(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建物の開口部に設けられた扉を構成する扉体を施錠するための施錠装置であり、前記扉体の内部に設けられた施錠装置本体と、前記扉体を構成する表面材に形成された貫通孔を介して前記施錠装置本体から前記扉体の外側に向けて突出するように設けられた操作軸と、前記操作軸の先端部に接続されたカバー部であり、前記貫通孔を前記扉体の外側から覆うためのカバー部とを備えた施錠装置を、前記扉体に対して取り付けるための取付構造であって、
前記扉体の内部において前記表面材と前記施錠装置本体との相互間に設けられたガタつき抑制手段であり、挿通孔を有するガタつき抑制手段であって、前記挿通孔に前記操作軸を挿通させることにより、前記カバー部によって前記表面材の前記貫通孔が覆われるように、当該操作軸のガタつきを抑制し、
前記ガタつき抑制手段は、前記挿通孔を有する厚肉状の第1の側部であり、前記表面材に対して略平行に設けられた第1の側部を備え、
前記挿通孔の大きさを、前記第1の側部の側面のうち前記施錠装置本体側の側面から前記表面材側の側面に至るにしたがって大きくした、
施錠装置の取付構造。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る施錠装置の取付構造の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、建物の開口部に設けられた扉を構成する扉体を施錠するための施錠装置を、扉体に対して取り付けるための取付構造に関するものである。
【0017】
ここで、「建物」とは、その具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、戸建て住宅、アパートやマンションの如き集合住宅、オフィスビル、商業施設、及び公共施設等を含む概念である。また、「建物の開口部」とは、建物の躯体の一部分(例えば、壁、天井、床等)において出入口を設置するために形成された開口部である。また、「扉」は、開口部に設置される構造体であって、開口部の出入りを抑制又は制限するための構造体を意味する。また、扉の取り付け位置や用途は任意であるが、例えば玄関に設置される「玄関扉」、勝手口や通用口に設置される「勝手口扉」、あるいは建物内部に設置される「室内扉」等を含む。また、扉の開閉構造は任意であり、例えば、片開式の開き戸や両開式の開き戸(いわゆる親子扉)等の「開き戸」や「引き戸」として構成することができる。以下、実施の形態では、扉が、ビルの如き建物の通路に面する位置に配置された片開式の開き戸である場合について説明する。
【0018】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0019】
(構成)
最初に、実施の形態に係る枠体を備える扉の構成について説明する。以下の説明では、
図1のX方向を扉の左右方向又は見付け方向(−X方向を扉の左方向、+X方向を扉の右方向)、
図1のY方向を扉の前後方向又は見込み方向(+Y方向を扉の前方向(部屋の室内側の方向)、−Y方向を扉の後方向(部屋の室外側の方向))、
図1のZ方向を扉の上下方向(+Z方向を扉の上方向、−Z方向を扉の下方向)と称する。
【0020】
図1に示すように、この扉1は、概略的に、枠体10、扉体20、及びヒンジ部60を備えて構成されている。ただし、扉1に関する特記しない構成については、従来と同様であるものとして説明を省略する。なお、後述する扉1を構成する各種部材同士の取付方法(又は接続方法)については任意であるが、例えば、取付側の部材又は取付相手側の部材に形成された取付孔(例えば、リベット孔、ネジ孔等)を介して、取付側の部材を取付相手側の部材に対して固定具(例えば、リベット、取付ネジ、ビス等)、溶接、接着剤、両面テープ等によって取り付ける(又は接続する)方法が採用されている。
【0021】
(構成−枠体)
枠体10は、建物の躯体(図示省略)に形成された開口部2の周縁に設置されるものであり、スチール製(又はステンレス製)の左右一対の縦枠11、12及び上下一対の横枠13、14を備えている。これら縦枠及び横枠は、それぞれ開口部2の周縁における建物の躯体に対して公知の方法で直接的に固定されており、相互に組み合わせられることによって、正面形状が略矩形環状となるように形成されている。以下では、必要に応じて、左右一対の縦枠11、12のうち、開口部2の戸尻側に位置する縦枠11を「戸尻側縦枠11」と称し、開口部2の戸先側に位置する縦枠12を「戸先側縦枠12」と称する。また、上下一対の横枠13、14のうち、開口部2の上方側に位置する横枠13を「上側横枠13」と称し、開口部2の下方側に位置する横枠14を「くつずり横枠14」と称する。
【0022】
また、この戸先側縦枠12には、デッドボルト受け及びラッチ受けが設けられている(いずれも図示省略)。デッドボルト受けは、扉体20によって開口部2が閉鎖された状態(以下、「全閉状態」と称する)において、扉体20に設けられた後述する公知のデッドボルトを受けるためのデッドボルト受容手段であり、後述するデッドボルトと対応する位置に配置されている。ラッチ受けは、扉体20に設けられた後述するラッチ22を受けるためのラッチ受容手段であり、ラッチ22と対応する位置に配置されている。
【0023】
(構成−扉体)
扉体20は、建物の開口部2を開閉するための平板状の開閉体であり、
図1から
図3に示すように、扉フレーム30及び表面材41、42を備えている。
【0024】
(構成−扉体−扉フレーム)
扉フレーム30は、扉体20の剛性を主として担うものである。この扉フレーム30は、スチール製(又はステンレス製)の左右一対の縦力骨31、32及び上下一対の横力骨(図示省略)を組み合わせることによって、正面形状が略矩形環状となるように形成されている。以下では、必要に応じて、左右一対の縦力骨31、32のうち、戸尻側の縦力骨31を「戸尻側縦力骨31」と称し、戸先側の縦力骨32を「戸先側縦力骨32」と称する。また、上下一対の横力骨のうち、上側の横力骨を「上側横力骨」と称し、下側の横力骨を「下側横力骨」と称する。
【0025】
また、
図2に示すように、戸尻側縦力骨31と戸先側縦力骨32との相互間には、中骨33が相互に間隔を隔てて左右方向に沿って複数並設されている。中骨33は、扉フレーム30を補強するものであり、長手方向(上下方向)の長さが戸尻側縦力骨31(又は戸先側縦力骨32)の長手方向(上下方向)の長さと略同一となるように形成され、上下方向に略沿うように設置されている。
【0026】
(構成−扉体−表面材)
