(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなスカラロボットの各アームは、高速で回動する。このため、各アームの剛性が高いことが望ましく、特に、第1アームの先端を支点に回動する第2アームの剛性が高いことが望まれる。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、アームの剛性を向上させることができるスカラロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るスカラロボットは、
基部と、
前記基部に回動可能に支持されている第1アームと、
前記第1アームに回動可能に支持され、駆動側アーム部分と従動側アーム部分とを有する第2アームと、
を備え
、
前記第2アームは、
第1回転軸を有するZモータユニットと、
前記第1回転軸の回転運動に伴って直線運動をするボールねじナットを有するボールねじと、
第2回転軸を有するRモータユニットと、
前記ボールねじナットの直線運動に伴って直線運動をするとともに、前記第2回転軸の回転運動に伴って回転運動をするスプライン軸を備えたボールスプラインと、を有し、
前記Zモータユニット及び前記Rモータユニットのいずれか一方は、前記駆動側アーム部分に配置され、
前記Zモータユニット及び前記Rモータユニットのいずれか他方は、前記従動側アーム部分に配置されている。
【0009】
前記駆動側アーム部分と、前記従動側アーム部分と、前記第1アームとの間には、空間が形成されていてもよい。
【0010】
前記駆動側アーム部分、前記従動側アーム部分、及び前記第1アームの少なくともいずれかには、前記空間に露出する放熱部が設けられていてもよい。
【0011】
前記第1アームは、第1の面と、前記第1の面とは反対側の第2の面と、を有し、
前記駆動側アーム部分の基端は、前記第1の面に取り付けられ、
前記従動側アーム部分の基端は、前記第2の面に取り付けられ、
前記駆動側アーム部分の先端は、前記従動側アーム部分の先端に固定されていてもよい。
【0012】
前記第1アームは、モータフランジを有し、
前記モータフランジに前記第2アームを回動させるJ2モータユニットが固定されていてもよい。
【0013】
前記J2モータユニットは、モータ本体と、減速機と、を具備し、
前記モータ本体及び前記減速機のいずれか一方は、前記第1の面に取り付けられ、
前記モータ本体及び前記減速機のいずれか他方は、前記第2の面に取り付けられていてもよい。
【0014】
前記J2モータユニットは、前記減速機から突出する第3回転軸を有し、
前記J2モータユニットの前記第3回転軸は、前記駆動側アーム部分に固定されていてもよい。
【0015】
前記第1アームには、前記第1アームの外部に露出する放熱部が設けられていてもよい。
【0016】
前記放熱部は、前記第1アームの回動する方向に沿って設けられている複数の放熱フィンを有していてもよい。
【0017】
前記第1アームは、前記放熱部と、前記J2モータユニットのモータ本体とを接続し、伝熱性の素材からなる伝熱部材を有していてもよい。
【0018】
前記基部は、前記第1アームを回動させるためのJ1モータユニットを有していてもよい。
【0019】
本発明の第2の観点に係るスカラロボットは、
基部と、
前記基部に回動可能に支持される第1アームと
前記第1アームに回動可能に支持され、駆動側アーム部分と従動側アーム部分とを有する第2アームと、を有し、
前記基部、前記第1アーム、前記駆動側アーム部分、及び従動側アーム部分には、それぞれ1つのモータが配置される。
【発明の効果】
【0020】
本発明のスカラロボットでは、第2アームは、駆動側アーム部分と従動側アーム部分との2本のアームを有する。このため、第2アームの剛性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係るスカラロボット100について説明する。なお、図中のXY平面は水平な面であり、図中のZ軸の方向は鉛直方向である。
【0023】
本実施形態のスカラロボット100は、
図1〜
図3に示すように、例えば、産業用ロボットとして用いられる水平多関節型ロボットである。スカラロボット100は、基部10と、第1アーム20と、ボールねじ60及びボールスプライン70を有する第2アーム30とを備える。スカラロボット100は、4つの運動軸L1〜L4について運動する。詳しくは、運動軸L1を回転軸として第1アーム20が基部10に対して回動し、運動軸L2を回転軸として第2アーム30が第1アーム20に対して回動する。また、ボールねじ60のボールねじナット62は、運動軸L3に沿って往復運動(直線運動)をし、ボールスプライン70のスプライン軸72は、ボールねじナット62の往復運動とともに運動軸L4に沿って往復運動(直線運動)をする。また、運動軸L4を回転軸として順逆双方向の回転運動をする。
