(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記乳製品ベースのタンパク質が、カゼイン、カゼイン塩、カゼイン加水分解物、乳清、乳清加水分解物、乳清濃縮物、乳清分離物、乳タンパク質濃縮物、乳タンパク質分離物、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項3に記載の経管栄養製剤。
前記植物ベースのタンパク質が、ダイズタンパク質、エンドウマメタンパク質、カノーラタンパク質、コムギタンパク質及び分画コムギタンパク質、トウモロコシタンパク質、ゼインタンパク質、コメタンパク質、カラスムギタンパク質、バレイショタンパク質、ラッカセイタンパク質、野菜由来のタンパク質、単細胞タンパク質、並びにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項3に記載の経管栄養製剤。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[0036]本明細書で用いられる「約」は、ある範囲の数字における数を意味することが理解される。さらに、本明細書における全ての数の範囲は、範囲内の全ての整数、全体又は部分を全て含むと理解されたい。
【0037】
[0037]本明細書で用いられる「アミノ酸」の語は、1つ又は複数のアミノ酸を含むことが理解される。アミノ酸は、例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシセリン、ヒドロキシチロシン、ヒドロキシリジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、又はこれらの組合せであってもよい。
【0038】
[0038]本明細書で用いられる「動物」には、それだけには限定されないが哺乳動物が含まれ、哺乳動物には、それだけには限定されないが、齧歯動物、水生哺乳動物、イヌ及びネコなどの家庭内動物、ヒツジ、ブタ、ウシ、及びウマなどの家畜、並びにヒトが含まれる。「動物」若しくは「哺乳動物」の語、又はこれらの複数形が用いられる場合、これらの語は、その一節の文脈によって表され、又は表されることが意図される効果が可能であるあらゆる動物にも当てはまることが企図される。
【0039】
[0039]本明細書で用いられる「抗酸化剤」の語には、活性酸素種(「ROS」)並びに他のラジカル及び非ラジカル種によって促進される酸化又は反応を阻止するβ−カロテン(ビタミンA前駆体)、ビタミンC、ビタミンE、及びセレン)などの任意の1つ又は複数の様々な物質が含まれることが理解される。さらに、抗酸化剤は、他の分子の酸化を遅らせ、又は防止することができる分子である。抗酸化剤の非限定的な例には、アスタキサンチン、カロテノイド、コエンザイムQ10(「CoQ10」)、フラボノイド、グルタチオン ゴジ(ウルフベリー)、ヘスペリジン、ラクトウルフベリー、リグナン、ルテイン、リコペン、ポリフェノール、セレン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ゼアキサンチン、又はこれらの組合せが含まれる。
【0040】
[0040]本明細書で用いられる、「完全栄養」には、十分なタイプ及びレベルの主要栄養素(タンパク質、脂肪、及び炭水化物)、並びにこれが投与されている動物にとって単一の栄養源であるとして十分である微量栄養素を含有する栄養製品及び栄養組成物が含まれる。患者は、このような完全栄養組成物から自分の栄養要求の100%を摂取することができる。
【0041】
[0041]本明細書で用いられる「有効量」は、欠乏症を防止し、個体における疾患若しくは医学的状態を処置し、又はより一般的には、症状を低減し、疾患の進行を管理し、若しくは栄養的、心理的、若しくは医学的恩恵を個体にもたらす量である。処置は患者関連又は医師関連であってもよい。
【0042】
[0042]「個体」及び「患者」の語は本明細書においてヒトを意味するのにしばしば用いられるが、本発明はそれほど限定的ではない。したがって、「個体」及び「患者」の語は、処置から恩恵を受けることができる医学的状態を有し、又は医学的状態の危険性のある、あらゆる動物、哺乳動物、又はヒトを意味する。
【0043】
[0043]本明細書で用いられる、魚油の脂肪酸成分の非限定的な例には、ドコサヘキサエン酸(「DHA」)、及びエイコサペンタエン酸(「EPA」)が含まれる。DHA及びEPAのさらなる供給源には、オキアミ、オメガ3の植物源、亜麻仁、ウォールナッツ、及び藻類が含まれる。
【0044】
[0044]本明細書で用いられる、「食品グレードの微生物」は、食品において用いられ、及び食品において用いるのに安全であると一般にみなされている微生物を意味する。
【0045】
[0045]本明細書で用いられる「不完全栄養」は、十分なレベルの主要栄養素(タンパク質、脂肪、及び炭水化物)、又はこれを投与している動物にとって単一の栄養源であるのに十分な微量栄養素を含有しない栄養製品又は栄養組成物を含む。部分的な、又は不完全な栄養組成物は、栄養サプリメントとして用いることができる。
【0046】
[0046]本明細書で用いられる「長期間投与」は、好ましくは6週間を超える連続投与である。また、本明細書で用いられる「短期間投与」は、6週間未満の連続投与である。
【0047】
[0047]本明細書で用いられる「哺乳動物」には、それだけには限定されないが、齧歯動物、水生哺乳動物、イヌ及びネコなどの家庭内動物、ヒツジ、ブタ、ウシ、及びウマなどの家畜、並びにヒトが含まれる。「哺乳動物」の語が用いられる場合、哺乳動物によって表され、又は表されることが意図される効果が可能である他の動物にも適用することが企図される。
【0048】
[0048]「微生物」の語には、細菌、酵母菌、及び/又は真菌、微生物を有する細胞増殖培地、又は微生物が培養された細胞増殖培地が含まれるものとされる。
【0049】
[0049]本明細書で用いられる「ミネラル」の語には、ホウ素、カルシウム、クロム、銅、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、リン、カリウム、セレン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、又はこれらの組合せが含まれることが理解される。
【0050】
[0050]本明細書で用いられる「非複製性の」微生物体は、生存細胞及び/又はコロニー形成単位を古典的な平板培養法によって検出することができないことを意味する。このような古典的な平板培養は、微生物学の書籍である、James Monroe Jayら、Modern food microbiology、第7版、Springer Science、New York、N.Y.、790頁(2005年)に概説されている。典型的には、生存細胞の非存在は以下の通りに示すことができる:様々な濃度の細菌調製物で接種し(「非複製性の」試料)並びに好適な条件下(好気性及び/又は嫌気性の雰囲気で少なくとも24時間)でインキュベートした後、寒天平板上に目に見えるコロニーがない、又は液体増殖培地において濁度の増大がないこと。例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)及びビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)などのビフィズス菌(bifidobacteria)又はラクトバシルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)又はラクトバシルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)などの乳酸菌(lactobacilli)を、加熱処理、特に低温/長時間の加熱処理によって非複製性にすることができる。
【0051】
[0051]本明細書で用いられる「正常な骨の成長」は、同じ骨内の、1部位で新たな骨を形成させ、別の1部位から古い骨を除去させるモデリングによって小児期及び思春期の骨が形作られるプロセスを意味する。このプロセスにより個々の骨はサイズにおいて成長し、空間において移行する。小児期の間、骨の内側では再吸収(骨を破壊するプロセス)が生じ、外側(骨膜)表面上に新たな骨の形成が生じるため、骨は成長する。思春期には、外側及び内側(骨内膜)両方の表面上に形成が起こり得るため、骨は厚くなる。リモデリングのプロセスは生涯を通して生じ、骨がその最大質量に到達する時期まで(典型的には20代初期まで)優勢なプロセスとなる。リモデリングにおいて、骨梁の表面上又は皮質の内側において少量の骨が除去され、次いで同じ部位で置き換えられる。リモデリングのプロセスは骨の形状を変えることはないが、それにもかかわらず骨の健康にとって不可欠である。モデリング及びリモデリングは生涯を通じて継続し、その結果殆どの成人の骨格は約10年毎に置き換えられる。リモデリングは成人期初期まで優勢であるが、モデリングは特に骨の弱化に反応して依然として起こり得る。
【0052】
[0052]本明細書で用いられる「ヌクレオチド」は、デオキシリボ核酸(「DNA」)、リボ核酸(「RNA」)、ポリマーのRNA、ポリマーのDNA、又はこれらの組合せのサブユニットであると理解される。「ヌクレオチド」は、窒素含有塩基、リン酸分子、並びに糖分子(DNAにおいてデオキシリボース及びRNAにおいてリボース)からなる有機化合物である。個々のヌクレオチドモノマー(単一の単位)が一緒にリンクしてポリマー又は長鎖を形成する。外因性のヌクレオチドは食事補給によって特に提供される。外因性のヌクレオチドは、例えば、5’−アデノシン一リン酸(「5’−AMP」)、5’−グアノシン一リン酸(「5’−GMP」)、5’−シトシン一リン酸(「5’−CMP」)、5’−ウラシル一リン酸(「5’−UMP」)、5’−イノシン一リン酸(「5’−IMP」)、5’−チミン一リン酸(「5’−TMP」)、又はこれらの組合せなどのモノマー型におけるものであり得る。外因性のヌクレオチドは、例えば、インタクトなRNAなど、ポリマー形態におけるものでもあり得る。例えば、酵母菌RNAなど、ポリマー形態の複数の供給源が存在してもよい。
【0053】
[0053]本明細書で用いられる「栄養製品」又は「栄養組成物」は、1つ又は複数の、酸味料、さらなる増粘剤、緩衝剤又はpH調製のための薬剤、キレート化剤、着色剤、乳化剤、賦形剤、香味料、ミネラル、浸透物質、薬学的に許容される担体、保存料、安定化剤、糖、甘味料、テクスチャライザー(texturizer)、及び/又はビタミンなどの、従来の食品添加物(合成若しくは天然)を含めたあらゆる数々の任意選択のさらなる原材料を含むことが理解される。任意の適切な量の任意選択の原材料を加えることができる。栄養製品又は栄養組成物は、完全栄養源であってもよく、又は不完全栄養源であってもよい。
【0054】