表面材41、42は、扉体20の2つの主側面(扉体20の側面のうち、面積が最も大きな側面)のいずれか一方を構成するものであって、少なくとも扉フレーム30における見込み方向(前後方向)の一方側の側面(例えば、部屋の室外側の側面)の略全体を覆うものである。表面材41、42は、扉体20の2つの主側面のいずれか他方を構成するものであって、少なくとも扉フレーム30における見込み方向の他方側の側面(例えば、部屋の室内側の側面)の略全体を覆うものである。また、これら表面材41、42は、例えば薄厚な鋼材(具体的には、スチール、ステンレス)等を用いて構成されており、扉フレーム30を部屋の室外側及び室内側から覆うように設けられ、扉フレーム30に対して溶接又は固定具等によって固定されている。以下では、必要に応じて、これら表面材41、42のうち、部屋の室外側の表面41材を「室外側表面材41」と称し、部屋の室内側の表面材42を「室内側表面材42」と称する。
【0027】
また、
図3に示すように、室外側表面材41における部屋の室外側の側面には室外側貫通孔41aが形成されていると共に、室内側表面材42における部屋の室内側の側面には室内側貫通孔42aが形成されている。この室外側貫通孔41aは、後述する施錠装置50の室外側操作軸52を扉体20の内部に挿通させるための貫通孔であり、
図3に示すように、室外側表面材41における室外側操作軸52と対応する部分に設けられている。また、この室内側貫通孔42aは、後述する施錠装置50の室内側操作軸54を扉体20の内部に挿通させるための貫通孔であり、
図3に示すように、室内側表面材42における室内側操作軸54と対応する部分に設けられている。また、これら室外側貫通孔41a及び室内側貫通孔42aの形状及び大きさについては、実施の形態では、室外側貫通孔41aについては、室外側貫通孔41aの内径が室外側操作軸52の外径よりも大きな円形状に設定している。また、室内側貫通孔42aについては、室内側貫通孔42aの内径が室内側操作軸54の外径よりも大きな円形状に設定している。このような構成により、室外側操作軸52及び室内側操作軸54を扉体20の外部から後述する施錠装置50の施錠装置本体51に対して取り付けることが可能となる。
【0028】
(構成−扉体−その他の構成)
また、
図1から
図3に示すように、扉体20の戸先側には、把手21、ラッチ22、及び施錠装置50が設けられている。
【0029】
(構成−扉体−その他の構成−把手)
把手21は、ユーザが扉体20の開閉操作を行うためのものであり、扉体20における部屋の室外側の側面及び室内側の側面における相互に対応する位置に設けられている。この把手21の固定方法については任意であるが、例えば、まず、室外側表面材41に形成された取付孔(図示省略)、及び室内側表面材42に形成された取付孔(図示省略)に把手21の回転軸(図示省略)を挿通する。次いで、この挿通した回転軸を室外側表面材41及び室内側表面材42の各々に設けられた固定部材(図示省略)に対して回転可能に固定する。そして、この回転軸の前端部及び後端部の各々に対して把手21の把手本体部21aを固定する。
【0030】
(構成−扉体−その他の構成−ラッチ)
ラッチ22は、施錠装置50による施錠の有無に関わらず、全閉状態の位置に扉体20を維持するためのものである。このラッチ22は、扉体20の内部(具体的には、後述する施錠装置本体51の内部)に収容された連動機構(図示省略)を介して把手21と連結されており、ユーザによる把手21の操作に連動して、施錠装置本体51及び取付板23に形成された挿通孔(図示省略)を介して当該ラッチ22を扉体20の戸先側の側面から出し入れすることができる。これにより、全閉状態において、このラッチ22を戸先側縦枠12に設けられたラッチ受けに係止させることにより、扉体20を全閉状態の位置に維持することができる。
【0031】
(構成−扉体−その他の構成−施錠装置)
施錠装置50は、扉体20を施錠するための装置である。この施錠装置50は、例えば公知の施錠装置(一例として、シリンダ錠等)を用いて構成されており、
図2、
図3に示すように、施錠装置本体51、室外側操作軸52、室外側カバー部53、室内側操作軸54、室内側カバー部55、及びデッドボルト(図示省略)を備えている。
【0032】
(構成−扉体−その他の構成−施錠装置−施錠装置本体)
施錠装置本体51は、施錠装置50の基本構造体であって、各種の機構(図示省略)を収容するための収容手段である。この施錠装置本体51は、略箱状体にて形成されており、
図2、
図3に示すように、扉体20の内部に収容されている。また、この施錠装置本体51の設置方法については任意であるが、例えば、扉体20の戸先側の見込面に形成された図示しない差込孔を介して施錠装置本体51を扉体20の内部に収容した後、当該施錠装置本体51を取付板23を介して戸先側縦力骨32に対して固定具等によって固定する。
【0033】
(構成−扉体−その他の構成−施錠装置−室外側操作軸)
室外側操作軸52は、部屋の室外側から施錠装置50を操作するための操作軸(シリンダ錠のシリンダ部に相当)にであり、
図2から
図4に示すように、操作軸本体52a、第1接続部52b、及び第2接続部52cを備えている。
【0034】
操作軸本体52aは、室外側操作軸52の基本構造体である。この操作軸本体52aは、長尺な鋼製の略筒状体(
図4では、円筒状体)にて形成されており(具体的には、
図3に示すように、室内側操作軸54の操作軸本体54aよりも長い長さにて形成されている)、
図3に示すように、操作軸本体52aが施錠装置本体51から室外側貫通孔41aを介して扉体20の外側に向けて突出するように設けられている。また、
図4に示すように、操作軸本体52aには、キー(図示省略)を挿入するためのキー挿入孔52dが形成されているので、ユーザがキーを介して操作軸本体52aを操作することができる。
【0035】
第1接続部52b及び第2接続部52cは、操作軸本体52aを施錠装置本体51に接続するためのものである。
図4に示すように、この第1接続部52bは、操作軸本体52aから当該操作軸本体52aの軸方向に略直交する方向に向けて(
図4では、上方に向けて)突出するように形成された凸状体であり、操作軸本体52aの上端側の部分のうち部屋の室内側の端部に配置されている。また、この第2接続部52cは、操作軸本体52aから当該操作軸本体52aの軸方向に略直交する方向に向けて(
図4では、下方に向けて)突出する凸状体にて形成されており、操作軸本体52aに対して第1接続部52b側とは反対側の位置(
図4では、操作軸本体52aの下端側の部分のうち部屋の室内側の端部)に配置されている。
【0036】
