特許第6853048号(P6853048)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6853048電解水生成装置及び透析液調製用水の製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853048
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】電解水生成装置及び透析液調製用水の製造装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/461 20060101AFI20210322BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20210322BHJP
   C25B 9/70 20210101ALI20210322BHJP
【FI】
   C02F1/461 A
   C25B9/00 A
   C25B9/18
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-6535(P2017-6535)
(22)【出願日】2017年1月18日
(65)【公開番号】特開2018-114445(P2018-114445A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2019年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】591201686
【氏名又は名称】株式会社日本トリム
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】横畠 功起
【審査官】 高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−136660(JP,A)
【文献】 特開2011−251212(JP,A)
【文献】 特開2014−079735(JP,A)
【文献】 特開2015−208694(JP,A)
【文献】 特開2016−137421(JP,A)
【文献】 特開平10−174972(JP,A)
【文献】 特開2010−104895(JP,A)
【文献】 特開2005−035670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46 − 1/48
C25B 1/00 − 9/20
13/00 − 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を電気分解することにより、電解水を生成する電解水生成装置であって、
本体フレームと、前記本体フレーム内に収容された電解水生成部とを備え、
前記電解水生成部は、前記本体フレーム内から第1水平方向に引き出し可能に配されている第1電解ユニットを有し、
前記第1電解ユニットは、前記本体フレームに固定されたベースと、前記ベースに固定され、かつ、陽極室と陰極室とが隔膜によって区分された複数の電解槽と、前記第1電解ユニットを引き出すために、前記電解槽を挟んで前記第1水平方向及び前記第1水平方向とは逆方向の第2水平方向の側で前記ベースに固定された一対のハンドルをさらに含む、
ことを特徴とする電解水生成装置。
【請求項2】
前記電解水生成部は、前記本体フレーム内から前記第2水平方向に引き出し可能な第2電解ユニットを有し、
前記第2電解ユニットは、前記本体フレームに固定されたベースと、前記ベースに固定され、かつ、陽極室と陰極室とが隔膜によって区分された複数の電解槽と、前記第2電解ユニットを引き出すために、前記電解槽を挟んで前記第1水平方向及び前記第2水平方向の側で前記ベースに固定された一対のハンドルをさらに含む、請求項1記載の電解水生成装置。
【請求項3】
前記第1電解ユニットと前記第2電解ユニットとは、前記第1水平方向に沿って並べられている請求項2記載の電解水生成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の前記電解水生成装置と、原水を軟水化して前記電解水生成装置に供給する前処理装置と、前記前処理装置から前記電解水生成装置に前記水を供給するための入水管とを備え、
