特許第6852964号(P6852964)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティドの特許一覧

特許6852964運転者および半自動運転システムのための車両モードの管理
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852964
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】運転者および半自動運転システムのための車両モードの管理
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20210322BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20210322BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20210322BHJP
   B60W 30/08 20120101ALI20210322BHJP
   B60W 40/08 20120101ALI20210322BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20210322BHJP
   B60W 30/12 20200101ALI20210322BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20210322BHJP
   B62D 103/00 20060101ALN20210322BHJP
   B62D 111/00 20060101ALN20210322BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20210322BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20210322BHJP
   B62D 137/00 20060101ALN20210322BHJP
【FI】
   G08G1/16 CZYW
   B62D6/00
   B60W60/00
   B60W30/08
   B60W40/08
   B60W50/14
   B60W30/12
   B62D101:00
   B62D103:00
   B62D111:00
   B62D113:00
   B62D119:00
   B62D137:00
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2015-174794(P2015-174794)
(22)【出願日】2015年9月4日
(65)【公開番号】特開2016-58090(P2016-58090A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2018年6月29日
(31)【優先権主張番号】14/477,445
(32)【優先日】2014年9月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】ジョン マイケル マックニュー
(72)【発明者】
【氏名】ウラディメロス ウラディメロウ
【審査官】 久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0109610(US,A1)
【文献】 特表2005−517484(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0314783(US,A1)
【文献】 特開2016−181260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60W 30/08
B60W 30/12
B60W 40/08
B60W 50/14
B60W 60/00
B62D 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
道路上において将来起こり得る車両の安全性又は快適性を減少させる1つ以上の脅威に対して許容可能な、半自動運転システムの自動化レベルの制限が最も少ない運転者の注意状態と操縦状態を含む運転状態を、少なくとも車両搭載カメラから得られる画像に基づいて前記半自動運転システムにより感知された、安全性又は快適性に対する前記1つ以上の脅威に基づいて判定し、
前記1つ以上の脅威と関連付けられた、記憶された安全性又は快適性の減少に対する結果レベル、及び記憶された安全性又は快適性を減少させる前記1つ以上の脅威の感知から結果までの時間に基づいて、前記1つ以上の脅威のうちの1つを、安全性に対する脅威であるか快適性に対する脅威であるかに分類し、該分類では、快適性に対する脅威が、前記運転者の安全性を減少させずに前記運転者の快適性を減少させることに対応する結果と関連付けられ、安全性に対する脅威が、前記運転者の安全性を減少させることに対応する結果と関連付けられ、
現在の前記運転者の前記運転状態を、車両のハンドルに搭載されたハンドルグリップセンサ又はハンドルトルクセンサを少なくとも用いて感知された、前記運転者の感知された注意状態と感知された操縦状態に基づいて判定することであって、前記半自動運転システムが、前記運転者がハンドルに触れているかを判定することを含む、判定を行い、
前記現在の前記運転者の前記運転状態が前記許容可能な前記運転状態となるように、前記半自動運転システムと関連付けられた人間/機械インタフェース(HMI)を介して、前記運転者に警告を提供し、
前記警告を提供してから所定の時間内に前記現在の前記運転者の前記運転状態が前記許容可能な前記運転状態とならないときは、前記半自動運転システムが強制介入を実施する又は停止することによって、前記運転者の注意状態と操縦状態を強制し、
前記警告を提供してから前記所定の時間内に前記現在の前記運転者の前記運転状態が前記許容可能な前記運転状態となったときは、自動化レベルの制限が最も少なくなるように車両制御状態を管理することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記装置は、
前記1つ以上の脅威に対する前記運転者の所望の行動を判定し、
前記1つ以上の脅威の優先順位を、脅威と関連付けられている脅威の発生時間に基づいて判定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、前記1つ以上の脅威の発生時間を、脅威に対する前記運転者の反応時間と比較して、前記許容可能な前記運転者の前記運転状態を判定する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、前記運転者が1つ以上の前の前記半自動運転システムからの要求に従ったことを判定する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記警告は、注意警告と操縦警告を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、前記運転者が前記警告に従うためにかかる時間量を判定する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、前記運転者が前記警告に従うためにかかる前記時間量が第1所定閾値よりも大きいときに、前記運転者の相互作用を強制する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、1つ以上の強制介入を実施することにより前記運転者の相互作用を強制する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、強制履歴における強制イベント数を第2所定閾値と比較する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、前記半自動運転システムを停止するための安全なシナリオを判定し、
前記強制履歴における前記強制イベント数が前記第2所定閾値よりも大きいときに、前記半自動運転システムを停止する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
方法であって、
道路上において将来起こり得る車両の安全性又は快適性を減少させる1つ以上の脅威に対して許容可能な、半自動運転システムの自動化レベルの制限が最も少ない運転者の注意状態と操縦状態を含む運転状態を、少なくとも車両搭載カメラから得られる画像に基づいて前記半自動運転システムにより感知された、安全性又は快適性に対する前記1つ以上の脅威に基づいて判定することと、
前記1つ以上の脅威と関連付けられた、記憶された安全性又は快適性の減少に対する結果レベル、及び記憶された安全性又は快適性を減少させる前記1つ以上の脅威の感知から結果までの時間に基づいて、前記1つ以上の脅威のうちの1つを、安全性に対する脅威であるか快適性に対する脅威であるかに分類することであって、該分類では、快適性に対する脅威が、前記運転者の安全性を減少させずに前記運転者の快適性を減少させることに対応する結果と関連付けられ、安全性に対する脅威が、前記運転者の安全性を減少させることに対応する結果と関連付けられている、ことと、
現在の前記運転者の前記運転状態を、車両のハンドルに搭載されたハンドルグリップセンサ又はハンドルトルクセンサを少なくとも用いて感知された、前記運転者の感知された注意状態と感知された操縦状態に基づいて判定することであって、前記半自動運転システムが、前記運転者がハンドルに触れているかを判定することを含む、判定することと、
前記現在の前記運転者の前記運転状態が前記許容可能な前記運転状態となるように、前記半自動運転システムと関連付けられた人間/機械インタフェース(HMI)を介して、前記運転者に警告を提供することと、
前記警告を提供してから所定の時間内に前記現在の前記運転者の前記運転状態が前記許容可能な前記運転状態とならないときは、前記半自動運転システムが強制介入を実施する又は停止することによって、前記運転者の注意状態と操縦状態を強制することと、
前記警告を提供してから前記所定の時間内に前記現在の前記運転者の前記運転状態が前記許容可能な前記運転状態となったときは、自動化レベルの制限が最も少なくなるように車両制御状態を管理することと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項12】
装置に請求項11に記載の前記方法を実行可能な指令を含んでいる非一時的コンピュータ読取り可能記憶媒体。
【請求項13】
システムであって、
脅威データと運転者監視データを得るための1つ以上のセンサと、
コントローラであって、
道路上において将来起こり得る車両の安全性又は快適性を減少させる1つ以上の脅威に対して許容可能な、半自動運転システムの自動化レベルの制限が最も少ない運転者の注意状態と操縦状態を含む運転状態を、少なくとも車両搭載カメラから得られる画像に基づいて前記半自動運転システムにより感知された、安全性又は快適性に対する前記1つ以上の脅威に基づいて判定し、
前記1つ以上の脅威と関連付けられた、記憶された安全性又は快適性の減少に対する結果レベル、及び記憶された安全性又は快適性を減少させる前記1つ以上の脅威の感知から結果までの時間に基づいて、前記1つ以上の脅威のうちの1つを、安全性に対する脅威であるか快適性に対する脅威であるかに分類し、該分類では、快適性に対する脅威が、前記運転者の安全性を減少させずに前記運転者の快適性を減少させることに対応する結果と関連付けられ、安全性に対する脅威が、前記運転者の安全性を減少させることに対応する結果と関連付けられ、
現在の前記運転者の前記運転状態を、車両のハンドルに搭載されたハンドルグリップセンサ又はハンドルトルクセンサを少なくとも用いて感知された、前記運転者の感知された注意状態と感知された操縦状態に基づいて判定することであって、前記半自動運転システムが、前記運転者がハンドルに触れているかを判定することを含む、判定を行い、
前記現在の前記運転者の前記運転状態が前記許容可能な前記運転状態となるように、前記半自動運転システムと関連付けられた人間/機械インタフェース(HMI)を介して、前記運転者に警告を提供し、
前記警告を提供してから所定の時間内に前記現在の前記運転者の前記運転状態が前記許容可能な前記運転状態とならないときは、前記半自動運転システムが強制介入を実施する又は停止することによって、前記運転者の注意状態と操縦状態を強制し、
前記警告を提供してから前記所定の時間内に前記現在の前記運転者の前記運転状態が前記許容可能な前記運転状態となったときは、自動化レベルの制限が最も少なくなるように車両制御状態を管理するプロセッサを含んでいるコントローラと、を備えることを特徴とするシステム。
【請求項14】
前記装置は、
快適性に対する脅威として分類された前記1つ以上の脅威を、快適性に対する脅威リストに割り当て、
安全性に対する脅威として分類された前記1つ以上の脅威を、安全性に対する脅威リストに割り当て、
快適性に対する脅威リストの前に安全性に対する脅威リストに基づいて、前記半自動運転システムの許容可能な前記運転者の前記運転状態を判定する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記装置は、
脅威がシステムにより感知されたと判定することに反応した、道路に目をやるまでの時間に基づいて、脅威に対する前記運転者による所望の行動を判定する、請求項2に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半自動運転システムは、現在および将来の運転状態に基づいて、車両をレーンの中央に保つと共に、自動走行制御を管理できる。Lee等による「System and Method for Vehicle Lateral Control:車両側方制御のためのシステムと方法」というタイトルの米国特許出願広報第2013/0253767 A1号は、運転者の入力を削減するために、計画された経路に基づいて、レーンの補正およびトルク支援の操縦のための方法を記述する。
【発明の概要】
【0002】
本開示は、道路への運転者の注意と共に、運転者の操縦の相互作用を含むことができる運転者の運転状態を同時に管理しながら、半自動車両の車両制御状態を管理することを目的とする。例としての実施態様においては、半自動運転システムの制限が最も少ない許容可能な運転状態は、1つ以上の脅威(将来起こり得る危険)とセンサの性能に基づいて判定される。現在の運転状態と将来の運転状態は、運転者の注意状態と操縦状態に基づいて判定される。現在の運転状態を、将来の許容可能な運転状態と整合させるために、運転者には警告が提供される。更に、運転者が警告に反応しないときは運転者の相互作用および注意が強制される。
