(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の袋体では、耐圧強度を高めて、被包装物が漏れ出ることを防止するために、咬合部の咬合状態をより強固に咬合させる構成とすることが考えられる。
そして、このような変更を加え、強固に咬合させる構成とした場合、被包装物を取り出すため、または袋上部から被包装物を充填する際に、咬合部の咬合状態を解除するためには、封止強度に合わせた適度な力を要する。このため、易開封性には更なる検討の余地がある。
本発明は、高い封止性と易開封性との相反する特性が得られるジッパーテープ、袋体、および袋体の製造方法、並びに充填方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のジッパーテープは、互いに係合可能な雄部および雌部を備えた第一係合部と、互いに係合可能な第一鉤部および第二鉤部を備えた第二係合部と、前記第一係合部および前記第二係合部にそれぞれ連設された一対の帯状基部と、を具備し、前記雄部は、当該雄部が連設される帯状基部の幅方向の一端側に向けて突出する第一爪領域と、前記帯状基部の幅方向の他端側に向けて突出する第二爪領域と、を有し、前記第一爪領域および前記第二爪領域は、前記雄部が連設される帯状基部に臨む斜面と、前記帯状基部の平面に対する垂線とのなす角が、それぞれ鈍角であり、前記第一鉤部は、当該第一鉤部が連設される帯状基部の幅方向の他端側に向けて突出し、前記第一鉤部が連設される帯状基部に臨む斜面と、前記帯状基部の平面に対する垂線とのなす角が鋭角に形成された第一鉤領域を有し、前記第二鉤部は、当該第二鉤部が連設される帯状基部の幅方向の一端側に向けて突出し、前記第二鉤部が連設される帯状基部に臨む斜面と、前記帯状基部の平面に対する垂線とのなす角が鋭角に形成された第二鉤領域を有していることを特徴とする。
【0006】
本発明では、雄部および雌部が係合するとともに、第一鉤部および第二鉤部が係合するジッパーテープで、雄部の第一爪領域および第二爪領域の斜面を、帯状基部の平面の垂線に対して鈍角としている。このことにより、雄部および雌部の係合を解除する際、一対の帯状基部の幅方向の一端側を、離間する方向に力を作用させることで、第一爪領域および第二爪領域が雌部を乗り越えるようにして円滑に外れ、雄部および雌部の係合が容易に解除される。この雄部および雌部の係合解除に伴って、第一鉤部および第二鉤部の係合も容易に解除され、第一係合部および第二係合部の係合が容易に解除される。
一方、一対の帯状基部の幅方向の他端側を離間する方向の力、あるいは、一対の帯状基部が幅方向で互いに反対側へ移動される力が作用することで、第一鉤部および第二鉤部が強く係合する状態となる。このことにより、雄部および雌部の係合も解除されにくく、第一係合部の係合が解除されない。このため、ジッパーテープに作用する力によって、係合解除が容易な場合と、係合解除が困難な場合とに設定できる。
【0007】
ここで、本発明における帯状基部の平面とは、第一係合部および第二係合部が連設する面と反対側の面であって、幅方向の両端縁を含む平面である。
そして、本発明における雄部および雌部の係合とは、雄部および雌部が噛み合うこと(噛合、咬合)をいい、嵌め合う状態も含むものである。
また、本発明における第一鉤部および第二鉤部の係合とは、双方の鉤領域同士が互いに引っ掛かっている、もしくは外力が作用した際に引っ掛かる、いわゆる鉤領域同士が互いに引っ掛かり合う状態をいう。
さらに、本発明における帯状基部の幅方向の一端側または他端側とは、帯状基部の長手方向に対して直交する方向の一端側または他端側である。
【0008】
そして、本発明では、
互いに係合可能な雄部および雌部を備えた第一係合部と、互いに係合可能な第一鉤部および第二鉤部を備えた第二係合部と、前記第一係合部および前記第二係合部にそれぞれ連設された一対の帯状基部と、を具備し、前記雄部は、当該雄部が連設される帯状基部の幅方向の一端側に向けて突出する第一爪領域と、前記帯状基部の幅方向の他端側に向けて突出する第二爪領域と、を有し、前記第一爪領域および前記第二爪領域は、前記雄部が連設される帯状基部に臨む斜面と、前記帯状基部の平面に対する垂線とのなす角が、それぞれ鈍角であり、前記第一鉤部は、当該第一鉤部が連設される帯状基部の幅方向の他端側に向けて突出し、前記第一鉤部が連設される帯状基部に臨む斜面と、前記帯状基部の平面に対する垂線とのなす角が鋭角に形成された第一鉤領域を有し、前記第二鉤部は、当該第二鉤部が連設される帯状基部の幅方向の一端側に向けて突出し、前記第二鉤部が連設される帯状基部に臨む斜面と、前記帯状基部の平面に対する垂線とのなす角が鋭角に形成された第二鉤領域を有し、前記第一係合部と前記第二係合部との間の帯状基部の厚さは、当該帯状