【0024】
基部10は、第1アーム20を回動可能に支持する部材で、熱容量及び熱伝導性が良好な素材のアルミ材からなる基部本体12と、基部本体12に配置されているJ1モータユニット11を有する。基部本体12は、J1モータユニット11を支持するとともにJ1モータユニット11を覆っている。J1モータユニット11は、例えば、ACサーボモータから構成され、モータ本体11aと、減速機11bと、エンコーダ11cと、減速機11bの出力軸11dとを有する。
【0025】
J1モータユニット11のモータ本体11aには、ケーブル等を介して電力が供給される。モータ本体11aに電力が供給されることによって、モータ本体11aの図示しないロータが回転する。このロータの回転運動は、減速機11bによって所定の減速比で減速され、出力軸11dに出力される。出力軸11dは、第1アーム20に接続されており、出力軸11dの回転とともに、第1アーム20は、運動軸L1を回転軸として回動する。エンコーダ11cは、出力軸11dの回転位置、回転量、又は回転速度等を検出する。J1モータユニット11のエンコーダ11cは、例えば、アブソリュートエンコーダから構成される。
【0026】
基部本体12は、Z軸方向を長手方向とするケース状の部材である。
【0027】
支柱14は、スカラロボット100の各部のモータユニットに電力供給、及び通信をするための図示しないケーブルを、内装する筒状の部材である。支柱14は、概ね、基部本体12の長手方向と平行な方向に延在し、基部台板13を介して支柱14の−Z側の端部と基部本体12の−Z側の端部とが接続される。
【0028】
第1アーム20は、減速機11bの出力軸11dに取り付けられることで、基部10に回動可能となっていると共に、第2アーム30を回動可能に支持する。第1アーム20は、
図4に示すように、第1アーム本体21と、J2モータユニット22と、放熱部23と、伝熱板部24と、モータフランジ25とを有している。また、第1アーム本体21は第1アーム本体上側フレーム21aと第1アーム本体下側フレーム21bとにより中空構造となっている。
【0029】
第1アーム本体21は、基部10に接続される円筒部分21cと、J2モータユニット22が内部に配置される円筒部分21dと、2つの円筒部分21c,21dを連結する連結部分21eとを有する。第1アーム本体21は、例えば、熱容量及び熱伝導性が良好な素材のアルミ材からなる。第1アーム本体21の連結部分21e内には、J2モータユニット22のモータ本体22a等に電力供給や通信をするための図示しないケーブルが配線される。また、第1アーム20(詳しくは、第1アーム本体21)は、上側の面21fと、上側の面21fとは反対側の下側の面21gと、を有する。また、支柱14は、連結部材15及び第1アーム本体21の上側の面21fに設置された軸受15aを介して第1アーム本体21の円筒部分21cに連結される。支柱14が連結部材15及び軸受15aを介して第1アーム本体21に接続されることで、第1アーム本体21の中空構造に電力供給や通信をするための図示しないケーブルを配線することができるとともに、第1アーム本体21が連結部材15、ひいては支柱14に対して回動可能とすることができる。尚、支柱14、連結部材15を経由して配置される図示しないケーブルは、ケーブルカバー16によりスカラロボット100の装置内に内装される。
【0030】
J2モータユニット22は、第2アーム30を回動させるために用いられる。J2モータユニット22は、モータ本体22aと、減速機22bと、減速機22bから突出する出力軸22d(第3回転軸)と、エンコーダ22cとを有する。
【0031】
J2モータユニット22のモータ本体22a及びエンコーダ22cには、図示しないケーブルを介して電力供給や通信が行われる。モータ本体22aに電力が供給されることによって、モータ本体22aの図示しないロータが回転する。このロータの回転運動は、減速機22bによって所定の減速比で減速され、出力軸22dに出力される。出力軸22dは、
図2〜
図4を参照するとわかるように、第2アーム30に接続されており、出力軸22dの回転とともに、第2アーム30は、運動軸L2を回転軸として回動する。エンコーダ22cは、出力軸22dの回転位置、回転量、又は回転速度等を検出する。
【0032】
放熱部23は、J2モータユニット22等の動作時に生じる熱を外部に放出するために用いられる。放熱部23は、第1アーム本体21の連結部分21eに、第1アーム本体21の外部に露出して設けられている。詳しくは、放熱部23は、第1アーム本体21の下側の面21g(−Z側の面)に設けられている。放熱部23は、本実施形態では、複数枚の放熱フィンから構成されている。放熱フィンは、第1アーム20の回動する方向に沿って設けられている。
【0033】
