(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記隙間形成部材は、前記蓋と前記シール部との間の位置で、前記抽出管が、前記蓋、前記漏れ防止部材、及び前記シール部に挿入される挿入経路に重ならない位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
前記漏れ防止部材は、前記滅菌装置により、前記シール部を貫通して前記第2の容器内に挿入された前記抽出管が前記第2の容器から抜き出されることで、前記第2の容器内と前記隙間とが連通する、前記シール部の挿入口を介して、前記第2の容器内に収容される前記薬液が、前記開口部を介して前記空間に流動可能に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカートリッジ。
前記空間には、前記薬液を吸着する吸着剤、及び/又は前記滅菌剤の滅菌成分を分解する分解剤が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のカートリッジ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施形態における滅菌装置100の外観を模式的に示した図である。
【0013】
滅菌装置100には、滅菌剤着脱扉101と液晶ディスプレイ等のタッチパネル式の表示部102(操作部)と、印刷部103と、滅菌室扉104とが設けられている。
【0014】
図1(a)は、滅菌室扉104と滅菌剤着脱扉101が閉まっている状態を図示したものであり、
図1(b)は、滅菌室扉104と滅菌剤着脱扉101が開いている状態を図示したものである。
【0015】
滅菌剤着脱扉101は、液体の滅菌剤が充填されたカートリッジ205をカートリッジ収容室228に着脱可能するために用いられる開閉可能な扉である。
【0016】
カートリッジ205に充填可能な液体の滅菌剤としては、過酸化水素溶液を用いることができるが、過酸化水素水溶液に限らず、ホルムアルデヒド、過酢酸等の酸化物など、被滅菌物を滅菌可能な液体であれば本実施形態に適用可能である。本実施形態では、説明を簡略化するために、過酸化水素水溶液を、液体の滅菌剤の一例として説明する。
【0017】
カートリッジ205は、本発明のカートリッジの適用例であり、滅菌剤である薬液が収容され、薬液を用いて被滅菌物の滅菌処理を行う滅菌装置により薬液を抽出する抽出管が挿入されるカートリッジである。
【0018】
タッチパネル式の表示部102は、ユーザによる滅菌開始や滅菌中止の指示を受け付けるための操作部として用いることができ、滅菌処理中に滅菌状態を確認することができる表示画面である。
【0019】
なお、表示部102は、液晶ディスプレイに限られず、CRTディスプレイなど他の表示手段であってもよい。
【0020】
印刷部103は、滅菌処理の履歴や滅菌処理の結果を印刷用紙に印刷するためのプリンタである。
【0021】
滅菌室扉104は、例えば医療用器具などの被滅菌対象物(被滅菌物)を滅菌室219に出し入れするために用いられる開閉可能な扉である。この滅菌室扉104は、滅菌室219の開口部を閉めるための扉である。
【0022】
滅菌装置100は、表示部102などの操作部を介してユーザが滅菌室扉104を開ける指示を受け付けると、滅菌室扉104がモータ等の駆動部を駆動させて、滅菌室扉104を開ける。
【0023】
滅菌装置100は、表示部102などの操作部を介してユーザが滅菌室扉104を閉める指示を受け付けると、滅菌室扉104がモータ等の駆動部を駆動させて、滅菌室扉104を閉める。
【0024】
滅菌室扉104を開くと、滅菌室219に被滅菌物を入れることができる。すなわち、滅菌室219は、被滅菌物が収容される部屋である。
【0025】
そして、滅菌装置100が、滅菌室扉104を閉じて滅菌室219を閉鎖空間にすることができる。
【0026】
滅菌室219は、所定の容量の筐体であり、滅菌室219を閉じた状態で真空ポンプ220を動作させ減圧することにより真空状態とすることができる。また、滅菌室内の温度は滅菌処理中に所定温度域に保持できるようにヒータ等の各加温部が設けられている。各加温部は、電流を用いて加熱する部である。
【0027】
図2は、本実施形態に係る滅菌装置100の制御部1000を示すブロック図の一例である。
【0028】
制御処理部(MPU1001等)は、システムバス1004に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御するする。
【0029】
また、ROM1002あるいは外部メモリ1011には、MPU1001の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / Output System)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、滅菌装置100の実行する機能を実現するために必要な後述する各種プログラム等が記憶されている。
【0030】
RAM1003は、MPU1001の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
【0031】
MPU1001は、処理の実行に際して必要なプログラム等をROM1002あるいは外部メモリ1011からRAM1003にロードして、該ロードしたプログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0032】
入力コントローラ1005は、タッチパネル等の表示部102を操作部として入力処理を受け付けることができ、これ以外にもマウス等のポインティングデバイスやキーボード等からの入力を受け付けることもできる。
【0033】
ビデオコントローラ1006は、表示部102への表示を制御することができる。
【0034】
メモリコントローラ1007は、ブートプログラム、各種アプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、各種滅菌条件のデータ等を記憶するハードディスク(HD)やフレキシブルディスク(FD)、あるいはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等の外部メモリ1011にアクセス制御することができる。
【0035】
出力コントローラ1009は、印刷部103での印刷を制御することができる。
【0036】
通信I/Fコントローラ(通信I/FC)1008は、ネットワークを介して、外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いたインターネット通信等が可能である。
