特許第6852895号(P6852895)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852895
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】ビームエクスパンダー
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20210322BHJP
   G02B 27/09 20060101ALI20210322BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   G02B13/00
   G02B27/09
   G02B13/18
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-146686(P2017-146686)
(22)【出願日】2017年7月28日
(65)【公開番号】特開2019-28218(P2019-28218A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】玉村 明人
(72)【発明者】
【氏名】今村 高宏
【審査官】 岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−151412(JP,A)
【文献】 特開平1−108522(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0377605(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00−17/08
G02B 21/02−21/04
G02B 25/00−25/04
G02B 5/00−5/136
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が円弧状の内側凹部および円弧状の外側凸部が形成されて、内面側が光ビームの入射面になされると共に、外面側が光ビームの出射面になされた光学素子が備えられ、
入射される光ビームの中心が、前記内側凹部に投射されて、前記出射面側においてビーム径を拡大した光ビームを得ることを特徴とするビームエクスパンダー。
【請求項2】
前記光学素子は、互いに同一厚さの光透過性平面板がV字状に交差し、交差部の内面および外面のそれぞれに沿って、前記内側凹部および外側凸部が形成された屋根型形状の光学素子であって、
前記ビーム径を一軸方向に拡大したことを特徴とする請求項1に記載のビームエクスパンダー。
【請求項3】
前記光学素子は、凹円錐面からなる光ビームの入射面と、凸円錐面からなる光ビームの出射面とを有し、凹円錐面と凸円錐面との間の厚さが均一に形成されると共に、凹円錐面の内面および凸円錐面の外面のそれぞれに沿って、前記内側凹部および外側凸部が形成され、
前記ビーム径を二軸方向に拡大したことを特徴とする請求項1に記載のビームエクスパンダー。
【請求項4】
前記光学素子の厚さをt、光学素子の内側凹部の曲率半径をR1、光学素子の前記出射面に直交する線の片側の開き角をθ、光学素子の素材の屈折率nにより定められる屈折角をαとしたとき、光学素子の外側凸部の曲率半径R2が、下記式1で求められる値に設定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のビームエクスパンダー。
R2=R1+t−(t・cosθ)/(n・cosα)……式1
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばレーザビームを受けて、ビーム光を一軸方向に拡大する、もしくはビーム光の径を全体的に拡大することができるビームエクスパンダーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体レーザ素子から出射されるレーザビームは、そのビーム光に直交する断面が、一般的に2:1程度の楕円形となる例が多い。このような楕円形状のビーム光を、より真円に近づける手段として、凸レンズを二枚、もしくは凸レンズと凹レンズを一枚ずつ組み合わせたビームエクスパンダーが提案されている。また、凸レンズとシリンドリカルレンズを組み合わせたビームエクスパンダーの提案もなされている。
【0003】
さらに、特許文献1の図7には、二枚のシリンドリカルレンズを用いたビームエクスパンダーが開示されている。この特許文献1に示す例は、投写型表示装置(プロジェクター)の光源として半導体レーザ素子が用いられており、半導体レーザ素子からの楕円形状のビーム光を、前記二枚のシリンドリカルレンズを用いて、真円に近づける例が示されている。
【0004】
すなわち、半導体レーザ素子からのビーム光は、凸レンズによるコリメートレンズを介して平行化され、平行化されたビーム光は、第1のシリンドリカルレンズと第2のシリンドリカルレンズを介して、ビーム光の短軸側を軸方向に拡大(エクスパンド)している。
一方、ビーム光の長軸側は、第1と第2のシリンドリカルレンズを、そのまま透過させており、これにより、半導体レーザ素子からの楕円形状のビーム光は、真円に近いものとなる。
