特許第6853211号(P6853211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853211
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】ガスケット
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/10 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   F16J15/10 U
   F16J15/10 B
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-60594(P2018-60594)
(22)【出願日】2018年3月27日
(65)【公開番号】特開2019-173811(P2019-173811A)
(43)【公開日】2019年10月10日
【審査請求日】2020年9月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】中野 篤
(72)【発明者】
【氏名】小池 智幸
(72)【発明者】
【氏名】足立 智大
(72)【発明者】
【氏名】黒崎 歩
(72)【発明者】
【氏名】成尾 元彰
(72)【発明者】
【氏名】飯田 俊英
【審査官】 羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−250669(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/103960(WO,A1)
【文献】 特開2017−198338(JP,A)
【文献】 特公昭51−004287(JP,B1)
【文献】 特開2000−213659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00−1/264
E03C 1/266−1/33
F16J 15/00−15/14
F16K 27/00−27/12
F16L 23/00−25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1部材および第2部材の間に介在し、前記第1部材の第1流路と、前記第1流路の延在方向と異なる方向に延在する前記第2部材の第2流路との接続部に設けられるガスケットであって、
前記第1流路の延在方向と同じ方向に延在し、前記第1部材における前記第1流路の開口部の周りに設けられる第1筒状部と、
前記第2流路の延在方向と同じ方向に延在し、前記第2部材における前記第2流路の開口部の周りに設けられる第2筒状部
を備え、
前記第1筒状部が、前記第1流路の延在方向に対して傾斜する前記第1部材の傾斜部に圧接可能なシール部を有するか、
前記第2筒状部が、前記第2流路の延在方向に対して傾斜する前記第2部材の傾斜部に圧接可能なシール部を有するかの、少なくともいずれかである
ことを特徴とするガスケット
【請求項2】
互いに対向する第1部材および第2部材の間に介在し、前記第1部材の第1流路と、前記第1流路の延在方向と異なる方向に延在する前記第2部材の第2流路との接続部に設けられるガスケットであって、
前記第1流路の延在方向と同じ方向に延在し、前記第1部材における前記第1流路の開口部の周りに設けられる第1筒状部と、
前記第2流路の延在方向と同じ方向に延在し、前記第2部材における前記第2流路の開口部の周りに設けられる第2筒状部
を備え、
前記第1筒状部が、前記第1流路の延在方向に沿って延在する前記第1部材の環状の溝部に圧入可能な筒状のシール部を有するか、
前記第2筒状部が、前記第2流路の延在方向に沿って延在する前記第2部材の環状の溝部に圧入可能な筒状のシール部を有するかの、少なくともいずれかである
ことを特徴とするガスケット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載のガスケットが知られている。このガスケットは、互いに対向する2つの流体継手部材の突き合わせ端面に形成された開口の周りに設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−213659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のガスケットは、筒状に形成されており、その軸線方向が2つの流体継手部材の突き合わせ端面の法線方向(即ち端面の垂直方向)と略平行となるように配置されていた。一方、前記2つの流体継手部材のうち、一方の流体継手部材の流体通路は、前記突き合わせ端面の法線方向に対して傾斜するように形成されていた。前記2つの流体継手部材のうち、他方の流体継手部材(前記一方の流体継手部材の上方に設置されたもの)の流体通路におけるその開口の周辺は、概ね前記突き合わせ端面の法線方向に沿って形成されていた(特許文献1の図1(b)参照)。
【0005】
したがって、前記一方の流体継手部材の流体通路は、前記突き合わせ端面の法線方向に対して傾斜した状態で、前記他方の流体継手部材の流体通路に向かって開口することになり、前記突き合わせ端面の法線方向に対して略平行に形成された場合に比べ径方向に大きく開口していた。すなわち、前記一方の流体継手部材の流体通路の開口面積が大きくなっていた。よって、これに応じた開口面積を前記ガスケットに確保しなければならず、前記ガスケットを全体的に大型化せざるを得なかった。結果、前記2つの流体継手部材に対する前記ガスケットのフットプリント(占有面積)が大きくなっていた。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、第1部材の第1流路とこの第1流路の延在方向と異なる方向に延びる第2部材の第2流路との接続部に設けられるガスケットの小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