基部における他の部分の厚さよりも厚肉である構成とすることもできる。
この発明では、第一係合部と第二係合部との間の帯状基部は、他の部分よりも厚肉にすることで、他の部位より変形しにくくなる。このため、第一鉤部および第二鉤部が強く係合する場合には、雄部および雌部の係合も解除しにくくなり、係合解除がより抑制される場合が得られる。
【0009】
また、本発明では、前記第一係合部と前記第二係合部との間の帯状基部の厚さは、200μm以上である構成とすることもできる。
この発明では、第一係合部と第二係合部との間の帯状基部の厚さを、200μm以上とすることで、第一係合部および第二係合部の係合のより容易な解除と、係合のより抑制された解除とが得られる。
ここで、200μmより薄くなると、第一係合部と第二係合部との間の帯状基部の剛性を強く維持することが困難となり、第一係合部および第二係合部の係合解除の容易性や、係合解除の抑制性の効果が得られにくくなるためである。
【0010】
さらに、本発明では、前記第一係合部と前記第二係合部との間の距離は、前記第一係合部と前記第二係合部との間の前記帯状基部の厚さ寸法を1としたとき、1以上5以下である構成とすることもできる。
この発明では、第一係合部と第二係合部との間の距離を、帯状基部における第一係合部と第二係合部間との厚さ寸法に対して、所定の割合とすることで、ジッパーテープに外力が作用した時、第一係合部および第二係合部が変形して外れてしまうことを防止できる。
ここで、第一係合部と第二係合部間との間の帯状基部の厚さ寸法に対し、第一係合部と第二係合部との間の距離が、1より短くなると、第一係合部および第二係合部の干渉が生じるおそれがある。一方、5より長くなると、外力が作用した際、第一係合部および第二係合部が変形して係合が外れるおそれがあるためである。
【0011】
また、本発明では、前記第一係合部および前記第二係合部の各幅寸法と、前記第一係合部と前記第二係合部との間の距離との合計幅寸法は、4mm以下である構成とすることもできる。
この発明では、第一係合部および第二係合部が設けられた領域の幅寸法として、4mm以下とすることで、雄部および雌部を一対備えた一般的なジッパーテープで用いられる各種装置を利用できる。
ここで、4mmより広くなると、一般的なジッパーテープで用いられる各種装置を利用できなくなるおそれがあるためである。
【0012】
そして、本発明では、前記第一係合部および前記第二係合部は、前記第一係合部側から前記第二係合部側へ係合を解除する場合の係合強度が、それぞれ4N/50mm以上である構成とすることもできる。
この発明では、第一係合部および前記第二係合部を所定の係合強度とすることで、製袋時に不用意に係合が解除し、良好に製袋できなくなることを防止できる。
【0013】
本発明の袋体は、内部に収納空間を区画する袋本体と、前記袋本体内に接合された本発明のジッパーテープと、を具備したことを特徴とする。
本発明では、第一係合部および第二係合部の係合解除が容易な場合と、係合解除が困難な場合とに、係合解除が異なる状態に得られる本発明のジッパーテープを用いている。このため、例えば、袋本体を開封する際に第一係合部の係合解除を容易とすることで、容易に開封できる。さらに、袋本体の収納空間内の圧力が増大した場合には、第一係合部および第二係合部の係合解除が防止され、不用意な開封を防止できる。
ここで、接合とは、ヒートシールに限らず、超音波による溶着、接着剤などを用いた接着など、各種方法を利用できる。
【0014】
そして、本発明では、前記第一鉤部が連設される帯状基部は、少なくとも幅方向の両端部分が前記袋本体に接合され、前記第二鉤部が連設される帯状基部は、幅方向の他端側が前記収納空間側に臨んだ状態で、前記第一係合部より幅方向の一端側のみが前記袋本体に接合されている構成とすることもできる。
