(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内筒と外筒からなり、内筒と外筒の間に流体を供給することにより、内筒は内側に、外筒は外側に膨出するとともに、内筒及び外筒が軸方向に収縮する膨縮体を複数個連結してなる管ユニットであって、
前記管ユニットにおける各膨縮体への流体供給前の自然長より収縮させた状態で収容する枠体を備え、
初期状態において、各膨縮体が、流体供給前の自然長より収縮させた状態で、前記枠体に摺動自在に固定され、かつ、管ユニットにおける膨縮体の両端部間の長さが、初期状態及び搬送状態のいずれの状態でも同一長さになるようにしたことを特徴とする管ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態に係る管ユニット2を連結して構成された管路1を示している。
管路1は、複数の管ユニット2を連結することにより、気体,液体,粉体を含む固体、固液混相体等を上流側から下流側に向けて搬送する。図中矢印が示す方向と同一方向を下流側、逆方向を上流側として説明する。なお、
図1,
図2,
図4(c),
図6,
図7等の各図において、管ユニット2を構成する膨縮体5を、他の状態と区別するために、説明の便宜上、波状に示した。
【0010】
図2は、管ユニット2の概略構成図、
図3は、膨縮体5の軸方向断面図及び径方向断面図である。
図2に示すように、管ユニット2は、概略、複数の膨縮体5からなる管路部3と、枠体7とで構成される。
図3に示すように、管路部3を構成する膨縮体5は、内筒11と、内筒11の外周面に沿って同軸に設けられた外筒12と、一対のエンドリング15;16が設けられている。内筒11及び外筒12は、例えば0.2〜5mm程度の厚さのゴム、エラストマーなどの膨張可能なマトリックス材料と、軸方向に沿うように配向した多数の高弾性繊維(図示略)からなる繊維層との複合材料により構成される。高弾性繊維には、炭素繊維、グラスファイバー、アラミド繊維等が好適である。高弾性繊維は、内筒11及び外筒12の軸方向に沿うように配向される。これにより、内筒11及び外筒12は、軸方向への伸長が規制される。
【0011】
さらに、内筒11には、軸方向に沿って一端から他端にまで延在する拘束体13が複数本(この実施の形態では4本)埋設される。本実施形態では、4本の拘束体13が周方向に均等な間隔、つまり90°毎に埋設されている。拘束体13には、例えば炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等の繊維のロービング(繊維を引き揃えたもの)、ヤーン(撚りをかけたもの)、コード(合糸したもの)や、金属のワイヤなど、引張弾性率が内筒11を形成するマトリックス材料の弾性率以上のものが適用される。
なお、拘束体13は、上述のように、繊維状のものを別途設けることの他に、内筒11の基材であるマトリックス材料により形成することもできる。
【0012】
例えば、内筒11は、筒状の型材の外周にゴムラテックスを塗布し、次いで高弾性繊維及び拘束体13を配材し、さらにその上からゴムラテックスを塗布し、架橋させた後に、離型することで円筒状に成形される。また、外筒12は、筒状の型材の外周にゴムラテックスを塗布し、次いで高弾性繊維を配材し、さらにその上からゴムラテックスを塗布し、架橋させた後に、離型することで円筒状に成形される。なお、内筒11の成形方法はこれに限定されるものではなく、ゴム、エラストマー等のマトリックス材料と、炭素繊維などの高弾性繊維と、拘束体とを共押し出しして成形することも可能である。
【0013】
一対のエンドリング15;16は、筒部15A;16Aと、筒部15A;16Aの外周に突設されたフランジ部15B;16Bとを備える。
一方のエンドリング15の筒部15Aの内周の外向き角縁には、該角縁に沿って軸方向内向きに窪む環状凹部15aが形成され、他方のエンドリング16の筒部16Aの内周の外向き角縁には、該角縁に沿って軸方向外向きに突出する環状凸部16aが形成される。