【0037】
さらに、制御部1000は、入出力(I/O1010)を介して滅菌装置の各構成(各部品、装置)を制御可能であり、例えば、濃縮炉ヒータ230や、弁211,212,215,217,226,227や真空ポンプなどのポンプ207,220の制御やカートリッジから供給される液体の滅菌剤を検出する液センサ204、抽出管の移動動作を行うモータ等の駆動源である抽出管動作部201の制御を行うことができる。
【0038】
滅菌装置100を制御する各種プログラムは、外部メモリ1011に記録されており、必要に応じてRAM1003にロードされることによりMPU1001によって実行されるものである。さらに、上記プログラムの実行時に用いられるデータファイル及びデータテーブル等も、外部メモリ1011または記憶部に格納されている。
【0039】
次に、
図3を用いて、本実施形態に係る滅菌装置の内部構成及び滅菌処理の流れを説明する。
【0040】
図3は、本実施形態に係る滅菌装置の概略図を示した図の一例である。
【0041】
滅菌剤着脱扉101が開けられて、カートリッジ収容室228に、カートリッジ205が収容され、ユーザによる滅菌開始指示を、操作部を介して受け付けると、抽出管動作部201が、カートリッジ205内の液体の滅菌剤200(後述の液体の滅菌剤408と同一)を抽出するための抽出管241(抽出針とも言う。)をカートリッジに刺し込む動作を行う。
【0042】
抽出管241は、抽出管動作部201の動作により重力方向に関して上下に移動可能に設けられており、抽出管241が上方から下方に移動することで、抽出管241がカートリッジに刺し込まれ、抽出管241の先端がカートリッジの底、又は底近傍の、液体の滅菌剤200を抽出可能な位置に配置する。
【0043】
また、抽出管動作部201が、抽出管241を上方に移動させて抽出管241をカートリッジ205から抜き出すことにより、ユーザによるカートリッジ205の取り外しが可能となる。
【0044】
ロータリーポンプ等の液送ポンプ207による吸い出し動作により、カートリッジ205内の液体の滅菌剤は、抽出管241を介して吸い出され、濃縮炉208に供給される。
【0045】
液センサ204は、カートリッジ205から抽出された液体の滅菌剤が、カートリッジ205と濃縮炉208とを接続する管(チューブなどの導管)を流れているかを検出することができるセンサであり、具体的には管に赤外線を照射して得られるスペクトルから液体の滅菌剤が管内を通解しているか検出することができる。
【0046】
これにより、カートリッジ205から濃縮炉208に液体の滅菌剤が供給されているかを検出することができる。
【0047】
濃縮炉208は、カートリッジ205から供給された液体の滅菌剤を濃縮するための炉であり、液送ポンプ207と、液溜まり部214とそれぞれ導管(管)により連通している。
【0048】
濃縮炉208は、液送ポンプ207により導管を通じて投入された液体の滅菌剤(例えば、過酸化水素水溶液)を、濃縮炉ヒータ230で加熱し、液体の滅菌剤に含まれる水分などを蒸発(気化)させて液体の滅菌剤の滅菌成分(例えば、過酸化水素)の濃度を高めるために用いられる。
【0049】
吸気用HEPAフィルタ210は、それぞれ滅菌室219(滅菌チャンバー)及び気化室216と、導管により連通しており、滅菌装置100外の外気(空気)と取り込む際に空気を清浄するために用いられる。
【0050】
吸気用HEPAフィルタ210は、滅菌装置100の外の外気(空気)中のちりやほこり、雑菌などを、HEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタでフィルタリングして空気を清浄し、このように浄化された空気が滅菌室219及び気化室216へと送り込まれる。
【0051】
開閉弁(V1)211は、濃縮炉208と液溜まり部214との間の導管に設けられた弁であって、弁を開けることで濃縮炉208と液溜まり部214との間の導管による連通を可能にし、弁を閉めることで濃縮炉208と液溜まり部214との間の導管による連通を遮断する弁である。
【0052】
液溜まり部214は、濃縮炉208と、気化室216と、滅菌室219のそれぞれと導管により連通して設けられている。
【0053】
滅菌装置100は、真空ポンプ220により滅菌室219内が減圧された状態で、弁(V3)212を空けて閉めることで、液溜まり部214内が減圧され、その状態で、開閉弁(V1)211を開くことにより、濃縮炉208から、濃縮炉208内の液体の滅菌剤が、液溜まり部214に吸い出されて投入される。真空ポンプ220は、減圧手段の適用例であり、滅菌室内を減圧する装置である。
【0054】
この液溜まり部214は、気化室に液体の滅菌剤を導入する前に一時的に液体の滅菌剤を溜める部として用いられる。
【0055】
開閉弁(V2)215は、液溜まり部214と、気化室216との間の導管に設けられた弁であって、弁を開けることで液溜まり部214と気化室216との間の導管による連通を可能にし、弁を閉めることで液溜まり部214と気化室216との間の導管による連通を遮断する弁である。
【0056】
気化室216は、弁(V4)217を開けて、真空ポンプ220による吸引動作により滅菌室219を減圧することで、気化室216内も減圧(例えば100Pa程度)にさせ、その後に、弁(V4)217を閉めて、弁(V2)215を開けることで、液溜まり部214に溜まっている液体の滅菌剤が気化室216に吸い込まれて導入され、液体である滅菌剤を気化させる部屋である。
【0057】
開閉弁(V3)212は、液溜まり部214と滅菌室219との間の導管に設けられた弁であって、弁を開けることで液溜まり部214と滅菌室219との間の導管による導通を可能にし、弁を閉めることで液溜まり部214と滅菌室219との間の導管による導通を遮断することができる。
【0058】
開閉弁(V4)217は、気化室216と、滅菌室219との間の導管に設けられた弁であって、弁を開けることで気化室216と滅菌室219との間を導管による連通を可能とし、弁を閉めることで気化室216と滅菌室219との間の導管による連通を遮断することができる。
【0059】
開閉弁(V5)226は、滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管に設けられた弁であって、弁を開けることで滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管による連通を可能にし、弁を閉めることで滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管による連通を遮断することができる。すなわち、開閉弁(V5)226は、滅菌室219と外気(大気)との連通を開閉できる。