この発明では、第二鉤部が連設される帯状基部の幅方向の一端側のみが、収納空間側とは反対側に位置して袋本体に接合された、いわゆる片側外しの構成とすることができる。この構成により、収納空間内の圧力が増大した際、第一鉤部が連設される帯状基部は収納空間側へ、第二鉤部が連設される帯状基部は反対側へ相対的に移動する状態に力が作用する。このことにより、第一鉤部および第二鉤部が強く係合する状態となり、第二係合部の係合維持による高い封止性が得られる。また、係合を解除する際には、開封された袋本体の開口縁を広げることで、一対の帯状基部の幅方向の一端側が離間される状態となる。このため、第一係合部の係合が容易に解除されるとともに、第二係合部の係合も解除されるので、容易に開封できる。
【0015】
また、本発明では、前記第一鉤部および前記第二鉤部が連設される帯状基部は、少なくとも幅方向の両端部分が、それぞれ前記袋本体に接合されている構成とすることもできる。
この発明では、帯状部材のそれぞれを、少なくとも幅方向の両端部分を袋本体に接合させることができる。このことにより、各種形態の袋体の構成でも、易開封性と、高い封止性との相反する特性を付与できる。
【0016】
本発明の袋体の製造方法は、フィルムからなる袋本体にジッパーテープを接合し、袋体を製袋する袋体の製造方法であって、前記ジッパーテープとして、本発明のジッパーテープが用いられ、前記一対の帯状基部を前記フィルムに接合する工程と、前記一対の帯状基部が接合されたフィルムから前記袋本体に製袋する工程と、を実施することを特徴とする。
本発明では、本発明のジッパーテープをフィルムに接合して製袋し、袋体を製造する。
このことにより、第一係合部および第二係合部の係合解除が容易な場合と、係合解除が困難な場合と、係合解除に異なる状態が得られる本発明のジッパーテープを用いている。このため、例えば、易開封でかつ高い封止性が得られる袋体を提供できる。
【0017】
本発明の充填方法は、本発明の袋体に被包装物を充填する充填方法であって、前記袋本体の外面を互いに離間させ、前記ジッパーテープにおける第一係合部の係合と、前記第二係合部の係合とをそれぞれ解除し、前記収納空間を開放する工程と、前記収納空間内に前記被包装物を投入する工程と、を実施することを特徴とする。
本発明では、袋本体の外面を離間させてジッパーテープの係合を解除し、収納空間を開放させて、被包装物を投入する充填方法に、ジッパーテープの係合解除が容易な本発明の袋体を用いる。このことにより、収納空間が開放されずに被包装物を投入してしまう不都合を防止して、良好に被包装物を充填できる。
【0018】
そして、本発明では、前記収納空間を開放する工程では、前記袋本体の外面を吸盤吸着により互いに離間させる構成とすることもできる。
この発明では、袋本体の外面を吸盤吸着により互いに離間させ、第一係合部および第二係合部のそれぞれの係合を解除させる、いわゆる自動充填に特に有効である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明では、袋体として、食品、薬品、医薬品、魚、文具、雑貨などの各種物品を包装する構成を例示するが、この限りではない。
【0021】
<袋体の構造>
図1は、袋体の平面を示す。
図1に示すように、袋体1は、袋本体10と、袋本体10の内面に接合、例えばヒートシールされたジッパーテープ20と、を備えている。
なお、袋本体10とジッパーテープ20との接合としては、ヒートシールに限らず、超音波による溶着、接着剤などを用いた接着など、各種方法を利用できる。
【0022】
(袋本体の構成)
袋本体10は、フィルムである基材フィルム11が2枚重ね合わされ、重なり合う周縁に、接合部である一対のサイドシール部12とボトムシール部13とが形成され、ボトムシール部13とは反対側に投入口10Aが開口している。
なお、袋本体10は、1枚の基材フィルム11を折り返して重ね合わせ、製袋されたものに限らない。例えば、2枚の基材フィルムが重ね合わされ、重なり合う周縁部分を接合して製袋するなど、三方製袋法、四方製袋法、ピロー式製袋法、回転ドラム式製袋方法など、各種製袋方法にて形成される構成に適用できる。
そして、袋本体10は、投入口10Aの縁に沿ってジッパーテープ20が取り付けられ、内部に被包装物X(