【0003】
脅威は、安全性に対する脅威または快適性に対する脅威の何れかに判定することができ、運転者により感知、またはシステムにより感知される脅威である。それぞれの脅威は、運転者の所望の行動を有することができる。脅威の優先順位は、脅威の関連付けられた発生時間に基づいて判定できる。脅威に対する運転者の反応時間は、運転者の注意時間、道路上へ目をやる時間、およびハンドル上に手を置く時間に基づくことができる。制限が最も少ない許容可能な運転状態は、脅威の発生時間と、運転者の反応時間との比較に基づくことができる。
【0004】
将来の運転状態は、運転者が半自動運転システムによる1つ以上の前の要求に従った場合であって、将来の運転状態が、所定の時間内に1つ以上の警告を生成しない場合は、制限が最も少ない許容可能な運転状態に設定できる。
【0005】
警告は、注意に関する警告と操縦に関する警告を含むことができ、将来の運転状態が、現在の運転状態および現在のレーン追尾制御状態の少なくとも1つ以上よりも、制限がより多いときに提供できる。現在のレーン追尾制御状態は、レーン追尾制御システムの自動化レベルに基づいて判定できる。
【0006】
運転者が警告に従うためにかかる時間量は判定でき、運転者が警告に従うためにかかる時間量が、第1所定閾値よりも大きいときには運転の相互作用を強制できる。運転の相互作用は、自動走行制御システムの速度を落とすことにより強制できる。
【0007】
強制履歴における強制イベント数は第2所定閾値と比較でき、半自動運転システムとの係合を解除するための安全なシナリオを判定できる。半自動運転システムとの係合は、強制履歴における強制イベント数が第2所定閾値よりも大きいときに解除できる。
【0008】
プロセスは、半自動運転システムの制限が最も少ない許容可能な運転状態を、1つ以上の脅威とセンサの性能に基づいて判定すること、現在の運転状態と将来の運転状態を、運転者の注意状態と操縦状態に基づいて判定すること、現在の運転状態を、将来の運転状態に整合させるために運転者に警告を提供すること、および運転者が警告に反応しないときは、運転の相互作用または注意を強制することを含むことができる。
【0009】
回路により実行されたときに、回路にプロセスを行わせることができる実行可能な指令を含んでいる非一時的コンピュータ読取り可能記憶媒体。
【0010】
システムは、脅威データと運転者監視データを得るための1つ以上のセンサと、プロセッサを含んでいるコントローラを含むことができる。プロセッサは、半自動運転システムの制限が最も少ない許容可能な運転状態を、1つ以上の脅威とセンサの性能に基づいて判定すること、現在の運転状態と将来の運転状態を、運転者の注意状態と操縦状態に基づいて判定すること、現在の運転状態を、将来の運転状態に整合するために、運転者に警告を提供すること、および運転者が警告に反応しないときは、運転の相互作用または注意を強制することができる。
【0011】
システムは、車両システムまたは車両サブシステムの一部であってもよく、取外し可能モジュールとして車両から除去可能であってもよい。
【0012】
例としての実施態様の前述の一般的な記述と、下記のその詳細な記述は、本開示の教示の単なる例としての態様に過ぎず、制限的ではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】半自動モード管理プロセスの例としての説明図である。
図2】半自動モード管理部(SAMM)の例としての説明図である。
図3】許容可能な運転状態の計算の例としてのフロー図である。
図4A】警告の判定の例としてのフロー図である。
図4B】警告の判定の例としてのフロー図である。
図4C】警告の判定の例としてのフロー図である。
図5A】道路上に目をやるという警告の判定の例としてのフロー図である。
図5B】道路上に目をやるという警告の判定の例としてのフロー図である。
図6A】将来の警告の判定の例としてのフロー図である。
図6B】将来の警告の判定の例としてのフロー図である。
図6C】将来の警告の判定の例としてのフロー図である。
図7A】強制および係合の計算のフロー図を例示する図である。
図7B】操縦タイマプロセスの例としてのフロー図である。
図8】自動車両の内部コンパートメントの例としての説明図である。
図9】コントローラおよび/またはコンピュータシステムのための処理システムを模式的に例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示および本開示の付随する多数の利点のより完全な理解は、それらが、付随する図面と連携して考慮され、下記の詳細な記述を参照してより良好に理解されるときに容易に得られるであろう。
【0015】
図面において、類似の参照番号は、幾つかの図を通して同一または対応する部分を示す。更に、ここで使用されるように、「1つの」等のような単語は、特に明記されない限り、一般的には「1つ以上」の意味を含んでいる。図面は、特に指定されない限り、一般的には一定の拡大/縮小率で描かれており、または模式的な構造またはフロー図を例示す。
【0016】
「およそ」や「だいたい」の用語およびその類似の用語は、一般的には、20%、10%、または、好ましくは5%の範囲内の特定された値、およびその間の任意の値を含む範囲のことである。
【0017】
半自動運転システムにおいては、操縦制御、速度制御、および感知システムは、車両内の処理回路により制御できる。幾つかの態様においては、半自動運転システムの起動は、幹線道路や交通量の少ないエリアでの運転時のように、1つ以上の操作領域に制限できる。幾つかの実施態様においては、半自動モード管理部(SAMM)は、車両制御システムと人間/機械インタフェース(HMI)の間のインタフェースを取って、許容可能な運転状態を、運転者の注意状態と共に、現在および将来の運転シナリオに基づいて管理できる。SAMMは、レーン追尾制御(LTC)および/または自動走行制御(ACC)がいつ運転者に提案されるかを管理し、運転者に、ハンドルと相互作用するように、および/または道路に注意を払うように催促するための警告および/または要求を生成し、そして、運転者が警告に反応しないときは、運転者の注意または操縦の相互作用を強制できる。運転者の注意状態は、頭および注視している角度、および閉じた目の測定値、ハンドル、ブレーキペダルまたはアクセルペダルとの相互作用、または明示的に走行制御を設定することにより判定されるように、運転者が道路上に目をやることに基づくことができる。
【0018】
図1は、半自動モード管理プロセス100の例としての説明図である。ステップS102において、SAMMの処理回路により、制限が最も少ない許容可能な運転状態の推定が行われる。SAMMは、現在およびやがて起こる脅威を判定するために、レーダ、ライダ(光検出および測距)、車両搭載カメラ、GPS、記憶される地図などのような、センサからの入力を受信できる。脅威を判定するために使用されるセンサデータは、一実施態様によれば、脅威データと称することができる。脅威は、レーンが分岐または合流したり、レーンの標識が劣化したりするなどの結果が起こり得る任意のタイプのシナリオを含むことができる。幾つかの実施態様においては、脅威は、データベースに記憶され、処理回路によりアクセスされる脅威を特定するための関連付けられた基準を有する。例えば、レーンの分岐の場合においては、処理回路はレーン分岐情報を、データベースに記憶される地図情報から受信できる。追加的に、車両搭載カメラは、車両がレーンの分岐に接近していることを示す道路の画像を得ることができる。各脅威は、関連付けられている結果レベル(例えば、安全性または快適性に対する結果レベル)および所望の運転者の状態(例えば、運転者は操縦しなければならない、運転者はハンドル上に手を載せていなければならない、または運転者は道路を見なければならない)を有することもできる。各脅威はまた、結果までの時間(TC)も有することもでき、ここでTCとは、運転者が結果を回避するために、所望の状態を達成しなければならない時間量である。TCは、脅威の位置、車両の速度などに基づくことができる。
【0019】
制限が最も少ない許容可能な運転状態はまた、センサの性能に影響を受ける可能性もある。例えば、車両搭載カメラから得られる画像の画質が天候条件により劣化したときは、LTCシステムの精度における信頼は低下し、許容可能な運転状態は、運転者のより多くの介在量を要求するレベルに設定されることもある。許容可能な運転状態の例としては、LTC_ACTIVE、CO−STEER、MANUAL、またはOFFを含むことができる。幾つかの実施態様においては、LTC_ACTIVEは、LTCシステムが運転者の入力なしに、レーンの中央に車両を保っていることを意味する。CO−STEER運転状態は、LTCシステムは作動しているが削減された能力で作動しており、運転者に追加的な操縦トルクを提供し、および/または監視するために、手をハンドル上に置くことを要求可能であることを意味することができる。MANUAL運転状態は、運転者は車両を能動的に操縦しており、LTCシステムはオンで感知状態であるが操縦出力は提供しないことを示すことができる。OFF運転状態は、運転者は車両を能動的に操縦しており、LTCシステムは作動していないことを示すことができる。
【0020】
ステップS104において、現在の運転状態の推定が行われる。一実施態様においては、現在の運転者操縦制御状態(CSS)は、DRIVER_IS_STEERING、HANDS_ON、およびHANDS_FREEのような操縦状態を含むことができる。DRIVER_IS_STEERINGは、運転者は能動的に車両を操縦していることを示すことができる。幾つかの態様においては、HANDS_ONは、運転者の手はハンドルの上に置かれているが、車両を能動的には操縦していないことを意味することができる。HANDS_FREEは、運転者の手がハンドル以外の何れかの場所に置かれていることを意味することができる。ハンドルグリップセンサは、運転者の手がハンドルと接触しているかどうかを検知でき、1つ以上の触感、圧力、または容量センサを含むことができる。データベースは、ハンドル上の適切または容認可能な手の置き場所、または手の圧力の時間または空間パターンを記憶でき、検出された位置または接触圧力は、記憶される場所および/または時間および空間パターンと比較されて、運転者の手がハンドルを適切に把持しているかどうかを判定できる。カメラのような光学センサもまた、グリップセンサと協働して、あるいは単独で手の位置を検出できる。幾つかの態様においては、ハンドルトルクセンサは、運転者が能動的に車両を操縦しているかを、速度、方向および/またはハンドルの回転力を測定することにより検出できる。
【0021】
現在の運転状態の別の態様は、運転者が目を道路上にやっているか否かのような、運転者の注意状態を含むことができる。幾つかの実施態様においては、運転者が目を道路上にやっているか否かの判定は、運転者監視カメラからの運転者監視データの処理に基づいて行われる。運転者監視カメラは、運転者の現在の観察角に関連する情報(つまり、運転者の観察角の特徴)を検出できる。一実施態様においては、運転者監視カメラは、ビデオカメラ、電荷結合素子(CCD)カメラ、または運転者を撮像する相補型金属酸化物半導体(CMOS)カメラのような車両内装置であってもよい。赤外線カメラのような他のカメラもまた使用できる。カメラはまた、対象物または特徴を認識するライダ装置のような飛行時間型センサと共に利用、またはそれと置換することもできる。運転者の画像を処理して、運転者の観察角に関連する情報を得ることができる。
【0022】
追加的に、運転者の反応時間に関する推定も行われる。幾つかの実施態様においては、Driver Attention Time(DTA、運転者が注意を払うまでの時間)は、運転者が、道路を見るように警告されることなしに、道路を再び見る(そして確かめる)前に経過する可能性のある推定時間である。Driver Eyes on Road to Warning Time(EORW、運転者が警告に反応して道路に目をやるまでの時間)は、運転者が警告を受け取った後に、道路を再び見る前に経過する可能性のある推定時間である。Driver Hands-on−the−Wheel Time(HOWT、運転者が自身の手をハンドル上に置くまでの時間)は、運転者が、自身の手をハンドルに移動するまでに経過する可能性のある推定時間である。DAT、EORW、およびHOWTは、運転者の母集団から測定された既存のデータから判定される一定値であってもよい。例えば、1,000人の運転者の母集団に対する平均DATが約1.5秒の場合は、DATは1.5秒に設定できる。
【0023】
DAT、EORW、およびHOWTはまた、ある時間における運転者の観察に基づいて判定することもできる。例えば、DAT、EORW、およびHOWTは、運転者が異なれば、反応時間は広い範囲で変動する可能性があるので、ある時間における運転者の反応時間の観測に基づいて修正可能な初期値に設定できる。例えば、人工神経ネットワーク、クラスタリングのような機械学習技術を、運転者に対して最も精度の高いDAT、EORW、およびHOWTを判定するために実施できる。
【0024】
ステップS106において、許容可能な運転状態が、現在の運転状態よりも制限がより多い場合は、現在の運転状態を補正するために警告または要求が生成される。例えば、LTCシステムがナビゲートするにはあまりにも鋭いカーブであって、DRIVER_MUST_STEERの所望の運転状態を有する、道路におけるカーブのやがて起こる脅威があることもある。運転者が現在、ハンドルから手を放している場合は、SAMMは、人間/機械インタフェース(HMI)を介して運転者に警告を発行して、手をハンドル上に戻させることができる。追加的に、脅威に対するTCがDAT未満である場合は、SAMMは、HMIを介して運転者に警告を発行して、目を道路上に保ちながら真っ直ぐ前方を見るようにさせることができる。
【0025】
