(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1シリンダ部は、先端の端面における、前記第1シリンダ部の軸心から所定距離だけ離れた位置に、試料を採取するキャピラリ部を有する請求項1乃至4のいずれかに記載の試料調液装置。
前記キャップ部は、前記キャピラリ部が前記第1シリンダ部の軸心から隔てられる方向と同一の方向に、前記キャップ部の軸心に沿って形成される平面部を有する請求項5乃至9のいずれかに記載の試料調液装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
図1は本実施形態に係る試料調液装置1の構成を示す斜視図、
図2は試料調液装置1の構成を示す断面図、
図3は試料調液装置1の試料採取部11に用いられるキャップ部13の構成を示す斜視図、
図4は試料採取部11に用いられる第1シリンダ部14の構成を示す正面図、
図5は第1シリンダ部14の先端部31の構成を示す斜視図、
図6は第1シリンダ部14の第1被固定部41の構成を示す斜視図、
図7は試料採取部11の構成を示す斜視図、
図8は第1シリンダ部14の第2被固定部42の構成を示す斜視図、
図9は試料調液装置1の試料調液部12に用いられる調液容器15の構成を示す斜視図である。
【0010】
図1及び
図2に示されるように、試料調液装置1は、試料採取部11、及び試料調液部12を有する。試料採取部11は、先端が被検者から試料を採取可能に形成されている。試料としては、例えば、全血等の体液が想定される。試料調液部12は、
図1に示されるように、試料採取部11の先端側から覆い被さり、内部に試料採取部11を収容する。
【0011】
試料採取部11は、
図1及び
図2に示されるように、採取した試料と混合させるための試料処理液を格納する第1シリンダ部14と、第1シリンダ部14に対するプランジャの役割を果たすキャップ部13とを備えている。試料処理液は、例えば緩衝液等である。キャップ部13、及び第1シリンダ部14には、熱硬化性樹脂材料、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリスチレン(PS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が用いられる。
【0012】
キャップ部13は、
図2及び
図3に示されるように、円筒状の外郭部21と、外郭部21の軸心方向に沿って形成されるプランジャ部22と、外郭部21の一端及びプランジャ部22の一端と一体に形成される台座部23とを備えている。
【0013】
外郭部21は、第1開口部21aから、第1シリンダ部14の後端部32を収容可能に形成される。具体的には、外郭部21は、その内径が、後端部32の外径よりも若干大径に形成されている。また、外郭部21は、第1シリンダ部14の、外郭部21の軸心方向への移動を制限可能に、かつ、第1シリンダ部14が外郭部21の軸心方向に沿って移動可能に形成されている。
【0014】
外郭部21は、第1案内部21bと、第2案内部21cとを備えている。第1案内部21bは、外郭部21の軸心方向に沿って延設されるスリットである。第1案内部21bは、第1開口部21aに面して開口する第1スリット部21dと、第1固定部21eと、第2スリット部21fとを有している。第1スリット部21dは、第1シリンダ部14の後端部32の第1被固定部41に備えられている第1被案内部41cを、外郭部21の軸心方向に沿って摺動可能なように形成されている。具体的には、第1スリット部21dは、その幅が、第1被案内部41cの幅よりも若干大きめに形成されている。
【0015】
第1固定部21eは、第1シリンダ部14の後端部32の第1被固定部41を固定可能に形成されている。具体的には、第1固定部21eは、第1スリット部21dと連通して台座部23側へ設けられる、第1被固定部41の第1円柱部41bの直径より若干大径の直径を有する円形の孔である。第1固定部21eを円形の孔とすることにより、第1円柱部41bとの接触面積が増大し、キャップ部13のプランジャ部22が第1シリンダ部14の第1プラグ34及び第2プラグ35を先端部31側へ押し込むのを防ぐことが可能となる。第1固定部21eは、形成される位置が、第1シリンダ部14に格納される第2プラグ35の位置に基づいて決定される。
【0016】
第2スリット部21fは、第1シリンダ部14の後端部32の第1被固定部41に備えられている第1被案内部41cを、外郭部21の軸心方向に沿って摺動可能なように形成されている。具体的には、第2スリット部21fは、第1固定部21eと連通して台座部23側へ延設される。第2スリット部21fは、その幅が、第1被案内部41cの幅よりも若干大きめに形成されている。第2スリット部21fは、その端部の位置が、プランジャ部22を第1シリンダ部14に対して押し込み可能な位置に基づいて決定される。
【0017】
第2案内部21cは、第1案内部21bと外郭部21の軸心を挟んで対向する位置に、軸心方向に沿って延設されるスリットである。第2案内部21cは、第1開口部21aに面して開口する第3スリット部21gと、第3スリット部21gと連通して台座部23側へ延設される第4スリット部21hとを有している。第3スリット部21gは、第1シリンダ部14の後端部32の第2被固定部42に備えられている第2被案内部42cを軸心方向に沿って摺動可能に形成されている。具体的には、第3スリット部21gは、その幅が、第2被案内部42cの幅よりも若干大きめに形成されている。
【0018】
第4スリット部21hは、第1シリンダ部14の後端部32の第2被固定部42に備えられている第2円柱部42bの、第3スリット部21gへの侵入を制限可能に、かつ、第2円柱部42bを軸心方向に沿って摺動可能に形成されている。具体的には、第4スリット部21hは、第3スリット部21gとの連通部が、第2円柱部42bの直径よりも若干大径の略半円形状に形成されている。また、第4スリット部21hは、その幅が、第2円柱部42bの直径よりも若干大きめに形成されている。第4スリット部21hは、その半円形状の位置が、第1固定部21eよりも所定距離だけ第1開口部21a側に形成されている。また、第4スリット部21hは、台座部23側の端部の位置が、第2スリット部21fの台座部23側の端部の位置よりも所定距離だけ第1開口部21a側に形成されている。
【0019】
プランジャ部22は、第1シリンダ部14の第2開口部43に挿入可能に形成される。プランジャ部22は、第1溝部22aと、第2溝部22bとを有する円柱形状に形成されている。プランジャ部22は、その外径が、第1シリンダ部14の後端部32の内径よりも若干小径に形成されている。
【0020】
第1溝部22aは、第1案内部21bと対向する位置に、プランジャ部22の軸心方向に延接される。第1溝部22aは、第1シリンダ部14の後端部32の第1被固定部41に備えられている第1梁部41aが中心方向に撓んだ場合に、第1被固定部41がプランジャ部22の軸心方向に移動可能に形成されている。具体的には、第1溝部22aは、その幅が、第1梁部41aの幅よりも若干大きめに形成され、かつ、その深さが、第1被案内部41cが中心方向に押し込まれる距離よりも若干大きめに形成されている。
【0021】