このように構成された室外側操作軸52を施錠装置本体51に対して接続する方法については任意であるが、例えば、室外側表面材41の室外側貫通孔41a、後述するガタつき抑制部70の第1挿通孔71a及び第2挿通孔72a、及び施錠装置本体51に形成された取付孔(図示省略)を介して室外側操作軸52を施錠装置本体51の内部に挿入した後、第1接続部52b及び第2接続部52cの各々に形成された挿通孔52eにピン(図示省略)を挿通することにより、室外側操作軸52を施錠装置本体51に対して接続する(なお、室内側操作軸54を施錠装置本体51に対して接続する方法についても同様とする)。
【0037】
(構成−扉体−その他の構成−施錠装置−室外側カバー部)
図2に戻り、室外側カバー部53は、室外側貫通孔41aを扉体20の外側から覆うためのカバー部(シリンダ錠のカバー部に相当)である。この室外側カバー部53は、頂部を切り取った中空の略円錐状体にて形成されており、室外側操作軸52の先端部(
図2、
図3では、室外側操作軸52の室外側の端部)に設けられており、室外側操作軸52に対して嵌合構造又は固定具等によって固定されている。また、この室外側カバー部53の外径の形状及び大きさについては任意であるが、室外側カバー部53によって室外側貫通孔41aが覆われるように、例えば、
図2、
図3に示すように、室外側操作軸52の先端部から室外側表面材41に至るにしたがって大きくなる円形状に設定していると共に、室外側表面材41側の室外側カバー部53の外径を室外側貫通孔41aの内径よりも若干大きく設定している。ただし、これに限られず、例えば、室外側カバー部53の外径を前後方向に対して略同一の大きさになるように設定してもよい。
【0038】
(構成−扉体−その他の構成−施錠装置−室内側操作軸)
室内側操作軸54は、部屋の室内側から施錠装置50を操作するための操作軸(シリンダ錠のシリンダ部に相当)であり、
図2、
図3に示すように、操作軸本体54a、第1接続部(図示省略)、及び第2接続部(図示省略)を備えている。なお、この室内側操作軸54は、操作軸本体54aの構成の詳細を除いて、室外側操作軸52と略同一に構成されているので、その詳細な説明を省略する。
【0039】
操作軸本体54aは、室内側操作軸54の基本構造体であり、長尺な鋼製の略筒状体(具体的には、円筒状体)にて形成され、
図2、
図3に示すように、操作軸本体54aが施錠装置本体51から室内側貫通孔42aを介して扉体20の外側に向けて突出するように設けられている。また、
図2、
図3に示すように、操作軸本体54aの先端部には、ユーザの指でつまむことが可能なつまみ部54b(いわゆるサムターン)が取り付けられているので、ユーザがつまみ部54bを介して操作軸本体54aを操作することができる。
【0040】
(構成−扉体−その他の構成−施錠装置−室内側カバー部)
室内側カバー部55は、室内側貫通孔42aを扉体20の外側から覆うためのカバー部(シリンダ錠のカバー部に相当)である。この室内側カバー部55は、室外側カバー部53と略同一に構成されているので、その詳細な説明を省略する。
【0041】
(構成−扉体−その他の構成−施錠装置−デッドボルト)
デッドボルトは、扉体20を戸先側縦枠12に対して係止するためのものである。このデッドボルトは、扉体20の内部(具体的には、施錠装置本体51の内部)に収容されており、室外側操作軸52又は室内側操作軸54を介して鍵操作を行うことにより、施錠装置本体51及び取付板23に形成された挿通孔(図示省略)を介して当該デッドボルトを扉体20の戸先側の見込面から出し入れすることができる。このような構成により、全閉状態において、このデッドボルトを戸先側縦枠12に設けられたデッドボルト受けに係止させることで、扉体20を施錠することができる。
【0042】
(構成−ヒンジ部)
図1に戻り、ヒンジ部60は、扉体20を戸尻側縦枠11に対して回動自在に軸支するためのものである。このヒンジ部60は、公知の旗蝶番等を用いて構成されており、戸尻側の端部において、相互に間隔を隔てて上下方向に沿って複数並設されている。また、このヒンジ部60の固定方法については任意であるが、例えば、
図1、
図2に示すように、まず、ヒンジ部60の上支持片61、室外側表面材41(又は室内側表面材42)、及び戸尻側縦力骨31の各々に形成された取付孔(図示省略)を介して、上支持片61を戸尻側縦力骨31に対して固定具により固定する。次に、ヒンジ部60の下支持片62、戸尻側縦枠11、及び戸尻側縦枠11の内部に設けられたライナ17の各々に形成された取付孔(図示省略)を介して、下支持片62を戸尻側縦枠11に対して固定具により固定する。そして、この下支持片62と接続された下軸63を、この上支持片61と接続された上軸受64に差し込むことにより、このヒンジ部60を介して扉体20と戸尻側縦枠11とを接続する。
【0043】
(構成−戸尻側縦枠及び戸先側縦枠の構成の詳細)
次に、戸尻側縦枠11及び戸先側縦枠12の構成の詳細について説明する。ただし、これら戸尻側縦枠11及び戸先側縦枠12は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。実施の形態において、
図2に示すように、戸尻側縦枠11及び戸先側縦枠12の各々は、枠材本体15及び固定材16を備えている。
【0044】
枠材本体15は、戸尻側縦枠11(又は戸先側縦枠12)の基本構造体である。この枠材本体15は、X−Y平面に沿った断面形状が左右方向の外側に向けて開放された略コ字状となるように形成された中空状体であり、開口部2の上下方向の略全長にわたって形成されている。また、枠材本体15の具体的な構成については任意であるが、例えば、
図2に示すように、枠材本体15における扉体20に対応する部分を左右方向の外側に向けて凹ませることにより、扉体20を収容しながら枠材本体15と扉体20との干渉を回避することが可能な空間が形成されている。なお、枠体10の意匠性の観点から、戸尻側縦枠11の枠材本体15及び戸先側縦枠12の枠材本体15が相互に同一の形状及び大きさに設定されている。
【0045】
固定材16は、枠材本体15を建物の躯体に対して固定すると共に、枠材本体15を補強するためのものである。この固定材16は、板状体にて形成されており、具体的には、
図2に示すように、当該固定材16の前後方向の長さが枠材本体15のコ字状の開放端部における前後方向の長さと略同一(又はそれ以上の長さ)であり、当該固定材16の上下方向の長さが枠材本体15の上下方向の長さよりも短くなるように形成されている。また、この固定材16は、枠材本体15のコ字状の開放端部側(枠材本体15の左右方向の外側の端部側)において、所定間隔を隔てて上下方向に沿って複数並設配置されており、枠材本体15及び建物の躯体に対して溶接等によって固定されている。
