特許第6852957号(P6852957)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6852957-加入者側光終端装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852957
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】加入者側光終端装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/44 20060101AFI20210322BHJP
   H04B 10/272 20130101ALI20210322BHJP
   H04J 14/08 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   H04L12/44 B
   H04L12/44 200
   H04B10/272
   H04J14/08
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-121319(P2014-121319)
(22)【出願日】2014年6月12日
(65)【公開番号】特開2016-1820(P2016-1820A)
(43)【公開日】2016年1月7日
【審査請求日】2017年1月18日
【審判番号】不服2018-16619(P2018-16619/J1)
【審判請求日】2018年12月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】大石 将之
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓仁
【合議体】
【審判長】 稲葉 和生
【審判官】 角田 慎治
【審判官】 小田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−257163(JP,A)
【文献】 特開2010−206752(JP,A)
【文献】 特開2007−282037(JP,A)
【文献】 特開2003−244178(JP,A)
【文献】 特開2012−60217(JP,A)
【文献】 特開2010−199861(JP,A)
【文献】 特開2011−146780(JP,A)
【文献】 特開2012−49942(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/77576(WO,A1)
【文献】 A broadband optical access system with increased service capability using dynamic bandwidth assignment,ITU−T規格文書(Gシリーズ)G.983.4、その他、2002.09.24発行、p.3−11
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/44
H04J 14/08
H04B 10/272
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受動光アクセス網の加入者側光終端装置であって、
伝送遅延を抑えるための所定の遅延条件を要求する通信装置に接続される第1加入者側光終端装置であるか、前記所定の遅延条件を要求しない通信装置に接続される第2加入者側光終端装置であるかの情報を保持する保持手段と、
前記情報が前記第1加入者側光終端装置であることを示していると、リソースを要求するための要求信号を前記受動光アクセス網の局側光終端装置に送信しない様に制御し、前記情報が前記第2加入者側光終端装置であることを示していると、前記要求信号を前記局側光終端装置に送信する様に制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記情報が前記第1加入者側光終端装置であることを示していると、前記局側光終端装置からマルチキャスト配信される割当信号を受信してリソースの割り当てを受け、
前記情報が前記第1加入者側光終端装置であることを示しているとき、前記割り当てを受けるリソースは、前記局側光終端装置に接続する前記第1加入者側光終端装置の数に基づき決定されていることを特徴とする加入者側光終端装置。
【請求項2】
前記要求信号は、送信データ量を含むことを特徴とする請求項に記載の加入者側光終端装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受動光アクセス網(PON:Passive Optical Network)における帯域割り当て技術に関する。
【背景技術】
【0002】
加入者にネットワークへの高速アクセスを提供するため、受動光アクセス網(PON:Passive Optical Network)が利用されている。PONにおいては、1つの局側光終端装置(OLT:Optical Line Terminal)に、スプリッタ等を介して複数の加入者側光終端装置(ONU:Optical Network Unit)を収容する構成がとられる。そして、各ONUがOLTに送信する信号が衝突しない様に、OLTがONUに上り方向のリソース割り当てを行う。
【0003】