[0054]本明細書で用いられる「患者」の語は、本明細書において規定する通り、処置を受け、又は受けることが意図される動物、特に哺乳動物、より詳しくはヒトを含むことが理解される。
【0055】
[0055]本明細書で用いられる「植物性化学物質」又は「植物栄養素」は、多くの食品中に見出される非栄養性化合物である。植物性化学物質は、基本的な栄養を超える健康上の利点を有する機能性食品であり、植物源に由来する健康促進性の化合物であり、天然又は精製であってもよい。「植物性化学物質」及び「植物栄養素」は、使用者に対して1つ又は複数の健康上の利点を与える植物によって生成されるあらゆる化学物質を意味する。植物栄養素、又は植物性化学物質の非限定的な例には以下が含まれる。
【0056】
[0056]i)フェノール化合物、例えば、モノフェノール(例えば、アピオール、カルノソール、カルバクロール、ジラピオール(dillapiole)、ローズマリノール(rosemarinol));フラボノイド(ポリフェノール)、例えば、フラボノール(例えば、ケルセチン、フィンゲロール(fingerol)、ケンフェロール、ミリセチン、ルチン、イソラムネチン)、フラバノン(例えば、フェスペリジン(fesperidin)、ナリンゲニン、シリビン、エリオジクチオール)、フラボン(例えば、アピゲニン、タンゲリチン(tangeritin)、ルテオリン)、フラバン−3−オール(例えば、カテキン、(+)−カテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピカテキン、(−)−エピガロカテキン、(−)−エピガロカテキンガレート(EGCG)、(−)−エピカテキン3−ガレート、テアフラビン、テアフラビン−3−ガレート、テアフラビン−3’−ガレート、テアフラビン−3,3’−ジガレート、テアルビジン)、アントシアニン(フラボナール(flavonal))及びアントシアニジン(例えば、ペラルゴニジン、ペオニジン、シアニジン、デルフィニジン、マルビジン、ペツニジン)、イソフラボン(フィトエストロゲン)(例えば、ダイゼイン(ホルモノネチン)、ゲニステイン(ビオカニンA)、グリシテイン)、ジヒドロフラボノール、カルコン、クメスタン(フィトエストロゲン)、及びクメステロール;フェノール酸(例えば、エラグ酸、没食子酸、タンニン酸、バニリン、クルクミン);ヒドロキシケイ皮酸(例えば、カフェ酸、クロロゲン酸、ケイ皮酸、フェルラ酸、クマリン);リグナン(フィトエストロゲン)、シリマリン、セコイソラリシレシノール、ピノレジノール、及びラリシレシノール);チロソールエステル(例えば、チロソール、ヒドロキシチロソール、オレオカンタール、オレウロペイン);スチルベノイド(例えば、レスベラトロール、プテロスチルベン、ピセタノール)及びプニカラギン;
【0057】
[0057]ii)テルペン(イソプレノイド)、例えば、カロテノイド(テトラテルペノイド)、例えば、カロテン(例えば、α−カロテン、β−カロテン、γ−カロテン、δ−カロテン、リコペン、ニューロスポレン、フィトフルエン、フィトエン)、及びキサントフィル(例えば、カンタキサンチン、クリプトキサンチン、アエアキサンチン(aeaxanthin)、アスタキサンチン、ルテイン、ルビキサンチン);モノテルペン(例えば、リモネン、ペリリルアルコール);サポニン;脂質、例えば、フィトステロール(例えば、カンペステロール、βシトステロール、γシトステロール、スチグマステロール)、トコフェロール(ビタミンE)、並びにオメガ−3、6、及び9脂肪酸(例えば、γ−リノレン酸);トリテルペノイド(例えば、オレアノール酸、ウルソル酸、ベツリン酸、モロン酸);
【0058】
[0058]iii)ベタレイン、例えば、βシアニン(例えば、ベタニン、イソベタニン、プロベタニン、ネオベタニン);及びベタキサンチン(非グリコシドのバージョン)(例えば、インディカキサンチン、及びブルガキサンチン);
【0059】
[0059]iv)有機スルフィド、例えば、ジチオールチオン(dithiolthiones)(イソチオシアネート)(例えば、スルフォラファン);並びにチオスルホネート(thiosulphonate)(アリウム化合物)(例えば、アリルメチルトリスルフィド、及びジアリルスルフィド)、インドール、グルコシノレート、例えば、インドール−3−カルビノール;スルフォラファン;3,3’−ジインドリルメタン;シニグリン;アリシン;アリイン;アリルイソチオシアネート;ピペリン;syn−プロパンチアール−S−オキシド;
【0060】
[0060]v)タンパク質阻害剤、例えば、プロテアーゼ阻害剤;
【0061】
[0061]vi)他の有機酸、例えば、シュウ酸、フィチン酸(イノシトール六リン酸)、酒石酸、及びアナカルジン酸、或いは
【0062】
[0062]vii)これらの組合せ。
【0063】
[0063]本開示及び添付の特許請求の範囲において用いられる、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が明らかに他のものを指摘しなければ複数の指示物を含む。このように、例えば、「1つのポリペプチド」に対する言及は、2つ以上のポリペプチドの混合物を含む、などである。
【0064】
[0064]本明細書で用いられる、「プレバイオティクス」は、有益な細菌の増殖を選択的に促進し、又は腸内の病原性細菌の増殖若しくは粘膜の接着を阻止する食品物質である。プレバイオティクスは胃及び/又は腸上部において不活性化されず、又はプレバイオティクスを摂取したヒトの消化管において吸収されないが、消化管の微生物叢及び/又はプロバイオティクスによって発酵される。プレバイオティクスは、例えば、Glenn R.Gibson及びMarcel B.Roberfroid、Dietary Modulation of the Human Colonic Microbiota:Introducing the Concept of Prebiotics、J.Nutr.、1995年、125巻、1401〜1412頁によって規定されている。プレバイオティクスの非限定的な例には、アラビアゴム、αグルカン、アラビノガラクタン、βグルカン、デキストラン、フラクトオリゴ糖、フコシルラクトース、ガラクトオリゴ糖、ガラクトマンナン、ゲンチオオリゴ糖、グルコオリゴ糖、グアーゴム、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、ラクトネオテトラオース、ラクトスクロース、ラクツロース、レバン、マルトデキストリン、乳オリゴ糖、部分的に加水分解されたグアーゴム、ペクチンオリゴ糖、難消化性デンプン、老化デンプン、シアロオリゴ糖、シアリルラクトース、ダイズオリゴ糖、糖アルコール、キシロオリゴ糖、又はこれらの加水分解物、又はこれらの組合せが含まれる。
【0065】
[0065]本明細書で用いられる、プロバイオティクス微生物(以下「プロバイオティクス」)は、十分量を投与した場合に宿主に対して健康上の利点を授けることができ、より詳しくは、宿主の健康又は幸福に対する効果をもたらす、宿主の腸の微生物バランスを改善することによって宿主に有益に影響を及ぼす、食品グレードの微生物(半生存性(semi−viable)若しくは弱化を含む生存性、及び/又は非複製性)、代謝物、微生物細胞調製物、或いは微生物細胞の成分である。Salminen S、Ouwehand A.Benno Y.ら、Probiotics:how should they be defined?、Trends Food Sci.Technol.、1999年、10巻、107〜10頁(1999年)を参照されたい。一般に、これらの微生物は、腸管における病原性細菌の増殖及び/若しくは代謝を阻害し、又は増殖及び/若しくは代謝に影響を及ぼすと考えられている。プロバイオティクスはまた、宿主の免疫機能を活性化してもよい。この理由から、食品中にプロバイオティクスを含めるのに多くの様々な取組みが存在している。プロバイオティクスの非限定的な例には、アエロコッカス属、アスペルギルス属、バクテロイデス属、ビフィドバクテリウム属、カンジダ属、クロストリジウム属、デバロミセス属、エンテロコッカス属、フゾバクテリウム属、ラクトバシラス属、ラクトコッカス属、ロイコノストック属、メリソコッカス属、ミクロコッカス属、ムコール属、オエノコッカス属、ペディオコッカス属、ペニシリウム属、ペプトストレポコッカス属、ピキア属、プロピオニバクテリウム属、シュードカテヌラツム属、リゾプス属、サッカロミセス属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、トルロプシス属、ワイセラ属、又はこれらの組合せが含まれる。
【0066】
[0066]本明細書で用いられる「加工されたホールフード」は、その天然状態又は調製された状態から修飾されているホールフードであり、経管栄養製剤中に配置することができるような状態にあるものである。
【0067】
[0067]本明細書で用いられる「タンパク質」、「ペプチド」、「オリゴペプチド」、又は「ポリペプチド」の語は、単一のアミノ酸(モノマー)、ペプチド結合によって一緒に連結された2つ若しくはそれを超えるアミノ酸(ジペプチド、トリペプチド、若しくはポリペプチド)、コラーゲン、前駆体、ホモログ、類似体、ミメチック、塩、プロドラッグ、代謝物、又はこれらのフラグメント、又はこれらの組合せを含むあらゆる組成物を意味することが理解される。明確にするために、上記の任意の語の使用は、別段の規定がなければ交換可能である。ポリペプチド(又はペプチド、又はタンパク質、又はオリゴペプチド)は、天然に存在する20個のアミノ酸を通常意味する20個のアミノ酸以外のアミノ酸をしばしば含有し、末端のアミノ酸を含めた多くのアミノ酸は、グリコシル化及び他の翻訳後修飾などの天然のプロセス又は当技術分野においてよく知られている化学修飾技術のいずれかによって、所与のポリペプチドにおいて修飾され得ることが理解されよう。本発明のポリペプチド中に存在してもよい、知られている修飾の中には、それだけには限定されないが、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラバノイド若しくはヘム部分の共有結合性の付着、ポリヌクレオチド若しくはポリヌクレオチド誘導体の共有結合性の付着、脂質若しくは脂質誘導体の共有結合性の付着、ホスファチジルイノシトールの共有結合性の付着、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合性架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、γ−カルボキシル化、糖化、グリコシル化、グリコシルホスファチジルイノシトール(「GPI」)膜アンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解性プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、硫酸化、アミノ酸のポリペプチドに対するトランスファーRNA媒介性付加、例えばアルギニレーション(arginylation)、及びユビキチン化が含まれる。「タンパク質」の語はまた、ペプチドの交互の繰返しからなる、直鎖又は非直鎖のポリペプチドを意味する「人工タンパク質」も含む。
