(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理部は、前記第1の認証部の認証結果に基づいて、所定の権限を有する操作者が実行可能な特定処理を行う一方、前記所定の権限を有しない操作者が前記特定処理を行うことを不可にし、
前記第1の通信部は、前記第1の認証部の認証結果に基づく前記所定の権限を有する操作者による前記貨幣処理装置の操作に応じて、前記所定の権限を有しない操作者に対して、前記特定処理を実行する権限を、一時的に付与することの承認を求める第1要求信号を、前記外部装置へ送信し、
前記第1の通信部は、前記所定の権限を有しない操作者による前記貨幣処理装置の操作に応じて、前記特定処理を実行する承認を求める第2要求信号を、前記外部装置へ送信し、
前記第2の通信部は、前記第1要求信号と前記第2要求信号との両方を受けかつ、前記操作者が前記外部装置を操作することに応じて、前記第2要求信号に対する、前記権限の一時的な付与を承認する承認信号、又は、否認する否認信号を、前記貨幣処理装置へ送信し、
前記処理部は、前記外部装置からの前記承認信号を受けたときに、前記権限を一時的に付与された操作者による前記特定処理を実行する請求項1に記載の貨幣処理システム。
前記貨幣処理装置は、前記第1の認証部の認証結果に基づく前記所定の権限を有する操作者が、前記第2の特定処理に関する承認を行うよう前記貨幣処理装置を操作したときに、前記操作を受け付けると共に、前記外部装置へ送信した要求信号をキャンセルする請求項5に記載の貨幣処理システム。
前記処理部は、前記第1の認証部の認証結果に基づく前記所定の権限を有する操作者が、前記第3の特定処理に関する承認を行うよう前記貨幣処理装置を操作したときに、前記複数人の承認の一つとして前記操作を受け付ける請求項7に記載の貨幣処理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されている貨幣処理装置は、所定以上の職位の人が、例えば休暇、出張、又は外出等によって店舗内に不在のときには、所定の処理を実行することができない構成である。しかしながら、所定以上の職位の人が不在のときにも、所定の処理を実行可能にすれば、業務を円滑に進めることができる。そのためには、新たな仕組みが必要である。
【0008】
また、金融機関を利用する利用者の利便性を向上させるために、例えば本店や管理センターといった主要店舗とは別に、商業施設や駅等に小規模店舗を開設し、主要店舗の管理下において小規模店舗を運営する場合がある。小規模店舗は常駐する係員の人数も少ないため、所定以上の職位の人が常駐しないこともある。その場合、当該小規模店舗においては、所定以上の職位の人の承認が必要な処理を実行することができない。または、所定以上の職位の人が定期的、又は、必要時に、小規模店舗に出向いて、特定の処理を実行しなければならない。
【0009】
さらに、例えば損券の入金処理といった特定の処理は、所定以上の職位の、二人以上の承認(いわゆる二者承認)が必要になることがある。二者承認が必要な処理は、小規模店舗においては、実質的に行うことが難しい、又は、行うことができない。
【0010】
ここに開示する技術はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、新たな仕組みの貨幣処理システムによって、貨幣処理に関する業務の、円滑な進行を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ここに開示する技術は、貨幣処理システムに係る。貨幣処理システムは、貨幣に関する処理を行う処理部と、操作者の認証を行う第1の認証部と、外部との通信を行う第1の通信部と、を有している貨幣処理装置と、操作者の認証を行う第2の認証部と、前記貨幣処理装置との通信を行う第2の通信部と、を有しかつ、前記貨幣処理装置が設置されている施設とは別の場所に存在している外部装置と、を備えている。
【0012】
前記第1の通信部は、前記操作者による前記貨幣処理装置の操作に応じて、前記処理部が実行する処理に関する承認を求める要求信号を前記外部装置へ送信し、前記第2の通信部は、前記貨幣処理装置からの前記要求信号を受けかつ、前記操作者による前記外部装置の操作に応じて、
前記要求信号に対する、承認信号又は否認信号を前記貨幣処理装置へ送信し、前記第1の通信部は、前記処理を行った後に、前記処理に関する記録を前記外部装置へ送信する。
【0013】
この構成によると、貨幣処理システムは、所定の施設に設置された貨幣処理装置と、所定の施設とは別の場所に存在する外部装置と、を備えている。「所定の施設」は、例えば金融機関の店舗等としてもよい。また、「外部装置」は、所定の施設とは別の場所(例えば金融機関の店舗や管理センター)に設置された、管理用のコンピュータ等の装置としてもよい。外部装置は、所定の施設に設置された貨幣処理装置と同様の、貨幣処理装置であってもよい。外部装置はまた、持ち運ぶことができる携帯機器(例えばタブレット端末や、スマートフォン等)であってもよい。
【0014】
貨幣処理装置の第1の通信部は、操作者が貨幣処理装置を操作することに応じて、処理部が実行する処理に関する承認を求める要求信号を、外部装置へ送信する。
【0015】
外部装置の第2の通信部は、貨幣処理装置からの要求信号を受けかつ、操作者が外部装置を操作することに応じて、
要求信号に対する、承認信号又は否認信号を、貨幣処理装置へ送信する。
【0016】
この構成の貨幣処理システムは、貨幣処理装置と外部装置との間で、承認に関するやりとりを行うよう構成されており、所定の施設の中だけで処理の実行から完了までを行うシステムではない。従って、所定以上の職位の人が、貨幣処理装置が設置されている施設に不在のときでも、所定以上の職位の操作者が外部装置を操作することに応じて、当該外部装置が送信した承認信号を受けることにより、処理を実行及び完了することが可能になる。その結果、貨幣処理に関する業務を円滑に進めることができる。
また、処理に関する記録を外部装置へ送信することで、外部装置から承認信号を送信した処理を、外部装置において管理することができるため、貨幣処理システムのセキュリティ性が向上する。
【0017】
前記処理部は、前記第1の認証部の認証結果に基づいて、所定の権限を有する操作者が実行可能な特定処理を行う一方、前記所定の権限を有しない操作者が前記特定処理を行うことを不可にし、前記第1の通信部は、
前記第1の認証部の認証結果に基づく前記所定の権限を有する操作者による前記貨幣処理装置の操作に応じて、前記所定の権限を有しない操作者に対して、前記特定処理を実行する権限を、一時的に付与することの承認を求める
第1要求信号を、前記外部装置へ送信し、
前記第1の通信部は、前記所定の権限を有しない操作者による前記貨幣処理装置の操作に応じて、前記特定処理を実行する承認を求める第2要求信号を、前記外部装置へ送信し、前記第2の通信部は、前記
第1要求信号
と前記第2要求信号との両方を受けかつ、前記操作者が前記外部装置を操作することに応じて、
前記第2要求信号に対する、前記権限の一時的な付与を承認する承認信号、又は、否認する否認信号を、前記貨幣処理装置へ送信し、前記処理部は、前記外部装置からの前記承認信号を受けたときに、前記権限を一時的に付与された操作者による前記特定処理を実行する、としてもよい。
【0018】
この構成は、所定の権限を有しない操作者が、一時的に、所定の権限を有する人に代わって、特定処理を行うことを可能にする。つまり、所定の権限を有する操作者は、特定処理を実行可能である一方、所定の権限を有しない操作者は、特定処理を行うことができない。貨幣処理装置は、第1の認証部の認証結果に基づいて、特定処理の実行の可否を決定する。
【0019】
外部装置の第2の通信部は、貨幣処理装置の第1の通信部からの要求信号を受けかつ、操作者が外部装置を操作することに応じて、権限の一時的な付与を承認する承認信号、又は、否認する否認信号を、貨幣処理装置へ送信する。承認信号、又は、否認信号の送信は、所定以上の権限を有する操作者が外部装置を操作することによって行えばよい。
【0020】
貨幣処理装置の処理部は、外部装置からの承認信号を受けたときに、権限を一時的に付与された操作者が貨幣処理装置を操作することに応じて、特定処理を実行する。こうして、所定の権限を有しない操作者が、一時的に、所定の権限を有する人に代わって、特定処理を行うことが可能になる。尚、否認信号を受けたときには、処理部は、特定処理を行わないようにすればよい。
【0021】
この構成によって、所定の権限を有する人が、貨幣処理装置が設置された施設に不在のときでも、特定処理を実行することができる。よって、貨幣処理に係る業務の遂行が円滑になる。一方、外部装置からの承認信号を受けたときのみ、特定処理の実行が可能になるから、職位に応じて定められている処理の制限を維持することができる。よって、貨幣処理システムのけるセキュリティ性を確保することができる。
