特許第6852937号(P6852937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6852937
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】ガスエンジン発電システム
(51)【国際特許分類】
   F02M 21/02 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   F02M21/02 F
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-210747(P2020-210747)
(22)【出願日】2020年12月18日
(62)【分割の表示】特願2020-56787(P2020-56787)の分割
【原出願日】2020年3月26日
【審査請求日】2020年12月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519042478
【氏名又は名称】ライズピットカンパニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】山崎 貴弘
【審査官】 北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−204594(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/111706(WO,A1)
【文献】 実開昭61−25547(JP,U)
【文献】 特開平2−262846(JP,A)
【文献】 特開2019−216579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスエンジンと、直流発電機と、冷却システム部と、エンジンコントロールユニットとによって構成される発電構成体と、筐体とを備え、前記発電構成体は前記筐体に収納されて発電ユニットとして該発電ユニットは同じ構成で互換性を有して複数個備えられ、各該発電ユニットは独立で発電できる構成とされ、複数の該発電ユニット同士は電気的に並列連結され、前記発電ユニットの全部の稼働と停止と発電電力の大きさは、トータルコントロールユニットにて管理され、各前記発電ユニットからの直流電力を合算して交流電力に変換して、交流電力として負荷側に供給すると共に、前記ガスエンジンの発電の負荷に抗して該ガスエンジンの回転数が一定となるようにスロットル開度を調節して前記エンジンコントロールユニットにて制御されてなり、前記筐体には前記ガスエンジン及び前記直流発電機が設置されるフレームが備えられ、それらが設置された該フレームは前記筐体から出し入れ自在に構成されてなることを特徴とするガスエンジン発電システム。
【請求項2】
請求項1に記載のガスエンジン発電システムにおいて、全部の前記発電ユニットにおける燃料供給は該発電ユニット外部に設けられた燃料配管にて行われることを特徴とするガスエンジン発電システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のガスエンジン発電システムにおいて、全部の前記発電ユニットの排気は該発電ユニットの外部に設けられた排気ダクトに接続されてなることを特徴とするガスエンジン発電システム。
【請求項4】
請求項1,2又は3の何れか1項に記載のガスエンジン発電システムにおいて、ユニットラックが備えられ、該ユニットラックは複数の前記発電ユニットが並列状態で配置されてなることを特徴とするガスエンジン発電システム。
【請求項5】
請求項1,2,3又は4の何れか1項に記載のガスエンジン発電システムにおいて、前記筐体の床板上にはガイドレールが設けられ、前記ガスエンジン及び前記直流発電機が設置されるフレームの底板下面側には、前記ガイドレールに沿って移動自在となるガイドピースが設けられてなることを特徴とするガスエンジン発電システム。
【請求項6】
請求項1,2,3,4又は5の何れか1項に記載のガスエンジン発電システムにおいて、前記筐体は中板を介して上下2階構造とし、下室部に前記ガスエンジン及び前記直流発電機が収納され、上室部には電装品が収納されてなることを特徴とするガスエンジン発電システム。
【請求項7】
請求項4に記載のガスエンジン発電システムにおいて、前記ユニットラックには複数の前記発電ユニットが上下2段に配置されてなることを特徴とするガスエンジン発電システム。
【請求項8】
請求項4に記載のガスエンジン発電システムにおいて、前記ユニットラックには複数の前記発電ユニットが3段乃至7段に配置されてなることを特徴とするガスエンジン発電システム。
【請求項9】
請求項4に記載のガスエンジン発電システムにおいて、前記ユニットラックには複数の前記発電ユニットが8段乃至十数段に配置されてなることを特徴とするガスエンジン発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保守・管理が行い易く且つ電力の需要に対応して少ない燃料消費量で効率よく電力を供給できるし、特に、多数を連結することで大きな電力を供給できるガスエンジン発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジン発電機では、複数の自動車用エンジン或いは船舶用のディーゼルエンジンで発電機を駆動し、これを電気的に並列に連結して要求電力を供給するのが一般的であった。また、燃料については、配管のみで常時ガスを供給できる都市ガスが存在する。また、非常用としてボンベで容易に燃料を輸送でき且つ、経時変化による劣化が特に小さいLPG(液化石油ガス)を使用することもある。このようなガスエンジンにより発電機を駆動するシステムが存在する。これによれば、ガソリンや軽油よりも燃料の分子中の水素原子が多いので、温暖化の原因の一つとされる二酸化炭素の排出が少なく、ディーゼルエンジンに比べて静粛で冷寒時の始動性がよいという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−262846号公報
【特許文献2】特開平9−195811号公報