また、エンドリング15;16の筒部15A;16Aには、一端面側から他端面側に貫通する複数の孔27が設けられる。複数の孔27は、エンドリング15;16の中心を中心とする同一円周上に均等な間隔で設けられる。
【0014】
外筒12の両端は、筒部15A;16Aの外周面に重ね合わされ、押えリング17;17によって固定される。内筒11の両端は、エンドリング15;16の端面15t;16tに回り込み、押えリング18;19によって固定される。即ち、内筒11は、一端が環状凹部15aと押えリング18とにより、他端がエンドリング16と押えリング19とによりそれぞれ挟持されて強固に固定される。
これにより、内筒11、外筒12及び一対のエンドリング15;16によって囲まれた気室8が形成される。
そして、気室8に空気を供給することにより、
図4(b)に示すように、内筒11のうち拘束体13同士の間の部分が求心方向(内側)に、外筒12が放射方向(外側)にそれぞれ膨張する。つまり、膨縮体5の外筒12は、外径がd2からD2へと拡径する。この膨張に伴ない、膨縮体5は、
図4(a)に示す自然状態(気室に後述の圧縮空気が供給されていない状態)の軸方向の長さ(以下、自然長という)がLmaxからLminへと収縮する。自然長Lmaxは、膨縮体5が軸方向に最も伸長した長さであり、Lminは、膨縮体5が軸方向に最も収縮した長さである。
なお、
図4(b)の断面図には、説明の便宜上、内筒11の求心方向への膨張により閉塞される内筒11の内周空間を隙間zとして示してあるが、膨縮体5が軸方向に最も収縮したとき(Lminのとき)には、隙間zはゼロとなる。膨縮体5の膨張時の隙間zの有無やその大きさについては、搬送物に応じて膨縮体5の収縮量を調節することにより、搬送効率が最大化されるように適宜設定される。例えば、隙間zの有無や大きさは、膨縮体5に供給する流体の圧力により調整される。
そして、気室8から空気を排出することにより、内筒11及び外筒12が収縮して元の筒形状(自然状態)に復帰する。
なお、内筒11及び外筒12は、気室8に供給される空気の圧力によって膨張可能に構成されていれば良く、上記材料や厚さ等について限定されない。
【0015】
図3に示すように、一方のエンドリング16には、気室8に連通する孔30が設けられる。孔30は、上記孔27を避けて形成される。孔30の一端は筒部16Aの外周面に開口し、筒部16Aの内部を延長して他端が気室8に開口する。孔30の外周面側の開口部には、駆動装置9から延長するチューブ45が接続される。
【0016】
そして、
図2に示すように、管路部3は、例えば、所定数(本実施形態では6個)の膨縮体5が同軸に連結される。管路部3は、互いに連結される一方の膨縮体5のエンドリング15の環状凹部15aに、他方の膨縮体5のエンドリング16の環状凸部16aをはめ込み(
図3の破線で示す)、各エンドリング15;16に設けられた孔27;27にボルト28を貫通させてナット29を締付けることにより連結される。各膨縮体5の内筒11は、両端がエンドリング15;16の端面15t;16tに回り込むようにエンドリング15;16に固定されているため、連結した際に、内筒11;11同士が密着することにより、連続する内筒11;11の気密が形成される。
なお、膨縮体5同士を連結する場合、隣接する膨縮体5の拘束体13の周方向の位置が互いに合致していてもよく(即ち、各膨縮体5の拘束体13が一直線状に揃っていてもよく)、周方向にずれていてもよい。
【0017】
図5は、枠体7の構成図である。同図に示すように、枠体7は、一対の端部部材21;22と複数の連結軸23とを備え、上記管路部3を収容する。本実施形態では、枠体7は、複数の膨縮体5を直線状に連結した状態で収容するものとして説明する。即ち、管ユニット2を直管として構成した場合について説明する。