従来、PONにおいては、時分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)によりリソースの割り当てを行っていた。つまり、各ONUは上り方向において同じ波長を使用し、OLTは、各ONUに対して送信タイミング及び送信期間を指定することでリソース割り当てを行っていた。しかしながら、近年、PONの容量の拡大が求められており、非特許文献1は、PONに、TDM及び波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)を適用したTWDM(Time and Wavelength Division Multiplexing)−PONを開示している。TWDM−PONにおいては、OLTがONUに対して使用する波長、送信タイミング及び送信期間を指定することになる。
【0004】
移動通信網が提供する無線アクセスネットワークの高速化に伴い、基地局がカバーする領域(セル)が狭くなり、よって、移動通信網に設置すべき基地局の数が増大している。このため、複数の基地局を収容するためのネットワークとして、PONの利用が検討されている。ここで、基地局を収容するためのバックホール部分の遅延要求は、PONが主に提供するインターネット・アクセスと比較して厳しく、基地局のバックホールとしてPONを使用するためには、PONにおける伝送遅延を抑えなければならない。
【0005】
このため特許文献1は、ONUの過去のリソースの要求履歴に基づき、リソースを要求できるONUを制限し、これによりリソース割り当てのための制御信号の送受信で生じる伝送遅延を抑える構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−11660号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】飯田大輔、桑野茂、可児淳一、寺田純、"動的TWDM−PON技術による無線アクセスネットワークの帯域利用効率向上"、2013年電子情報通信学会ソサイエティ大会、B−8−35、2013年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、総てのONUが同様の伝送帯域を要求する場合、伝送遅延を抑えることができない。
【0009】
本発明は、伝送遅延を抑えることができる受動光アクセス網の加入者側光終端装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面によると、受動光アクセス網の加入者側光終端装置は、伝送遅延を抑えるための所定の遅延条件を要求する通信装置に接続される第1加入者側光終端装置であるか、前記所定の遅延条件を要求しない通信装置に接続される第2加入者側光終端装置であるかの情報を保持する保持手段と、前記情報が前記第1加入者側光終端装置であることを示していると、リソースを要求するための要求信号を前記受動光アクセス網の局側光終端装置に送信しない様に制御し、前記情報が前記第2加入者側光終端装置であることを示していると、前記要求信号を前記局側光終端装置に送信する様に制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記情報が前記第1加入者側光終端装置であることを示していると、前記局側光終端装置からマルチキャスト配信される割当信号を受信してリソースの割り当てを受け、前記情報が前記第1加入者側光終端装置であることを示しているとき、前記割り当てを受けるリソースは、前記局側光終端装置に接続する前記第1加入者側光終端装置の数に基づき決定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
受動光アクセス網の伝送遅延を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態による受動光アクセス網の構成図。
図2】一実施形態による局側光終端装置の構成図。
図3】一実施形態による加入者側光終端装置の構成図。
図4】一実施形態によるリソース割り当て信号を示す図。
図5】一実施形態による通信シーケンス。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。また、以下の実施形態は例示であり本発明を実施形態の内容に限定するものではない。
【0015】
図1は、PONの構成図である。1つの局側光終端装置(OLT)1は、スプリッタ3を介して、複数の加入者側光終端装置(ONU)2と通信する。なお、本実施形態のPONはTWDM−PONであり波長多重と時分割多重を併用する。つまり、本実施形態によるPONは、各方向それぞれにおいて複数の波長を使用する。したがって、OLT1は、上り方向、つまり、ONU2からOLT1方向のデータ伝送に使用するリソースを、波長と、送信期間を指定することで割り当てる。以下の説明において、OLT1がONU2にリソースを通知するための信号をリソース割り当て信号(図では、Grant)と呼ぶものとする。また、OLT1がONU2にリソース割り当てを行うに当たり、OLT1は、ONU2が上り方向に送信する必要があるデータ量についての情報を各ONU2から取得する。以下の説明において、ONU2が送信データ量をOLT1に通知するための信号をリソース要求信号(図ではReport)と呼ぶものとする。
【0016】