前記入水管は、前記前処理装置及び前記電解水生成装置に対して前記第1水平方向とは逆方向の第2水平方向の側に配されていることを特徴とする透析液調製用水の製造装置。
【請求項5】
前記電解水を浄化する後処理装置と、前記電解水生成装置から前記後処理装置に前記電解水を供給するための出水管とをさらに備え、
前記出水管は、前記前処理装置及び前記電解水生成部に対して前記第2水平方向の側に配されている請求項4記載の透析液調製用水の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を電気分解して電解水素水を生成する電解水生成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、固体高分子電解質膜で仕切られた陽極室と陰極室とを有する電解槽を備え、電解槽内に流入させた原水を電気分解する電解水生成装置が知られている。
【0003】
電解水生成装置の陰極室では、水素ガスが溶け込んだ電解水素水(溶存水素水)が生成される。また、近年、電解水生成装置で生成された電解水素水は、血液透析治療の際に発生する活性酸素を除去し、患者の酸化ストレスの軽減に適しているとして注目されている(例えば、特許文献1参照)。電解水素水を用いた血液透析は、電解水透析と称される。
【0004】
大病院での電解水透析では、同時に多数の患者の治療を可能とするために、電解水素水の供給能力を高めた電解水生成装置が要望されている。このような電解水生成装置は、大容量の電解水生成部を備えることにより実現可能である。
【0005】
上述した大容量の電解水生成部は、例えば、並列に接続された複数の電解槽を含む電解ユニットによって実現可能である。そして、電解水生成部は、長期間の使用にわたって消耗した部品を容易に交換できるように構成されているのが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−137421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、長期間の使用にわたって消耗した部品を容易に交換できる電解水生成装置等を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1発明の電解水生成装置は、水を電気分解することにより、電解水を生成する電解水生成装置であって、本体フレームと、前記本体フレーム内に収容された電解水生成部とを備え、前記電解水生成部は、前記本体フレーム内から第1水平方向に引き出し可能に配されている第1電解ユニットを有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る前記電解水生成装置において、前記電解水生成部は、前記本体フレーム内から前記第1水平方向とは逆方向の第2水平方向に引き出し可能な第2電解ユニットを有することが望ましい。
【0010】
本発明に係る前記電解水生成装置において、前記第1電解ユニットと前記第2電解ユニットとは、前記第1水平方向に沿って並べられていることが望ましい。
【0011】
本発明に係る前記電解水生成装置において、前記第1電解ユニットは、前記本体フレームに固定されたベースと、前記ベースに固定され、かつ、陽極室と陰極室とが隔膜によって区分された複数の電解槽とを含むことが望ましい。
【0012】
本発明に係る前記電解水生成装置において、前記第1電解ユニットは、前記電解槽よりも前記第1水平方向の側で前記ベースに固定されたハンドルを含むことが望ましい。
【0013】
本発明に係る前記電解水生成装置において、前記第2電解ユニットは、前記本体フレームに固定されたベースと、前記ベースに固定され、かつ、陽極室と陰極室とが隔膜によって区分された複数の電解槽とを含むことが望ましい。
【0014】
本発明に係る前記電解水生成装置において、前記第2電解ユニットは、前記電解槽よりも前記第2水平方向の側で前記ベースに固定されたハンドルを含むことが望ましい。
【0015】
