特許第6853131号(P6853131)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853131
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
   B61B 10/04 20060101AFI20210322BHJP
   B61J 1/12 20060101ALI20210322BHJP
   B61J 3/00 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   B61B10/04 H
   B61J1/12
   B61J3/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-136353(P2017-136353)
(22)【出願日】2017年7月12日
(65)【公開番号】特開2019-18618(P2019-18618A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 純弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】祖田 雄輔
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第3461812(US,A)
【文献】 特開2012−121652(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第2747110(FR,A1)
【文献】 中国実用新案第2547601(CN,Y)
【文献】 韓国登録特許第10−1523530(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 10/04,13/00
B61J 1/12
B61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と、
前記車輪を回転させるモータと、
前記モータを駆動させるバッテリーと、
前記バッテリーを収容するバッテリー箱と、
牽引装置に接続可能な牽引連結部と、
を有し、
前記バッテリーにより前記モータを駆動させて前記車輪を回転させることにより自走し、
前記牽引連結部を前記牽引装置に接続することにより前記牽引装置により牽引される台車において、
前記牽引連結部を前記牽引装置と接続するときに前記バッテリー箱の扉を連動させて閉め、前記牽引連結部を前記牽引装置と切り離すときに前記バッテリー箱の扉を連動させて開ける開閉扉機構を有すること、
を特徴とする台車。
【請求項2】
請求項1の台車において、
前記牽引連結部は、前記牽引装置の搬送チェーンに嵌合可能なトウピンであり、
前記開閉扉機構は、前記トウピンが前記搬送チェーンに嵌合する動作に連動させて前記バッテリー箱の扉を閉め、前記トウピンが前記搬送チェーンから離れる動作に連動させて前記バッテリー箱の扉を開けること、
を特徴とする台車。
【請求項3】
請求項1または2の台車において、
前記開閉扉機構は、前記牽引連結部を操作するレバーと、前記レバーの操作により所定の軸を中心に回転可能なアームと、前記バッテリー箱の扉と前記アームとを連結する連結軸とを備え、前記レバーを操作して前記アームを回転させて前記連結軸を介して前記バッテリー箱の扉を閉めること、
を特徴とする台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物を搬送する台車に関するものであり、例えば、鉄道車両における車体の検修(メンテナンス)において、車体を搬送する台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
台車に関するものとして、特許文献1には、自動車車体などの被搬送物を搬送するための搬送台車と、当該搬送台車の前端部に連結手段により連結されて搬送台車を牽引する自走可能な牽引車と、を有し、当該牽引車の後半部が搬送台車の下側に入り込むように構成された牽引車利用の台車式搬送装置が開示されている。そして、この装置において、牽引車は、前進方向に向きが固定され各々に駆動自在な左右一対の駆動車輪と、後端近傍位置の巾方向の中央位置に設けられた自在車輪とを備えている。そして、牽引車は、この駆動車輪と自在車輪との間に、複数台のバッテリーを収納するバッテリー収納空間を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−121652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された装置においては、作業者の手作業でバッテリー収納空間をカバープレートで開閉する必要があるので、作業者の手間を要するとともに、カバープレートの開閉忘れが発生するおそれがある。このようなカバープレートの開閉忘れは、必ずカバープレートを閉めなければならない工程と、必ずカバープレートを開けなければならない工程が存在する現場においては、その影響が大きくなる。