伝熱板部24は、自身の動作によって比較的高温になりやすいモータ本体22aと、放熱部23とを接続する部材である。伝熱板部24は、熱伝導性の高い、例えば、銅等の金属からなる。伝熱板部24の一端は、モータ本体22aの筐体の外周面に接続されている。伝熱板部24の他端は、第1アーム本体21の内部を延在し、放熱部23にボルト等によって接続されている。
【0034】
モータフランジ25は、J2モータユニット22を固定するために用いられる。モータフランジ25は、第1アーム20の第1アーム本体21の第1アーム本体下側フレーム21bに一体に形成されている。モータフランジ25及び第1アーム本体21は、例えば、アルミ材により形成されている。J2モータユニット22のモータ本体22aと減速機22bとは、このモータフランジ25を挟み込むように配置される。
【0035】
図2及び
図3に示すように、第2アーム30は、上述のボールねじ60及びボールスプライン70に加えて、駆動側アーム部分31と、従動側アーム部分32と、Rモータユニット40と、Zモータユニット50と、連結部材80と、これらの各部材を覆うカバー90,91とを有する。
【0036】
図2及び
図3に示すように、駆動側アーム部分31は、J2モータユニット22の減速機22bの出力軸22dを介して、第1アーム本体21に回動可能に取り付けられていると共に、Zモータユニット50等を支持する。
図5に示すように、駆動側アーム部分31は、第1アーム20の上側の面21fに取り付けられている。駆動側アーム部分31は、熱容量及び熱伝導性が良好な素材、例えば、アルミ材から形成されている。駆動側アーム部分31の先端は、従動側アーム部分32の先端に固定されている。
【0037】
図2及び
図3に示すように、従動側アーム部分32は、軸受32aを介して、第1アーム本体21に回動可能に取り付けられていると共に、Rモータユニット40等を支持する。
図5に示すように、従動側アーム部分32は、第1アーム20の下側の面21gに取り付けられている。従動側アーム部分32は、熱容量及び熱伝導性が良好な素材、例えば、アルミ材から形成されている。従動側アーム部分32は、駆動側アーム部分31の素材と同じ素材から形成されている。ただし、これに限らず、従動側アーム部分32と、駆動側アーム部分31とは、異なる素材から形成されていてもよい。しかしながら、従動側アーム部分32と、駆動側アーム部分31とは、同じ素材から形成されている方が、製造コストや製造効率の観点から望ましい。
【0038】
図2及び
図3に示すように、Rモータユニット40は、ボールスプライン70のスプライン軸72を回転運動させるために用いられる。Rモータユニット40は、モータ本体40aと、出力軸40c(第2回転軸)と、出力軸40cの回転位置、回転量、又は回転速度等を検出するエンコーダ40bとを有する。モータ本体内で発生した回転運動は、出力軸40c、及びベルトプーリ機構74によって所定の減速比で減速され、スプライン軸72に出力される。尚、ベルトプーリ機構74は、プーリ73とベルトにより2段の減速を行っている。Rモータユニット40は、本実施形態においては、モータ取付ブラケット40dを介して従動側アーム部分32に配置されている。
【0039】
Zモータユニット50は、ボールスプライン70のスプライン軸72をZ軸方向への直線運動させるために用いられる。Zモータユニット50は、モータ本体50aと、出力軸50c(第1回転軸)と、出力軸50cの回転位置、回転量、又は回転速度等を検出するエンコーダ50bとを有する。モータ本体50a内で発生した回転運動は、出力軸50c及びベルトプーリ機構63によって所定の減速比で減速、または等速で出力され、ボールねじ軸61に出力される。Zモータユニット50は、本実施形態においては、モータ取付ブラケット50dを介して駆動側アーム部分31に配置されている。尚、出力軸50cには、モータ本体50a側から順にベルトプーリ機構63の一方のプーリとブレーキ50eが支持されている。また、ブレーキ50eもモータ取付ブラケット50dを介して駆動側アーム部分31に配置されている。これにより、Zモータユニット50及びRモータユニット40は、互いに別のアーム部分に配置される。
【0040】
ボールねじ60は、Z軸方向に概ね平行に配置されている。ボールねじ60は、ボールねじ軸61と、ボールねじナット62とを有する。
【0041】
ボールねじ軸61の−Z側の端部は、ベルトプーリ機構63によって、Zモータユニット50の出力軸50cに接続されている。ボールねじ軸61は、Zモータユニット50の出力軸50cの回転とともに回転する。また、ボールねじ軸61の外周には、螺旋状の雄ねじ部が形成されている。このボールねじ軸61の雄ねじ部には、ボールねじナット62の雌ねじ部が、複数の鋼球を介して配置される。これにより、ボールねじ軸61の回転運動が、ボールねじナット62の直線運動に変換される。そして、ボールねじ軸61は、直線運動をしない状態で回転運動を行う。
