【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 実験日 :令和1年8月21日 実験場所:マリンピア沖洲(徳島県徳島市東沖洲一丁目2番地) 実験日 :令和1年8月28日 実験場所:マリンピア沖洲(徳島県徳島市東沖洲一丁目2番地) 実験日 :令和1年9月11日 実験場所:マリンピア沖洲(徳島県徳島市東沖洲一丁目2番地) 実験日 :令和1年9月25日 実験場所:マリンピア沖洲(徳島県徳島市東沖洲一丁目1番地) 実験日 :令和1年10月9日 実験場所:マリンピア沖洲(徳島県徳島市東沖洲一丁目1番地) 実験日 :令和1年10月16日 実験場所:マリンピア沖洲(徳島県徳島市東沖洲一丁目1番地)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
植樹帯に繁茂した雑草を処理する方法の一つとして、雑草に除草剤を散布して雑草を枯らす方法がある。ただ、低木等の樹木を植え付けた植樹帯に除草剤を使用すると、植栽された低木や土壌にも悪影響を及ぼす可能性があった。このため、除草剤を使用する除草方法においては、植え付けられた樹木や土壌などの周囲の自然環境に悪影響を及ぼすことなく雑草を除去する必要があり、このことが除草剤による除草を困難にしていた。
【0007】
このため、低木が植栽された植樹帯に繁茂した雑草を処理するために、道路の管理者である自治体等においては、手作業での除草に頼らざるを得ない状況であった。この場合、雑草を根から除去することは難しく、根や茎の一部が残存する状態での除去しかできなかった。困ったことに、雑草は残存する根や茎から再び生長して繁殖するため、一度の刈り取り作業では、雑草を根絶することができなかった。このため、雑草が生長するたびに刈り取る必要があって、その費用が大きくなる問題点があった。これに対して、雑草を刈り取るインターバルを長くすると、その間に大きく生長した雑草による弊害が目立つようになる。このように、低木等の樹木が植え付けられた植樹帯に繁茂した雑草を除草する方法として、有効な方法はこれまで確立されておらず、効果的な雑草の繁殖防止方法が切望されていた。
【0008】
本発明は、従来のこのような問題点を解決するためになされたものであり、その目的の一は、簡易な方法で植樹帯等の植栽地に繁茂する雑草を効率よく除草できる除草方法を提供することにある。
【0009】
本発明の第1の側面に係る植栽地の除草方法は、低木が植栽された植栽地に繁茂する雑草の除草方法であって、植栽地に植栽された低木の表面を被覆部材で覆うと共に、被覆部材から雑草を表出させる被覆表出工程と、被覆表出工程で被覆部材から表出させた雑草に、液体の除草剤を散布する散布工程と、被覆部材を植栽地から除去する除去工程とを含んでおり、被覆表出工程において、雑草の草丈の中間部を被覆部材で挟着して挟持状態に保持し、被覆部材の挟着部から雑草を表出させている。
【0010】
上記方法によると、植栽地に植栽された低木の表面を被覆部材で覆った状態で、被覆部材から表出させた雑草の葉に、除草剤を直接散布することで、除草剤を雑草に吸収させて除草能力を効果的に発揮させつつ、植栽地に植栽された低木や土壌に除草剤の悪影響が及ぶ事態を有効に防止できる。
【0011】
本発明の第2の側面に係る植栽地の除草方法は、被覆表出工程が、被覆部材として、可撓性と防水性のあるシート材と、シート材の側縁に沿って固定された挟着ロッドとを備える被覆シートを準備する準備工程と、植栽地に植栽された低木の上方領域において、低木から突出して繁茂する雑草を帯状の領域にわたって挟着ロッドで両側から挟着し、挟着された雑草の中間部を直線状に束ねる上部挟着工程と、上部挟着工程で雑草を両側から挟着する一対の前記挟着ロッドを挟持状態に保持する保持工程と、雑草を挟着する挟着ロッドから伸びるシート材で、低木の表面を被覆する被覆工程とを含んでいる。さらに、この除草方法は、散布工程において、被覆シートの挟着ロッドから表出する雑草に除草剤を散布して除草する。
【0012】
上記方法によると、シート材と挟着ロッドからなる簡素な被覆部材を用いて、低木の表面を被覆しながら雑草の先端部を表出させて効果的に除草剤を散布することができる。とくに、低木の上方領域に生い茂った雑草を挟着ロッドで直線状に束ねた状態で雑草を表出させて除草剤を散布するので、除草剤の使用量を低減しながら、効率よく散布して理想的に雑草を処理できる。