【0060】
開閉弁(V6)227は、気化室216と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管に設けられた弁であって、弁を開けることで気化室216と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管による導通を可能にし、弁を閉めることで気化室216と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管による導通を遮断することができる。すなわち、開閉弁(V6)227は、気化室216と外気(大気)との導通を開閉できる。
【0061】
滅菌室(真空チャンバーとも言う)219は、例えば医療用器具などの被滅菌物を滅菌する所定の容量の筐体である。
【0062】
滅菌室219内には、図示しない圧力センサが備えられており、圧力センサにより滅菌室219内部の圧力(気圧)を測定することができ、滅菌装置100は、この圧力センサにより測定された滅菌室219内の気圧を用いて、滅菌室219内等の圧力(気圧)が所定の気圧になっているかを判定することができる。
【0063】
真空ポンプ220は、滅菌室219の内部や気化室216の内部と、導管を介して連通する空間の気体を吸引して空間内を減圧することで、滅菌室219の内部や気化室216の内部を真空状態にすることができる。
【0064】
真空ポンプ220は、滅菌室219と導管により連通されており、排気用HEPAフィルタ221との間で導管により連通されている。
【0065】
排気用HEPAフィルタ221は、真空ポンプ220、及び滅菌剤(ガス)の分解装置222との間で導管により連通されている。
【0066】
排気用HEPAフィルタ221は、真空ポンプ220により、滅菌室219内等から吸引された気体を、真空ポンプ220との間の導管から送られてきた気体内のちりやほこり、雑菌などを、HEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタでフィルタリングして、吸引された気体を清浄するフィルタである。
【0067】
分解装置222は、滅菌剤の滅菌成分である過酸化水素を分解する装置であって、例えば、滅菌成分が過酸化水素である場合、気化された過酸化水素の分子を、二酸化マンガンを触媒として用いて、水と酸素に分解することができる装置である。
【0068】
つまり、真空ポンプ220により滅菌室219内のガスが吸引され、排気用HEPAフィルタ221に当該ガスが送り出され、排気用HEPAフィルタ221によって当該ガスが清浄され、当該清浄されたガス(気体)は分解装置222に送られ、分解装置222により該ガスに含まれる滅菌成分の分子は分解され、分解後の分子が滅菌装置100の外に放出される。
【0069】
ここで、
図3に示した滅菌装置の構成を用いて滅菌処理の流れについて説明する。
【0070】
まず、滅菌装置100は、ユーザによる滅菌の開始指示を、操作部を介して受け付けると、滅菌処理を開始する。
【0071】
滅菌処理の具体的について、以下に説明する。
【0072】
ます、滅菌装置100は、抽出管動作部201を動作させて、カートリッジ205に対して、抽出管241を挿入する。
【0073】
ここで、カートリッジ205の概観図は、
図5の通りであり、断面1の断面図は、
図7の通りである。また、ここで、抽出管動作部201の動作により、カートリッジ205に対して、抽出管241が挿入された図が
図12である。カートリッジ内の液体の滅菌剤を抽出した後、カートリッジ内から抽出管241が抜き出された図が
図13である。
【0074】
滅菌装置100は、抽出管動作部201を動作させて、カートリッジ205に対して、抽出管241を挿入すると、液送ポンプ207を動作させ、液送ポンプ207の吸引動作によりカートリッジ205内の液体の滅菌剤を所定量(例えば、2ミリリットル)吸い取り、吸い取られた液体の滅菌剤を濃縮炉208に入れる。
【0075】
滅菌装置100は、カートリッジ内から、所定量(例えば、2ミリリットル)の液体の滅菌剤を抽出した後、カートリッジ内から抽出管241が抜き出す条件を満たしているか否かを判定して、当該抜き出す条件を満たしていると判定した場合には、液送ポンプ207の吸引動作を行い、カートリッジ205内の残留滅菌剤を吸い出す動作を行った上で、抽出管動作部201の動作により、
図13に示すように、カートリッジ205内から抽出管241が抜き出す。
【0076】
ここで、抜き出す条件とは、例えば、カートリッジ内に、所定量(例えば、2ミリリットル)以上の液体の滅菌剤が収容されていないという条件である。
【0077】
ここで、カートリッジ内に、所定量(例えば、2ミリリットル)の液体の滅菌剤が収容されているか否かの抜き出す条件を満たしているかを滅菌装置100が判定する例について説明する。
【0078】
滅菌装置100が、カートリッジに収容されている液体の滅菌剤の抽出前に、カートリッジの底に設けられたRFIDタグ413(カートリッジ内に収容されている液体の滅菌剤の残量のデータが記憶されているRFIDタグ)から、滅菌装置100が備えている不図示のRFIDリーダライタが、カートリッジ内に収容されている液体の滅菌剤の残量のデータを取得し、そのデータに従って、カートリッジ内に、所定量(例えば、2ミリリットル)以上の液体の滅菌剤が収容されているか否かを判定する。
【0079】
そして、滅菌装置100が、カートリッジ内に、所定量(例えば、2ミリリットル)以上の液体の滅菌剤が収容されていると判定された場合には、滅菌装置100が、カートリッジ内から、所定量(例えば、2ミリリットル)の液体の滅菌剤を抽出し、当該抽出後に、RFIDタグ413から取得した残量のデータから所定量(例えば、2ミリリットル)を引いた値を、RFIDリーダライタがRFIDタグ413に書き込む。
【0080】
滅菌装置100が、RFIDタグ413から取得した残量のデータ、又はRFIDタグ413から取得した残量のデータから所定量(例えば、2ミリリットル)を引いた値が、所定量(例えば、2ミリリットル)以上であるか否かを判定して、カートリッジ内に、所定量(例えば、2ミリリットル)以上の液体の滅菌剤が収容されていないと判定された場合には、抜き出す条件を満たしていると判定する。また、カートリッジ内に、所定量(例えば、2ミリリットル)以上の液体の滅菌剤が収容されていると判定された場合には、抜き出す条件を満たしていないと判定する。