なお、枠体7は、複数の膨縮体5を直線状に連結した状態で収容するものに限定されず、連結された複数の膨縮体5を例えば円弧状等のように曲線的に収容可能に構成しても良い。これにより、配管における曲がり管を構成することができる。
端部部材21;22は、管ユニット2の端部に位置するエンドリング15;16を収容可能に構成される。具体的には、一方の端部部材21には、一方のエンドリング16を収容する収容部21a、他方の端部部材22には、他方のエンドリング15を収容する収容部22aが形成される。収容部21aは、エンドリング16を収容したときに、端部部材21の外側端面21tから環状凸部16aの全体が突出するように形成される。また、収容部22aは、エンドリング15を収容したときに、エンドリング15の端面15tが端部部材22の外側端面22tと面一、或は突出するように形成される。このように、端部部材21;22を構成することにより、管ユニット2;2同士を連結するときに、一方の管ユニット2の管路部3を構成する内筒11と、他方の管ユニット2の管路部3を構成する内筒11とが密着して管ユニット2同士の気密が形成される。
【0018】
各端部部材21;22には、厚さ方向に貫通する複数の孔21Aが形成される。孔21Aは、例えば、同一円周上において均等な間隔で複数設けられ、当該孔21Aを利用して連結軸23が固定される。
孔21Aは、複数の連結軸23を固定した際に、膨縮体5のエンドリング15;16が連結軸23の外周に沿って軸方向に摺動自在に接するように設けられる。このように、連結軸23とエンドリング15;16の関係を設定しておくことにより、膨縮体5の膨縮動作を安定させることができる。つまり、連結軸23は、膨縮体5が膨縮にともない軸方向へ伸縮するときの伸縮方向を規制するガイド部として機能する。
【0019】
連結軸23は、例えば、同一径で所定長さ延長する軸体であって、連結軸23の両端には、該連結軸23の中心軸を中心とするねじ孔23Aを備える。
そして、連結軸23は、一方の端部部材21の孔21Aにボルト26を貫通させて、一端側のねじ孔23Aにねじ込み、締め付けることで、一方の端部部材21に固定される。次に、複数の膨縮体5を連結した管路部3を複数の連結軸23の間に介挿し、端部部材21の収容部21aに一端に位置する膨縮体5のエンドリング16を収容する。次に、他方の端部部材21のねじ孔23Aにボルト26を貫通させて連結軸23のねじ孔23Aにねじ込み、締め付けることで他方の端部部材22の収容部22aに他端に位置する膨縮体5のエンドリング15を収容しつつ端部部材22を連結軸23に固定する。このボルト26の締め付けにより、管路部3は、
図2に示すように、軸方向に圧縮された状態で枠体7に収容される。
【0020】
連結軸23は、枠体7を構成する一方の端部部材21の収容部21aにおいてエンドリング16が当接する当接面21bから他方の端部部材22の収容部22aにおいてエンドリング15が当接する当接面22bまでの長さLxが、連結された膨縮体5の軸方向長さLmaxの合計値(Lmax×6)よりも短くなるように設定される。
上述のように、膨縮体5は、軸方向に実質的に伸長しないため、管ユニット2を構成するいずれかの膨縮体5が収縮する際に、他の膨縮体5が最も伸長した状態にあると、収縮の妨げとなる。そこで、予め最も伸長した状態(
図4(a)に示す状態)から、あらかじめ軸方向に外的に予圧縮した状態(
図4(c)に示す状態)としておくことにより、膨縮体5の収縮をスムーズに行わせることができる。
【0021】
例えば、
図2に示すように、6つの膨縮体5が連結された1つの管ユニット2において、1つの膨縮体5を順番に収縮させる場合には、膨縮体5が軸方向に最も収縮したときの長さLminに、残りの膨縮体5が最も伸長したときの長さLmax×5を加えた長さとなるように、連結軸23の長さLxを設定すると良い。このように当接面21bから当接面22bまでの長さLxを設定することにより、管路部3は枠体7に軸方向に圧縮された状態で収容されるが、1つの膨縮体5を膨張させて軸方向に収縮させたときに、残りの膨縮体5が自然状態の長さLmaxとなり、膨張すべき膨縮体5の膨張を妨げずに軸方向に最も収縮させることができる。つまり、搬送路である内筒11の求心方向への膨張を最大化することができるので、膨縮体5の膨縮動作の効率を向上させることができる。