【0013】
本発明の第3の側面に係る植栽地の除草方法は、被覆表出工程が、被覆部材として、低木の側面を被覆可能な高さと全長を有する板状の被覆プレートを準備する準備工程と、植栽地に植栽された低木の側方領域において、植栽地の外周縁に沿って繁茂する雑草を被覆プレートの下端縁で押さえつけて、植栽地の外側領域との間で挟着し、挟着された雑草の中間部を直線状に束ねる側部挟着工程と、雑草を挟着する被覆プレートで低木の側面を被覆する被覆工程とを含んでいる。さらに、この除草方法は、散布工程において、被覆プレートから外側に表出する雑草に除草剤を散布して除草する。
【0014】
上記方法によると、板状の被覆プレートを用いて低木の側面を被覆しながら、植栽地の外周縁に沿って繁茂する雑草を被覆プレートの下端で押さえつけることで、雑草の先端部を被覆プレートの外側に表出させて効果的に除草剤を散布することができる。とくに、安価な板材を使用することで、低コストに、しかも確実に低木の側面を被覆しながら、側方領域に繁茂した雑草を処理できる。
【0015】
本発明の第4の側面に係る植栽地の除草方法は、被覆表出工程が、被覆部材として、可撓性と防水性のあるシート材と、シート材の側縁に沿って固定された挟着ロッドとを備える被覆シートと、低木の側面を被覆可能な高さと全長を有する板状の被覆プレートとを準備する準備工程と、植栽地に植栽された低木の上方領域において、低木から突出して繁茂する雑草を帯状の領域にわたって挟着ロッドで両側から挟着し、挟着された雑草の中間部を直線状に束ねる上部挟着工程と、上部挟着工程で雑草を両側から挟着する一対の挟着ロッドを挟持状態に保持する保持工程と、植栽地に植栽された低木の側方領域において、植栽地の外周縁に沿って繁茂する雑草を被覆プレートの下端縁で押さえつけて、植栽地の外側領域との間で挟着し、挟着された雑草の中間部を直線状に束ねる側部挟着工程と、雑草を挟着した被覆プレートで低木の側面を被覆すると共に、雑草を挟着した挟着ロッドから伸びるシート材で、低木の上面と被覆プレートの上部とを被覆する被覆工程とを含んでいる。さらに、この除草方法は、散布工程において、被覆シートの挟着ロッドから表出する雑草と、被覆プレートから外側に表出する雑草に除草剤を散布して除草する。
【0016】
上記方法によると、シート材と挟着ロッドからなる被覆シートと板状の被覆プレートとを用いて、低木の表面全体を被覆しながら雑草の先端部を表出させて効果的に除草剤を散布することができる。とくに、低木の上方領域と側方領域に生い茂った雑草を同時に処理できるので、除草剤の散布を効率よく行うことができ、除草剤による近隣への悪影響を低減しながら理想的に除草できる。
【0017】
本発明の第5の側面に係る植栽地の除草方法は、側部挟着工程が、植栽地の外周縁に沿って繁茂する雑草を外側方向に傾倒させる傾倒工程と、傾倒工程で外側方向に倒された雑草の中間部を前記被覆プレートの下端縁で押さえつける押圧工程とを含んでいる。
【0018】
上記方法によると、低木の側方領域において、植栽地の外周縁に沿って繁茂する雑草を外側方向に倒した状態で、雑草の中間部を被覆プレートの下端縁で押圧するので、垂直姿勢で繁茂した雑草であっても、被覆プレートで低木から確実に隔離しながら外部に表出させることができる。
【0019】
本発明の第6の側面に係る植栽地の除草方法は、被覆シートが、帯状のシート材の両側縁に沿って挟着ロッドを固定してなる第1の被覆シートと、方形状のシート材の片側縁に沿って挟着ロッドを固定してなる第2の被覆シートとを備えており、上部挟着工程において、植栽地に植栽された低木の上方領域の中央部に第1の被覆シートを配置すると共に、第1の被覆シートの両側に第2の被覆シートを配置して、低木の上方領域に繁茂する雑草を、2列の直線状に束ねて被覆シートから表出させている。
【0020】
上記方法によると、低木の上方領域に繁茂する多数の雑草を2列の直線状に束ねることで、除草剤の散布を効率よく行いながら、低木の上方領域全体に繁茂する多数の雑草を能率よく処理できる。
【0021】
本発明の第7の側面に係る植栽地の除草方法は、挟着ロッドを木製の角材とし、シート材を防草シートとしている。
【0022】