第2溝部22bは、第2案内部21cと対向する位置に、プランジャ部22の軸心方向に延接される。第2溝部22bは、第1シリンダ部14の後端部32の第2被固定部42に備えられている第2梁部42aが中心方向に撓んだ場合に、第2被固定部42がプランジャ部22の軸心方向に移動可能に形成されている。具体的には、第2溝部22bは、その幅が、第2梁部42aの幅よりも若干大きめに形成され、その深さが、第2被案内部42cが中心方向に押し込まれる距離よりも若干大きめに形成されている。
【0022】
プランジャ部22は、第2プラグ35と当接する側の端部に芯部22cを有している。芯部22cは、第2プラグ35に設けられる第1穴部35cに嵌合可能に形成されている。具体的には、芯部22cは、その外径が、第1穴部35cの内径と略同一に形成される。
【0023】
台座部23は、外郭部21、及びプランジャ部22と一体に形成される。台座部23は、キャップ部13を直立可能に形成されている。具体的には、台座部23は、外郭部21及びプランジャ部22が形成される端部とは他方の端部に、外郭部21の軸心に対して垂直方向に形成される第1平面部23aを有している。台座部23は、第1案内部21bが形成される方向と略同一の方向に、外郭部21の軸心に沿って形成される第2平面部23bを有している。第2平面部23bにより、試料調液装置1が転倒した場合であっても、転倒後に試料調液装置1が回転することを防ぐことが可能となる。
【0024】
第1シリンダ部14は、
図2及び
図4に示されるように、同軸上に異なる径で形成され、一端に端面を有する円筒状の部材であって、試料調液部12の調液容器15に挿入可能、かつ、キャップ部13に収容可能に形成されている。具体的には、第1シリンダ部14は、その一端側から他端側に向かって先端部31と、後端部32とを備えている。
【0025】
先端部31は、試料調液部12の調液容器15に設けられる第2シリンダ部51側の端面に、円筒状に形成されるキャピラリ部31aを有している。キャピラリ部31aは、
図5に示されるように、第1シリンダ部14の軸心からオフセンターされた位置、換言すると、第1シリンダ部14の軸心から所定距離だけ離れた位置に形成される。これにより、試料を採取している際のキャピラリ部31aの先端の視認性が向上し、試料位置とキャピラリ部31aとの相対位置が認識しやすくなる。また、キャピラリ部31aは、中心が、後述する第1プラグ34が有する円柱突起部34cの外周面よりも、第1シリンダ部14の軸心から隔てられた位置に形成されている。すなわち、第1シリンダ部14の軸心からキャピラリ部31aの中心までの距離は、第1シリンダ部14の軸心から円柱突起部34cの外周面までの距離よりも大きい。
【0026】
キャピラリ部31aの内径及び長さは、採取する試料の量に応じて調整可能である。キャピラリ部31aは、透明、又は半透明の材料により、形成されてもよい。透明、又は半透明の材料で形成することで、血液等の色のついた試料を採取する際の視認性を向上させ、確実に一定量の試料を採取することが可能となる。
【0027】
先端部31は、試料調液部12の調液容器15に設けられる第2シリンダ部51に対するピストンの役割を果たすことが可能に形成されている。具体的には、先端部31は、その外径が第2シリンダ部51の内径よりも小さく形成されている。また、先端部31は、その外周面に設けられ、調液容器15の第2シリンダ部51の内周面と当接する密封部材31bを備えている。密封部材31bには、弾性変形可能な樹脂材料、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPTE、PDM)、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム(FKM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム(VMQ)若しくはクロロプレンゴム(CR)等のゴム系の樹脂材料、又は、低密度ポリエチレン(LDPE)、軟質塩化ビニル(PVC)、ナイロン(PA)、ポリウレタン(PU)若しくはテフロン(登録商標)等の合成樹脂系の樹脂材料が用いられる。
【0028】
密封部材31bは、オーバーモールド成型により形成される。密封部材31bは、先端部31側の端部に設けられる第1シール部31cと、後端部32側の端部に設けられる第2シール部31dとを備えている。第1シール部31cは、密封部材31bに設けられる円環状の突起である。第1シール部31cは、第1シリンダ部14が調液容器15の第2シリンダ部51に挿入された場合に、一部弾性変形することで、先端部31の外周面と第2シリンダ部51の内周面との隙間を密閉する。第2シール部31dは、密封部材31bに設けられる円環状の突起である。第2シール部31dは、第1シリンダ部14が調液容器15の第2シリンダ部51に挿入された場合に、一部弾性変形することで、先端部31の外周面と第2シリンダ部51の内周面との隙間を密閉する。
【0029】
密封部材31bは、後端部32に設けられる第2被固定部42が形成される方向と略同一の方向に窓部31eを有している。窓部31eにより、先端部31の外周面が露出される。
【0030】
先端部31は、窓部31eにより露出される外周面にバイパス部31fを有している。バイパス部31fは、第1シリンダ部14の軸心方向に並べて形成される第1孔部31gと、第2孔部31hとを有している。第1孔部31gは、第1シール部31c側に形成されている。第2孔部31hは、第2シール部31d側に形成されている。第1孔部31g及び第2孔部31hは、その間に、第1プラグ34が有する第3シール部34aと、第4シール部34bとを収容可能に形成されている。密封部材31bは、バイパス部31fを取り囲むようにバイパスシール部31iを備えている。バイパスシール部31iは、円環状の突起であり、第1シリンダ部14が調液容器15の第2シリンダ部51に挿入された場合に、一部弾性変形することで、先端部31の外周面と第2シリンダ部51の内周面との隙間を密閉する。
【0031】
後端部32は、円環状に設けられた面取り部である第1角部33を介して先端部31と一体に形成される。後端部32は、その外径が、先端部31の外径よりも若干大径に形成されている。また、後端部32は、その内径が、先端部31の内径と同一となるように形成されている。
【0032】
後端部32は、キャップ部13に収容可能に形成されている。具体的には、後端部32は、その外径が外郭部21の内径よりも小さく形成され、かつ、その内径がプランジャ部22の外径よりも大きく形成されている。また、後端部32は、後端部32の第2開口部43から第1角部33の後端部32側の端部までの長さが、外郭部21の第1開口部21aから台座部23の外郭部21側の主面までの長さと略同一に形成されている。
【0033】
後端部32は、第1シリンダ部14の軸心を介して対向する方向に第1被固定部41と、第2被固定部42とを有している。第1被固定部41は、キャップ部13の第1固定部21eに固定可能に形成されている。具体的には、第1被固定部41は、
図6に示されるように、第1梁部41aと、第1円柱部41bと、第1被案内部41cとを有している。
【0034】
第1梁部41aは、先端部31側から後端部32方向へ、第1シリンダ部14の軸心に沿って延接される片持ち梁である。第1円柱部41bは、第1梁部41aの先端に形成される円柱状の突起である。第1円柱部41bは、第1梁部41a表面からの高さが、キャップ部13の外郭部21の厚さより若干大きめに形成されている。第1円柱部41bは、形成される位置が、第1シリンダ部14に格納される第2プラグ35の位置に基づいて決定される。
