【実施例】
【0039】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の実施例及び比較例に使用した評価方法を下記に示す。
(1) 防虫効果(誘引阻止率)
平成28年9月、午後7〜9時、栃木県那須郡那須町のロッジ庭先にて、40Wの昼光色直管式蛍光灯(1198mm長:37W:2700ルーメン)2本を10cm間隔で並設した照明器具を、正面が開放された長方形筐体(光不透過)に納め、筐体正面に幅200mm×長さ1500mmの試験体シート、及び標準試験体シートで各々蓋を閉じた筐体2個を1m間隔で設置し、各々の点灯筐体の表面を30分毎に4回デジタル撮影し、パソコン画面上の拡大画像より個々の筐体表面に群がる(表面に止まる、及び表面を飛び廻る)小型飛翔性昆虫(蚊類、ハエ類、蛾類など)をカウントし、標準試験体シートでのカウントに対する、試験体シートでのカウントの比率を求め、これを誘引阻止率とした。
(2)
視認効果1−1
平成29年2月午後1時、埼玉県草加市の平岡織染株式会社のテント倉庫(シートシャッター装置設置、倉庫内照度:JIS Z9110:1979年40−60lx)において、平岡織染株式会社のユニフォーム(ネイビーブルー)着用、着帽(ネイビーブルー)、容姿・年齢が近似する男性被験者A,B,C,Dがテント倉庫屋内に存在し、ランダムにシートシャッター用膜材から後方1mの位置に立ち、これを屋外正面1mの位置から観察者E,F,G,Hが同時にシートシャッター用膜材越しに、被験者A,B,C,Dを個々に判定した。被験者の顔の識別成績が100%なものを「1」、識別成績が75%を「2」、識別成績が50%を「3」、識別成績が25%を「4」、識別成績が0%を「5」、の5段階評価し、「1」を良好、「5」を不良とした。
視認効果1−2
平成29年2月午後1時、埼玉県草加市の平岡織染株式会社のテント倉庫(シートシャッター装置設置、倉庫内照度:JIS Z9110:1979年40−60lx)において、各々10cm×10cmサイズの「織」、「繊」、「職」、「戯」のゴシック体文字印刷物を厚紙に着貼した紙パネルをテント倉庫屋内、ランダムにシートシャッター用膜材から後方30cmの位置に置き、これを屋外正面1mの位置から観察者E,F,G,Hが同時にシートシャッター用膜材越しに、「織」、「繊」、「職」、「戯」の紙パネルを個々に判定した。紙パネルの識別成績が100%なものを「1」、識別成績が75%を「2」、識別成績が50%を「3」、識別成績が25%を「4」、識別成績が0%を「5」、の5段階評価し、「1」を良好、「5」を不良とした。
(3) 帯電防止性
JIS K6911(1995年)5.13抵抗率に準じて4点式電導度計を用い、試験体シートの表面抵抗の測定環境は、温度20±2℃ 湿度30±5%の条件で評価した。
(4) マンセル表色系
JIS Z8721「色の表示方法-三属性による表示」に準拠した「修正マンセル表色系」を使用した。
(5) 巻き上げ/解き降し試験
25℃で50万回(巻き上げ/解き降しを1回)の作動試験を機械的に行い、破壊や変形の異常の無いものを「1」、寸法変化が5%未満を「2」、寸法変化が5%以上を「3」、寸法変化が10%以上を「4」、部分的破壊を伴うものを「5」と評価した。
【0040】
[実施例1]
(1)
粗目織物(基布1)
下記組織のポリエステル(PET)マルチフィラメント糸条を経糸及び緯糸とする、空隙率68%の粗目状平織物(質量73g/m
2)を用いた。
(経)1111dtex/2本合撚 × (緯)2222dtex/1本
打込6(経)×4(緯) 本/25.4mm
(2)
メッシュシート基体
下記〔配合1〕の軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物を適度な粘度に調製し、この〔配合1〕のペーストゾル組成物を充填した液浴中に、基布1を浸漬し、基布1に完全に〔配合1〕のペーストゾル組成物を含浸し、基布1を引き上げると同時にゴムロールで圧搾して180℃の熱風炉で3分間、〔配合1〕のペーストゾル組成物のゲル化を進行させ、〔配合1〕のペーストゾル組成物で含浸し、かつ被覆されてなる質量125g/m
2、マンセル明度2,及びマンセル彩度9の黒色系メッシュシート基体1を得た。
〔配合1〕軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル 60質量部
※商品名:ヘキサモールDINCH(BASF社製)
※シクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル〔化3〕のRが2個とも炭素数9の分岐
鎖状のアルキル基
エポキシ化大豆油(可塑剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
炭酸カルシウム(充填剤) 10質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
カーボンブラック(黒色顔料) 1質量部
(3)
可撓性複合積層体
メッシュシート基体1の表面に〔配合2〕の軟質塩化ビニル樹脂組成物から165℃〜180℃の熱条件でカレンダー成型された厚さが0.25mmのフィルムを表面透明樹脂層用として、またメッシュシート基体1の裏面に〔配合3〕の軟質塩化ビニル樹脂組成物から165℃〜180℃の熱条件でカレンダー成型された厚さが0.25mmのフィルムを裏面透明樹脂層用とし、この表裏フィルムでメッシュシート基体1を中間層として含む構成で、170℃の熱ロール条件のラミネーターを通過させてフィルムを熱軟化させた状態で積層圧着、冷却し、厚さが0.77mm、質量が815g/m
2の可撓性複合積層体からなる膜材を得た。この膜材において透明樹脂鏡面部1個の面積は36〜40mm
2、透明樹脂鏡面部のヘイズ値は3.5、可撓性複合積層体における透明樹脂鏡面部の総和占有率は65%であった。
〔配合2〕軟質塩化ビニル樹脂組成物(表面透明樹脂層)
懸濁重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル 60質量部
※商品名:ヘキサモールDINCH(BASF社製)
※シクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル〔化3〕のRが2個とも炭素数9の分岐
鎖状のアルキル基
エポキシ化大豆油(可塑剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール
0.1質量部
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート 0.1質量部
2−エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート 0.1質量部
※上記3つの化合物は、A)波長220〜430nmに含む光を吸収して熱変換する紫
外線吸収性化合物
〔配合3〕軟質塩化ビニル樹脂組成物(裏面透明樹脂層)
懸濁重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル 60質量部
※商品名:ヘキサモールDINCH(BASF社製)
※シクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル〔化3〕のRが2個とも炭素数9の分岐
鎖状のアルキル基
エポキシ化大豆油(可塑剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール
0.1質量部
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート 0.1質量部
2−エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート 0.1質量部
※上記3つの化合物は、A)波長220〜430nmに含む光を吸収して熱変換する紫
外線吸収性化合物
4,5−ジメチルオキシ−N−(2−エチルヘキシル)ナフタルイミド0.03質量部
(BASF社製商品名LumogenF/Violet570:吸光波長378nm/発光波長413nm)
※B)波長370〜420nmに含む光を吸収して長波長領域に放出する波長変換化合
物
【0041】
[実施例2]
実施例1の〔配合1〕を下記〔配合4〕に変更し、マンセル明度4、及びマンセル彩度8の暗青色系メッシュシート基体2とし、さらに実施例1の〔配合2〕を下記〔配合5〕に変更、また実施例1の〔配合3〕を下記〔配合6〕に変更した以外は実施例1と同様として、厚さが0.77mm、質量が815g/m
2の可撓性複合積層体からなる膜材を得た。この膜材において透明樹脂鏡面部1個の面積は36〜40mm
2、透明樹脂鏡面部のヘイズ値は3.5、可撓性複合積層体における透明樹脂鏡面部の総和占有率は65%であった。
〔配合4〕軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル組成物