【0068】
[0068]タンパク質の非限定的な例には、乳製品ベースのタンパク質、植物ベースのタンパク質、動物ベースのタンパク質、及び人工タンパク質が含まれる。乳製品ベースのタンパク質は、カゼイン、カゼイン塩、カゼイン加水分解物、乳清、乳清加水分解物、乳清濃縮物、乳清分離物、乳タンパク質濃縮物、乳タンパク質分離物、又はこれらの組合せからなる群から選択することができる。植物ベースのタンパク質には、例えば、ダイズタンパク質(例えば、濃縮物及び分離物を含めた全ての形態)、エンドウマメタンパク質(例えば、濃縮物及び分離物を含めた全ての形態)、カノーラタンパク質(例えば、濃縮物及び分離物を含めた全ての形態)、商業的にコムギタンパク質及び分画コムギタンパク質である他の植物タンパク質、トウモロコシ及びゼインを含めたその画分、コメ、カラスムギ、バレイショ、ラッカセイ、及びマメに由来するあらゆるタンパク質、ソバ、レンズマメ、豆類、単細胞タンパク質、又はこれらの組合せが含まれる。動物ベースのタンパク質は、牛肉、家禽、魚、子羊肉、水産物、又はこれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0069】
[0069]本出願内に含まれる投与量範囲は全て、前記の範囲内に含まれる全ての数、全体又は部分を含むことが意図される。
【0070】
[0070]本明細書で用いられる「シンバイオティクス」は、一緒に働いて腸の微生物叢を改善するプレバイオティクス及びプロバイオティクス両方を含有するサプリメントである。
【0071】
[0071]本明細書で用いられる「処置」、「処置する」、及び「軽減する」の語は、予防的処置又は防止的処置(標的の病状若しくは障害の発生を防止及び/若しくは緩徐化する)、及び治癒的、治療的、又は疾患改変的処置の両方を含み、診断された病状又は障害を治癒し、遅らせ、これらの症状を減らし、及び/又はこれらの進行を停止させる治療的措置、並びに疾患にかかる危険性のある患者又は疾患にかかっていると疑われる患者及び病気である患者又は疾患若しくは医学的状態に罹患していると診察された患者の処置を含む。この語は、完全に回復するまで対象を処置することを必ずしも含意するものではない。「処置」及び「処置する」の語は、疾患に罹患していないが、窒素のアンバランス又は筋肉の喪失など、不健康な状態を発症しやすいことがある個体における健康の維持及び/又は促進も意味する。「処置」、「処置する」、及び「軽減する」の語は、1つ又は複数の主要な予防的措置又は治療的措置の、増強又は他の点での亢進を含むことも意図される。「処置」、「処置する」、及び「軽減する」の語は、疾患若しくは状態の食事管理、又は疾患若しくは状態の予防若しくは防止のための食事管理を含むことがさらに意図される。
【0072】
[0072]本明細書で用いられる「経管栄養」は、それだけには限定されないが、経鼻胃管、口胃管(orogastric tube)、胃管、空腸造瘻管(「J−tube」)、経皮内視鏡的胃瘻造設術(「PEG」)、ポート(例えば、胃、空腸へのアクセスを提供する胸壁ポート、及び他の適切なアクセスポート)を含む、経口投与以外によって、動物の消化器系に投与される完全又は不完全な栄養製品又は栄養組成物である。
【0073】
[0073]本明細書で用いられる「ビタミン」の語には、身体の正常な成長及び活動に微量が不可欠であり、植物性食品及び動物性食品から天然に得られ、又は合成的に作られる、あらゆる様々な脂溶性又は水溶性の有機物質(非限定的な例には、ビタミンA、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン若しくはナイアシンアミド)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール、若しくはピリドキサミン、若しくはピリドキシン塩酸塩)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸)、及びビタミンB12(様々なコバラミン、ビタミンサプリメントにおいて通常シアノコバラミン)、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、K1、及びK2(即ち、MK−4、MK−7)、葉酸、及びビオチンが含まれる)、プロビタミン、誘導体、類似体が含まれると理解される。
【0074】
[0074]本明細書で用いられる「ホールフード」、又は「本物の食品」は、食品の低減された成分とは対照的に、食品が天然の状態又は調製された状態である場合に通常の毎日の食事において個体によって典型的に摂取される食品を意味することが理解される。例えば、ホールフードは、任意の知られている果実、野菜、穀物
又は肉を含むことができる。
【0075】
[0075]本明細書で用いられる「動物化学物質」は、基本的な栄養を超える健康上の利点を有する機能性食品を意味し、動物源において見出される健康促進性の化合物である。
【0076】
[0076]不活動性である患者、又はかなりの時間の間に1つの単一の食事を摂食する患者のいずれかは、食事における多様性又は適切な栄養価の欠如に起因し得る代謝障害に陥りやすい。例えば、長期の経管栄養患者はこのような障害に悩むことがある。患者の基本的な栄養の必要性は経管栄養によって満たされ得るが、経管栄養のための現在のフォーミュラは、長期間にわたって患者の健康を維持するように最適化されていない。
【0077】
[0077]長期間経管栄養を投与されている患者は、しばしば、数週間、数ヶ月、又は数年間も、単一の食事の供給源を常食とし続ける。このような長期の経管栄養患者は、例えば、骨、筋肉、神経学的、消化管、及び免疫の健康の障害を含めたあらゆる数々の健康上の合併症に罹患することがある。これらのタイプの慢性疾患及び合併症を有する、このような長期の、経管栄養患者の栄養上の必要性は、短期の経管栄養を必要とする患者と確実に異なる。
【0078】
[0078]例えば、脳性麻痺は、人生の早期の脳の発達に対する傷害に起因する、慢性の、非進行性の運動能力障害である。脳性麻痺は、一般に、運動協調性及び筋緊張における機能不全によって特徴付けられる。脳性麻痺の患者はしばしば車椅子に拘束され、又は重度の歩行運動の困難を有するため、患者のエネルギーの必要性は、健康な小児よりも著しく低いが、患者のタンパク質の必要性は成長、修復、及びタンパク同化機能を支持するために高いことが多い。脳性麻痺の小児は、専用の経管栄養を必要とすることが多い。長期の経管栄養患者の摂食の必要性は、短期の経管患者とは異なるが、当業者であれば、本組成物は短期又は長期いずれかの経管栄養患者、及び補足的な栄養を投与されている患者に対して用いることができることを理解されよう。
【0079】
[0079]別の一例において、身体の血液のpHは、主に腎臓及び肺による調節によって経時的にかなり十分に維持されているが、食事の摂取は身体の酸/塩基バランスに著しく影響を及ぼし得る。入院し、施設に収容され、回復している患者は、腎臓及び/又は肺の機能の衰えによって引き起こされる代謝障害の危険性が増大することがある。その結果、食事の酸−塩基の電位は、筋骨格及び免疫の健康を含めた患者の健康の維持において、ますます重要となる。
【0080】
[0080]食品は、経口摂取時及び代謝後、より正味の酸性産生性又はよりアルカリ性産生性のいずれかとして分類することができる。ヒトの相関的な摂取のデータは、果実及び野菜のより多い食事は、代謝恒常性の維持を助ける正味のアルカリ性環境を支持することを示唆している。これとは反対に、酸産生性の食事は、筋骨格の健康に負の影響を及ぼすことが見出されている。食事の変調による軽度の代謝アシドーシスを正すことで、骨格筋量及び筋骨格の状態を維持するのを助けることがあり、筋肉の減少などを含めた様々な病理学的状態を有する患者の健康を改善する助けとなることがある。完全栄養フォーミュラにおけるリン(P)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)、及びカルシウム(Ca)を操作すると、この方法において正味のアルカリの生成の増強に寄与することができる。
【0081】
[0081]例えば、長期の経管栄養患者は、患者の食品源における変動がないため、このような酸形成性の食事の影響を特に受けやすいことがある。腎臓は酸を中和するのに効率的であるが、高度の酸に長期間暴露されると、酸を中和する腎臓の能力が圧倒され、潜在的な損傷が起こり得ると考えられている。その結果、それだけには限定されないが、カルシウムを含むアルカリ性化合物を用いて、これらの食事性の酸が中和される(筋肉の場合、グルタミンが緩衝剤として作用し得る)。身体において最も容易に入手できるカルシウム源は骨である。一理論では、身体は、代謝性の酸を緩衝するのに貯蔵されているカルシウムを動員するため、酸性の高い食事は骨の喪失の一因となり得るということである。仮説は、酸性の低い食事は、骨及び筋肉の喪失の減弱並びに腎臓の健康の維持を含む利点をもたらし得ることである。Wachman,A.ら、Diet and Osteoporosis、Lancet、1巻、958〜959頁(1968年)を参照されたい。Frassetto Lら、Potassium Bicarbonate Reduces Urinary Nitrogen Excretion in Postmenopausal Women、J.Clin.Endocrinol.Metab.、82巻、254〜259頁(1997年)も参照されたい。
【0082】
[0082]実際、骨折は、多くの要因のため、痙攣性の四肢麻痺を有する小児における重大な問題である。さらに脳性麻痺を有する小児の多くは、てんかん発作のコントロールのために複数の抗痙攣薬の薬物治療を受けており、いくつかの抗痙攣薬の使用にはビタミンD及びカルシウムの代謝における変質が付随する。Hahn,T.J.ら、Effect of Chronic Anticonvulsant Therapy on Serum 25−Hydroxycalciferol Levels in Adults、The New England J.of Med.、900〜904頁(1972年11月2日)を参照されたい。Hunter,Jら、Altered Calcium Metabolism in Epileptic Children on Anticonvulsants、British Medical Journal、202〜204頁(10月23日、2971)も参照されたい。Hahn,T.J.ら、Phenobarbital−Induced Alterations in Vitamin D Metabolism、J.of Clinical Investigation、51巻、741〜748頁(1972年)も参照されたい。抗痙攣薬の薬物治療のビタミンDの状態に対する影響は完全に明らかではないが、歩行不能の小児は、骨折の危険性が増大することは明らかである。