図5(A)は、従来におけるTWDM−PONでの通信シーケンス図である。なお、図5(A)は、TWDM−PONで使用する複数の波長ペアの内の1つの波長ペアにおけるシーケンスを示しており、OLT1に収容されている複数のONU2の内のm台のONU2が、この波長ペアを送受信する様に構成されているものとする。なお、波長ペアとは、上り方向と下り方向の波長の対を意味している。OLT1は、所定のタイミングで各ONU2にリソース割り当て信号を送信し、各ONU2に使用すべきリソースを通知する。各ONU2は、リソース割り当て信号を受信すると、割り当てられたリソースを使用してデータと、リソース要求信号をOLT1に送信する。なお、本例において、リソース割り当て信号により、m台のONU2には同じ波長ペアが割り当てられたものとしている。OLT1は、リソース割り当て信号を送信後、各ONU2からデータ及びリソース要求信号を受信し、それらを総て受信した後、各ONU2からのリソース要求信号に基づきリソースの割り当てを行い、リソース割り当て信号を各ONU2に送信する。なお、OLT1において、リソース割り当て信号を送信した後、次のリソース割り当て信号を送信するまでの間は、下り方向、つまり、OLT1からONU2方向へのデータを送信している。
【0017】
図5(B)は、本実施形態によるTWDM−PONでの通信シーケンス図である。なお、図5(B)は、TWDM−PONで使用する複数の波長ペアの内の1つの波長ペアに対するシーケンスを示し、OLT1に収容されている複数のONU2の内のm台のONU2が、この波長ペアを送受信する様に構成されているものとする。また、このm台のONU2は、いずれも低遅延が要求される通信装置に接続されているものとする。なお、以下の説明において、低遅延が要求される通信装置に接続されているONU2を低遅延ONU2と呼ぶものとする。本実施形態では、各低遅延ONU2には、1つのリソース割り当て信号をマルチキャスト配信することでリソースを通知する。図4は、本実施形態によるリソース割り当て信号を示している。また、低遅延ONU2は、リソース要求信号を送信せず、OLT1は、リソース要求信号によらず低遅延ONU2に所定の帯域を割り当てる。この所定の帯域は、例えば、固定値とすることができる。或いは、この所定の帯域は、1つの波長での利用可能な上り方向の総帯域を、当該波長を割り当てる低遅延ONU2に均等に配分した値とすることができる。なお、1つの波長での利用可能な上り方向の総帯域とは、当該波長での上り方向の全帯域や、全帯域より小さい所定の値とすることができる。なお、OLT1には、どのONU2が、低遅延ONU2であるかを特定する情報が設定されている。本実施形態では、各ONU2からのリソース要求信号を受信し、各ONU2が有する上り方向のデータ量を集計する必要がなく、かつ、1つのリソース割り当て信号でリソースの通知を行うため、リソース要求信号からリソース割り当て信号の送信までの時間を削減でき、よって、伝送遅延を削減することができる。
【0018】
なお、ある波長に、低遅延ONU2と、それ以外のONU2を混在させることもできる。この場合、OLT1は、低遅延ONU2については、1つの波長での上り方向の全帯域の内の所定の帯域を、当該波長を割り当てる低遅延ONU2に均等に割り当て、残りの帯域をそれ以外のONU2のために確保する。この場合、それ以外のONU2には、従来通り、リソース要求信号に基づきリソースの割り当てを行う。また、例えば、低遅延ONU2と、それ以外のONU2を同じ波長に混在させない様に収容する構成であっても良い。この場合、OLT1は、低遅延ONU2のみが使用する波長の上り方向の全帯域を、当該波長を使用する低遅延ONU2に均等に割り当てることができる。
【0019】
図2は、本実施形態によるOLT1の構成図である。なお、本実施形態において、TWDM−PONは、下り方向にはλ1−1〜λn−1のn個の波長を使用し、上り方向にはλ1−2〜λn−2のn個の波長を使用するものとする。なお、λk−1とλk−2(k=1〜nの整数)を下り方向と上り方向の波長ペアとする。本実施形態におけるOLT1は、n個の送受信部12−1〜12−nを備えている。なお、送受信部12−k(k=1〜nの整数)は、波長λk−1とλk−2の光信号の送信処理と受信処理を行う。選択部14は、制御部13の制御の下、下り方向においては、データの宛先となるONU2が使用している波長に対応する送受信部に、入力されたデータを出力する。また、選択部14は、上り方向においては、各送受信部から受信するデータを出力する。制御部13は、低遅延ONU2と、それ以外のONU2を特定する情報を保持しており、各ONU2に対するリソースの割り当てを実行する。なお、波長多重部11は、下り方向については、n個の送受信部から受信する波長λ1−1〜λn−1のn個の波長を波長多重して出力し、上り方向においては、受信する光信号に含まれる波長λ1−2〜λn−2の信号を分離して、対応する送受信部12に出力する。
【0020】
図3は、本実施形態によるONU2の構成図である。波長多重部21は、下り方向の波長λ1−1〜λn−1と上り方向の波長λ1−2〜λn−2の分離を行う。波長可変送受信部24は、送信波長については、少なくともλ1−2〜λn−2で可変であり、受信波長については、少なくとも波長λ1−1〜λn−1で可変であり、使用する波長ペアについては、制御部25により制御される。波長可変フィルタ23は、波長λ1−1〜λn−1の内の1つの波長の光信号を波長可変送受信部24に出力する。なお、どの波長の光信号を出力するかについては制御部25が制御する。図3において、sは、1〜nの整数の内のいずれかの値である。制御部25は、受信する帯域割り当て信号に基づき使用すべき波長を波長可変送受信部24と波長可変フィルタ23に通知する。また、制御部25は、自装置が低遅延ONU2であるか否かを示す情報を保持しており、自装置が低遅延ONU2である場合にはリソース要求信号を送信しない様に制御する。一方、自装置が低遅延ONU2ではない場合にはリソース要求信号を送信してリソース割り当てを受ける。
【0021】
なお、TWDM−PONを用いて本実施形態の説明を行ったが、本発明は、時分割多重のみを使用するTDM−PONに対しても適用できる。
図1
図2
図3
図4
図5