乳化重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1700) 100質量部
4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(2−エチルヘキシル)60質量部
(※シクロヘキセンジカルボン酸アルキルエステル〔化6〕のRが2個とも炭素数8の分
岐鎖状のアルキル基)
エポキシ化大豆油(可塑剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
炭酸カルシウム(充填剤) 10質量部
三酸化アンチモン(難燃剤) 10質量部
シアニンブルー(青顔料) 1質量部
カーボンブラック(黒色顔料) 0.3質量部
〔配合5〕軟質塩化ビニル樹脂組成物(表面透明樹脂層)
懸濁重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(2−エチルヘキシル)60質量部
(※シクロヘキセンジカルボン酸アルキルエステル〔化6〕のRが2個とも炭素数8の分
岐鎖状のアルキル基)
エポキシ化大豆油(可塑剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール
0.1質量部
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート 0.1質量部
2−エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート 0.1質量部
※上記3つの化合物は、A)波長220〜430nmに含む光を吸収して熱変換する紫
外線吸収性化合物
〔配合6〕軟質塩化ビニル樹脂組成物(裏面透明樹脂層)
懸濁重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(2−エチルヘキシル)60質量部
(※シクロヘキセンジカルボン酸アルキルエステル〔化6〕のRが2個とも炭素数8の分
岐鎖状のアルキル基)
エポキシ化大豆油(可塑剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール
0.1質量部
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート 0.1質量部
2−エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート 0.1質量部
※上記3つの化合物は、A)波長220〜430nmに含む光を吸収して熱変換する紫
外線吸収性化合物
4,5−ジメチルオキシ−N−(2−エチルヘキシル)ナフタルイミド0.03質量部
(BASF社製商品名LumogenF/Violet570:吸光波長378nm/発光波長413nm)
※B)波長370〜420nmに含む光を吸収して長波長領域に放出する波長変換化合
物
【0042】
[実施例3]
実施例1で用いた基布1を下記基布2に変更し、マンセル明度2,及びマンセル彩度9の黒色のメッシュシート基体3とした以外は実施例1と同様として、厚さが0.77mm、質量が795g/m2の可撓性複合積層体からなる膜材を得た。この膜材において透明樹脂鏡面部1個の面積は100〜120mm
2、透明樹脂鏡面部のヘイズ値は3.5、可撓性複合積層体における透明樹脂鏡面部の総和占有率は69%であった。
粗目織物(基布2)
下記組織のポリエステル(PET)マルチフィラメント糸条を経糸及び緯糸とする、空隙率72%の粗目状平織物(質量56g/m
2)を用いた。
(経)1111dtex/3本引揃 × (緯)1111dtex/3本引揃
打込3(経)×3(緯) 本/25.4mm
【0043】
[実施例4]
実施例2で用いた基布1を基布2に変更し、マンセル明度4、及びマンセル彩度8の暗青色系メッシュシート基体4とした以外は実施例2と同様として、厚さが0.77mm、質量が795g/m
2の可撓性複合積層体からなる膜材を得た。この膜材において透明樹脂鏡面部1個の面積は100〜120mm
2、透明樹脂鏡面部のヘイズ値は3.5、可撓性複合積層体における透明樹脂鏡面部の総和占有率は69%であった。
【0044】
[実施例5〜8]
実施例1〜4の可撓性複合積層体において、裏面透明樹脂層を下記〔配合7〕による厚さが0.25mmのフィルムに変更した以外は各々実施例1〜4と同様として、各々実施例1〜4と同じ厚さ及び質量、同じ透明樹脂鏡面部面積及び総和占有率で、透明樹脂鏡面部のヘイズ値が6.5である実施例5〜8の可撓性複合積層体を得た。