【0083】
[0083]研究により、フェノバルビタール及びジランチン(Dilantin)など、てんかん発作をコントロールするための薬物療法は、代謝及びビタミンDの循環半減期を変更し得ることが示されている。調査は、少なくとも2つの抗てんかん薬物療法を採用しており、施設に収容されており、したがって各自のビタミンDの所要量の殆どを日光への曝露から得ていない患者は、各自の血清25(OH)Dレベルを正常中央(mid−normal)範囲の25〜45ng/ml(62.5〜112.5nmol/リットル)以内に維持するためにビタミンD摂取量をおよそ25μg(1000IU)/日に増大することも示唆している。これにより抗てんかん薬の薬物治療に付随する骨軟化症及びビタミンD欠乏症が防止されると考えられている。
【0084】
[0084]さらに別の一例において、脳性麻痺及び神経筋障害を有する患者、特に小児は、頻繁に圧迫潰瘍又は慢性創傷を発症する危険性もあり、そのため特別な食事を必要とすることがある。慢性創傷になりやすい個体には、例えば、長期間固定されているもの、ベッド及び椅子に拘束されているもの、及び/若しくは失禁を経験しているもの、タンパク質−エネルギー栄養失調を経験しているもの、免疫抑制されているもの、神経学的、外傷性、若しくは末期の疾患を有するもの、又は循環性若しくは感覚性の欠損を有するものが含まれる。Agency for Health Care Policy and Research、1992年、1994年を参照されたい。十分な栄養の投与は、このような慢性創傷の防止及び処置において重要な役割を果たす。
【0085】
[0085]例えば、タンパク質、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、及びアルギニンなどの特定の栄養は、特に欠乏症が疑われる場合には、圧迫潰瘍を発症する危険性の低減において役割を果たすことがある。十分な水分補給も、圧迫潰瘍を発症する危険性の低減において重大な役割を果たす。実際、さらなるタンパク質、アルギニン、ビタミンC、及び亜鉛を投与した群において、対照群に比べた場合、圧迫潰瘍発症の発生率が低かった(13%対72%)ことが報告されている。Neanderら、A specific nutritional supplement reduces incidence of pressure ulcers in elderly people、Numico Research、www.numico−research.com.を参照されたい。
【0086】
[0086]慢性創傷又は圧迫潰瘍が発症した後は、様々な栄養が治癒において重要な役割を果たし、特定の栄養がプロセスの様々な段階で影響を有する。例えば、以下の表1は、創傷治癒の様々な段階に影響を及ぼす重要な栄養を実証するものである。表1に示す通り、ある種のビタミン、ミネラル、及びアミノ酸が、創傷治癒の様々な段階に存在する。
【0088】
[0087]圧迫潰瘍の発症又は進行の防止には、著しい医療経済学的意味も存在する。例えば、圧迫潰瘍に対する平均治癒時間は、潰瘍の後の段階になるほど長くなり、ステージIII及びステージIVの潰瘍はステージIIよりも実質的に長い処置を必要とする。英国の疾患経費の研究において、圧迫潰瘍の重症度の増大とともに処置費用の増大が存在することは明らかである。Bennett Gら、The cost of pressure ulcers in the UK、Age and Ageing、33巻、230〜235頁(2004年)を参照されたい。別の一研究において、ステージIII及びステージIVの圧迫潰瘍の費用は、ステージIIの圧迫潰瘍を処置するよりも実質的に多いことが示された。Xakellis GCら、The cost of healing pressure ulcers across multiple health care settings、Adv.Wound Care、9巻、18〜22頁(1996年)を参照されたい。これらの多額の費用を、以下の表2において示す。
【0090】
[0088]さらにより一般的に、経管栄養療法を採用している小児患者にとって考慮に入れなければならない費用が多く存在する。例えば、脳性麻痺、発育不全、神経筋障害、脳損傷、発育遅延、免疫不全症、低骨密度、慢性創傷などの任意の基礎疾患は、病院又は他の医療施設における医療を必要とすることがある。或いは、これらの状態の多くは、在宅医療とともに通院も必要とすることもあり、又は通院を追加させることもある。いずれの場合においても、経管栄養小児患者の毎日の摂食(daily feeding)は、経管栄養製剤に対する費用、摂食を投与するための装置を使用するための費用、摂食を投与するための医療従事者に対する費用、二次的な健康管理装置に対する費用、受診のための費用を含むことがある。圧迫潰瘍に関して上記で論じた通り、当業者であれば、これらの費用は、基礎疾患の重症度が増大するとともに増大することが理解されよう。
【0091】
[0089]そこで、医療費を低減するために、経管栄養小児患者、又は小児患者の介護人が来院の頻度、入院、摂食の頻度などを低減することができるのは有益である。例えば、経管栄養小児患者は、座りがちであるのが典型的であり、非経管栄養の食べ物に見出される必要な微量栄養素及び主要栄養素を全ては摂取しないため、正常な成長を妨げるものを一般的に経験していることが知られている。しかし、例えば、全ての必要な微量栄養素及び主要栄養素、より多量のタンパク質、及びより低いカロリーを提供する経管栄養製剤を小児患者に投与した場合、経管栄養小児患者は、過剰の体重増加及び/又は過剰の脂肪組織を最小にすることによって健康状態の改善を経験することができることがある。したがって、このような経管栄養を投与すると、小児患者の状態に付随する医療費が低減することがあり、さらに、1.0kcalフォーミュラの希釈に対する典型的な「加え戻し(added back)」である栄養上のモジュラー(即ち、タンパク質、繊維、微量栄養素)の数が低減することがある。
【0092】
[0090]上記の考察に基づくと、長期の経管栄養が、あらゆる数々の一次的又は二次的な健康上の問題を引き起こし得ることは明らかである。経時的に、上記に記載したものと同様の健康上の合併症を有する患者に提供される経管栄養フォーミュラが、患者の生理学的必要性を満たすのに必要な全ての食事構成成分を提供しない場合、栄養上の不適切(又は、天然の、変動する、バランスの取れた本物の食品の食事との違い)が毎日累積すると、患者の幸福、したがって臨床上の結果に対して段階的で有害な副作用を有することがある。
【0093】
[0091]したがって、本開示は、過剰のエネルギーを提供せずに、十分な量の、増大したタンパク質、並びに高レベルのある種の微量栄養素及び主要栄養素を、これらの患者に提供する栄養製品及び栄養組成物に対するものである。タンパク同化機能を支持し、徐脂肪体重を維持し、栄養上の妥当性を維持するのにより多量のタンパク質が必要とされる。提供される栄養は筋骨格の健康を損なわずに体重増加を管理しなければならないので、低カロリー製剤は、身体的に殆ど不動に極端に限られている患者により少ないカロリーを送達するのに不可欠である。さらに、患者の幸福に条件的に不可欠であり(例えば、ヌクレオチド)、又は他の点で重要である(例えば、植物性化学物質)他の食事構成成分を、栄養製品及び栄養組成物において提供してもよい。
【0094】
[0092]栄養組成物を、既存の医学的状態を有する個体、又は医学的状態を発症する危険性のある個体に投与してもよい。上記で論じた通り、医学的状態は、例えば、脳性麻痺、発育不全、神経筋障害、脳損傷、発育遅延、免疫不全症、低骨密度、圧迫潰瘍、慢性創傷、又はこれらの組合せを含む。栄養組成物は、ヒト又は動物などのあらゆる哺乳動物のためにデザインされた製剤であり得る。一実施形態において、栄養組成物は経管栄養製剤である。
【0095】
[0093]一実施形態において、本栄養組成物はあらゆる患者集団に投与することができるが、栄養組成物は、上記で言及した医学的状態のいずれかを有し、又は発症する危険性のある小児患者に投与される。様々なクラスの小児患者に対して年齢範囲は幅広く変化してもよい。本明細書で用いられる「幼児」は、年齢2歳〜5歳の範囲である小児患者であるとみなされる。幼児の体重は約30kg〜約45kgの範囲であってもよい。幼児は体重約36kgでもよい。本明細書で用いられる「小児」は、年齢5歳〜8歳の範囲である小児患者であるとみなされる。小児の体重は約50kg〜約60kgの範囲であってもよい。小児は体重約55kgでもよい。本明細書で用いられる「前思春期若年者(pre−adolescent)」は、年齢8歳〜13歳の範囲である小児患者であるとみなされる。プレティーン(pre−teen)の体重は約80kg〜約85kgの範囲であってもよい。プレティーンは体重約88kgでもよい。
【0096】
[0094]本主要栄養素の配給の利点は、成長は支持し、過剰な体重増加、中心性肥満の増加、及び付随する負の健康効果は最小にすることである。中心性肥満はインスリン抵抗性及び軽度の炎症に関連しており、したがって、身体活動性の低い成長中の小児に、低エネルギー、高タンパク質食を提供することでインスリン抵抗性を防止するのが可能であり、したがってより効率的なインスリン活性、したがって同化作用が許容される。高タンパク質食は、成長ホルモンなどのタンパク同化ホルモンの分泌を変調することが示されている。Clarkeら、Effect of high−protein feed supplements on concentrations of growth hormone(「GH」)、insulin−like growth factor−I (「IGF−I」) and IGF−binding protein−3 in plasma and on the amounts of GH and messenger RNA for GH in the pituitary glands of adult rams、J.Endocrinol.、138巻(3)、421〜427頁(1993年)を参照されたい。J.R.Huntら、Dietary protein and calcium interact to influence calcium retention:a controlled feeding study、Am.J.Clin.Nutr.、89巻(5)、1357〜1365頁(2009年)も参照されたい。G.Blanchardら、Rapid weight loss with a high−protein low−energy diet allows the recovery of ideal body composition and insulin sensitivity in obese dogs、J.Nutr.、134巻(追補8)、2148S〜2150S頁(2004年)も参照されたい。
