道を構成するリテーナは、計数する物品が嵌まり込む計数穴が偶数個と奇数個とに形成されたものが互い違いに連続的に連結されており、
前記無端軌道のリテーナの上部に、計数穴に物品が嵌まり込むのを妨げる個数変更用のカバー部材が着脱可能に備えられ、
物品の個数に応じて計数穴をカバー部材でカバーするか又はカバー部材を取り外し、前記駆動機構がリテーナの必要なピッチ分だけ無端軌道を回転させて、物品を投入ホッパーに投入する、
ことを特徴とする物品計数投入装置。
【請求項2】
投入コンベアの無端軌道の先端部を横切るように物品確認センサーを配置すると共に、無端軌道の側部に不足した物品を補充する補正用カウントコンベアを配置した、ことを特徴とする請求項1 に記載の物品計数投入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装機用の物品の計数投入装置に関し、具体的には、加工食品のうちの特にミートボール等を計数して包装機側に投入する物品計数投入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、ミートボールを包装機に投入する従来から知られた一般的なリテーナ式の物品計数投入装置の平面図である。この従来の物品計数投入装置は、ミートボールが10個嵌まり込む計数穴20が形成されたリテーナ21を多数並列にチェン(図示せず)で連結し、前記チェンをスプロケット(図示せず)に巻回した無端軌道22を有する投入コンベア23を備え、図示しない駆動装置(電動モータ)で前記無端軌道22を間欠的に回転して、リテーナ21の計数穴20に嵌り込んだミートボールを投入ホッパー24に投入して包装機(図示せず)の包装袋に充填して包装している。
【0003】
投入コンベア23の後端部に、ミートボールを貯留する物品プールホッパー25を備え、貯留されたミートボールがリテーナ21の計数穴20に嵌まり込んで、投入コンベア23で先端側に搬送される。計数穴20に嵌まり込まなかったミートボールは、投入コンベア23の中央部に設けられた掻き落とし羽根車26で掻き落として物品プールホッパー25側へ落下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−328110号公報
【特許文献2】特開2003−58858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、
図4の前記従来のリテーナ式の物品計数投入装置は、ミートボールの投入個数が多くなると、投入コンベア23の幅が広くなり、落下位置が横に広がるため、投入ホッパー24に投入されたミートボールの包装袋への投入時間が長くかかると共に、投入ホッパー24の幅が大きくなり、装置全体が大型化するという問題点があった。
【0006】
そこで、投入コンベア23の幅を押えるために、1行分のリテーナ21の計数穴20を10個から5個にしてリテーナ21の2ピッチ分だけ(2行分のリテーナ21を一度に間欠回転して送った場合)無端軌道22を回転した場合、ミートボールの計数は偶数に限定されてしまうという問題点がある。例えば、
図4の物品計数投入装置に、
図5に示す1列の計数穴20の幅に合わせた個数変更用のカバー部材27を無端軌道22上にかぶせ、リテーナ21の2ピッチ分だけ無端軌道22を送った場合は18個になる。2列の計数穴20の幅に合わせた個数変更用のカバー部材28を無端軌道22上にかぶせ、リテーナ21の2ピッチ分だけ無端軌道22を回転した場合は16個になる。以下、3列では14個、4列では12個、5列では10個、6列では8個というふうに、偶数個しか投入することができない。
【0007】
なお、特許文献1及び特許文献2には、物品の計数が自由に変えられる物品計数投入装置が開示されているが、いずれの装置も構造が複雑になり、コスト高になるという問題点がある。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑み、包装袋への投入時間が短く、しかも物品の投入個数を偶数でも奇数でも設定できる物品計数投入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の物品計数投入装置は、計数のためのリテーナを複数本並列に連結した無端軌道を備えた投入コンベアと、前記無端軌道を所定のピッチで間欠回転させる駆動機構と、前記投入コンベアの先端部に備えられ包装機に計数した物品を投入する投入ホッパーと、投入コンベアの後端部に計数前の物品を貯留する物品プールホッパーと、を備えた物品計数投入装置であって、前記無端軌道を構成するリテーナは、計数する物品が嵌まり込む計数穴が偶数個と奇数個とに形成されたものが互い違いに連続的に連結されており、前記無端軌道のリテーナの上部に、計数穴に物品が嵌まり込むのを妨げる個数変更用のカバー部材が着脱可能に備えられ、物品の個数に応じて
計数穴をカバー部材でカバーするか又はカバー部材を取り外し、前記駆動機構がリテーナの必要なピッチ分だけ無端軌道を回転させて、物品を投入ホッパーに投入する、ことを特徴とする。