【0035】
第1被案内部41cは、第1円柱部41bの頂部に形成される突起である。第1被案内部41cは、後端部32の円周方向に一定の幅を有するように形成されている。また、第1被案内部41cは、第1円柱部41bの軸心方向の高さが、先端部31側から後端部32側へ向けて徐々に増加するように形成されている。また、第1被案内部41cは、高さの増加勾配が、先端部31側から後端部32側へ向けて緩やかになるように形成されている。換言すると、第1被案内部41cは、その頂部、すなわち後述する調液容器15の内壁から応力を受ける部位が丸みを帯びた形状となっている。これにより、試料採取部11が試料調液部12に収容される場合に、調液容器15の内壁に第1被案内部41cが引っかかることを防止することが可能となる。第1シリンダ部14がキャップ部13に収容され、第1円柱部41bが第1固定部21eにより固定される場合、
図7に示されるように、第1被案内部41cは、外郭部21の表面から突出する。
【0036】
第2被固定部42は、試料調液部12の調液容器15の第1収納部52に設けられる第5スリット部52dの端部、及び終端固定部52fに固定可能に形成されている。具体的には、第2被固定部42は、
図8に示されるように、第2梁部42aと、第2円柱部42bと、第2被案内部42cとを有している。
【0037】
第2梁部42aは、後端部32側から先端部31方向へ、第1シリンダ部14の軸心に沿って延接される片持ち梁である。第2円柱部42bは、第2梁部42aの先端に形成される円柱状の突起である。第2円柱部42bは、第2梁部42a表面からの高さが、キャップ部13の外郭部21の厚さ及び調液容器15の第1収納部52の厚さの和より若干大きめに形成されている。第2円柱部42bは、その位置が、第1被固定部41の第1円柱部41bよりも所定距離だけ先端部31側に形成されている。
【0038】
第2被案内部42cは、第2円柱部42bの頂部に形成される突起である。第2被案内部42cは、後端部32の円周方向に一定の幅を有するように形成されている。また、第2被案内部42cは、第2円柱部42bの軸心方向の高さが、先端部31側から後端部32側へ向けて徐々に増加するように形成されている。
【0039】
第1シリンダ部14は、その内部に、弾性変形可能な樹脂材料により形成される第1プラグ34と、第2プラグ35とを有している。第1プラグ34は先端部31側に配置され、第2プラグ35は後端部32側に配置される。第1プラグ34、及び第2プラグ35は、第1シリンダ部14内に収容される試料処理液を密封可能に形成されている。具体的には、第1プラグ34は、先端部31側に設けられる第3シール部34aと、後端部32側に設けられる第4シール部34bとを備えている。第3シール部34a、及び第4シール部34bは、第1プラグ34に設けられる円環状の突起である。第3シール部34a、及び第4シール部34bは、第1シリンダ部14の内周面と当接し、一部弾性変形することで、第1シリンダ部14の内周面と第1プラグ34との隙間を密閉する。また、第1プラグ34は、第1シリンダ部14の先端側の端面に、円柱状の円柱突起部34cを備えている。
【0040】
第2プラグ35は、先端部31側に設けられる第5シール部35aと、後端部32側に設けられる第6シール部35bとを備えている。第5シール部35a、及び第6シール部35bは、第2プラグ35に設けられる円環状の突起である。第5シール部35a、及び第6シール部35bは、第1シリンダ部14の内周面と当接し、一部弾性変形することで、第1シリンダ部14の内周面と第2プラグ35との隙間を密閉する。第1シリンダ部14は、その内周面と、第1プラグ34と、第2プラグ35とにより形成される密閉空間に試料処理液を封入する。第1プラグ34の位置と、第2プラグ35の位置とは、試料と試料処理液との混合比率(希釈倍率)に基づいて決定される。
【0041】
第2プラグ35は、後端部32側の端面に、プランジャ部22の芯部22cを挿入可能な第1穴部35cを有している。第2プラグ35の内部に剛性の高い芯部22cを挿入することにより、第2プラグ35の座屈を防止することが可能となる。これにより、先端部31の内周面への圧力が増し、第1プラグ34と、第2プラグ35との間に格納される試料処理液の漏出を防止することが可能となる。
【0042】
試料調液部12は、
図1及び
図2に示されるように、試料採取部11で採取された試料を調液する調液容器15と、調液された溶液を吐出するノズルチップ16とを備えている。調液容器15、及びノズルチップ16には、熱硬化性樹脂材料が用いられる。
【0043】
調液容器15は、その内部に試料採取部11を収納可能に形成されている。調液容器15は、
図2に示されるように、第2シリンダ部51と、第1収納部52とが一体に形成される。調液容器15は、第2シリンダ部51と、第1収納部52との間に、第2角部53を備えている。第2角部53は、調液容器15の内周面に円環状に設けられる面取り部である。
【0044】
第2シリンダ部51は、一端に端面を有する円筒状の部材であって、その内部に、第1シリンダ部14が挿入可能に形成されている。具体的には、第2シリンダ部51は、その内径が第1シリンダ部14の外径よりも若干大径に形成されている。第2シリンダ部51の内周面と、第1シリンダ部14の外周面との隙間は、密封部材31bの第1シール部31c及び第2シール部31dにより密閉される。
【0045】
第2シリンダ部51は、第1シリンダ部14のキャピラリ部31aと対向する位置に、キャピラリ部31aを収容可能な第2穴部51aを有している。具体的には、第2穴部51aは、その内径がキャピラリ部31aの外径より若干大径に形成されている。また、第2穴部51aは、その深さが、第1シリンダ部14の端面からキャピラリ部31aの先端までの長さより若干長く形成されている。第2シリンダ部51は、第2穴部51aが形成される端面に、第3孔部51bを有している。第3孔部51bは、キャピラリ部31aと第1シリンダ部14の軸心を介して対向する位置に形成される、スリット状の孔部である。第3孔部51bは、調液容器15からノズルチップ16へ、試料と試料処理液とが混合された試料混合液を流入させる流路となる。
【0046】
第2シリンダ部51は、ノズルチップ16側の端部に被接続口51cを備えている。被接続口51cは、ノズルチップ16の接続口71と嵌合可能に形成されている。具体的には、被接続口51cは、
図9で示されるように、円環状に突出する第1縁部51dと、凹部51eとを備えている。凹部51eは、その内径が接続口71に設けられる突起部71bの外径と略同一に形成されている。凹部51eは、接続口71の突起部71bと嵌合する。第1縁部51dは、その主面と、接続口71に設けられる第2縁部71aの主面とが、超音波溶着等の手法を用いて接着される。これにより、調液容器15と、ノズルチップ16との接続部から流体が漏出することを防止することが可能となる。
【0047】