【特許文献3】特開2018−204594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、容積型のピストンエンジンであるガスエンジンは、回転数と空燃比を一定にして運転をすると負荷が小さいときは熱効率が低い。アイドリングにおいては、熱効率はゼロである。すなわち、エンジンは外部に対して仕事をせずに燃料だけを消費していることになる。
【0005】
一方、火花点火エンジンは、火炎伝播が律則となって一つのシリンダの容積には限界がある。ちなみに圧縮着火のディーゼルエンジンではその制限は緩やかで船舶用のディーゼルでは、1基で数万キロワットの出力を発生させることができる。しかし、ガスエンジンでは数百キロワットである。個別発電の電気負荷はゼロから500キロワット程度である。しかも、一つのエンジンで最大の要求電力を供給できないことがある。この場合エンジンと発電機が対になったエンジン発電機を並列に配置して、電力を取り出すようにせざるを得ない。
【0006】
要求電力が小さければ大きなエンジンを低出力で稼働させることになる。この場合、スロットル開度が小さくなって熱効率が悪くなる。そこで、要求電力が小さければ、なるべく少ない数のエンジンで1基あたりの出力が大きくなるようにする。そして、要求電力が大きくなればそれに応じた基数のエンジンを稼働させることが好ましい。ところが、要求電気負荷が急に増大したときには急遽あらたに別のエンジンを起動させなければならなくなるが、エンジンには暖機時間を要する。
【0007】
冷えたエンジンは、シリンダ内での燃焼が悪く、また摩擦損失も大きいので出力が出にくい上に、ピストンとシリンダの間隙が大きくオイルが燃焼室に侵入するオイル上がりによって白煙が発生したり、オイル消費が増大するなどの弊害がある。
【0008】
特許文献1(特開平2−262846号公報)及び特許文献2(特開平9−195811号公報)及び特許文献3(特開2018−204594号公報)では、複数のエンジン及び発電機を並列配置したものが存在するが、全てのエンジンが常時稼動しており、要求電力の増減に応じてエンジンの稼動が変化するものではない。
【0009】
以上述べたように、ガスエンジンによる発電システムは、個々のガスエンジン及び発電機が使用電力の増減によりそれぞれ別々に稼働するものであり、複数台のガスエンジンは、稼働中及び停止中としたものがある。また、ガスエンジンの稼働中であっても、回転数の差異が存在し、使用条件も異なってくるものである。その結果、複数のガスエンジンは不調となる時期にばらつきが生じるものである。このような状況において、ガスエンジン,発電機及びこれらに付随する部品等の保守・管理は行い易いことが大切な要件となってくる。そこで、本発明の目的(解決しようとする技術的課題)は、複数のガスエンジン及び発電機を備えた発電システムにおいて、保守・管理を行い易くし、常に最適の状態で稼働できるガスエンジン発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、請求項1の発明を、ガスエンジンと、直流発電機と、冷却システム部と、エンジンコントロールユニットとによって構成される発電構成体と、筐体とを備え、前記発電構成体は前記筐体に収納されて発電ユニットとして該発電ユニットは同じ構成で互換性を有して複数個備えられ、各該発電ユニットは独立で発電できる構成とされ、複数の該発電ユニット同士は電気的に並列連結され、前記発電ユニットの全部の稼働と停止と発電電力の大きさは、トータルコントロールユニットにて管理され、各前記発電ユニットからの直流電力を合算して交流電力に変換して、交流電力として負荷側に供給すると共に、前記ガスエンジンの発電の負荷に抗して該ガスエンジンの回転数が一定となるようにスロットル開度を調節して前記エンジンコントロールユニットにて制御されてなり、前記筐体には前記ガスエンジン及び前記直流発電機が設置されるフレームが備えられ、それらが設置された該フレームは前記筐体から出し入れ自在に構成されてなることを特徴とするガスエンジン発電システムとしたことにより、前記課題を解決した。
【0011】
請求項2の発明を、請求項1に記載のガスエンジン発電システムにおいて、全部の前記発電ユニットにおける燃料供給は該発電ユニット外部に設けられた燃料配管にて行われることを特徴とするガスエンジン発電システムとしたことにより、前記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1又は2に記載のガスエンジン発電システムにおいて、全部の前記発電ユニットの排気は該発電ユニットの外部に設けられた排気ダクトに接続されてなることを特徴とするガスエンジン発電システムとしたことにより、前記課題を解決した。
【0012】
請求項4の発明を、請求項1,2又は3の何れか1項に記載のガスエンジン発電システムにおいて、ユニットラックが備えられ、該ユニットラックは複数の前記発電ユニットが並列状態で配置されてなることを特徴とするガスエンジン発電システムとしたことにより、前記課題を解決した。請求項5の発明を、請求項1,2,3又は4の何れか1項に記載のガスエンジン発電システムにおいて、前記筐体の床板上にはガイドレールが設けられ、前記ガスエンジン及び前記直流発電機が設置されるフレームの底板下面側には、前記ガイドレールに沿って移動自在となるガイドピースが設けられてなることを特徴とするガスエンジン発電システムとしたことにより、前記課題を解決した。
【0013】
請求項6の発明を、請求項1,2,3,4又は5の何れか1項に記載のガスエンジン発電システムにおいて、前記筐体は中板を介して上下2階構造とし、下室部に前記ガスエンジン及び前記直流発電機が収納され、上室部には電装品が収納されてなることを特徴とするガスエンジン発電システムとしたことにより、前記課題を解決した。請求項7の発明を、請求項4に記載のガスエンジン発電システムにおいて、前記ユニットラックには複数の前記発電ユニットが上下2段に配置されてなることを特徴とするガスエンジン発電システムとしたことにより、前記課題を解決した。
【0014】