HMIは、ヘッドアップディスプレイまたはインストルメントクラスタのような視覚警告装置の1台以上を車両内に含むことができる。幾つかの実施態様においては、HMI視覚警告装置は、運転者が道路上に目をやるときに、運転者が見ることができる(つまり、1つ以上の視覚ディスプレイが、運転者が車両の前方への軌跡に沿って真っ直ぐ前方を見ているときに、運転者の視野内に入る)。HMI視覚警告装置はまた、運転者の真っ直ぐ前方の視野の外側にあることも可能であるが、ナビゲーションスクリーン、インストルメントクラスタ、リヤまたはサイドミラーディスプレイのような、運転者の周囲の視野内である。
【0026】
HMIはまた、標準車両オーディオシステム、オーディオラウドスピーカ、圧電トランスデューサ、磁気抵抗トランスデューサ、静電トランスデューサ、または他のサウンドトランスデューサにより送信可能な、音による警告も発行できる。音による警告は、情報を通信し、または運転者の感情または反応を刺激するように構成される話し言葉、チャイム、アラーム、音楽、または他の音として出力できる。幾つかの実施態様においては、HMIはまた、運転者の触感を刺激することが可能な触覚装置を介して警告を発行することもできる。触覚警告装置は、座席、ブレーキペダル、シートベルト、ハンドル、または運転者と物理的に接触している車両の他の部分に接続される機械的トランスデューサを含むことができる。触覚警告装置はまた、車両における換気システムから吹き出される空気や、運転者に警戒を促したり、または情報を通信したり、または運転者の感情を刺激したりするように構成される触感通信の他の形状も含むことができる。
【0027】
ステップS108において、SAMMは、許容可能な運転状態が、現在の運転状態よりも制限が少なく、所定の基準が満たされる場合は、現在の自動化レベルよりも高い自動化レベルを運転者に提案する。より高い自動化レベルが運転者に提案されるためには、幾つかの実施態様によれば、SAMMからの前の要求に運転者が従うように要求することができる。1つの例においては、現在の車両制御状態はMANUALであり、次の許容可能な車両制御状態はLTC_ACTIVEである。運転者に対する前の警告が「DRIVER_MUST_STEER」であった場合は、現在の運転者操縦制御状態は「HANDS_FREE」であり、運転者が手をハンドル上に置いて、車両の操縦制御を呈示するまでは、より高い自動化レベルは運転者には提案されない。HMIは、より高い自動化レベルを実施する前に、運転者が積極的な操縦制御を呈示することを催促するために、運転者にLTC_BLOCKED_BY_STEERINGの警告を発行できる。
【0028】
ステップS110において、SAMMは、運転者に前に発行した警告に従うように強制するために、必要であれば強制行動を実施する。警告がHMIにより発行されたときに、タイマを設定できる。運転者が適切な行動を取って警告を承認したときは(例えば、道路上に目をやったり、操縦したりすることで)、警告は停止し、タイマはリセットされる。幾つかの実施態様においては、運転者により承認される前にタイマが閾値に到達した場合は、SAMMの処理回路は制御信号を送って、特には、車両制御を変更することにより所望の運転状態を強制できる。幾つかの態様によれば、速度に関する強制はACC速度を、運転者にとっては不快であり得るレベルまで落とすこと、またはブレーキを小刻みにかけること、または、不快な側方向の動きを誘発して運転者に警告を承認させることを含むことができる。幾つかの実施態様においては、強制行動は、SAMMからの警告を無視している運転者に不快感を起こさせることができるオーディオ信号を使用するなど、運転者を警告に従わせることを含むことが可能な他のタイプの行動を含むことができる。
【0029】
追加的に、運転者が発行された警告に所定の秒数内に従わない場合は、運転者は意図的に半自動運転システムを無視している可能性があると判定できる。幾つかの実施態様においては、運転者による反応なしに、警告を繰り返し発行させていてもよい。運転者が所定の短時間内に所定数の警告に従わなかった場合は、SAMMは制御信号を発行して制御された方法で、システムとの係合を解除することと称することが可能な、半自動運転システムの停止を行うことができる。一実施態様においては、この短時間は、運転者が半自動運転システムを意図的に無視していることを示すことができる、運転者が警告に従わなかった所定の時間であってもよい。
【0030】
より高い自動化のレベルが運転者に提案された例においては、SAMMは、運転者が適切に提案を承認した場合は、半自動運転システムに係合するための制御信号を発行できる。例えば、SAMMがLTCを運転者に提案した場合は、提案を承認するために運転者が自身の手をハンドルから上げた後に、制御信号をLTCシステムに係合するために送ることができる。他の実施態様においては、LTCへの遷移の提案の承認は、ボタンまたはレバー、声による命令などによる触感による相互作用を介してもよい。
【0031】
半自動モード管理プロセス100に関する詳細を、ここで更に検討する。本開示は、より簡明な記述を提供するために、半自動運転システムの操縦状態を管理することに関して、車両の半自動モード管理システムを記述することに焦点を置いている。半自動モード管理システムの範囲を、速度制御状態および他のタイプの運転状態を管理することに拡張することは、この技術において通常の技量を有する者には容易に理解可能である。
【0032】
図2は、一実施態様に係るSAMMの構成の例としての説明図である。ステップS202における許容可能な運転状態の計算は、脅威特定(ID)およびTC計算ステップS204、運転状態判定ステップS206、および車両制御判定ステップS208から受信する入力に基づいて行われる。処理回路は、現在のレーンの中央に保つ制御(CLC)状態および運転者が利用可能なLTC制御(DALC)を判定できる。ある態様においては、CLCは、LTC_ACTIVE、CO_STEER、MANUAL、またはOFFのようなLTCシステムの現在の状態を示すことができる。DALCは、次回のステップにおいて、制限が最も少ない許容可能な運転状態および前の警告への運転者の反応に基づいて運転者が遷移可能な運転状態であってもよい。
【0033】
ステップS202において許容可能な運転状態を判定することに加えて、処理回路は、現在および将来の運転状態に基づいて、運転者への要求または警告を表示するために制御信号をHMI226に送ることができる。許容可能な運転状態はまた、強制または係合ステップS210の計算において、運転者が所定時間量内に警告に従ったかを判定するためにも利用もされる。ステップS202における許容可能な運転状態の計算に関する詳細は、図3に関して更に検討される。
【0034】
ステップS204において、脅威特定およびTCの計算が行われ、ステップS202における許容可能な運転状態の計算への入力として提供される。地図/GPS212、レーダ214、カメラ216、車両測定値218などからのデータは、脅威の位置および車両が脅威に遭遇するまでの時間量(TC)を判定するために使用できる。例えば、レーンの分岐またはレーンの合流の脅威に対しては、処理回路はGPS位置を、記憶される地図の位置に相関付けて、レーンの分岐またはレーンの合流までの車両の距離、および脅威に遭遇するおよその時間を判定できる。脅威214は、他の車両、歩行者、または他の道路障害物のような脅威までの距離を判定するために、1つ以上のミリ波レーダおよび/またはライダを含むことができる。
【0035】
1つ以上のカメラ216を、車両の前方の道路の表面の画像を得て、レーン標識のような対象物を特定するために車両に搭載できる。幾つかの実施態様によれば、2台以上のカメラを車両に搭載して、車両が走行している道路の表面の画像を得ることができる。ユーザーの所望する構成によっては、カメラを車両に搭載して、車両の後方の道路の表面の画像を得るように位置させることもできる。カメラ216はまた、車両の前方または後方の他の車両または対象物の画像を得るように構成できる。幾つかの実施態様においては、車両測定値218を使用して、車両の速度、車両上のセンサの相対的な位置、および車両の寸法に基づいて、脅威までの距離およびTCのより正確な判定を提供できる。
【0036】
幾つかの実施態様においては、脅威は、データベースに記憶され、処理回路によりアクセスされる脅威を特定するための関連付けられた基準を有することができる。例えば、車両搭載のカメラは、車両がレーンの分岐に接近していることを示す道路の画像を得ることができる。各脅威はまた、関連付けられている結果レベル(例えば、安全性または快適性に対する結果レベル)および所望の運転者の状態(例えば、運転者は操縦しなければならない、運転者は手をハンドル上に手を載せていなければならない、または運転者は道路を見なければならない)を有することもできる。各脅威はまた、運転者が結果を回避するために、所望の状態を達成しなければならない時間量である、結果までの時間(TC)を有することもできる。TCは、脅威の場所、車両の速度などに基づくことができる。
【0037】
ステップS206の運転状態の判定では、運転者の現在の状態を判定する。一実施態様においては、運転者の現在の状態は、運転者がどのようにハンドルおよび/または操縦システムと相互作用しているか(CSS)、および運転者が道路上に目をやっているか否かで示すことが可能な運転者の注意状態を含むことができる。CSSは、DRIVER_IS_STEERING、HANDS_ON、およびHANDS_FREEを含むことができる。幾つかの実施態様においては、ハンドルグリップセンサ222は、運転者の手がハンドルと接触しているかどうかを検出可能であり、1つ以上の触感、圧力、または容量センサを含むことができる。ハンドルトルクセンサ220は、運転者が能動的に車両を操縦しているかどうかを、速度、方向、および/またはハンドルの回転力を測定することに基づいて検出できる。幾つかの実施態様においては、運転者が道路上に目をやっているか否かの判定は、運転者監視カメラ224からのデータを処理することに基づいて行われる。運転者監視カメラ224は、運転者のまぶたの上部と底部の間の距離と共に、運転者の現在の観察角に関連する情報を検出できる。
【0038】
ステップS210において、SAMMは、現在の運転状態、将来の運転状態、および運転者がSAMMからの前の警告または要求に従ったか否かに基づいて、強制または係合行動を判定できる。強制行動は、前に発行された警告に従うことを運転者に催促するために採用できる。一実施態様においては、警告が発行されたときにセットされたタイマが所定の閾値に到達すると、SAMMはACC速度を、運転者にとっては不快であり得るレベルまで落とす、またはブレーキを小刻みにかけて運転者に警告を承認させるための速度強制制御信号を送ることができる。警告が繰り返し発行され、運転者が、所定の時間の後でも警告に反応しなかった場合は、制御回路は、信号をLTCシステムのアクチュエータに送り、制御された方法で、半自動運転システムを停止することにより係合を解除できる。追加的に、SAMMは運転者が提案を適切に承認した場合は、半自動運転システムに係合するための制御信号を発行できる。例えば、SAMMが運転者にLTC_ACTIVEを提案した場合、運転者が提案を承認するためにハンドルから自身の手を上げた後に、LTCシステムに係合するための制御信号を送ることができる。
【0039】
ステップS208において、利用可能且つ現在の車両制御状態が判定される。車両制御状態は、ステップS210からの強制および係合の行動、およびステップS202で計算された許容可能な運転状態に基づいて判定できる。幾つかの実施態様においては、車両が利用可能なLTC制御(VALC)は、センサの性能に基づいて次回のステップにおいて車両により提案可能な操縦制御状態であり、運転者が許容可能なLTC制御(DALC)は、運転者に実際に提案される車両制御状態である。例えば、VALCがLTC_ACTIVEであり、現在および将来の脅威に対するTCがDAT、EORW、および/またはHOWTより大きい場合は、DALCはLTC_ACTIVEであってよい。一方、現在および将来の脅威に対するTCがDAT、EORW、および/またはHOWT以下の場合は、たとえVALCがLTC_ACTIVEであっても、DALCはMANUALであってもよい。しかし、運転者が、前の警告および強制行動を繰り返し無視し、所定の時間が経過した場合は、半自動運転システムとの係合を解除できる。
【0040】
HMI226は、警告または要求を運転者に提供する1つ以上のディスプレイを含むことができる。HMI226は、ヘッドアップディスプレイまたはインストルメントクラスタのような視覚警告装置の1台以上を車両内に含むことができる。HMIはまた、標準車両オーディオシステム、オーディオラウドスピーカ、圧電トランスデューサ、磁気抵抗トランスデューサ、静電トランスデューサ、または他のサウンドトランスデューサにより送信可能な、音による警告も発行できる。
【0041】
HMI226は、CLC、DALC、HMI Steering Interaction(HASIS、HMI操縦相互作用)、およびHMI Attention Display(HAD、HMI注意ディスプレイ)警告に関する信号を受信して、それらを運転者に表示できる。幾つかの実施態様においては、HASISは、運転者が何をしているのか、および/または運転者は、操縦に関して何をしているべきであるかを示す運転者の現在または将来の操縦状態を含むことができる。幾つかの態様においては、HMIにおいて表示されるHASIS状態は操縦警告と称される。一実施態様においては、HANDS_FREE_OKのHASIS状態は、HMI226に、ハンドルから手を放すことが容認可能であるというメッセージを運転者に表示するように催促できる。追加的に、DRIVER_HAS_HANDS_ONのHASIS状態は、運転者がハンドルを把持していることを示すことができる。HASIS状態の他の例としては、DRIVER_MUST_HANDS_ONを挙げることができ、これは、やがて起こる脅威に対して車両の操縦制御を行う準備のために、運転者が手をハンドル上に置くことを要求されることを意味することができる。DRIVER_IS_STEERINGのHASIS状態は、運転者は能動的に車両を操縦していることを示すことができる。DRIVER_MUST_STEERのHASIS状態は、運転者が、DALCがMANUALのときのように車両を操縦することを要求されることを示すことができる。LTC_BLOCKED_BY_STEERINGのHASIS状態は、より高い自動化レベルを提案する前に、運転者に積極的な操縦制御を呈示することを催促する警告を発行できる。
【0042】