【0097】
[0095]成長ホルモン軸は人生の後期において慢性疾患に関連することが示されているので、これらの利点は急速な成長の間は特に重要である。したがって、成長ホルモン軸(IGF−1を含む)の変調は、短期及び後年の両方において患者の臨床上の結果に有益である。これは生活の質だけでなく、前向きの医療経済学的結果においても著しい改善をまねくことができる。J.M.Kerverら、Dietary predictors of the insulin−like growth factor system in adolescent females:results from the Dietary Intervention Study in Children(DISC)、Am.J.Clin.Nutr.、91巻(3)、643〜650頁(2010年)を参照されたい。
【0098】
[0096]栄養組成物は、ボーラス又は継続的な経管栄養として投与してもよい。一実施形態において、ボーラスは摂食の場合に対する生理学的反応を最大にするので、経管栄養をボーラスとして投与する。この方法は、各摂食時に濃縮された用量のタンパク質が送達されるため、小児集団に完全な栄養を提供するものである。この濃縮されたタンパク質の提供は、血漿のアミノ酸(例えば、ロイシン)を増大し、タンパク質合成を刺激し、正味の正のタンパク質バランスを達成するのに不可欠である。この摂食後のタンパク同化状態は、徐脂肪体重の自然増加及び骨の線形成長(骨密度の自然増加)によって成長を最適化するのに必要とされる。このメカニズムは上記で言及した血清ロイシンの増大、並びに筋骨格の発達(したがって、内臓脂肪の蓄積の低減をもたらす)のための基質の取込み及び生物利用の増大をもたらすインスリン−IGF−1−GH軸の刺激を含めたタンパク同化性の内分泌反応に関連する。一実施形態において、本栄養組成物の完全な摂食は、1〜13歳である小児患者に対して約1000mlである。13歳を超える小児及び成人は、このようなフォーミュラから恩恵を受けることがあるが、多量栄養組成物の必要性と一緒にカロリー所要量を評価して、栄養の最適な送達を確実にしなければならない。
【0099】
[0097]生理学的な摂食はまた、成長する小児の食事に多様性を導入することも含んでいる。この発想には、朝食、昼食、夕食、おやつのパターンに類似するボーラスの摂食が含まれており、ボーラスの摂食において、経腸製剤は、様々な、混合された、循環するメニューの食事を代表する食品成分の多様性を含むようにデザインされている。メニューのサイクルにおける食品の多様性は、民族食品を含め、一方で様々な果実、野菜、ハーブ、又はスパイスからの製品の植物栄養素のプロファイルを増強することによってさらに多様化され得る。このレジメンは基本的な栄養素を超える本物の食品の利点を組み入れ、健康上の利点のある植物性化学物質及び動物性化学物質の供給源を提供することができる。利点には、それだけには限定されないが、インスリン抵抗性の低減をもたらす強力な酸化ストレスの変調、したがって徐脂肪体重の増加をもたらす生物利用の増大、並びに最適な線形成長及びより高品質の骨量の増加をもたらす正味の酸の排泄の緩衝が含まれる。
【0100】
[0098]一実施形態において、本開示の経管栄養製剤は、ホールフード、又は実際の食品の成分を含む。ホールフードは、よく認識された主要栄養素、ビタミン、及びミネラルに加えて有益な食品構成成分を含んでいる。これらの食品構成成分のうちいくつかは植物性化学物質及びヌクレオチドを含んでおり、植物性化学物質及びヌクレオチドは、長期の経管栄養の食事を常食とする患者にいくつかの利点をもたらす。
【0101】
[0099]植物性化学物質は、他の食品の中でも多くの果実及び野菜において見出される非栄養性の化合物である。植物性化学物質は何千と存在し、一般に3つの主なグループに分類することができる。第1のグループはフラボノイド及び類似フェノール化合物、並びにポリフェノール化合物である。第2のグループは、テルペノイド、例えば、カロテノイド及び植物ステロールである。第3のグループは、アルカロイド、及び硫黄含有化合物である。植物性化学物質は身体において活性であり、一般に、抗酸化剤と同様に作用する。植物性化学物質は、炎症のプロセス、血栓形成、喘息、及び糖尿病において有益な役割を果たすとも考えられる。研究者らは、植物性化学物質の摂取から最も恩恵を受けるために、複雑な、天然の組合せ、及び潜在的な相乗効果のために、植物性化学物質をホールフードの部分として摂取しなければならないと理論化している。これは、果実及び野菜の全体を摂取することに付随する健康上の利点を部分的に説明することができる。果実及び野菜の摂取量の増大は、多くの慢性疾患の危険性の低減に関連する。本栄養組成物の植物性化学物質のプロファイルを増強するために、一実施形態において、組成物は、これらの化合物を含有する様々な果実及び野菜を含んでいる。
【0102】
[00100]アデノシン三リン酸及び関連分子の成分として、ヌクレオチドはやはりエネルギー代謝に必要である。ヌクレオチドに対する需要は、腸及び免疫細胞などの細胞の代謝回転の速やかな組織において最も高い。ヌクレオチドは食事の摂取によって、及びサルベージ経路によっても得ることができる。ヌクレオチドの内因性の合成は、高エネルギーを必要とするプロセスであるが、健康な個体において十分であると考えられる。しかし、外因性の(食事の供給源の)ヌクレオチドの必要性が、腸の傷害、敗血症、及び免疫チャレンジなどの、成長又はストレスの場合の間に生じる。Kulkarniら、The Role of Dietary Sources of Nucleotides in Immune Function:A Review、J.Nutr.、1442S〜1446S頁(1994年)を参照されたい。長期の経管栄養を常食とする集団のいくつかのセグメント(高齢、小児集団、座りがち、寝たきり、及び創傷のあるもの)は、外因性のヌクレオチドから特に恩恵を受け得る。長期の経管栄養患者に共通する活動性の低下又は座りがちの生活様式は、免疫機能の損傷及び腸の機能における変質に関連する。
【0103】
[00101]内因性の合成がヌクレオチドの主な供給源を構成するが、ヌクレオチドは、例えば、動物タンパク質、エンドウマメ、酵母菌、マメ、及び乳を含めた動物及び植物起源の食品全てにおいて天然に存在する核タンパク質の形態でも得ることができる。さらに、食品中のRNA及びDNAの濃度は細胞密度に依存する。したがって、肉、魚、及び種子は、乳、卵、及び果実よりもヌクレオチド含量が高い。その結果、内臓肉、新鮮な水産物、及び乾燥したマメ科植物は豊富な食品源である。しかし、経管栄養はデザインによって高度に精錬され、ヌクレオチドを含んでいない。したがって、正常な腸及び免疫の機能における潜在的な変質を正すためにヌクレオチドが加えられている。
【0104】
[00102]上記で言及した通り、また骨に特異的な効果の他に、ヒトの相関関係のデータは、果実及び野菜を食事から摂取すると、代謝恒常性の調節を助けることができる正味のアルカリ性の環境を支持することを示唆している。この正味のアルカリ性状態は、少なくとも高齢の個体において、徐脂肪体重の維持の増強に関連している。Dawson−Hughes Bら、Alkaline diets favor lean tissue mass in older adults、Am.J.Clin.Nutr.、3月、87巻(3)、662〜5頁(2008年)を参照されたい。このように、完全栄養フォーミュラにおけるリン(P)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)、及びカルシウム(Ca)を操作すると、内因性の骨格筋のタンパク質分解をさらに最小にし、徐脂肪体重を維持するための正味のアルカリの生成の増強に寄与することができる。
【0105】
[00103]細胞のエネルギーチャージは、細胞がタンパク同化又は異化のプロセスのいずれかに有利な重要なコントロールとして提唱されている。細胞のエネルギーチャージは、エネルギーチャージ=(ATP+1/2ADP)/(ATP+ADP+AMP)と規定される[式中、ATP、ADP、及びAMPはそれぞれ、アデノシン−5’−三リン酸、アデノシン−5’−二リン酸、及びアデノシン−5’−一リン酸を意味する]。代謝ストレス、栄養のストレス、又はこの両方とも、アデニレートプールからのヌクレオチドの喪失をもたらすことがあり、これらの条件下で条件付で不可欠となる。細胞のエネルギーチャージの維持は、タンパク質の分解を含む、代謝ストレス、栄養ストレス、又はこの両方に起因する異化プロセスの上方制御を減弱し得る。
【0106】
[00104]AMPプロテインキナーゼ(「AMPK」)は、利用可能なエネルギーに基づく細胞のプロセスの優先順位付けのために、ATP/AMP及びクレアチンリン酸/クレアチン(「PCr」/「Cr」)の変化率に反応する細胞エネルギーチャージセンサーとして働くタンパク質である。特に、AMPKは、骨格筋タンパク質合成の翻訳コントロールを標的とし、ユビキチンのプロテオソーム(proteosome)経路を上方制御することができる。
【0107】
[00105]さらに、ヌクレオチドは、創傷部位の感染に対する抵抗性を改善することによって、圧迫潰瘍の栄養上の管理において有益であり得る。ヌクレオチドを習慣的に補給すると、生理学的ストレスに付随するホルモンの反応に対抗し、免疫反応の増強をもたらすことがある。
【0108】
[00106]齧歯動物モデルにおけるリンパ球の機能及び細胞の免疫に対する食事性ヌクレオチドの影響に対する大規模な実験も行われている。食事性ヌクレオチドが非存在であると、特異的及び非特異的な免疫反応を著しく低減することを断言する証拠が存在する。所見には、分裂促進因子に反応したリンパ球の成熟及び増殖の低減、細菌及び真菌の感染に対する抵抗性の低減、並びに同種移植の生存の増大が含まれる。
【0109】
[00107]リンパ球の分化及び増殖は、特定のヌクレオシドによって刺激されることがあり、次にヌクレオチドの代謝はリンパ球の活性化及び機能の段階によって影響を受けることがある。さらに、プリン及びピリミジンの新規合成及び再利用が、刺激されたリンパ球において増大する。これを支持して、未分化のT細胞に対して確立されたマーカーである、末端のデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(「TdT」)が、ヌクレオチドを欠く食事を摂食させた齧歯動物の未分化の骨髄及び胸腺細胞において同定されている。
【0110】
[00108]ヌクレオチドフリー食を常食とする齧歯動物のin vitro及びin vivoの研究は、細胞媒介性免疫反応の抑制を実証している。ヌクレオチドフリーの宿主からの脾リンパ球により、分裂促進因子に反応した増殖における著しい低減、インターロイキン−2(「IL−2」)生成の低減、並びに低レベルのIL−2受容体及びLyt−1表面マーカーが証明された。IL−2はリンパ球に対する増殖因子であり、Lyt−1はヘルパー−インデューサーT細胞免疫のマーカーである。皮膚過敏症の遅れもまた、より低かった。