第2シリンダ部51は、凹部51eに第3孔部51bを覆うように膜54を有している。具体的には、膜54は、その直径が、凹部51eの内径と略同一となるように形成されている。膜54には、弾性変形可能な樹脂材料が用いられる。膜54は、その縁部に円環状に接着剤が塗布され、接着剤が塗布された縁部により凹部51eに接着される。なお、接着剤により、反応系に影響を与える恐れがある場合には、膜54を凹部51eの表面に置き、凹部51eに膜54の縁部を円環状に超音波溶着してもよい。膜54は、凹部51eに接着される縁部を除く所定の位置に、極小穴を有する。
【0048】
第2シリンダ部51は、外周面の一部に、第1把持部51fを有している。第2シリンダ部51は、その外径が、第1収納部52の外径よりも小径に形成されている。第1把持部51fは、第1収納部52へ向けて第2シリンダ部51の外径が第1収納部52の外径まで増加し、かつ、外径の増加勾配が第1収納部52へ向けて増加するように形成されている。
【0049】
第1収納部52は、キャップ部13の外郭部21を、第3開口部52aから収容可能に形成されている。具体的には、第1収納部52は、その内径が外郭部21の外径よりも大径に形成されている。また、第1収納部52は、第3開口部52aから第2角部53の第1収納部52側端面までの長さが、外郭部21の第1開口部21aから台座部23の外郭部21側の主面までの長さと略同一に形成されている。
【0050】
第1収納部52は、第3開口部52aの内面側の縁部にテーパー部52bを有している。テーパー部52bは、第3開口部52aの内面側の縁部に円環状に形成される。なお、テーパー部52bは、縁部の一部、例えば、第1収納部52の第3案内部52cと調液容器15の軸心を挟んで対向する位置に、所定の幅を持って形成されても良い。
【0051】
第1収納部52は、試料採取部11の、調液容器15の軸心方向への移動を制限可能に、かつ、試料採取部11が調液容器15の軸心方向に沿って移動可能に形成されている。具体的には、第1収納部52は、第3案内部52cを備えている。第3案内部52cは、調液容器15の軸心方向に沿って延設されるスリットである。第3案内部52cは、第3開口部52aに面して開口する第5スリット部52dと、第6スリット部52eと、終端固定部52fとを有している。
【0052】
第5スリット部52dは、第1シリンダ部14の後端部32の第2被固定部42に備えられている第2円柱部42bを軸心方向に沿って摺動可能に、かつ、第2円柱部42bの第6スリット部52eへの侵入を制限可能に形成されている。具体的には、第5スリット部52dは、その幅が、第2円柱部42bの直径よりも若干大きめに形成されている。また、第5スリット部52dは、第6スリット部52eとの連通部が、第2円柱部42bの直径よりも若干大径の略半円形状に形成されている。
【0053】
第6スリット部52eは、第1シリンダ部14の後端部32の第2被固定部42に備えられている第2被案内部42cを軸心方向に沿って摺動可能に形成されている。具体的には、第6スリット部52eは、第5スリット部52dと連通して第2シリンダ部51側へ延設される。第6スリット部52eは、その幅が、第2被案内部42cの幅よりも若干大きめに形成されている。
【0054】
終端固定部52fは、第1シリンダ部14の後端部32の第2被固定部42を固定可能に形成されている。具体的には、終端固定部52fは、第6スリット部52eと連通して第2シリンダ部51側へ設けられる、第2被固定部42の第2円柱部42bの直径より若干大径の直径を有する円形の孔である。第1被固定部41の第1円柱部41b、第2被固定部42の第2円柱部42b、及び第3案内部52cの第5スリット部52dの端部の相対位置は、第1プラグ34の位置、及び第2プラグ35の位置の決定に伴って決定される。
【0055】
第1収納部52の外周面には第2把持部52gが形成される。
【0056】
ノズルチップ16は、同軸上に異なる複数の内径で形成される円筒状の部材であって、一端が調液容器15に接着されると共に、他端が解放されている。ノズルチップ16は、調液容器15と接着される一端側から他端へ向かって貯留部61と、吐出部62とを備えている。
【0057】
貯留部61は、内部に、多孔質フィルタ63と、第1試薬シート64とを通過して生成される反応液を貯留可能に形成されている。具体的には、貯留部61は、その内径が、多孔質フィルタ63側から吐出部62側へ向かって徐々に小径になるように形成されている。
【0058】
貯留部61は、調液容器15側の端部に接続口71を備えている。接続口71は、第2シリンダ部51の被接続口51cと嵌合可能に形成されている。具体的には、接続口71は、円環状に形成される第2縁部71aと、突起部71bとを備えている。突起部71bは、その外径が第2シリンダ部51の被接続口51cに設けられる凹部51eの内径と略同一に形成されている。
【0059】
貯留部61は、接続口71側の端部の内周面に、多孔質フィルタ63と当接する当接部72を備えている。当接部72は、内周面が、貯留部61の他の内周面よりも大径に形成されることで構成される、貯留部61の大径部である。
【0060】
貯留部61は、壁部の一部に外部に露出する第4孔部73を備えている。第4孔部73は、吐出部62を下側に向けた際に、貯留部61から吐出部62へ移動してきた溶液の溶液面よりも上方に位置するように形成される。また、第4孔部73は、吐出部62を上側に向けた際に、貯留部61の内部に貯留される反応液の液面よりも上方に位置するように形成される。第4孔部73は、水分を透過せず、空気のみを透過する第1封止材74により封止されている。これにより、吐出部62を下側へ向ける際には、ノズルチップ16の内圧低下を効率的に防止し、ノズルチップ16から反応液を速やかに吐出することが可能となる。また、吐出部62を上側に向けている際には、第1シリンダ部14、及び第2シリンダ部51の内部の体積減少に伴う、第1シリンダ部14、及び第2シリンダ部51の内圧の上昇を、第4孔部73から空気を逃がすことにより、低下させることが可能となる。なお、第4孔部73は、複数も受けられていても構わない。
【0061】
吐出部62は、吐出口62aを有している。吐出口62aは、その内径が、検査カートリッジ17の受給口83に設けられる突出部83bの外径と略同一に形成されている。また、吐出口62aは、その外径が、受給口83に設けられる仕切部83cの内径より小径に形成されている。また、吐出口62aは、受給口83に設けられる液受部83dと当接するまで挿入可能に形成されている。吐出口62aは、水分を透過せず、空気のみを透過する第2封止材62bにより封止されている。
【0062】
多孔質フィルタ63は、当接部72に収納可能に形成されている。具体的には、多孔質フィルタ63は、円柱状であり、その外径が、当接部72の内径よりも大径に形成されている。多孔質フィルタ63には、熱硬化性樹脂が用いられる。多孔質フィルタ63は、当接部72に圧入され、当接部72の内周面と当接する。また、多孔質フィルタ63は、当接部72の主面と、第1試薬シート64を介して当接する。
【0063】
第1試薬シート64は、乾燥された第1試薬が固定されたシート状の部材である。第1試薬シート64は、その外径が、多孔質フィルタ63の外径と略同一の円形状に形成される。第1試薬シート64は、多孔質フィルタ63に重ねられる。多孔質フィルタ63は、第1試薬シート64が吐出部62側に面するように当接部72に収納される。
【0064】
なお、試料調液装置1の死容量は、流入する反応液の容量、及び試料と試料処理液との混合比率から調節されてもよい。
【0065】