【0010】
前記構成において、無端軌道を構成するリテーナは、計数する物品が嵌まり込む計数穴が偶数個と奇数個とに形成されたものが互い違いに連続的に連結され、前記無端軌道のリテーナの上部に、計数穴に物品が嵌まり込むのを妨げる個数変更用のカバー部材が着脱可能に備えられ、物品の個数に応じて
計数穴をカバー部材でカバーするか又はカバー部材を取り外し、前記駆動機構がリテーナの必要なピッチ分だけ無端軌道を回転させて、偶数、奇数いずれの個数でも物品を投入ホッパーに投入することができる。さらに、駆動機構が無端軌道をリテーナの複数ピッチ分だけ回転することができるため、投入コンベアの幅を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0011】
前記構成により、個数変更用のカバー部材で選択的に物品の計数穴を
カバーするか又はカバー部材を取り外すことにより、簡単な構造で物品を偶数でも奇数でも計数して投入することができる。しかも、投入コンベアの幅を小さくすることができるので、投入ホッパーの幅を小さくして、投入時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】本発明の物品計数投入装置の計数を変更する場合の説明図
【
図5】物品計数投入装置の計数を変更すると仮定した場合の説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の物品計数投入装置の正面図、
図2は同平面図であって、以下において、図面を用いて本発明の物品計数投入装置を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明の物品計数投入装置1は、計数のためのリテーナ2を複数本並列に連結した無端軌道3を備えた投入コンベア4と、前記無端軌道3を所定のピッチで間欠回転する電動モータからなる駆動機構(図示せず)と、前記投入コンベア4の先端部に備えられ包装機側に計数した物品を投入する投入ホッパー5と、投入コンベア4の後端部に計数するための物品を貯留する物品プールホッパー6と、を備えている。この実施例の物品計数投入装置1は、2連の包装機用に対応させた装置であって、同時に2袋の包装袋に物品を計数して投入することができるが、1連用の物品計数投入装置であってもよいことは言うまでもない。なお、物品として食品のミートボールを計数して投入するが、物品はミートボールに限定されるものではない。
【0014】
前記無端軌道3を構成する単体のリテーナ2は、角柱状の部材からなり、外面に計数する物品が嵌まり込む半円球状の計数穴7が形成されている。前記リテーナ2には、計数穴7が偶数個形成されたものと、奇数個形成されたものがあり、この計数穴7が偶数個形成されたリテーナ2と、奇数個形成されたリテーナ2が互い違いに連続的にチェン8により連結されており、このチェン8が投入コンベア4の両端部のスプロケット9に架け渡されている。
【0015】
図2に示すように、この実施例では5個の計数穴7が形成されたリテーナ2と、4個の計数穴7が形成されたリテーナ2とが、互い違いに連続的に連結されて無端軌道3を形成している。計数穴7の個数は、5個又は4個に限定されるものではないが、リテーナ2の幅が広すぎて包装機の包装袋への物品の投入スピードが遅くならない範囲の個数に限定することが好ましい。
【0016】
図3に示すように、リテーナ2で構成された前記無端軌道3の側部(無端軌道3の物品の搬送方向側部)の上面に、計数穴7に物品が嵌まり込むのを妨げる個数変更用のカバー部材10が着脱可能に備えられている。このカバー部材10は、前記無端軌道3のリテーナ2に直接取り付けて計数穴7を塞いでもよいし、物品が嵌まり込む物品プールホッパー6と掻き落とし羽根車13との間で、リテーナ2の計数穴7の上部表面を覆うように投入コンベア4に固定的に取り付けてもよい。何れにしろ、このカバー部材10は、着脱自在であって、物品の計数に応じて取り替えることができるように構成する。
【0017】
前記ように、投入コンベア4の先端部に投入ホッパー5が備えられ、包装機側に計数した物品を投入する。この実施例では2連の包装機の包装袋に物品を投入するため、二体の投入ホッパー5を備えている。なお、1連の包装機では、無端軌道3は半分の幅になる。前記投入ホッパー5の下部には投入シャッタ11を備えており、回転する包装機のタイミングに合わせてこの投入シャッタ11を開いて物品を包装袋に投入する。なお、投入シャッタ11の下部には、包装機に備えられたロート12が配置され、下降して包装袋の袋口に挿入され、物品を包装袋内に導く。
【0018】
投入コンベア4の後端部には、計数するための物品を貯留する物品プールホッパー6を備えている。この物品プールホッパー6は台形状のホッパーであって、この物品プールホッパー6に一定量の計数前の物品を貯留しておくと、無端軌道3が回転してリテーナ2の計数穴7に物品が嵌まり込んで、投入ホッパー5の先端側に搬送される。