【0081】
滅菌装置100は、抜き出す条件を満たしていると判定された場合には、液送ポンプ207の吸引動作を行い、カートリッジ205内の残留滅菌剤を吸い出す動作を行った上で、
図13に示すように、カートリッジ205内から抽出管241が抜き出す。
【0083】
濃縮炉208には、濃縮炉208の下部に濃縮炉ヒータ230が設けられており、このヒータの熱により、濃縮炉208内の液体の滅菌剤200が加熱されて濃縮され滅菌成分の濃度が高まる。
【0084】
滅菌剤として過酸化水素水溶液が用いられている場合には、このヒータの熱により、水が気化されることにより滅菌成分(過酸化水素水)の濃度が高まる。
【0085】
次に、滅菌装置100は、真空ポンプ220による真空引きを開始し滅菌室219を減圧させて、弁(V3)212を開けて閉めて、液溜まり部214内を減圧した後に、弁(V1)を開けて、濃縮炉208から、濃縮炉208内の液体の滅菌剤を投入する。
【0086】
ここで、真空ポンプ220による真空引きを開始してから、後述する真空ポンプ220による減圧の停止まで、滅菌装置100は、真空ポンプ220による真空引き行うように真空ポンプ220を制御する。そのため、少なくとも、真空ポンプ220による真空引きが行われている間は、滅菌室219内は、大気圧未満の気圧の状態になっている。
【0087】
その後、滅菌装置100は、弁(V3)212を開けて閉めることで、液溜まり部214に溜まった液の上部にあるガス(大気)を、大気圧よりも低い気圧の滅菌室内に排気して、大気を液溜まり部214内から除去する。
【0088】
また、滅菌装置100は、真空ポンプ220を真空引きして(減圧して)、当該排気された大気を滅菌室219から除去する。
【0089】
そして、滅菌装置100は、弁(V4)を開けて、引き続き真空ポンプ220による減圧を行い、気化室216を減圧させる。その後、滅菌装置100は、弁(V4)217を閉めて、弁(V2)215を開けることで、液溜り部214に溜まった液体の滅菌剤が、真空ポンプ220により所定の気圧まで減圧された気化室216に吸い込まれて、当該液体の滅菌剤を気化させる。
【0090】
その後、滅菌装置100は、真空ポンプ220による減圧を停止し、弁(V4)を開けることで、気化室で気化した滅菌剤(ガス)(滅菌剤ガスとも言う)を、滅菌室219に拡散させて投入することにより、滅菌室219内の被滅菌物の滅菌を行う。この一連のプロセスを複数回繰り返して、被滅菌物の滅菌を行うこともできる(滅菌処理)。
【0091】
弁(V4)を開けてから、所定時間が経過すると、滅菌装置100は、換気処理を開始する。具体的には、滅菌装置100は、真空ポンプ220を動作させて真空ポンプ220による減圧を開始(再開)し、滅菌室219内のガスを滅菌室外(排気用HEPAフィルタ221)に排気し、さらに、弁(V5)226、弁(V6)227を開けて、吸気用HEPAフィルタ210を介して外気を流入させて、滅菌室219内のガスを滅菌室外に排気して、滅菌室内を換気する(換気処理)。
【0092】
そして、滅菌装置100は、当該排気されたガスに含まれる埃などを、排気用HEPAでフィルタリングした後、当該フィルタリングされたガスを分解装置222に送り、分解装置222で当該ガスに含まれる滅菌成分が分解されて滅菌装置外へと排出される。
【0093】
以上の一連の滅菌のプロセスのうち、滅菌処理で真空ポンプ220による真空引きが開始されてから、少なくとも換気処理を開始するまでの間は、真空ポンプ220による真空引き(滅菌室219内の減圧)により、滅菌室219内は、大気圧よりも低い気圧となっている。
【0094】
そして、以上のように、滅菌室内の十分な換気処理が行われた後に滅菌室扉104の開閉が可能となり、滅菌された被滅菌物の取出作業が可能となる。
【0095】
図3では、濃縮炉208で濃縮させた液体の滅菌剤を、気化室216で気化させた後に、気化された滅菌剤ガスを滅菌室219に導入させて滅菌するプロセス例を用いて説明したが、例えば、
図4に示す滅菌装置100のように、液送ポンプ207により、カートリッジ205から直接、減圧された滅菌室219に液体の滅菌剤を投入ように構成したものでもよい。
【0096】
図4は、
図3に示す滅菌装置100の変形例の概略図の一例である。
【0097】
次に、
図4を用いて、滅菌装置100が実行する滅菌のプロセスについて説明する。
【0098】
滅菌装置100は、ユーザによる滅菌の開始指示を、操作部を介して受け付けると、抽出管動作部201を動作させて、カートリッジ205に対して、抽出管241を挿入する。
【0099】
また、ここで、抽出管動作部201の動作により、カートリッジ205に対して、抽出管241が挿入された図が
図12である。
【0100】
そして、滅菌装置100は、真空ポンプ220による真空引きを開始して滅菌室219を減圧させて、滅菌室内が所定の気圧まで減圧されると、真空ポンプ220による真空引きを停止して、液送ポンプ207を動作させ、カートリッジ205内の液体の滅菌剤を、所定量(例えば、2ミリリットル)吸い取り、当該吸い取られた液体の滅菌剤を、滅菌室219に投入する。これにより、滅菌室219内で当該液体の滅菌剤が気化して拡散する(滅菌処理)。
【0101】
そして、滅菌装置100は、カートリッジ内から、所定量(例えば、2ミリリットル)の液体の滅菌剤を抽出した後、カートリッジ内から抽出管241が抜き出す条件を満たしているか否かを判定して、当該抜き出す条件を満たしていると判定した場合には、液送ポンプ207の吸引動作を行い、カートリッジ205内の残留滅菌剤を吸い出す動作を行った上で、抽出管動作部201の動作により、
図13に示すように、カートリッジ内から抽出管241が抜き出す。
【0102】
カートリッジ内の液体の滅菌剤を抽出した後、カートリッジ内から抽出管241が抜き出された図が
図13である。
【0103】
そして、滅菌装置100は、液送ポンプ207を動作させてから(滅菌室219に液体の滅菌剤を投入してから)、所定時間を経過すると、真空ポンプ220による真空引きを再開して、弁(V5)226を開けて、滅菌室内のガスを滅菌室219内のガスを滅菌室外に排気して、滅菌室内を換気する(換気処理)。
【0104】
本発明に係る滅菌装置は、以上の通り、
図4に示すように、
図3に示す濃縮炉208、及び気化室216等が無い滅菌装置でもよい。
【0105】
次に、
図5から
図17を用いて、カートリッジ205の構造の説明を行う。
【0106】
次に、
図5を用いて、本発明に係る、滅菌装置に用いられる液体の滅菌剤(例えば、過酸化水素水溶液)が収容されたカートリッジ205について説明する。