本発明の第8の側面に係る植栽地の除草方法は、被覆シートが、上部挟着工程で雑草を両側から挟着する一対の挟着ロッドの対向面に、クッション材を設けている。
【0023】
本発明の第9の側面に係る植栽地の除草方法は、散布工程において、液体の除草剤を霧状に噴霧している。
【0024】
上記方法によると、液体の除草剤を霧状に噴霧するので、除草剤の使用量を低減して低コストに処理できる。また、除草剤を霧状に噴霧することで、雑草の葉からの吸収効率を向上させて、効果的に雑草を枯らすことができる。
【0025】
本発明の第10の側面に係る植栽地の除草方法は、さらに、除去工程の後工程として、除草剤によって枯れた雑草を取り除く雑草除去工程を含んでいる。
【0026】
上記方法によると、除草剤によって枯れた雑草を取り除くことで、除草処理された植栽地を、雑草のない美しい外観にできる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに特定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0029】
本発明の除草方法は、植栽地を除草する方法であって、とくに、低木が植栽された植栽地に繁茂する雑草の除草方法である。本明細書において、植栽地とは、樹木等の植栽を目的として確保される場所であって、主として、歩道や車道(分離帯)において、縁石等によって区画して設けられる帯状の植樹帯を意味し、さらには、広場や公園、学校、駐車場、住宅等において境界線に兼用され、あるいは観賞用に使用される花壇や垣根等を含む意味で使用する。以下、道路と車道の間に設けた植樹帯であって、低木が植栽された植樹帯に繁茂する雑草を除草する方法について詳述する。
【0030】
図1は、歩道12の車道13側に設けられた植樹帯10の一例を示している。図に示す植樹帯10は、平面視を細長い長方形状としており、外周をコンクリート製の縁石ブロック11で囲んで、車道13と歩道12の境界としている。図に示す植樹帯10は、複数の低木1を帯状に整列して植え付けている。植樹帯10に植栽される低木1は、高さを30cm〜100cmとする常緑樹である。このような低木1として、ツゲ、ツツジ、サツキ、アセビ、クチナシ、アベリア、コデマリ、エニシダ、ボケ、カンツバキ、アジサイ、ユキヤナギ、シモツケ等が挙げられる。
図1では、低木1としてツゲを植栽した植樹帯10を示している。
【0031】
図1の植樹帯10は、横方向に3本、縦方向に9本の低木1を平方植えの配列で並べて、全体では3行9列に低木1を植栽している。このように複数の低木1を規則正しく配列しながら植栽することで、植樹帯10の外観を美しくしている。ただ、植樹帯10に植栽される低木1の数及び配列は、植樹帯10の幅や全長、植栽する低木1の種類や特性に応じて種々に変更することができる。例えば、植樹帯は、複数の低木を、三角形植えや菱形植えの配列で植栽することもできる。
【0032】
図1に示す植樹帯10は、
図2の横断面図に示すように、横方向に植え付けた3本の低木1の根元付近を除く領域に雑草4が根を張りやすくなるため、主に3本の低木1の間の領域S1と、両側の低木1の外側の領域S2に雑草4が繁殖する。歩道12や車道13に構築される植樹帯10に繁茂する雑草4としては、チガヤ、カモガヤ、ススキ等のイネ科の多年草や、スズメノカタビラ、エノコログサ、メヒシバ、イヌムギ、オオアワガエリ等のイネ科の一年草、あるいは、ヨモギ、セイタカアワダチソウ、ヒメジョオン等のキク科の多年草がある。これらの雑草4は、草丈が30cm〜80cmであり、大きくなるものでは50cm〜200cmまで成長するものもある。、
【0033】
図3及び
図4は、3本の低木1の間の領域S1と両側の低木1の外側の領域S2にそれぞれ雑草4が繁茂した状態の一例を示している。これらの図に示すように、低木1の間の領域であって、植樹帯10の中央領域に繁茂する雑草4は、根元部分が周囲の低木1で囲まれているため、この部分を除去するのが非常に難しくなる。このため、従来では、低木1の上端から突出する先端部分のみを、
図4の鎖線Aで示す位置で刈り取って除去していた。このように、雑草4の先端部を刈り取る方法では、雑草4の根元部分が残存するため、再び雑草4の葉が生長して、低木1の上方領域に繁茂する状態となる。
【0034】
また、