本発明の第2発明の透析液調製用水の製造装置は、前記電解水生成装置と、原水を軟水化して前記電解水生成装置に供給する前処理装置と、前記前処理装置から前記電解水生成装置に前記水を供給するための入水管とを備え、前記入水管は、前記前処理装置及び前記電解水生成装置に対して前記第1水平方向とは逆方向の第2水平方向の側に配されていることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る前記製造装置において、前記電解水を浄化する後処理装置と、前記電解水生成装置から前記後処理装置に前記電解水を供給するための出水管とさらにを備え、前記出水管は、前記前処理装置及び前記電解水生成部に対して前記第2水平方向の側に配されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1発明の電解水生成装置は、本体フレームと、本体フレーム内に収容された電解水生成部とを備える。電解水生成部は、第1電解ユニットを有し、この第1電解ユニットは、第1水平方向に引き出し可能である。第1電解ユニットを引き出すことにより、第1電解ユニットを構成する消耗部品を容易に交換することが可能となり、電解水生成部のメンテナンスが容易かつ短時間で行えるようになる。これにより、電解水生成装置の稼働時間を長くして、より多くの患者の電解水透析が行えるようになる。
【0018】
本発明の第2発明の透析液調製用水の製造装置は、上記電解水生成装置と、原水を軟水化して電解水生成装置に供給する前処理装置とを備える。前処理装置は、第1水平方向に直交する第3水平方向で電解水生成装置と隣り合って配されている。これにより、製造装置の設置スペースを小さくすることが容易となる。また、第1電解ユニットの引き出しの際、前処理装置との干渉が回避されるので、前処理装置又は電解水生成装置を移動させることなく、第1電解ユニットを構成する消耗部品を容易に交換することが可能となり、電解水生成部のメンテナンスが容易かつ短時間で行えるようになる。これにより、透析液調製用水の製造装置の稼働時間を長くして、より多くの患者の電解水透析が行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の電解水生成装置を含む透析液調製用水の製造装置の一実施形態の概略構成を示す斜視図である。
図2図1の電解水生成装置の構成を正面側から示す斜視図である。
図3図1の電解水生成装置の構成を背面側から示す斜視図である。
図4図1の電解水生成装置の構成を示す正面図である。
図5図1の電解水生成装置の構成を示す左側面図である。
図6図4の電解ユニットの構成を示す斜視図である。
図7】電解水生成部のメンテナンスを行なっている状態の電解水生成装置を示す斜視図である。
図8図3の入水管を背面側から示す斜視図である。
図9図3の出水管を背面側から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の電解水生成装置1を含む透析液調製用水の製造装置100(以下、単に製造装置100と記す)の概略構成を示している。製造装置100は、前処理装置200、電解水生成装置1及び後処理装置300を含む。
【0021】
前処理装置200は、電解水生成装置1の上流側に設置され、原水からカルシウムイオン及びマグネシウムイオン等の硬度成分を除去して軟水化し、さらに微細な多孔質物質である活性炭を用いて軟水から塩素等を吸着・除去する。前処理装置200に供給される原水には、一般的には水道水が利用されるが、その他、例えば、井戸水、地下水等を用いることができる。
【0022】
電解水生成装置1は、前処理装置200を通過した水を電気分解し、電解水素水を生成する。本実施形態の電解水生成装置1は、電解水透析において、大量の電解水素水を後処理装置300に供給可能となるように構成されている。
【0023】
後処理装置300は、逆浸透膜を用いて電解水素水を浄化する。逆浸透膜によって浄化処理された電解水素水は、例えば、透析液調製用水の浄化基準であるISO13959の基準を満たし、透析液調製用水として透析原剤の希釈等に用いられる。
【0024】
図1に示されるように、製造装置100の設置スペース(フットプリント)を小さくするために、電解水生成装置1は、上流側の前処理装置200及び下流側の後処理装置300と共に並べて設置される。例えば、本実施形態のように、製造装置100の正面から視て、前処理装置200、電解水生成装置1及び後処理装置300が水平方向に隙間なく並べて設置されるのが望ましい。
【0025】
図2及び3は、電解水生成装置1の概略構成を示している。電解水生成装置1は、本体フレーム2、電源部3、電解水生成部4、電気ケーブル5、入水管6及び出水管7を備える。
【0026】