このような枠体7の軸方向長さLxの設定は、管路部3を構成する膨縮体5の連結数をn、自然状態の長さ(自然長)をLmax、膨縮体5の軸方向の最大変位(Lmax−Lmin)をa、同時に軸方向に収縮する膨縮体5の数をmとした場合、以下の式(1)に示すように定式化することができる。
Lx=n×Lmax−m×a (1)
即ち、枠体7の延長長さLxは、各膨縮体5の最大伸長長Lmaxに、膨縮体5の収容数nを乗じた長さから、各膨縮体5の最大変位長に、同時に収縮する収縮数mを乗じた長さを減じた長さにより求められる。
【0022】
なお、上記式(1)により求められる枠体7の延長長さLxは、複数の膨縮体5を連結したときの内筒11の求心方向への膨張を最大化するための基準となるものであって、各膨縮体5の膨縮動作を妨げない範囲で、算出された延長長さLxよりも長く、或は延長長さLxよりも短く設定しても良い。
【0023】
上記管路部3を構成する各膨縮体5は、駆動装置9により制御される。
図2に示すように、駆動装置9は、各膨縮体5の気室8に圧縮空気を供給する空気供給手段41と、各気室8への空気の供給及び排気を制御する制御弁42と、制御弁42の動作を制御するコントロールユニット43とを備える。
空気供給手段41は、例えば、圧縮空気を供給可能なエアコンプレッサや圧縮空気を貯留するエアタンクにより構成される。
【0024】
制御弁42は、チューブ44により空気供給手段41と、チューブ45により気室8と接続される。制御弁42は、空気供給手段41から気室8への圧縮空気の供給を制御する供給弁と、気室8の空気を排気する排気弁とを備える。供給弁及び排気弁は、それぞれコントロールユニット43と電気的に接続され、空気供給手段41から気室8への圧縮空気の供給、膨縮体5の膨張状態の維持及び気室8からの空気の排気を制御する。供給弁及び排気弁は、1つの膨縮体5に対に設けられる。即ち、制御弁42には、管路部3を構成する膨縮体5の数量に対応する数量の供給弁及び排気弁が少なくとも設けられている。チューブ44及びチューブ45には、耐圧かつ可撓性を有するものが好ましい。
【0025】
コントロールユニット43は、演算手段としてのCPU、管ユニット2の動作を制御するためのプログラムを記憶するROM等の記憶手段を含むマイクロコンピュータを備える。コントロールユニット43は、入力手段から入力された指令に応じて供給弁や排気弁に出力する信号を制御する。
コントロールユニット43は、例えば、記憶手段に、管ユニット2における各膨縮体5を膨縮させる順序を規定するプログラムが記憶される。例えば、管ユニット2を構成する膨縮体5を一方向に順に膨縮させる搬送モードや、管ユニット2を構成する膨縮体5の膨縮を一端側から他端側に往復させる攪拌モード等を実行するプログラムが記憶される。
【0026】
図6は、管ユニット2による搬送動作の一例を示す図である。
図6(a)は、管ユニット2が設置された初期状態を示している。同図に示すように、管ユニット2を構成する複数の膨縮体5はそれぞれ均等な長さ圧縮された状態にある。
まず、
図6(b)に示すように、最も上流側に位置する膨縮体5Aの気室8に空気を供給し、内筒11の壁面同士が接するように膨張(軸方向に収縮)させることにより、膨縮体5Aに位置する搬送物が上流側の膨縮体5Bに押し出される。膨縮体5Aの膨張(軸方向への収縮)により、残りの膨縮体5B乃至5Fは、枠体7に収容された状態よりも軸方向に伸長した状態となる。
次に、