図4に示すように、3本の低木1の外側であって、植樹帯10の外周縁に沿って繁茂する雑草4は、従来では根元部分から刈り取っていた。この部分は、雑草4の根元部分を遮るものがないため、鎌や刈り取り機などを用いて人手により、比較的簡単に刈り取ることができる。ただ、土壌3に残存する根や茎の一部から再び葉が伸びて生長する。とくに、この部分は、太陽光がよく当たるため、雑草4の成長も早く、長期間にわたって効果的に除草できなかった。
【0035】
以上のように、低木1が植栽された植樹帯10は、低木1の上方領域と側方領域に繁茂する雑草4の両方を効果的に除草することが求められる。本発明の除草方法では、植栽地に植栽された低木1の表面を被覆部材で覆うと共に、被覆部材から雑草4を表出させる被覆表出工程と、被覆表出工程で被覆部材から表出させた雑草4に、液体の除草剤を散布する散布工程と、被覆部材を植栽地から除去する除去工程とで雑草4を除草する。さらに、本発明の除草方法では、低木1の上方に突出して繁茂する雑草4を上方領域除草工程において除去し、低木1の側方であって植樹帯10の外周縁に沿って繁茂する雑草4を側方領域除草工程において除去する。ここで、本発明の除草方法は、上方領域除草工程で低木1の上方を除草した後、側方領域除草工程で低木1の側方を除草することができ、あるいは、側方領域除草工程で低木1の側方を除草した後、上方領域除草工程で低木1の上方を除草することができ、あるいはまた、上方領域除草工程と側方領域除草工程とを組み合わせて、低木1の上方と側方を同時に除草することもできる。
【0036】
<上方領域除草工程>
低木1の上方領域において、低木1の上端から突出する雑草4は、
図5と
図6に示すようにして、上方領域除草工程で処理する。
【0037】
[被覆表出工程]
被覆表出工程では、植樹帯10に植栽された低木1の表面を被覆部材2で覆うと共に、被覆部材2から雑草4を表出させる。この被覆表出工程では、雑草4の草丈の中間部を被覆部材2で挟着して挟持状態に保持し、被覆部材2の挟着部から雑草4を表出させる。さらに、上方領域除草工程における被覆表出工程は、被覆部材2として、可撓性と防水性のあるシート材21と、シート材21の側縁に沿って固定された挟着ロッド22とを備える被覆シート20を準備する準備工程と、植樹帯10に植栽された低木1の上方領域において、低木1から突出して繁茂する雑草4を帯状の領域にわたって挟着ロッド22で両側から挟着し、挟着された雑草4の中間部を直線状に束ねる上部挟着工程と、雑草4を両側から挟着する一対の挟着ロッド22を挟持状態に保持する保持工程と、雑草を挟着する挟着ロッド22から伸びるシート材21で、低木1の表面を被覆する被覆工程とを含んでいる。
【0038】
(被覆部材2)
低木1の上方領域を被覆する被覆部材2は、
図7と
図8に示すように、シート材21と、シート材21の側縁に沿って固定された挟着ロッド22とを備える被覆シート20で構成している。
【0039】
シート材21は、低木1の表面に沿って変形できる柔軟性と、散布される除草剤が浸透するのを阻止できる遮蔽性を有するシート材21であって、例えば、可撓性と防水性のあるプラスチックシートやゴムシートが使用できる。このようなシート材21として、好ましくは、汎用的に使用されている防草シートが使用できる。シート材21は、植樹帯10に植栽された低木1を所定の領域にわたって被覆できる幅と全長を有している。シート材21は、使用される領域や状態においても変更されるが、例えば、横方向の長さを30cm〜100cmとして低木1の上面ないし側面を被覆できる幅とし、縦方向の全長を1m〜5m、好ましくは、1.5m〜3mとして植樹帯10の長手方向に植栽された複数の低木1を被覆できる構造とする。
【0040】
挟着ロッド22は、シート材21の一辺に沿って固定されており、低木1の上方領域において、互いに隣接する被覆シート20同士の対向する一対の挟着ロッド22で複数の雑草4を両側から挟着できるようにしている。挟着ロッド22は、シート材21の全長とほぼ等しい全長を有する直線状の棒材またはパイプで、低木1から突出する複数の雑草4を帯状の領域にわたって一対の挟着ロッド22で両側から挟着して、挟着された雑草4の中間部を直線状に束ねることができるようにしている。このような挟着ロッド22として、好ましくは、木製の角材や、金属製の角パイプ等が使用できる。図に示す挟着ロッド22は、木製の角材としている。この挟着ロッド22は、シート材21の側縁部を、釘やタッカー等の固定具を使用して簡単に固定できる。ただ、シート材21の側縁部を折り返して、細長い筒部を形成するように連結し、この筒部の内側に挟着ロッド22を挿通して連結することもできる。金属製の挟着ロッドは、シート材の側縁部を接着剤等を介して固定することができる。さらに、挟着ロッドには、丸棒や円筒パイプ、アングル等も使用できる。