【0005】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、作業者の手間を省きながら、バッテリー箱の扉の開閉忘れの発生を防止できる台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明の一形態は、車輪と、前記車輪を回転させるモータと、前記モータを駆動させるバッテリーと、前記バッテリーを収容するバッテリー箱と、牽引装置に接続可能な牽引連結部と、を有し、前記バッテリーにより前記モータを駆動させて前記車輪を回転させることにより自走し、前記牽引連結部を前記牽引装置に接続することにより前記牽引装置により牽引される台車において、前記牽引連結部を前記牽引装置と接続するときに前記バッテリー箱の扉を連動させて閉め、前記牽引連結部を前記牽引装置と切り離すときに前記バッテリー箱の扉を連動させて開ける開閉扉機構を有すること、を特徴とする。
【0007】
この態様によれば、牽引装置と牽引連結部との接続および切り離しと同時に、バッテリー箱の扉の開閉を連動させることができる。そのため、作業者が牽引連結部を牽引装置と接続および切り離しする作業を行うことにより、自動的にバッテリー箱の扉が開閉する。したがって、作業者の手間を省きながら、バッテリー箱の扉の開閉忘れの発生を防止できる。
【0008】
上記の態様においては、前記牽引連結部は、前記牽引装置の搬送チェーンに嵌合可能なトウピンであり、前記開閉扉機構は、前記トウピンが前記搬送チェーンに嵌合する動作に連動させて前記バッテリー箱の扉を閉め、前記トウピンが前記搬送チェーンから離れる動作に連動させて前記バッテリー箱の扉を開けること、が好ましい。
【0009】
この態様によれば、牽引装置の搬送チェーンに嵌合可能なトウピンの動作に連動して、バッテリー箱の扉の開閉を連動させることができる。そのため、トウピンを搬送チェーンに嵌合させて台車を牽引装置で牽引するときに、バッテリー箱の扉の閉め忘れを防止できる。また、トウピンを搬送チェーンから離して台車を牽引装置で牽引しないときに、バッテリー箱の扉の開け忘れを防止できる。
【0010】
上記の態様においては、前記開閉扉機構は、前記牽引連結部を操作するレバーと、前記レバーの操作により所定の軸を中心に回転可能なアームと、前記バッテリー箱の扉と前記アームとを連結する連結軸とを備え、前記レバーを操作して前記アームを回転させて前記連結軸を介して前記バッテリー箱の扉を閉めること、が好ましい。
【0011】
この態様によれば、バッテリー箱の扉は連結軸にコイルバネを介して押されて閉められ、かつ、扉にはシールゴムが貼付されているため、バッテリー箱の気密性を確保できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る台車によれば、作業者の手間を省きながら、バッテリー箱の扉の開閉忘れの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の搬送台車の上面図である。
図2図1の左側から見た搬送台車の側面図である。
図3】トウピンレバーを表す図である。
図4】トウピン上下動部を表す図(トウピンが上がったときの図)である。
図5】トウピン上下動部を表す図(トウピンが下がったときの図)である。
図6】バッテリー箱と開閉扉部を表す図(扉が開いたときの図)である。
図7】バッテリー箱と開閉扉部を表す図(扉が閉まったときの図)である。
図8】本実施形態の牽引装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0015】
搬送台車1(本発明の台車の一例)は、例えば、鉄道車両における車体100の検修において、車体100を搬送するための仮台車である。この搬送台車1は、バッテリー14によりモータ13を駆動させて車輪12を回転させることにより自走して車体100を搬送することができるが、例えば、車体100の塗装工程など、車体100の検修における工程によっては牽引装置2により牽引されて車体100を搬送する。
【0016】
そこで、まず、本実施形態の搬送台車1について説明する。図1図2に示すように、搬送台車1は、台車フレーム11と、車輪12と、モータ13と、バッテリー14と、バッテリー箱15と、トウピン16(牽引連結部、被係止体)と、開閉扉機構17と、支持部18と、走行制御盤19と、昇降操作盤20などを備えている。
【0017】
車輪12は、台車フレーム11の前後左右に設けられている。モータ13は、台車フレーム11上に搭載されており、車輪12を回転させる。鉛蓄電池等のバッテリー14は、台車フレーム11上に搭載されており、モータ13を駆動させる。
【0018】
バッテリー箱15は、台車フレーム11上に搭載されており、バッテリー14を収容している。図6図7に示すように、バッテリー箱15は、扉15aを備えている。そして、扉15aを開けることにより、例えば、バッテリー14の充電中において、バッテリー箱15内に発生する可能性のある可燃性ガス(水素ガス)を排出させることができる。一方、扉15aを閉めることにより、バッテリー箱15内の気密性を確保して、バッテリー14と外気を遮断させることができる。