請求項8の発明を、請求項4に記載のガスエンジン発電システムにおいて、前記ユニットラックには複数の前記発電ユニットが3段乃至7段に配置されてなることを特徴とするガスエンジン発電システムとしたことにより、前記課題を解決した。請求項9の発明を、請求項4に記載のガスエンジン発電システムにおいて、前記ユニットラックには複数の前記発電ユニットが8段乃至十数段に配置されてなることを特徴とするガスエンジン発電システムとしたことにより、前記課題を解決した。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明では、複数の各発電装置を複数のユニットとしたことで、保守管理を行い易くし、1つのユニットに不具合のあるときには、ユニットごと交換することができる。さらに、本発明では発電ユニットの全部の稼働と停止と発電電力の大きさは、該トータルコントロールユニットにて管理する構成により効率的且つ安定した電力供給ができる。
【0016】
請求項2の発明では、全部の前記発電ユニットにおける燃料供給は該発電ユニット外部に設けられた燃料配管にて行われることで、システムの構成を簡単にできる。請求項3の発明では、発電ユニットの外部に設けられた排気ダクトに接続されることによりシステムの構成を簡単にできる。請求項4の発明では、ユニットラックは複数の前記発電ユニットが並列状態で配置されることで発電ユニットを効率的に配置でき、特に狭い機械室に好適である。
【0017】
請求項5及び請求項6の発明では、発電ユニット及びそのシステムの保守管理を行い易くできる。請求項7の発明では、ユニットラックには複数の前記発電ユニットが上下2段に配置されたことにより、より一層、収納効率を向上させることができる。
【0018】
請求項8の発明又は請求項9の発明では、ユニットラックが3段乃至7段に、或いは8段乃至十数段に配置されたことで、それぞれのラック部位に前記発電ユニットを備えて稼働させれば、比較的大容量の発電能力が得られ、発電所的な重要に供することができる。これは、COの排出効果をも得ることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の構成を示す略示図である。
図2】(A)は発電ユニットの拡大図、(B)は複数の発電ユニットを機械室に設置した状態を示す略示図である。
図3】(A)は発電ユニットの筐体の分解斜視図、(B)は発電ユニットのガスエンジン及びその周辺機器を設置したフレームの斜視図である。
図4】(A)は発電ユニットの縦断側面略示図、(B)は発電ユニットの縦断側面略示図である。
図5】(A)は複数の発電ユニットを並列状態に配置した状態の要部斜視図、(B)は複数の発電ユニットを上下2段としたユニットラックに設置した状態の要部斜視図である。
図6】(A)は発電ユニットの筐体からガスエンジン,直流発電機等を設置したフレームをパレット上に引き摺り出す状態を示す斜視図、(B)はパレット上にフレームを搭載した状態の斜視図である。
図7】(A)は多数の発電ユニットを上下方向に5段としたユニットラックに設置した状態の要部斜視図、(B)は(A)の5段を並列とした状態の要部斜視図、(C)は(B)のY1−Y1矢視図である。
図8】(A)は多数の発電ユニットを上下方向に8段としたユニットラックに設置した状態の要部斜視図、(B)は(A)の8段を並列とした状態の要部斜視図、(C)は(B)のY2−Y2矢視図である。
図9】(A)は多数の発電ユニットを上下方向に複数段として並列とした状態のユニットラックを適宜の間隔を置いて設置したユニットラック群の平面図、(B)は(A)のユニットラック群が10群が揃った平面図である。
図10】本発明の構成を示すブロック図であって、多数の発電ユニット(交流発電機を含む)を用いた概略図である。
図11】本発明の別の実施形態の構成を示すブロック図であって、多数の発電ユニット(直流発電機を含む)を用いた概略図である。
図12】(A)はエンジンのスロットル開度をパラメーターにして、エンジン運転中のエンジン回転数と燃焼率特性を示す表、(B)は(A)の燃焼率の良いエンジン回転数におけるスロットル開度と燃焼率特性を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、本発明における分割した発明は、(付記1:〔0070〕)〜(付記10:〔0079〕)及び図11に示すように、交流発電機51ではなく、直流発電機59が使われた実施形態に係る発明である。該直流発電機59が使われた場合には、交流・直流インバータ52が不要となる(図10図11を比較参照)。この点は、段落〔0068〕の第1〜3行目に「図11に示すように、各ユニットの発電機を直流とする。つまり直流発電機59とする。この場合は各ユニットにはインバータを配設せずに直接所定の直流電圧の竃力を出力する。」と記載されている。
【0021】
つまり、図11の直流発電機59の使用タイプの実施形態は、図11及び図1において、交流発電機51及び交流・直流インバータ52の使用タイプを交換したのみであって、他の構成は同一構成として説明する。したがって、本発明においての重要事項としては、図1,図2,図4及び図10に示すように、交流発電機51及び交流・直流インバータ52が、直流発電機59に交換された構成としての発明であって、前記交流発電機51及び交流・直流インバータ52は、前記直流発電機59として取り扱うものとする。これは本件明細書全体及び図面にも及ぼすものである。
【0022】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の全体の構成を図1で説明する。本発明は、複数の発電ユニットAと、トータルコントルールユニット(TCU)81と、直流・交流インバータ82と、燃料配管91と、排気集合管92と、電力ケーブル93が備えられた構成である。また、発電ユニットAは、ガスエンジン2と、交流発電機51と、吸気システム部3と、排気システム部4と、エンジンコントロールユニット(ECU)61と、交流・直流インバータ52等を備えている〔図1図2(A)参照〕。
【0023】
発電ユニットAは複数基備えられ、これら複数の発電ユニットA,A,…同士が共通する電力ケーブル85を共有して、電気的に並列に配置される。また、複数の発電ユニットA,A,…同士は、共通する燃料配管83及び排気集合管(排気ダクトと称してもよい)84を共有して連結される。つまり、発電ユニットA,A,…同士は、それぞれの外部で、共通する燃料配管83と、排気集合管(排気ダクトと称してもよい)84と、電力ケーブル85とを共有して、並列に連結或いは接続されるものである。