【0046】
(構成−施錠装置の取付構造)
次に、施錠装置50の取付構造について説明する。この扉1は、施錠装置50を、扉体20に対して取り付けるための取付構造を備えている。そして、
図2、
図3に示すように、この取付構造として、室外側操作軸52のガタつきを抑制するためのガタつき抑制部70(ガタつき抑制手段)が設けられている。ここで、室外側操作軸52のガタつきを抑制するためのガタつき抑制部70を設けた理由は、以下に示す通りとなる。すなわち、
図2、
図3に示すように、室外側貫通孔41aの内径が室外側操作軸52の外径よりも大きな形状に設定されていると共に、室外側カバー部53(特に、室外側表面材41側の室外側カバー部53)の外径が室外側貫通孔41aの内径よりも若干大きく設定されている。これらの設定において、
図2、
図3に示すように、室外側操作軸52の軸方向の長さ(図では、室外側操作軸52の前後方向の長さ)が比較的長い場合には、ユーザによって室外側操作軸52を介して錠操作(一例として、施錠操作、解錠操作)が行われると、室外側操作軸52の軸方向の長さが比較的短い場合に比べて、施錠装置本体51に対する室外側操作軸52のガタつきの量が大きくなる。この場合に、例えば、室外側カバー部53の外周端と室外側貫通孔41aの外周端との相互間の隙間(すなわち、室外側カバー部53の掛かり量)が室外側操作軸52のガタつきの量よりも小さい場合には、室外側貫通孔41aの一部が室外側カバー部53によって覆われなくなることで、室外側貫通孔41aが外部に露出するおそれがあることから、これを回避するためである。なお、室内側操作軸54のガタつきを抑制するためのガタつき抑制部70を設けてもよいが、
図2、
図3に示すように、室内側操作軸54の軸方向の長さ(
図2、
図3では、室内側操作軸54の前後方向の長さ)が比較的短いので、例えば、ユーザによって室内側操作軸54を介して錠操作が行われたとしても、室内側操作軸54のガタつきの量が小さいため、室内側貫通孔42aが外部に露出するおそれが極めて低いと考えられる。このことから、実施の形態においては、室内側操作軸54のガタつきを抑制するためのガタつき抑制部70を設けないこととしている。
【0047】
このガタつき抑制部70は、
図2、
図3に示すように、扉体20の内部において室外側表面材41と施錠装置本体51との相互間に設けられている。また、
図3、
図5に示すように、このガタつき抑制部70は、Y−Z平面に沿った断面形状が逆U字形状となる略板状体にて形成されており、具体的には、第1側部71、第2側部72、及び第3側部73を備えている。
【0048】
(構成−施錠装置の取付構造−ガタつき抑制部の第1側部)
第1側部71は、ガタつき抑制部70を支持対象に対して固定するための側部である。ここで、「支持対象」とは、例えば、扉体20の構成要素(一例として、室外側表面材41、戸先側縦力骨32等)や施錠装置50の構成要素(一例として、施錠装置本体51等)を含む概念であるが、実施の形態では、室外側表面材41として説明する。この第1側部71は、第3側部73の室外側の端部から下方に向けて張り出すように形成されており、室外側表面材41に対して略平行に設けられている。具体的には、
図3に示すように、室外側表面材41の室外側貫通孔41aと対向し、且つ室外側表面材41と当接するように設けられており、室外側表面材41に対して接着テープ又は接着剤等によって固定されている。
【0049】
また、
図3、
図5に示すように、第1側部71には、第1挿通孔71aが形成されている。この第1挿通孔71aは、室外側操作軸52を挿通させるためのものであり、第1側部71における室外側貫通孔41aと対応する部分に設けられており、具体的には、
図3に示すように、第1挿通孔71aの中心点が室外側貫通孔41aの中心点と略同一直線上に位置するように設けられている。また、この第1挿通孔71aの形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態では、室外側貫通孔41aの内径と同一の形状及び大きさに設定している。ただし、これに限られず、例えば、室外側貫通孔41aの形状と同一であるものの、室外側貫通孔41aの内径よりも大きな大きさに設定してもよい。
【0050】
(構成−施錠装置の取付構造−ガタつき抑制部の第2側部)
第2側部72は、室外側操作軸52のガタつきを抑制するための側部である。
図3、
図5に示すように、この第2側部72は、第3側部73における部屋の室内側の端部から下方に向けて張り出すように形成されており、室外側表面材41に対して略平行に設けられており、具体的には、第1側部71の略全体と対向するように設けられている。
【0051】
また、
図3、
図5に示すように、第2側部72には、第2挿通孔72aが形成されている。第2挿通孔72aは、当該第2挿通孔72aに室外側操作軸52を挿通させることにより、室外側カバー部53によって室外側貫通孔41aが覆われるように、当該室外側操作軸52のガタつきを抑制するための挿通孔である。この第2挿通孔72aは、第2側部72における室外側貫通孔41a及び第1挿通孔71aと対応する部分に設けられており、具体的には、
図3に示すように、第2挿通孔72aの中心点が室外側貫通孔41aの中心点、第1挿通孔71aの中心点、及び施錠装置本体51の挿通孔の中心点と略同一直線上に位置するように設けられている。また、この第2挿通孔72aの形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態では、室外側操作軸52の外径と同一の形状に設定すると共に、室外側操作軸52の外径よりも大きな大きさに設定している。
【0052】
また、この第2挿通孔72aの具体的な構成ついては任意である、実施の形態では、以下に示す通りに構成されている。すなわち、
図3に示すように、ガタつき抑制部70の第2挿通孔72aと室外側操作軸52との相互間の隙間の長さK
1が、下記式(1)から下記式(3)を満たすように設定されている。
K
1<K
0×T
1/T
0・・・式(1)
K
0>0・・・式(2)
K
1>0・・・式(3)
(ここで、
K
0:室外側カバー部53における室外側表面材41側の側面の外周端と室外側表面材41の室外側貫通孔41aの外周端との相互間の長さ、
K
1:ガタつき抑制部70の第2挿通孔72aと室外側操作軸52との相互間の隙間の長さ、
T
0:施錠装置本体51から室外側表面材41に至るまでの長さ、
T
1:施錠装置本体51から第2挿通孔72aに至るまでの長さ(なお、