図6(c)に示すように、膨縮体5Aの膨張を維持したまま、膨縮体5Bの気室8に空気を供給し、内筒11の壁面同士が接するように膨張(軸方向に収縮)させることにより、膨縮体Aにより搬送物の逆流が阻止され、膨縮体5Bに位置する搬送物が膨縮体5Cへと押し出される。このとき管ユニット2を構成する膨張状態にある2つの膨縮体5A;5Bを除いた残りの膨縮体5C乃至5Fは、軸方向に最も伸長した状態(自然状態)にある。
次に、
図6(d)に示すように、膨縮体5Bの膨張を維持したまま、膨縮体5Aの気室8から空気の排出と膨縮体5Cの気室8への空気の供給とを同時に行い、膨縮体5Aの内筒11を収縮(軸方向に伸長)させるとともに膨縮体5Cの内筒11の壁面同士が接するように膨張(軸方向に収縮)させることにより、膨縮体Bにより搬送物の逆流が阻止され、膨縮体5Cに位置する搬送物が膨縮体5Dへと押し出される。このとき管ユニット2を構成する膨張状態にある2つの膨縮体5B;5Cを除いた残りの膨縮体5A、膨縮体5D〜5Fは、軸方向に最も伸長した状態(自然状態)にある。
次に、
図6(e)に示すように、膨縮体5Cの膨張を維持したまま、膨縮体5Bの気室8から空気の排出と膨縮体5Dの気室8への空気の供給とを同時に行い、膨縮体5Bの内筒11を収縮(軸方向に伸長)させるとともに膨縮体5Dの内筒11の壁面同士が接するように膨張(軸方向に収縮)させることにより、膨縮体5Cにより搬送物の逆流が阻止され、膨縮体5Dに位置する搬送物が膨縮体5Eへと押し出される。このとき管ユニット2を構成する膨張状態にある2つの膨縮体5C;5Dを除いた残りの膨縮体5A,5B、5E,5Fは、軸方向に最も伸長した状態(自然状態)にある。
次に、
図6(f)に示すように、膨縮体5Dの膨張を維持したまま、膨縮体5Cの気室8から空気の排出と膨縮体5Eの気室8への空気の供給とを同時に行い、膨縮体5Cの内筒11を収縮(軸方向に伸長)させるとともに膨縮体5Eの内筒11の壁面同士が接するように膨張(軸方向に収縮)させることにより、膨縮体5Dにより搬送物の逆流が阻止され、膨縮体5Eに位置する搬送物が膨縮体5Fへと押し出される。このとき管ユニット2を構成する膨張状態にある2つの膨縮体5D;5Eを除いた残りの膨縮体5A〜5C,5Fは、軸方向に最も伸長した状態(自然状態)にある。
次に、
図6(g)に示すように、膨縮体5Eの膨張を維持したまま、膨縮体5Dの気室8から空気の排出と膨縮体5Fの気室8への空気の供給とを同時に行い、膨縮体5Dの内筒11を収縮(軸方向に伸長)させるとともに膨縮体5Fの内筒11の壁面同士が接するように膨張(軸方向に収縮)させることにより、膨縮体5Eにより搬送物の逆流が阻止され、膨縮体5Fに位置する搬送物が、下流側に連結された管ユニット2へと押し出される。このとき管ユニット2を構成する膨張状態にある2つの膨縮体5E;5Fを除いた残りの膨縮体5A〜5Dは、軸方向に最も伸長した状態(自然状態)にある。
次に、
図6(h)に示すように、膨縮体5Fの膨張を維持したまま、膨縮体5Eの気室8から空気の排出と、下流側に連結された管ユニット2の最も上流側に位置し、膨縮体5Fに隣接する膨縮体5Aの気室8への空気の供給とを同時に行い、膨縮体5Fの内筒11を収縮(軸方向に伸長)させるとともに隣接する膨縮体5Aの内筒11の壁面同士が接するように膨張(軸方向に収縮)させることにより、膨縮体5Fにより搬送物の逆流が阻止され、膨縮体5Fに位置する搬送物が、下流側に連結された管ユニット2の膨縮体5Bへと押し出される。このとき上流側に位置する管ユニット2の膨縮体5A〜5Eは、枠体7に収容された状態よりも軸方向に伸長した状態となる。
このように、管ユニット2を構成する膨縮体5A乃至5Fを、連続するように2つずつ上流側から下流側に向けて順番に膨張させることにより、搬送物を下流側に移動させることができる。
そして、
図1に示すように、複数の管ユニット2を連結して構成された配管において、上流側の管ユニット2から
図6(b)乃至
図6(h)に示した動作を、下流側の管ユニット2へと連続させることにより搬送物を搬送できる。
また、他の搬送動作として、例えば、
図1に示すように、複数の管ユニット2が連結されている場合に、各管ユニット2毎に