【0019】
トウピン16は、牽引装置2に接続可能である。トウピン16は、台車フレーム11に上下動可能な状態で取り付けられており、嵌合部16aを備えている。嵌合部16aは、トウピン16における牽引装置2の搬送チェーン31側の位置に形成され、トウピン16の内側(搬送チェーン31側とは反対側)に凹むようにして形成されている。この嵌合部16aは、詳しくは後述するように、搬送台車1を自走させるときには搬送チェーン31のリンク部分31aから離れ、搬送台車1を牽引装置2により牽引させるときには搬送チェーン31のリンク部分31aに嵌合される。
【0020】
開閉扉機構17は、トウピン16を上下動させる機構であり、かつ、バッテリー箱15の扉15aを開閉させる機構である。すなわち、開閉扉機構17は、トウピン16が牽引装置2と接続すると同時にバッテリー箱15の扉15aを連動させて閉め、トウピン16が牽引装置2と切り離されると同時にバッテリー箱15の扉15aを連動させて開ける。なお、開閉扉機構17の詳細については、後述する。
【0021】
また、支持部18は、被搬送物(例えば、車体100)を支持する部分である。走行制御盤19は、搬送台車1の走行を制御する制御部である。昇降操作盤20は、支持部18に支持される被搬送物の昇降を操作する操作部である。
【0022】
次に、本実施形態の牽引装置2について説明する。牽引装置2は、搬送台車1を牽引する装置である。図8に示すように、牽引装置2は、搬送チェーン31と、スプロケット32を有する。搬送チェーン31は、スプロケット32に掛け渡されている。この搬送チェーン31は、内外のリンクプレートを連結するリンク部分31aを備える。以上のような牽引装置2は、スプロケット32を回転させて搬送チェーン31を移動させることにより、搬送チェーン31に装着された搬送台車1を牽引する。
【0023】
以上のような構成の搬送台車1と牽引装置2において、搬送台車1は、バッテリー14によりモータ13を駆動させて車輪12を回転させることにより、自走することができる。また、搬送台車1は、トウピン16が牽引装置2の搬送チェーン31に接続することにより、牽引装置2により牽引される。
【0024】
ここで、鉄道車両における車体100の検修において、車体100の塗装工程では、バッテリー箱15の気密性を確保して、バッテリー14と外気を遮断する必要がある。このとき、従来では、作業者が手作業でバッテリー箱15の扉15aを閉めていた。あるいは、作業者が手作業でバッテリー14を一時的にバッテリー箱15から取り出していた。
【0025】
また、バッテリー14の充電中においては、可燃性ガスが発生する可能性があるため、バッテリー箱15内を換気する必要がある。このとき、従来では、作業者が手作業でバッテリー箱15の扉15aを開けていた。
【0026】
しかしながら、作業者にとってこのような手作業は手間であり、バッテリー箱15の扉15aの閉め忘れや開け忘れ、あるいは、バッテリー箱15からのバッテリー14の取り出し忘れなどの作業忘れが発生するおそれがあった。
【0027】
そこで、本実施形態の搬送台車1は、以下に詳細に説明するような開閉扉機構17を有している。これにより、作業者の手間を省きながら、バッテリー箱15の扉15aの閉め忘れや開け忘れを防止できる。
【0028】
開閉扉機構17は、トウピン上下動部17aと開閉扉部17bとにより構成されている。
【0029】
図1などに示すように、トウピン上下動部17aは、トウピンレバー41と、第1連結軸42と、ジョイント43と、第2連結軸44と、チェーンブラケット45と、チェーン46と、スプロケット47を備えている。
【0030】
トウピンレバー41は、トウピン16を上下動させる操作を行うための操作器具であり、作業者がトウピン16を操作するときに把持する取っ手である。トウピンレバー41は、第1連結軸42に接続しており、第1連結軸42の中心軸を中心に回転可能である。第1連結軸42は、ジョイント43を介して第2連結軸44に接続している。第2連結軸44は、開閉扉部17bの第1アーム51(図6図7参照)に接続している。このようにして、第1連結軸42と第2連結軸44は、トウピンレバー41と第1アーム51を連結している。
【0031】
また、第2連結軸44の中間部分には、チェーンブラケット45が取り付けられている。このようにして、第1連結軸42と第2連結軸44は、トウピンレバー41とチェーンブラケット45を連結している。図4図5に示すように、チェーンブラケット45は、第2連結軸44の中心軸を中心に回転可能である。チェーンブラケット45の先端45aには、チェーン46が取り付けられている。チェーン46は、スプロケット47を介してトウピン16に取り付けられている。
【0032】
図6図7に示すように、開閉扉部17bは、第1アーム51と、ジョイント52と、連結軸53と、ジョイント54と、第2アーム55と、ジョイント56と、連結軸57と、ジョイント58と、コイルバネ59と、連結軸60を備えている。
【0033】