【0107】
図5は、本発明に係る、滅菌装置に用いられる液体の滅菌剤(薬液)を収容(格納)するカートリッジ205を横側から見た図(側面図)の一例である。
【0108】
図5に示すカートリッジ205は、1つのボトルに滅菌処理を複数回行える量の液体の滅菌剤(例えば、4ミリリットル以上の液体の滅菌剤)が入ったカートリッジである。
【0109】
図5に示すように、カートリッジは、第1の容器301と、その第1の容器301の蓋302とを備えている。
【0110】
図5に示すカートリッジ205は、重力方向に対して下側に、第1の容器301の底部分を配置し、重力方向に対して上側に、第1の容器301の容器口を配置している。
図5に示すカートリッジ205の配置の向きを縦向きと呼ぶこととする。
【0111】
第1の容器301の材質(材料)は、滅菌成分である過酸化水素に対して耐性のあるポリプロピレン(プラスチック)である。第1の容器301は、後述する第2の容器401を保護するためにも設けられている。
【0112】
蓋302は、第1の容器301の上側の容器口を閉じるため蓋である。
【0113】
すなわち、蓋302は、第1の容器301の外周の淵と接着している。また、この蓋の材質は、滅菌成分である過酸化水素に対して耐性のあるポリプロピレン(プラスチック)である。
図5に示すように、カートリッジ205の外観は円形のコップの形状をしている。
【0114】
次に、
図6を用いて、カートリッジ205の上面図について説明する。
【0115】
図6は、カートリッジ205の上面図の一例を示す図である。
【0116】
図6に示すように、カートリッジ205の上面の外観は、円形の蓋302で、第1の容器301の容器口が覆われている。また、カートリッジ205の上側から見て、蓋302の構造は、円形であり、その中心に、抽出管241が挿入される挿入口303(穴)を備えている。このように、蓋302が、挿入口303(1つのみ)を備えていることで、カートリッジ205の上側から抽出管241をカートリッジ内部に挿入することが可能となる。
【0117】
図5、
図6に示す断面1、断面2の断面図を
図7に示す。また、
図6に示す断面3、断面4の断面図を
図8に示す。
【0118】
図7は、
図5、
図6に示す断面1、断面2の断面図の一例を示す図である。
【0119】
図7に示すように、第1の容器301の内部空間に、第2の容器401が設けられている。
【0120】
第2の容器401は、第1の容器301内に設置されており、過酸化水素水溶液などの液体の滅菌剤408(薬液)を収容する容器である。すなわち、401は、第1の容器内に設けられた、薬液が収容される第2の容器である。
【0121】
この第2の容器401の内部には、液体の滅菌剤408(例えば、過酸化水素水溶液)が入っている。第2の容器401の材質は、滅菌成分である過酸化水素に対して耐性のあるポリエチレン(プラスチック)である。
【0122】
この第2の容器401と第1の容器301との間の空間409には、滅菌剤408、滅菌成分を吸着する吸着剤が設けられている。吸着剤の材質は、滅菌剤や滅菌成分と反応しない鉱石の一種であるバーミキュライトである。吸着剤は、液体の滅菌剤・滅菌成分を吸着することも、気体の滅菌剤・滅菌成分を吸着することもできる。
【0123】
また、第1の容器301と第2の容器401との間の空間409には、吸着剤の代わりに、滅菌成分を分解するための触媒である二酸化マンガンや活性炭などの分解剤を設けてもよい。分解剤は、液体の滅菌成分を分解することも、気体の滅菌成分を分解することもできる。
【0124】
また、第1の容器301と第2の容器401との間の空間409には、吸着剤だけではなく、分解剤も混合して設けることができる。
【0125】
図7以降に記載している吸着剤/分解剤403は、吸着剤及び/又は分解剤が空間409に設けられていることを示している。
【0126】
また、後述するが、カートリッジ205に抽出管241が挿入される前に、吸着剤/分解剤403が空間409に散らばっていて、ユーザがカートリッジ205を横向きにすると、後述する開口部501から挿入口414などに吸着剤/分解剤403が入ってしまい、その後、当該カートリッジ205をユーザがカートリッジ収容室228に収容し、滅菌装置100が抽出管241をカートリッジ205に挿入すると、挿入口414に入った吸着剤/分解剤403が第2の容器401の中に入ってしまうことも考えられる。そこで、ここでは、液体、及び気体は通すが吸着剤/分解剤403は通し難い又は通さない部材(例えば、吸着剤/分解剤403の粒子よりも小さい網目のある網目状の袋)の中に吸着剤/分解剤403を入れて、その袋を空間409に設けるようにする。この袋は、液体、及び気体は通す容器の適用例である。または、開口部501に、当該部材を設けることで、開口部501から挿入口414などに吸着剤/分解剤403が入ってしまわないようにすることができる。そのため、カートリッジ205に抽出管241が挿入される際に、吸着剤/分解剤403が第2の容器401の中に入ってしまうことを防止することができる。
【0127】
このように、吸着剤/分解剤403が空間409に充填されているため、有害な滅菌成分などの薬剤がカートリッジ205の外に流出する可能性を低減させることができる。
【0128】
また、第1の容器301の下部には、RFIDタグ413が埋め込まれている。
【0129】
第2の容器401の容器口405には、キャップ406が装着されている。キャップ406の内部にはネジがあり、キャップ406を回すことで、キャップ406を第2の容器401の容器口405に固定している。
【0130】
すなわち、キャップ406は、第2の容器401の容器口405、及び後述するインナーパッキンである防水透湿性部材410を塞ぐ、第2の容器401のキャップ406である。
【0131】
また、このキャップ406は、カートリッジ205内の液体の滅菌剤408を吸引するための抽出管がカートリッジ205の上側からカートリッジ内部に挿入するための挿入口414(穴)を備えている。
【0132】
キャップ406の材質(材料)は、滅菌成分である過酸化水素に対して耐性のあるポリプロピレン(プラスチック)である。すなわち、キャップ406は硬い材質で構成されており、抽出管動作部201により抽出管241がキャップ406を刺しても貫通させることができないため、挿入口414(穴)を備えている。
【0133】
また、このキャップ406と、キャップ406が固定された第2の容器401との間(ねじで締められた部分)には、液体は通さないが、気体は通すことができる隙間がある。
【0134】