本体フレーム2は、鉛直方向にのびる複数の縦材21と水平方向にのびる複数の横材22等によって構成され、電源部3、電解水生成部4、電気ケーブル5、入水管6及び出水管7を支持する。縦材21及び横材22には、例えば、断面がL字状のアングル鋼材が適用される。本体フレーム2は、縦材21及び横材22によって矩形状に形成されている。本体フレーム2は、上部23、底部24、第1側部25、第2側部26、第3側部27及び第4側部28を規定する。
【0027】
上部23と底部24とは、上下方向で反対側に位置する。第1側部25と第2側部26とは、水平方向の反対側に位置する。本実施形態では、第1側部25は、製造装置100の正面側に位置され、第2側部26は、製造装置100の背面側に位置される。第3側部27及び第4側部28は、第1側部25及び第2側部26と直交する。第3側部27と第4側部28とは、水平方向の反対側に位置する。本実施形態では、第3側部27は、製造装置100の右側面側に位置され、第4側部28は、製造装置100の左側面側に位置される。第3側部27は、製造装置100の左側面側に位置され、第4側部28は、製造装置100の右側面側に位置されていてもよい。また、第1側部25、第2側部26、第3側部27及び第4側部28は、側板で覆われていてもよい。
【0028】
電源部3は、本体フレーム2の上部23に固定されている。本実施形態では、上部23には、電源部3のみが設けられ、電解水生成部4、入水管6及び出水管7は設けられていない。これにより、主要な電気系統を構成する電源部3と、水路を構成する電解水生成部4、入水管6及び出水管7とを容易に隔離することができ、電解水生成部4等での水漏れに起因する電源部3のトラブルを抑制できる。電源部3には、電解水生成部4を含む電解水生成装置1全体の制御を司る制御回路(図示せず)が設けられていてもよい。
【0029】
電解水生成部4は、電源部3の下方の空間で本体フレーム2に固定される。このような電源部3及び電解水生成部4の配置によって、電解水生成装置1の設置面積が小さくなり、限られたスペースへの電解水生成装置1の設置が容易となる。
【0030】
また、電源部3が電解水生成部4の上方に位置するため、電解水生成部4で水漏れ等が生じた場合であっても、電源部3に水がかかりにくく、電気回路への影響が抑制される。
【0031】
電気ケーブル5は、電解水生成部4と電源部3とを電気的に接続する。電気ケーブル5を介して、電源部3から電解水生成部4に電気分解のための電解電流が供給される。
【0032】
入水管6は、電解水生成部4に電気分解用の水を供給する。前処理装置200を通過した水は、入水管6を介して電解水生成部4に供給される。
【0033】
出水管7は、電解水生成部4の陰極側で電気分解された電解水素水を取り出して、後処理装置300に供給する。また、出水管7は、第1排水管73を含む。第1排水管73は、電解水生成部4の陽極側で電気分解された電解酸素水を取り出して、電解水生成装置1の外部に排出する。
【0034】
図4は電解水生成装置1の正面を示し、図5は電解水生成装置1の左側面を示している。電解水生成部4は、複数の電解ユニット41を含んでいる。
【0035】
図6は、電解ユニット41の構成を示している。各電解ユニット41は、板状のベース42と、陽極室と陰極室とが隔膜によって区分された複数の電解槽43と、ベース42に固定されたハンドル44とを有している。
【0036】
ベース42は、本体フレーム2の横材22に固定されている。ベース42は、横材22に沿って移動可能に構成されている。すなわち、横材22に沿って電解ユニット41を本体フレーム2の外側に引き出すことにより、電解ユニット41は容易に本体フレーム2から取り外され、別の電解ユニット41を本体フレーム2の内側に押し入れることにより、電解ユニット41が交換される。
【0037】
電解槽43は、例えば、特開2016−159237号公報に開示されている構成と同等である。すなわち、電解槽43の陽極室及び陰極室には、給電体がそれぞれ配され、隔膜には、例えば、スルホン酸基を有するフッ素系の樹脂材料からなる固体高分子電解質膜が用いられ、上下方向に長い矩形状に形成されている。各電解槽43は、ベース42に起立姿勢で固定されている。図5、6に示されるように、各電解槽43は、第3側部27に沿って水平方向(すなわち、第1側部25側から第2側部26側に向く方向)に並べられているのが望ましい。これにより、一つの電解ユニット41内に多数の電解槽43をコンパクトに収容できる。