HMI226はまた、注意のレベルを提供するために運転者に警戒を促すHAD警告信号を発行できる。幾つかの態様においては、HMI226に表示されるHAD状態は注意警告と称される。EYES_ON_ROAD_WARNのHAD値に対しては、HMI226は運転者に、自身の目を道路上にやるように催促でき、やがて起こる脅威のTCがDAT、EORW、またはHOWT以下のときに開始できる。追加的に、LTC_BLOCKED_BY_INATTENTIONのHAD値に対しては、HMI226は運転者に、より高い自動化レベルは、運転者の不注意により認識されないやがて起こる脅威のために阻止されることを知らせることができる。HAD値はまたNONEに設定することも可能であり、NONEは、現在または将来の運転状態は、HAD警告を催促していないことを意味することができる。
【0043】
図3は、ステップS202の許容可能な運転状態の計算の例としてのフロー図である。許容可能な運転状態プロセスS202の計算はまた、HMI226への出力を判定することも含むことができる。ステップS302において、処理回路は、次回のステップにおいて提供可能な車両制御状態(VALC)は、現在はLTC_ACTIVEに設定されるかどうかを判定する。VALCが現在はLTC_ACTIVEに設定されていて、LTCシステムは車両を能動的に操縦するために利用可能であることを意味することが可能な、ステップS302において「YES」という結果になる場合は、ステップS304が実行される。それ以外で、VALCがOFF、MANUAL、CO_STEER、またはLTC_ACTIVEでない何れかの他の値に設定されていて、ステップS302において「NO」という結果になる場合は、ステップS306が実行される。
【0044】
ステップS304において、現在のLTC状態がMANUALに設定されるかどうかが判定される。現在のLTC状態がMANUALに設定されていて、ステップS304において「NO」という結果になり、運転者は、LTCシステムがオンで感知状態で車両を操縦していることを意味する場合は、処理回路が、運転者にLTC制御を提案するか、またはMANUALに留まるかを判定可能なステップS310が実行される。幾つかの実施態様においては、CLCがMANUALまたはLTC_ACTIVEに設定される場合は、VALCをLTC_ACTIVEに設定できる。従って、現在のLTCがMANUALに設定されておらず、ステップS304において「NO」という結果になる場合は、ステップS308が行われる。ステップS308において、現在のLTC状態を継続した場合、何らかの警告という結果になるかどうかが判定される。ステップS308に関する詳細は、図4に関して更に説明される。
【0045】
ステップS306において、VALCがLTC_ACTIVE以外の値に設定されており、ステップS302において「NO」という結果になる場合は、DALCは次の許容可能な運転状態は、SAMMにより提案可能な、制限が最も少ない許容可能な運転状態に設定されることを意味することができるVALCと同じ値に設定される。
【0046】
ステップS312において、運転者が車両を能動的に操縦しており、DRIVER_IS_STEERING_NOWのCSSという結果になることが可能であるかどうかが判定される。運転者が車両を能動的に操縦しており、ステップS312において「YES」という結果になる場合は、ステップS314が実行される。しかし、運転者が能動的には車両を操縦しておらず、ステップS312において「NO」という結果になる場合は、ステップS316が実行される。ステップS316において、HASIS値はDRIVER_MUST_STEERに設定され、HAD値はNONEに設定される。SAMMの処理回路は制御信号をHMI226に送り、運転者が能動的に車両を操縦することを催促する。ステップS314において、HASIS値はDRIVER_IS_STEERINGに設定され、HMI226は運転者に、運転者が車両の操縦制御を有することを示すメッセージを表示できる。
【0047】
HASIS値がDRIVER_IS_STEERINGに設定された後に、ステップS318において、目を道路上にやるという警告を運転者に発行すべきか否かに関する判定が行われる。ステップS318に関する詳細は、図5に関して更に説明される。HAD値はEYES_ON_ROAD_WARNに設定されるべきであるとステップS318で判定された場合は、警告がHMI226において発行され、ステップS320が実行される。それ以外で、目を道路上に置くという警告はHMI226において表示する必要がないとステップS318で判定され、「NO」という結果になる場合は、ステップS322が実行される。
【0048】
ステップS320において、HAD値はEYES_ON_ROAD_WARNに設定され、HMI警告が、運転者に目を道路上にやることを催促するために生成される。現在およびやがて起こる脅威に対するTCが、DATおよびEORWよりも大きい場合に結果として起こる可能性がある、HMI警告がステップS318において生成されない場合は、ステップS322において、HAD値はNONEに設定される。
【0049】
現在のLTC状態はMANUALに設定されるとステップS304において判定された場合は、ステップS310が実行される。ステップS310において、DRIVER_IS_STEERING_NOWのCSSという結果になる可能性のある、運転者が能動的に車両を操縦しているかどうかが判定される。運転者が能動的に車両を操縦しており、ステップS310において「YES」という結果になる場合は、ステップS326が実行される。しかし、運転者が能動的には車両を操縦しておらず、ステップS310において「NO」という結果になる場合は、ステップS324が実行される。
【0050】
運転者が現在は車両を操縦していないとステップS310において判定された場合は、ステップS324において、DALCはMANUALに設定され、HASIS値はLTC_BLOCKED_BY_STEERINGに設定され、HAD値はNONEに設定される。これは、車両がLTC_ACTIVEの運転状態を次回のステップで、やがて起こる脅威、センサの性能などに基づいて提案可能であっても、運転者は、LTC_ACTIVEの運転状態を、彼または彼女が車両を能動的に操縦していることを呈示するまでは提案されないことを意味することができる。HMI226は、「LTC制御は、運転者が操縦するまで阻止される」のような警告を表示して、運転者に車両の操縦制御を呈示することを催促できる。
【0051】
ステップS326は、運転者が現在は車両を操縦しているとステップS310において判定された場合に実行される。ステップS326において、最後のHAD値がEYES_ON_ROAD_WARNまたはLTC_BLOCKED_BY_INATTENTIONに設定されたかどうか、および、運転者が以前の警告を遵守しなかったことを意味することができる、運転者が現在は目を道路上にやっていないかどうかが判定される。運転者が道路上に目をやっておらず、道路上に目をやるという警告が、発行された最後のHAD警告であり、ステップS326で「YES」という結果になる場合は、ステップS328が実行され、HAD状態はLTC_BLOCKED_BY_INATTENTIONに設定される。それ以外で、運転者が道路上に目をやっており、道路上に目をやるという警告を最後のHAD警告として受信しておらず、ステップS326において「NO」という結果になる場合はステップS330が実行される。
【0052】
運転者が現在は目を道路上にやっておらず、運転者が受信した最後のHAD警告が、目を道路上にやるという警告の場合は、運転者に道路上に目をやること催促するためにステップS328が行われる。DALCはMANUALに設定され、これは、道路上に目をやるという警告が遵守されるまでは、LTC_ACTIVEを運転者に提案することを保留可能であることを示すことができる。HASIS値は、運転者が能動的に車両をしていることを運転者示すために、DRIVER_IS_STEERINGに設定される。追加的に、HAD警告値はLTC_BLOCKED_BY_INATTENTIONに設定され、それにより、運転者にはHMI226により、運転者が目を道路上にやれば、LTCが提案可能であることを知らせることができる。
【0053】
ステップS330において、処理回路は、より高い自動化レベルが運転者に提案された場合、将来において警告が発行される可能性があるかどうかを判定する。ステップS330に関する詳細は、図6A、6Bおよび6Cに関して更に説明される。LTC_ACTIVEのような、より高い自動化レベルを運転者に提案することが、将来の所定の時間量の間の警告という結果にならない場合は、ステップS332が行われる。
【0054】
ステップS332において、DALCはLTC_ACTIVEに、HASIS値はHANDS_FREE_OKに、そしてHAD警告値はNONEに設定できる。SAMMによる前の要求に運転者が従うことと、より高い自動化レベルにより、所定の時間量の間に警告が発行されないということに基づいて、制限のより少ない運転状態を運転者に提案できる。
【0055】
図4Aは、ステップS308における警告判定の例としてのフロー図である。ステップS400において、安全性の結果レベルが割り当てられる脅威は、最も低いTCから最も高いTCに順序付けられ、発生までの時間が最も短い脅威には、より長い発生までの時間を有することができる脅威よりも高い優先順位を与える。例えば、距離および現在の車両速度に基づいて、10秒後に起こると予定される鋭いカーブの脅威には、将来1分後に起こると推定されるレーンの合流の脅威よりも高い優先順位が与えられる。
【0056】
ステップS402において、安全性に対する脅威リストが処理されて、脅威および運転者の反応時間に対して所望の運転状態(例えば、DRIVER_MUST_HANDS_ON)に基づいて、脅威に対してHMI警告を生成すべきかどうかが判定される。ステップS402に関する詳細は、図4Bおよび4Cに関して更に説明される。一実施態様によれば、脅威リストは優先順位に基づいて処理され、それにより、より高い優先順位の脅威は、より低い優先順位の脅威の前に処理される。脅威に対するステップS402の結果がHMI警告を生成しない場合は、次に高い優先順位の脅威がステップS402において処理される。処理された脅威がHMI警告を生成する場合は、その警告はHMI226に出力され、ステップS308におけるプロセスが終了する。しかし、安全性に対する脅威リスト上のすべての脅威が処理されて、HMI警告が生成されなかった場合は、ステップS406が行われる。
【0057】
ステップS406において、快適性の結果レベル(つまり、結果は運転者の快適性における減少であるが、安全性における減少ではない)が割り当てられる脅威は、最も低いTCから最も高いTCに順序付けられ、発生までの時間が最も短い脅威には、より長い発生までの時間を有することができる脅威よりも高い優先順位を与える。例えば、やがて起こる快適性に対する脅威は、車両が2分で幹線道路の流入ランプに遭遇すると予定され、そこにおいては、他の車両が、車両が走行している最も右側の幹線道路のレーンに流入してくる可能性があり、車両はレーンの変更を催促される可能性があるといったようなものである。
【0058】
快適性に対する脅威が、最も低いTCから最も高いTCに順序付けられた後、ステップS408が、快適性に対する脅威リストを処理するために実行される。一実施態様においては、快適性に対する脅威リストを処理するステップは、ステップS402における安全性に対する脅威リストを処理するステップと同じである。ステップS408に関する詳細は、図4Bおよび4Cに関して更に説明される。一実施態様によれば、脅威リストは優先順位に基づいて処理され、それにより、より高い優先順位の脅威は、より低い優先順位の脅威の前に処理される。脅威に対するステップS408の結果がHMI警告を生成しない場合は、次に高い優先順位の脅威が処理される。処理された脅威がHMI警告を生成する場合は、その警告はHMI226に出力され、ステップS308におけるプロセスが終了する。しかし、快適性に対する脅威リスト上のすべての脅威が処理されて、HMI警告が生成されなかった場合は、ステップS410が行われる。
【0059】
現在の、またはやがて起こる安全性に対する脅威の何れもが、HMI226において警告を生成しない場合は、ステップS410において、DALCはLTC_ACTIVEに、HASIS値はHANDS_FREE_OKに、そしてHAD値はNONEに設定される。一実施態様においては、ステップS402またはS408において処理された各脅威に対して、TCおよび運転者による所望の行動が何らのHMI警告を生成しない場合は、運転者には、LTC_ACTIVEのような、より高い操縦自動化レベルを提案可能であり、運転者は、手をハンドルから放すことが容認される。
【0060】
図4Bおよび4Cは、ステップS402とS408において、脅威がどのように処理されるかを例示す例としてのフロー図である。ステップS420において、DALCはLTC_ACTIVEに設定され、これは、運転者に次回のステップにおいてLTC_ACTIVEの運転状態を提案可能であることを示すことができる。
【0061】
ステップS422において、処理回路は、脅威がどのように感知されるかを判定する。脅威が運転者により感知される場合は、ステップS424が行われる。一実施態様においては、運転者により感知される脅威の例としては、道路上の工事現場用円筒物の存在、または、運転者によって認識されるレーン標識が、感知されるためにはあまりにも薄くなり過ぎている領域における道路の逸脱を挙げることができる。しかし、脅威がシステムにより感知される場合は、ステップS426が行われる。一実施態様においては、システムにより感知される脅威の例として、前方カメラにより得られる、または記憶される地図データとのGPS位置の相関に基づいて判定される極端な道路の曲がりを含むことができる。
【0062】
ステップS424において、運転者により感知される脅威に対する所望の行動が判定される。処理される脅威に対する所望の行動が、運転者が道路上に目をやることである場合は、ステップS428が行われる。一実施態様においては、目を道路上にやるという所望の行動を有することが可能な脅威は、運転者が反応するためには十分に長いTCを有することができるが、運転者に警戒を促し、道路に注意を払うことを要求できる脅威であってもよい。しかし、処理される脅威に対する所望の行動が、運転者が車両を操縦または手を車両上に置くことである場合は、ステップS430が行われる。
【0063】