【0024】
そして、これら複数の発電ユニットA,A,…は、トータルコントルールユニット(T
CU)によって、制御され、各前記発電ユニットA,A,…からの直流電力を合算して交
流電力に変換し、要求された電力を負荷側に供給するものである。これらが、機械室Mに設置される〔図2(B)参照〕。
【0025】
まず、発電ユニットAについて説明する。発電ユニットAは、筐体1に、ガスエンジン2とこれに接続された交流発電機51と、ガスエンジン2を稼働させるために必須の部品が収納される〔図2(A)参照〕。ガスエンジン2の稼働に必須の部品としては、主に、エンジンコントロールユニット(ECU)61、ラジエータ55a、冷却ファン55b及びバッテリ53等である。
【0026】
筐体1は、略直方体の収納箱であり、本体部11とカバー部12とを備えている。本体部11は、下部にエンジン室11aを有し、上部に電装品室11bを有している。エンジン室11aと電装品室11bは、中板11cで仕切られる〔図3(A)参照〕。前記エンジン室11aには、ガスエンジン2,交流発電機51及び充電器54が収納される(図4参照)。電装品室11bには、交流・直流インバータ52,エンジンコントロールユニット(ECU)61やこれに関連する電装品が収納される。本体部11の正面側は開口となっており、保守・管理のため、この開口からガスエンジン2及びエンジンコントロールユニット(ECU)61等の電装品を出し入れすることができ、保守・管理が効率的にできる。
【0027】
カバー部12は、本体部11の開口を閉じる役目をなすものであり、ボルト,ビス等の固着具にて両者が接合される。本体部11及びカバー部12には、ルーバ13が設けられている〔図3(A)参照〕。ルーバ13は、換気口としての役割をなし、また熱放出のための役目をなす。
【0028】
エンジン室11aに収納されるガスエンジン2,交流発電機51及び充電器54は、フレーム7に収められるようにして装着される〔図3(B),図4参照〕。フレーム7は、骨組み構造で、断面L字形状の複数の枠部材71,71,…によって、略直方体状枠として形成されたものである。具体的には、枠部材71は12本使用される。枠部材71同士は、溶接等にて連結固着されたものである。フレーム7の底部には、フレーム床板72が設けられており、該フレーム床板72の上面にガスエンジン2,交流発電機51及び充電器54が配置される〔図3(A)参照〕。
【0029】
前記枠部材71は、独立した12本を溶接で接合しても良いし、或いは枠部材71の一部を折り曲げ加工する等して、枠部材71の本数及び溶接箇所を減らすようにしてもよい。フレーム7の下方で且つ幅方向一方側の前後両側箇所にはガイドピース73が取り付けられている。ガイドピース73は、フレーム7の下部に溶接やボルト等の固着手段により強固に取り付けられている〔図3(B),図4(A)参照〕。ガイドピース73は、略門形状又は二股状のブロック材として形成されており、下部に逆凹状の被挿入部73aが形成されている。
【0030】
また、筐体Aの本体部11の本体床板11dには、ガイドレール14が設けられている。ガイドピース73の被挿入部73aに、フレーム7のガイドレール14が挿入して嵌合し、ガイドピース73がガイドレール14に沿って摺動する構成となっている〔図4(A)参照〕。そして、フレーム7は、筐体1の本体部11のエンジン室11aにガイドレール14に沿って移動し、所定の位置まで挿入して固定される。このとき、フレーム7の前後方向両側のガイドピース73,33と、本体部11のガイドレール14とが嵌合する構造によって、フレーム7は本体部11の本体床板11dの所定位置に設置することができる。
【0031】
そして、フレーム7は、ガイドピース73と、本体部11のガイドレール14との嵌合によって左右方向の動きを規制されながら本体部11の本体床板11d上に乗せられ、振動によって動いて、所定位置がずれることを防止する。また、ガスエンジン2,交流発電機51は、防振ゴム74を介してフレーム7に支えられている。また、充電器54等の本体床板11d上に設置される部品は、必要に応じて防振ゴム74によって支持されることもある。
【0032】
ガイドレール14には、その後端、つまり、筐体1の本体部11の奥側端にストッパ14aが設けられている。筐体1の本体部11にフレーム7を収納する場合いにおいて、ガイドピース73がガイドレール14に沿って移動するときに、フレーム7が、本体部11の所定位置に到達すると、フレーム7の奥側のガイドピース73がストッパ14aに当接して、フレーム7は筐体1内の適正位置に停止できるようになっている〔図4(B)参照〕。
【0033】
このように、フレーム7の左右方向の位置はガイドピース73とガイドレール14とで、筐体1の奥行き方向がストッパ14aで定まり、ここで、フレーム7を本体部11にリテーナーナット及びボルト46で固定する。フレーム7のフレーム床板72は、フレーム7の下部における全面に設けられるが、このような構成に限定されるものではなく、桁状に部分的に橋渡し状態となる構成としてもよい。
【0034】
ガスエンジン2には、吸気システム部3と排気システム部4とが備わっている〔図1図2(A)参照〕。さらに、吸気システム部3と排気システム部4は、吸気マニホールド31と排気マニホールド41が備わっており、吸気マニホールド31にはミキサ32が備わり、さらに、内部燃料供給管33が連続して備わっている。該内部燃料供給管33は、筐体1の外部に突出しており、筐体1の外部側に突出する部分に遮断弁211cが設けられている〔図2(A)参照〕。
【0035】
排気マニホールド41には、三元触媒42,マフラ43が備わり、さらに内部排気管44が連続して設けられている。該内部排気管44は筐体1の外部に突出しており、筐体1の外部側に突出する部分に吸気ジョイント部34が設けられている〔図2(A)参照〕。
【0036】
また、交流発電機51は交流・直流インバータ52に出力電線57が連続している。該出力電線57は、筐体1の外部に突出し、突出部分先端にはコネクタ57aが具備されている〔図4(B)参照〕。筐体1には、水温センサ63,クランクセンサ64,Oセンサ62等のセンサが組み込まれる。また、ラジエータ,冷却ファン55b等がそなわる〔図2(A)参照〕。