図10は本実施形態に係る試料調液装置1と共に検査キットを成す、検査カートリッジ17の構成を示す上面図、
図11は検査カートリッジ17の構成を示す断面図である。
【0066】
検査カートリッジ17は、試料調液装置1と共に検査キットを構成する。検査カートリッジ17は、検査カートリッジ17内に、
図10の破線で示されるように反応室82を備える。反応室82は、検査カートリッジ17の幅方向に長辺を有し、検査カートリッジ17の奥行き方向に短辺を有するように形成されている。反応室82の底部は、透明部材81により形成される。透明部材81の反応室82側の表面には第2試薬が塗布されている。検査カートリッジ17では、第2試薬と、反応室82に流入された反応液とが反応する。この反応の状態が、透明部材81に入射される光の反射状態に基づいて評価される。検査カートリッジ17は、上面に試料調液装置1から吐出される反応液を反応室82へ流入させる受給口83と、受給口83から流入した反応液分の空気を反応室82から排出させる複数の第5孔部84とを備えている。第5孔部84は、例えば、受給口83に設けられる受給スリット部83aに対して左右対称に、反応室82の上面の4角に設けられる。
【0067】
受給口83は、試料調液装置1の吐出口62aと嵌合可能に形成されている。受給口83は、受給スリット部83aと、突出部83bと、仕切部83cと、液受部83dとを備えている。受給スリット部83aは、長辺に対して中央の位置に、短辺に対して中央の位置に中心を有するように、短辺方向に延設して形成される。受給スリット部83aは、その長さが、反応室82の短辺の長さを超えないように形成されている。より具体的には、受給スリット部83aは、その長さが、反応室82の短辺に沿って配置される第5孔部84間の距離と略同一に形成される。また、受給スリット部83aは、その幅が、毛細管現象を引き起こすのに適した大きさに形成されている。受給スリット部83aの幅が狭すぎる場合、反応液は受給口83への流入を引き起こさない。なお、受給スリット部83aの幅が広すぎる場合、反応室82に貯留される反応液が、受給スリット部83aから漏れ出るおそれがある。
【0068】
突出部83bは、試料調液装置1の吐出口62aを封止する第2封止材62bを裂開可能に、かつ、第2封止材62bが突き破られた吐出口62aから流出する反応液を反応室82へ流入可能に形成されている。具体的には、突出部83bは、その中央部が受給スリット部83aにより隔てられる、半円錐状の2つの突起である。突出部83bは、突出部83bと受給スリット部83aとを合わせた幅が、液受部83dの主面において、試料調液装置1の吐出口62aの内径と略同一になるように形成されている。なお、突出部83bは、その中央部が受給スリット部83aにより隔てられる、半円柱状の2つの突起であっても構わない。
【0069】
仕切部83cは、試料調液装置1の吐出口62aから流出する反応液が受給口83の外に流出するのを防止可能に形成されている。具体的には、仕切部83cは、液受部83dに対して所定の高さを有し、受給スリット部83aと突出部83bとを取り囲むように形成されている。
【0070】
液受部83dは、突出部83bの周囲に、所定の幅をもって形成されている。液受部83dは、試料調液装置1から反応液が流入する際、ノズルチップ16の吐出部62に設けられる吐出口62aと当接する。
【0071】
次に、このように構成された試料調液装置1により反応液を調液し、調液した反応液を検査カートリッジ17へ流入させる方法について、
図12乃至
図23を用いて説明する。
【0072】
まず、使用者は、試料採取部11を把持する。このとき、試料採取部11は、第1シリンダ部14の一部がキャップ部13に収容され、第1シリンダ部14の第1被固定部41に設けられる第1円柱部41bが、外郭部21の第1案内部21bに設けられる第1固定部eにより固定された状態となっている。また、第1シリンダ部14の第2被固定部42に設けられる第2円柱部42bが、外郭部21の第2案内部21cに設けられる第5スリット部52dの端部に固定された状態となっている。続いて、使用者は、
図12に示されるように、キャピラリ部31aを全血等の体液Sに接触させる。第1シリンダ部14内部の圧力は、第1及び第2孔部31g,31hにより大気圧と均衡している。このため、体液Sは、毛細管現象によりキャピラリ部31aに試料として採取される。
【0073】
使用者は、試料を採取すると、試料採取部11のキャップ部13に設けられる第1平面部23aを、例えば、机等の平らな面に当接させる。これにより、試料採取部11は、キャピラリ部31aを上方に向けた状態で自立する。使用者は、試料採取部11の第2被固定部42が、試料調液部12の第3案内部52cに沿って移動可能なように、試料採取部11の第2被固定部42の向きと、試料調液部12の第3案内部52cとの向きを合わせる。使用者は、キャピラリ部31aを上方に向けて自立する試料採取部11の上方から、
図13に示されるように、試料調液部12を被せる。
【0074】
使用者は、試料調液部12の第2把持部52gを把持し、試料調液部12を、試料採取部11へ向けて押し込む。このとき、試料調液部12は、試料採取部11の第2被固定部42の第2円柱部42bを、試料調液部12の第3案内部52cの第5スリット部52dに収めながら、試料採取部11へ押し込まれる。
【0075】
試料調液部12が試料採取部11へ向けて押し込まれると、試料調液部12の第2シリンダ部51に、試料採取部11の第1シリンダ部14が挿入される。具体的には、まず、第2シリンダ部51の内周面に密封部材31bの第1シール部31cが当接する。第2シリンダ部51は、その内周面に、密封部材31bの第1シール部31cを当接させながら試料採取部11へ向けて押し込まれる。続いて、第2シリンダ部51の内周面に密封部材31bの第2シール部31dが当接する。第2シリンダ部51は、その内周面に、第1シール部31cと、第2シール部31dとを当接させながら試料採取部11へ向けて押し込まれる。
【0076】
試料調液部12が試料採取部11へ向けて押し込まれていくと、
図14に示されるように、試料調液部12のテーパー部52bと、試料採取部11の第1被固定部41の第1被案内部41cとが接触する。使用者は、試料調液部12の第2把持部52gを把持し、試料調液部12を、試料採取部11へ向けてさらに押し込む。そうすると、第1被案内部41cがテーパー部52bから試料採取部11の中心方向への応力を受け、試料採取部11の第1被固定部41の第1梁部41aが中心方向へ撓む。これにより、第1シリンダ部14の第1被固定部41の第1円柱部41bが、外郭部21の第1案内部21bの第1固定部21eから開放される。
【0077】
続いて、試料調液部12が試料採取部11へ向けて押し込まれていくと、
図15に示されるように、試料採取部11の第2被固定部42の第2円柱部42bが、試料調液部12の第3案内部52cの第5スリット部52dの端部と接触する。このとき、第2円柱部42bは、
図16に示されるように、第3案内部52cの第5スリット部52dの端部と、第2案内部21cの第4スリット部21hの端部とに接触する。第2円柱部42bが第3案内部52cの第5スリット部52dの端部と接触することにより、試料調液部12を、試料採取部11の第1シリンダ部14に対して押し込むことが制限される。
【0078】