互いに対向する第1部材および第2部材の間に介在し、前記第1部材の第1流路とこの第1流路の延在方向と異なる方向に延在する前記第2部材の第2流路との接続部に設けられるガスケットであって、
前記第1流路の延在方向と同じ方向に延在し、前記第1部材における前記第1流路の開口部の周りに設けられる第1筒状部と、
前記第2流路の延在方向と同じ方向に延在し、前記第2部材における前記第2流路の開口部の周りに設けられる第2筒状部とを備えるものである。
【0008】
この構成によれば、前記ガスケットの第1筒状部の開口面積を、前記第1部材の第1流路の流路面積に応じた必要最小限の開口面積にすることが可能となる。また、前記ガスケットの第2筒状部の流路の開口面積を、前記第2部材の第2流路の流路面積に応じた必要最小限の開口面積にすることが可能となる。したがって、前記ガスケットの開口面積の増大を極力抑えることができる。よって、前記ガスケットの全体的な小型化を図ることができる。結果、前記第1部材および前記第2部材に対する前記ガスケットのフットプリントの縮小化を図ることができる。
【0009】
本発明の別の態様によれば、
前記第1筒状部は、前記第1流路の延在方向に対して傾斜する前記第1部材の第1傾斜部に圧接可能な第1のシール部を有する。
【0010】
本発明の更なる態様によれば、
前記第1筒状部は、前記第1流路の延在方向に沿って延在する前記第1部材の環状の第1溝部に圧入可能な筒状の第2のシール部を有する。
【0011】
本発明のまた別の態様によれば、
前記第2筒状部は、前記第2流路の延在方向に対して傾斜する前記第2部材の第2傾斜部に圧接可能な第3のシール部を有する。
【0012】
本発明のまた別の態様によれば、
前記第2筒状部は、前記第2流路の延在方向に沿って延在する前記第2部材の環状の第2溝部に圧入可能な筒状の第4のシール部を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1部材の第1流路とこの第1流路の延在方向と異なる方向に延びる第2部材の第2流路との接続部に設けられるガスケットの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るガスケットの使用状態を示す断面図である。
図2図1の一部拡大図である。
図3図1のガスケットの斜視図である。
図4図1のガスケットの断面図である。
図5】本発明の別の実施形態に係るガスケットの斜視図である。
図6図5のガスケットの断面図である。
図7図5のガスケットの使用状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るガスケットは、例えば、半導体分野、液晶・有機EL分野、医療・医薬分野、または、自動車関連分野において、流体(例えば、超純水または薬液等の液体)を流通させるための流路を有する第1部材および第2部材の流路接続部に使用されるものである。
【0016】
図1図2に示すように、本発明の一実施形態に係るガスケット1は、その使用時、互いに対向する第1部材3および第2部材5Aの間に介在し、第1部材3の第1流路7Aと第2部材5Aの第2流路9Aとの接続部(後述する互いに対向する第1流路7Aの開口部13および第2流路9Aの開口部37の周辺)に設けられる。ここで、第2部材5Aの第2流路9Aは、第1部材3の第1流路7Aの延在方向と異なる方向に延在する。
【0017】
第1部材3は、その第1流路7Aが第2部材5Aの第2流路9Aと接続する部分の周辺に、ガスケット1を装着するためのガスケット装着部を備えている。また、第2部材5Aは、その第2流路9Aが第1部材3の第1流路7Aと接続する部分の周辺に、ガスケット1を装着するためのガスケット装着部を備えている。
【0018】
なお、本実施形態においては、第1部材3のガスケット装着部と第2部材5Aのガスケット装着部とは実質的に同じ構成を有している。そして、ガスケット1が、第1部材3のガスケット装着部および第2部材5Aのガスケット装着部の各々に同様の装着構造にて装着可能とされている。
【0019】
詳しくは、第1部材3および第2部材5Aの各々は、例えば、レギュレータ、圧力計、バルブ、流量計を含む流体制御機器に関する、流路を備えた部材(ブロック等)から構成される。そして、ガスケット1の使用時に、第2部材5A(更には別の第2部材5B)が第1部材3上に設置されるようになっている。
【0020】
第1部材3および第2部材5Aは、それぞれ、本実施形態においては所定の樹脂から構成されている。たとえば、第1部材3および第2部材5Aは、それぞれ、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂から構成され得る。
【0021】
なお、第1部材3および第2部材5Aは、使用分野(用途)に応じて、例えばPP(ポリプロピレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、POM(ポリオキシメチレン)、または、エラストマー(ゴム)等から構成してもよい。
【0022】
また、第1部材3は、前述の第1流路7Aを有している。第1流路7Aは、その延在方向一端部に開口部13を備えている。第1流路7Aは、第2部材5Aの対向面39と対向する第1部材3の対向面(上端面)15付近で開口部13を外部に露出させ、開口部13を介してガスケット1の第3流路17と接続される。