キャップ406は、シール部(410)の真上の位置で第2の容器の容器口405に設けられた、抽出管が挿入される挿入口414を備えたキャップである。キャップ406が備える挿入口414は、蓋が備える挿入口303の直下の位置に設けられている。
【0135】
また、第2の容器401の容器口405とキャップ406との間には、第2の容器401内の液体が外に漏れないようにするためのインナーパッキンである防水透湿性部材410が設けられている。
【0136】
すなわち、第2の容器401の容器口405を覆い塞ぐように、防水透湿性部材410が設けられている。
【0137】
防水透湿性部材410の材質は、防水性と透湿性をあわせ持つ材料である。
【0138】
例えば、ポリテトラフルオロエチレンを延伸加工したフィルムとポリウレタンポリマーを複合化して作られたゴアテックス(アメリカのWLゴア&アソシエイツ社の商標名)を用いる。この材質は、1平方センチメートルに約14億個の微細な孔を含む材料であり、気体は通すものの、液体は通さない性質を有する材料である。そのため、第2の容器401内の気体を、第1の容器301と第2の容器401との間の空間409に通すことが可能となる。
【0139】
そのため、インナーパッキンである防水透湿性部材410は、ゴアテックスに限るものではなく、その他の防水透湿性素材であってもよい。たとえば、ゴアテックスは、多孔質タイプの防水透湿性素材であるが、DIAPLEXのように無孔質タイプの防水透湿性素材であってもよい。
【0140】
本実施形態において、パッキンとは、カートリッジ内に詰められた液漏れを防ぐための詰め物(部材)(防水透湿性部材410、パッキン413)を含む。
【0141】
防水透湿性部材410、パッキン413は、比較的やわらかい材質で構成されており、抽出管動作部201により抽出管241が防水透湿性部材410、パッキン413を刺すことで、貫通させることができる。防水透湿性部材410は、本発明のシール部材の適用例であり、第2の容器の容器口に容器口を塞ぐように設けられたシール部材である。
【0142】
また、キャップ406の上部(真上)に、漏れ防止部材411が設けられている。
【0143】
411は、本発明の漏れ防止部材の適用例であり、蓋とシール部との間に設けられている。
【0144】
ここで、漏れ防止部材411の構造について、
図9を用いて説明する。
【0145】
図9は、漏れ防止部材411の斜視図(A)、側面図(B)、底面図(C)の一例を示す図である。
【0146】
図9に示すように、漏れ防止部材411は、円形の中心部にスリット部603(スリット)が設けられたスリット部材601と、当該スリット部材601を支持する支持部材602と、開口部501とを備えている。
【0147】
スリット部材601は、プラスチックなどの弾性のある材料で構成される。
【0148】
また、支持部材602の材料は、滅菌成分である過酸化水素に対して耐性のあるポリプロピレンやポリエチレン(プラスチック)である。
【0149】
図9に示すように、支持部材602は、円形のスリット部材601の円周部分に点々と設けられており、漏れ防止部材411は、支持部材602間を開口部501として備えている。スリット部材601と支持部材602とは、別々の部材が接着剤などで接着されている。また、スリット部材601と支持部材602とが別々の部材ではなく一体として構成されていてもよい。
【0150】
図7に示すように、支持部材602は、キャップ406に接触して、キャップ406の挿入口414とスリット部材601との間の空間を形成すると共に、
図8に示すように、キャップ406の挿入口414とスリット部材601との間の空間と、第1の容器301と第2の容器401との間の空間409とが連通する口である開口部501を形成する。
【0151】
支持部材602は、本発明の隙間形成部材の適用例であり、シール部(410)と連通し蓋とシール部との間の隙間(
図7の隙間700)であって、抽出管が、蓋、漏れ防止部材、及びシール部に挿入される挿入経路上の隙間を形成するために設けられた隙間形成部材である。また、この隙間形成部材は、蓋とシール部との間の位置で、抽出管が、蓋、漏れ防止部材、及びシール部に挿入される挿入経路に重ならない位置に設けられている。また、隙間形成部材は、スリット部603とシール部(410)との間の隙間を形成している。
【0152】
また、開口部501は、本発明の開口部の適用例であり、この隙間と、第1の容器と第2の容器との間の空間とが連通している。
【0153】
図8は、
図6に示すカートリッジ205の断面3、断面4の断面図の一例を示す図である。
【0154】
スリット部603は、抽出管241がカートリッジ205の上側からカートリッジ内部に挿入するための挿入口(穴)として機能する部である。
【0155】
スリット部603は、蓋に設けられている、抽出管を挿入するための挿入口303の直下の位置に設けられている。
【0156】
図10は、抽出管241がスリット部材412、601に突刺されていない状態のスリット部材412、601の構造を示す図(A)と、抽出管241がスリット部材412、601に突刺されている状態のスリット部材412、601の構造を示す図(B)の一例である。
【0157】
図10(A)に示すように、抽出管241がスリット部材412、601に突刺されていない状態では、スリット部603、1301は、閉じているが、抽出管241がスリット部材412、601に突刺されている状態では、スリット部603、1301は、
図10(B)に示すように、抽出管241が突き刺さり開く構造になっている。また、抽出管241がカートリッジから抜き出されると、
図10(A)に示すように、再度、元の形状に戻り、スリット部603、1301が閉じる形状となる。このスリット部603、1301は、切れ目であり、本実施形態では、
図9、
図11に示すように、十の字に切れている。
【0158】
図7に示すように、漏れ防止部材411の上方(真上)には、スリット部材412が接着剤1302により接着されている。
【0159】
漏れ防止部材411とスリット部材412の構造について、
図11を用いて説明する。
【0160】
図11は、漏れ防止部材411とスリット部材412との重畳関係を示す図(A)と、漏れ防止部材411の上面に接着したスリット部材412の上面図(B)の一例を示す図である。
【0161】
図11(A)に示すように、漏れ防止部材411のスリット部材601の上面の円周部分に接着剤1302が設けられており、その接着剤1302により、スリット部材601にスリット部材412が接着されている。
【0162】