第3案内部52cの第5スリット部52dの端部に第2円柱部42bが接触された状態で、試料調液部12が試料採取部11へ向けて押し込まれると、第1案内部21bの第1固定部21eから開放された第1被固定部41は、第1被案内部41cが第2スリット部21fに収められる。そして、試料調液部12が試料採取部11へ向けてさらに押し込まれると、試料調液部12の試料採取部11側への移動に伴い、第1被案内部41cが、第2スリット部21fに沿ってキャップ部13側へ移動する。このとき、第2被固定部42の第2円柱部42bも、第2案内部21cの第4スリット部21hに沿ってキャップ部13側へ移動する。
【0079】
第3案内部52cの第5スリット部52dの端部に第2円柱部42bが接触された状態で、試料調液部12が試料採取部11へ向けて押し込まれると、第1シリンダ部14内に収容される第2プラグ35が、試料採取部11のキャップ部13のプランジャ部22により、第1シリンダ部14の先端方向へ押し込まれる。第2プラグ35が第1シリンダ部14の先端方向へ押し込まれると、第1プラグ34が、第1シリンダ部14の内周面と、第1プラグ34と、第2プラグ35とにより封入される、圧縮性の低い試料処理液により、第1シリンダ部14の先端方向へ押し込まれる。
【0080】
試料調液部12が試料採取部11へ向けて押し込まれていくと、
図17に示されるように、第1プラグ34の第3シール部34aと、第4シール部34bとが、第1シリンダ部14の先端部31に設けられる第1孔部31gと第2孔部31hとの間に収まる位置に到達する。このとき、第1孔部31gと、密封部材31bの窓部31eを介して対向する第1シリンダ部14の外周面と第2シリンダ部51の内周面との間の隙間と、第2孔部31hとから形成される流路Fが開放される。流路Fは、
図29に示される。
【0081】
流路Fが開放された状態で、試料調液部12が試料採取部11へ向けて押し込まれると、第2プラグ35が、試料採取部11のプランジャ部22により、第1シリンダ部14の先端方向へ押し込まれる。これにより、第1プラグ34と第2プラグ35とにより封入される試料処理液が、流路Fを介し、第1シリンダ部14の内側端面と、第1プラグ34の第1シリンダ部14の先端側端面との間の空間R1へ流入する。空間R1への試料処理液の流入は、
図18に示されるように、第1プラグ34に第2プラグ35が接し、第1孔部31gと第2孔部31hとが、第1プラグ34と第2プラグ35とにより閉鎖されるまで継続する。
【0082】
第1プラグ34と第2プラグ35とが接した状態で、試料調液部12が試料採取部11へ向けて押し込まれると、一連となった第1プラグ34と第2プラグ35とが、試料採取部11のプランジャ部22により、第1シリンダ部14の先端方向へ押し込まれる。これにより、空間R1の体積が減少する。空間R1の体積の減少に伴い、
図19に示されるように、空間R1に貯留された試料処理液が、キャピラリ部31aに達し、キャピラリ部31aにより採取された試料を洗い流しながら、第2シリンダ部51の内側端面と、第1シリンダ部14の外側端面との間の空間R2へ噴入する。このとき、キャピラリ部31aの中心が、第1プラグ34が有する円柱突起部34cの外周面よりも、第1シリンダ部14の軸心から隔てられているため、第1シリンダ部14の内側端面と、第1プラグ34とが接触しても、第1プラグ34がキャピラリ部31aを塞ぐことはない。
【0083】
第3孔部51bが、キャピラリ部31aと第1シリンダ部14の軸心を介して対向する位置に形成されているため、キャピラリ部31aから空間R2へ試料処理液が噴入する場合であっても、噴入する試料処理液が、ノズルチップ16に収容される多孔質フィルタ63に直接接触することはない。すなわち、空間R2へ噴入する試料処理液により、多孔質フィルタ63が濡れることはない。また、キャピラリ部31aから噴入した試料処理液が、第1シリンダ部14の外側端面へ落下することで、乱流が発生する。この乱流により、試料処理液と、試料処理液によりキャピラリ部31aから洗い流された試料とが均一に混合され、試料処理液と試料との反応が進展する。試料と試料処理液とが混合された液体を試料混合液と称する。
【0084】
なお、試料混合液の容量に対して空間R2の容量が十分に大きい場合、空間R2の容量に合わせて、第2被固定部42の第2円柱部42bの位置と、第1シリンダ部14に形成される第1孔部31g及び第2孔部31hの位置とを調整すれば良い。すなわち、空間R2の容量は、試料混合液の容量に依存しない。試料混合液の容量は、試料との混合比率(希釈倍率)で決定する。
【0085】
試料調液部12は、第1シリンダ部14の内側端面と、第1プラグ34の第1シリンダ部14の先端側端面とが当接するまで、試料採取部11へ向けて押し込まれる。第1シリンダ部14の内側端面と、第1プラグ34の第1シリンダ部14の先端側端面とが当接すると、使用者は、試料調液部12をこれ以上、試料採取部11へ向けて押し込めなくなる。第1シリンダ部14の内側端面と、第1プラグ34の第1シリンダ部14の先端側端面とが当接すると、第1被固定部41の第1被案内部41cが、第1案内部21bの第2スリット部21fの台座部23側端部と接触する。また、第2被固定部42の第2円柱部42bが、第2案内部21cの第4スリット部21hの台座部23側端部と接触する。この状態においては、使用者が意図的に第2被固定部42の第2円柱部42bの制限を開放し、試料調液部12を試料採取部11へ押し込む動作をしなければ、試料混合液と第1試薬との混合は発生しない。なお、試料処理液と試料との反応に時間を要する場合には、この段階でしばらく放置し、十分に反応が進むまで待機することも可能である。
【0086】
続いて、使用者は、
図20に示されるように、第1収納部52の第2把持部52gを把持しながら、第2被固定部42の第2被案内部42cを、中心方向へ押し込む。使用者により加えられた中心方向の押力により、試料採取部11の第2被固定部42の第2梁部42aが中心方向へ撓む。これにより、調液容器15の第1収納部52の第5スリット部52dの端部から、第2被固定部42の第2円柱部42bが開放される。第2被固定部42の第2円柱部42bが開放されると、使用者は、第2把持部52gを把持しながら、再び試料調液部12を試料採取部11へ向けて押し込む。
【0087】
第2被固定部42の第2円柱部42bが開放された状態で、試料調液部12が試料採取部11へ向けて押し込まれると、開放された第2被固定部42の第2被案内部42cは、第6スリット部52eに収められる。そして、試料調液部12が試料採取部11へ向けてさらに押し込まれると、試料調液部12の試料採取部11側への移動に伴い、第2被案内部42cが、第6スリット部52eに沿って移動する。第2被固定部42の第2円柱部42bは、調液容器15の第1収納部52の終端固定部52fに到達し、
図22に示されるように、終端固定部52fにより固定される。第2被固定部42の第2円柱部42bが第1収納部52の終端固定部52fに到達すると、調液容器15の第3開口部52aは、
図21に示されるように、キャップ部13の台座部23の主面近傍に到達する。
【0088】
第2被固定部42の第2被案内部42cが、第6スリット部52eに沿って移動し、第2円柱部42bが第1収納部52の終端固定部52fに到達する際の試料調液部12の移動に伴い、空間R2に貯留される試料混合液は、調液容器15の第2シリンダ部51に設けられる第3孔部51bから流出する。試料混合液は、第2シリンダ部51に被覆される膜54に空けられた穴を介し、ノズルチップ16の貯留部61へ流入する。