図5参照)を収納する収納空間14を区画形成している。ジッパーテープ20の長手方向の両端におけるサイドシール部12の位置では、ジッパーテープ20が押し潰された潰し部15が形成されている。
袋本体10は、一対のサイドシール部12に設けられたノッチ16により、ボトムシール部13と反対側に設けられる図示しないトップシール部が切除され、開封された縁が、ジッパーテープ20にて再封止される開口部10B(
図5参照)の縁となる。
【0023】
基材フィルム11としては、例えば、(直鎖状)低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene:LLDPE)、ポリプロピレン(Polypropylene:PP)などの熱可塑性樹脂にて形成された単層、または多層のフィルムを利用できる。多層のフィルムとしては、表基材に、二軸延伸したポリプロピレン(Oriented Polypropylene:OPP)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)、二軸延伸ナイロン(ONy)、キャストポリプロピレン(Cast Polypropylene:CPP)などを用いることができる。なお、多層フィルムとして、いわゆるガスバリアーや遮光などの目的で、アルミニウム蒸着やアルミニウム箔の積層など、無機系の層を備えた構成としてもよい。
また、基材フィルム11は、包装袋用材料であれば特に限定されないが、例えば厚み寸法が10μm以上200μm以下であることが好ましい。厚み寸法が10μm未満であると、シール強度、袋強度が弱くなる場合がある。一方、厚み寸法が200μmを超えると、袋の開封がしにくくなる場合がある。
【0024】
(ジッパーテープの構成)
図2は、ジッパーテープの一部を切り欠いた断面を示す。
ジッパーテープ20は、
図2に示すように、雄部材21および雌部材22を備えている。
雄部材21は、長手帯状に形成された雄側帯状基部21Aと、雄側帯状基部21Aに長手方向に沿って壁状に設けられた雄部21Bと、雄側帯状基部21Aに長手方向に沿って、雄部21Bと並列状に壁状に設けられた第一鉤部である雄側鉤部21Cと、を備えている。
【0025】
雄部21Bは、雄側帯状基部21Aの幅方向の一端側、具体的には収納空間14側とは反対側に突出する断面山形形状の第一爪領域21B1と、収納空間14側に突出する断面山形形状の第二爪領域21B2とを備えている。
第一爪領域21B1は、雄側帯状基部21Aに臨む斜面21B11と、雄側帯状基部21Aの平面に対する垂線21A1とのなす角θ
1が鈍角に形成されている。同様に、第二爪領域21B2は、雄側帯状基部21Aに臨む斜面21B21と、雄側帯状基部21Aの平面に対する垂線21A1とのなす角θ
2が、鈍角に形成されている。ここで、雄側帯状基部21Aの平面とは、雄側帯状基部21Aの基材フィルム11に接合される面であって、幅方向の両端縁21A2を含む平面21A3である。
【0026】
雄側鉤部21Cは、雄側帯状基部21Aの幅方向の他端側、具体的には収納空間14側に突出する断面鉤形状の雄側鉤領域21C1を有している。
雄側鉤領域21C1は、雄側帯状基部21Aに臨む斜面21C11と、雄側帯状基部21Aの平面に対する垂線21A1とのなす角θ
3が、鋭角に形成されている。
【0027】
雌部材22は、雄部材21と同様に、長手帯状に形成された雌側帯状基部22Aと、雌側帯状基部22Aに長手方向に沿って設けられ、断面が凹状で雄部21Bが係合可能に突出する雌部22Bと、雌側帯状基部22Aに長手方向に沿って雌部22Bと並列状に壁状に設けられ、雄側鉤部21Cが係合可能に突出する第二鉤部である雌側鉤部22Cと、を備えている。
雌部22Bは、互いに対向し間に雄部21Bが嵌挿される一対の爪状領域22B1,22B2を有し、断面凹状に形成されている。
雌側鉤部22Cは、雌側帯状基部22Aの幅方向の一端側、具体的には収納空間14側とは反対側に突出する断面鉤形状の雌側鉤領域22C1を有している。
雌側鉤領域22C1は、雌側帯状基部22Aに臨む斜面22C11と、雌側帯状基部22Aの平面に対する垂線22A1とのなす角θ