図6(b)乃至
図6(h)に示した動作を個別に動作させることで搬送物を搬送することもできる。
【0027】
また、本実施形態に係る管ユニット2は、
図6に示すように上流側から下流側への搬送のみならず、搬送物を撹拌しつつ下流側に搬送することも可能である。例えば、液体と固体とを混合しつつ搬送する場合、或は、固形物を粉砕しながら搬送する場合に好適である。
この場合、
図7に示すように、管ユニット2を動作させれば良い。なお、以下の説明では、1つの管ユニット2により動作を説明するが、複数の管ユニット2を連結して行うこともできる。
図7(a)に示す初期状態において、例えば、管ユニット2内に膨縮体5A側から固体物及び液物の混合物が投入されたものとする。
まず、
図7(b)に示すように、最も上流側に位置する膨縮体5Aの気室8に空気を供給し、内筒11の壁面同士が接するように膨張(軸方向に収縮)させる。これにより、投入された混合物は、膨縮体5B側に押し出される。この膨縮体5Aの膨張(軸方向への収縮)により、残りの膨縮体5B乃至5Fが、枠体7に収容された状態よりも軸方向に伸長した状態となる。
次に、
図7(c)に示すように、膨縮体5Aの膨張を維持したまま、膨縮体5Bの気室8に空気を供給し、内筒11の壁面同士が接するように膨張(軸方向に収縮)させる。これにより、混合物は、膨縮体Aにより逆流が阻止され、膨縮体5Bから膨縮体5C側に押し出される。2つの膨縮体5A;5Bの膨張により、管ユニット2を構成する残りの膨縮体5C乃至5Fは、枠体7内において軸方向に最も伸長した状態(自然状態)となる。
次に、
図7(d)に示すように、膨縮体5Bの膨張を維持したまま、膨縮体5Aの気室8から空気の排出と膨縮体5Cの気室8への空気の供給とを同時に行い、膨縮体5Aの内筒11を収縮(軸方向に伸長)させるとともに膨縮体5Cの内筒11の壁面同士が接するように膨張(軸方向に収縮)させる。これにより、混合物は、膨縮体Bにより逆流が阻止され、膨縮体5Cから膨縮体5D側に押し出される。2つの膨縮体5B;5Cの膨張により、管ユニット2を構成する残りの膨縮体5A、膨縮体5D〜5Fは、軸方向に最も伸長した状態(自然状態)にある。
次に、
図7(e)に示すように、膨縮体5Cの膨張を維持したまま、膨縮体5Bの気室8から空気の排出と膨縮体5Dの気室8への空気の供給とを同時に行い、膨縮体5Bの内筒11を収縮(軸方向に伸長)させるとともに膨縮体5Dの内筒11の壁面同士が接するように膨張(軸方向に収縮)させる。これにより、混合物は、膨縮体5Cにより混合物の逆流が阻止され、膨縮体5Dから膨縮体5E側に押し出される。2つの膨縮体5C;5Dの膨張により管ユニット2を構成する残りの膨縮体5A,5B、5E,5Fは、軸方向に最も伸長した状態(自然状態)にある。
次に、
図7(f)に示すように、膨縮体5Dの膨張を維持したまま、膨縮体5Cの気室8から空気の排出と膨縮体5Fの気室8への空気の供給とを同時に行い、膨縮体5Cの内筒11を収縮(軸方向に伸長)させるとともに膨縮体5Fの内筒11の壁面同士が接するように膨張(軸方向に収縮)させる。これにより、混合物は、膨縮体5Dと膨縮体5Fとの間に堰き止められる。2つの膨縮体5D;5Fの膨張により管ユニット2を構成する残りの膨縮体5A〜5C,5Eは、軸方向に最も伸長した状態(自然状態)にある。
次に、
図7(g)に示すように、膨縮体5Fの膨張を維持したまま、膨縮体5Dの気室8から空気の排出と膨縮体5Eの気室8への空気の供給とを同時に行い、膨縮体5Dの内筒11を収縮(軸方向に伸長)させるとともに膨縮体5Eの内筒11の壁面同士が接するように膨張(軸方向に収縮)させる。これにより、混合物は、膨縮体Fにより移動が阻止され、膨縮体5Eに位置する混合物が膨縮体5D側へと押し出される。なお、膨張状態にある2つの膨縮体5E;5Fを除いた残りの膨縮体5A〜5Dは、軸方向に最も伸長した状態(自然状態)にある。
次に、