【0041】
さらに、
図5と
図6に示す被覆シート20は、低木1の上方領域の中央部に配置される第1の被覆シート20Aと、低木1の上方領域から側方領域にかけて配置される第2の被覆シート20Bとを備えている。第1の被覆シート20Aは、帯状のシート材21の両側縁に沿って挟着ロッド22を互いに平行な姿勢で固定している。第2の被覆シート20は、上方領域に配置される一方の側縁部にのみ挟着ロッド22を固定している。ただ、第2の被覆シート20は、
図5及び
図6の鎖線で示すように、側方領域側に配置される他方の側縁に、ロッド部材23を固定することもできる。このロッド部材23は、低木1の側方領域に配置されるシート材21を下方に引っ張る重りとして使用でき、シート材21が風でめくれたり、しわになるのを抑制できる。
【0042】
(挟着具26)
雑草4を両側から挟着した一対の挟着ロッド22は、挟着具26を介して挟持状態に保持される。
図8に示す挟着具26はスプリングクランプ26Aで、雑草4を挟着する一対の挟着ロッド22を両側から挟んで挟持する構造としている。図のスプリングクランプ26Aは、スプリングを内蔵しており、一対の押圧部で弾性的に押圧して挟着する構造としている。さらに、スプリングクランプ26Aは、一対の把持部を備えており、対向する把持部を手で掴むことで一対の押圧部の間隔を広げると共に、把持部を離した状態では、一対の押圧部により弾性的に挟着できるようにしている。このスプリングクランプ26Aは、簡単かつ容易に一対の挟着ロッド22を両側から挟んで挟持状態に保持できる特長がある。ただ、挟着具は、スプリングクランプに限定せず、一対の挟着ロッド22を挟持状態に保持できる全ての工具、例えば、万力等のクランプやクリップ、ボルトとナット、ホルダー等も使用できる。挟着具26は、好ましくは、雑草4を挟着する一対の挟着ロッド22の対向面の間に隙間ができないように挟着する。
【0043】
以上の被覆部材2は、複数の雑草4を一対の挟着ロッド22で両側から強く挟んで複数の雑草4を直線状に束ねると共に、一対の挟着ロッドを挟着具26で挟持することで、直線状に束ねた雑草4を拘束する。このように、雑草4の草丈の中間部を被覆部材2で挟着して挟持状態に保持することで、被覆部材2の挟着部から雑草4を表出させる。さらに、この状態で、雑草4を挟着する挟着ロッド22から伸びるシート材21で、低木1の上面ないし側面を被覆することで、低木1をシート材21で被覆して保護する。
【0044】
ここで、除草される雑草4として、イネ科の植物とキク科の植物があるが、単子葉類であるイネ科の植物の場合、薄い葉が細長く伸びて、草丈が数十cm〜1m以上となるのに対し、双子葉類であるキク科の植物の場合、太い茎が長く伸びて背丈が数十cm〜1m以上となる。このようなキク科の植物の場合、長く伸びた茎を挟着ロッド22で両側から強く挟着すると、茎を痛めることがある。本発明の除草方法では、被覆部材2から表出させた部分に除草剤を噴霧することで、薬剤を葉から吸収させて、植物の体全体に行き渡らせて雑草を枯らすため、雑草の茎を痛めることは、維管束を損傷することにつながり、あまり好ましくない。
【0045】
ただ、一対の挟着ロッド22で雑草4を両側から挟着する力を弱くすると、挟着ロッド22の対向面の間に隙間ができやすくなり、この隙間から除草剤が侵入すると、内側の低木1に悪影響を与えるおそれがある。とくに、双子葉類の場合には茎も太く、複数の雑草の茎を両側から挟着ロッドで挟着する状態では、挟着する力が弱いと広い隙間ができやすくなり、反対に強い力で挟着すると雑草の維管束を痛めることになる。この状況は、双子葉類の雑草に限らず、単子葉類の雑草においても当てはまる。
【0046】
このような問題点を解消するために、
図9と
図10に示す被覆部材2は、被覆シート20に設けた挟着ロッド22の対向面にクッション材24を設けている。