図3では、施錠装置本体51から第2側部72における部屋の室内側の側面に形成された第2挿通孔72aに至るまでの長さを示す))
【0053】
ここで、これら式(1)から式(3)に基づいて上記隙間の長さK
1に設定した理由は、以下に示す通りである。すなわち、例えば、上記隙間の長さK
1が上記相互間の長さK
0と同一の長さに設定された場合には、室外側操作軸52のガタつきの量が上記隙間の長さK
1(=K
0)と同程度の量に達すると、室外側貫通孔41aの一部が室外側カバー部53によって覆われなくなるので、室外側貫通孔41aが外部に露出するおそれがある。一方、上記隙間の長さK
1がゼロに近い値に設定された場合には、室外側操作軸52のガタつきがほとんど生じなくなるものの、室外側操作軸52を施錠装置本体51に対して取り付ける際のアソビ(つまり、第2挿通孔72aと室外側操作軸52(具体的には、操作軸本体52a)との相互間の隙間)を確保できないので、当該取り付けが難しくなるおそれがある。以上のような問題を回避するために、これら式(1)から式(3)に基づいて上記隙間の長さK
1に設定している。
【0054】
また、上記隙間の長さK
1の詳細については、具体的には、
図3に示すように、ガタつき抑制部70の第2挿通孔72aの位置が施錠装置本体51と室外側表面材41との略中間の位置となるように(すなわち、T
1≒T
0/2となるように)、ガタつき抑制部70が設けられているので、K
1≒K
0/2(具体的には、K
0/2よりも若干短い長さ)に設定されている。このような設定により、第2挿通孔72aにおいて、室外側表面材41の室外側貫通孔41aが外部に露出することを防止しながら、室外側操作軸52を施錠装置本体51に対して取り付ける際のアソビを確保できるので、扉1の使用時の安全性を確保しながら、施錠装置50の施工性を維持することが可能となる。
【0055】
また、上記隙間の長さK
1の設定に伴い、
図3から
図5に示すように、ガタつき抑制部70の第2挿通孔72aの大きさが、下記式(4)、下記式(5)を満たすように設定されている。
A
1=B
1+K
1×2・・・式(4)
A
2=B
2+K
1×2・・・式(5)
(ここで、
A
1:ガタつき抑制部70の第2挿通孔72aにおける室外側操作軸52の第1接続部52bと第2接続部52cとの並設方向に略直交する方向の長さ(
図5では、第2挿通孔72aの左右方向の長さ)、
A
2:ガタつき抑制部70の第2挿通孔72aにおける室外側操作軸52の第1接続部52bと第2接続部52cとの並設方向の長さ(
図5では、第2挿通孔72aの上下方向の長さ)、
B
1:室外側操作軸52の操作軸本体52aにおける室外側操作軸52の第1接続部52bと第2接続部52cとの並設方向に略直交する方向の長さ(
図4では、室外側操作軸52の左右方向の長さ)、
B
2:室外側操作軸52における第1接続部52bの外縁端部から第2接続部52cの外縁端部に至る長さ(
図4では、室外側操作軸52の上下方向の長さ))
【0056】
具体的には、上述したように、第2挿通孔72aの位置が施錠装置本体51と室外側表面材41との略中間の位置であるので、
図5に示すように、第2挿通孔72aの左右方向の長さA
1=B
1+X(ここで、「X」とは、K
0よりも若干小さな値を意味する)となり、第2挿通孔72aの上下方向の長さA
2=B
2+Xとなる領域80(以下、「設定可能領域80」と称する)内に第2挿通孔72aが収まるように設定されている。また、この第2挿通孔72aの形状及び大きさについては、
図5の設定可能領域80と略同一の形状及び大きさに設定することも可能であるが、この場合には、第2挿通孔72aの室外側操作軸52との相互間の隙間のうち、左斜め方向及び右斜め方向の各々における隙間の長さが比較的長いことから、室外側操作軸52が左斜め方向又は右斜め方向にガタついた場合に、当該ガタつきの量が上記相互間の長さK
0を上回るおそれがある。よって、このような問題を回避するために、
図5に示す第2挿通孔72aの形状及び大きさに設定しており、具体的には、第2挿通孔72aの形状については、室外側操作軸52における部屋の室内側の端部の外周端の形状と同一に設定し、第2挿通孔72aの大きさについては、第2挿通孔72aの半径方向の長さが上記外周端の半径方向の長さよりも上記隙間の長さK
1分だけ長くなる大きさに設定している。このような設定により、室外側操作軸52が、操作軸本体52a、第1接続部52b、及び第2接続部52cを有する場合でも、第2挿通孔72aにおいて、室外側貫通孔41aが外部に露出することを防止しながら、室外側操作軸52を施錠装置本体51に対して取り付ける際のアソビを確保できるので、扉1の使用時の安全性を一層確保しながら、施錠装置50の施工性を一層維持できる。
【0057】
(構成−施錠装置の取付構造−ガタつき抑制部の第3側部)
第3側部73は、第1側部71と第2側部72とを接続するための側部であり、
図3、
図5に示すように、第1側部71と第2側部72との相互間において、略水平に設けられている。
【0058】
このように構成されたガタつき抑制部70は任意の方法や材質で製造することができ、例えば、スチール製の板状体を折り曲げ成形することにより、第1側部71、第2側部72、及び第3側部73を一体に成形し、この折り曲げ成形の前後のいずれかの時点で、第1挿通孔71a及び第2挿通孔72aを孔加工することで製造してもよい。
【0059】
以上のような施錠装置50の取付構造により、室外側表面材41の室外側貫通孔41aが外部に露出することを確実に防止できる。よって、外部に露出した室外側貫通孔41aにユーザの指が挿入されることを回避できるため、扉1の使用時の安全性を確保できると共に、扉1の意匠性を維持することができる。
【0060】
(施錠装置の取付構造の作用について)
続いて、このように構成された施錠装置50の取付構造の作用について説明する。
【0061】
すなわち、施錠装置50の室外側操作軸52が施錠装置50の施錠装置本体51に対して取り付けられる場合においては、作業者(又はユーザ)によって室外側操作軸52が室外側表面材41の室外側貫通孔41aを介して扉体20の内部に挿通されると、上記隙間の長さK
1が上記式(1)から上記式(3)に基づいて設定されているので、ガタつき抑制部70の第2挿通孔72aと室外側操作軸52(具体的には、操作軸本体52a)との相互間にアソビがあることから、室外側操作軸52を室外側貫通孔41aに挿通させた状態でも室外側操作軸52と施錠装置本体51との位置合わせを容易且つ正確に行うことができる。よって、室外側操作軸52を施錠装置本体51に対して効率良く取り付けることができ、施錠装置50の施工性を維持できる。
【0062】