図7(h)に示すように、膨縮体5Eの膨張を維持したまま、膨縮体5Fの気室8から空気の排出と膨縮体5Dの気室8への空気の供給とを同時に行い、膨縮体5Fの内筒11を収縮(軸方向に伸長)させるとともに膨縮体5Dの内筒11の壁面同士が接するように膨張(軸方向に収縮)させる。これにより、混合物の膨縮体5E側への移動が阻止され、膨縮体5Dに位置する混合物が膨縮体5Cへと押し出される。このとき膨張状態にある2つの膨縮体5D;5Eを除いた残りの膨縮体5A〜5C,5Fは、軸方向に最も伸長した状態(自然状態)にある。
次に、
図7(i)に示すように、膨縮体5Dの膨張を維持したまま、膨縮体5Eの気室8から空気の排出と膨縮体5Cの気室8への空気の供給とを同時に行い、膨縮体5Eの内筒11を収縮(軸方向に伸長)させるとともに膨縮体5Cの内筒11の壁面同士が接するように膨張(軸方向に収縮)させる。
これにより、混合物の膨縮体5D側への移動が阻止され、膨縮体5Cに位置する混合物が膨縮体5Bへと押し出される。このとき膨張状態にある2つの膨縮体5C;5Dを除いた残りの膨縮体5A,5B,5E,5Fは、軸方向に最も伸長した状態(自然状態)にある。
次に、
図7(j)に示すように、膨縮体5Cの膨張を維持したまま、膨縮体5Dの気室8から空気の排出と膨縮体5Aの気室8への空気の供給とを同時に行い、膨縮体5Dの内筒11を収縮(軸方向に伸長)させるとともに膨縮体5Aの内筒11の壁面同士が接するように膨張(軸方向に収縮)させる。
これにより膨張状態にある膨縮体5Cと膨縮体5Aとの間に混合物が堰き止められる。なお、膨張状態にある2つの膨縮体5A;5Cを除いた残りの膨縮体5B,5D5Fは、軸方向に最も伸長した状態(自然状態)にある。
次に、
図7(k)に示すように、膨縮体5Aの膨張を維持したまま、膨縮体5Cの気室8から空気の排出と膨縮体5Bの気室8への空気の供給とを同時に行い、膨縮体5Cの内筒11を収縮(軸方向に伸長)させるとともに膨縮体5Bの内筒11の壁面同士が接するように膨張(軸方向に収縮)させる。これにより、混合物は、膨縮体Aにより移動が阻止され、膨縮体5Bに位置する混合物が膨縮体5C側へと押し出される。なお、膨張状態にある2つの膨縮体5A;5Bを除いた残りの膨縮体5C〜5Dは、軸方向に最も伸長した状態(自然状態)にある。
そして、
図7(b)乃至
図7(i)を繰り返すことにより、膨縮体5A〜5Fの間で混合物を往復させ、混合物を構成する固体物と液物とを均等に混合させることができる。混合した後には、下流側に向けて
図6(b)乃至(g)に示すように、膨縮体5を一方向に順次膨張、収縮を行うことにより混合物を下流側へと搬送することができる。
また、砕石などの固体物を粉砕しつつ搬送する場合にも上述のように膨縮体5A〜5Fまでの間を搬送物を往復させることにより、搬送物同士を衝突させて粉砕させることもできる。
【0028】
以上説明したように、本実施形態に係る管ユニット2によれば、膨縮体5の膨縮動作が、連結された管ユニット2に影響を及ぼさないため、搬送物の搬送効率を向上させることができる。
また、管ユニット2において、膨縮体5の膨縮動作を考慮して枠体7内に収容されているため、膨縮体5の膨縮動作を安定させることができる。
【0029】
なお、上記実施形態では、1つの管ユニット2において2つの膨縮体5を同時に膨張(軸方向に収縮)させるものとして説明したがこれに限定されない。例えば、6つの膨縮体5からなる1つの管ユニット2において、1つ、或は同時に2つ以上の膨縮体5を膨張させるようにしても良い。この場合、1つの管ユニット2内で同時に膨張する数量に応じて、上記式(1)に基づいて連結軸23の長さLxを設定すると良い。
【0030】
また、上述の実施形態において、繊維層により軸方向への伸長を規制することで、気室8を径方向に膨張させると共に、軸方向に収縮させる構成を採用したが、これに限られるものではなく、スリーブ状に編み込んだ繊維コードで環状のゴムを覆うことにより軸方向への伸長を規制する所謂マッキベン型の構成を採用しても良い。