【0037】
このように発電ユニットAは、全く同じ構成であるため各発電ユニットAの間には互換性ができる。いずれかの発電ユニットAに不具合が生じても、当該発電ユニットAを新たなものに交換すれば最小限の発電能力の低下で、しかも短時間で復旧することができる。
【0038】
ガスエンジン2の稼働により交流発電機51が駆動され、該交流発電機51によって発電された交流が交流・直流インバータ52で所定の電圧の直流に変換され、直流電流による電力が出力される。ガスエンジン2の運転に必要な構成要素、例えばエンジンコントロールユニット(ECU)61やバッテリ53、ラジエータ55a、冷却ファン55b、筐体内換気ファン55c等は筐体1に収められ、各発電ユニットAを構成している。
【0039】
これにより各発電ユニットAは燃料が供給されれば、それぞれの発電ユニットAがそれぞれ独立してガスエンジン2を稼働させて発電が可能となる。各発電ユニットAの稼働は、全発電ユニットAとは別に独立して備えられたトータルコントルールユニット(TCU)81から発電ユニットA内のエンジンコントロールユニット(ECU)61への指令で行われる。
【0040】
各発電ユニットAからの直流電力は、全発電ユニットAとは別に独立して備えられた直流・交流コンバータ82に集められて、所定の電圧、周波数の交流として負荷側に供給される〔図1図2(A)参照〕。直流・交流コンバータ82で各発電ユニットAに割り当てられた電気出力は、電流計或いは電圧計で監視される。
【0041】
直流・交流コンバータ82が所定の電圧を出そうとすると、電流が小さくなりトータルコントルールユニット(TCU)81が割り当てた電力が出ていないとエンジンコントロールユニット(ECU)61が判断して、スロットルアクチュエータがスロットルを開く。これによりエンジンのトルクが増大する。このようにしてエンジン回転数を一定(例えば2
400rpm)に保ちながらトルクを増大させて、(回転数)×(トルク)に比例するエンジンの出力を増大させる。
【0042】
また、もし直流・交流コンバータ82が所定の電流値を出すように設定されていると、ガスエンジン2の出力が小さく所定の回転数に達しなくなり、電流計或いは電圧計で計測した電流又は電圧が低くなる。これを取り戻すために直流・交流コンバータ82は、スロットルアクチュエータにスロットルを開くように信号を出す。これによりガスエンジン2の回転数は前記の一定の回転数になるように構成されている。
【0043】
このように、各発電ユニットAは、独立して発電でき、しかもトータルコントルールユニット(TCU)81で割り当てた直流電力(並列的に加算した直流電力)を、全体を一括して交流に変換する直流・交流インバータ82にて所定電圧の交流電力を送信する。各発電ユニットAを連結しているのは燃料配管83と直流出力の電力ケーブル85とTCUからの信号ライン86のトータルコントルールユニット(TCU)81からの信号ライン86である。
【0044】
各ガスエンジン2から三元触媒42とマフラ43を通って排出される排気は個別に直接大気に放出しても、あるいは排気集合管(排気ダクト)84で集めて大気に放出するようにしてもよい。排気マニホールド41にはOセンサ62が装着してあり、この信号でエンジンコントロールユニット(ECU)61は空燃比が理論空燃比(燃料がプロパンC3H8の場
合は15.6、都市ガス13Aの場合は16.8)になるように、低圧制御弁56を制御する。H
C,CO,NOxを同時に無害化するために、三元触媒42を有効に作動させるためには、エンジンの空燃比を理論空燃比にすることが必須である。
【0045】
エンジンコントロールユニット(ECU)61の機能はクランクセンサ64で検出したエンジン回転数が所定の回転数(例えば2400rpm一定)になるようにスロットル開度を調
節すること、Oセンサ62で検出した空燃比が理論空燃比になるように低圧調整弁56の制御と点火時期の制御、ガスエンジン2の始動と停止及び電動の冷却ファン55bと筐体内換気ファン55cの制御である。ここで、エンジンの始動はトータルコントルールユニット(TCU)81の指令を受けたエンジンコントロールユニット(ECU)61がスタータリレイ65をオンにしてスタータモータ58で行う。
【0046】
各発電ユニットへの発電電力の要求割り付けはトータルコントルールユニット(TCU)81から各発電ユニットAの交流・直流インバータ52に直接指示を出す。これによって各エンジン2は発電の負荷に抗して回転数が一定になるように交流発電機51を駆動するエンジンのトルクを発生させる。各発電ユニットで出力した同一の電圧の直流電力は直流・交流インバータ82で所定の電圧、所定の周波数の交流電力に変換されて負荷側に供給される。
【0047】
なお、各ガスエンジン2に必要な電力はバッテリ53から供給される。このバッテリ53は、充電器54によって常時充電されている。なお、ここで、直流発電機22ではなく、直流発電機を使用した場合では、同一の電圧の電力を発生させるように、界磁コイルの電流を制御すれば交流/直流インバータ52は不要となる。
【0048】
発電ユニットを並列に配設した場合を図2で説明する。各発電ユニットを繋いでいるのは、電力ケーブル85と信号ライン86、燃料配管83と集合排気管23である。この図ではトータルコントルールユニット(TCU)81と直流・交流インバータ82は一つのケースに収めた例である(図2参照)。
【0049】
図5(B)は、各発電ユニットをユニットラック9に上下2段に収納して立体的にした発電装置である。さらに、このユニットラック9を連結することにより、狭いスペースで大きな電力を供給することができる。具体的に説明すると、各発電ユニットが50kWの場合、ガスエンジンの場合一つのユニットは幅1.7m、奥行き0.8m、高さ1.3m程度であるため、10m×10mの広さの土地でも3層(図3は2層の場合)のユニットラック9を用いると、発電ユニットAは75台を、余裕をもって収容できる。これによる発電電力は50kW×75台=3750kW、すなわち、3.75MWとなる。
【0050】