また、施錠装置50が操作される場合においては、ユーザによって室外側操作軸52を介して錠操作が行われると、ガタつき抑制部70の第2挿通孔72aと室外側操作軸52との相互間に隙間が設けられているので、室外側操作軸52のガタつきが生じる。この場合には、上記隙間の長さK
1が上記式(1)から上記式(3)に基づいて設定されていることから、室外側操作軸52のガタつきの量が上記相互間の長さK
0を下回る長さに制限されるので、室外側表面材41の室外側貫通孔41aが外部に露出することを防止できる。よって、扉1の使用時の安全性を確保しながら、扉1の意匠性を維持することができる。
【0063】
(構成−その他の構成)
また、この他にも、ガタつき抑制部70は、できる限りにおいて任意の構造にて構成可能である。
【0064】
具体的には、実施の形態においては、ガタつき抑制部70が、Y−Z平面に沿った断面形状が逆U字形状となる略板状体にて形成されていると説明したが、これに限られない。例えば、
図6に示すように、ガタつき抑制部70が、Y−Z平面に沿った断面形状がZ字形状となる略板状体にて形成され、具体的には、第3側部73の室外側の端部から上方に向けて張り出すように形成された第1側部71と、第3側部73における部屋の室内側の端部から下方に向けて張り出すように形成された第2側部72であって、第2挿通孔72aを有する第2側部72と、第1側部71と第2側部72とを接続するための第3側部73とを備えてもよい。このような構成により、第1側部71に第1挿通孔71aを設ける必要がないので、第1挿通孔71aを加工する手間を省略することができる。
【0065】
また、実施の形態においては、ガタつき抑制部70が、室外側表面材41に対して固定されていると説明したが、これに限られない。例えば、ガタつき抑制部70が、扉フレーム30に対して固定されてもよい。この場合には、例えば、
図7に示すように、ガタつき抑制部70が、X−Y平面に沿った断面形状がL字形状となる略板状体にて形成され、具体的には、扉フレーム30の戸先側縦力骨32に対向するように設けられた第1側部71であって、戸先側縦力骨32に対して固定具又は溶接等により固定するための第1側部71と、第1側部71における部屋の室内側の端部から戸尻側に向けて張り出すように形成された第2側部72であって、第2挿通孔72aを有する第2側部72とを備えてもよい。このような構成により、ガタつき抑制部70を室外側表面材41に対して固定した場合に比べて、ガタつき抑制部70を安定して固定することができる。また、戸先側縦力骨32の加工精度が室外側表面材41の加工精度よりも比較的高く、また、室外側表面材41の大きさがガタつき抑制部70の大きさ(又は戸先側縦力骨32の大きさ)よりも大きいことにより、ガタつき抑制部70の加工精度(又は戸先側縦力骨32の加工精度)が室外側表面材41よりも比較的高いことからすると、施錠装置本体51が取り付けられている戸先側縦力骨32にガタつき抑制部70を直接取り付けることにより、ガタつき抑制部70の位置合わせを正確に行うことができる。よって、ガタつき抑制部70の設置性を向上させることが可能となる。
【0066】
また、実施の形態においては、ガタつき抑制部70が、薄肉状の板状体にて形成されていると説明したが、これに限られない。例えば、
図8に示すように、ガタつき抑制部70が、厚肉状の板状体にて形成されてもよい。この場合において、第2挿通孔72aの大きさについては、
図8に示すように、第2側部72の厚さ方向(前後方向)に対して略同一の大きさになるように設定してもよいが、これに限られない。例えば、
図9に示すように、第2側部72の側面のうち施錠装置本体51側の側面から室外側表面材41側の側面に至るにしたがって大きくなるように設定してもよい。このような設定により、室外側操作軸52を施錠装置本体51に対して容易に取り付けることができ、施錠装置50の施工性を維持することが可能となる。
【0067】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、第2挿通孔72aに室外側操作軸52を挿通させることにより、室外側カバー部53によって室外側貫通孔41aが覆われるように、当該室外側操作軸52のガタつきを抑制するので、室外側貫通孔41aが外部に露出することを確実に防止できる。よって、外部に露出した室外側貫通孔41aにユーザの指が挿入されることを回避できるため、扉1の使用時の安全性を確保できると共に、扉1の意匠性を維持することができる。
【0068】
また、第2挿通孔72aと室外側操作軸52との相互間の隙間の長さを、下記式(1)から下記式(3)を満たすように設定したので、第2挿通孔72aにおいて、室外側貫通孔41aが外部に露出することを防止しながら、室外側操作軸52を施錠装置本体51に対して取り付ける際のアソビ(隙間)を確保できるので、扉1の使用時の安全性を確保しながら、施錠装置50の施工性を維持することが可能となる。
K
1<K
0×T
1/T
0・・・(1)
K
0>0・・・(2)
K
1>0・・・(3)
(ここで、
K
0:室外側カバー部53における室外側表面材41側の側面の外周端と室外側表面材41の室外側貫通孔41aの外周端との相互間の長さ、
K
1:ガタつき抑制部70の第2挿通孔72aと室外側操作軸52との相互間の隙間の長さ、
T
0:施錠装置本体51から室外側表面材41に至るまでの長さ、
T
1:施錠装置本体51から第2挿通孔72aに至るまでの長さ)
【0069】
また、ガタつき抑制部70の第2挿通孔72aの大きさを、下記式(4)、下記式(5)を満たすように設定したので、室外側操作軸52が、操作軸本体52a、第1接続部52b、及び第2接続部52cを有する場合でも、第2挿通孔72aにおいて、室外側貫通孔41aが外部に露出することを防止しながら、室外側操作軸52を施錠装置本体51に対して取り付ける際のアソビを確保できるので、扉1の使用時の安全性を一層確保しながら、施錠装置50の施工性を一層維持できる。
A
1=B
1+K
1×2・・・(4)
A
2=B
2+K
1×2・・・(5)
(ここで、
A
1:ガタつき抑制部70の第2挿通孔72aにおける第1接続部52bと第2接続部52cとの並設方向に略直交する方向の長さ、
A
2:ガタつき抑制部70の第2挿通孔72aにおける第1接続部52bと第2接続部52cとの並設方向の長さ、
B
1:操作軸本体52aにおける第1接続部52bと第2接続部52cとの並設方向に略直交する方向の長さ、
B
2:第1接続部52bの外縁端部から第2接続部52cの外縁端部に至る長さ)