第1アーム51は、前記のように、第2連結軸44に取り付けられている。そして、第1アーム51の先端51aには、ジョイント52を介して連結軸53が取り付けられている。さらに、連結軸53は、ジョイント54を介して第2アーム55の第1端部55aに取り付けられている。このようにして、連結軸53は、第1アーム51と第2アーム55を連結している。
【0034】
第2アーム55の第2端部55bには、ジョイント56を介して連結軸57が取り付けられている。連結軸57は、ジョイント58を介してバッテリー箱15の扉15aに取り付けられている。このようにして、連結軸57は、第2アーム55と扉15aを連結している。また、ジョイント56とジョイント58との間には、コイルバネ59が設けられている。また、第2アーム55は、その略中央部分において、連結軸60に取り付けられており、連結軸60の中心軸(所定の軸)を中心に回転可能である。
【0035】
本実施形態では、このような構成の開閉扉機構17により、以下のようにして、トウピン16の上下動と連動して、バッテリー箱15の扉15aが開閉する。
【0036】
まず、トウピン16を下げる場合について説明する。図4に示すように、トウピン16が上がった状態、すなわち、トウピン16の嵌合部16aが牽引装置2の搬送チェーン31のリンク部分31aに嵌合していない状態である、とする。そこで、作業者は、トウピンレバー41を第1連結軸42の中心軸を中心に第1方向α(図3の時計方向)に回転させる。すると、第1連結軸42と第2連結軸44が各中心軸を中心に回転するので、図5に示すように、チェーンブラケット45が第2連結軸44の中心軸を中心に第1方向α(図5の反時計方向)に回転する。これにより、チェーンブラケット45の先端45aにチェーン46を介して取り付けられるトウピン16が搬送チェーン31の方向(図5の下方向)に移動する。そして、トウピン16の嵌合部16aが、搬送チェーン31のリンク部分31aに嵌合する。このようにして、図5に示すように、トウピン16が下がった状態、すなわち、トウピン16の嵌合部16aが搬送チェーン31のリンク部分31aに嵌合している状態になる。そして、これにより、搬送台車1が牽引装置2により牽引可能な状態になる。なお、搬送台車1が移動する際に慣性の力が働くが、そのことについては記載を省略する。
【0037】
そして、このとき、同時に、図7に示すように、開閉扉部17bの第1アーム51が第2連結軸44の中心軸を中心に第1方向α(図7の反時計方向)に回転する。すると同時に、第1アーム51の先端51aに連結軸53を介して連結する第2アーム55が連結軸60の中心軸を中心に第1方向αに回転する。これにより、連結軸57がバッテリー箱15の方向に移動して突っ張った状態となり、連結軸57に取り付けられている扉15aが閉められる。このようにして、図7に示すように、バッテリー箱15において、扉15aが閉まった状態になる。そして、これにより、バッテリー箱15の気密性が確保される。なお、このとき、コイルバネ59の付勢力により、バッテリー箱15の扉15aは押されるので、バッテリー箱15の気密性がさらに確保される。
【0038】
以上のようにして、トウピン16が下がる動作と連動して、バッテリー箱15の扉15aが閉まる。すなわち、開閉扉機構17は、トウピン16が牽引装置2に接続するときに同時にバッテリー箱15の扉15aを連動して閉める。さらに詳しくは、開閉扉機構17は、トウピン16の嵌合部16aが牽引装置2の搬送チェーン31のリンク部分31aに嵌合する動作に連動させて、自動的に、バッテリー箱15の扉15aを閉める。
【0039】
一方、トウピン16を上げる場合について説明する。図5に示すように、トウピン16が下がった状態、すなわち、トウピン16の嵌合部16aが牽引装置2の搬送チェーン31のリンク部分31aに嵌合している状態である、とする。そこで、作業者は、トウピンレバー41を第1連結軸42の中心軸を中心に第2方向β(図3の反時計方向)に回転させる。すると、第1連結軸42と第2連結軸44が各中心軸を中心に回転するので、図4に示すように、チェーンブラケット45が第2連結軸44の中心軸を中心に第2方向β(図4の時計方向)に回転する。これにより、チェーンブラケット45の先端45aにチェーン46を介して取り付けられるトウピン16は、搬送チェーン31とは反対方向(図4の上方向)に移動する。そして、トウピン16の嵌合部16aが、搬送チェーン31のリンク部分31aから離れる。このようにして、図4に示すように、トウピン16が上がった状態、すなわち、トウピン16の嵌合部16aが搬送チェーン31のリンク部分31aと離れた状態になる。そして、これにより、搬送台車1が牽引装置2により牽引されない状態になる。
【0040】
そして、このとき、同時に、図6に示すように、開閉扉部17bの第1アーム51が第2連結軸44の中心軸を中心に第2方向β(図6の時計方向)に回転する。すると同時に、第1アーム51の先端51aに連結軸53を介して連結する第2アーム55が連結軸60の中心軸を中心に第2方向βに回転する。これにより、連結軸57がバッテリー箱15とは反対方向に移動して、連結軸57に取り付けられている扉15aが開けられる。このようにして、図6に示すように、バッテリー箱15において、扉15aが開いた状態になる。そして、これにより、バッテリー箱15内が開放される。