ここで、スリット部材412も、スリット部材601と同様に、プラスチックなどの弾性のある材料で構成される。
【0163】
また、
図11に示すように、スリット部1301の各スリット線(円周方向に伸びたスリットの切れ目の線)と、スリット部603の各スリット線とが互いに交差するように、スリット部材412とスリット部材601とが重ね合わせられている。また、スリット部1301のスリット線が交差している点と、スリット部603のスリット線が交差している点とが重なように、スリット部材412とスリット部材601とが重ね合わせられている。
【0164】
図11(B)は、漏れ防止部材411の上面に接着したスリット部材412の上面図であり、
図11(B)に示す点線のスリット部603は、スリット部材412により覆われている部位である。この点線のスリット部603が、スリット部材412により覆われているため、後述する
図14の状態であっても、この点線部分のスリット部603から、液体の滅菌剤408がカートリッジ205の外に漏れだすことを低減可能にすることができる。
【0165】
図7に示すスリット部材412の真上(スリット部材412と蓋302との間)には、パッキン413が設けられている。
【0166】
このパッキン413の材質は、発泡ポリエチレンである。パッキン413は、抽出管241をカートリッジ205から抜く際に抽出管に着いた液体の滅菌剤を落とすため、及びカートリッジ205の各部材の設計誤差を吸収するために設けられている。そのため、このパッキン413は、蓋302とスリット部材412とで圧着されている。
【0167】
また、
図7に示すように、蓋302は、第2の容器401を固定するためのリブ407を備えている。
【0168】
リブ407は、パッキン413、スリット部材412、漏れ防止部材411(支持部材602)、キャップ406を支持することで第2の容器401の上方部分を固定する。
【0169】
また、第1の容器301は、第2の容器401を固定するためのリブ402を備えている。
【0170】
リブ407は、
図7に示すように、第2の容器401を支持することで、第2の容器401の下方部分を固定する。
【0171】
また、蓋302は、抽出管241が挿入される挿入口303を備えている。
【0172】
蓋302の材質(材料)は、滅菌成分である過酸化水素に対して耐性のあるポリプロピレン(プラスチック)である。すなわち、蓋302は硬い材質で構成されており、抽出管動作部201により抽出管241が蓋302を刺しても貫通させることができないため、挿入口303(穴)を備えている。また、蓋302を硬い材料で構成することで、外圧がかかってもカートリッジ内部の液体の滅菌剤が漏れ出し難くさせることが可能となる。
【0173】
図7は、漏れ防止部材411の支持部材602のある断面の断面図であり、
図8は、漏れ防止部材411の支持部材602が無く開口部501のある断面の断面図である。
【0174】
図7、
図8に示すカートリッジ205は、まだ、抽出管241が、まだ挿入されていないカートリッジ205であり、パッキン413、防水透湿性部材410は、まだ、抽出管241で貫通してない(穴が開いていない)。
【0175】
図12は、抽出管動作部201の動作により、カートリッジ205に抽出管241が挿入されたカートリッジ205の断面3、断面4の断面図の一例を示す図である。
【0176】
滅菌装置100は、抽出管動作部201の動作により、抽出管241が上方から下方に移動することで、抽出管241が、カートリッジ205の挿入口303に挿入され、パッキン413を突き刺して貫通し、スリット部材412のスリット部1301に挿入され、スリット部材601のスリット部603に挿入され、キャップ406の挿入口414に挿入され、防水透湿性部材410のパッキンを突き刺して貫通し、第2の容器401内に挿入され、抽出管241の先端がカートリッジの底、又は底近傍の、液体の滅菌剤200を抽出可能な位置に移動して停止する。
【0177】
その後、滅菌装置100は、液送ポンプ207を動作させ、液送ポンプ207の吸引動作によりカートリッジ205内の液体の滅菌剤を所定量(例えば、2ミリリットル)吸い取り、当該吸い取られた液体の滅菌剤を用いて被滅菌物を滅菌する。
【0178】
その後、滅菌装置100は、カートリッジ内から抽出管241を抜き出す条件を満たしているかを判定して、当該抜き出す条件を満たしていると判定した場合には、液送ポンプ207の吸引動作を行い、カートリッジ205内の残留滅菌剤を吸い出す動作を行った上で、抽出管動作部201の動作により、抽出管241が下方から上方に移動することで、カートリッジ205内から抽出管241が抜き出す。
【0179】
図13は、抽出管241が挿入されたカートリッジ205から当該抽出管241が抜き出されたカートリッジ205の断面3、断面4の断面図である。
【0180】
図13に示すように、抽出管241が抜き出されたカートリッジ205のパッキン413には、抽出管241により突き刺されることで挿入穴1103が形成されている。また、同様に、
図13に示すように、防水透湿性部材410のパッキンにも、抽出管241により突き刺されることで挿入穴1101が形成されている。
【0181】
挿入穴1103、挿入穴1101は、抽出管241により突き刺されることで形成された挿入口である。
【0182】
漏れ防止部材411は、滅菌装置により、シール部(410)を貫通して第2の容器内に挿入された抽出管が第2の容器から抜き出されることで、第2の容器内と隙間とが連通する、シール部の挿入口(挿入穴1101)を介して、第2の容器内に収容される薬液が、開口部501を介して空間409に流動可能に形成されている。
【0183】
ユーザは、このカートリッジ205(使用済みカートリッジ)を滅菌装置100から取り出して、例えば、
図14のように、誤ってその使用済みカートリッジを落とし、カートリッジ205が横向きになると、挿入穴1101、及び、キャップ406の挿入口414を介して、第2の容器401内の液体の滅菌剤408が第2の容器401外に流出する。
【0184】
図14は、横向きになった使用済みカートリッジ205の断面3、断面4の断面図の一例を示す図である。
【0185】
図14は、横向きになった使用済みカートリッジ205の挿入穴1101、挿入口414、及び開口部501を介して、第2の容器401内の液体の滅菌剤408が、第1の容器301と第2の容器401との間の空間409に流出している様子を示している。
【0186】
このように、漏れ防止部材411に開口部501を備えていることで、例えば、使用済みカートリッジ205が横向きになったとしても、第2の容器401内の液体の滅菌剤408が、空間409に流出し易くなることで、カートリッジ205の外に漏れ出し難くなる。