【0019】
投入コンベア4の中央部には、掻き落とし羽根車13が無端軌道3を横切って設けられている。この掻き落とし羽根車13は、リテーナ2の計数穴7に嵌り込まなかった無端軌道3上の余分な物品を物品プールホルダー6側へ掻き落とす作用をはたす。
【0020】
投入コンベア4の先端部には、無端軌道3を横切るように物品確認センサー14が配置されている。前記物品プールホッパー6では、物品がリテーナ2の計数穴7に嵌り込むようになっているが、物品が必ずしも全ての計数穴7に嵌り込むとは限らない。嵌り込まずに空となった計数穴7もありうるので、前記の物品確認センサー14で物品の有無を検知し、後述するように不足分を補正する。なお、物品確認センサー14は従来から公知の光センサーやレーザセンサーを用いるが、センサーはこれらに限定されるものではない。
【0021】
無端軌道3の側部には、前記のような物品の不足分を補充する補正用カウントコンベア15が備えられている。前記の物品確認センサー14でリテーナ2の計数穴7に物品が嵌まり込まずに、物品の個数が不足していると制御ボックス17内の制御装置が判断すると、不足分だけ投入ホッパー5内に、補正用カウントコンベア15から物品が投入される。なお、この実施例では、2連の投入コンベア4であるため、各無端軌道3の外測部に補正用カウントコンベア15が備えられている。
【0022】
図1の符号18は洗浄ノズルを示し、計数穴の汚れをこの洗浄ノズル18で洗浄する。なお、
図1において、符号19は移動用キャスター、20は固定脚を示している。
【0023】
次に、前記物品計数投入装置1の物品の投入個数の設定方法について説明する。例えば、7個の物品を包装袋に投入する場合は、
図3の物品搬送方向の左側の計数穴7をカバー部材10でカバーする。そうすると計数穴7は3個と4個のリテーナ2が物品搬送方向に互い違いに配置されることになるので、前記無端軌道3をリテーナ2の2ピッチ分だけ間欠回転すると、7個の物品を投入ホッパー5に投入することができる。包装機のタイミングに合わせて、投入シャッタ11を開き、投入ホッパー5からロート12を介して物品を包装袋内に投入する。
【0024】
8個の物品を包装袋に投入する場合は、
図3の物品搬送方向の右側の計数穴7をカバー部材10でカバーする。そうすると計数穴7は4個のリテーナ2が物品搬送方向に多数並列するので、投入コンベア4をリテーナ2の2ピッチ分だけ回転して、8個の物品を投入ホッパー5内に投入することができる。
【0025】
同様に、6個の物品を包装袋に投入する場合は、物品搬送方向の両側の計数穴7をカバー部材10でカバーして3個の計数穴7とし、無端軌道3を駆動装置によりリテーナ2の2ピッチ分だけ回転して6個の物品を投入する。9個の物品を包装袋に投入する場合は、カバー部材10で計数穴7をカバーすることなく、無端軌道3をリテーナ2の2ピッチ分だけ回転する。
【0026】
なお、4個以下の物品を包装袋に投入する場合は、物品搬送方向の右側から順次、計数穴7をカバー部材10でカバーし、無端軌道3をリテーナ2の1ピッチ分だけ回転する。以上のようにして、物品を偶数でも奇数でもカバー部材10によって変更することができる。
【0027】
さらに、10個以上の偶数個又は奇数個の物品を包装袋に投入する場合、計数穴7の個数を増やしたリテーナ2を製作し、前述の実施例のように、偶数個と奇数個のリテーナ2を物品搬送方向に互い違いに配置して、投入したい物品の個数に応じて無端軌道3の一部をカバー部材10で覆い、リテーナ2の2ピッチ分だけ無端軌道3を回転する。計数穴7の個数に応じて、無端軌道3をリテーナ2の3ピッチ分以上回転させてもよいが、回転させるリテーナ2のピッチの数が増えすぎて包装機の包装袋への物品の投入スピードが遅くならない程度に限定することが好ましい。
【0028】
前記のような物品計数投入装置1の構成により、
無端軌道3を構成するリテーナ2は、計数する物品が嵌まり込む計数穴7が偶数個と奇数個とに形成されたものが互い違いに連続的に連結され、前記無端軌道3のリテーナ2の上部に、計数穴7に物品が嵌まり込むのを妨げる個数変更用のカバー部材10が着脱可能に備えられ、物品の個数に応じて、前記駆動機構がリテーナ2の必要なピッチ分だけ無端軌道3を回転させて、偶数、奇数いずれの個数でも物品を投入ホッパーに投入することができる。さらに、駆動機構が無端軌道3をリテーナ2の複数ピッチ分だけ回転することができるため、投入コンベア4の幅を小さくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、主に加工食品用包装機にミートボールのような物品を計数して包装機の包装袋に投入する物品計数投入装置に有用である。
【符号の説明】
【0030】
1 物品計数投入装置
2 リテーナ
3 無端軌道
4 投入コンベア
5 投入ホッパー
6 物品プールホッパー
7 計数穴
10 カバー部材
11 投入シャッタ
13 掻き落とし羽車
14 物品確認センサー
15 補正用カウントコンベア
16 下降口