4が、鋭角に形成されている。ここで、雌側帯状基部22Aの平面とは、雌側帯状基部22Aの基材フィルム11に接合される面であって、幅方向の両端縁22A2を含む平面22A3である。
【0028】
そして、雄部21Bと雌部22Bとにて第一係合部23が構成され、雄側鉤部21Cと雌側鉤部22Cとにて第二係合部24が構成される。第一係合部23および第二係合部24は、雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aにそれぞれ連設された状態となっている。
これら第一係合部23および第二係合部24の係合強度は、第一係合部23側から第二係合部24側へ係合を解除する場合、それぞれ4N/50mm以上である。具体的には、雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aの幅方向において、第二係合部24に対して第一係合部23側の端部を、離間させるようにして係合解除する場合のそれぞれの係合強度である(
図4参照)。このような係合強度に設定することで、例えば製袋時に不用意に係合が解除することを防止して、より良好に製袋できる。
【0029】
第一係合部23と第二係合部24との間の距離Yは、所定の長さ寸法に形成されている。具体的には、雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aであって、第一係合部23と第二係合部24との間における厚さ寸法Tを1としたとき、距離Yは、好ましくは1以上5以下、より好ましくは1以上3以下、特に好ましくは1以上2以下とする。
すなわち、Y/Tが5より広くなると、袋体1に外力が作用した際、第一係合部23および第二係合部24の間が変形し、係合が外れるおそれがあるためである。また、Y/Tが1より狭くなると、第一係合部23および第二係合部24のそれぞれの係脱時に互いに干渉し、円滑な係脱が得られなくなるおそれがあるためである。
【0030】
さらに、雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aは、第一係合部23と第二係合部24との間における厚さ寸法Tが、200μm以上、好ましくは300μm以上で形成されることが好ましい。
厚さ寸法Tが200μm以上とすることで、第一係合部23および第二係合部24間の剛性が高まり、変形が抑制される。このため、第一係合部23および第二係合部24の係合の不用意な解除がより抑制される。ここで、厚さ寸法Tが200μmより薄くなると、第一係合部23および第二係合部24間の剛性が低くなる。このことにより、第一係合部23および第二係合部24間の雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22A、さらに第一係合部23および第二係合部24自体が、変形し易くなり、係合解除の抑制力が低くなるためである。
特に、雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aの厚さが、第一係合部23と第二係合部24との間で、他の部位より厚くなることで、第一係合部23と第二係合部24との間での屈曲が抑制される。このため、第二係合部24の係合解除の抑制に伴って、第一係合部23の係合解除がより抑制される。
【0031】
また、第一係合部23および第二係合部24の各幅寸法Z1,Z2と、第一係合部23と第二係合部24との間の距離Yとの合計の幅寸法Zは、4mm以下に形成されていることが好ましい。
このような寸法とすることで、第一係合部23のみを備えた一般的なジッパーテープを用い、各形態に製袋する各種装置を共用できる。したがって、装置の共用による製造コストの低減が図れる。
【0032】
このようなジッパーテープ20は、例えばポリオレフィン系樹脂を用いて形成されている。なお、ジッパーテープ20は、長手方向に対して折り曲げることで、その状態を保持する形状保形性を有して形成してもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。特に、伸びにくいポリプロピレン系樹脂が好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン(H−PP)、ブロックポリプロピレン(B−PP)、ランダムポリプロピレン(R−PP)、プロピレン−エチレン−ブテン1ランダム三元共重合体などが利用できる。