【0042】
ボールスプライン70は、駆動側アーム部分31及び従動側アーム部分32に貫通されるように配置されている。ボールスプライン70は、スプライン外筒71と、スプライン軸72と、プーリ73と、軸受75とを有する。
【0043】
スプライン軸72の外周には、複数のスプライン溝がZ軸方向に沿って形成されている。このスプライン軸72は、スプライン外筒71を貫通し、スプライン軸72のスプライン溝とスプライン外筒71の内周面との間に複数の鋼球が配置される。この鋼球がスプライン溝に配置されることにより、スプライン軸72は、スプライン外筒71に対して、Z軸方向に摺動する。
【0044】
プーリ73は、スプライン外筒71の外周に嵌め込まれることにより、スプライン外筒71に固定されるとともに、軸受75によって、従動側アーム部分32に回転可能に配置されている。また、プーリ73は、Rモータユニット40の出力軸40cに接続されるベルトプーリ機構74の一部を構成している。Rモータユニット40の回転運動は、ベルトプーリ機構74を介してスプライン外筒71に伝達され、スプライン軸72を回転させる。
【0045】
ボールねじナット62とスプライン軸72の上端(+Z側の端部)とは、連結部材80によって連結されている。
【0046】
連結部材80は、軸受81を有する。スプライン軸72の+Z側の端部は、この軸受81によって、連結部材80に回転可能に支持されている。連結部材80は、ボールねじナット62と共に直線運動する。
【0047】
カバー90は、駆動側アーム部分31に装着され、Zモータユニット50等を保護するものである。また、カバー91は、従動側アーム部分32に装着され、Rモータユニット40等を保護するものである。
【0048】
駆動側アーム部分31と、従動側アーム部分32と、第1アーム20の側面との間には、空間92が形成されている。
【0049】
上述のように構成されたスカラロボット100のスプライン軸72の下端(−Z側の端部)には、作業内容に合わせた任意の工具や機器が取り付けられる。また、スカラロボット100には、ケーブルを介して、図示しないコントローラが接続される。コントローラは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、記憶部等を含んで構成されている。コントローラは、J1モータユニット11、J2モータユニット22、Rモータユニット40、及びZモータユニット50のエンコーダ11c,22c,40b,50bからの信号等に基づいて、J1モータユニット11、J2モータユニット22、Rモータユニット40、及びZモータユニット50を制御する。スカラロボット100の動作の内容は、コントローラに接続されたティーチングペンダント等によって設定され、コントローラの記憶部に記憶される。コントローラのCPUは、記憶部からプログラムやデータを読み出して、プログラムの実行等を行う。
【0050】
スカラロボット100の動作について、
図2及び
図3を参照しつつ説明する。スカラロボット100の動作は、例えば図示しないコントローラの記憶部に記憶されたプログラムをCPUが実行することで、開始され又は進行する。
【0051】
スカラロボット100のコントローラは、J1モータユニット11の減速機11bの出力軸11dを回転させることで、運動軸L1を回転軸として第1アーム20を回動させる。また、J2モータユニット22の減速機22bの出力軸22dを回転させることで、運動軸L2を回転軸として第2アーム30を回動させる。コントローラは、J1モータユニット11の減速機11bの出力軸11dを回転させたり、J2モータユニット22の減速機22bの出力軸22dを回転させたり、もしくは、両方を同時に回転させたりすることで、スプライン軸72の下端に取り付けられた工具をXY平面に水平に移動させる。これにより、プログラムによって設定された任意の位置まで当該工具を移動させる。
【0052】
スプライン軸72の下端に取り付けられた工具が、XY平面における設定位置まで移動すると、スカラロボット100のコントローラは、Zモータユニット50の出力軸50cを回転させることで、ベルトプーリ機構63を介して、ボールねじ軸61が回転する。そして、ボールねじ軸61の回転運動に伴って、ボールねじナット62は、+Z方向又は−Z方向のいずれかに直線運動をする。
【0053】
ボールねじナット62が−Z方向に直線運動をすると、ボールねじナット62に連結されたスプライン軸72も、運動軸L4に沿って、−Z方向に直線運動をする。また、スプライン外筒71は玉軸受として構成されており、スプライン軸72は、スプライン外筒71に対して円滑に移動する。やがて、スプライン軸72は下死点まで移動する。これにより、例えば、スプライン軸72に取り付けられた工具が、ワーク等に当接する。この時、ブレーキ50eによりボールねじ軸61の回転が規制され、ひいては、スプライン軸72のZ軸方向への移動が規制され、スプライン軸72に取り付けられた工具の位置が所望の位置で固定される。