【0089】
貯留部61へ流入した試料混合液は、貯留部61の当接部72で保持される多孔質フィルタ63と接触し、多孔質フィルタ63を浸潤させる。多孔質フィルタ63を浸潤させた試料混合液は、第1試薬が固定された第1試薬シート64と接触する。第1試薬シート64に固定された第1試薬は、試料混合液が第1試薬シート64を通過する際に、試料混合液に溶出する。第1試薬が溶出した試料混合液を反応液と称する。反応液は、
図21に示されるように、貯留部61に貯留される。反応液は、貯留部61に一旦貯留されることにより、第1試薬と試料混合液とが均一に混合される。このとき、第4孔部73を封止する第1封止材74と、吐出口62aを封止する第2封止材62bとが、外部へ空気を放出する。これにより、ノズルチップ16と第2シリンダ部51との体積が減少しても、ノズルチップ16の内圧が大気圧と均衡することとなり、内圧の上昇が抑えられる。
【0090】
続いて、使用者は、試料調液装置1を、ノズルチップ16の吐出部62を下方に向け、
図23に示されるように、吐出部62の吐出口62aを検査カートリッジ17の受給口83に設けられる突出部83bに突き刺す。このように、試料調液装置1を逆さまにすることで、反応液における試料混合液と第1試薬との反応がより促進される。吐出口62aを封止している第2封止材62bは、突出部83bにより裂開される。使用者は、吐出口62aが受給口83の液受部83dと当接するまで、試料調液装置1を検査カートリッジ17へ向けて押し込む。これにより、試料調液装置1の吐出口62aが、検査カートリッジ17の受給口83に嵌合される。ノズルチップ16の貯留部61に貯留されていた反応液は、裂開された第2封止材62bを介して吐出口62aから流出する。このとき、第4孔部73を封止する第1封止材74が、外部から空気を取り込む。これにより、ノズルチップ16の内圧の低下が抑えられ、ノズルチップ16に貯留された全ての反応液が吐出されるまで、反応液の吐出が継続される。
【0091】
吐出口62aから流出した反応液は、毛細管現象を利用して、受給口83の受給スリット部83aから反応室82へ流入する。また、吐出口62aから流出した反応液は、受給口83の仕切部83cにより、受給口83の外への流出が堰き止められると共に、液受部83dにより集液され、受給スリット部83aから反応室82へ流入する。反応室82では、流入した反応液に相当する分の空気が、第5孔部84から排出される。これにより、反応室82内の空気の体積が圧縮されることに伴う、反応室82の内圧の上昇を避けることが可能となる。このため、反応液が反応室82を満たすまで、流入が継続する。すなわち、反応液は、均等に反応室82に行き渡ることとなる。反応液が反応室82に流入すると、反応液が透明部材81の反応室82側の表面に接触し、反応液と第2試薬とが反応する。
【0092】
以上のように、本実施形態に係る試料調液装置1は、試料採取部11と、試料調液部12とを備えている。使用者は、試料を採取した試料採取部11に、試料調液部12を被せ、試料採取部11に向けて試料調液部12を押し込む。試料採取部11内に格納される第1及び第2プラグ34,35の移動は、試料採取部11の第1シリンダ部14に設けられる第1被固定部41が、試料採取部11のキャップ部13に設けられる第1固定部21eに固定されることで制限される。第1被固定部41の固定は、試料調液部12の調液容器15の第3開口部52aが、第1被固定部41を押圧することで開放される。調液容器15の第2シリンダ部51に対する第1シリンダ部14の移動は、調液容器15の第1収納部52に設けられる第5スリット部52dの端部が第2固定部となり、第1シリンダ部14に設けられる第2被固定部42を固定することで制限される。第2被固定部42の固定は、第2プラグ35が第1プラグ34に当接し、かつ、第1プラグ34が第1シリンダ部14の内側端面に当接した後に、使用者が第2被固定部42を押圧することで開放される。これにより、試料調液装置1は、試料の反応を段階的に進めることが可能となる。
【0093】
したがって、本実施形態に係る試料調液装置1によれば、試料と試料処理液とを均一に混合させ、試料と試料処理液との混合液を第一試薬と均一に混合させることができる。
【0094】
また、本実施形態では、試料採取部11に試料調液部12が押し込まれると、第1シリンダ部14は、第1シリンダ部14に設けられる第1被固定部41がキャップ部13に設けられる第1案内部21bに沿い、かつ、第1シリンダ部14に設けられる第2被固定部42がキャップ部13に設けられる第2案内部21cに沿って、キャップ部13側へ押し込まれる。また、調液容器15の第1収納部52に設けられる第5スリット部52dによる第2被固定部42の固定が開放された後に、試料採取部11に試料調液部12が押し込まれると、第2シリンダ部51は、第1収納部52に設けられる第6スリット部52eに沿って、キャップ部13側へ押し込まれる。これにより、試料調液装置1は、試料採取部11に試料調液部12が押し込まれることで、反応液が生成されることになる。
【0095】
また、本実施形態では、ノズルチップ16の吐出部62に設けられる吐出口62aが第2封止材62bにより封止される。反応液がノズルチップ16の貯留部61で貯留されると、試料調液装置1は、ノズルチップ16の吐出口62aが下方へ向けられ、吐出口62aが検査カートリッジ17の受給口83に嵌合される。吐出口62aを封止する第2封止材は、受給口83の突出部83bにより裂開される。そして、ノズルチップ16に貯留される反応液は、裂開された第2封止材62bから、受給スリット部83aを介して反応室82へ流入する。
【0096】
従来の試料調液装置では、使用者は、試料を採取した試料調液装置を検査カートリッジに接続した後、一方の手で試料調液装置のグリップ把持し、他方の手で検査カートリッジに接続された試料調液装置の下端を把持する。そして、使用者は、試料調液装置のグリップを回転させることで、試料調液装置から試料と試料処理液とを検査カートリッジへ注入する。しかしながら、試料調液装置は小さいため、使用者が両手で試料調液装置を把持することは難しい。本実施形態に係る試料調液装置1では、試料調液装置1を片手で検査カートリッジ17に接続することが可能である。また、本実施形態に係る試料調液装置1では、試料調液装置1を検査カートリッジ17の受給口83に突き刺すのみで、検査カートリッジ17へ反応液を注入することが可能となる。すなわち、グリップの回転等の追加の操作をせずに、反応液を漏らすことなく検査カートリッジ17へ注入することが可能となる。
【0097】
また、本実施形態では、試料調液部12の調液容器15の第2シリンダ部51に設けられる第3孔部51bは、キャピラリ部31aと第1シリンダ部14の軸心を介して対向する位置に形成されている。第1シリンダ部14内に、第1プラグ34と第2プラグ35とにより封入される試料処理液は、界面活性剤を含んでいる。そのため、試料処理液が多孔質フィルタ63に接触して浸透した後に、空気が多孔質フィルタ63を通過すると、気泡が生じる。本実施形態に係る試料調液装置1によれば、キャピラリ部31aから試料処理液が噴出する場合であっても、噴出する試料処理液が多孔質フィルタ63に直接接触することはない。このため、多孔質フィルタ63での気泡の発生を防ぐことが可能となる。