〔配合7〕軟質塩化ビニル樹脂組成物(裏面透明樹脂層)
懸濁重合ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル 60質量部
※商品名:ヘキサモールDINCH(BASF社製)
※シクロヘキサンカルボン酸アルキルエステル〔化3〕のRが2個とも炭素数9の分岐
鎖状のアルキル基
エポキシ化大豆油(可塑剤) 10質量部
ステアリン酸亜鉛(安定剤) 2質量部
ステアリン酸バリウム(安定剤) 2質量部
2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール
0.1質量部
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート 0.1質量部
2−エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート 0.1質量部
※上記3つの化合物は、A)波長220〜430nmに含む光を吸収して熱変換する紫
外線吸収性化合物
4,5−ジメチルオキシ−N−(2−エチルヘキシル)ナフタルイミド0.03質量部
(BASF社製商品名LumogenF/Violet570:吸光波長378nm/発光波長413nm)
2,5−チオフェンジイル(5−tert−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)
0.07質量部
※上記2つの化合物は、B)波長370〜420nmに含む光を吸収して長波長領域に
放出する波長変換化合物
【0045】
[実施例9〜12]
実施例1,3,5,7の可撓性複合積層体の表面透明樹脂層上に、下記〔配合8〕の塗工液を用い、基布1を用いたメッシュシート基体と同じメッシュ外観と同調する格子柄が凹刻印された120メッシュのグラビアロール塗工により質量0.0035g/m
2のメッシュ状帯電防止薄膜層を形成した(実施例1→実施例9,実施例5→実施例11)。また基布2を用いたメッシュシート基体と同じメッシュ外観と同調する格子柄が凹刻印された120メッシュのグラビアロール塗工により質量0.0031g/m
2のメッシュ状帯電防止薄膜層を形成した(実施例3→実施例10,実施例7→実施例12)。
〔配合8〕カーボンナノチューブ組成物(帯電防止薄膜層)
単層カーボンナノチューブ(直径1.5〜2.5nm) 0.1質量部
水 100質量部
【0046】
[実施例13〜16]
実施例2,4,6,8の可撓性複合積層体の表面透明樹脂層上に、下記〔配合9〕の塗工液を用い、基布1を用いたメッシュシート基体と同じメッシュ外観と同調する格子柄が凹刻印された120メッシュのグラビアロール塗工により質量0.035g/m
2のメッシュ状帯電防止薄膜層を形成した(実施例2→実施例13,実施例6→実施例15)。また基布2を用いたメッシュシート基体と同じメッシュ外観と同調する格子柄が凹刻印された120メッシュのグラビアロール塗工により質量0.031g/m
2のメッシュ状帯電防止薄膜層を形成した(実施例4→実施例14,実施例8→実施例16)。
〔配合9〕ポリピロール組成物(帯電防止薄膜層)
ポリピロール(化学酸化重合し、溶媒析出させた粒子径約1μmの粒子) 3質量部
シクロペンタノン 100質量部
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
実施例1〜16の本発明のシートシャッター用膜材では、透明樹脂鏡面部を構成する透明樹脂層の配合に、A)波長220〜430nmに含む光を吸収して熱変換する紫外線吸収性化合物、及びB)波長370〜420nmに含む光を吸収して長波長領域に放出する波長変換化合物を質量比20:1〜6:1で含有すること、特に表面側透明樹脂層に3種類の紫外線吸収性化合物(A)を含み、裏面側透明樹脂層に3種類の紫外線吸収性化合物(A)及び1種類の波長変換化合物(B)を含む実施例1〜4(20:1)は、光走性の飛翔性昆虫の屋内誘引を80%以上の成績で抑止する防虫性の附帯を可能とした。また、表面側透明樹脂層に3種類の紫外線吸収性化合物(A)を含み、裏面側透明樹脂層に3種類の紫外線吸収性化合物(A)及び2種類の波長変換化合物(B)を含む実施例5〜8(6:1)は、光走性の飛翔性昆虫の屋内誘引を90%以上の好成績で抑止する防虫性の附帯を可能とした。