【0070】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0071】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0072】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0073】
(扉体ついて)
上記実施の形態では、扉体20が中骨33を備えていると説明したが、これに限られず、中骨33を省略してもよい。
【0074】
(ヒンジ部ついて)
上記実施の形態では、ヒンジ部60が旗蝶番を用いて構成されていると説明したが、これに限られず、例えば、ピボットヒンジ等を用いて構成されてもよい。この場合には、開口部2の上方側において扉体20と上側横枠13とを接続するためのヒンジ部と、開口部2の下方側において扉体20と戸尻側縦枠11とを接続するためのヒンジ部とが設けられる。
【0075】
(施錠装置について)
上記実施の形態では、室外側操作軸52(又は室内側操作軸54)の操作軸本体が円筒状体にて形成されていると説明したが、これに限られない。例えば、断面形状が楕円である楕円筒状体、又は断面形状が多角形の多角形筒状体にて形成されてもよい。この場合には、第2挿通孔72aの形状については、室外側操作軸52の断面形状に応じた形状に設定されてもよい。
【0076】
また、上記実施の形態では、室外側操作軸52(又は室内側操作軸54)が2つの接続部(すなわち、第1接続部52b及び第2接続部52c)を備えていると説明したが、これに限られない。例えば、1つの接続部のみを備えてもよく、あるいは、3つ以上の接続部を備えてもよい。
【0077】
また、上記実施の形態では、施錠装置50が設置されている状態において、室外側操作軸52が第2挿通孔72aに単に挿通されていると説明したが、これに限られない。例えば、第2挿通孔72aの外周端に可撓性を有する緩衝材(一例として、樹脂製のパッキン等)を設け、室外側操作軸52がこの緩衝材を介して第2挿通孔72aに挿通されてもよい。これにより、室外側操作軸52を施錠装置本体51に対して取り付ける際のアソビを確保しながら、室外側操作軸52のガタつきの量を小さくすることができる。
【0078】
(ガタつき抑制部について)
上記実施の形態では、室外側操作軸52のガタつきを抑制するためのガタつき抑制部70が設けられていると説明したが、これに限られず、例えば、室内側操作軸54のガタつきを抑制するためのガタつき抑制部70が設けられてもよい。あるいは、室外側操作軸52の軸方向の長さが室内側操作軸54の軸方向の長さよりも短い場合には、室外側操作軸52のガタつき抑制部70を省略して、室内側操作軸54のガタつき抑制部70のみが設けられてよい。
【0079】
また、上記実施の形態では、ガタつき抑制部70の第2挿通孔72aの位置が施錠装置本体51と室外側表面材41との略中間の位置となるように、ガタつき抑制部70が設けられていると説明したが、これに限られない。例えば、第2挿通孔72aの位置が施錠装置本体51と室外側表面材41との略中間の位置よりも施錠装置本体51側の位置(又は室外側表面材41側の位置)となるように設けられてもよい。
【0080】
また、上記実施の形態では、
図3、
図5に示すように、第2挿通孔72aの中心点が室外側貫通孔41aの中心点と略同一直線上に位置するように、第2挿通孔72aが設けられていると説明したが、これに限られない。例えば、第2挿通孔72aの中心点が室外側貫通孔41aの中心点と非同一直線上に位置するように設けられてもよい(なお、
図6から
図10の第2挿通孔72aについても同様とする)。
【0081】
また、上記実施の形態では、第1側部71が、室外側表面材41のみと当接するように設けられていると説明したが、これに限られない。例えば、第1側部71が、室外側表面材41と当接すると共に、扉フレーム30の戸先側縦力骨32の一部(例えば、
図3に示す室外側表面材41との接触部分のうち、戸尻側の端部)と当接するように設けられてもよい。この場合において、第1側部71が戸先側縦力骨32と当接することにより、第1挿通孔71aの中心点及び第2挿通孔72aの中心点が室外側貫通孔41aの中心点と略同一直線上に位置するように、ガタつき抑制部70を形成することで、ガタつき抑制部70の位置合わせを容易に行うことができる。また、第1側部71を室外側表面材41に対して接着テープ又は接着剤等によって固定すると共に、戸先側縦力骨32に対して溶接等により固定することで、ガタつき抑制部70を一層強固に固定することができる。
【0082】
また、上記実施の形態では、第2挿通孔72aの上下方向の長さが、式(5)に基づいて設定されていると説明したが、これに限られない。一例として、室外側操作軸52を施錠装置本体51に対して取り付ける際に、室外側操作軸52を前後方向に沿った回転軸(図示省略)を中心に時計回り方向(又は反時計回り方向)に45度回転させた状態で第2挿通孔72aに挿通し、その後回転させる前の状態に戻してから室外側操作軸52を施錠装置本体51に対して接続する場合には、第2挿通孔72aの左斜め方向(又は右斜め方向)の長さが、
図5の第2挿通孔72aの上下方向の長さと略同一の長さに設定されてもよい。このような設定により、第2挿通孔72aの上下方向の長さを、
図5の第2挿通孔72aの上下方向の長さよりも短くすることができる。
【0083】
また、上記実施の形態では、ガタつき抑制部70が、第1側部71、第2側部72、及び第3側部73を備えていると説明したが、これに限られない。例えば、
図10に示すように、これらの構成要素に加えて、第1側部71と第2側部72との相互間において設けられた第4側部74であって、第3側部73から下方に向けて張り出すように形成された第4側部74を備えてもよい。この場合において、第2側部72の第2挿通孔72aの形状及び大きさを、第2挿通孔72aの左右方向の長さA
1=B
1+X、第2挿通孔72aの上下方向の長さA
2=B
2+Xとなる矩形状に設定し、第4側部74に形成された第3挿通孔74aの形状及び大きさを、第3挿通孔74aの左右方向の長さA
3=B
2+Y(ここで、「Y」とは、Xよりも若干大きな値を意味する)、第2挿通孔72aの上下方向の長さA
4=B
1+Yとなる矩形状に設定してもよい。あるいは、第4側部74を設けることなく、単に、
図3のガタつき抑制部70の第1挿通孔71aの形状及び大きさを、第3挿通孔74aの形状及び大きさと略同一(又は若干大きな大きさ)に設定してもよい。このような構成により、
図5のガタつき抑制部70と略同様に、室外側操作軸52のガタつきを抑制することが可能となる。なお、このような構成において、室外側操作軸52を施錠装置本体51に対して取り付ける際には、例えば、