【0111】
[00109]これらの反応は、RNA又はウラシルを加えることで大幅に逆転し、ピリミジンに対する重大な役割及び/又はピリミジンの再利用に対する限られた能力を示唆していた。さらに、食事性ヌクレオチドは、カロリー及びタンパク質単独よりもタンパク質−カロリーの栄養不良に二次的である免疫反応の喪失を逆転することが示された。しかし、この逆転はピリミジンに限定された。
【0112】
[00110]細菌及び真菌の感染におけるヌクレオチドの役割の調査により、抵抗性の増大も明らかになっている。ヌクレオチド含有食を常食とする齧歯動物は、ヌクレオチドフリー食を常食とする齧歯動物に比べて、スタフィロコッカス・オーレウス(Staphylococcus aureus)の静脈内チャレンジに対して著しい抵抗性を実証した。スタフィロコッカス・オーレウスを貪食する能力の低下が観察された。さらに、ヌクレオチドフリー食を常食とする齧歯動物において、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)を同様にチャレンジした後、生存時間の低減が観察された。アデニンではなく、RNA又はウラシルを加えると生存時間を増大することが示された。
【0113】
[00111]ヌクレオチドフリー食の免疫抑制効果は、齧歯動物における心臓同種移植の生存の延長、及びシクロスポリンAの相乗的な免疫抑制ももたらしている。これらの所見は、Tヘルパー細胞の数及び機能に対する影響を証明している。これらの所見を説明するのに、様々な作用機序が提唱されている。外因性のヌクレオチドを制限すると、一次リンパ器官におけるTdTのレベルの増大によって証明されるTヘルパー−インデューサーに対する作用によって、抗原のプロセシング及びリンパ球の増殖の最初の段階に影響を及ぼすと考えられている。これは、中立のTリンパ球反応の抑制も示唆している。また、ヌクレオチドを制限すると、細胞周期のG期におけるTリンパ球の停止を引き起こし、したがって必要な免疫学的シグナルを誘発するためのリンパ球のS期への転移を阻害し得る。ヌクレオチドの制限はまた、ナチュラルキラー(「NK」)細胞の細胞溶解活性を低減し、マクロファージの活性を低減することもある。
【0114】
[00112]食事又は外因性のヌクレオチドは、Tヘルパー細胞媒介性の抗体生成も変調することがある。体液性免疫反応に対するヌクレオチドの作用を調査する試験の再考は、in vitro及びin vivoの動物モデルにおける効果、並びにヒト系におけるin vitroの作用を特定した。T細胞依存性抗原で抗原刺激した齧歯動物脾細胞におけるin vitroの所見は、酵母菌のRNA含有培養物における抗体生成細胞の数における著しい増大を示した。正常の系統にRNAを加えると同様の結果が実証され、T細胞の枯渇によって無効にされた。このように、抗体は、T細胞非依存性の抗原又はポリクローナルB細胞の活性化に反応して増大しなかった。酵母菌RNAの特異的な抗体反応はヌクレオチドに起因するものであった。
【0115】
[00113]免疫グロブリンの生成が、T細胞依存性抗原及び刺激に反応してin vitroの成人ヒト末梢血単核細胞を増大することも示されている。特に、これは免疫グロブリンM(「IgM」)及び免疫グロブリンG(「IgG」)の生成の増大に関与する。IgMの生成は、T細胞依存性の刺激にも反応して、機能的に未成熟な臍帯単核細胞において増大した。
【0116】
[00114]したがって、ヌクレオチド欠乏の状態において、組み入れられた食事性ヌクレオチドは、in vivoで同様の免疫効果を潜在的に発揮し得る。T細胞依存性抗原に対する抗体の反応は、長期間ヌクレオチド食に維持した齧歯動物において抑制され、ヌクレオチドを補給すると免疫機能は速やかに回復した。しかし、補給に用いた混合物は、局所的な、特異的な免疫反応に対するヌクレオチドの効果を示唆する抗原依存性抗原に対するin vitroの抗体生成に対して、効果を示さなかった。さらに、抗原特異的な免疫グロブリン分泌細胞の数の著しい増大が、ヌクレオチド存在下の齧歯動物脾細胞において観察された。AMP、GMP、又はUMPを加えると、齧歯動物においてIgG反応の増大ももたらした。GMPはIgM反応を増大することも示された。ヌクレオチドを補給したフォーミュラに対する早期産児における研究により、生後3ヶ月におけるIgM及びIgAの循環レベルの増大、並びに生後1ヶ月におけるα−カゼイン及びβ−ラクトグロブリンに対して特異的なIgG濃度がより高いことが明らかになった。低反応の抗原に対する特異的なIgGレベルも、食事性のヌクレオチド含有フォーミュラを投与されている正常の乳児においてやはり増大することがある。
【0117】
[00115]機構的に、in vitro及びin vivoの観察は、抗原提示時のT−ヘルパー細胞に対するヌクレオチドの効果、T細胞の細胞表面分子との相互作用による変調、抗原刺激に反応したT細胞の非特異的な活性の抑制、及び休止のT細胞によって媒介される特異的な抗体反応の増大を伴うと考えられている。したがって、食事性ヌクレオチドは、B細胞反応に主に関与するT−ヘルパー−2細胞へのT細胞の分化のバランスを支持することがある。このように、ヌクレオチド及び植物性化学物質が、あらゆる上記に言及した状態を有する患者に対していくつかの生理学的利点を示し得ることは明らかである。
【0118】
[00116]当業者であれば、果実及び野菜が植物性化学物質及び/又はヌクレオチド源である限り、任意の知られている果実及び野菜を、本栄養組成物において用いることができることを理解されよう。さらに、当業者であれば、上記に記載した利点を実現するために十分な量の植物化学物質及び/又はヌクレオチドを患者に提供するのに有効な任意の量の果実及び又は野菜を提供することができることも理解されよう。
【0119】
[00117]知られている果実及び野菜は少量のヌクレオチドを提供することがあるが、ヌクレオチドに由来する主な利点は外因性のヌクレオチドのさらなる供給源を加えることによって得られる。一実施形態において、ある種の肉が外因性のヌクレオチド源として役立つことがある。例えば、本開示の栄養組成物は、少なくとも約10mg/100kcalの量のヌクレオチドを含む。一実施形態において、栄養組成物は、約13mg/100kcal〜約19mg/100kcalのヌクレオチドを含む。一実施形態において、栄養組成物は約16mg/100kcalのヌクレオチドを提供する。一実施形態において、果実及び野菜はヌクレオチドの唯一の供給源である。一実施形態において、果実及び野菜はヌクレオチドの部分的な供給源である。
【0120】
[00118]同様に、本開示の栄養組成物は植物性化学物質の供給源として果実及び野菜を含む。一実施形態において、栄養組成物は有効量の植物性化学物質を含む。
【0121】
[00119]本栄養組成物中に含まれる果実には、それだけには限定されないが、リンゴ、バナナ、ココナツ、洋ナシ、アンズ、モモ、ネクタリン、スモモ(plum)、サクランボ、ブラックベリー、ラズベリー、クワの実(mulberry)、イチゴ、クランベリー、ブルーベリー、ブドウ、グレープフルーツ、キーウイ、ルバーブ、パパイヤ、メロン、スイカ、ザクロ、レモン、ライム、マンダリン、オレンジ、タンジェリン、グアバ、マンゴ、パイナップルなどの任意の知られている果実が含まれ得る。同様に、野菜には、それだけには限定されないが、藻類、アマランス、キバナスズシロ(arugula)、ブリュッセルスプラウト(brussels sprout)、キャベツ、セロリレタス、赤チコリ(radicchio)、オランダガラシ、ホウレンソウ マッシュルーム、サヤインゲン、グリーンピース、マメ、トマト、ビート(beet)、ニンジン、バレイショ、ラディッシュ、カブカンラン(rutabaga)、海藻、カブ(turnips)などの任意の知られている野菜が含まれ得る。
【0122】
[00120]上記に言及した通り、本開示による栄養組成物は大量のタンパク質を有する。大量のタンパク質は、タンパク同化性の機能を支持し、徐脂肪体重を維持し、栄養の妥当性を維持するのに必要とされる。一実施形態において、栄養組成物はタンパク質源を含む。タンパク質源は、それだけには限定されないが、動物タンパク質(例えば、乳タンパク質、肉タンパク質、若しくは卵タンパク質)、植物タンパク質(例えば、ダイズタンパク質、コムギタンパク質、コメタンパク質、及びエンドウマメタンパク質)、又はこれらの組合せを含めた食事性タンパク質であってもよい。一実施形態において、タンパク質は、乳清、鶏肉、トウモロコシ、カゼイン塩、コムギ、亜麻、ダイズ、イナゴマメ、エンドウマメ、又はこれらの組合せからなる群から選択される。別の一実施形態において、タンパク質は、エンドウマメタンパク質、又はエンドウマメタンパク質分離物である。
【0123】
[00121]一実施形態において、フォーミュラの正味のアルカリ性のプロファイルをさらに増強し、多量栄養組成物の供給源の多様性を増大し、又は本物の食事を模倣し、一方で成長及び発達を支持するのに不可欠な栄養所要量を提供する高品質のタンパク質ブレンドを送達するために、野菜タンパク質が含まれる。特定の野菜タンパク質(例えば、エンドウマメのタンパク質分離物)の栄養上のプロファイルに基づき、フォーミュラ中に含まれ得る野菜タンパク質源の量における限界が存在する。例えば、エンドウマメのタンパク質のアミノ酸プロファイルは、不可欠アミノ酸を全て含んでいる。エンドウマメのタンパク質は比較的アルギニンに富んでいるが、硫黄含有アミノ酸であるメチオニン、及びシステインは限定的である。しかし、例えば、エンドウマメのタンパク質の分離物を、このような欠乏を相殺するのに十分な硫黄含有アミノ酸を有する完全なタンパク質源(例えば、乳タンパク質又は完全な野菜タンパク質)とブレンドすることが可能である。カノーラタンパク質(即ち、分離物、加水分解物、及び濃縮物)は、必要なタンパク質の品質を患者に送達するためのアミノ酸プロファイルをさらに増大するのに相当量の硫黄含有アミノ酸を提供することができる、そのような1つの野菜タンパク質である。さらに、動物由来のタンパク質は、野菜タンパク質よりも硫黄含有アミノ酸が豊富であるのが典型的である。さらに、経管栄養に付随する粘性の制限に対する可能性、及び必要な栄養価のタンパク質を維持する必要性を考慮すると、フォーミュラは、野菜源に由来するタンパク質を約10〜50%含むことができる。
【0124】
