特許第6852913号(P6852913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6852913位置決め機能を有するレゾルバステータ構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852913
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】位置決め機能を有するレゾルバステータ構造
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/08 20060101AFI20210322BHJP
   H02K 24/00 20060101ALI20210322BHJP
   H02K 5/00 20060101ALI20210322BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   H02K5/08 A
   H02K24/00
   H02K5/00 A
   H02K5/22
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-132586(P2019-132586)
(22)【出願日】2019年7月18日
(65)【公開番号】特開2021-19392(P2021-19392A)
(43)【公開日】2021年2月15日
【審査請求日】2019年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100212657
【弁理士】
【氏名又は名称】塚原 一久
(72)【発明者】
【氏名】平 彰介
【審査官】 安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−060766(JP,A)
【文献】 特開2008−011661(JP,A)
【文献】 特開2019−110658(JP,A)
【文献】 特開2011−234595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/08
H02K 5/00
H02K 5/22
H02K 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定角度の間隔で内方へ突出する複数の突出磁極(33A)を有するステータコア(33)と、一体成形によって前記ステータコア(33)を内部に設置したステータカバー部材(200)と、前記ステータカバー部材(200)の一面(200A)もしくは、一面(200A)と他面(200B)に形成され、前記ステータコア(33)のステータ一面(33a)又はステータ一面(33a)とステータ他面(33B)が直接外気に露出し、かつ、前記ステータコア(33)の外側に位置する複数の位置決め用貫通孔(100)と、を備え、
前記ステータカバー部材(200)に形成された前記各位置決め用貫通孔(100)は、前記ステータカバー部材(200)に台座又は前蓋からなり複数の位置決め突起(301)を有する他部材(5)を取り付ける時、前記他部材(5)の位置決め用として機能し、
前記位置決め用貫通孔(100)は、平面でみて、角形よりなり、
前記位置決め突起(301)が前記位置決め用貫通孔(100)に係合した構成よりなる位置決め機能を有するレゾルバステータ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決め機能を有するレゾルバステータ構造に関し、特に、ステータコアをインサート成形したステータカバー部材に形成された位置決め用貫通孔を介して台座や前蓋等の他部材を容易かつ確実にレゾルバに取付けることである。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のレゾルバRをモータケースに取付ける場合、例えば、特許文献1の図2に開示された構成を図8として、挙げることができる。
すなわち、図8において、符号Rで示されるものはレゾルバであり、このレゾルバRの第1樹脂ケース36は断面コ字型に構成されていると共に、この第1樹脂ケース36の一端36aには第2樹脂ケース34が一体に形成されてカプラ部37aが形成されている。
【0003】
前記カプラ部37aには、複数のターミナル38〜40及び41〜43が植設されており、このカプラ部37aの内側にはレゾルバRのステータコア33が設けられている。
周知のポッティング剤53を介して設けられた前記ステータコア33に巻回されたコイル35は、前記カプラ部37aに植設されたターミナル38〜40及び41〜43にからげて接続されている。
【0004】
前記第1樹脂ケース36の取付側52の凹部52aには、ブラシレスモータMの前蓋5が設けられ、前記凹部52a内には前蓋5の嵌合突部5Aが嵌合することによって、前記前蓋5が前記レゾルバRに強く接続されている。
前記ステータコア33の内側には、ブラシレスモータMの回転軸8に設けられたレゾルバロータ32が回転自在に内設されている。
【0005】
さらに、前記前蓋5の周縁の突部Bには、レゾルバRの周縁Rに螺入されたねじ54がカラー50を介して螺合されている。