ステップS428において、脅威が運転者により感知され、目を道路上にやるという所望の行動を有する場合は、HASIS値はHANDS_FREE_OKに設定され、運転者に手をハンドルから放したままであることが容認可能であることを示す。脅威が運転者により感知され、運転者が操縦またはハンドル上に手を置くという所望の行動を有する場合は、ステップS430において、CSSが、処理される脅威に対する所望の行動に合致しているかどうかが判定される。例えば、CSSがHANDS_FREEであり、所望の行動がHANDS_ONであり、ステップS430において「NO」という結果になる場合は、ステップS436が行われる。それ以外で、CSSが、脅威に対する所望の行動に合致し、ステップS430において「YES」という結果になる場合は、ステップS442が行われる。
【0064】
CSSが脅威に対する所望の行動に合致していない場合は、ステップS436において、HASIS値は、脅威に対する所望の行動に設定される。例えば、HASIS値は、所望の行動が運転者が操縦することである場合はDRIVER_IS_STEERINGに、所望の行動が運転者がハンドル上に手を置くことである場合はDRIVER_HAS_HANDS_ONに設定できる。
【0065】
ステップS440において、脅威に対するTCが、一実施態様に係る、催促されていない運転者が道路を再び見るまでの推定時間であるDAT以下であるかどうかが判定される。脅威に対するTCがDAT以下であり、ステップS440において「YES」という結果になる場合は、ステップS452が行われる。TCがDAT以下の場合は、催促されていない運転者は、脅威が起こる時間前には道路を見ないであろうと推測可能であり、運転者に警戒を促すための警告が必要となる。ステップS452において、HAD値が、EYES_ON_ROAD_WARNに設定され、ステップS460においてHMI警告が生成されて、運転者に目を道路上にやるように警告する。
【0066】
それ以外で、ステップS440においてTCがDATよりも大きく、ステップS440において「NO」という結果になる場合は、ステップS462が行われる。TCがDATよりも大きい場合は、催促されていない運転者は、脅威が起こる時間前に道路を見るであろうと推測可能であり、運転者に警戒を促すための警告は必要ではない。ステップS462において、HMIは生成されず、脅威の処理は完了する。
【0067】
ステップS442は、CSSが、ステップS430において脅威に対する所望の行動に合致する場合に行われる。処理回路は、TCが、催促されていない運転者が道路を見るための推定時間量(DAT)と、運転者がハンドルに手を戻すための推定時間(HOWT)の合計以上かどうかを判定する。TCがDATとHOWTの合計以上であり、ステップS442において「YES」という結果になる場合は、ステップS462が行われ、HMI警告は生成されない。TCがDATとHOWTの合計以上の場合は、催促されていない運転者は、脅威が起こる前に道路を見て、ハンドル上に手を置くことができると推定可能である。
【0068】
それ以外で、TCがDATとHOWTの合計未満であり、ステップS442において「NO」という結果になる場合は、ステップS450が実行される。TCがDATとHOWTの合計未満の場合は、催促されていない運転者は、脅威が起こる前には道路を見ず、手をハンドル上に置くことはないであろうと推定可能である。
【0069】
ステップS450において、TCがHOWT以下かどうかが判定される。TCが、運転者が手をハンドルに戻すための推定時間未満であり、ステップS450において「YES」という結果になる場合は、運転者は、脅威が起こる前にハンドルに手を戻すことができない可能性があるので、ステップS456が実行される。ステップS456において、HASIS値はDRIVER_MUST_HAVE_HANDS_ONに設定され、HAD値はNONEに設定され、そして、運転者が手をハンドル上に置くようにするHMI警告がステップS460において生成される。
【0070】
TCが、運転者がハンドルに手を戻すための推定時間未満であり、ステップS450において「NO」という結果になる場合は、ステップS458が実行される。一実施態様によれば、ステップS458は、運転者は脅威が起こる前にハンドル上に手を置くことができるが、道路を再び見て脅威を特定し、その脅威が起こる前にハンドル上に手を置くことができない可能性がある場合に行われる。ステップS458において、HASIS値はHANDS_FREE_OKに設定され、HAD値はEYES_ON_ROAD_WARNに設定される。ステップS460において、HMI警告が生成されて、運転者に目を道路上にやるように催促する。
【0071】
ステップS426において、システムにより感知される脅威に対する所望の行動が判定される。処理される脅威に対する所望の行動が、運転者が道路上に目をやることである場合は、ステップS434が行われる。しかし、処理される脅威に対する所望の行動が、運転者が車両を操縦または車両上に手を置くことである場合は、ステップS432が行われる。一実施態様においては、運転者が操縦またはハンドル上に手を置くという所望の行動を有することが可能な脅威は、TCが、運転者が道路上に目をやるためにかかる時間と、運転者がハンドル上に手を置くためにかかる時間量の合計未満である脅威であってもよい。
【0072】
ステップS434において、脅威がシステムにより感知され、道路上に目をやるという所望の行動を有する場合は、HASIS値はHANDS_FREE_OKに設定されて、運転者に、ハンドルから手を放し続けることが容認可能であることを示す。脅威がシステムにより感知され、運転者が操縦またはハンドル上に手を置くという所望の行動を有する場合は、ステップS432において、CSSが、処理される脅威に対する所望の行動に合致しているかどうかが判定される。例えば、CSSがHANDS_FREEであり、所望の行動がHANDS_ONであり、ステップS432において「NO」という結果となる場合は、ステップS438が行われる。それ以外で、CSSが、脅威に対する所望の行動に合致しており、ステップS432において「YES」という結果となる場合は、ステップS446が行われる。
【0073】
CLCが、脅威に対する所望の行動に合致していない場合は、ステップS438において、HASIS値は脅威に対する所望の行動に設定される。例えば、所望の行動が運転者が操縦することである場合は、HASIS値はDRIVER_IS_STEERINGに設定でき、所望の行動が運転者がハンドル上に手を置くことである場合は、DRIVER_HAS_HANDS_ONに設定できる。
【0074】
ステップS448において、脅威に対するTCが、一実施態様に係る、運転者が催促された後に道路を見るまでの推定時間であるEORW以下かどうかが判定される。脅威に対するTCがEORW以下であり、ステップS448において「YES」という結果となる場合は、ステップS454が行われる。TCがEORW以下の場合は、道路を見ることを催促された運転者は、脅威が起こる時間前には道路を見ないであろうと推定可能であり、運転者に警戒を促すための警告が必要となる。ステップS454においてHAD値はEYES_ON_ROAD_WARNに設定され、ステップS460においてHMI警告が生成されて、運転者に目を道路上にやるように警告する。
【0075】
ステップS448において、TCがEORWよりも大きくて、ステップS448において「NO」という結果になる場合は、ステップS462が行われて、HMI警告は生成されない。TCがDATよりも大きい場合は、催促されていない運転者は、脅威が起こる時間前に道路を見るであろうと推定可能であり、運転者に警戒を促すための警告は必要でない。
【0076】
ステップS446は、CSSが、ステップS432における脅威に対する所望の行動に合致している場合に行われる。処理回路は、TCが、催促された運転者が道路を見るための推定時間量(EORW)と、運転者がハンドルに手を戻すための推定時間(HOWT)の合計以上であるかどうかを判定する。TCが、EORWとHOWTの合計以上であり、ステップS446において「YES」という結果になる場合は、ステップS462が行われ、HMI警告は生成されない。TCが、EORWとHOWTの合計以上の場合は、催促されていない運転者は、脅威が起こる前に道路を見て、手をハンドル上に置くことができると推測可能である。
【0077】
それ以外で、TCが、DATとHOWTの合計未満であり、ステップS446において「NO」という結果になる場合は、前に検討したように、ステップS450が実行される。TCが、EORWとHOWTの合計未満の場合は、催促された運転者は、脅威が起こる前に道路を見ず、ハンドル上に手を置くことはないであろうと推定可能である。
【0078】
図5Aは、ステップS318において運転者に、道路上に目をやるという警告を発行すべきか否かの判定の例としてのフロー図である。ステップS500において、安全性の結果レベルが割り当てられる脅威は、最も低いTCから最も高いTCに順序付られ、発生までの時間が最も短い脅威には、より長い発生までの時間を有することができる脅威よりも高い優先順位を与える。例えば、距離および現在の車両速度に基づいて、30秒後に起こると予定される鋭いカーブの脅威には、将来1分後に起こると推定されるレーンの合流の脅威よりも高い優先順位が与えられる。
【0079】
ステップS502において、安全性に対する脅威リストが処理されて、脅威に対する所望の行動と運転者の反応時間に基づいて、HMI警告が脅威に対して生成されるべきかどうかが判定される。ステップS502に関する詳細は、図5Bに関して更に説明される。一実施態様によれば、脅威リストは優先順位に基づいて処理され、それにより、より高い優先順位の脅威は、より低い優先順位の脅威の前に処理される。脅威に対するステップS502の結果がHMI警告を生成しない場合は、次に高い優先順位の脅威がステップS502において処理される。処理された脅威がHMI警告を生成する場合は、その警告はHMI226に出力され、ステップS318におけるプロセスが終了する。しかし、安全性に対する脅威リスト上のすべての脅威が処理されて、HMI警告が生成されなかった場合は、ステップS504が行われる。
【0080】
ステップS504において、快適性の結果レベルが割り当てられる脅威は、最も低いTCから最も高いTCに順序付けられ、発生までの時間が最も短い脅威には、より長い発生までの時間を有することができる脅威よりも高い優先順位を与える。例えば、やがて起こる快適性に対する脅威は、車両が2分で幹線道路の流入ランプに遭遇すると予定され、そこにおいては、他の車両が、車両が走行している最も右側の幹線道路のレーンに流入してくる可能性があり、車両はレーンの変更を催促される可能性があるといったようなものである。
【0081】
快適性に対する脅威が、最も低いTCから最も高いTCに順序付けられた後、ステップS506が実行されて、快適性に対する脅威リストが処理される。一実施態様においては、快適性に対する脅威リストを処理するステップは、ステップS502における安全性に対する脅威リストを処理するステップと同じである。ステップS506に関する詳細は、図5Bに関して更に説明される。一実施態様によれば、脅威リストは優先順位に基づいて処理され、それにより、より高い優先順位の脅威は、より低い優先順位の脅威の前に処理される。脅威に対するステップS506の結果がHMI警告を生成しない場合は、次に高い優先順位の脅威が処理される。処理された脅威がHMI警告を生成する場合は、その警告はHMI226に出力され、ステップS318におけるプロセスが終了する。しかし、快適性に対する脅威リスト上のすべての脅威が処理されて、HMI警告が生成されなかった場合は、ステップS508が行われる。
【0082】
現在の、またはやがて起こる安全性に対する脅威の何れもが、HMI226において、道路に目をやるという警告を生成しない場合は、ステップS508において、HAD値はNONEに設定される。一実施態様においては、ステップS502またはステップS506において処理された各脅威に対して、運転者により感知される脅威に対してはTCがDATよりも大きく、システムにより感知される脅威に対してはTCがEORW以上の場合は、HMI警告は生成されない。
【0083】
図5Bは、ステップS502とステップS506において、脅威がどのように処理されるかを例示する例としてのフロー図である。ステップS510において、処理回路は脅威がどのように感知されるかを判定する。脅威が運転者により感知される場合は、ステップS512が行われる。しかし、脅威がシステムにより感知される場合は、ステップS514が行われる。
【0084】
ステップS512において、運転者により感知される脅威に対して、脅威に対するTCが、一実施態様に係る、催促されていない運転者が道路を再び見るまでの推定時間であるDAT以下であるかどうかが判定される。脅威に対するTCがDATよりも大きく、ステップS512において「NO」という結果になる場合は、ステップS520が行われる。TCがDATよりも大きい場合は、催促されていない運転者は、脅威が起こる時間前に道路を見るであろうと推定可能であり、運転者に警戒を促すための警告は必要でない。ステップS520においてHMIは生成されず、脅威の処理は完了する。それ以外で、脅威に対するTCがDAT以下であり、ステップS512において「YES」という結果になる場合は、ステップS516が行われる。
【0085】
ステップS514において、脅威がシステムにより感知される場合、この脅威に対するTCが、一実施態様に係る、運転者が催促された後、道路を見るまでの推定時間であるEORW以下であるかどうかが判定される。脅威に対するTCがEORWより大きく、ステップS514において「NO」という結果になる場合は、ステップS520が行われる。TCがEORWより大きい場合は、催促される運転者は、脅威が起こる時間前に道路を見るであろうと推定可能であり、運転者に警戒を促すための警告は必要でない。ステップS520においてHMIは生成されず、脅威の処理は完了する。それ以外で、脅威に対するTCがEORW以下であり、ステップS512において「NO」という結果になる場合は、ステップS516が行われる。
【0086】
ステップS516において、HAD値はEYES_ON_ROAD_WARNに設定され、ステップS518においてHMI警告が生成されて、道路上に目をやるように運転者に警告する。TCがDATまたはEORW以下の場合は、催促されていない、または催促される運転者は、脅威が起こる時間前に道路を見ないであろうと推定可能であり、運転者に警戒を促すための警告が必要となる。