【0098】
また、本実施形態では、試料採取部11のキャップ部13の台座部23に設けられる第2平面部23bは、キャピラリ部31aが第1シリンダ部14の軸心から隔てられる方向と同一の方向に形成されている。これにより、試料調液装置1が横転したときにも、第2平面部23bで止まり、多孔質フィルタ63に試料処理液が接触することを防ぐことが可能となる。
【0099】
また、本実施形態では、試料調液部12の調液容器15を被覆する膜54は、凹部51eに接着される縁部を除く所定の位置に、極小穴を有する。膜54の弾性により極小穴から空気が先に抜けるため、空気が多孔質フィルタ63に到達する前に、試料と試料処理液との試料混合液が多孔質フィルタ63へ到達することを抑えることが可能となる。これにより、多孔質フィルタ63における気泡の発生を防止することが可能となる。
【0100】
なお、上記実施形態では、試料採取部11のキャップ部13に設けられる第1平面部23aを机等の平らな面に当接させた場合の、試料調液装置1の使用法について説明した。しかしながら、これに限定されない。使用者は、試料採取部11を平面に置かずに、試料採取部11に対して試料調液部12を押し込むようにしても構わない。
【0101】
また、上記実施形態では、調液容器15の第2シリンダ部51の被接続口51cに設けられる凹部51eに、膜54が接着剤、又は超音波溶着を用いて固定される場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。膜54は、調液容器15及びノズルチップ16に機械的に挟み込まれるように固定されてもよい。
図24乃至
図26は、膜54が調液容器15及びノズルチップ16に機械的に固定される場合の試料調液装置1の例を示す断面図である。
【0102】
図24では、ノズルチップ16の接続口71に設けられる突起部71bは、接続口71に設けられる第2縁部71aの主面から突起部71bの主面までの距離が、凹部51eに置かれる膜54の主面から被接続口51cに設けられる第1縁部51dの主面までの距離より若干大きく形成されている。第1縁部51dの主面と、第2縁部71aの主面とが当接する際に、膜54は、突起部71bにより凹部51e方向へ押し込まれる。これにより、膜54は、凹部51eと、突起部71bとにより挟み込まれて固定される。
【0103】
図25では、ノズルチップ16の接続口71は、突起部71bの主面に、所定の幅を持って円環状に形成される円環突起部71cを有する。円環突起部71cは、第2縁部71aの主面から円環突起部71cの主面までの距離が、凹部51eに置かれる膜54の主面から第1縁部51dの主面までの距離より若干大きく形成されている。第1縁部51dの主面と、第2縁部71aの主面とが当接する際に、膜54は、円環突起部71cにより凹部51e方向へ押し込まれる。これにより、膜54は、凹部51eと、円環突起部71cとにより挟み込まれて固定される。
【0104】
図26では、突起部71bは、その外径が凹部51eの内径より若干小径に形成されている。換言すると、突起部71bの外周面と、凹部51eの内周面との間には隙間がある。この場合、膜54は、凹部51eの内径より若干大径に形成される。膜54は、突起部71bの外周面と、凹部51eの内周面との間に挟み込まれて固定される。
図24乃至
図26に示されるように膜54を固定することで、第1縁部51dの主面と、第2縁部71aの主面とを超音波溶着により接着しつつ、膜54を調液容器15及びノズルチップ16に機械的に固定することが可能となる。
【0105】
また、上記実施形態では、先端部31に設けられるバイパス部31fが、第1孔部31gと、第2孔部31hとを有する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。バイパス部31fは、
図27に示されるように、第1シリンダ部14の軸心方向に沿って延設されるスリット状孔部31jを有するようにしてもよい。
図28は、バイパス部31fがスリット状孔部31jを有する際の試料調液部12の構成を示す断面図である。スリット状孔部31jは、軸心方向の長さが、
図28に示されるように、第1プラグ34が有する第3シール部34aの上端から、第4シール部34bの下端までの長さよりも大きく形成されている。
【0106】
スリット状孔部31jの長さが、第3シール部34aの上端から第4シール部34bの下端までの長さよりも大きく形成されることにより、
図28に示されるように、試料調液部12が試料採取部11へ向けて押し込まれていくと、第3シール部34aと、第4シール部34bとが、スリット状孔部31jに収まる位置に到達する。このとき、スリット状孔部31jと、密封部材31bの窓部31eを介して対向する第1シリンダ部14の外周面と第2シリンダ部51の内周面との間の隙間とから形成される流路F’が開放される。流路F’が開放された状態で、試料調液部12が試料採取部11へ向けて押し込まれると、第2プラグ35が、試料採取部11のプランジャ部22により、第1シリンダ部14の先端方向へ押し込まれる。これにより、第1プラグ34と第2プラグ35とにより封入される試料処理液が、流路F’を介し、第1シリンダ部14の内側端面と、第1プラグ34の第1シリンダ部14の先端側端面との間の空間R1へ流入する。空間R1への試料処理液の流入は、第1プラグ34に第2プラグ35が接し、スリット状孔部31jが、第1プラグ34と第2プラグ35とにより閉鎖されるまで継続する。
【0107】
また、バイパス部31fがスリット状孔部31jを有することにより、試料処理液に混入した空気が、第3シール部34aと第4シール部34bとにより囲まれる部分にスリット状孔部31jを介してトラップされる。これにより、試料処理液に混入した空気が上部へ伝搬されるのを防ぐことが可能となる。なお、スリット状孔部31jは、第1シリンダ部14の内側端面と、第1プラグ34の円柱突起部34cとが接触する際に、第3シール部34aと第4シール部34bとがスリット状孔部31jに収まるように形成してもよい。これにより、試料調液装置1の死容量が最小化することになる。
【0108】
また、上記実施形態では、ノズルチップ16に多孔質フィルタ63及び第1試薬シート64を格納する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。多孔質フィルタ63及び第1試薬シート64の代わりに、フィルム等の裂開可能な袋に液体試薬を封入し、ノズルチップ16の貯留部61に封入袋を格納するようにしてもよい。この場合、試料調液部12の調液容器15の第2シリンダ部51に設けられる第2穴部51aに、貯留部61に格納される封入袋を裂開するための可動針を設置する。試料調液部12が試料採取部11に押し込まれ、第1シリンダ部14の先端部31に設けられるキャピラリ部31aが第2穴部51aに収容されると、可動針の下端がキャピラリ部31aの先端で押し上げられる。可動針の下端が押し上げられると、可動針の先端に設けられる針が封入袋に達し、封入袋を裂開する。封入袋が裂開すると、封入袋から貯留部61に液体試薬が流出し、貯留部61で、第3孔部51bから流入してくる試料混合液と液体試薬とが混合される。
【0109】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。