【0022】
前記の構成において、前記第1の通信部は、前記第1の認証部の認証結果に基づく前記所定の権限を有する操作者による前記貨幣処理装置の操作に応じて、前記特定処理を実行する権限を、前記所定の権限を有しない操作者に一時的に付与することの承認を求める
第1要求信号を、前記外部装置へ送信す
る。
【0023】
所定の権限を有する操作者が
第1要求信号を送信する操作を行うため、職位に応じて定められている処理の制限を維持することができる。よって、貨幣処理システムのセキュリティ性を、より一層強固に、確保することができる。
【0024】
前記の構成において、前記第1の通信部は、前記所定の権限を有しない操作者による前記貨幣処理装置の操作に応じて、前記特定処理を実行する承認を求める第2要求信号を、前記外部装置へ送信し、前記第2の通信部は、前記
第1要求信号と前記第2要求信号との両方を受けかつ、前記操作者による前記外部装置の操作に応じて、
前記第2要求信号に対する、前記権限の一時的な付与を承認する承認信号、又は、否認する否認信号を、前記貨幣処理装置へ送信す
る。
【0025】
こうすることで、所定の権限を有しない操作者が特定処理を実行しようとした時に、
第1要求信号を送信した操作者(つまり、所定の権限を有する人)は、不在であってもよい。つまり、所定の権限を有する人は、予め
第1要求信号を、外部装置へ送信しておくことによって、自身が不在のときに、所定の施設において、特定処理を実行することが可能になる。これにより、所定の施設における業務を円滑に進めることができる。
【0026】
前記第1の通信部は、前記特定処理を開始する前に、前記特定処理を実行する権限を一時的に付与することの承認を求める
第1要求信号を、前記外部装置へ送信する、としてもよい。
【0027】
第1要求信号を事前に送信しておくことによって、特定処理を実行するときに、処理をスムースに実行することが可能になる。尚、外部装置は、
第2要求信号に対する承認信号、又は、否認信号を、貨幣処理装置において特定処理を開始する前に、予め送信してもよいし、特定処理を開始するときに、送信してもよい。
【0028】
前記貨幣処理装置は、装置内に貨幣を収納するように構成され、前記処理部は、前記所定の権限を有しない操作者が一時的な権限に基づいて前記特定処理を実行した後に、前記装置内の貨幣の収納量を確認する確認処理を行い、前記第1の通信部は、前記特定処理を実行した後の前記確認処理の結果を含む情報を、前記外部装置へ送信する、としてもよい。
【0029】
一時的な権限に基づいて特定処理を実行する操作者は、所定の権限を有しないため、本来は、特定処理を実行することができない。所定の権限を有しない操作者が一時的な権限に基づいて特定処理を実行した後に、装置内の貨幣の収納量を確認する確認処理を行うことによって、特定処理が、適正に行われたか否かを、後から検証することができる。よって、貨幣処理システムのセキュリティ性が、さらに高まる。
【0030】
前記処理部は、所定の権限を有する操作者の承認が必要な第2の特定処理を行うよう構成され、前記第1の通信部は、前記第2の特定処理に関して、前記所定の権限を有する操作者の承認を要求する要求信号を、前記外部装置へ送信し、前記第2の通信部は、前記要求信号を受けかつ、前記第2の認証部の認証結果に基づく前記所定の権限を有する操作者による前記外部装置の操作に応じて、前記第2の特定処理に関する承認をする承認信号、又は、否認をする否認信号を、前記貨幣処理装置へ送信する、としてもよい。
【0031】
所定の権限を有する操作者が、外部装置を操作することによって、承認信号を貨幣処理装置へ送信すれば、貨幣処理装置が実行する第2の特定処理について、所定の権限を有する人の承認を得たことになる。前記の構成によると、所定の権限を有する人が、貨幣処理装置が設置されている施設に不在のときでも、第2の特定処理に関して所定の権限を有する人の承認を得ることができる。
【0032】
前記貨幣処理装置は、前記第1の認証部の認証結果に基づく前記所定の権限を有する操作者が、前記第2の特定処理に関する承認を行うよう前記貨幣処理装置を操作したときに、前記操作を受け付けると共に、前記外部装置へ送信した要求信号をキャンセルする、としてもよい。
【0033】
この構成によると、外部装置からの承認信号を受ける以外にも、貨幣処理装置が設置された施設において、所定の権限を有する操作者が貨幣処理装置を操作することによっても、第2の特定処理に関する承認を行うことができる。例えば所定の権限を有する人が、貨幣処理装置が設置されている施設に居るときには、外部装置を用いなくても承認を行うことができるため、貨幣処理システムの利便性が向上する。また、所定の施設における業務の遂行が円滑になる。
【0034】
前記処理部は、所定の権限を有する、複数人の承認が必要な第3の特定処理を行うよう構成され、前記第1の通信部は、前記第3の特定処理に関して、前記所定の権限を有する、少なくとも一人の承認を要求する要求信号を、前記外部装置へ送信し、前記第2の通信部は、前記要求信号を受けかつ、前記第2の認証部の認証結果に基づく前記所定の権限を有する操作者による前記外部装置の操作に応じて、前記第3の特定処理に関する承認をする承認信号、又は、否認をする否認信号を、前記貨幣処理装置へ送信する、としてもよい。
【0035】
所定の権限を有する操作者が外部装置を操作することによって、承認信号を貨幣処理装置へ送信すれば、貨幣処理装置が実行する第3の特定処理について、所定の権限を有する操作者の承認を一つ、得たことになる。所定の権限を有する操作者が複数、承認信号を送信すれば、第3の特定処理に関して、複数人の承認を得ることができる。この構成によって、所定の権限を有する人が、貨幣処理装置が設置されている施設に不在のときでも、第3の特定処理に関する複数人の承認を得ることができる。
【0036】
前記処理部は、前記第1の認証部の認証結果に基づく前記所定の権限を有する操作者が、前記第3の特定処理に関する承認を行うよう前記貨幣処理装置を操作したときに、前記複数人の承認の一つ
として前記操作を受け付ける、としてもよい。
【0037】
こうすることで、貨幣処理装置の操作と、外部装置の操作とを組み合わせて、複数人が、第3の特定処理に関する承認を行うことができるため、貨幣処理システムの利便性を向上させることができる。また、貨幣処理装置が設置されている施設における業務の遂行も円滑になる。
【0038】
前記貨幣処理システムは、前記貨幣処理装置を操作する操作者を撮像する撮像手段を備え、前記第1の通信部は、前記撮像手段が撮像した画像を、前記外部装置へ送信する、としてもよい。
【0039】
こうすることで、外部装置から承認信号を送信した処理を、貨幣処理装置において実行するときに、貨幣処理装置の周囲の様子を、当該施設から離れた場所において確認をすることができる。貨幣処理装置が設置された施設と、それとは別の場所に存在する外部装置とを備えた貨幣処理システムにおいて、セキュリティ性を向上させることができる。
【0040】
ここに開示する貨幣処理システムは、貨幣に関する処理を行う処理部と、操作者の認証を行う第1の認証部と、外部との通信を行う第1の通信部と、を有している貨幣処理装置と、
操作者の認証を行う第2の認証部と、前記貨幣処理装置との通信を行う第2の通信部と、を有しかつ、前記貨幣処理装置が設置されている施設とは別の場所に存在している外部装置と、を備える。
【0041】
前記第2の通信部は、前記操作者による前記外部装置の操作に応じて、承認信号を前記貨幣処理装置へ送信し、
前記処理部は、前記第1の通信部が前記承認信号を受信したことに応じて、貨幣に関する処理を実行し、
前記第1の通信部は、前記処理を行った後に、前記処理に関する記録を前記外部装置へ送信する。
【0042】
ここに開示する技術は、貨幣処理装置に係る。貨幣処理装置は、所定の施設に設置されていると共に、前記所定の施設とは別の場所に存在している外部装置と通信可能である。
【0043】
前記貨幣処理装置は、貨幣に関する処理を行う処理部と、操作者の認証を行う認証部と、前記外部装置と通信を行う通信部と、を備え、前記通信部は、操作者による操作に応じて、前記処理部が実行する処理に関する承認を求める要求信号を、前記外部装置へ送信すると共に、
前記要求
信号に対する、前記外部装置からの承認信号又は否認信号を受信し、前記処理部は、前記承認信号を受けたことを条件に前記処理を完了し、前記通信部は、前記処理を行った後に、前記処理に関する記録を前記外部装置へ送信する。
【0044】