【0005】
一方、特許文献2には、ビーム光の入射側が凹円錐面になされ、出射側が凸円錐面になされた光学素子(プリズム)を利用して、入射ビーム光を環状断面(輪帯状)のビーム光に拡大する例が示されている。
特許文献2に示された環状断面レーザ光ビーム生成器は、多光子顕微鏡との組み合わせにより、高い解像能を得ようとするものであり、これは光軸の中央部へのレーザ光の照射は避けて、レーザ光の照射領域をリング状(輪帯状)に広げることを目的とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3767623号公報
【特許文献2】特開2003−344285号公報
【0007】
ところで、特許文献1に開示されたビームエクスパンダーを含めて、前記した凸レンズを二枚、もしくは凸レンズと凹レンズを組み合わせた従来のビームエクスパンダーにおいては、いずれも組み合わされるレンズ同志の焦点調整が必要である。
したがって、光学系や焦点調整の機構が複雑化し、必然的にビームエクスパンダー部分の構成が大型化し、コストの高騰も免れないものとなる。
【0008】
なお、特許文献1の図9には、前記したプロジェクターの光学系において、円錐形の透明体(プリズム)が用いられ、この透明体の円錐の頂点近傍を球面状に加工した例が示されている。
これは、後で説明するこの発明に係るビームエクスパンダーの光学素子の構成に近似した点として捕らえることできる。しかしながら、特許文献1に開示のプロジェクターの光学系と、この発明に係るビームエクスパンダーの光学系とは、円錐の頂点部分への光入射の方向が逆であるなど、両者の作用効果が異なることは明らかである。
【0009】
一方、特許文献2に開示された環状断面レーザ光ビーム生成器は、円錐面を備えたプリズムを利用することで、レーザビームをリング状に広げることを目的としており、冒頭に記述したようにビーム光を一軸方向に拡大する、もしくはビーム光の径を全体的に拡大させようとするこの発明に係るビームエクスパンダーとは、解決しようとする課題が異なることは明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、この発明が解決しようとする主要な課題は、平行化された光軸上に光学素子を配置することで、容易に光ビームを一軸方向に拡大、もしくはビーム径を全体的(二軸方向)に拡大することができるビームエクスパンダーを提供する点にある。
また、拡大された光ビームの光軸の中央部付近における光強度の低下を効果的に補う構成を採用することで、比較的均一な光強度特性を有する光ビームを得ることができるビームエクスパンダーを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記した課題を解決するためになされたこの発明に係るビームエクスパンダーの形態は、断面が円弧状の内側凹部および円弧状の外側凸部が形成されて、内面側が光ビームの入射面になされると共に、外面側が光ビームの出射面になされた光学素子が備えられ、入射される光ビームの中心が、前記内側凹部に投射されて、前記出射面側においてビーム径を拡大した光ビームを得ることを特徴とする。
【0012】
また、この発明に係るビームエクスパンダーの形態として、前記光学素子は、互いに同一厚さの光透過性平面板がV字状に交差し、交差部の内面および外面のそれぞれに沿って、前記内側凹部および外側凸部が形成された屋根型形状の光学素子であって、前記ビーム径を一軸方向に拡大したことを特徴とする。
【0013】
また、この発明に係るビームエクスパンダーの他の形態として、前記光学素子は、凹円錐面からなる光ビームの入射面と、凸円錐面からなる光ビームの出射面とを有し、凹円錐面と凸円錐面との間の厚さが均一に形成されると共に、凹円錐面の内面および凸円錐面の外面のそれぞれに沿って、前記内側凹部および外側凸部が形成され、前記ビーム径を二軸方向に拡大したことを特徴とする。
【0014】
この場合、前記ビームエクスパンダーを構成する光学素子の厚さをt、光学素子の内側凹部の曲率半径をR1、光学素子の前記出射面に直交する線の片側の開き角をθ、光学素子の素材の屈折率nにより定められる屈折角をαとしたとき、光学素子の外側凸部の曲率半径R2が、下記式1で求められる値に設定されていることが望ましい。
R2=R1+t−(t・cosθ)/(n・cosα)……式1
【発明の効果】
【0015】
前記したこの発明に係るビームエクスパンダーによると、前記した光学素子を用いることにより、光ビーム径を拡大することができ、しかもビームエクスパンダーの構成を簡素化させることに寄与できるものとなる。
【0016】
加えて、前記光学素子の断面がそれぞれ球面もしくは非球面である円弧状の内側凹部および円弧状の外側凸部が形成されているので、前記内側凹部に入射される光ビームは、外側凸部に向かって緩やかに拡大されて出射される。これにより、光軸の中央部付近における光強度の低下を効果的に補うことができ、比較的均一な光強度特性を有する光ビームを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明に係る第1形態のビームエクスパンダーを示した斜視図である。