【0054】
また、コントローラは、Rモータユニット40の出力軸40cを回転させた場合は、出力軸40cの回転運動は、ベルトプーリ機構74を介して、スプライン外筒71に伝達され、スプライン外筒71が回転する。この結果、スプライン外筒71とスプライン係合されているスプライン軸72は、スプライン外筒71とともに、運動軸L4回りに回転する。
【0055】
すなわち、コントローラが、Zモータユニット50の出力軸50cのみを回転させた場合は、スプライン軸72は直線運動をする。Rモータユニット40の出力軸40cのみを回転させた場合は、スプライン軸72は運動軸L4回りに回転運動をする。Zモータユニット50の出力軸50cとRモータユニット40の出力軸40cとのいずれも回転させた場合は、スプライン軸72は、スパイラル運動をする。
【0056】
スプライン軸72が、直線運動、回転運動、又はスパイラル運動等の所定の運動をすると、スカラロボット100のコントローラは、再び、J1モータユニット11の減速機11bの出力軸11d及びJ2モータユニット22の減速機22bの出力軸22dを回転させることで、第1アーム20及び第2アーム30を回動させて、スプライン軸72に取り付けられた工具をXY平面に水平に移動させる。そして、初期位置まで移動させる。
【0057】
スカラロボット100のコントローラは、記憶部に記憶されたプログラムにしたがって、以上のような運動を反復させる。
【0058】
以上、説明したように、本実施形態に係るスカラロボット100の第2アーム30は、
図5に示すように、駆動側アーム部分31と従動側アーム部分32との2本のアーム部分から構成されている。このため、第2アーム30の剛性を向上させることができる。結果として、第2アーム30の剛性の向上により、スプライン軸72の先端部の振れを抑え、スプライン軸72の運動を安定したものにすることができる。
【0059】
また、本実施形態に係るスカラロボット100では、駆動側アーム部分31の基端は、第1アーム20の上側の面21fに取り付けられ、従動側アーム部分32の基端は、第1アーム20の下側の面21gに取り付けられている。さらに、駆動側アーム部分31の先端は、従動側アーム部分32の先端に固定されている。これにより、第2アーム30の剛性をさらに向上させることができる。
【0060】
また、本実施形態に係るスカラロボット100では、Zモータユニット50は、駆動側アーム部分31に配置され、Rモータユニット40は、従動側アーム部分32に配置されている。これにより、Zモータユニット50及びRモータユニット40が離間して配置される。これにより、Zモータユニット50及びRモータユニット40の動作に基づいて、Zモータユニット50及びRモータユニット40の温度が上昇しても、熱はそれぞれ駆動側アーム部分31及び従動側アーム部分32を介して外部に放出され、放熱性が良好になる。結果として、Zモータユニット50及びRモータユニット40の連続回転を良好にすることができる。
【0061】
また、本実施形態では、
図2及び
図3に示すように、J1モータユニット11は、基部10の基部本体12に配置され、J2モータユニット22は、第1アーム本体21に配置されている。また、Zモータユニット50は、駆動側アーム部分31に配置され、Rモータユニット40は、従動側アーム部分32に配置されている。これにより、各モータユニット11,22,50,40は、全て別部材に配置されているため(1つのフレームに1つのモータを配置されているため)、各モータユニット11,22,50,40の発熱が各フレームに放熱でき、放熱性が良好になる。詳しくは、J1モータユニット11の動作により生じた熱は、基部10の基部本体12を介して外部に排出され、J2モータユニット22の動作により生じた熱は、第1アーム本体21を介して外部に排出される。また、Zモータユニット50の動作により生じた熱は、駆動側アーム部分31を介して外部に排出され、Rモータユニット40の動作により生じた熱は、従動側アーム部分32を介して外部に排出される。結果として、各モータユニット11,22,50,40の連続回転を良好にすることができる。
【0062】
また、本実施形態では、J1モータユニット11、J2モータユニット22、Zモータユニット50、Rモータユニット40の全てのモータユニットが離間して配置されている。このため、各モータユニットの熱の相互の影響を低減させることができる。結果として、各モータユニットの連続回転を良好にすることができる。
【0063】
また、本実施形態では、