この構成により、貨幣処理装置が設置されている施設に、所定以上の職位の人が不在のときでも、外部装置からの承認信号を受けることによって、処理を完了することが可能になる。よって、当該施設における業務を円滑に進めることができる。
【0045】
ここに開示する技術は、所定の施設に設置されている貨幣処理装置と、前記所定の施設とは別の場所に存在している外部装置とを備えた貨幣処理システムの処理方法に係る。
【0046】
貨幣処理システムの処理方法は、前記貨幣処理装置が、操作者による前記貨幣処理装置の操作に応じて、前記貨幣処理装置が実行する処理に関する承認を求める要求信号を、前記外部装置へ送信し、前記外部装置が、前記要求信号を受けると共に、操作者による前記外部装置の操作に応じて、
前記要求
信号に対する承認信号又は否認信号を、前記貨幣処理装置へ送信し、前記貨幣処理装置が、前記承認信号を受けたことを条件に前記処理を完了し、前記貨幣処理装置が、前記処理を行った後に、前記処理に関する記録を前記外部装置へ送信する。
【0047】
この構成により、前記と同様に、貨幣処理装置が設置されている施設に、所定以上の職位の人が不在のときでも、外部装置からの承認信号を受けることによって、処理を完了することが可能になり、当該施設における業務を円滑に進めることができる。
【発明の効果】
【0048】
以上説明したように、前記の貨幣処理システム、貨幣処理装置、及び貨幣処理システムの処理方法によると、業務の円滑な進行が可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、貨幣処理システム、貨幣処理装置、及び、貨幣処理システムの処理方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明は、貨幣処理システム、及び、貨幣処理装置の一例である。
図1は、貨幣処理システム1の全体構成例を示している。貨幣処理システム1は、例えば銀行等の金融機関に構築される。尚、貨幣処理システム1は、金融機関に構築されることには限定されない。
【0051】
(貨幣処理システムの構成)
貨幣処理システム1は、店舗2のシステムと本店3のシステムとを含んでいる。店舗2のシステムと本店3のシステムとは、ネットワーク4を介して互いに接続されている。ネットワーク4は、例えばVPN(Virtual Private Network)としてもよい。
【0052】
店舗2は、この構成例では、例えば商業施設内や駅内に設けられる小規模店舗である。店舗2に常駐する係員の人数は比較的少ない(例えば3〜5人程度)。この構成例では、出納責任者Aと、担当者B及びCが、店舗2に常駐している。出納責任者Aは、所定の権限を有する人であり、後述するように、店舗2に設置されている出納機21に現金を装填したり、出納機21から現金を回収したりする処理を実行したり、損券や損貨の入金の際に承認を行うことができる(但し、単独の承認だけでは確定できない)。担当者B及びCは、出納責任者Aに対して職位が低いため、例えば出納機21に現金を装填したり、出納機21から現金を回収したりする処理を実行することができないと共に、損券や損貨の入金の際の承認を行うことができない。従って、店舗2においては、原則的には、出納責任者Aが在室のときしか、出納機21の装填処理又は回収処理や、損券又は損貨の入金処理を行うことができない。
【0053】
本店3は、この構成例では、店舗2よりも大規模な店舗であると共に、店舗2の管理を行う主要店舗である。尚、本店3は、利用者が来店をする店舗であってもよいし、利用者が来店をせず、店舗の管理のみを行う管理センターであってもよい。尚、
図1の例では、貨幣処理システム1は、一つの本店3と、一つの店舗2とのみによって構成されているが、一つの本店3は、複数の店舗を管理するようにしてもよい。その場合、貨幣処理システム1は、一つの本店3と、複数の店舗とによって構成される。
【0054】
本店3は大規模な店舗であるため、常駐している係員の数が多い。この構成例では、本店3には、職位が高い順に、役席者V、エリア責任者W、出納責任者X、並びに、担当者Y及びZが、少なくとも常駐している。
【0055】
出納責任者Xは、前述した出納責任者Aと同じ職位であり、本店3に設置されている出納機31に現金を装填したり、出納機31から現金を回収したりする処理を実行したり、損貨の入金の際に承認を行うことができる。担当者Y及びZは、出納責任者Xに対して職位が低い。役席者V及びエリア責任者Wは、出納責任者Xよりも職位が高い。役席者Vは、本店3内の処理だけでなく、店舗2における処理に対しても役席承認や二者承認が可能であると共に、店舗2の担当者B及びCに対し、権限を付与することができる。エリア責任者Wは、店舗2における処理に対して二者承認が可能であると共に、店舗2の担当者B及びCに対し、権限を付与することができる。
【0056】
図2は、店舗2内に構築されているシステムの構成例を示している。
図1及び
図2に示すように、店舗2内には、LAN22(Local Area Network)が構築されている。LAN22は、無線又は有線によって構成することができる。店舗2には、店舗2の出納責任者A、担当者B及びCが操作をする貨幣処理装置の一例としての出納機21、店舗2内のシステムを管理すると共に、貨幣処理システム1の処理にも関係する管理コンピュータ23、及び、顧客が操作をするATM(Automatic Teller Machine)24がそれぞれ設置されている。出納機21、管理コンピュータ23及びATM24は、LAN22に接続されており、相互に通信を行うことが可能に構成されている。LAN22にはまた、店舗2内に設置されている監視カメラ25が接続されている。監視カメラ25は、
図1の構成例では少なくとも、出納機21の周囲を撮影することによって、出納機21の操作者を撮影可能な監視カメラ25と、ATM24の周囲を撮影することによって、ATM24の操作者を撮影可能な監視カメラ25とを含んでいる。
【0057】
出納機21は、
図2に示すように、紙幣の処理を行う紙幣処理機211と、硬貨の処理を行う硬貨処理機212と、有価媒体の処理を行う有価媒体処理機213と、を有している。紙幣処理機211、硬貨処理機212及び有価媒体処理機213は、貨幣に関する各種処理を行う処理部210を構成している。
【0058】
紙幣処理機211は、図示は省略するが、紙幣を収納する収納部を有している。紙幣処理機211は、バラ紙幣及び束紙幣の両方の処理を行う。つまり、紙幣処理機211は、金融機関における業務に関係して、機内に取り込んだバラ紙幣を収納部に収納したり、収納部から繰り出したバラ紙幣や束紙幣を機外に払い出したり、バラ紙幣から束紙幣を作って収納部に収納したりする処理を行うよう構成されている。
【0059】
硬貨処理機212は、図示は省略するが、硬貨を収納する収納部を有している。硬貨処理機は、バラ硬貨及び包装硬貨の両方の処理を行う。つまり、硬貨処理機212は、金融機関における業務に関係して、機内に取り込んだバラ硬貨を収納部に収納したり、収納部から繰り出したバラ硬貨や包装硬貨を機外に払い出したり、バラ硬貨から包装硬貨を作って収納部に収納したりする処理を行うよう構成されている。
【0060】
有価媒体処理機213は、図示は省略するが、損券や旧券、損貨や旧貨、官封券、又は、手形や小切手等の有価媒体を収納する収納部を有している。有価媒体処理機213は、金融機関における業務に関係して、有価媒体を機内に取り込んで収納部に収納したり、官封券を収納部から繰り出して機外に払い出したりする処理を行うよう構成されている。有価媒体処理機213は、有価媒体を機内に取り込んだときに、有価媒体の画像を撮影するよう構成されている。
【0061】
出納機21はまた、プリンタ216と、表示操作部217と、認証部218とを備えている。プリンタ216は、伝票等の印刷を行う。表示操作部217は、例えばタッチパネルによって構成されている。表示操作部217は、様々な画面を表示すると共に、その画面内において操作者の操作を受け付ける。認証部218は、出納機21を操作する操作者の認証を行う。認証部218は、例えば表示操作部217において入力されたID番号と暗証番号とに基づいて、操作者の認証を行ってもよい。また、認証部218は、IDカードに記録されている情報をカードリーダーが読み取ることにより、操作者の認証を行ってもよい。認証部はその他にも、顔認証、指紋認証、虹彩認証等の生体認証技術を利用して、操作者の認証を行ってもよい。
【0062】
出納機21はさらに、LAN22を介した通信を行う通信部219と、各種のデータ等を記憶する記憶部2110を備えている。
【0063】
出納機21は、制御部2111を備えている。制御部2111には、前述した、紙幣処理機211、硬貨処理機212、有価媒体処理機213、プリンタ216、表示操作部217、記憶部2110、認証部218、及び通信部219が、それぞれ信号の授受可能に接続されている。制御部2111は、これらの機器の制御を行うことよって、出納機21を動作させる。