図2】同じく第2形態のビームエクスパンダーを示した斜視図である。
図3】入射ビームを拡大する基本概念を説明する模式図である。
図4】この発明に係る入射ビームの拡大作用を説明する模式図である。
図5A】光学素子の主要なパラメータを説明する模式図である。
図5B】光学素子の外側凸部の曲率半径を求める例を説明する模式図である。
図5C】光学素子の各部の好ましい数値の一例を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明に係るビームエクスパンダーについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
先ず図1は、第1形態のビームエクスパンダー(一軸エクスパンドタイプ)について、その基本構成を斜視図で示している。この図1に示す例は、同一厚さの光透過性平面板をV字状に交差させた屋根型形状の光学素子1Aが用いられる。
【0019】
そして、V字状交差部の内面に沿って、断面が円弧状の内側凹部2が形成されている。また、V字状交差部の外面に沿って同様に断面が円弧状の外側凸部3が形成されている。
すなわち、この実施の形態における内側凹部2および外側凸部3は、それぞれ円筒体の軸方向に沿った形態と同様に、軸方向に長い凹面形状および軸方向に長い凸面形状を構成している。
この屋根型形状の光学素子は、光学素子1AのV字状の内面側が、光ビームの入射面4になされると共に、外面側が光ビームの出射面5になされている。
【0020】
例えば半導体レーザ素子からのレーザ光は、図示せぬ凸レンズ等によるコリメートレンズを介して平行化され、平行化された光ビーム(入射ビーム6a)の中心が、図1に示す光学素子1Aの円弧状の内側凹部2に投射される。
これにより、入射ビーム6aは光学素子1Aによって、ビーム径が一軸方向に拡大された光ビーム(出射ビーム6b)を得ることができる。
【0021】
前記した第1形態のビームエクスパンダーを構成する光学素子1Aによると、後でその作用を説明するとおり、入射ビーム6aはV字状に交差した円弧状の稜線に直交する方向(一軸方向)に拡大した出射ビーム6bを得ることができる。
したがって、一例として図1に示したように、若干縦長の入射ビーム6aを、縦横寸法がほぼ等しい出射ビーム6bに変換することができる。
【0022】
図2は、第2形態のビームエクスパンダー(二軸エクスパンドタイプ)について、その基本構成を斜視図で示している。この図2に示す例は、凹円錐面からなる光ビームの入射面4と、凸円錐面からなる光ビームの出射面5とを有し、凹円錐面4と凸円錐面5との間の厚さが均一に形成された円錐プリズムによる光学素子1Bが用いられる。
そして、凹円錐面の内面に沿って、断面が球面もしくは非球面である円弧状の内側凹部2が形成されている。また、凸円錐面の外面に沿って同様に断面が球面もしくは非球面である円弧状の外側凸部3が形成されている。
すなわち、凹円錐面と凸円錐面の各頂点部分には、球面もしくは非球面状の内側凹部2および外側凸部3がそれぞれ形成されている。
【0023】
前記したように、例えば半導体レーザ素子からのレーザ光は、コリメートレンズを介して平行化され、平行化された光ビーム(入射ビーム6a)の中心が、図2に示すように光学素子1Bの円弧状の内側凹部2に投射される。
これにより、入射ビーム6aは光学素子1Bによって、ビーム径が二軸方向に拡大された光ビーム(出射ビーム6b)を得ることができる。
【0024】
前記した第2形態のビームエクスパンダーを構成する光学素子1Bによると、後でその作用を説明するとおり、入射ビーム6aは二軸(縦横方向)に拡大したビーム光、すなわち、ビーム径を全体的に拡大した出射ビーム6bを得ることができる。
したがって、一例として図2に示したように、ほぼ真円に近い入射ビーム6aが到来した場合には、そのまま縦横方向(二軸方向)に拡大されて、ほぼ真円に近い拡大された出射ビーム6bに変換することができる。
【0025】
図3は、入射ビームを拡大して出射する基本概念を説明する模式図であり、この図3に示す例は、交差部がV字状に直線的に交差した場合を示している。また図4は、図1に示した屋根型形状の光学素子1A、および図2に示した円錐プリズムの光学素子1Bによる光学特性を示すものであり、前記した円弧状の内側凹部2および円弧状の外側凸部3を備えたこの発明に係るビームエクスパンダーの光学特性を示すものである。なお、図3および図4は、それぞれの光学素子1A,1Bの中央部において、ビーム光の透過軸に沿って切断した切断面の端面形状を示している。
【0026】
図3に示すように屋根型形状の交差部がV字状に交差する光学素子、および円錐プリズムによる円錐面の頂点がV字状に交差する光学素子においては、共に交差部および頂点において直線状に交差するので、その交点は断面が鋭角となる。そのため、入射ビーム6aにおける中央部付近の光路は、光学素子のV字状の交差位置(交点)において、図3に示されるように、二手のいずれかに分けられる。
これにより、出射ビーム6bにおける中央部は、符号7で示すようにその光量が低いもの(光量低下部7)となる。これは、前記した特許文献2に開示された入射ビームをリング状(輪帯状)に広げる例と同様の作用となる。
【0027】