そのため、前記ブラシレスモータMの前蓋5に対してレゾルバRを一体状に取付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−213249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のレゾルバステータ構造は、以上のように構成されているため、次のような課題が存在していた。
すなわち、レゾルバRとブラシレスモータMの前蓋5とは、凹部52a内に嵌合突部5Aが嵌合し、ねじ54によってレゾルバRと前蓋5とがねじ結合されていたため、嵌合の部分とねじ54による結合部分とでは、結合精度及び熱膨張係数が異なるため、経時変化が大きく、設計通りの結合状態を維持することは困難で、高精度のレゾルバモータを得ることも困難であった。
【0008】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、ステータコアをインサート成形したステータカバー部材に形成された位置決め用貫通孔を介して台座や前蓋等の他部材を確実にレゾルバに取付けるようにした位置決め機能を有するレゾルバステータ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による位置決め機能を有するレゾルバステータ構造は、所定角度の間隔で内方へ突出する複数の突出磁極を有するステータコアと、一体成形によって前記ステータコアを内部に設置したステータカバー部材と、前記ステータカバー部材の一面もしくは一面と他面に形成され、前記ステータコアのステータ一面又はステータ一面とステータ他面が直接外気に露出し、かつ、前記ステータコアの外側に位置する複数の位置決め用貫通孔と、を備え、前記ステータカバー部材に形成された前記各位置決め用貫通孔は、前記ステータカバー部材に台座又は前蓋からなり複数の位置決め突起を有する他部材を取り付ける時、前記他部材の位置決め用として機能、前記位置決め用貫通孔は、平面でみて、角形よりなり、前記位置決め突起が前記位置決め用貫通孔に係合した構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明による位置決め機能を有するレゾルバステータ構造は、次のような効果を有することができる。
すなわち、所定角度の間隔で内方へ突出する複数の突出磁極を有するステータコアと、一体成形によって前記ステータコアを内部に形成したステータカバー部材と、前記ステータカバー部材のステータ一面もしくはステータ一面とステータ他面に形成され、前記ステータコアのステータ一面又はステータ一面とステータ他面が直接外気に露出し、かつ、前記ステータコアの外側に位置する複数の位置決め用貫通孔と、を備え、前記ステータカバーに形成された前記各位置決め用貫通孔は、前記ステータカバー部材に台座又は前蓋からなり複数の位置決め突起を有する他部材を取り付ける時、前記他部材の位置決め用として機能、ステータコアと一体のステータカバー部材に形成した位置決め用貫通孔に他部材の突起を係合するため、レゾルバと他部材の確実な結合を得ることができる。前記位置決め用貫通孔は、平面でみて、角形よりなり
記位置決め突起が前記位置決め用貫通孔に係合した構成よりなることにより、レゾルバと他部材とを、例えば、零点合わせを自動的に行うこともできる。また、前記他部材は、台座、又は、モータの前蓋である構成からなることにより、モータ以外の電子機器の接続も容易かつ確実に行うことができる
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態によるレゾルバステータ構造のステータコアを示す斜視図である。
図2図1のステータコアをステータカバー部材内にインサート成形したレゾルバステータ構造を示す裏面図である。
図3図2の要部の拡大平面図である。
図4図2のレゾルバステータ構造に取り付ける他部材(モータの前蓋、台座、前蓋等)を示す斜視図である。
図5図1のステータコアと図4の他部材を結合させた状態を示す斜視図である。
図6】本発明の実施の形態による完成後のレゾルバステータ構造に他部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
図7図6の状態で表面に表面カバーを設けた状態を示す斜視図である。
図8】従来のレゾルバステータを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による位置決め機能を有するレゾルバステータ構造は、ステータコアを一体成形したステータカバー部材に形成された位置決め用貫通孔を介して台座や前蓋等の他部材を前記レゾルバステータ構造に容易かつ確実に取り付けすることができるものである。
【実施例】
【0013】
以下、図面と共に本発明による位置決め機能を有するレゾルバステータ構造の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1において、符号33で示されるものは、所定角度の間隔で内方へ突出する複数の突出磁極33Aを有するステータコア33であり、前記各突出磁極33Aには、周知の励磁巻線及び出力巻線からなるステータ巻線35が巻回されている。
【0014】