【0064】
管理コンピュータ23は、店舗2内におけるシステムの管理を行うよう構成されている。管理コンピュータ23は、例えば汎用のコンピュータによって構成されている。出納機21や、ATM24は、取引及び業務に関する情報を、管理コンピュータ23に出力する。また、監視カメラ25が撮影した映像も、管理コンピュータ23に集められる。管理コンピュータ23はまた、本店3との間で、ネットワーク4を通じた情報の送受信を中継する。
【0065】
図3は、本店3内に構築されているシステムの構成例を示している。
図1及び
図3に示すように、本店3内には、LAN32が構築されている。LAN32は、無線又は有線によって構成することができる。本店3には、役席者V、エリア責任者W、出納責任者X、担当者Y及びZが操作をする貨幣処理装置としての出納機31、本店3内のシステムを管理すると共に、貨幣処理システム1の処理にも関係する管理コンピュータ33、本店3の窓口において担当者Y及びZが主に操作をする貨幣の入出金機36、顧客が操作をするATM34、及び、本店3内の各所を撮影する監視カメラ35がそれぞれ設置されている。出納機31、管理コンピュータ33、及び、ATM34は、LAN32に接続されており、相互に通信を行うことが可能に構成されている。また、入出金機36は、操作端末37を介してLAN32に接続されている。担当者Y及びZは、操作端末37を通じて入出金機36を操作する。監視カメラ35が撮影した映像は、LAN32を介して、管理コンピュータ33に集められる。
【0066】
出納機31は、店舗2に設置されている出納機21よりも大型の出納機である。
図3に示すように、出納機31は、紙幣の処理を行う紙幣処理機311と、硬貨の処理を行う硬貨処理機312と、損貨の処理を行う損貨処理機313と、損券の処理を行う損券処理機314と、各種の現金を保管する現金保管機315と、を有している。紙幣処理機311、硬貨処理機312、損貨処理機313、損券処理機314、及び現金保管機315は、貨幣に関する各種処理を行う処理部310を構成している。
【0067】
出納機31の紙幣処理機311、及び、硬貨処理機312は、前述した出納機21の紙幣処理機211、及び、硬貨処理機212と、実質的に同じ構成を有している。
【0068】
損貨処理機313は、図示は省略するが、損貨や記念貨を収納する収納部を有している。損貨処理機313は、金融機関における業務に関係して、機内に取り込んだ損貨や記念貨を収納部に収納する処理を行うよう構成されている。損貨処理機313は、損貨や記念貨を機内に取り込んだときに、損貨や記念貨の画像を撮影するよう構成されている。
【0069】
損券処理機314は、図示は省略するが、損券や、小切手、手形等の紙葉類を収納する収納部を有している。損券処理機314は、金融機関における業務に関係して、機内に取り込んだ紙葉類を収納部に収納する処理を行うよう構成されている。損券処理機314は、紙葉類を機内に取り込んだときに、損券や、小切手等の画像を撮影するよう構成されている。
【0070】
現金保管機315は、装置前面側に引き出し可能な複数のドロアを有し、大量の包装硬貨や束紙幣を各ドロアに金種別に分類収納して管理するよう構成されている。現金保管機315は、各ドロア内に収納された貨幣の金種や数量を自動計数して管理する機能を有する。各ドロアは通常はロックされており、認証部318が行う認証結果と、出金処理内容又は入金処理内容とに応じて、所定のドロアのロックが解除される。
【0071】
出納機31はまた、プリンタ316と、表示操作部317と、認証部318と、通信部319と、記憶部3110と、制御部3111を備えている。これらの各部は、前述した出納機21のプリンタ216と、表示操作部217と、認証部218と、通信部219と、記憶部2110と、制御部2111と、実質的に同じ構成を有している。
【0072】
管理コンピュータ33は、本店3内におけるシステムの管理を行うよう構成されている。管理コンピュータ33は、例えば汎用のコンピュータによって構成されている。出納機31、入出金機36、及び、ATM34は、取引及び業務に関する情報を、管理コンピュータ33に、LAN32を介して出力する。管理コンピュータ33はまた、店舗2との間で、ネットワーク4を通じた情報の送受信を中継する。
【0073】
管理コンピュータ33には、例えばタブレット端末331、及びスマートフォン332等が接続される。また、管理コンピュータ33とは別のPC333が、LANに接続されている。本店3の役席者V、エリア責任者W及び、出納責任者Xは、タブレット端末331、スマートフォン332、又は、PC333を利用することによって、後述する承認操作を行うことが可能である。本店3の出納機31、管理コンピュータ33、タブレット端末331、スマートフォン332、及び、PC333は、店舗2とは別の場所に存在している外部装置を構成している。管理コンピュータ33、タブレット端末331、スマートフォン332、及び、PC333は、図示は省略するが、出納機31と同様に、操作者の認証を行う認証部と、通信を行う通信部とを備えている。
【0074】
以下、前述した構成の貨幣処理システム1における、様々な処理に係る手順について、図面を参照しながら説明をする。
【0075】
(第1の実施形態、権限のワンタイム承認)
図4及び
図5は、第1の実施形態における処理の手順を示すフローチャートを示している。第1の実施形態は、店舗2において、出納責任者Aのみが実行可能な処理(例えば、出納機21の装填処理等)を、出納責任者Aが不在のときに、担当者B又はCが代行して行う形態である。このような処理形態は、出納責任者Aが、例えば休暇、出張、又が外出等によって不在になるときに、店舗2における業務を停滞無く進める上で有効な手順である。但し、この処理形態は、出納責任者Aが不在になる状況に限定されるものではない。
【0076】
具体的に、この処理は、店舗2の出納責任者Aが、本店3のエリア責任者Wに対して、所定の権限を、店舗2の担当者B又はCに一時的に付与することを要求し、当該要求に応じて、エリア責任者Wが、店舗2の担当者B又はCに対し、所定の権限を一時的に付与することによって実現する。この処理は、権限を一時的に付与するため、以下においては、権限のワンタイム承認処理と呼ぶ場合がある。
【0077】
図4及び
図5は、権限のワンタイム承認処理に関して、店舗2の出納機21が実行する処理フローと、本店3の外部装置が実行する処理フローとを示している。本店3の外部装置は、前述したように、出納機31、管理コンピュータ33、タブレット端末331、スマートフォン332、及び、PC333を含む。
【0078】
図4は、ワンタイム承認の事前登録に関するフローである。先ず店舗2の出納機21は、ステップS41において、認証操作があったか否かを判定する。認証操作がないときにはステップS41を繰り返す。認証操作があったときには、フローはステップS42に進む。
【0079】
ステップS42において、出納機21は、ワンタイム承認の事前登録操作があったか否かを判定する。
【0080】
ここで、
図6は、出納機21の表示操作部217に表示される画面を例示している。
図6の画面D1は、ワンタイム承認に関する内容を設定する事前登録画面であり、本店3のエリア責任者Wに、権限付与の依頼をする画面である。事前登録画面D1には、ワンタイム承認の対象となる処理を選択するメニューが表示されている。具体的には、「バラ入金口装填」「束入金口装填」「現金バスからの取出」「全回収」「データクリア」及び「扉オープン」が選択可能な選択肢として、事前登録画面D1に含まれている。但し、権限のワンタイム承認の対象となる処理は、これらに限らない。
【0081】
ステップS42において、操作者は、出納機21の表示操作部217に表示される画面D1に従って、権限を付与する対象者(この例では、担当者B又はC)、対象の処理(前述の通り、「バラ入金口装填」等)、有効期間(又は有効日時)、及び、回数を、少なくとも登録する。
【0082】
画面D1において、操作者が、必要な項目の選択や入力を行った上で、「依頼」ボタンを選択操作すると、ステップS42の判定がYESになって、フローは、ステップS43に進む。操作がなかったときには、ステップS41に戻る。
【0083】
ステップS43において、出納機21は、認証結果に基づいて操作権限があるか否かを判定する。具体的に、権限のワンタイム承認の事前登録操作は、所定の権限を有する者のみが行うことが可能である。ここに示す例では、店舗2の出納責任者Aのみが、ワンタイム承認の事前登録操作を行うことができる。従って、出納機21の操作者が出納責任者Aであれば、ステップS43の判定がYESとなって、フローは、ステップS44に進む。出納機21の操作者が出納責任者Aでないときは、ステップS43の判定がNOとなって、操作は無効になる。フローは、ステップS41に戻る。