【0087】
図6A、6Bおよび6Cは、ステップS330の将来の警告判定の例としてのフロー図である。ステップS600において、安全性の結果レベルが割り当てられる脅威は、最も低いTCから最も高いTCに順序付けられ、発生までの時間が最も短い脅威には、より長い発生までの時間を有することができる脅威よりも高い優先順位を与える。例えば、距離および現在の車両速度に基づいて、30秒後に起こると予定される鋭いカーブの脅威には、将来1分後に起こると推定されるレーンの合流の脅威よりも高い優先順位が与えられる。
【0088】
ステップS602において、安全性に対する脅威リストが処理されて、脅威に反応する所望の行動と運転者の反応時間に基づいて、HMI警告が将来において所定時間内に起こる可能性があるかどうかが判定される。一実施の形態においては、警告が発行されないと確認される所定時間は、ΔTと称することができる。一実施態様においては、ΔTは1から10秒の間の任意の値を取ることができるが、ΔTは、運転者により高い操縦自動化レベルを提案した直後に警告が生成されないことを確実にすることが可能な任意の時間であってもよい。ステップS602に関する詳細は、図6Bおよび6Cに関して更に説明される。一実施態様によれば、脅威リストは優先順位に基づいて処理され、それにより、より高い優先順位の脅威は、より低い優先順位の脅威の前に処理される。脅威に対するステップS602の結果がHMI警告を生成しない場合は、次に高い優先順位の脅威がステップS602において処理される。処理された脅威が時間ΔTの間にHMI警告を生成する可能性がある場合は、ステップS610が行われる。しかし、安全性に対する脅威リスト上のすべての脅威が処理されて、HMI警告は生成されないであろうと判定される場合は、ステップS604が行われる。
【0089】
ステップS604において、快適性の結果レベルが割り当てられる脅威は、最も低いTCから最も高いTCに順序付けられ、発生までの時間が最も短い脅威には、より長い発生までの時間を有することができる脅威よりも高い優先順位を与える。例えば、やがて起こる快適性に対する脅威は、車両が2分で幹線道路の流入ランプに遭遇すると予定され、そこにおいては、他の車両が、車両が走行している最も右側の幹線道路のレーンに流入してくる可能性があり、車両はレーンの変更を催促される可能性があるといったようなものである。
【0090】
快適性に対する脅威が、最も低いTCから最も高いTCに順序付けられた後、ステップS606が、快適性に対する脅威リストを処理するために実行される。一実施態様においては、快適性に対する脅威リストを処理するステップは、ステップS602における安全性に対する脅威リストを処理するステップと同じである。ステップS606に関する詳細は、図6Bおよび6Cに関して更に説明される。一実施態様によれば、脅威リストは優先順位に基づいて処理され、それにより、より高い優先順位の脅威は、より低い優先順位の脅威の前に処理される。脅威に対するステップS608の結果がHMI警告を生成しない場合は、次に高い優先順位の脅威が処理される。処理された脅威が時間ΔTの間にHMI警告を生成する可能性がある場合は、ステップS610が行われる。しかし、快適性に対する脅威リスト上のすべての脅威が処理されて、HMI警告が生成されなかった場合は、ステップS608が行われる。
【0091】
現在の、またはやがて起こる安全性に対する脅威の何れもが、HMI226において警告を生成しない場合は、ステップS608において、DALCはLTC_ACTIVEに、HASIS値はHANDS_FREE_OKに、そしてHAD値はNONEに設定される。一実施態様においては、ステップS602またはS606において処理された各脅威に対して、TCおよび運転者による所望の行動が、ΔT秒である時間の間に何らのHMI警告を生成しない場合は、運転者には、LTC_ACTIVEのような、より高い操縦自動化レベルを提案可能であり、運転者は、手をハンドルから放すことが容認される。
【0092】
HMI警告が時間ΔTの間に生成される可能性があるとステップS602またはステップS606において判定された場合、ステップS610において、DALCはMANUALに設定され、HASIS値はDRIVER_IS_STEERINGに設定される。一実施態様においては、現在の、およびやがて起こる脅威は、運転者がLTC_ACTIVEのような、より高い操縦自動化レベルを提案された場合、運転者に警告を発行させることができ、そしてSAMMは、より制限の多い運転状態を維持できる。
【0093】
図6Bおよび6Cは、ステップS602とステップS606において、脅威がどのように処理されるかを例示する例としてのフロー図である。ステップS612において、処理回路は脅威がどのように感知されるかを判定する。脅威が運転者により感知される場合は、ステップS614が行われる。しかし、脅威がシステムにより感知される場合は、ステップS616が行われる。
【0094】
ステップS614において、運転者により感知される脅威に対する所望の行動が判定される。処理される脅威に対する所望の行動が、運転者が道路上に目をやることである場合は、ステップS622が行われる。一実施態様においては、道路上に目をやるという所望の行動を有することが可能な脅威は、運転者が反応するためには十分に長いTCを有することができるが、運転者に警戒を促し、道路に注意を払うことを要求できる脅威であってもよい。しかし、処理される脅威に対する所望の行動が、運転者が操縦または車両上に手を置くことである場合は、ステップS618が行われる。
【0095】
ステップS622において、脅威に対するTCから、警告が発行されないΔT秒を差し引いたものが、最悪のケースDAT(WC_DAT)以下であるかどうかが判定される。WC_DATは、一実施態様に係る、ΔT秒の間の運転状態における最悪のケースの変化に基づいて、催促されていない運転者が、道路を再び見るまでの推定時間であってもよい。脅威に対するTCからΔTを差し引いたものがWC_DAT以下であり、ステップS622において「YES」という結果になる場合は、ステップS630が行われる。TCからΔTを差し引いたものがWC_DAT以下の場合は、催促されていない運転者は、脅威の結果が起こる前のΔT秒前までには道路を見ないであろうと推定可能である。
【0096】
ステップS630において、HAD値はLTC_BLOCKED_BY_INATTENTIONに設定される。LTC_BLOCKED_BY_INATTENTIONのHAD値に対して、HMI226は、より高い自動化レベルは、運転者の不注意のために認識されない、やがて起こる脅威のために阻止されるということを運転者が知るように警戒を促すことができる。
【0097】
ステップS632において、処理回路は、ステップS602またはステップS606において処理される脅威に対して、ΔT秒の間にHMI警告が生成される可能性があると判定し、この判定は、制限のより少ない状態を提案すると、ΔT秒以内に警告が生成される可能性があるので、制限のより少ない運転状態を運転者に提案すべきでないことを示すことができる。
【0098】
ステップS622において、TCからΔTを差し引いたものがWC_DATより大きく、ステップS622において「NO」という結果になる場合は、ステップS634が行われる。TCからΔTを差し引いたものがWC_DATより大きい場合は、注意状態における最悪のケースの変化に基づいて、催促されていない運転者が、脅威が起こる時間の前に道路を見て、次のΔT秒以内には警告は生成されないであろうと推定可能である。ステップS634において、HMI警告は生成されず、脅威の処理は完了する。
【0099】
脅威が運転者により感知され、運転者が操縦またはハンドル上に手を置くという所望の行動を有する場合は、ステップS618が行われる。ステップS618において、処理回路は、TCからΔTを差し引いたものが、WC_DATと、ΔT秒の間の運転状態における最悪のケースの変化の間に、運転者がハンドルに手を戻すための推定時間(WC_HOWT)との合計以上であるかどうかを判定する。TCからΔTを差し引いたものがWC_DATとWC_HOWTの合計以上であり、ステップS618において「YES」という結果になる場合は、ステップS634が行われて、HMI警告は生成されない。TCからΔTを差し引いたものがWC_DATとWC_HOWTの合計以上の場合は、ΔT秒の間に運転者の注意において最悪のケースの変化があっても、脅威が起こるΔT秒前に、催促されていない運転者が道路を見て、手をハンドル上に置くことができると推定可能である。
【0100】
TCからΔTを差し引いたものがWC_DATとWC_HOWTの合計未満であり、ステップS618において「NO」という結果になる場合は、ステップS626が実行される。TCがWC_DATとWC_HOWTの合計未満の場合、ΔT秒の間に運転者の注意において最悪のケースの変化があった場合は、LTC_ACTIVE状態を提案したときから、脅威が起こる前に、催促されていない運転者が道路を見てハンドル上に手を置くまでの間に、ΔT秒未満の時間が経過する可能性があると推定可能である。
【0101】
ステップS626において、TCからΔTを差し引いたものがWC_HOWT以下であるかどうかが判定される。TCからΔTを差し引いたものが、運転者がハンドルに手を戻すための推定される最悪のケースの時間未満であり、ステップS626において「YES」という結果になる場合は、運転者は、脅威が起こる前にハンドルに手を戻すことができない可能性があり、ステップS630とステップS632が、前に検討したように行われる。
【0102】
TCが、運転者がハンドルに手を戻すための推定時間未満で、ステップS626において「NO」という結果になる場合は、ステップS628が実行される。一実施態様によれば、ステップS628は、運転者が、脅威が起こるΔT秒前にハンドル上に手を置くことができるが、脅威が起こる前に、道路を見てハンドル上に手を置くことの両方はできない場合に行われる。ステップS628において、HAD値はNONEに設定され、ステップS632において、処理回路は、HMI警告がΔT秒の間に生成される可能性があると判定する。
【0103】
ステップS616において、システムにより感知される脅威に対する所望の行動が判定される。処理される脅威に対する所望の行動が運転者が道路上に目をやることである場合、ステップS624が行われる。しかし、処理される脅威に対する所望の行動が運転者が操縦または車両上に手を置くことである場合、ステップS620が行われる。一実施態様においては、運転者が操縦またはハンドル上に手を置くという所望の行動を有することが可能な脅威は、運転者が道路上に目をやるためにかかる時間と、運転者がハンドル上に手を置くためにかかる時間量の合計未満のTCを有する脅威であってもよい。
【0104】
ステップS624において、脅威に対するTCから、警告が発行されないΔT秒を差し引いたものが、最悪のケースEORW(WC_EORW)以下かどうかが判定される。WC_EORWは、一実施態様に係る、ΔT秒の間の運転者の状態における最悪のケースの変化に基づく、運転者が催促されたときに道路を再び見るまでの推定時間であってもよい。脅威に対するTCからΔTを差し引いたものがWC_EORW以下であり、ステップS624において「YES」という結果になる場合は、ステップS630が行われる。TCからΔTを差し引いたものがWC_EORW以下の場合、催促された運転者は、脅威が起こる時間のΔT秒前までに道路を見ないであろうと推定可能であり、運転者に警戒を促すための警告が必要となる。
【0105】
ステップS630において、HAD値はLTC_BLOCKED_BY_INATTENTIONに設定される。LTC_BLOCKED_BY_INATTENTIONのHAD値に対して、HMI226は、より高い自動化レベルは、運転者の不注意のために認識されない、やがて起こる脅威のために阻止されるということを運転者が知るように警戒を促すことができる。
【0106】
ステップS632において、処理回路は、ステップS602またはステップS606において処理される脅威に対して、ΔT秒の間にHMI警告が生成される可能性があると判定し、この判定は、警告という結果になる可能性があるので、制限のより少ない運転状態を運転者に提案すべきでないことを示すことができる。
【0107】
ステップS624において、TCからΔTを差し引いたものがWC_EORWより大きく、ステップS624において「NO」という結果になる場合は、ステップS634が行われる。TCからΔTを差し引いたものがEC_EORWより大きい場合は、注意状態における最悪のケースの変化に基づいて、HMI226における警戒または警告により催促された運転者が、脅威が起こる時間ΔT秒前に道路を見るであろうと推定可能である。ステップS634において、HMI警告は生成されず、脅威の処理は完了する。
【0108】
脅威がシステムにより感知され、運転者が操縦またはハンドル上に手を置くという所望の行動を有する場合は、ステップS620が行われる。ステップS620において、処理回路は、TCからΔTを差し引いたものが、WC_EORWと、ΔT秒の間の運転状態における最悪のケースの変化の間に、運転者がハンドルに手を戻すための推定時間(WC_HOWT)との合計以上であるかどうかを判定する。TCからΔTを差し引いたものがWC_EORWとWC_HOWTの合計以上であり、ステップS620において「YES」という結果になる場合は、ステップS634が行われて、HMI警告は生成されない。TCからΔTを差し引いたものがWC_EORWとWC_HOWTの合計以上の場合は、ΔT秒の間に運転者の注意において最悪のケースの変化があっても、脅威が起こるΔT秒前に、催促されていない運転者が道路を見て、手をハンドル上に置くことができると推定可能である。
【0109】
TCからΔTを差し引いたものがWC_EORWとWC_HOWTの合計未満であり、ステップS620において「NO」という結果になる場合は、前に検討したようにステップS626が行われる。TCがWC_EORWとWC_HOWTの合計未満の場合、ΔT秒の間に運転者の注意において最悪のケースの変化があった場合は、脅威が起こるΔT秒前に、催促されていない運転者は道路を見ず、ハンドル上に手を置くことはないであろう推定可能である。
【0110】