そこで、図4に示すように円弧状の内側凹部2、および円弧状の外側凸部3を備えた光学素子によると、光学素子1A、1Bに入射した入射ビーム6aにおける中央部付近の光路は、内側凹部2においてそのまま直進し、ビームの中心部から離れるにしたがって放射方向に屈折する度合いが大きくなる。そして、円弧状の外側凸部3において屈折されて、入射ビーム6aが拡大された平行な出射ビーム6bとして出射される。
【0028】
これにより、図4に示すこの発明に係るビームエクスパンダーは、図3に示した例に比較して、光軸の中央部付近における光強度の低下を効果的に補うことができ、比較的均一な光強度特性を有する出射ビーム6bを得ることが可能となる。
すなわち、この発明に係るビームエクスパンダーによると、例えば半導体レーザ素子から得られるいわゆるガウス分布状の光強度分布を有する入射ビームについて、その中央部の光強度を適度に低下させて、より均一な光強度分布を有する出射ビームを得ることに寄与できるものとなる。
【0029】
図5A図5Cは、前記したビームエクスパンダーを構成する光学素子1A,1Bについて、各部のパラメータと、円弧状の内側凹部2および外側凸部3の曲率半径との好ましい関係を説明するものである。
なお、図5A図5Cは、図4に示した光学素子の内側凹部2および外側凸部3を含む部分を、そのまま模式図として示したものである。
【0030】
図5Aには光学素子1A,1Bの各部のパラメータについて示しており、光学素子の厚さをt、光学素子の内側凹部2の曲率半径をR1、光学素子の前記出射面5に直交する線の片側の開き角をθ、光学素子の素材の屈折率nにより定められる屈折角をα、光学素子の外側凸部3の曲率半径をR2として示している。
【0031】
図5Aに示す光学素子1A,1Bの構成において、前記厚さt、内側凹部2の曲率半径R1、出射面5に直交する線の片側の開き角θ、屈折率nを任意に決めて、これによって決められる外側凸部3の曲率半径R2を求める計算式は、図5Bに基づいて以下のとおり導き出すことができる。
【0032】
なお、図5Bに示す三角形ABCと、三角形A´B´C´は相似形であり、それぞれの三角形の各線分A,B,CとA´、B´、C´は次のとおりである。
A:曲率半径R1の光軸上の中心点と、この中心点から開き角θで延びた直線が出射面5と交差する点までの線分の長さ
B:線分Aの前記出射面5との交差点から、線分Aと直交する線が光軸と交差する点までの線分の長さ
C:前記線分AとBの光軸上の点の間の線分の長さ
A´:内側凹部2が光軸と交差する点と、この交差点から開き角θで延びた直線が出射面5と交差する点までの線分の長さ
B´:線分A´の前記出射面5との交差点から、線分A´と直交する線が光軸と交差する点までの線分の長さ
C´:前記線分A´とB´の光軸上の点の間の線分の長さ
【0033】
前記したとおり、図5Bに示す三角形ABCと、三角形A´B´C´は相似形であるので、
A:A´=B:B´
A´=A・B´/B
B=Atanθから
A´=B´/tanθ
B´=B−t・tanαから
A´=A−t・tanα/tanθ
sinα=sinθ/n
tanα=sinα/cosαの関係から
A´=A−(t・cosθ)/(n・cosα)
A´=R2
A=R1+tから
R2=R1+t−(t・cosθ)/(n・cosα)……式1
なお前記式1は、円弧状の内側凹部2と円弧状の外側凸部3が、それぞれ断面形状が球面になされる例で示している。
【0034】
そして図5Cは、前記t=15、R1=10、θ=25゜、n=1.5とした時の前記R2の値を式1に基づいて求め、具体的な数値を各部にそれぞれ記入した状態で示している。この場合、n=1.5の時、α=16.36゜であり、したがって理想的なR2の数値は、前記式1より、次に示す結果となる。
R2=R1+t−t・cosθ/n・cosα=15.554
【0035】
以上説明したとおり、この発明に係るビームエクスパンダーによると、例えば図1に例示した光学素子1Aを利用することにより、入射ビームを一軸方向に拡大することができる。したがって、冒頭で説明した例えば楕円形状のビーム光を、より真円に近づける手段として効果的に利用することができる。
また、図1に例示した光学素子1Aを2つ用いて、入射ビームをX軸方向とY軸方向に拡大することもでき、用途や要求に応じて複数の光学素子1Aの軸方向を任意に設定して組み合わせることもできる。
【0036】
また、この発明に係るビームエクスパンダーによると、図2に例示した光学素子1Bも含めて、レーザポインター、光学的な振動センサ、位置検出センサ、さらにはレーザ光を利用した通信装置(レーザ光を拡散させて伝送する前段階のビーム径の拡大機能)にも、効果的に利用することができ、同時に前記した発明の効果の欄に記載した作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0037】
1A 光学素子(一軸エクスパンドタイプ)
1B 光学素子(二軸エクスパンドタイプ)
2 内側凹部
3 外側凸部
4 入射面
5 出射面
6a 入射ビーム
6b 出射ビーム
7 光量低下部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C