図9に示す被覆シート20は、方形状のシート材21の側縁に沿って断面視長方形状の挟着ロッド22を固定すると共、隣接する被覆シート20の挟着ロッド22と対向する対向面にクッション材24を設けている。このようなクッション材24として、連続気泡を有する発泡樹脂やゴム状弾性体が使用できる。
図9に示すクッション材24は、挟着ロッド22の対向面のほぼ全体にわたって設けており、例えば、上下幅を1〜10cm、好ましくは2〜5cmとし、厚さを0.5〜5cm、好ましく1〜3cmとしている。
【0047】
挟着ロッド22の対向面に設けたクッション材24は、雑草4の中間部を両側から挟着する状態では、
図10に示すように、弾性変形して雑草4の茎や葉が強く押しつぶされるのを防止する。また、雑草4を挟着しない領域においては、対向するクッション材24同士が当接することで隙間が生じることなく、除草剤が被覆部材2の内側に侵入するの確実に防止できる。クッション材24を介して挟着される雑草4は、茎や葉の維管束が損傷を受けるのが抑制されるので、挟着部から突出する雑草4の先端部に散布された除草剤を確実に根まで移行させることができ、雑草4を確実に枯らすことができる。
【0048】
[散布工程]
散布工程では、
図6に示すように、被覆表出工程で被覆部材2から表出させた雑草4に、液体の除草剤5を散布する。除草剤5には、一般に使用される液体の薬剤であって、葉や茎に散布することで、葉や茎の表面から成分が吸収されて植物の体全体に移行され、茎や根を含む植物全体を枯らす作用がある移行型のものを使用する。除草剤5には、好ましくは、無害であって、昆虫や動物等の生物に優しいものを使用する。
【0049】
液体の除草剤5は、好ましくは、噴霧器を使用して、霧状に噴霧する。このような噴霧器として、一般に使用されている液体薬剤用の噴霧器であって、タンクに充填された液体薬剤を、ポンプで加圧して、ロッドの先端に設けたノズル15から霧状に噴霧するものが使用できる。ただ、噴霧器には、霧吹き等の手動のものを使用することもできる。液状の除草剤5は、霧状に噴霧することで、除草剤5の使用量を低減しながら、雑草4の葉に効果的に噴霧できる。とくに、霧状に噴霧される除草剤5は、小さな霧状の薬剤が葉の表面全体に斑なく付着するので、葉から吸収されやすくなって、維管束を介して雑草4の体全体に効果的に移行される。これにより、雑草4の先端部分の葉から吸収された除草剤5を地中の根にまで移行させて薬剤の効能を発揮して雑草4全体を効果的に枯らすことができる。ただ、液体の除草剤5は、ジョロ等の散水具を使用してシャワー状に散布することもできる。
【0050】
[除去工程]
散布工程で除草剤5を散布した後、所定の時間が経過すると、被覆部材2を植樹帯10から除去する。被覆部材2は、好ましくは、雑草4に散布された除草剤5が完全に乾いた後、除去する。被覆部材2は、除草剤5を散布した後、例えば、5分以上、好ましくは10分以上経過して液体の薬剤が乾いた後、除去することが好ましい。雑草4に付着した除草剤5が未乾燥の状態で低木1に付着して悪影響を及ぼすのを防止するためである。
【0051】
以上のようにして、上方領域除草工程において、低木1の上方領域に繁茂した雑草4を処理する。なお、
図5に示すように、帯状に長い植樹帯10においては、除草する領域を植樹帯10の延長方向に移動しながら、複数回にわたって処理することで、植樹帯10の全ての領域を除草できる。
【0052】
<側方領域除草工程>
低木1の側方領域において、植栽地の外周縁に沿って繁茂する雑草4は、
図11に示すようにして、側方領域除草工程で処理する。この側方領域除草工程においても、被覆表出工程で植樹帯10に植栽された低木1の表面を被覆部材2で覆うと共に、被覆部材2から雑草4を表出させる。
【0053】
[被覆表出工程]
側方領域除草工程における被覆表出工程は、被覆部材2として、低木1の側面を被覆可能な板状の被覆プレート25を準備する準備工程と、植樹帯10に植栽された低木1の側方領域において、植樹帯10の外周縁に沿って繁茂する雑草4を被覆プレート25の下端縁で押さえつけて、植樹帯10の外側領域との間で挟着し、挟着された雑草4の中間部を直線状に束ねる側部挟着工程と、雑草4を挟着する被覆プレート25で低木1の側面を被覆する被覆工程とを含んでいる。