【0084】
ステップS44において、出納機21は、登録された内容と共に、ワンタイム承認の要求信号を、ネットワーク4を介して本店3へ送信する。また、出納機21は、登録された内容と、ワンタイム承認の要求信号を出力したことを記憶部310に記憶する。
【0085】
本店3の外部装置、ここでは特に、管理コンピュータ33は、ステップS45において、店舗2からのワンタイム承認の事前登録要求を受けたか否かを判定する。事前登録要求がないときには、フローはステップS45を繰り返す。事前登録要求を受けたときには、ステップS46に進む。ステップS46において、管理コンピュータ33は、登録内容を受信し、記憶しておく。以上の手順によって、権限のワンタイム承認の事前登録が完了する。
【0086】
図5は、担当者B又はCが、ワンタイム承認によって付与された権限に基づいて、出納機21を用いた処理を行うときの手順に関するフローである。
【0087】
店舗2の出納機21は、ステップS51において、認証操作があったか否かを判定する。ここで、
図7は、出納機21の表示操作部217に表示される待機画面D2を示している。待機画面D2には、出納機21の状態(金種別の在高情報等)が示されている。待機画面D2において、表示操作部217に触れると、操作者の認証が行われる。この構成例では、
図8に示すように、担当者番号を入力するテンキーを含む認証画面D3が、表示操作部217に表示される。操作者は、認証画面D3に担当者番号を入力すると共に、続いて表示操作部217に表示される画面に暗証番号を入力する。出納機21の認証部218は、担当者番号と暗証番号とに基づいて、操作者の認証を行う。
【0088】
認証操作があれば、
図5のフローはステップS52に進む。認証操作がなければ、フローは、ステップS51を繰り返す。
【0089】
認証操作後に、出納機21の表示操作部217には、
図9に示すメニュー画面D4が表示され、実行しようとする処理が選択される(ステップS52)。メニュー画面D4には、出納機21において実行する処理を選択するボタンが含まれている。操作者は、メニュー画面D4において所望のボタンを選択する。いずれかのボタンを選択操作すると、表示操作部217には、次の階層のメニュー画面が表示される。但し、メニュー画面においては、認証された操作者が操作権限を有するボタンのみが有効化される。担当者BやCが認証され、ワンタイム承認の要求に関する情報が記憶されていない場合は、「装填」や「管理業務」等のボタンは無効化される。一方、ワンタイム承認の要求に関する情報が記憶されている場合は、後述のように「装填」や、「管理業務」等のボタンは有効化される。
【0090】
図10は、下階層のメニュー画面D5を例示している。このメニュー画面D5は、「装填」及び「束紙幣部装填」を選択した後に表示されるメニュー画面D5である。このメニュー画面D5にも複数の選択肢が含まれている。
【0091】
ここで、出納機21の装填処理は、前述したように、出納責任者Aのみが実行することができる処理であり、担当者B及びCは、実行することができない。出納機21は、ステップS53において、認証結果に基づく操作者が、選択した処理を実行する権限を有しているか否かを判定する。権限を有しているときには、フローは、ステップS54に進み、出納機21は、操作者の操作に応じて、処理を実行することにより、当該処理を完了する。一方、権限が不足しているときには、フローは、ステップS53からステップS55に進む。
【0092】
ステップS55において、出納機21は、権限付与の依頼操作があったか否かを判定する。具体的に、出納機21は、
図11に示すように、表示操作部217に、選択した処理について権限が不足している旨が記載されたダイアログを含む画面D6を表示する。ダイアログに含まれる権限付与依頼の「実行」ボタンを、操作者が選択操作すると、フローは、ステップS56に進む。一方、「キャンセル」ボタンを、操作者が選択操作すると、出納機21は、これまでの操作をキャンセルし、フローはリターンする。
【0093】
ステップS56において、出納機21は、ネットワーク4を介して、本店3に、第2要求信号を送信する。第2要求信号が、ワンタイム承認によって権限が付与される操作者の操作に応じて送信される要求信号である。
【0094】
一方、本店3の外部装置は、ステップS512において、認証操作があったか否かを判定する。認証操作がないときには、フローはステップS512を繰り返す。認証操作があったときには、フローはステップS513に進む。
【0095】
ここで、
図12は、本店3の外部装置が表示する認証画面D7を例示している。認証画面D7において、操作者が、担当者番号とパスワード(つまり、暗証番号)とを入力することによって、認証操作が完了する。この操作者は、所定以上の権限を有する操作者であり、ここでは、エリア責任者Wとする。
【0096】
本店3の外部装置は、ステップS513において、店舗2からの第2要求信号を受信したか否かを判定する。受信していないときには、フローはステップS512に戻る。受信したときには、フローはステップS514に進む。
【0097】
ステップS514において、本店3の外部装置は、ワンタイム承認の事前登録が、管理コンピュータ33において記憶されているか否かを判定する。事前登録が記憶されているときには、フローはステップS515に進む。事前登録が記憶されていないときには、フローはステップS512に戻る。事前登録がないときには、店舗2の担当者に権限を付与することができない。
【0098】
認証処理後に、操作者が外部装置において所定の操作を行うと、例えば
図13に例示するような、ワンタイム承認の事前登録のリスト画面(権限付与依頼リスト画面)D8が、外部装置に表示される。このリストには、既に処理が完了している項目(完了)、現在処理中で、第2要求信号を受信した項目(処理中)、及び、第2要求信号を受信していない項目(未)が含まれている。項目毎に「付与」ボタンと「詳細」ボタンとが設けられている。操作者が「詳細」ボタンを選択操作すると、選択した項目の詳細な内容が、外部装置に表示される。操作者が「付与」ボタンを選択操作すると、外部装置は、権限を付与すべく、ワンタイム承認の承認信号を店舗2へ送信する。尚、「付与」ボタンは、「処理中」の項目、つまり、第2要求信号を受信した項目のみ、選択操作が可能に構成されている。処理が完了した項目は承認する必要がなく、第2要求信号を受信していない未処理の項目は、現時点で、権限を付与する必要がない。
【0099】
尚、図示は省略するが、「詳細」ボタンを選択操作することによって、外部装置に表示される画面に、店舗2の要求を否認するボタンを設けてもよい。操作者が否認ボタンを選択操作したときには、外部装置は、店舗2へ否認信号を送信する。
【0100】
また、図示は省略するが、「詳細」ボタンを選択操作したときに外部装置に表示される画面に、店舗2の監視カメラ25が撮影した画像を含めてもよい。画像は特に、店舗2の出納機21を操作している操作者を撮影した画像とすればよい。こうすることで、本店3のエリア責任者Wは、遠隔で、店舗2の出納機21の周囲の状況を把握することができるから、店舗2から要求されているワンタイム承認に対して、エリア責任者Wは適切に、承認、又は、否認を判断することができるようになる。
【0101】
図5のフローに戻り、ステップS515において、外部装置は、前述したように、操作者の操作に応じて、承認信号、又は、否認信号を、店舗2へ送信する。
【0102】
店舗2の出納機21は、ステップS57において、本店3からの承認信号を受信したか否かを判定する。否認信号を受信したときには、操作者は、処理を実行する権限を有しないため、出納機21は処理を中止する。フローは、そのままリターンする。一方、承認信号を受信したときには、フローは、ステップS58に進む。つまり、ワンタイム承認によって権限が付与された担当者B又はCが、出納責任者Aに代わって、処理を行う。
【0103】
ステップS58において出納機21は、処理を実行する前に、出納機21に収納している貨幣の在高を自動的に保存する。その後、フローはステップS59に進んで、操作者の操作に応じた処理を実行すると共に、処理を完了する。例えばバラ入金口装填処理を行うときには、出納機21の表示操作部217に、
図14に示すような、バラ紙幣をセットするためのガイダンス画面D9が表示される。操作者は、表示操作部217の表示に従って操作を行い、処理を実行及び完了する。
【0104】