【0033】
<袋体の製造方法>
次に、上記袋体1の製造方法について図面を参照して説明する。
なお、袋体1の製造として、三方製袋法を例示するが、種々の方法を採用できる。
図3は、袋体を製造する動作の説明図を示す。(A)は、ジッパーテープを基材フィルムに取り付けた状態の平面を示す。(B)は、潰しを形成した状態の平面を示す。(C)は、サイドシール部を形成した状態の平面を示す。(D)は、製袋されたジッパーテープ付袋の平面を示す。
【0034】
袋体1の製造に際しては、いわゆる三方製袋機を基本構成とし、雄部材21および雌部材22を基材フィルム11に接合し、製袋する製造装置が用いられる。
袋体1の製造方法は、基材フィルム11を送り出すフィルム送出工程と、ジッパーテープ20をそれぞれ送り出すテープ送出工程と、ジッパーテープ20を基材フィルム11にヒートシールし、ジッパーテープ付袋1Aを製袋する製袋工程と、などを実施する。
まず、製袋装置に基材フィルム11およびジッパーテープ20を、それぞれ供給可能に装着しておく。
【0035】
そして、送り出される基材フィルム11を2枚重ね合わせ、重なり合う基材フィルム11間に、ジッパーテープ20を送り出す。ジッパーテープ20を基材フィルム11に対して所定の位置に位置決めし、
図3(A)に示すように、図示しないシールバーにより、雄部材21および雌部材22をそれぞれ基材フィルム11にヒートシールする。
この後、
図3(B)に示すように、基材フィルム11に取り付けられたジッパーテープ20を、所定間隔で加熱して潰し、潰し部15を形成する。
次に、
図3(C)に示すように、ボトムシールバーにより、重なり合う基材フィルム11をヒートシールし、ボトムシール部13を形成する。さらに、サイドシールバーにより、潰し部15の位置毎に、基材フィルム11の送り出される方向となる長手方向に対して垂直な方向に沿って、サイドシール部12となるサイド区画部17を形成する。
そして、基材フィルム11をサイド区画部17の中心線に沿って切断することにより、
図3(D)に示すように、投入口10Aを開口する袋体1が得られる。
【0036】
得られた袋体1は、図示しない充填装置により、基材フィルム11がジッパーテープ20の位置で、例えば吸盤吸着により外側に広げられるようにして、投入口10Aが開口され、被包装物Xが投入口10Aから所定量投入される。
この後、投入口10Aの縁がシールされてトップシール部が形成されることで、被包装物Xが収納された袋体1が得られる。
【0037】
<袋体の使用>
次に、上記袋体の使用方法について、図面を参照して説明する。
図4は、開封時におけるジッパーテープの係合解除を説明する断面を示す。
図5は、袋体の内圧が増大した状態の断面を示す。
図6は、内圧が増大した際のジッパーテープの係合状態を説明する断面を示す。
【0038】
使用に際しては、先ず袋体1のトップシール部を切除し、形成された袋本体10の開口部10B(
図5参照)の縁を広げるように開口させる。この操作により、
図4中の矢印で示すように、雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aの開口部10B側が離間する状態となる。このことにより、雄部21Bの第一爪領域21B1が、雌部22Bにおける開口部10B側の爪状領域22B1を乗り越えるように移動し、係合が外れる。さらに、雄部21Bの第二爪領域21B2が、雌部22Bにおける収納空間14側の爪状領域22B2を乗り越えるように移動し、係合が外れる。このようにして、第一係合部23の係合が外れる。
この第一係合部23の係合解除に伴って、雄側鉤部21Cが雌側鉤部22Cから離間するように移動され、第二係合部24の係合も外れ、ジッパーテープ20の係合が小さな力で容易に円滑に解除でき、袋体1を容易に開封できる。
そして、開放された開口部10Bから被包装物Xを出し入れし、第一係合部23および第二係合部24を再び係合させることで、袋体1は再封止される。
【0039】
一方、被包装物Xを封止した状態で、
図5に示すように、袋体1に外力が作用、あるいは被包装物Xの加熱調理などより、内圧が高くなった場合、
図5および