【0038】
電解ユニット41は、第1側部25の側に設けられた第1電解ユニット41Aと、第2側部26の側に設けられた第2電解ユニット41Bとを含んでいる。
【0039】
図7は、電解水生成部4のメンテナンスを行なっている状態での電解水生成装置1を示している。第1電解ユニット41Aは、横材22によって支持され、横材22をレールとして、本体フレーム2内の第2側部26から第1側部25を向く第1水平方向H1に引き出し及び第2水平方向H2に押し入れ可能に構成されている。第1電解ユニット41Aが第1水平方向H1に引き出されることにより、第1電解ユニット41Aを構成する電解槽43等の消耗部品を容易に交換することが可能となり、第1電解ユニット41Aのメンテナンスが容易かつ短時間で行えるようになる。これにより、電解水生成装置1の稼働時間を長くして、より多くの患者の電解水透析が行えるようになる。
【0040】
第2電解ユニット41Bは、横材22によって支持され、横材22をレールとして、本体フレーム2内の第1側部25から第2側部26を向く第2水平方向H2に引き出し及び第1水平方向H1に押し入れ可能に構成されている。第2電解ユニット41Bが第2水平方向H2に引き出されることにより、第2電解ユニット41Bを構成する電解槽43等の消耗部品を容易に交換することが可能となり、第1電解ユニット41Aのメンテナンスが容易かつ短時間で行えるようになる。これにより、より多くの患者の電解水透析が行えるようになる。
【0041】
なお、第1電解ユニット41Aは、その全体が本体フレーム2の外部に引き出される構成であってもよく、その一部分が本体フレーム2の外部に引き出される構成であってもよい。同様に、第2電解ユニット41Bは、その全体が本体フレーム2の外部に引き出される構成であってもよく、その一部分が本体フレーム2の外部に引き出される構成であってもよい。
【0042】
すなわち、図7中、上段の第1電解ユニット41A及び第2電解ユニット41Bに示されるように、電解ユニット41は、本体フレーム2から完全に取り外し可能に構成されていてもよく、下段の第1電解ユニット41A及び第2電解ユニット41Bに示されるように、電解ユニット41は、少なくともその一部分が本体フレーム2から引き出された状態で本体フレーム2に支持可能に構成されていてもよい。前者の場合は、電解ユニット41ごと交換することにより、メンテナンスに要する時間を短縮できる。後者の場合は、電解ユニット41が本体フレーム2に支持された状態を維持しつつ電解ユニット41の一部分を本体フレーム2の外部に引き出して、交換が必要な部品のみを取り外して交換することができる。
【0043】
第1電解ユニット41A及び第2電解ユニット41Bを引き出す際には、ハンドル44が使用される。本実施形態では、図6に示されるように、一対のハンドル44が、複数の電解槽43を挟んで第1水平方向H1及び第2水平方向H2の両側で、ベース42に固定されている。一方のハンドル44を使用することにより第1電解ユニット41A及び第2電解ユニット41Bを容易に引き出すことが可能となり、両方のハンドル44を使用することにより第1電解ユニット41A及び第2電解ユニット41Bを両手で容易に持ち上げて、本体フレーム2から取り外すことが可能となる。
【0044】
一つの電解ユニット41には、単一のハンドル44が設けられていてもよい。この場合、例えば、第1電解ユニット41Aでは、ハンドル44は、電解槽43よりも第1水平方向H1の側でベース42に固定されているのが望ましい。これにより、ハンドル44を使用することにより第1電解ユニット41Aを容易に引き出すことが可能となる。同様に、第2電解ユニット41Bでは、ハンドル44は、電解槽43よりも第2水平方向H2の側でベース42に固定されているのが望ましい。
【0045】
第1電解ユニット41Aと第2電解ユニット41Bとは、第2水平方向H2に沿って並べられているのが望ましい。これにより、多数の電解ユニット41を本体フレーム2の内側にコンパクトに収容できる。
【0046】
図4、5及び7に示されるように、複数の第1電解ユニット41Aは、電解水生成装置1の上下方向に並べられているのが望ましい。また、複数の第2電解ユニット41Bは、電解水生成装置1の上下方向に並べられているのが望ましい。これにより、上述した第3側部27に沿って第2水平方向H2に並べられた電解槽43と相まって、多数の電解ユニット41を本体フレーム2の内側にコンパクトに収容できる。