図5に示すように、駆動側アーム部分31と、従動側アーム部分32と、第1アーム20との間には、空間92が形成されている。この空間92により、J2モータユニット22と、Zモータユニット50とが離間して配置される。また、第1アーム20、第2アーム30の回動により、空間92に空気の流れが発生することで、J2モータユニット22、Zモータユニット50、Rモータユニット40で発生する熱を放熱することができる。このため各モータユニットの熱の相互の影響を低減させることができる。結果として、各モータユニットの連続回転を良好にすることができる。
【0064】
また、本実施形態では、J2モータユニット22のモータ本体22aと減速機22bとは、モータフランジ25を挟み込むように配置され、モータフランジ25は、第1アーム20の第1アーム本体21に一体に形成されている。このため、
図6を参照すると分かるように、J2モータユニット22の動作に基づいて、J2モータユニット22の温度が上昇しても、モータフランジ25及び第1アーム本体21を伝熱して、外部に放出される。すなわち、熱の外部への逃げ道が確保されるため、放熱性が良好になる。結果として、J2モータユニット22の連続回転を良好にすることができる。
【0065】
また、本実施形態では、
図4に示すように、第1アーム本体21の連結部分21eには、第1アーム本体21の外部に露出する放熱部23が設けられている。これにより、J2モータユニット22の動作に基づいて、J2モータユニット22の温度が上昇しても、J2モータユニット22の熱は、外部に放出され、放熱性が良好になる。結果として、J2モータユニット22の連続回転を良好にすることができる。
【0066】
また、本実施形態では、放熱部23の放熱フィンは、第1アーム20の回動する方向に沿って設けられている。このため、第1アーム20の回動に伴って、放熱フィン同士の隙間に風が流入しやすくなり、放熱性が良好になる。特に放熱部23が形成されている部位は、J1モータユニット11とJ2モータユニット22との熱により高温になりやすい部位であることから、放熱部23の放熱効果をより高めている。
また、本実施形態では、J2モータユニット22のモータ本体22aの筺体と放熱部23とを接続する伝熱板部24が設けられている。このため、モータ本体22aの駆動により発生する熱は、伝熱板部24を介して放熱部23に伝達されるため、モータ本体22aの放熱効果をより高めている。
また、本実施形態では、Zモータユニット50のモータ本体50aとブレーキ50eとをモータ取付ブラケット50dを介して駆動側アーム部分31に支持する構造となっている。このため、モータ本体50aの発熱、及びブレーキ50eの発熱をそれぞれモータ取付ブラケット50dを介して駆動側アーム部分31へ放熱することができ、放熱効果を高めている。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態等によって限定されるものではない。
【0068】
例えば、本実施形態では、駆動側アーム部分31は、第1アーム20の上側の面21fに取り付けられ、従動側アーム部分32は、第1アーム20の下側の面21gに取り付けられている。そして、J2モータユニット22の出力軸22dは、駆動側アーム部分31に固定されている。しかしながら、これに限らない。上下を入れ替えて、駆動側アーム部分31が、下側の面21gに取り付けられ、従動側アーム部分32が、上側の面21fに取り付けられていてもよい。この場合、J2モータユニット22の出力軸22dは、下側の面21gに取り付けられた駆動側アーム部分31に固定される。
【0069】
また、本実施形態では、Zモータユニット50は、駆動側アーム部分31に配置され、Rモータユニット40は、従動側アーム部分32に配置されている。しかしながら、これに限らない。Zモータユニット50は、従動側アーム部分32に配置され、Rモータユニット40は、駆動側アーム部分31に配置されていてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、放熱部23は、第1アーム本体21の連結部分21eに、第1アーム本体21の外部に露出して設けられている。しかしながら、放熱部23の形成場所は、これに限られない。例えば、空間92に、突出して形成されていてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、本実施形態のスカラロボット100は、4つの運動軸L1〜L4について運動する4軸関節ロボットとして構成されているが、これに限らず、3軸以下又は5軸以上の多関節ロボットとして構成してもよい。
例えば、スカラロボット100は、Rモータユニット40を有さずに、3つの運動軸L1〜L3について運動する多関節ロボットとして構成されていてもよい。
【0072】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。