次に、ガスエンジン2を熱効率のよい回転数とトルクで稼働させる方法について、図12(A)及び(B)にて説明する。縦軸の燃料消費率(g/kW・h)とはエンジンが稼働しているとき1kWを発生させるのに1時間当たり何グラムの燃料を消費したかをいう。これが大きいと燃料消費量が大きく、熱効率が悪いことになる。LPGの場合は1m3(質量で1.96kg)当たりの発熱量を90.7Mj(90700kj)である。例えば、燃料消費率が200g/kW・hの場合の熱効率を求めてみる。
【0051】
1時間当たりの消費燃料の持つ熱エネルギは
(90700kj/1.96kg)×0.2kg=9255kj・・・・・・・・・(1)
一方、これで1時間にした仕事は1kj/s×3600s−3600kj・・・(2)
従って、熱効率は(2)/(1)=0.389、すなわち38.9%となる。
【0052】
図12(B)のスロットル開度とは全閉をゼロとして全開を1(=4/4)として、この間を4等分した値である。燃料消費率はエンジン回転数に対して、下に凸となる曲線になる。発電用に設計したガスエンジンの例では、各スロットル開度ともにエンジン回転数が2400rpmのところで燃料消費率は最小となっている。
【0053】
空燃比が一定ならば、スロットル開度が大きいほど燃料消費率が少ないことが分かる。これはエンジン回転数が低いと、シリンダ中の混合気の流動が小さいので、燃焼が悪く、また回転数が高くなると摩擦損失が増大するので、同じスロットル開度でも燃料章比率が最小となる回転数が存在する。このエンジン回転数で運転するのが熱効率を改善するのに有利である。
【0054】
また、図12(B)に示すように、スロットル開度が大きくなると、燃料消費率が小さくなるのは、回転数が同じなので摩擦損失もほぼ同じだが、ピストンがする仕事が大きくなるので、相対的に摩擦損失の割合が小さくなるからである。ピストンがする仕事から摩擦損失を引いた正味仕事が大きくなる。すなわち仕事当たりの燃料消費は少なくなる。
【0055】
要求電力が小さければ、少ないエンジン数でスロットルを開いてトルクを増大させて対応する。さらに要求電力が大きくなると、トータルコントルールユニット(TCU)81からの信号で各発電ユニットのエンジンコントロールユニット(ECU)61が当該エンジンを稼働させる。なお、急激な負荷の増大に対応するために、各エンジンは4/4(全開)のスロットル開度より少し小さい開度で運転し、余裕を持たせるようにした方がよい。
【0056】
このようにして稼働が偏らないように、要求電力を供給するのにエンジンの熱効率が最良になるように複数の発電ユニットを選択稼働する。繰り返しになるが、各発電ユニットAに経済運転の指示を出すのはトータルコントルールユニット(TCU)81である。
【0057】
このように発電ユニットは全く同じ構成であるため各発電ユニットAの間には互換性ができる。いずれかの発電ユニットに不具合が生じても、当該ユニットを交換すれば最小限の発電能力の低下で、しかも短時間で復旧することができる。勿論、最初から予備の発電ユニットを連結しておけば、万一のときの電力低下を避けることができる。
【0058】
また、一つでもエンジンが稼働していれば、他のエンジンを始動する時に交流発電機51をスタータモータ58として使うことができる。この場合、トータルコントルールユニット(TCU)81から直接信号を出して稼働しているガスエンジン2で発電された電力により、交流発電機51でガスエンジン2を駆動する。
【0059】
トータルコントルールユニット(TCU)81は、同時に始動する当該ガスエンジン2のエンジンコントロールユニット(ECU)61にガスエンジン2の運転に必要な点火やスロットル開度制御などの操作をする。発電機を始動に使うことによりスタータモータ58とスタータリレイ65が不要になる。
【0060】
本発明では、ガスエンジン2,交流発電機51,エンジンコントロールユニット(ECU)61等の発電システムを構成する機器を筐体1に設置したことで、ユニット化され、発電ユニットAとしこれらを複数備えて、発電を行うものである。このようにユニット化されたことで、それぞれの発電ユニットAの何れかに含まれる機器が不調となったり、故障した場合では、各発電ユニットAに属する機器を修理・交換すればよく、保守管理の作業効率を向上させることができる。
【0061】
特に、ガスエンジン2,交流発電機51等の重量機器をフレーム7に設置し、該フレーム7を筐体1から出入自在とする構成によって、保守管理及び修理が行い易くなる。具体的には、筐体1のカバー部12を外して本体部11の開口の前面箇所にパレットPを配置し、筐体1から引きずり出したフレーム7をそのままパレットP上に載置することで、容易に機械室Mから外部に搬送でき、保守管理及び修理作業の効率を向上させることができる(図6参照)。
【0062】
図7(A)は、各発電ユニットをユニットラック9に5段に収納して立体的にした発電装置である。さらに、このユニットラック9を一段で20基を連結することにより、狭いスペースで大きな電力を供給することができる。具体的に説明すると、各発電ユニットが50kWの場合、ガスエンジンの場合一つのユニットは幅1.7m、奥行き0.8m、高さ
1.3m程度であるためで、奥行き幅で20基として、約20mで、幅約2m、高さ約7
.5mのユニットラック9に100台設置できる。これによる発電電力は50kW×100台=5000kWすなわち、5MWとなる。
【0063】
また、図7(A)のユニットラック9を並列にして(幅約4m)、転倒しにくくすると共に、両側[図7(C)]の左右側より、各発電ユニットAを取出し易くするように構成されている。この場合の発電電力は50kW×200台=10000kWすなわち、10MWとなる。さらに、図8(A)に示すように、前記ユニットラック9を上下8段に収納して立体的にした発電装置である。この場合には、前述のような各発電ユニットAの大きさとすると、奥行き幅で20基として、約20mで、幅約2m、高さ約12mのユニットラック9に160台設置できる。これによる発電電力は50kW×160台=8000kWすなわち、8MWとなる。
【0064】
また、図8(A)のユニットラック9を並列にして(幅約4m)、転倒しにくくすると共に、両側[図8(C)]の左右側より、各発電ユニットAを取出し易くするように構成されている。この場合の発電電力は50kW×320台=16000kWすなわち、16MWとなる。