【0187】
また、空間409には、吸着剤/分解剤403が充填されているため、この吸着剤/分解剤403が、空間409に流出した液体の滅菌剤408の滅菌成分を分解、及び/又は当該液体の滅菌剤408の吸着を行うため、空間409に流出した当該液体の滅菌剤408及び/又は滅菌成分がカートリッジ205の外に漏れ出すことを低減可能にすることができる。
【0188】
また、
図14のカートリッジ205のスリット部603、1301は、
図10(A)に示すようにほぼ元の状態に戻っているため(閉じているため)、挿入穴1102が形成されたとしても、液体の滅菌剤408が、スリット部603、1301、挿入穴1102、挿入口303を介して、カートリッジ205の外に漏れ出すことを低減可能にすることができる。
【0189】
さらに、
図11を用いて説明した通り、スリット部材を2重構造にし、スリット部1301の各スリット線(円周方向に伸びたスリットの切れ目の線)と、スリット部603の各スリット線とが互いに交差するように、スリット部材412とスリット部材601とが重ね合わせており、
図11(B)に示す点線のスリット部603は、スリット部材412により覆われているため、挿入穴1102が形成されたとしても、この点線部分のスリット部603から、液体の滅菌剤408がカートリッジ205の外に漏れ出すことを低減可能にすることができる。
【0190】
次に、
図7に示した断面5〜9の断面図を、
図15、
図16を用いて説明する。
【0191】
図15は、カートリッジ205の断面5の断面図(A)、断面6の断面図(B)、断面7の断面図(C)の一例を示す図である。
【0192】
図16は、カートリッジ205の断面8の断面図(A)、断面9の断面図(B)の一例を示す図である。
【0193】
図15(A)の断面図に示すように、蓋302のリブ407は、パッキン413の周囲に、点々と、縦方向(上下方向)を長手方向として設けられ、パッキン413を支持(保持)している。上下方向とは、これまでの説明、図面からも明らかであるが、抽出管の上げ下げ方向である。
【0194】
図15(B)の断面図に示すように、蓋302のリブ407は、漏れ防止部材411の周囲に、点々と、縦方向(上下方向)を長手方向として設けられ、漏れ防止部材411を支持(保持)している。
【0195】
図15(C)の断面図に示すように、蓋302のリブ407は、漏れ防止部材411に点々と設けられた支持部材602の外側(側面)で、開口部501を閉じないように、縦方向(上下方向)に設けられ、支持部材602を支持(保持)している。
【0196】
図16(A)の断面図に示すように、蓋302のリブ407は、キャップ406の側面を支持(保持)するように縦方向(上下方向)に設けられている。
【0197】
図16(B)の断面図に示すように、キャップ406は、防水透湿性部材410を覆い固定するように設けられている。
【0198】
このように、蓋302のリブ407が、パッキン413、スリット部材412、漏れ防止部材411、キャップ406に周設して支持(保持)して固定し、キャップ406がねじで取り付けられた第2の容器401を固定している。
次に、
図17を用いて、本発明のカートリッジ205の変形例について説明する。
【0199】
図17(A)は、本発明のカートリッジ205の変形例の一例を示し、カートリッジ205の断面3、断面4の一例を示す図である。
【0200】
図17(A)に示すカートリッジ205は、
図8に示すカートリッジ205と比較すると、パッキン413、スリット部材412、キャップ406を備えていない点で異なる。
【0201】
また、
図8に示すカートリッジ205は、第1の容器301と、その蓋302とをそれぞれ別部材として説明しているが、
図17(A)のカートリッジ205では、それぞれが一体になった部材を第1の容器301としている点が異なる。
【0202】
第2の容器401の容器口405に、容器口405を覆うように防水透湿性部材410が設けられ、その上方に、スリット部603が位置するように漏れ防止部材411(
図9)を設けている。漏れ防止部材411と支持部材602との接面は接着剤などで接着されている。このように、漏れ防止部材411と、第1の容器401とは接着されているため、漏れ防止部材411と第1の容器401とをあわせて第1の容器401とすることができる。また、リブ407は、開口部501を塞がない位置に設けられ、漏れ防止部材411を保持して固定している。
【0203】
図17(B)は、
図17(A)に示すカートリッジ205の断面10の断面図の一例である。
【0204】
図17(B)に示すように、漏れ防止部材411には、支持部材602と、開口部501とが設けられており、抽出管241が抜き出されたカートリッジ205の防水透湿性部材410のパッキンに形成される挿入穴、開口部501を介して、第2の容器401内の液体の滅菌剤408が、空間409に流出し易くなることで、カートリッジ205の外に漏れ出し難くなる。
【0205】
以上の通り、本発明によれば、カートリッジ内の薬液の漏れを低減可能にすることができる。
【0206】
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【0207】
例えば、本カートリッジは、第1の容器301と、その蓋302とをそれぞれ別部材として説明しているが、それぞれが一体になった部材を第1の容器301としてもよい。また、同様に、本カートリッジは、第2の容器401、キャップ406、漏れ防止部材411、スリット部材412、パッキン413をそれぞれ別部材として説明しているが、それぞれが一体になった部材を第2の容器401としてもよい。
【0208】
また、例えば、上記の実施の形態の機能を滅菌方法として、この滅菌方法を滅菌装置に実行させるようにすればよい。また、上述の実施の形態の機能を有するプログラムを滅菌装置が備えるコンピュータに実行させるようにしてもよい。
【0209】
なお、制御プログラムは、例えば、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録される。
【0210】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。つまり、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種の記録媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPUなど)がプログラムを読み出して実行する処理である。