また実施例1〜8のシートシャッター用膜材を基材として、表面透明樹脂層上に、メッシュシートの織組織に同調するネットワーク状のカーボンナノチューブ帯電防止薄膜層が形成された実施例9〜12、及び表面透明樹脂層上に、メッシュシートの織組織に同調するネットワーク状のπ電子共役系導電性ポリマー帯電防止薄膜層が形成された実施例13〜16では、自動昇降式シートシャッターの巻き上げ/解き降しの繰り返し時に発生する静電気を効果的に除去・緩和する防爆性レベルの帯電防止機能の附帯を可能とした。実施例1,実施例3(基体が黒メッシュ)及び実施例2,実施例4(基体が暗青メッシュ)の色相違い、可塑剤違いによるシートシャッター用膜材で、何れも50万回の昇降試験をクリアし、マンセル明度が4以下、メッシュ基体の貫通孔部に充填される透明樹脂鏡面部が、面積25mm
2〜225mm
2及びヘイズ値10以下を満たし、かつ総和占有率35〜75%を満たすことで、屋外からシートシャッター用膜材越しに屋内を目視した時に、屋内環境や人物が視認可能となる視覚効果を得ることができた。実施例1と実施例3の差異は透明樹脂鏡面部の面積の大小の違いであるが、両者に視認効果の大きな差異は無く良好であり、実施例2と実施例4についても同様であった。
【0052】
[比較例1]
実施例1の裏面透明樹脂層〔配合3〕を下記〔配合10〕の裏面透明樹脂層に変更した以外は実施例1と同様として、厚さが0.77mm、質量が815g/m
2の可撓性複合積層体からなる膜材を得た。得られた膜材の防虫効果(誘引阻止率)は51%と実施例1よりも40%劣る性能であった。
〔配合10〕軟質塩化ビニル樹脂組成物(裏面透明樹脂層)
※〔配合3〕から4,5−ジメチルオキシ−N−(2−エチルヘキシル)ナフタルイミド(BASF
社製商品名LumogenF/Violet570)0.03質量部を省略
【0053】
[比較例2]
実施例1の表面透明樹脂層〔配合2〕を下記〔配合11〕の表面透明樹脂層に変更し、また裏面透明樹脂層〔配合3〕を下記〔配合12〕の裏面透明樹脂層に変更した以外は実施例1と同様として、厚さが0.77mm、質量が815g/m
2の可撓性複合積層体からなる膜材を得た。得られた膜材の防虫効果(誘引阻止率)は24%と実施例1よりも71%劣る性能であった。
〔配合11〕軟質塩化ビニル樹脂組成物(表面透明樹脂層)
※〔配合2〕から、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1質量部、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート0.1質量部、及び2−エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート0.1質量部を省略。
〔配合12〕軟質塩化ビニル樹脂組成物(裏面透明樹脂層)
※〔配合3〕から、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1質量部、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート0.1質量部、及び2−エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート0.1質量部を省略。
【0054】
[比較例3]
実施例1の裏面透明樹脂層〔配合3〕を下記〔配合13〕に変更した以外は実施例1と同様として、厚さが0.77mm、質量が815g/m
2の可撓性複合積層体からなる膜材を得た。得られた膜材の防虫効果(誘引阻止率)は53%と実施例1よりも37%劣る性能であった。
〔配合13〕軟質塩化ビニル樹脂組成物(裏面透明樹脂層)
※〔配合3〕の4,5−ジメチルオキシ−N−(2−エチルヘキシル)ナフタルイミド(BASF社製商品名LumogenF/Violet570)のみ0.006質量部に減量し、A:Bの質量比を100:1とした。
【0055】
[比較例4]
実施例1の裏面透明樹脂層〔配合3〕を下記〔配合14〕に変更した以外は実施例1と同様として、厚さが0.77mm、質量が815g/m
2の可撓性複合積層体からなる膜材を得た。得られた膜材の防虫効果(誘引阻止率)は28%と実施例1よりも67%劣る性能であった。
〔配合14〕軟質塩化ビニル樹脂組成物(裏面透明樹脂層)
※〔配合3〕の4,5−ジメチルオキシ−N−(2−エチルヘキシル)ナフタルイミド(BASF社製商品名LumogenF/Violet570)のみ1.2質量部に増量し、A:Bの質量比を1:2とした。
【0056】
【表5】