【0065】
また、図9(A)に示したものは、図7又は図8に示す複数段のユニットラック9群5セットをまとめたものである。これで5段であると、発電ユニットAの数が1000個となる。この場合の発電電力は50kW×1000台=50000kWすなわち、50MW=5万KWとなる。これで8段であると、発電ユニットAの数が1600個となる。この場合の発電電力は50kW×1600台=80000kWすなわち、80MW=8万KWとなる。
【0066】
また、図9(A)に示した群セットを、さらに、10倍したものである。これで5段であると、発電ユニットAの数が10000個となる。この場合の発電電力は50kW×10000台=500000kWすなわち、500MW=50万KWとなる。これで8段であると、発電ユニットAの数が16000個となる。この場合の発電電力は50kW×16000台=800000kWすなわち、800MW=80万KWとなる。このように50万KW、80万KWとなるのは、正に発電所そのものである。
【0067】
以上のように構成できるブロック図として、図10の通りである。この場合には、各発電ユニットAを束ねて50万kW(500MW)の電力を発生させるためには、各発電ユニットAの電圧を高くする必要がある。例えば、200Vだと50kWなら250Aとなる。1000Vなら50Aとなり電線を細くできる。全体の直流電力を交流・直流インバータ52にて1000Vで出力する。発電ユニットAの並列の1000V直流は、前記トータルコントロールユニット(TCU)81による指令にて前記直流・交流インバータ82を介して所定電圧の交流に変換する。例えば、その出力は電柱の高圧線の6600Vの三相交流などが好適である。
【0068】
次の手段として、図11に示すように、各ユニットの発電機を直流とする。つまり直流発電機59とする。この場合は各ユニットにはインバータを配設せずに直接所定の直流電圧の竃力を出力する。電圧が所定の値、例えば1000Vとなるようにトータルコントロールユニット(TCU)81からの指令で各ユニットの直流発電機の励磁電流を制御する。インバータが無いので効率が改善される利点がある。
【0069】
上述した実施形態に関して、さらに以下の付記を開示する。
【0070】
(付記1)
ガスエンジンと、直流発電機と、冷却システム部と、エンジンコントロールユニットとによって構成される発電構成体と、筐体とを備え、前記発電構成体は前記筐体に収納されて発電ユニットとして複数個備えられ、各該発電ユニットは独立で発電できる構成とされ、複数の該発電ユニット同士は電気的に並列連結され、前記発電ユニットの全部の稼働と停止と発電電力の大きさは、トータルコントロールユニットにて管理されてなると共に、各前記発電ユニットからの電力を合算して、出力電源として直流・交流インバータにて適宜な交流電源を送信できることを特徴とするガスエンジン発電システム。
【0071】
(付記2)
ガスエンジンと、直流発電機と、冷却システム部と、排気システム部と、エンジンコントロールユニットと、バッテリとによって構成される発電構成体と、筐体とを備え、前記発電構成体は前記筐体に収納されて発電ユニットとして複数個備えられ、各該発電ユニットは独立で発電できる構成とされ、複数の該発電ユニット同士は該発電ユニット外部に設けられた電気配線にて並列連結されつつ該電気配線にはトータルコントロールユニットが設けられ、前記発電ユニットの全部の稼働と停止と発電電力の大きさは、該トータルコントロールユニットにて管理されてなると共に、出力電源として直流・交流インバータにて適宜な交流電源を送信できると共に、全部の前記発電ユニットにおける燃料供給は該発電ユニット外部に設けられた燃料配管にて行われることを特徴とするガスエンジン発電システム。
【0072】
(付記3)
ガスエンジンと、直流発電機と、冷却システム部と、排気システム部と、エンジンコントロールユニットと、バッテリとによって構成される発電構成体と、筐体とを備え、前記発電構成体は前記筐体に収納されて発電ユニットとして複数個備えられ、各該発電ユニットは独立で発電できる構成とされ、複数の該発電ユニット同士は該発電ユニット外部に設けられた電気配線にて並列連結されつつ該電気配線にはトータルコントロールユニットが設けられ、前記発電ユニットの全部の稼働と停止と発電電力の大きさは、該トータルコントロールユニットにて管理されてなると共に、出力電源として直流・交流インバータにて適宜な交流電源を送信できると共に、全部の前記発電ユニットにおける燃料供給は該発電ユニット外部に設けられた燃料配管にて行われ、全部の前記発電ユニットの排気は該発電ユニットの外部に設けられた排気ダクトに接続されてなることを特徴とするガスエンジン発電システム。
【0073】
(付記4)
ガスエンジンと、直流発電機と、冷却システム部と、排気システム部と、エンジンコントロールユニットと、バッテリとによって構成される発電構成体と、筐体とを備え、前記発電構成体は前記筐体に収納されて発電ユニットとして複数個備えられ、各該発電ユニットは独立で発電できる構成とされ、複数の該発電ユニット同士は該発電ユニット外部に設けられた電気配線にて並列連結されつつ該電気配線にはトータルコントロールユニットが設けられ、前記発電ユニットの全部の稼働と停止と発電電力の大きさは、該トータルコントロールユニットにて管理されてなると共に、出力電源として直流・交流インバータにて適宜な交流電源を送信できると共に、ユニットラックが備えられ、該ユニットラックは複数の前記発電ユニットが並列状態で配置されてなることを特徴とするガスエンジン発電システム。
【0074】
(付記5)
ガスエンジンと、直流発電機と、冷却システム部と、排気システム部と、エンジンコントロールユニットと、バッテリとによって構成される発電構成体と、筐体とを備え、前記発電構成体は前記筐体に収納されて発電ユニットとして複数個備えられ、各該発電ユニットは独立で発電できる構成とされ、複数の該発電ユニット同士は該発電ユニット外部に設けられた電気配線にて並列連結されつつ該電気配線にはトータルコントロールユニットが設けられ、前記発電ユニットの全部の稼働と停止と発電電力の大きさは、該トータルコントロールユニットにて管理されてなると共に、前記筐体には前記ガスエンジンと、前記バッテリが設置されるフレームが備えられ、該フレームは前記筐体から出し入れ自在となる構成としたことを特徴とするガスエンジン発電システム。