図7Aは、強制および係合の計算のためのフロー図を例示す。ステップS702において、運転者が操縦または注意に対する要求に反応するためにどのくらいの時間がかかるかを監視するタイマが更新される。一実施態様においては、操縦タイマは、運転者がHMIにおいて要求または警告を受信した後、運転者がハンドル上に手を置くのに、または能動的に車両を操縦するのにどのくらいの時間がかかるかを監視する。注意タイマは、運転者が道路上に目をやるという警告を受信した後、運転者が道路上に目をやるのにどのくらいの時間がかかるかを監視できる。操縦タイマに関する詳細は、図7Bに関して更に検討される。
【0111】
ステップS704において、強制履歴における強制イベント数が、強制閾値以上かどうかが判定される。一実施態様においては、強制イベントは、運転者に送られた、道路上に目をやる、または車両を操縦するという警告のような警告または要求である。強制履歴は、メモリに記憶可能な、強制イベントが起きた時間と共に、運転者に送られた強制イベントの記録であってもよい。強制閾値は、所定の短時間の間に起こり、運転者がSAMMからの警告および要求を意図的に無視している可能性があることを示す強制行動の数であってもよい。強制行動数が強制閾値以上であり、ステップS704において「YES」という結果になる場合は、ステップS706が行われる。それ以外で、強制行動数が強制閾値未満であり、ステップS704において「NO」という結果になる場合は、ステップS708が行われる。
【0112】
ステップS706は、運転者が、SAMMからの警告および要求を意図的に無視することによりシステムを濫用していると判定された場合に行われる。ステップS706において、現在の運転シナリオは、半自動運転システムとの係合を解除するためには十分に安全であるかが判定され、この判定は、将来の脅威と、一実施態様に係る、各脅威に対して関連付けられているTCに基づくことができる。現在の運転シナリオは、半自動運転システムとの係合を解除するためには十分に安全であると判定され、ステップS706において「YES」という結果になる場合は、ステップS710が行われる。それ以外で、現在の運転シナリオは、半自動運転システムとの係合を解除するためには十分には安全でないと判定され、ステップS706において「NO」という結果になる場合は、ステップS712が行われる。
【0113】
ステップS710において、半自動運転システムとの係合は、半自動運転システムをシャットダウンすることにより解除され、これには、HMI226において運転者に警告を発行すること、および半自動運転システムをシャットダウンする制御信号を送ることを含むことができる。係合解除制御信号が送られたときに、LTCシステムがLTC_ACTIVEに設定される一実施態様においては、LTCシステムは止められる前にCO−STEERおよびMANUAL設定を遷移するので、制御された方法でシャットダウンされる。
【0114】
ステップS706において、現在の運転シナリオは、半自動運転システムとの係合を解除するためには十分には安全ではないと判定された場合は、ステップS712において、係合ステータスはNONEに設定され、制御信号は送られない。一実施態様においては、1つ以上の脅威が所定の閾値未満のTCを有する場合は、現在の運転シナリオは、半自動運転システムとの係合を解除するためには十分には安全でないと判定できる。
【0115】
ステップS708は、強制履歴における強制イベント数が強制閾値未満の場合に行われる。ステップS708において、運転者が操縦または注意に対する要求に反応するためにどのくらいの時間がかかるのかを監視するタイマが終了したかどうかが判定される。タイマの1つが終了した場合は、警告または要求は、警告または要求に従うための運転者による行動なしに、ある時間の間は効力があったことになる。例えば、注意タイマが20秒に設定され、目を道路上にやるという警告が20秒を超えて存在し続け、そして運転者は道路を見なかった場合は、注意タイマは終了してしまう。タイマの1つが終了し、ステップS708において「YES」という結果になる場合は、ステップS714が行われる。それ以外で、タイマが終了しておらず、ステップS708において「NO」という結果になる場合は、ステップS716が行われる。
【0116】
運転者が警告または要求に従わないためにタイマの1つが終了した場合、ステップS714において、制御信号が、操縦、ブレーキ、速度制御などのための1つ以上のアクチュエータに送られて強制介入を実施する。一実施態様においては、強制介入には、制御信号を1つ以上のACCアクチュエータに送り、速度を落とすことにより警告または要求を強制することを含むことができる。ACC設定された速度は、運転者にとっては不快であり得るレベルまで下げることができ、それにより運転者に警告または要求を遵守させることができる。幾つかの態様においては、ブレーキを小刻みにかけたり、運転者にとって不快であり得る側面方向の動きを引き起こすように車両を操縦したり、警報またはブザーを鳴らしたり、周辺機器を切ったり、ハザードランプを点灯させたりすることで運転者に警告または要求に従わせる他の強制介入を実施することが可能である。
【0117】
ステップS716において、タイマが終了していない場合は、処理回路は、運転者に提案可能な許容可能な運転状態と運転者の反応に基づいて、LTCシステムと係合させることが可能かどうかを判定する。例えば、現在のLTC状態がMANUALに設定され、運転者にLTC_ACTIVEのLTCを次回のステップで提案可能で、運転者が自動レーン追尾制御の提案を承認するためにハンドルから手を放し、ステップS716において「YES」という結果になる場合は、ステップS718が行われる。ステップS718において、係合ステータスはENGAGEに設定され、自動レーン追尾制御を開始するためにLTCシステムと係合するための制御信号が送られる。
【0118】
それ以外で、現在のLTCがMANUALに設定されておらず、DALCがLTC_ACTIVEに設定されておらず、または運転者は自動レーン追尾制御の提案を受けておらず、ステップS716において「NO」という結果になる場合は、ステップS720が行われる。ステップS720において、係合ステータスはNONEに設定され、制御信号は送られない。
【0119】
図7Bは、ハンドル上に手を置く、または車両を操縦するというSAMMからの要求のような操縦に関する警告を、運転者が承認するまでにどのくらいの時間がかかるかを追跡する操縦タイマプロセスの例としてのフロー図である。幾つかの実施態様においては、注意タイマのような追加的タイマは、運転者が他の警告に反応するのにどのくらい時間がかかるかというステータスを追跡できる。ステップS722において、HASIS値が、運転者に車両を操縦または手をハンドル上に置くことを示すことができる、DRIVER_MUST_STEERまたはDRIVER_MUST_HANDS_ONに設定されるかどうかが判定される。幾つかの態様においては、発行されるDRIVER_MUST_STEERまたはDRIVER_MUST_HANDS_ONのHASIS信号の各例は、強制イベントと考えることができる。HASIS値がDRIVER_MUST_STEERまたはDRIVER_HAS_HANDS_ON以外の値に設定されており、ステップS722において「NO」という結果になる場合は、ステップS726が行われる。ステップS726において、操縦タイマはOFFに設定され、一実施態様に係る操縦タイマをリセットできる。ステップS722で、HASIS値はDRIVER_MUST_STEERまたはDRIVER_HAS_HANDS_ONに設定されており、ステップS722において「YES」という結果になる場合は、ステップS724が行われる。
【0120】
ステップS724において、処理回路は、操縦タイマがOFFに設定されるかどうかを判定する。操縦タイマがOFFに設定されており、ステップS724において「YES」という結果になる場合は、ステップS728が行われる。それ以外で、操縦タイマがONに設定されており、ステップS724において「NO」という結果になる場合は、ステップS732が行われる。
【0121】
操縦タイマはOFFであるという判定がステップS724でなされると、ステップS728において、操縦タイマはONに設定され、操縦警告がどのくらいの時間だけ効力がであったかを判定するタイマが開始される。ステップS730において、新しい強制イベントを強制履歴に追加できる。強制履歴は、メモリに記憶可能な、強制イベントが起きた時間と共に、運転者に送られた強制イベントの記録を含むことができる。
【0122】
ステップS732において、操縦タイマがOFFに設定されていない場合は、操縦タイマがONに設定されるかどうか、および操縦タイマが終了したかどうかが判定される。操縦タイマがオンで終了しており、ステップS732において「YES」という結果になる場合は、ステップS734が行われる。ステップS34において、操縦タイマはEXPIREDに設定される。それ以外で、操縦タイマがオンで終了しておらず、ステップS732において「NO」という結果になる場合は、操縦タイマは継続して作動可能である。
【0123】
図8は、自動車両の内部コンパートメント800内から見たときの、HMIシステムの幾つかの構成要素の位置を示す実施態様の模式図を例示す。自動車両の内部コンパートメント800は、フロントガラス812と、左ウィンドウ814と、右ウィンドウを含んでいる。視覚車両内警告装置はヘッドアップディスプレイ(図示せず)であってもよく、運転者の視野が前方の道路に向けられているときに、運転者に情報を視覚的に与えるためにフロントガラス812に組み込まれている。
【0124】
自動車両の内部コンパートメント800は、左サイドビューミラー808、インストルメントクラスタ830、ナビゲーションスクリーン804、右サイドビューミラー810、およびリヤビューミラー809を含んでいる。追加的な視覚車両内警告装置を、左サイドビューミラー808、インストルメントクラスタ830、ナビゲーションスクリーン804、右サイドビューミラー810、および/またはリヤビューミラーに組み込むことができる。視覚車両内警告装置はライト、発光ダイオード(LED)、液晶ディスプレイ(LCD)スクリーン、またはLEDスクリーンであってもよい。
【0125】
自動車両の内部コンパートメント800は、ハンドル802、左シート824、右シート826、アクセルペダル、ブレーキペダル、シートベルト、および加熱換気/空調(HVAC)システムを含んでいる。触覚警告装置は、ハンドル802、左シート824、アクセルペダル、ブレーキペダル、シートベルト、および/またはHVACシステムに組み込むことができる。触覚警告装置は、運転者により感知される振動または他の物理的衝撃作用を作り出すことにより運転者に警告することができる。また、触覚警告装置は、(例えば、HVACシステムを使用して運転者に空気を吹きかける、またはシートベルトを締め付けるなどのような)他の触感による手段により運転者の注意に警戒を促すことができる。
【0126】
自動車両の内部コンパートメント800は、左スピーカ818と右スピーカ820を含んでいる。これらのスピーカは、聴覚警告装置に組み込みことができる。
【0127】
自動車両の内部コンパートメント800は、運転者監視カメラ828を含んでいる。運転者監視カメラはまた、ステアリングコラム上に位置させることもでき、ステレオカメラの実施態様においては、ハンドルの何れかの側に位置している複数のカメラを含むことができる。更に、運転者監視カメラは、図8に示されるように、ハンドルの一方の側に位置させることができる。運転者監視カメラはまた、携帯装置114上のカメラを含むこともできる。
【0128】
携帯装置114は、自動車両100の内部に位置させることができる。携帯装置114上のカメラは、運転者監視カメラ828として使用できる。携帯装置114は、ネットワーク制御回路を通して、HMIシステムとインタフェースを取ることができる。携帯装置114は、視覚的、聴覚的、および/または触覚的に警告を出力できる。
【0129】
一実施態様においては、視覚警告装置は、音を出力するオーディオスピーカのような非視覚出力を含むことができる。また、非視覚警告装置は視覚出力を含むこともできる。携帯装置は、視覚出力(例えば、LCD画面上)、聴覚出力(例えば、オーディオスピーカまたは圧電トランスデューサ)、および触覚出力(例えば、振動)を含むことができる。
【0130】
ここで示される、または記述されるコンピュータアーキテクチャ(つまり、回路)のブロックまたは回路は、単一の処理システムにおいて実現でき、または分離プロセッサまたは回路と称することができる、複数の処理システムにわたって分散できる。例えば、アーキテクチャのブロックのそれぞれは、離散プロセッサ、システム、または論理構成要素であってもよい。更に、例としての機能または特徴は、一般的な回路、または特定の指令を実行する汎用プロセッサにより行うことができる。
【0131】
図9は、例としての処理システム(つまり、例としてのプロセッサまたは回路)を例示す。そのような処理システムの1つ以上は、ここで提供される記述に従って、1つ以上のアルゴリズム、またはその一部分、または1つ以上のアーキテクチャブロック、またはその一部分を実行するために利用できる。システムは、車両に設置された電子制御ユニット(ECU)または離散コンピュータとして具現化および/または実現できる。
【0132】
例としての処理システムは、中央処理ユニット(CPU)および/または少なくとも1つの特定用途向けプロセッサASP(図示せず)のような1つ以上のマイクロプロセッサまたその等価物を使用して実現できる。マイクロプロセッサは、メモリ回路(例えば、ROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、スタティックメモリ、DRAM、SDRAM、およびその等価物)のような、マイクロプロセッサを制御して、本開示のプロセスおよびシステムを行う、および/または制御するように構成されるコンピュータ読取り可能記憶媒体を利用する回路である。他の記憶媒体は、ディスクコントローラのような、ハードディスクドライブまたは光ディスクドライブを制御可能なコントローラを介して制御できる。
【0133】