【0047】
図4に示されるように、複数の第1電解ユニット41Aは、第2水平方向H2(第1水平方向H1)に直交する第3水平方向H3に並べられているのが望ましい。同様に、複数の第2電解ユニット41Bは、第3水平方向H3に並べられているのが望ましい。これにより、上述した電解水生成装置1の第2水平方向H2及び上下方向に並べられた電解ユニット41と相まって、多数の電解ユニット41を本体フレーム2の内側にコンパクトに収容できる。
【0048】
電解水生成部4は、本体フレーム2の第4側部28側に寄せて本体フレーム2に固定されている。上記「第4側部28側に寄せて」とは、電解水生成部4の中心が本体フレーム2の中心よりも第4側部28側にオフセットされていることを意味している。これにより、電解水生成部4が第4側部28側に集約され、大容量の電解水生成部4を本体フレーム2の内部にコンパクトに収容することが可能となる。
【0049】
一方、電気ケーブル5の主要部は、電解水生成部4と第3側部27との間の空間である第3側部側スペース29を通って、電解水生成部4と電源部3とを電気的に接続する。これにより、電気ケーブル5のメンテナンスが容易となる。また、第1電解ユニット41A及び第2電解ユニット41Bを引き出す際に、第1電解ユニット41A及び第2電解ユニット41Bと電気ケーブル5との干渉が抑制され、電解水生成部4のメンテナンスが容易かつ短時間で行えるようになる。
【0050】
図1に示されるように、入水管6は、前処理装置200及び電解水生成装置1に対して第2水平方向H2の側に配された入水管60を有する。同様に、図1乃至3に示されるように、出水管7は、後処理装置300及び電解水生成装置1に対して第2水平方向H2の側に配された出水管70を有する。
【0051】
上記入水管60及び出水管70により、製造装置100の正面側の構成が簡素化される。また、このような入水管6及び出水管7の配管構成に伴い、電解水生成装置1背面側に生ずる空間は、第2電解ユニット41Bを引き出して、メンテナンスを行なうための空間として活用できる。
【0052】
図8は、電解水生成装置1の内部での入水管6の構成を示している。入水管6は、主入水管61、61a、61bと、主入水管61、61a、61bよりも小径の副入水管62a、62bとを有している。
【0053】
主入水管61は、本体フレーム2の内部で入水管60と接続されている。主入水管61と入水管60とが一体に形成されていてもよい。主入水管61a、61bは、主入水管61から分岐している。主入水管61aは、各電解ユニット41の各電解槽43の陰極室に水を供給するために設けられている。主入水管61bは、各電解ユニット41の各電解槽43の陽極室に水を供給するために設けられている。
【0054】
副入水管62aの一端は主入水管61aから分岐し、他端は各電解槽43(図4乃至6参照)の陰極室と接続されている。前処理装置200を通過した水は、主入水管61、61a及び副入水管62aを順次介して各電解槽43の陰極室に流入する。副入水管62bの一端は主入水管61bから分岐し、他端は各電解槽43の陽極室と接続されている。前処理装置200を通過した水は、主入水管61、61b及び副入水管62bを順次介して各電解槽43の陽極室にも流入する。
【0055】
主入水管61bには、絞り弁61dが設けられているのが望ましい。これにより、陽極室に流入する水(すなわち、電解酸素水となって排出される水)が制限され、水の有効利用を図ることができる。この場合、主入水管61bを主入水管61aよりも小径とすることにより、電解水生成装置1の小型化及びコストダウンを図ることが可能となる。
【0056】
本実施形態では、主入水管61aの一部が第3側部側スペース29に配されることにより、第1電解ユニット41Aに対して第1水平方向H1の空間及び第2電解ユニット41Bに対して第2水平方向H2の空間には、入水管6が配されていない。これにより、第1電解ユニット41A及び第2電解ユニット41Bを引き出す際に、第1電解ユニット41A及び第2電解ユニット41Bと入水管6との干渉が抑制され、電解水生成部4のメンテナンスが容易かつ短時間で行えるようになる。
【0057】