【0041】
以上のようにして、トウピン16が上がる動作と連動して、バッテリー箱15の扉15aが開く。すなわち、開閉扉機構17は、トウピン16を牽引装置2と切り離すときに同時にバッテリー箱15の扉15aを連動して開ける。さらに詳しくは、開閉扉機構17は、トウピン16の嵌合部16aが牽引装置2の搬送チェーン31のリンク部分31aから離れる動作に連動させて、自動的に、バッテリー箱15の扉15aを開ける。
【0042】
以上のように、本実施形態では、搬送台車1は、開閉扉機構17を有する。そして、この開閉扉機構17は、トウピン16を牽引装置2と接続するときに同時にバッテリー箱15の扉15aを連動させて閉め、トウピン16を牽引装置2と切り離すときに同時にバッテリー箱15の扉15aを連動させて開ける。
【0043】
これにより、牽引装置2とトウピン16との接続および切り離し作業において、牽引装置2とトウピン16との接続および切り離しと同時に、バッテリー箱15の扉15aの開閉を連動させることができる。このようにして、作業者は、1つの作業で2つの工程を行うことができるので、作業の手間を省くことができる。また、牽引装置2とトウピン16との接続および切り離しにより、自動的に、バッテリー箱15の扉15aが開閉するので、扉15aの開閉忘れの発生を防止できる。
【0044】
このように本実施形態では、開閉扉機構17により、トウピン16を牽引装置2と接続するときに同時にバッテリー箱15の扉15aを連動させて閉めるようにした。そのため、例えば、鉄道車両の車体100の検修における車体100の塗装工程など、トウピン16を牽引装置2と接続した搬送台車1の牽引時において、作業者の手間を省きながら、バッテリー箱15の扉15aの閉め忘れの発生を防止できる。
【0045】
また、本実施形態では、開閉扉機構17により、トウピン16を牽引装置2と切り離すときに同時にバッテリー箱15の扉15aを連動させて開けるようにした。そのため、トウピン16を牽引装置2と切り離した状態でバッテリー14の充電を行うときに、作業者の手間を省きながら、バッテリー箱15の扉15aの開け忘れの発生を防止できる。そして、バッテリー14の充電などのバッテリー箱15の扉15aを開けておかなければならない工程においては、トウピン16を牽引装置2と切り離してバッテリー箱15の扉15aを開けるように管理する。その一方、塗装工程などのバッテリー箱15の扉15aを閉めておかなければならない工程においては、トウピン16を牽引装置2に接続させてバッテリー箱15の扉15aを閉めるように管理する。
【0046】
また、本実施形態では、開閉扉機構17は、トウピン16が搬送チェーン31のリンク部分31aに嵌合する動作に連動させてバッテリー箱15の扉15aを閉め、トウピン16が搬送チェーン31のリンク部分31aから離れる動作に連動させてバッテリー箱15の扉15aを開ける。
【0047】
このようにして、牽引装置2の搬送チェーン31に嵌合可能なトウピン16の動作に連動して、バッテリー箱15の扉15aの開閉を連動させることができる。そのため、トウピン16を搬送チェーン31に嵌合させて搬送台車1を牽引装置2で牽引するときに、バッテリー箱15の扉15aの閉め忘れを防止できる。また、トウピン16を搬送チェーン31から離して搬送台車1を牽引装置2で牽引しないときに、バッテリー箱15の扉15aの開け忘れを防止できる。
【0048】
また、本実施形態では、開閉扉機構17は、トウピンレバー41を操作して第2アーム55を回転させて連結軸57をバッテリー箱15の方向に移動させて突っ張らせることにより、バッテリー箱15の扉15aを閉める。そして、このようにしてバッテリー箱15の扉15aを閉めることにより、連結軸57とコイルバネ59のばね調整機能を利用してバッテリー箱15の扉15aを押し込むことができる。これにより、バッテリー箱15の扉15aは連結軸57にコイルバネ59を介して押されて閉められ、かつ、扉15aにはシールゴムが貼付されているため、バッテリー箱15の気密性を確保できる。
【0049】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0050】
1 搬送台車
2 牽引装置
13 モータ
14 バッテリー
15 バッテリー箱
15a 扉
16 トウピン
16a 嵌合部
17 開閉扉機構
17a トウピン上下動部
17b 開閉扉部
31 搬送チェーン
31a リンク部分
32 スプロケット
41 トウピンレバー
42 第1連結軸
44 第2連結軸
45 チェーンブラケット
45a 先端
46 チェーン
47 スプロケット
51 第1アーム
51a 先端
53 連結軸
55 第2アーム
55a 第1端部
55b 第2端部
57 連結軸
58 ジョイント
59 コイルバネ
100 車体
α 第1方向
β 第2方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8