[00122]当業者であれば、本栄養組成物のタンパク質含量は、典型的な長期の経管栄養製剤よりも高くなければならないことを理解されよう。例えば、男性及び女性両方に対するタンパク質の栄養所要量(Recommended Dietary Allowance)(「RDA」)は、0.80g上質のタンパク質/kg体重/日であり、利用可能な窒素バランス研究の入念な分析に基づくものである。National Academy of Sciences,Institute of Medicine,Food and Nutrition Board,Dietary Reference Intakes for Energy,Carbohydrate,Fiber,Fat,Fatty Acids,Cholesterol,Protein,and Amino Acids(Macronutrients)、チャプター10(2005年)を参照されたい。一実施形態において、本組成物は、約1.0g/kg体重/日〜2.5g/kg体重/日からの量のタンパク質を患者に提供する。別の一実施形態において、本組成物は、約1.5g/kg体重/日〜2.0g/kg体重/日の量のタンパク質を患者に提供する。したがって、本組成物は、男性及び女性に対してタンパク質のRDAのほぼ2倍である量のタンパク質を患者に提供することができる。
【0125】
[00123]一実施形態において、1日あたり約10%〜約30%のタンパク質由来エネルギーを提供する量のタンパク質を提供する。別の一実施形態において、1日あたり約18%〜約35%のタンパク質由来エネルギーを提供する量のタンパク質を提供する。別の一実施形態において、1日あたり約15%〜約25%のタンパク質由来エネルギーを提供する量のタンパク質を提供する。当業者であれば、患者の体重に応じて、患者に提供すべきタンパク質からの所望量のエネルギーに応じて、1日あたり患者に投与されるタンパク質の量は変化し得ることを理解されよう。例えば、1日あたり患者に投与されるタンパク質の量は約20g〜約110gの範囲であってもよい。一実施形態において、1日あたり患者に投与されるタンパク質の量は約27g〜約105gの範囲であってもよい。以下に提供する実施例は、患者の体重及び患者に提供するべきタンパク質からの所望の量のエネルギーに応じて、どのくらいの量のタンパク質を算出することができるかをさらに説明するものである。
【0126】
[00124]上記で論じた通り、本開示の栄養組成物は、患者に適切な栄養組成物を提供するが、患者の健康を損なわずに(例えば、筋骨格の感染症、創傷の回復、代謝など)体重増加を管理するために、低カロリー(例えば、食事のカロリーの数字が低いことを特徴とする)でなければならない。低カロリー食は通常1000kcal/日〜1200kcal/日の間を提供するのが典型的である。低カロリー食は、体重1キログラムあたり提供されるエネルギーによっても規定することができる。例えば,20kcal/kg理想体重/日未満を成人における低カロリーとみなすことができる。Dickersonら、Hypocaloric Enteral Tube Feeding in Critically Ill Obese Patients, Nutrition、18巻、241頁(2002年)を参照されたい。Hypocaloric Enteral Tube Feeding in Critically Ill Obese Patients。低カロリー食及び低カロリーフォーミュラは2つの異なる概念である可能性があるので、これらの記載は紛らわしいことがある。例えば、標的集団の食事エネルギー所要量は、およそ600kcal/d〜1200kcal/dであることがある。ESPENガイドラインは、「低エネルギーフォーミュラ」は0.9kcal/mL未満のものとして規定している。本栄養組成物は、約0.3kcal/ml〜約1.0kcal/mlの範囲のカロリー密度を有することができる。一実施形態において、栄養組成物は、約0.5kcal/ml〜約0.8kcal/mlのカロリー密度を有する。
【0127】
[00125]重量モル浸透圧濃度は、溶媒1kgあたりの溶質のオスモルの尺度である(osmol/kg又はOsm/kg)。別の一実施形態において、本栄養組成物は、400mOsm/kg水以下の重量モル浸透圧濃度を有することができる。別の一実施形態において、本栄養組成物は、380mOsm/kg水以下の重量モル浸透圧濃度を有する。
【0128】
[00126]一実施形態において、栄養組成物はクルクミンも含む。クルクミンは、スパイスであるターメリック(クルクマロンガ(curcuma longa))の成分であり、カレーの黄色のもととなっている。クルクミンは、抗炎症、抗酸化、及び抗タンパク質分解の性質を保有することが特に示されている。徐脂肪体重における深刻な減少を経験している長期の経管栄養の小児患者に関して、クルクミンは骨格筋のタンパク質分解のいくらかの軽減をもたらすことがある。重要なことに、クルクミンは核因子−
Kβ(NF−
Kβ)の上方制御に拮抗し、この遺伝子は複雑に結びついて、負荷軽減の条件の間、骨格筋萎縮の誘発を担う細胞間シグナル伝達カスケードを開始させる。Hunterら、Disruption of Either the Nfkb1 or the Bcl3 Gene Inhibits Skeletal Muscle Atrophy、J.Clin.Invest.、114巻(10)、1504〜11頁(2004年)を参照されたい。
【0129】
[00127]本開示の栄養組成物は炭水化物源も含むことができる。それだけには限定されないが、ショ糖、ラクトース、グルコース、フルクトース、コーンシロップ固形、マルトデキストリン、加工デンプン、アミロースデンプン、タピオカデンプン、トウモロコシ、又はこれらの組合せを含めた任意の適切な炭水化物を本栄養組成物において用いることができる。全エネルギーの約40%〜約60%を提供するのに十分な量の炭水化物を提供することができる。一実施形態において、栄養組成物の全エネルギーの約50%〜約55%を提供するのに十分な量の炭水化物を提供する。
【0130】
[00128]栄養組成物は穀物も含むことができる。穀物は、例えば、様々な供給源から得ることができる全粒を含むことができる。様々な供給源は、セモリナ、トウモロコシ、グリット、小麦粉、及び微粉化した穀物(微粉化した小麦粉)を含むことができ、穀類(cerial)又は擬穀類(pseudo−cereal)起源であってもよい。一実施形態において、穀物は加水分解された全粒成分である。本明細書で用いられる「加水分解された全粒成分」は、酵素消化された全粒成分、又は少なくともαアミラーゼを用いることによって消化された全粒成分であるが、αアミラーゼは活性状態である場合には食物繊維に対して加水分解活性を示さない。加水分解された全粒成分はプロテアーゼを使用することによってさらに消化することができるが、プロテアーゼは活性状態である場合には食物繊維に対して加水分解活性を示さない。加水分解された全粒成分は、液体、濃縮物、粉末、ジュース、ピューレ、又はこれらの組合せの形態において提供することができる。
【0131】
[00129]脂肪源も本栄養組成物中にやはり含まれ得る。脂肪源は任意の適切な脂肪又は脂肪混合物を含むことができる。例えば、脂肪源には、それだけには限定されないが、植物性脂肪(例えば、オリーブ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、高オレイン酸のヒマワリ油、アブラナ油、カノーラ油、ヘーゼルナッツ油、ダイズ油、ヤシ油、ココナツ油、クロフサスグリ(blackcurrant)種子油、ルリジサ(borage)油、レシチンなど)、動物性脂肪(例えば、乳脂肪、)、又はこれらの組合せが含まれ得る。脂肪源は上記に列挙した脂肪のあまり精製されていないバージョンであってもよい(例えば、ポリフェノール含量に対するオリーブ油)。全エネルギーの約20%〜約40%を提供するのに十分な量の脂肪を提供することができる。一実施形態において、栄養組成物の全エネルギーの約25%〜約35%を提供するのに十分な量の脂肪を提供することができる。
【0132】
[00130]一実施形態において、栄養組成物は、1つ又は複数のプレバイオティクスをさらに含む。プレバイオティクスの非限定的な例には、アラビアゴム、αグルカン、アラビノガラクタン、βグルカン、デキストラン、フラクトオリゴ糖、フコシルラクトース、ガラクトオリゴ糖、ガラクトマンナン、ゲンチオオリゴ糖、グルコオリゴ糖、グアーゴム、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、ラクトネオテトラオース、ラクトスクロース、ラクツロース、レバン、マルトデキストリン、乳オリゴ糖、部分的に加水分解されたグアーゴム、ペクチンオリゴ糖、難消化性デンプン、老化デンプン、シアロオリゴ糖、シアリルラクトース、ダイズオリゴ糖、糖アルコール、キシロオリゴ糖、これらの加水分解物、又はこれらの組合せが含まれる。
【0133】
[00131]栄養組成物は、1つ又は複数のプロバイオティクスをさらに含むことができる。プロバイオティクスの非限定的な例には、アエロコッカス属、アスペルギルス属、バクテロイデス属、ビフィドバクテリウム属、カンジダ属、クロストリジウム属、デバロミセス属、エンテロコッカス属、フゾバクテリウム属、ラクトバシラス属、ラクトコッカス属、ロイコノストック属、メリソコッカス属、ミクロコッカス属、ムコール属、オエノコッカス属、ペディオコッカス属、ペニシリウム属、ペプトストレポコッカス属、ピキア属、プロピオニバクテリウム属、シュードカテヌラツム属、リゾプス属、サッカロミセス属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、トルロプシス属、ワイセラ属、又はこれらの組合せが含まれる。
【0134】
[00132]1つ又は複数のアミノ酸も栄養組成物中に存在することができる。アミノ酸の非限定的な例には、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシセリン、ヒドロキシチロシン、ヒドロキシリジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、又はこれらの組合せが含まれる。
【0135】
[00133]栄養組成物は1つ又は複数のシンバイオティクス、及び/又は魚油の脂肪酸成分をさらに含むことができる。魚油の脂肪酸成分の非限定的な例には、ドコサヘキサエン酸(「DHA」)、エイコサペンタエン酸(「EPA」)、又はこれらの組合せが含まれる。脂肪酸成分の他の非限定的な供給源には、オキアミ、オメガ3の植物源、亜麻仁、ウォールナッツ、及び藻類が含まれる。
【0136】
[00134]1つ又は複数の抗酸化剤も栄養組成物中に存在することができる。抗酸化剤の非限定的な例には、アスタキサンチン、カロテノイド、コエンザイムQ10(「CoQ10」)、フラボノイド、グルタチオン ゴジ(ウルフベリー)、ヘスペリジン、ラクトウルフベリー、リグナン、ルテイン、リコペン、ポリフェノール、セレン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ゼアキサンチン、又はこれらの組合せが含まれる。約500IU/L〜約1500IU/Lの量の抗酸化剤を、本栄養組成物において提供することができる。一実施形態において、約1000IU/Lの量の抗酸化剤を提供する。