【0054】
(被覆部材2)
低木1の側面を被覆する被覆部材2は、
図11に示すように、低木1の側面を被覆可能な高さと全長を有する板状の被覆プレート25を使用する。このような被覆プレート25として、プラスチック製の板材や木製の板材が使用できる。とくに、プラスチック製の板材は、軽くて安価であり、防水性にも優れているので、低木1を除草剤5から保護する被覆プレート25として最適である。被覆プレート25は、低木1の側面を被覆可能な大きさであって、高さ(横幅)を50cm〜100cmとし、全長を1m〜3mとしている。このような被覆プレート25として、汎用的に製造されるプラスチック製の板材であって、およその外形が90cm×180cmのものを使用できる。図に示す被覆プレート25は、持ち運びしやすいように、一方の側縁に沿って複数の貫通孔25aを開口して把持部としている。
【0055】
図11は、植樹帯10に植栽された低木1の一方の側方領域において、低木1の側面全体を被覆できるように、2枚の被覆プレート25を重ねて使用する状態を示している。このように、植樹帯10の長さに応じて複数の被覆プレート25を連結して使用することで植樹帯10の側面全体を確実に被覆できる。
【0056】
[側部挟着工程]
側部挟着工程では、以上の被覆プレート21を使用して、低木1の側面を被覆しながら、植樹帯10の外周縁に沿って繁茂する雑草4を、被覆プレート25の下端縁で押さえつけて植樹帯10の外側領域との間で挟着する。とくに、側部挟着工程では、植樹帯10の外周縁に沿って繁茂する雑草4を確実に低木1の表面から隔離した状態に保持するために、雑草4を外側方向に傾倒させる傾倒工程と、傾倒工程で外側方向に倒された雑草4の中間部を被覆プレート25の下端縁で押さえつける押圧工程とを含んでいる。このように、植樹帯10の外周縁に沿って繁茂する雑草4を、一旦、外側方向に傾倒させた後、倒れた雑草4の中間部、好ましくは根元部を被覆プレート25で押圧することで、複数の雑草4を効果的に被覆プレート25の外側に表出させることができる。
【0057】
ここで、「植栽地の外側領域」とは、植栽地の土壌3よりも外側の領域であって、植栽地の周囲に沿って配置された縁石や、舗装された路面等を含んでいる。すなわち、被覆プレート21の下端縁で雑草4の根本付近を押さえつけて、植栽地の外側領域である縁石や路面との間で雑草を挟着することにより、土壌3を保護しながら雑草4を被覆プレート21の挟着部から表出させて、雑草4を低木1や土壌3から隔離した状態に保持する。
【0058】
以上のようにして、被覆プレート25を介して低木1の側面を被覆しながら、被覆プレート25の外側に表出された雑草4は、散布工程で、液体の除草剤5が散布される。この散布工程では、前述と同様に、液体の除草剤5を霧状に噴霧する。その後、所定の時間が経過した後、除去工程において、被覆プレート25を植樹帯10から除去する。
【0059】
さらに、以上の上方領域除草工程と側方領域除草工程を組み合わせて、植樹帯に植栽された低木の上方領域と側方領域を同時に除草する方法を
図12と
図13に示す。これらの図に示す除草方法では、以下の工程で雑草4を除草する。
【0060】
[被覆表出工程]
(1)準備工程
被覆部材2として、可撓性と防水性のあるシート材21と、シート材21の側縁に沿って固定された挟着ロッド22とを備える被覆シート20と、低木1の側面を被覆可能な高さと全長を有する板状の被覆プレート25とを準備する。
【0061】
(2)上部挟着工程
植樹帯10に植栽された低木1の上方領域において、低木1から突出して繁茂する雑草4を帯状の領域にわたって挟着ロッド22で両側から挟着し、挟着された雑草4の中間部を直線状に束ねる。この上部挟着工程においては、
図13に示すように、低木1の上方領域の中央部に第1の被覆シート20Aを配置すると共に、第1の被覆シート20Aの両側に第2の被覆シート20Bを配置して、低木1の上方領域に繁茂する雑草4を、2列の直線状に束ねて被覆シート20から表出させる。
(3)保持工程
上部挟着工程で雑草4を両側から挟着する一対の挟着ロッド22を、挟着具26を介して挟持状態に保持する。
【0062】
(4)側部挟着工程
低木1の側方領域において、植樹帯10の外周縁に沿って繁茂する雑草4を被覆プレート25の下端縁で押さえつけて、植樹帯10の外側領域との間で挟着し、挟着された雑草4の中間部を直線状に束ねる。