ステップS59の後のステップS510において、出納機21は、(確認処理としての)精査処理を実行する。精査処理は、出納機21の在高を確認するための処理である。具体的には、出納機21の収納部に収納している紙幣及び硬貨を、一旦繰り出した後、収納部に収納し直す間に、紙幣及び硬貨の計数を行う。
【0105】
ステップS510の後、出納機21は、ステップS511において、担当者B又はCが代行して行った処理に関する情報を、本店3へ送信する。このときに送信する情報には、処理に関する記録(例えば、処理による入出金額、処理中にロックを解除した箇所、処理に要した時間等)、並びに、ステップS58において保存した処理前の在高の情報、及び、ステップS510において実行した精査処理の情報(処理後の金種別在高情報を含む)である。
【0106】
本店3の外部装置(ここでは特に、管理コンピュータ33)は、ステップS516において、送信された情報を受信すると共に、それを記憶する。管理コンピュータ33は、受信した情報に基づいて、処理が適正に行われたか否かを検証してもよい。検証の結果、異常が判明したときには、外部装置(例えば管理コンピュータ33)が異常に関する情報を画面に表示するとともに、自動的に、店舗2の管理コンピュータ23に、その旨を通知してもよい。
【0107】
尚、出納機21においては、処理の完了後に、ログデータを記憶部2110に記憶するが、このログデータには、担当者B又はCによる代行処理である旨が記憶されると共に、プリンタ216が出力するレシートにも、担当者B又はCによる代行処理である旨が印字される。
【0108】
第1の実施形態では、権限のワンタイム承認処理によって、所定の権限を有する人(前記の例では店舗2の出納責任者A)が、出納機21が設置された店舗2に不在のときでも、所定の権限を有しない人(前記の例では店舗2の担当者B又はC)が特定の処理を代行することができる。よって、店舗2における業務の遂行を円滑に行うことが可能になる。
【0109】
権限のワンタイム承認処理においては、所定の権限を有する操作者(前記の例では本店3のエリア責任者W)が、外部装置を通じて承認信号を送信したときのみ、権限が、担当者B又はCに一時的に付与されるから、職位に応じて定めた処理の制限を維持することができる。よって、貨幣処理システム1のセキュリティ性を確保することができる。
【0110】
また、ワンタイム承認を要求する登録を事前に行うことによって、担当者B又はCが処理を実行するときに、権限をスムースかつ、適切に付与することができ、処理をスムースに実行することが可能になる。
【0111】
尚、前記の構成では、ワンタイム承認を要求する登録を事前に行った後、担当者B又はCが処理を行うときに、店舗2から本店3に第2要求信号を送信することによって、ワンタイム承認に対する承認信号、又は、否認信号が、本店3から店舗2へ送信されるようにしているが、事前の登録を受けた後に、本店3のエリア責任者Wが、外部装置を操作することによって、予め承認信号、又は、否認信号を、本店3から店舗2へ送信するようにしてもよい。この構成においては、店舗2の出納機21は、受信した承認信号又は否認信号を記憶しておき、担当者B又はCが、出納責任者Aに代わって処理を行うときには、前述した第2要求信号を送信することを省略して、処理を実行することができる。
【0112】
また、前記の構成では、ワンタイム承認を要求する事前の登録を、所定の権限を有する操作者に制限している(前記の例では、店舗2の出納責任者Aのみ)ため、職位に応じて定めた処理の制限を維持することができる。よって、貨幣処理システム1のセキュリティ性を、より一層強固に確保することができる。
【0113】
尚、前述したワンタイム承認を要求する事前の登録を省略するようにしてもよい。こうすることによって、ワンタイム承認の要求を事前に登録することができないとき、例えば急病等の不測の事態によって出納責任者Aが不在になったようなときにおいても、本店3のエリア責任者Wが、ワンタイム承認処理により、店舗2の担当者B又はCに、所定の権限を一時的に付与することによって、店舗2において特定の処理を実行することが可能になる。店舗2における業務の遂行を、円滑に行うことができる。
【0114】
また、前述したワンタイム承認を要求する事前の登録を、権限によって制限しないで、誰でも行うことが可能にしてもよい。このように構成をしても、店舗2から要求されたワンタイム承認の承認/否認は、本店3のエリア責任者Wが行うため、貨幣処理システム1のセキュリティ性を確保することが可能である。
【0115】
尚、ワンタイム承認処理に関し、一回の処理に対して権限を、一時的に付与するのではなく、権限を、例えば一日中、付与することにしたり、権限を、例えば指定した時間帯にわたって、付与することにしたりしてもよい。こうすることで、権限が付与されている期間内においては、何回でも処理を実行することが可能になるから、店舗2の業務の遂行が、より一層円滑になる。
【0116】
(第2の実施形態、役席承認)
図15は、第2の実施形態における処理の手順に係るフローチャートを示している。第2の実施形態は、役席者の承認が必要な処理を店舗2において実行するときに、本店3の役席者Vの承認を要求する形態である。店舗2には役席者が常駐していないため、これまでは、役席承認が必要な処理は、店舗2において行うことができなかったが、この構成の貨幣処理システム1であれば、役席者が常駐していない店舗2においても、役席承認が必要な処理を実行することが可能になる。尚、この処理形態は、店舗2に役席者が常駐しているものの、休暇、出張、外出等によって不在であるときに、本店3の役席者Vが、店舗2における役席承認を行う状況にも適用が可能である。
【0117】
具体的に、この処理は、店舗2の担当者B若しくはC、又は、出納責任者Aが、本店3の役席者Vに対して承認を要求し、当該要求に応じて、本店3の役席者Vが、承認を行うことによって実現する。
【0118】
図15は、貨幣処理システム1の役席承認に係る処理に関し、店舗2の出納機21が実行するフローと、本店3の外部装置が実行するフローとを示している。外部装置は、前述したように、出納機31、管理コンピュータ33、タブレット端末331、スマートフォン332、及び、PC333を含む。
【0119】
先ず、店舗2の出納機21は、ステップS151において、認証操作があったか否かを判定する。出納機21における認証は、前記と同じである。操作者が、
図8に示す認証画面D3に担当者番号を入力すると共に、続いて表示操作部217に表示される画面に暗証番号を入力することによって、出納機21の認証部218は、操作者の認証を行う。認証操作があれば、フローはステップS152に進む。認証操作がなければ、フローは、ステップS151を繰り返す。
【0120】
認証操作後に、出納機21の表示操作部217には、
図9に示すメニュー画面D4が表示される。操作者が選択操作をした選択肢に応じて、下階層のメニュー画面が、表示操作部217に表示される。ここで、操作者が、メニュー画面D4において出金処理を選択操作したとする。出金操作を選択すると、例えば
図16に例示する出金画面D10が、出納機21の表示操作部217に表示される。この出金画面D10において、操作者は、出金金額等を入力する。
【0121】
出納機21は、ステップS153において、役席承認が必要であるか否かを判定する。役席承認が必要でないときは、担当者等が処理を実行し完了することができるため、フローはステップS157に進み、処理を完了する。一方、役席承認が必要なときには、フローはステップS154に進む。
【0122】
例えば担当者B又はC、又は、出納責任者Aが処理可能な出金限度額が定まっており、その限度額以上の出金処理を行うには、役席者の承認が必要であるとする。
図16に示す出金画面において限度額以上の出金を行おうとしたときには、ステップS153の判定がYESになる。
【0123】
ステップS153の判定がYESであれば、出納機21は、表示操作部217に、例えば
図17に例示する画面D11を表示する。この画面D11は、役席承認が必要である旨、及び、本店に役席承認を要求した旨が記載されている。出納機21は、ステップS154において、本店3に、役席承認の要求信号を送信する。出納機21はまた、この状態で処理を一時停止する。
【0124】
一方、本店3の外部装置は、ステップS158において、役席承認の要求信号を受けたか否か判定する。要求信号を受けていないときには、フローはステップS158を繰り返す。要求信号を受けたときには、フローはステップS159に進む。
【0125】
例えば
図18に示すように、ステップS159において、外部装置(図例では、本店3の出納機31)は画面D12を表示する。