図6中の矢印に示すように、ジッパーテープ20に剪断する方向の力が作用する。具体的には、雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aが、係合する第一係合部23および第二係合部24を剪断するように、平面21A3,22A3に沿って反対方向に移動する状態となる。このことにより、雄側鉤部21Cおよび雌側鉤部22Cが互いに強く引っ掛かるように係合し、第二係合部24の係合が維持され、袋体1は開封せずに封止状態が維持される。
なお、高まった内圧の一部は、袋本体10と雌側帯状基部22Aとの間に作用することとなり、第二係合部24の係合部分には残りの内圧が作用することとなる。このため、内圧の作用により、第二係合部24の係合が直接解除してしまうことが抑制されている。
【0040】
<実施形態の作用効果>
上記実施形態では、雄部21Bの第一爪領域21B1および第二爪領域21B2を、断面山形形状に形成し、雄側鉤部21Cの雄側鉤領域21C1および雌側鉤部22Cの雌側鉤領域22C1を、断面鉤形状に形成している。
このことにより、袋体1を開口部10Bから開封する際、雄部21Bが雌部22Bから円滑に外れるとともに、第二係合部24の係合も容易に外れ、袋体1を容易に開封できる。一方、収納空間14の内圧が高まった場合には、第二係合部24が強く係合して、袋体1の不用意な開封を防止できる。このように、第一係合部23および第二係合部24を所定の形状とする簡単な構造で、開封時には容易に開封でき、内圧が高まった場合には開封が防止されるという相反する特性が、容易に得られる。したがって、例えば吸盤吸着により袋体1の投入口10Aを開口させる自動充填する場合でも、開封不良により適切に充填できなくなるなどの不都合を防止でき、効率良く自動充填できる。
【0041】
そして、上記実施形態では、雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aにおいて、第一係合部23と第二係合部24との間の厚さを、他の部位よりも厚くしている。
このことにより、第一係合部23と第二係合部24との間が他の部位より変形しにくくなる。このため、雄側鉤部21Cおよび雌側鉤部22Cが強く係合する場合には、雄部21Bおよび雌部22Bの係合も解除しにくくなる。したがって、係合解除がより抑制される構成が、簡単な構造で容易に得られる。
【0042】
また、上記実施形態では、雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aにおいて、第一係合部23と第二係合部24との間の厚さ寸法Tを、200μm以上としている。
このため、第一係合部23および第二係合部24の係合解除がより容易な場合と、係合解除がより抑制された場合とが、簡単な構造で容易に得られる。
【0043】
さらに、上記実施形態では、第一係合部23と第二係合部24との間の距離Yを、雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aの厚さ寸法Tに対して、1以上5以下の所定の割合としている。
このため、ジッパーテープ20に外力が作用した時、第一係合部23および第二係合部24が変形して外れてしまうことを防止できる。
【0044】
また、上記実施形態では、第一係合部23および第二係合部24が設けられた領域、すなわち幅寸法Zを4mm以下としている。
このため、第一係合部23のみ備えた一般的なジッパーテープを用いて製袋する各種装置を、容易に共用できる。したがって、装置の共用による製造コストの低減が図れる。
【0045】
[変形例]
なお、本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した材質、層構成などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではない。さらに、それらの材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0046】
例えば、上記実施形態の雌部材22側を片側外しとする構成に代えて、
図7に示すように、雄部材21側を片側外しとしてもよい。なお、この
図7に示す他の実施形態について、同一または類似の構成については、同一の符号を付して説明を省略もしくは簡略化する。