【0075】
(付記6)
ガスエンジンと、直流発電機と、冷却システム部と、排気システム部と、エンジンコントロールユニットと、バッテリとによって構成される発電構成体と、筐体とを備え、前記発電構成体は前記筐体に収納されて発電ユニットとして複数個備えられ、各該発電ユニットは独立で発電できる構成とされ、複数の該発電ユニット同士は該発電ユニット外部に設けられた電気配線にて並列連結されつつ該電気配線にはトータルコントロールユニットが設けられ、前記発電ユニットの全部の稼働と停止と発電電力の大きさは、該トータルコントロールユニットにて管理されてなると共に、前記筐体には前記ガスエンジンと、前記バッテリが設置されるフレームが備えられ、該フレームは前記筐体から出し入れ自在となる構成とし、前記筐体の床板上にはガイドレールが設けられ、前記フレームの底板下面側には、前記ガイドレールに沿って移動自在となるガイドピースが設けられてなることを特徴とするガスエンジン発電システム。
【0076】
(付記7)
ガスエンジンと、直流発電機と、冷却システム部と、排気システム部と、エンジンコントロールユニットと、バッテリとによって構成される発電構成体と、筐体とを備え、前記発電構成体は前記筐体に収納されて発電ユニットとして複数個備えられ、各該発電ユニットは独立で発電できる構成とされ、複数の該発電ユニット同士は該発電ユニット外部に設けられた電気配線にて並列連結されつつ該電気配線にはトータルコントロールユニットが設けられ、前記発電ユニットの全部の稼働と停止と発電電力の大きさは、該トータルコントロールユニットにて管理されてなると共に、出力電源として直流・交流インバータにて適宜な交流電源を送信できると共に、前記筐体は中板を介して上下2階構造とし、下室部に前記フレームが収納され、上室部には電装品が収納されてなることを特徴とするガスエンジン発電システム。
【0077】
(付記8)
ガスエンジンと、直流発電機と、冷却システム部と、排気システム部と、エンジンコントロールユニットと、バッテリとによって構成される発電構成体と、筐体とを備え、前記発電構成体は前記筐体に収納されて発電ユニットとして複数個備えられ、各該発電ユニットは独立で発電できる構成とされ、複数の該発電ユニット同士は該発電ユニット外部に設けられた電気配線にて並列連結されつつ該電気配線にはトータルコントロールユニットが設けられ、前記発電ユニットの全部の稼働と停止と発電電力の大きさは、該トータルコントロールユニットにて管理されてなると共に、出力電源として直流・交流インバータにて適宜な交流電源を送信できると共に、ユニットラックが備えられ、該ユニットラックは複数の前記発電ユニットが並列状態で配置されてなり、前記ユニットラックには複数の前記発電ユニットが上下2段に配置されてなることを特徴とするガスエンジン発電システム。
【0078】
(付記9)
ガスエンジンと、直流発電機と、冷却システム部と、排気システム部と、エンジンコントロールユニットと、バッテリとによって構成される発電構成体と、筐体とを備え、前記発電構成体は前記筐体に収納されて発電ユニットとして複数個備えられ、各該発電ユニットは独立で発電できる構成とされ、複数の該発電ユニット同士は該発電ユニット外部に設けられた電気配線にて並列連結されつつ該電気配線にはトータルコントロールユニットが設けられ、前記発電ユニットの全部の稼働と停止と発電電力の大きさは、該トータルコントロールユニットにて管理されてなると共に、出力電源として直流・交流インバータにて適宜な交流電源を送信できると共に、ユニットラックが備えられ、該ユニットラックは複数の前記発電ユニットが並列状態で配置されてなり、前記ユニットラックには複数の前記発電ユニットが3段乃至7段に配置されてなることを特徴とするガスエンジン発電システム。
【0079】
(付記10)
ガスエンジンと、直流発電機と、冷却システム部と、排気システム部と、エンジンコントロールユニットと、バッテリとによって構成される発電構成体と、筐体とを備え、前記発電構成体は前記筐体に収納されて発電ユニットとして複数個備えられ、各該発電ユニットは独立で発電できる構成とされ、複数の該発電ユニット同士は該発電ユニット外部に設けられた電気配線にて並列連結されつつ該電気配線にはトータルコントロールユニットが設けられ、前記発電ユニットの全部の稼働と停止と発電電力の大きさは、該トータルコントロールユニットにて管理されてなると共に、出力電源として直流・交流インバータにて適宜な交流電源を送信できると共に、ユニットラックが備えられ、該ユニットラックは複数の前記発電ユニットが並列状態で配置されてなり、前記ユニットラックには複数の前記発電ユニットが8段乃至十数段に配置されてなることを特徴とするガスエンジン発電システム。
【符号の説明】
【0080】
A…発電ユニット、筐体1、2…ガスエンジン、4…排気システム部、
59…直流発電機、53…バッテリ、55…冷却システム部、
61…エンジンコントロールユニット(ECU)、7…フレーム、
81…トータルコントロールユニット(TCU)、83…燃料配管、84…排気集合管、85…電力ケーブル、14…ガイドレール、73…ガイドピース、9…ユニットラック。

【要約】
【目的】保守・管理が行い易く、電力の需要に対応して少ない燃料消費量で効率よく電力を供給でき、多数を連結することで大きな電力を供給すること。
【構成】
【請求項1】
ガスエンジン2と、直流発電機59(交流発電機51を交換)と、冷却システム部55と、排気システム部4と、エンジンコントロールユニット61と、バッテリ53とによって構成される発電構成体と、筐体1とを備え、発電構成体は筐体1に収納されて発電ユニットAとして複数個備えられること。各発電ユニットAは独立で発電できる構成とされ、複数の発電ユニットA同士は電気的に並列連結され、発電ユニットAの全部の稼働と停止と発電電力の大きさは、トータルコントロールユニット81にて管理され、各発電ユニットAからの直流電力を合算して交流電力に変換して、負荷側に供給すること。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12