図18に示す画面D12は、役席承認が要求されている旨が記載されている。操作者(ここでは役席者V)が、確認ボタンを選択操作すると共に、外部装置において認証操作を行うと、フローは、ステップS159からステップS1510に進む。認証操作を行わないと、フローは、ステップS158に戻る。
【0126】
ステップS1510において、外部装置は、
図19に例示するように、要求の詳細な内容を含む画面D13を表示する。
図19の例は、店舗において、ある担当者が、限度額以上の出金を行おうとしていることが記載されている。画面の内容は、役席承認を要求する処理の内容に応じて変更される。
【0127】
図19の画面D13において、役席者Vが「承認」ボタンを選択操作したときには、本店3の外部装置は、店舗2へ承認信号を送信する。一方、
図19の画面D13において、役席者Vが「却下」ボタンを選択操作したときには、本店3の外部装置は、店舗2へ否認信号を送信する。いずれのボタンを選択操作したときも、外部装置は、例えば
図20に例示する、承認者番号の入力画面D14を表示する。役席者Vは、画面D14において承認者番号を入力すると共に、暗証番号を入力すると、役席者Vの承認又は否認が確定したとして、外部装置は、ステップS1510において、承認信号又は否認信号を店舗2へ送信する。
【0128】
店舗2の出納機21は、ステップS155において、本店3の承認信号を受信したか否かを判定する。否認信号を受信したときには、処理を実行することができないため、フローはステップS156に進む。出納機21は、処理を途中終了する。
【0129】
尚、否認信号を受信したときに、処理を途中終了するのではなく、操作者が、出納機21において、処理の修正(例えば、出金金額の変更等)を行うことが可能になるように、フローは、ステップS152に戻るようにしてもよい。このようにすれば、処理の修正を行った後、役席承認が必要であれば、出納機21は、ステップS154において、もう一度、本店3に役席承認の要求信号を送信する。
【0130】
一方、ステップS155において、承認信号を受信したときには、フローはステップS157に進む。出納機21は、処理をそのまま継続し、完了する。その結果、ここで説明をした例では、
図21に画面D15を例示するように、店舗2において、限度額以上の出金処理を完了することができる。
【0131】
第2の実施形態では、所定の権限を有する操作者(前記の例では役席者V)が、本店3の外部装置を操作することによって承認信号を、店舗2へ送信すれば、店舗2の出納機21が実行する処理について役席承認をすることができる。この構成により、役席者Vが、店舗2に常駐していなくても、店舗2において役席承認が必要な処理を、いつでも行うことができる。店舗2における業務の遂行が円滑になる。
【0132】
尚、本店3の役席者Vが、例えば巡回等によって店舗2に来店したときには、役席者Vが店舗2の出納機21を操作することによって役席承認を行うようにしてもよい。その場合、本店3の外部装置において役席承認をする操作は不要になるため、店舗2の出納機21は、本店3へ送信した役席承認の要求信号をキャンセルする信号を、送信すればよい。こうすることで、一つの処理について、役席承認を二重に行うことがなくなり、貨幣処理システム1における処理の正確性が高まると同時に、セキュリティ性も向上する。
【0133】
図22のフローは、貨幣処理システム1の役席承認に係る、別の処理の例として、店舗2における締め上げ処理時の役席承認を要求する手順に関する。
図22も、店舗2の出納機21が実行するフローと、本店3の外部装置が実行するフローとを示している。外部装置は、前述したように、出納機31、管理コンピュータ33、タブレット端末331、スマートフォン332、及び、PC333を含む。
【0134】
店舗2の出納機21は、ステップS221において、認証操作があったか否かを判定する。出納機21における認証は、前記と同じである。認証操作があれば、フローはステップS222に進む。認証操作がなければ、フローは、ステップS221を繰り返す。
【0135】
ステップS222において、出納機21は、認証をした操作者による締め上げ操作があったか否かを判定する。締め上げ操作があったときには、フローは、ステップS223に進む。締め上げ操作がないときには、フローはステップS221に戻る。
【0136】
ステップS223において、出納機21は、本店3に対し、ネットワーク4を介して、締め上げ処理に関する役席承認の要求信号を送信する。出納機21は、この後、処理を一時停止する。
【0137】
本店3の外部装置は、ステップS225において、店舗2からの締め上げ処理に関する役席承認の要求信号を受信したか否かを判定する。要求信号を受けたときには、フローは、ステップS226に進む。要求信号を受けていないときには、フローはステップS225を繰り返す。
【0138】
例えば、外部装置としての本店3の出納機31は、
図23に示すように、締め上げ処理に関する役席承認の要求が来たときには、待機画面D16に、「支店情報」としてアイコンを表示するようにしてもよい。本店3の役席者Vが、出納機31において認証操作を行うと、ステップS226の判定がYESになり、フローはステップS227に進む。役席者Vが、待機画面D16のアイコンを選択操作すると、
図24に示すように、店舗名と、締め上げ承認待ちのステータス情報を含む画面D17は、出納機31の表示操作部317に表示される。操作者である役席者Vは、出納機31の操作を行うことにより、店舗2の締め上げ表を出表したり、店舗2の出納機21のデータクリアを遠隔で行ったりする。
【0139】
そうして、画面D17において、役席者Vが「確定」ボタンを選択操作し、それに続いて出納機31に表示される、暗証番号入力画面D18(
図25参照)において、役席者Vが暗証番号を入力すれば、ステップS227において、本店3の外部装置は、承認信号を店舗2へ送信する。一方、役席者Vは、否認するときには、別途の操作を行う。本店3の外部装置は、否認信号を、店舗2へ送信することになる。
【0140】
店舗2の出納機21は、ステップS224において、承認信号を受信したか否かを判定し、承認信号を受信するまでステップS224を繰り返す。承認信号を受信したときには、締め上げ処理が完了する。店舗2の担当者等は、出納機21をダウンさせる。尚、店舗2の担当者等は、承認信号を受信したときに、控えの締め上げ表を出表してもよい。
【0141】
このように、店舗2に役席者Vが常駐していないときに、役席者Vは、遠隔で役席承認を行うことができ、利便性が高まる。
【0142】
尚、前述したように、本店3の役席者Vが店舗2に来店したときに、役席者Vが店舗2の出納機21を操作することによって、締め上げ処理の役席承認を行うようにしてもよい。
【0143】
さらに、店舗2から本店3に、締め上げ作業の役席承認を要求することに応じて、本店3の役席者Vが、個別に役席承認を行うのではなく、店舗2から本店3に、締め上げ作業の役席承認を要求した後、本店3の締め上げ処理を行うときに、本店3とあわせて、店舗2の締め上げ処理に対する役席承認が完了するようにしてもよい。この構成は、一つの本店3が、複数の店舗2の管理を行う貨幣処理システム1において、業務を効率化する。
【0144】
さらに、
図22のフローでは、店舗2の出納機21が、ステップS223において役席承認の要求信号を送信した後、ステップS224において本店3から送信される承認信号を待つようにしているが、店舗2の出納機21が、ステップS223において役席承認の要求信号を送信した後、承認信号を待つことなく、締め上げ処理を完了するようにしてもよい。
【0145】
(第3の実施形態、二者承認)
図26は、第3の実施形態における処理の手順に係るフローチャートを示している。第3の実施形態は、所定の権限を有する複数人の承認(いわゆる二者承認)が必要な処理を店舗2において実行するときに、本店3のエリア責任者Wの承認を要求する形態である。具体的には、店舗2の出納責任者Aと、本店3のエリア責任者Wとの両方が承認を行う。これまでは、店舗2には、出納責任者A以上の職位の係員が一人しか駐在していないため、二者承認が必要な処理を、店舗2においては実行することができなかったが、この構成の貨幣処理システム1であれば、本店3のエリア責任者Wが、遠隔で承認を行うことにより、店舗2においても、二者承認が必要な処理を実行することが可能になる。尚、二者承認は、例えば損券や損貨に対する承認時、出納機のエラー解除に対する承認時、及び、システム使用開始時の承認時に必要となる。
【0146】
図26は、貨幣処理システム1の二者承認に係る処理に関し、店舗2の出納機21が実行するフローと、本店3の外部装置が実行するフローとを示している。外部装置は、前述したように、出納機31、管理コンピュータ33、タブレット端末331、スマートフォン332、及び、PC333を含む。