前記ステータコア33は、図示しない射出成形機の金型キャビティ(図示せず)内にセットされ、射出成形機の射出ノズル(図示せず)から樹脂材料が溶融状態で前記キャビティ内に射出される。
尚、この場合、一体モールドも可であるが、ほぼ全部をモールドする周知のオーバーモールドがよい。
次に、金型キャビティが型締されて型閉めし、所定時間後、型開きをすると、図1のステータコア33がインサート成形された状態で、図2に示されるレゾルバステータ構造110が得られる。
【0015】
前記ステータ巻線35は、通常は、図2のように、ステータコア33のインサート成形完了後に、周知の自動捲線機(図示せず)によって、前記各突出磁極33Aに巻回されている。従って、前述の段落[0013]で述べたステータ巻線35の巻回は、ステップとしては、この段階で行われている。
【0016】
前記ステータコア33がインサート成形されたステータカバー部材200の周縁には、3個の筒状カラー201が設けられている。3個の筒状カラー201の内側には、軸心Pと同軸状に前記ステータコア33がインサート成形によってステータカバー部材200内に内設されている。
前記ステータカバー部材200の外周の直線部202の位置には、図6及び図7で示されるように、複数の端子ピン203を有する端子ピン保持部37aが半径方向rに沿って一体に延設されている。
【0017】
前記ステータカバー部材200に内設された前記ステータコア33の外側位置には、角状(四角状等も可)の位置決め用貫通孔100が、一例として形成されている。
前記位置決め用貫通孔100は、貫通状であるため、前記ステータカバー部材200の裏側である一面200A側からみると、前記ステータコア33のステータ一面33aを見ることができるように構成されている。
前記位置決め貫通孔100は、図3に示されるように、その位置決め用貫通孔100の半分迄は、ステータ一面33aが外部に露出し、残りが貫通孔100Aとなっている。また、ステータ一面33aのみ、又は、ステータ一面(33a)とステータ他面(33b)が直接外気に露出するように構成されている。
【0018】
前記ステータカバー部材200の外周部位には、複数の突起300が形成されており、各突起300には、筒状カラー201がインサート成形されている。
前記各位置決め用貫通孔100に対して、モータの前蓋、台座等の他部材5を取り付ける場合は、まず、前記各筒状カラー201にボルト(図示せず)を螺入して、図示しない相手方部材にレゾルバステータ構造110を固定して取り付ける。
【0019】
その後、前記他部材5の壁100Bを有する前記位置決め突起301(図4参照)を前記位置決め用貫通孔100内に係合させることにより、前記他部材5は、前記レゾルバステータ構造110に取り付けられる。そして、前記他部材5がステータカバー部材200に装着された状態で、前記他部材5は、例えば、自動車等のエンジン部品等の一部とすることができる。
【0020】
図7は、図2で示されるレゾルバステータ構造110を、裏表逆とし、図2の他面200Bを表側として示している。
この場合、図7からも明らかなように、下部に他部材5が位置し、前記端子ピン保持部37aの内側には、複数の端子ピン203が軸心P方向に沿って、一体成形されている。
尚、前記他部材5に設けられたモータ等(図示せず)は、前記他部材5に接続されることにより、レゾルバステータ(図示せず)として用いることができる。
図7は、レゾルバステータ構造110の表側である他面200B側を示している。
すなわち、実際の組み立てにおいては、図1に示すステータ巻線35が巻回されてしまいステータコア33を図示しない金型に中子を介して位置させ、オーバーモールド成形によって成形すると、図2に示すレゾルバステータ構造110が得られる。
前記ステータ巻線35は、その後、自動巻線機(図示せず)によって各突出磁極33Aに巻回されて図2の状態となり、端子ピン203にからげられる。
次に、図4の他部材5の各位置決め突起301が図2で示される各位置決め用貫通孔100に挿入・係合されることにより、図7のように、レゾルバステータ構造110の裏側である一面200Aに取付けられる。
この時の他部材5とステータコア33との関係は互いにずらして示すと、図5に示す通りである。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明による位置決め機能を有するレゾルバステータ構造は、ステータコアをオーバーモールド成形したレゾルバステータ構造の一面に位置決め用貫通孔を用いて、モータ等の取付アタッチメントを位置決め用貫通孔を介して取り付けているため、従来の板状部材でレゾルバを位置決め固定する構造と比較すると、組立て及び構造共に簡素化されると共に精度も向上する。
【符号の説明】
【0022】
5 他部材
33 ステータコア
33A 突出磁極
33a ステータ一面
33b ステータ他面
35 ステータ巻線
37a 端子ピン保持部
100 位置決め用貫通孔
100A 貫通孔
100B 壁
110 レゾルバステータ構造
200 ステータカバー部材
200A 一面(側)
200B 他面(側)
201 筒状カラー
202 直線部
203 端子ピン
300 突起
301 位置決め突起
r 半径方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8