図9は、電解水生成装置1の内部での出水管7の構成を示している。出水管7は、主出水管71a、71bと、主出水管71a、71bよりも小径の副出水管72a、72bとを有している。主出水管71aは、本体フレーム2の内部で出水管70と接続されている。主出水管71aと出水管70とが一体に形成されていてもよい。主出水管71bは、本体フレーム2の内部で第1排水管73と接続されている。主出水管71bと第1排水管73とが一体に形成されていてもよい。電解水素水が取り出される主出水管71aは、出水管70を介して後処理装置300と接続されている。電解酸素水が取り出される主出水管71bは、第1排水管73を介して排水手段(図示せず)と接続されている。
【0058】
電解水素水が取り出される副出水管72aの一端は各電解槽43(図4乃至6参照)の陰極室と接続され、他端は主出水管71aに合流する。電解酸素水が取り出される副出水管72bの一端は各電解槽43の陽極室と接続され、他端は主出水管71bに合流する。各電解槽43の陰極室で電気分解された電解水素水は、副出水管72a、主出水管71aを順次介して後処理装置300に流入する。一方、各電解槽43の陽極室で電気分解された電解水素水は、副出水管72b、主出水管71bを順次介して排出される。
【0059】
本実施形態では、主出水管71aの一部が第3側部側スペース29に配されることにより、第1電解ユニット41Aに対して第1水平方向H1の空間及び第2電解ユニット41Bに対して第2水平方向H2の空間には、出水管7が配されていない。これにより、第1電解ユニット41A及び第2電解ユニット41Bを引き出す際に、第1電解ユニット41A及び第2電解ユニット41Bと出水管7との干渉が抑制され、電解水生成部4のメンテナンスが容易かつ短時間で行えるようになる。
【0060】
図6に示されるように、電気ケーブル5には、各電解槽43に電解電流を供給するためのケーブル56と、副出水管72a、72bに設けられている流量センサー63からの出力信号を伝送するためのケーブル57とが含まれる。ケーブル56及び57は、カプラー55によって電解槽43側と電源部3側とに分割可能に構成されている。これにより、第1電解ユニット41A及び第2電解ユニット41Bを引き出す際に、ケーブル56及び57を速やかに分割することが可能となり、電解水生成部4のメンテナンスが容易かつ短時間で行えるようになる。
【0061】
副入水管62a、62bは、各電解槽43の下部で電解槽43側と主入水管61a、61b側とに分割可能に構成されている。一方、副出水管72a、72bは、各電解槽43の上部で電解槽43側と主出水管71a、71b側とに分割可能に構成されている。これにより、第1電解ユニット41A及び第2電解ユニット41Bを引き出す際に、副入水管62a、62b及び副出水管72a、72bを速やかに分割することが可能となり、電解水生成部4のメンテナンスが容易かつ短時間で行えるようになる。
【0062】
図2に示されるように、底部24には、皿状の水溜部8が配されているのが望ましい。水溜部8は、電解水生成部4、入水管6及び出水管7のメンテナンス等の際に、漏れた水を溜める。
【0063】
出水管7は、各電解槽43の陽極室から取り出された水を本体フレーム2の外部に排出するための第1排水管73と、水溜部8からのびて第1排水管73と接続される第2排水管74をさらに備えるのが望ましい。第2排水管74と第1排水管73とが一体に形成されていてもよい。水溜部8からのびる第2排水管74が第1排水管73と接続されているので、水溜部8に溜められた水を容易に排出することができる。
【0064】
以上、本実施形態の電解水生成装置1が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。すなわち、電解水生成装置1は、少なくとも、本体フレーム2と、本体フレーム2内に収容された電解水生成部4とを備え、電解水生成部4は、本体フレーム2から第1水平方向H1に引き出し可能に配されている第1電解ユニットを有していればよい。
【符号の説明】
【0065】
1 電解水生成装置
2 本体フレーム
4 電解水生成部
6 入水管
7 出水管
41 電解ユニット
41A 第1電解ユニット
41B 第2電解ユニット
42 ベース
43 電解槽
44 ハンドル
H1 第1水平方向
H2 第2水平方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9