この側部挟着工程においては、好ましくは、傾倒工程で植樹帯10の外周縁に沿って繁茂する雑草4を外側方向に傾倒させると共に、傾倒工程で外側方向に倒された雑草4の中間部を、押圧工程によって被覆プレート25の下端縁で押さえつけて、挟着部から雑草4を表出させる。
【0063】
(5)被覆工程
側部挟着工程で雑草4を挟着した被覆プレート25で低木1の側面を被覆すると共に、上部挟着工程で雑草4を挟着した挟着ロッド22から伸びるシート材21で、低木1の上面と被覆プレート25の上部とを被覆する。具体的には、
図13に示すように、第1の被覆シート20Aのシート材21で低木1の上面の中央部を被覆し、第2の被覆シート20Bのシート材21で低木1の上面の両側部と、低木1の側面に立てかけられた被覆プレート25の上部の外側を被覆する。とくに、第2の被覆シート20Bのシート材21を被覆プレート25の上部に積層させた状態に被覆することで、シート材21の重みによって被覆プレート25を起立状態に保持して、被覆プレート25が倒れたり移動するのを有効の防止する。このように、低木1の上面を被覆する被覆シート20のシート材21で被覆プレート25の上部を被覆することで、低木1の表面全体と土壌3が被覆部材2で完全に被覆される。
【0064】
[散布工程]
被覆シート25の挟着ロッド22から表出する雑草4と、被覆プレート25から外側に表出する雑草4に除草剤5を散布する。散布工程では、好ましくは、液体の除草剤5を噴霧器を使用して霧状に噴霧する。
【0065】
[除去工程]
散布工程で除草剤5を散布した後、所定の時間が経過すると、被覆部材2を植樹帯10から除去する。被覆部材2は、好ましくは、除草剤5を散布した後、5分以上、好ましくは10分以上経過して液体の薬剤が完全に乾いた後、除去する。
【0066】
さらに、以上の上方領域除草工程、あるいは側方領域除草工程、あるいはまた上方領域除草工程と側方領域除草工程を組み合わせた除草工程によって処理され、除草剤5によって枯れた雑草4は、除去工程の後工程として、雑草除去工程によって除去することができる。
【0067】
[雑草除去工程]
雑草除去工程では、低木1の上方領域において、低木1から突出する枯れた雑草4を刈り取って除去し、あるいは、根元部分から刈り取って除去することができる。低木1から突出する部分のみを刈り取る方法は、例えば、
図4の鎖線Aで示す部分でカットできるので作業を簡単にできる。また、この部分で刈り取ると、低木1同士の間に雑草4の一部が残存するが、雑草自体が枯れているので、再び葉が生長することはなく、逆に時間の経過と共に、枯れた雑草4が朽ちていくことにより、外部からも見えなくなって外観を損なうこともない。また、根元部分から刈り取って除去する方法では、枯れた雑草4を低木1同士の間に残存させることなく、完全に除去することができる。さらに、雑草除去工程では、低木1の側方領域において、外側に倒された状態で枯れた雑草4を刈り取って除去する。この部分の雑草4は、刈り取り機を使用して効率よく除去することができる。
【0068】
以上のように、除草剤5の効能で枯れた雑草4は、中間部や根元部で刈り取っても、残存する根や茎等の部分から再び生長することはない。このため、雑草除去工程で一度刈り取ることによって、その後は長期間にわたって、たとえば、2〜3年にわたって雑草4の繁殖が抑制される。
【0069】
以上のように、雑草除去工程を設けて、除草剤5によって枯れた雑草4を除去する方法は、植樹帯10の景観を速やかに回復できる特長がある。ただ、雑草除去工程は、必ずしも必要とせず、枯れた雑草4をそのまま放置することもできる。それは、枯れた雑草4が経時的に朽ちることで、自然に消失するからである。
【解決手段】植栽地の除草方法は、低木1が植栽された植栽地に繁茂する雑草4の除草方法であって、植栽地に植栽された低木1の表面を被覆部材2で覆うと共に、被覆部材2から雑草4を表出させる被覆表出工程と、被覆表出工程で被覆部材2から表出させた雑草4に、液体の除草剤5を散布する散布工程と、被覆部材2を植栽地から除去する除去工程とを含んでおり、被覆表出工程において、雑草4の草丈の中間部を被覆部材2で挟着して挟持状態に保持し、被覆部材2の挟着部から雑草4を表出させている。