代替の実施態様におけるマイクロプロセッサまたはその態様は、本開示を拡張する、または完全に実現するための論理装置を含む、または排他的に含むことができる。そのような論理装置には、制限されることはないが、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、汎用配列論理回路(GAL)、およびその等価物が含まれる。マイクロプロセッサは分離した装置、または単一の処理機構であってもよい。更に、本開示は、マルチコアCPUの並列処理機能により恩恵を受けることができる。多重処理装置における1つ以上のプロセッサにより提供される制御回路はまた、メモリに含まれている指令のシーケンスを実行するために採用することもできる。代替として、ハードウェアに組み込まれた回路を、ソフトウェア指令の代わりに、またはソフトウェア指令と組み合わせて使用することができる。このため、ここで検討される例としての実施態様は、ハードウェア回路とソフトウェアの如何なる特定の組み合わせにも制限されることはない。
【0134】
別の態様においては、本開示に従う処理の結果は、ディスプレイコントローラを介してモニタに表示できる。ディスプレイコントローラは好ましくは、複数のグラフィックス処理コアにより提供可能な、少なくとも1つのグラフィック処理ユニットを、向上されたコンピュテーション効率のために含む。ディスプレイコントローラまたはその一部分はまた、CPU内に組み込むことができる。追加的に、I/O(入出力)インタフェースが、I/Oインタフェースに周辺機器として接続可能なマイクロフォン、スピーカ、カメラ、マウス、キーボード、タッチ式ディスプレイ、またはパッドインタフェースなどからの信号および/またはデータを入力するために設けられる。例えば、本開示の種々のプロセスまたはアルゴリズムのパラメータを制御するためのキーボードまたはポインティングデバイスをI/Oインタフェースに接続して、追加的な機能または構成オプションを提供、または表示特性を制御することができる。更に、モニタには、命令/指令インタフェースを提供するためのタッチ感知またはジェスチャー検出インタフェースを設けることができる。
【0135】
例としての実施態様においては、I/Oインタフェースは、センサ1、2、...Nからのセンサデータを入力するために設けられる。センサは、1つ以上の車両搭載カメラであり、CMOS、CCD、または運転者の画像を得る運転者監視カメラと共に、車両の前の道路の画像のような、車両の外部の画像を得る他のデジタルカメラを含むことができる。センサはまた、ライダ、レーダ、および/またはソナーも含むことができる。I/Oインタフェースにデータを入力する他のセンサとしては、速度センサ、加速度センサ、ステアリングセンサ、ジャイロスコープセンサなどを含むことができる。I/Oインタフェースはまた、車両のステアリング、ブレーキ、アクセル、スロットルコントローラを含む種々の発動される構成要素を制御するために、1つ以上のアクチュエータに制御信号を出力するためのインタフェースも提供できる。
【0136】
I/Oインタフェースはまた、スマートフォン、携帯記憶装置、および/または全地球測位システム(GPS)装置または他の測位装置のような移動装置にも接続できる。I/Oインタフェースは、ユニバーサルシリアルバス(USB)ハブ、Bluetooth(登録商標)回路、近距離無線通信(NFC)回路、または、他の有線またはワイヤレス通信回路を含むことができる。幾つかの態様においては、移動装置は、センサ入力、ナビゲーション入力、および/またはネットワークアクセスを提供できる。
【0137】
上記の構成要素は、インターネットまたはローカルイントラネットのようなネットワークに、制御可能パラメータを含むデータの送信または受信のためのネットワークインタフェースを介して結合できる。ネットワークインタフェースは、1つ以上のIEEE802準拠回路を含むことができる。中心バスは、上記のハードウェア構成要素/回路を一緒に接続するために設けられ、それらの間のデジタル通信用の少なくとも1つの経路を提供する。
【0138】
処理システムは、ネットワークに接続されたデスクトップコンピュータ、端末装置、または、タブレットコンピュータまたは移動電話のようなパーソナルデバイスであってもよい。上記に検討したデータベースは、サーバー上に遠隔的に記憶でき、サーバーは、処理システムに類似、またはそれと同じ構成要素を含むことができる。それらの装置は、ネットワークを介して通信できる。
【0139】
オペレーティングシステムまたはアプリケーションのような適切なソフトウェアは、メモリおよび記憶装置を含む、処理システムのコンピュータ読取り可能媒体上に実体的に記憶できる。コンピュータ読取り可能媒体の他の例としては、コンパクトディスク、ハードディスク、フロッピーディスク、テープ、光磁気ディスク、PROM(EPROM、EEPROM、フラッシュEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM、または任意の他の磁気媒体、コンパクトディスク(例えば、CD−ROM)、またはコンピュータが読取ることが可能な任意の他の媒体がある。ソフトウェアは、制限されることはないが、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、開発ツール、アプリケーションソフトウェア、および/またはグラフィックユーザーインタフェースを含むことができる。
【0140】
上記の媒体上のコンピュータコード要素は、任意の解釈可能または実行可能コード機構であってもよく、制限されることはないが、スクリプト、解釈可能プログラム、ダイナミックリンクライブラリ(DLL)、Java(登録商標)クラス、および完全に実行可能なプログラムが含まれる。更に、本開示の態様の処理の部分は、より良好な性能、信頼性および/またはコストのために分散できる。
【0141】
ここで記述される手順およびルーチンは、装置、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として具現化可能であり、1つ以上の専用回路またはプログラムされたプロセッサを介して実行可能である。従って、ここで提供される記述は、ハードウェア専用、ハードウェア上で実行されるソフトウェア専用(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、または、特定のアルゴリズムおよびプロセスコードで構成される専用ハードウェア構成要素と汎用プロセッサの組み合わせを介する形状を取ることができる。ハードウェア構成要素は「回路」、「モジュール」、「ユニット」、「装置」、または「システム」と称される。ハードウェアにより実行される実行可能コードは、コンピュータプログラム製品のような実体的なメモリ装置上で具現化される。例としては、CD、DVD、フラッシュドライバ、ハードディスクユニット、ROM、RAM、および他のメモリ装置が含まれる。
【0142】
本開示の実施態様に係る方法、システム、およびコンピュータプログラム製品のフロー図の説明とブロック図を参照してきた。それらの態様は、コンピュータプログラム指令により実施される。これらのコンピュータプログラム指令は、汎用コンピュータ、特定用途向けコンピュータ、またはマシンを生成する他のプログラマブルデータ処理装置に提供されて、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行されると、それらの指令は、フロー図および/またはブロック図のブロック、または複数のブロックにおいて指定された機能/作用を実施する手段を生成する。
【0143】
これらのコンピュータプログラム指令はまた、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置に、特定の方法で機能するように命令可能なコンピュータ読取り可能媒体に記憶することもでき、それにより、コンピュータ読取り可能媒体に記憶される指令は、フロー図および/またはブロック図のブロック、または複数のブロックにおいて指定された機能/作用を実施する指令手段を含む製品を生成する。
【0144】
コンピュータプログラム指令はまた、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置にロードして、一連の動作ステップを、コンピュータまたは他のプログラマブル装置上で行わせて、コンピュータ実施プロセスを生成し、コンピュータまたは他のプログラマブル装置で実行されると、指令が、フロー図および/またはブロック図のブロック、または複数のブロックにおいて指定された機能/作用を実施するためのプロセスを提供するようにすることもできる。
【0145】
幾つかの実施態様が記述されてきた。しかし、種々の修正が、本開示の精神および範囲を逸脱することなく行えるということは理解されよう。例えば、好ましい結果は、開示される技術のステップを異なるシーケンスで行ったとしても、開示されるシステムにおける構成要素を異なる方法で組み合わせても、または、構成要素を他の構成要素により置換または補充しても達成できる。ここで開示される機能、プロセス、およびアルゴリズムは、ここで記述される機能、プロセス、およびアルゴリズムを実行するために、プログラムコードおよび/またはコンピュータ指令を実行するように構成されるコンピュータプロセッサおよび/またはプログラマブル回路を含むハードウェア、またはハードウェアにより実行されるソフトウェアにおいて行うことができる。追加的に、一実施態様は、記述されるものとは同一でないモジュールまたはハードウェア上で行うことができる。従って、他の実施態様は、権利を主張できる範囲内である。
【0146】
上述の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0147】
(付記1)
装置であって、
半自動運転システムの制限が最も少ない許容可能な運転状態を、1つ以上の脅威と1つ以上のセンサの性能に基づいて判定し、
現在の運転状態と将来の運転状態を、運転者の注意状態と操縦状態に基づいて判定し、
前記現在の運転状態を、前記将来の運転状態に整合させるために前記運転者に警告を提供し、
前記運転者が前記警告に反応しないときは、運転の相互作用または注意を強制するように構成される処理回路を備えることを特徴とする装置。
【0148】
(付記2)
前記処理回路は、
前記1つ以上の脅威が安全性に対する脅威であるのか、快適性に対する脅威であるのかを判定し、
前記1つ以上の脅威が運転者により感知されるのか、システムにより感知されるのかを判定し、
前記1つ以上の脅威に対する前記運転者の所望の行動を判定し、
前記1つ以上の脅威に対する優先順位を、関連付けられている発生時間に基づいて判定するように更に構成される、付記1に記載の装置。
【0149】
(付記3)
前記処理回路は、前記1つ以上の脅威に対する運転者の反応時間を、運転者の注意時間、道路上に目をやる時間、およびハンドル上に手を置く時間に基づいて判定するように更に構成される、付記2に記載の装置。
【0150】
(付記4)
前記処理回路は、前記1つ以上の脅威に対する前記発生時間を、前記運転者の反応時間と比較して、前記制限が最も少ない許容可能な運転状態を判定するように更に構成される、付記3に記載の装置。
【0151】
(付記5)
前記処理回路は、前記運転者が1つ以上の前の要求に従ったことを判定するように更に構成される、付記1に記載の装置。
【0152】
(付記6)
前記処理回路は、前記将来の運転状態が、所定の時間以内には1つ以上の警告を生成しないと判定するように更に構成される、付記5に記載の装置。
【0153】
(付記7)
前記将来の運転状態は、前記制限が最も少ない許容可能な運転状態に設定される、付記6に記載の装置。
【0154】
(付記8)
前記警告は、注意警告と操縦警告を含む、付記1に記載の装置。
【0155】
(付記9)
前記警告は、前記将来の運転状態が、前記現在の運転状態と現在のレーン追尾制御状態の少なくとも1つよりも制限が多いときに提供される、付記8に記載の装置。
【0156】
(付記10)
前記処理回路は、前記現在のレーン追尾制御状態を、レーン追尾制御システムの自動化レベルに基づいて判定するように更に構成される、付記9に記載の装置。
【0157】
(付記11)
前記処理回路は、前記運転者が前記警告に従うためにかかる時間量を判定するように更に構成される、付記1に記載の装置。
【0158】
(付記12)
前記処理回路は、前記運転者が前記警告に従うためにかかる前記時間量が第1所定閾値よりも大きいときに、前記運転の相互作用を強制するように更に構成される、付記11に記載の装置。
【0159】
(付記13)
前記処理回路は、1つ以上の強制介入を実施することにより前記運転の相互作用を強制するように更に構成される、付記12に記載の装置。
【0160】
(付記14)
前記処理回路は、強制履歴における強制イベント数を第2所定閾値と比較するように更に構成される、付記1に記載の装置。
【0161】
(付記15)
前記処理回路は、前記半自動運転システムとの係合を解除するための安全なシナリオを判定するように更に構成される、付記14に記載の装置。
【0162】
(付記16)
前記処理回路は、前記強制履歴における前記強制イベント数が前記第2所定閾値よりも大きいときに、前記半自動運転システムとの係合を解除するように更に構成される、付記15に記載の装置。
【0163】
(付記17)
方法であって、
半自動運転システムの制限が最も少ない許容可能な運転状態を、1つ以上の脅威とセンサの性能に基づいて判定することと、
現在の運転状態と将来の運転状態を、運転者の注意状態と操縦状態に基づいて判定することと、
前記現在の運転状態を、前記将来の運転状態に整合させるために前記運転者に警告を提供することと、
前記運転者が前記警告に反応しないときは、運転の相互作用または注意を強制することと、を備えることを特徴とする方法。
【0164】
(付記18)
回路により実行されたときに、前記回路に、付記17に記載の前記方法を行わせる実行可能な指令を含んでいる非一時的コンピュータ読取り可能記憶媒体。
【0165】
(付記19)
システムであって、
脅威データと運転者監視データを得るための1つ以上のセンサと、
コントローラであって、
半自動運転システムの制限が最も少ない許容可能な運転状態を、1つ以上の脅威とセンサの性能に基づいて判定し、
現在の運転状態と将来の運転状態を、運転者の注意状態と操縦状態に基づいて判定し、
前記現在の運転状態を、前記将来の運転状態に整合させるために前記運転者に警告を提供し、
前記運転者が前記警告に反応しないときは、運転の相互作用と注意を強制するように構成されるプロセッサを含んでいるコントローラと、を備えることを特徴とするシステム。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9