【0147】
店舗2の出納機21は、ステップS261において、認証操作があったか否かを判定する。出納機21における認証は、前記と同じである。認証操作があれば、フローはステップS262に進む。認証操作がなければ、フローは、ステップS261を繰り返す。ここにおいて、二者承認の内の一人は、店舗2の出納責任者Aである。従って、出納責任者Aが、出納機21において認証操作を行う。
【0148】
認証操作後に、出納機21は、操作者の操作に応じた処理を行う。そして、ステップS262において、出納機21は、二者承認が必要であるか否かを判定する。二者承認が不要であれば、フローは、ステップS269に進む。つまり、操作者は処理を実行し完了することができるため、そのまま処理を完了する。ステップS262において、二者承認が必要であると判定すると、フローは、ステップS263に進む。
【0149】
ステップS263において、出納機21は、本店3に対応要求信号を送信する。対応要求信号は、二者承認の対応を要求するための信号であり、承認を要求する信号とは異なる。
【0150】
本店3の外部装置は、ステップS2611において、対応要求信号を受信したか否かを判定する。対応要求信号を受信していないときには、フローは、ステップS2611を繰り返す。対応要求信号を受信したときには、フローはステップS2612に進む。
【0151】
本店3の外部装置は、ステップS2612において、認証操作があったか否かを判定する。認証操作がないときには、フローはステップS2611に戻る。二者承認を行うことができるエリア責任者Wの認証操作があったときには、フローはステップS2613に進む。
【0152】
ステップS2613において、本店3の外部装置は、対応OK信号を、店舗2へ送信する。
【0153】
店舗2の出納機21は、ステップS264において、対応OK信号を受信したか否かを判定し、受信していないときには、ステップS264を繰り返す。対応OK信号を受信したときには、フローは、ステップS265に進む。本店3からの対応OK信号を受信しないと、店舗2においては、二者承認に係る処理を進めることができない。
【0154】
店舗2の出納機21は、ステップS265において、操作者の操作に応じて処理を実行する。例えば
図27は、損券の入金処理に関し、出納機21の表示操作部217に表示される画面例である。
図27の画面D19において、損/旧券の入金を選択すると、
図28に示すように、入金対象の紙幣のセットを促す画面D20が、出納機21の表示操作部217に表示される。操作者は、表示操作部217の表示に従って、損券の入金処理を行う。
【0155】
損券等の入金時には損券等の画像が取得される。
図29は、出納機21が取り込んだ損券の画像を表示する画面D21である。操作者は、この画面D21を見ながら、当該紙幣の金種等の選択を行う。
図29の画面D21において、操作者が「確定」ボタンを選択操作すると、店舗2の出納機21における損券の入金処理の操作が完了する。このときに、二者承認のうちの一人の承認が行われたことになる。出納機21は、ステップS266において、損券の画像データや選択結果を含む入金情報と、その承認要求信号を、本店3へ送信する。
【0156】
本店3の外部装置は、ステップS2614において、承認要求信号を受信したか否かを判定する。受信していないときには、フローは、ステップS2614を繰り返し、承認要求信号を受信したときには、フローは、ステップS2615に進む。
【0157】
ステップS2615において、本店3の外部装置は、操作者の操作に応じた処理を実行する。具体的に、二者承認を行うときには、
図30に示すように、外部装置(ここでは、本店3の出納機31)に表示されるメニュー画面D22において、「16.券面貨面入力確認」を選択操作する。これにより、
図31に示す画面D23が、外部装置に表示される。この画面D23は、二者承認が必要な処理を、リスト形式で表示している。二者承認が必要な処理は、当該画面D23において、「未確認」として表示されている。
【0158】
操作者が、画面D23において所望の項目を選択操作すると、選択した項目に関する画面D24が、本店3の外部装置に表示される(
図32参照)。この画面D24には、店舗2の出納機21において撮像した損券等の画像と、店舗2の出納機21において、出納責任者Aが選択した金種等の情報とが含まれている。操作者(ここでは、本店3のエリア責任者W)は、画面D24を見て内容を確認し、承認するのであれば、「承認」ボタンを選択操作する。外部装置は、店舗2へ承認信号を送信する(ステップS2615)。尚、承認することができないときには、操作者は別途の操作を行うことによって、否認信号を店舗2へ送信する。
【0159】
店舗2の出納機21は、ステップS267において、承認信号を受信したか否かを判定する。承認信号を受信していないときには、処理を完了することができないため、フローは、ステップS268に進む。店舗2の出納機21は、処理を途中で終了する。取り込まれた損券は、所定の収納部に収納され、入金情報は未処理データとして保存される。
【0160】
尚、前述したように、否認信号を受信したときに、処理を途中終了するのではなく、操作者が、出納機21において、処理の修正を行うことが可能になるように、フローは、ステップS265に戻るようにしてもよい。このようにすれば、処理の修正を行った後、出納機21は、ステップS266において、もう一度、本店3に承認要求信号を送信することができる。
【0161】
また、本店3において、エリア責任者Wが、画面D24の「訂正」ボタンを選択操作することによって、金種の選択等を、訂正するようにしてもよい。この場合は、本店3から店舗2へ、修正した内容に対する二者承認を要求する信号が送信されることになる。
【0162】
ステップS267において、承認信号を受信したときには、フローは、ステップS269に進む。これにより、出納機21の表示操作部217に表示される画面D25(
図33参照)において、「完了」ボタンを選択操作することができるようになる。操作者が、「完了」ボタンを選択操作すると、処理が完了する。その後、出納機21は、ステップS2610において、記録情報を、本店3へ送信する。
【0163】
本店3の外部装置(ここでは、本店3の管理コンピュータ33)は、ステップS2616において、店舗2からの記録情報を受信し、それを記憶する。
【0164】
尚、出納機21においては、処理の完了後に、ログデータを記憶部2110に記憶するが、このログデータには、店舗2の出納責任者Aと、本店3のエリア責任者Wとによる二者承認である旨が記憶されると共に、プリンタ216が出力するレシートにも同様に、店舗2の出納責任者Aと、本店3のエリア責任者Wによる二者承認である旨が印字される。
【0165】
また、ステップS2616において、本店3が記憶する情報にも、同様に、店舗2の出納責任者Aと、本店3のエリア責任者Wとによる二者承認である旨が記憶される。
【0166】
第3の実施形態では、所定の権限を有する人(前記の例では店舗2の出納責任者A)が、出納機21を操作すると共に、本店3のエリア責任者Wが外部装置を操作することによって、店舗2と本店3との間で、二者承認を行うことができる。この構成によって、店舗2に、所定の権限を有する人が複数人、常駐していなくても、店舗2において二者承認が必要な処理を、いつでも行うことができる。店舗2における業務の遂行が円滑になる。
【0167】
尚、店舗2において、担当者B又はCが出納機21を操作することによって処理を行う場合には、店舗2の出納責任者Aが出納機21を操作することによって、二者承認の内の一つの承認を行うと共に、本店3のエリア責任者Wが、前述したように、承認を行えばよい。
【0168】
また、店舗2において、担当者B又はCが出納機21を操作することによって処理を行う場合には、本店3の役席者V及びエリア責任者Wの承認をそれぞれ受けることによって、二者承認としてもよい。
【0169】
尚、
図26のフローのステップS2613において、本店3が対応OK信号を店舗2に送信した後、店舗2においては、監視カメラ25が撮影した画像を、本店3へ送信するようにしてもよい。画像は特に、店舗2の出納機21を操作している操作者を撮影した画像とすればよい。こうすることで、本店3のエリア責任者Wは、遠隔で、店舗2の出納機21の周囲の状況を把握しながら、二者承認に係る処理を行うことができる。
【0170】
また、二者承認を行うときに、店舗2と本店3との間の通話機能を追加するようにしてもよい。こうすることで、二者承認が必要な処理を、スムースかつ、適切に、実行することができる。
【0171】
尚、前述した、第1の実施形態、第2の実施形態、及び、第3の実施形態は、互いに組み合わせることも可能である。