【0047】
具体的には、片側外しとされる雄部材21は、雄側鉤部21Cが開口部10B側に向けて雄側鉤領域21C1が突出し、本発明の第二鉤部として機能する。一方、雌部材22は、雌側鉤部22Cが収納空間14側に向けて雌側鉤領域22C1が突出し、本発明の第一鉤部として機能する。すなわち、
図7に示す実施形態では、上記
図1〜
図6に示す実施形態において、雄側鉤部21Cと雌側鉤部22Cとが逆に設けられ、片側外しとされる側が第二鉤部となるように構成される。
この
図7に示す構成でも、開口部10Bから開封する場合には、第一係合部23および第二係合部24の係合が容易に解除でき、内圧が高まった場合には第二係合部24が強く係合して開封解除を防止できる。
【0048】
そして、上記各実施形態では、片側外しの構成を例示したが、雄部材21および雌部材22を、それぞれ幅方向の両端部分がそれぞれシールされる構成としてもよい。
さらに、袋体1として本発明のジッパーテープを用いる場合に限らず、互いを係脱させる各種構成に適用してもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、第一係合部23および第二係合部24の2条を設けた構成を例示したが、例えば、第一係合部23や第二係合部24をさらに設けた複数条の構成としてもよい。
そして、本発明では、吸盤吸着により袋体1の投入口10Aを開口させる自動充填機を用いて、被包装物Xを自動充填させる場合に限らず、例えばクランプにより開口させて充填するなど、各充填方法が適用できる。
【実施例】
【0050】
次に、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。
なお、本発明は、以下の実施例および比較例により制限されるものではない。
【0051】
[実施例1]
ジッパーテープ20として、以下の材料を用いて
図2に示す形状に形成し、三方製袋機(トタニ技研工業株式会社製 商品名;BH−60HV)を用いて以下の基材フィルム11にヒートシールし、袋体1を製造した。ジッパーテープ20のヒートシールは、上記
図5に示す実施形態と同様に、雌側帯状基部22Aの開口部10B側のみとした。
・ジッパーテープ20:株式会社プライムポリマー社製 ポリプロピレン 商品名;F−744NP(メルトフローレート7.0g/10分)、幅寸法が12mmで、雄部21Bの第二爪領域21B2における斜面21B21のなす角θ
2が102°。
なお、融点は、示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry:DSC)し、最高融解ピークの温度とした。
・基材フィルム11:PET層(厚さ12μm)、PP層(厚さ40μm)の2層構造
・袋体1:幅160mm、高さ180mmに製袋し、23℃で24時間以上静置したもの。開口部10Bからジッパーテープ20までの距離が30mm。
【0052】
そして、
図3に示す状態の開封強度を、以下の方法で測定した。
開封強度の試験装置として、株式会社 イマダ製 商品名:デジタルフォースゲージ(DPZ−200N)を用いた。
図9に示すように、直径36mmのシリコーン樹脂製の吸盤30を、ジッパーテープ20の第一係合部23および第二係合部24間の中心が、吸盤30の中心から7mm離れて位置させる。この状態で、吸盤30にて60kPaで吸引し、300mm/分の速度で引っ張り、開封させる際に要する力を測定した。測定は、5つ形成したジッパーテープ20について、それぞれ測定し、平均値を算出した。その結果を、以下の表1に示す。
【0053】
[比較例1,2]
実施例1と同材料を用い、ジッパーテープ20として、なす角θ
2を62°で形成したもの(比較例1)と、なす角θ
2を81°で形成したもの(比較例2)を用い、同様に開封強度を測定した。その結果を、表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
この表1に示す結果から、なす角θ
2を鈍角の102°に形成した実施例では、62°の鋭角とした比較例1、および81°の鋭角とした比較例2より、開封強度が小さくなった。このことから、なす角θ
2を鈍角とすることで、容易に開封できることが認められた。