図4に示す室外側操作軸52を前後方向に沿った回転軸を中心に90度回転させた状態で第3挿通孔74aに挿通し、その後回転させる前の状態に戻してから第2挿通孔72aに挿通した後、当該回転させる前の状態で室外側操作軸52を施錠装置本体51に対して接続してもよい。また、このようなガタつき抑制部70は任意の方法や材質で製造することができ、例えば、まず、スチール製の板状体を折り曲げ成形することにより、第1側部71及び第3側部73の一部を一体に成形すると共に、第2側部72、第3側部73の他の一部、及び第4側部74を一体に成形する。そして、これら折り曲げ成形の前後のいずれかの時点で、第1側部71を含む板状体と第2側部72を含む板状体とを溶接等により接続すると共に、第1挿通孔71a、第2挿通孔72a、及び第3挿通孔74aを孔加工することで製造してもよい。あるいは、これに限られず、金型等用いる公知の鋳造方法により、第1側部71、第2側部72、第3側部73、第4側部74、第1挿通孔71a、第2挿通孔72a、及び第3挿通孔74aを一体的に形成してもよい。
【0084】
(付記)
付記1の施錠装置の取付構造は、建物の開口部に設けられた扉を構成する扉体を施錠するための施錠装置であり、前記扉体の内部に設けられた施錠装置本体と、前記扉体を構成する表面材に形成された貫通孔を介して前記施錠装置本体から前記扉体の外側に向けて突出するように設けられた操作軸と、前記操作軸の先端部に接続されたカバー部であり、前記貫通孔を前記扉体の外側から覆うためのカバー部とを備えた施錠装置を、前記扉体に対して取り付けるための取付構造であって、前記扉体の内部において前記表面材と前記施錠装置本体との相互間に設けられたガタつき抑制手段であり、挿通孔を有するガタつき抑制手段であって、前記挿通孔に前記操作軸を挿通させることにより、前記カバー部によって前記表面材の前記貫通孔が覆われるように、当該操作軸のガタつきを抑制する。
【0085】
付記2の施錠装置の取付構造は、付記1に記載の施錠装置の取付構造において、前記ガタつき抑制手段の前記挿通孔と前記操作軸との相互間の隙間の長さを、下記式(1)から下記式(3)を満たすように設定した。
K
1<K
0×T
1/T
0・・・(1)
K
0>0・・・(2)
K
1>0・・・(3)
(ここで、
K
0:カバー部における表面材側の側面の外周端と表面材の貫通孔の外周端との相互間の長さ、
K
1:ガタつき抑制手段の挿通孔と操作軸との相互間の隙間の長さ、
T
0:施錠装置本体から表面材に至るまでの長さ、
T
1:施錠装置本体から挿通孔に至るまでの長さ)
【0086】
付記3の施錠装置の取付構造は、付記2に記載の施錠装置の取付構造において、前記操作軸は、操作軸本体と、前記操作軸本体から当該操作軸本体に略直交する方向に向けて突出する第1接続部であり、当該操作軸本体を前記施錠装置本体に接続するための第1接続部と、前記操作軸本体に対して前記第1接続部側とは反対側の位置において、当該操作軸本体から当該操作軸本体に略直交する方向に向けて突出する第2接続部であり、当該操作軸本体を前記施錠装置本体に接続するための第2接続部と、を備え、前記ガタつき抑制手段の前記挿通孔の大きさを、下記式(4)、下記式(5)を満たすように設定した。
A
1=B
1+K
1×2・・・(4)
A
2=B
2+K
1×2・・・(5)
(ここで、
A
1:ガタつき抑制手段の挿通孔における第1接続部と第2接続部との並設方向に略直交する方向の長さ、
A
2:ガタつき抑制手段の挿通孔における第1接続部と第2接続部との並設方向の長さ、
B
1:操作軸本体における第1接続部と第2接続部との並設方向に略直交する方向の長さ、
B
2:第1接続部の外縁端部から第2接続部の外縁端部に至る長さ)
【0087】
付記4の施錠装置の取付構造は、付記1から3のいずれか一項に記載の施錠装置の取付構造において、前記ガタつき抑制手段は、前記挿通孔を有する厚肉状の側部であり、前記表面材に対して略平行に設けられた側部を備え、前記挿通孔の大きさを、前記側部の側面のうち前記施錠装置本体側の側面から前記表面材側の側面に至るにしたがって大きくした。
【0088】
(付記の効果)
付記1に記載の施錠装置の取付構造によれば、挿通孔に操作軸を挿通させることにより、カバー部によって表面材の貫通孔が覆われるように、当該操作軸のガタつきを抑制するので、貫通孔が外部に露出することを確実に防止できる。よって、外部に露出した貫通孔にユーザの指が挿入されることを回避できるため、扉の使用時の安全性を確保できると共に、扉の意匠性を維持することができる。
【0089】
付記2に記載の施錠装置の取付構造によれば、ガタつき抑制手段の挿通孔と操作軸との相互間の隙間の長さを、下記式(1)から下記式(3)を満たすように設定したので、挿通孔において、貫通孔が外部に露出することを防止しながら、操作軸を施錠装置本体に対して取り付ける際のアソビ(隙間)を確保できるので、扉の使用時の安全性を確保しながら、施錠装置の施工性を維持することが可能となる。
K
1<K
0×T
1/T
0・・・(1)
K
0>0・・・(2)
K
1>0・・・(3)
(ここで、
K
0:カバー部における表面材側の側面の外周端と表面材の貫通孔の外周端との相互間の長さ、
K
1:ガタつき抑制手段の挿通孔と操作軸との相互間の隙間の長さ、
T
0:施錠装置本体から表面材に至るまでの長さ、
T
1:施錠装置本体から挿通孔に至るまでの長さ)
【0090】
付記3に記載の施錠装置の取付構造によれば、ガタつき抑制手段の挿通孔の大きさを、下記式(4)、下記式(5)を満たすように設定したので、操作軸が、操作軸本体、第1接続部、及び第2接続部を有する場合でも、挿通孔において、貫通孔が外部に露出することを防止しながら、操作軸を施錠装置本体に対して取り付ける際のアソビを確保できるので、扉の使用時の安全性を一層確保しながら、施錠装置の施工性を一層維持できる。
A
1=B
1+K
1×2・・・(4)
A
2=B
2+K
1×2・・・(5)
(ここで、
A
1:ガタつき抑制手段の挿通孔における第1接続部と第2接続部との並設方向に略直交する方向の長さ、
A
2:ガタつき抑制手段の挿通孔における第1接続部と第2接続部との並設方向の長さ、
B
1:操作軸本体における第1接続部と第2接続部との並設方向に略直交する方向の長さ、
B
2:第1接続部の外縁端部から第2接続部の外縁端部に至る長さ)
【0091】
付記4に記載の施錠装置の取付構造によれば、挿通孔の大きさを、側部の側面のうち施錠装置本体側の側面から表面材側の側面に至るにしたがって大きくしたので、操作軸を施錠装置本体に対して容易に取り付けることができ、施錠装置の施工性をさらに一層維持することが可能となる。