【0137】
[00135]栄養組成物は、繊維、又は様々なタイプの繊維のブレンドも含む。繊維のブレンドは、可溶性繊維及び不溶性の繊維の混合物を含むことができる。可溶性繊維は、例えば、フラクトオリゴ糖、アラビアゴム、イヌリンなどを含むことができる。不溶性繊維は、例えば、エンドウマメ外皮繊維を含むことができる。
【0138】
[00136]本開示の実施形態において、完全1日栄養補給経管栄養組成物を作製する方法を提供する。方法は、ホールフード成分、ビタミン源又はミネラル源、及び約18%〜約35%の量のタンパク質由来エネルギーを提供するタンパク質源を合わせて混合物を形成するステップを含む。方法は、混合物を加工して完全1日栄養補給である経管栄養組成物を形成するステップをさらに含む。加工するステップは、混和又は液化を含むことができ、ホールフード成分は植物化学物質及び/又はヌクレオチド源であってもよい。ホールフード成分は、果実、野菜、肉、穀物、又はこれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0139】
[00137]さらに別の一実施形態において、本開示は、長期の経管栄養患者を含めた基礎疾患を有する、経管栄養小児患者の全般的な健康を改善する方法を提供する。方法は、基礎疾患を有する経管栄養小児患者に、加工されたホールフード成分と、ビタミン源又はミネラル源と、約18%〜約35%のタンパク質由来エネルギーを提供するタンパク質源とを有する低カロリーの完全毎日摂食用経管栄養製剤を投与するステップを含む。基礎疾患は、脳性麻痺、発育不全、神経筋障害、脳損傷、発育遅延、免疫不全症、低骨密度、圧迫潰瘍、慢性創傷、又はこれらの組合せであってもよい。
【0140】
[00138]さらにまた別の一実施形態において、本開示は、肥満を処置及び/又は防止し、或いは長期の経管栄養小児患者における過剰の体脂肪量の増加を最小にする方法を提供する。方法は、肥満であり、又は肥満になる危険性のある経管栄養小児患者に、加工されたホールフード成分と、ビタミン源又はミネラル源と、エネルギーの約18%〜約35%をタンパク質から提供するタンパク質源とを含む低カロリーの完全1日栄養補給経管栄養製剤を投与するステップを含む。
【0141】
[00139]別の一実施形態において、本開示は、経管栄養小児患者における正常な成長を促進する方法を提供する。方法は、加工されたホールフード成分と、ビタミン源又はミネラル源と、エネルギーの約18%〜約35%をタンパク質から提供するタンパク質源とを含む低カロリーの完全1日栄養補給経管栄養製剤を、それを必要とする経管栄養小児患者に投与するステップを含む。
【0142】
[00140]さらに別の一実施形態において、本開示は経管栄養小児患者における代謝恒常性を維持する方法を提供する。方法は、加工されたホールフード成分と、ビタミン源又はミネラル源と、エネルギーの約18%〜約35%をタンパク質から提供するタンパク質源とを含む低カロリーの完全1日栄養補給経管栄養製剤を、それを必要とする患者に投与するステップを含む。
【0143】
[00141]さらにまた別の一実施形態において、本開示は抗てんかん薬物療法を採用する経管栄養小児患者における骨の健康を改善する方法を提供する。方法は、抗てんかん薬物療法を採用する経管栄養小児患者に、加工されたホールフード成分と、製剤1リットルあたり若しくは600kcalあたり少なくとも500IUのビタミンDを提供するビタミンD源と、エネルギーの約18%〜約35%をタンパク質から提供するタンパク質源とを含む低カロリーの完全1日栄養補給経管栄養製剤を投与するステップを含む。
【0144】
[00142]別の一実施形態において、経管栄養小児患者に対する医療費を低減する方法を提供する。方法は、加工されたホールフード成分と、ビタミン源又はミネラル源と、1日あたりエネルギーの約18%〜約35%をタンパク質から提供するタンパク質源とを含む低カロリーの完全1日栄養補給経管栄養製剤を提供するステップを含む。方法は、医療を必要とする基礎疾患を有する経管栄養小児患者に経管栄養製剤を投与するステップをさらに含む。経管栄養製剤の投与により、患者の基礎疾患は改善される。一実施形態において、基礎疾患は、脳性麻痺、発育不全、神経筋障害、脳損傷、発育遅延、長期の床上安静、固定、対麻痺/四肢麻痺、免疫不全症、低骨密度、圧迫潰瘍、慢性創傷、又はこれらの組合せからなる群から選択される。
【0145】
[00143]さらにまた別の一実施形態において、小児の全般的な健康を改善する方法を提供する。方法は、小児に加工されたホールフード成分と、ビタミン源又はミネラル源と、1日あたり体重1kgあたり約1.6g〜約3.6gのタンパク質を提供するタンパク質源とを含む経管栄養製剤を投与するステップを含み、製剤は1日あたり約900kcal〜約1100kcalを小児に提供する。タンパク質源は、体重1kgあたり約1.8gのタンパク質、又は体重1kgあたり約3.5gのタンパク質を提供することができる。製剤は、小児に、1日あたり約1000kcalを提供することができる。
【0146】
[00144]別の一実施形態において、前思春期若年者の全般的な健康を改善する方法を提供する。方法は、前思春期若年者に加工されたホールフード成分と、ビタミン源又はミネラル源と、1日あたり体重1kgあたり約1.25g〜約2.75gのタンパク質を提供するタンパク質源とを含む経管栄養製剤を投与するステップを含み、製剤は1日あたり約1100kcal〜約1300kcalを前思春期若年者に提供する。タンパク質源は体重1kgあたり約1.35gのタンパク質、又は体重1kgあたり約2.63gのタンパク質を提供することができる。製剤は、1日あたり約1200kcalを前思春期若年者に提供することができる。
【0147】
[00145]本開示の栄養組成物は、上記で論じた通り、様々な健康上の問題を有する患者に投与した場合に有益であることがある。例えば、本開示による栄養組成物を、脳性麻痺及び他の神経筋障害(例えば、早産又は発育遅延に関連するものなどの重症の脳損傷を含む)を有する小児に投与すると、小児がより長く生存するのを助ける。脳性麻痺及び他の神経筋障害を有する小児は長期の経管栄養含有フォーミュラを本物の食品構成成分と一緒に投与されているので、小児は、健康な小児に必要とされる不可欠の主要栄養素及び微量栄養素を超える食品生理活性の恩恵を受ける。さらに、このタイプの経管栄養製剤を小児に摂食させると、介護人及び両親に対する独特の感情的魅力が潜在的にあることがある。
【0148】
[00146]改善された組成物及び改善された組成物を投与する方法を用いることによって、筋肉、骨、神経学的、及び免疫の健康に関連する問題は、長期間にわたって不活動性又は標準の経管栄養食を摂食していたいずれかの個体において解決され得る。実際、改善された栄養組成物は、過剰のエネルギーを提供せずに、十分な量の、タンパク質の増大した、高レベルのある種の微量栄養素及び主要栄養素を提供する。このような製剤は、個体に、不可欠な主要栄養素及び微量栄養素を超える生理活性の利点をもたらすホールフード成分を提供する。
【0149】
[00147]限定的なものではなく例示によって、以下の実施例は、本開示による栄養組成物を説明する。
【実施例】
【0150】
[00148]
[00149]本開示による低カロリーの高タンパク質の、混和した、経管栄養組成物は、ホールフード成分を含んでいる。上記で論じた通り、本組成物はまた、大量のタンパク質を患者に提供する。例えば、組成物は、推薦量の約1.5gタンパク質/kg体重〜2.0gタンパク質/kg体重を提供することができる。一実施形態において、栄養組成物は、約0.5kcal/ml〜0.8kcal/mlのカロリー密度、</=370mOsm/kg水である重量モル浸透圧濃度、約16mg/100kcalの量のヌクレオチド、少なくとも500IU/Lの量のビタミンD、約18%〜35%のタンパク質由来エネルギーを提供するタンパク質源を有することができる。タンパク質は、タンパク質1グラムあたり約4kcalのエネルギーを提供することが一般的に知られている。
【0151】
[00150]一例において、10kg(22lb)の患者は約600kcal/日を摂取する。10kgの患者に約1.5g/kg〜2.0g/kgの範囲のタンパク質を投与する場合、患者は1日あたり15グラム〜20グラムのタンパク質を摂取することが予想される。さらに、タンパク質から18%の毎日のエネルギーを提供するには、10kgの患者は1日あたりタンパク質27gを摂取することが必要とされる。したがって、本開示による栄養組成物はタンパク質27gを含むことができる。
【0152】
[00151]食事の所要量が、同じ10kgの患者に1日あたり25%のタンパク質由来エネルギーを提供すると規定する場合、10kgの患者は、タンパク質37.5gを有する本特許請求の範囲による栄養組成物を摂取することができる。
【0153】
[00152]別の一例において、25kg(55lb)の患者は約1000kcal/日を摂取する。25kgの患者に約1.5g/kg〜2.0g/kgの範囲のタンパク質を投与する場合、患者は1日あたり38グラム〜50グラムのタンパク質を摂取することが予想される。さらに、タンパク質から18%の毎日のエネルギーを提供するには、25kgの患者は1日あたりタンパク質45gを摂取することが必要とされる。したがって、本開示による栄養組成物はタンパク質45gを含むことができる。
【0154】
[00153]食事の所要量が、同じ25kgの患者に1日あたり25%のタンパク質由来エネルギーを提供すると規定する場合、25kgの患者は、タンパク質62.5gを有する本開示による栄養組成物を摂取することができる。
【0155】
[00154]さらに別の一例において、40kg(88lb)の患者は約1200kcal/日を摂取する。40kgの患者に約1.5g/kg〜2.0g/kgの範囲のタンパク質を投与する場合、患者は1日あたり60グラム〜80グラムのタンパク質を摂取することが予想される。さらに、タンパク質から18%の毎日のエネルギーを提供するには、40kgの患者は1日あたりタンパク質54gを摂取することが必要とされる。したがって、本開示による栄養組成物はタンパク質54gを含むことができる。
【0156】
[00155]食事の所要量が、同じ40kgの患者に1日あたり25%のタンパク質由来エネルギーを提供すると規定する場合、40kgの患者は、タンパク質75gを有する本開示による栄養組成物を摂取することができる。
【0157】
[00156]本明細書に記載する本発明の好ましい実施形態に対する様々な変更及び修飾は当業者には明らかであることを理解されたい。このような変更及び修飾は、本発明の主題の精神及び範囲から逸脱せずに、また意図する利点を減じることなく行うことができる。したがって、このような変更及び修飾は添付の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。