【0023】
第1流路7Aは、第1部材3の対向面15と底面19との間において、略平坦な対向面15の法線21方向に対して傾斜するように直線状に延在している。こ第1流路7Aは、図2に示すように、断面視で対向面15の法線21方向に対して所定角度Θで傾斜している。法線21は、対向面15に垂直な直線である。
【0024】
なお、本実施形態において、第1部材3は、第1流路7Aのほか、第1部材3の対向面15と底面19との間において第1流路7Aの延在方向他端部に接続された別の第1流路7Bを有している。別の第1流路7Bは、対向面15に直交する対称面23に対して、第1流路7Aと対称に形成されている。
【0025】
これにより、第1部材3においては、第1流路7Aと別の第1流路7BとがV字形状の流路を形成するようになっている。すなわち、第1部材3が、前述のV字形状の流路を有するようになっている。そして、第1部材3と第2部材5Aとの間に、ガスケット1が適用され得るようになっている。
【0026】
しかも、第1部材3と別の第2部材5Bとの間に、別のガスケット1が適用され得るようになっている。具体的には、別のガスケット1が、第1部材3における別の第1流路7Bと別の第2部材5Bにおける別の第2流路9Bとの接続部に設けられ得るようになっている。
【0027】
また、第1部材3は、前記ガスケット装着部を対向面15側に有している。このガスケット装着部は、第1部材3における第1流路7Aの開口部13の周りに設けられている。前記ガスケット装着部は、ガスケット1を第1部材3における開口部13の周りに圧入することにより装着するようになっている。
【0028】
より詳しくは、第1部材3は、本体部25と、外側部分27と、筒状の内側部分29とを有している。
【0029】
本体部25は、第1部材3の底面19を含み、第1部材3の底面19側(下側)に備えられている。本体部25内には、第1流路7Aの延在方向他端部側が設けられている。なお、第1流路7Aの延在方向一端部側は、内側部分29内に設けられている。
【0030】
外側部分27は、第1流路7Aの開口部13を囲むようにその径方向外側に設けられている。外側部分27は、本体部25の一端部(上側端部)に、第2部材5Aの設置側(上側)へ突出するように設けられている。外側部分27の突出端面には、対向面15が含まれている。
【0031】
外側部分27は、ガスケット1(後述の第1筒状部51)を受け入れるための受入部分を有している。この受入部分は、外側部分27の内側に設けられている。そしてこの受入部分は、ガスケット1の第1筒状部51を対向面15側から受け入れることができるように形成されている。
【0032】
外側部分27における受入部分は、主に第1流路7Aの延在方向(軸線31方向)に沿って延在する空間部から構成されている。この空間部は、当該空間部の延在方向が断面視で対向面15の法線21方向に対して所定角度Θで傾斜するように形成されている。前記空間部は、対向面15と略同一平面上で開口している。
【0033】
内側部分29は、第1流路7Aの開口部13を囲むようにその径方向外側に設けられている。また、内側部分29は、外側部分27に囲まれるようにその径方向内側に設けられている。内側部分29は、本体部25の一端部(上側端部)に、第2部材5Aの設置側(上側)へ突出するように設けられている。
【0034】
内側部分29は、筒状に形成されており、後述のガスケット1の第1筒状部51における筒状のシール突部63内に受け入れられるように構成されている。そしてその受入時に、内側部分29は、その外周部がシール突部63の内周部に接触した状態でシール突部63の内側に嵌合されるようになっている。
【0035】
内側部分29は、第1流路7A(外側部分27における受入部分)の延在方向に沿って延在している。内側部分29は、第1部材3の対向面15の法線21方向に対して所定角度Θで傾斜するように形成されている。内側部分29は、外側部分27における受入部分の開口に向かって開口している。
【0036】
内側部分29の突出端面は、対向面15よりも本体部25側(下側)に位置している。また、内側部分29は、開口部13の径方向において、外側部分27の内側に所定間隔を隔てて配置されている。内側部分29は、外側部分27における前記内壁部と略同軸上に配置されている。
【0037】
内側部分29には、傾斜部としての内周側接触面33が設けられている。内周側接触面33は、内側部分29の突出端部の内周部に配置されている。内周側接触面33は、第1流路7Aを囲むように、内側部分29の突出端部の内周部に沿う環状に形成されている。
【0038】
内側部分29の内周側接触面33は、第1流路7Aの延在方向(軸線31方向)に対して傾斜するように形成されている。内周側接触面33は、内側部分29の突出端部の内径が本体部25側から内側部分29の開口側(対向面15側)へ向かって漸次拡大するように形成されている。
【0039】
そして、第1部材3は、第1流路7Aの開口部13の径方向外側において、前記ガスケット装着部に備えられた圧入部分(本体部25と外側部分27と内側部分29との間に形成された空間部)に、ガスケット1の第1筒状部51のシール突部63を圧入することができるように構成されている。
【0040】
すなわち、溝部35が、前記圧入部分として、第1流路7Aの延在方向(軸線31方向)に沿って延在するように設けられている。溝部35は、有底状の溝部であり、内側部分29の突出端部付近で内側部分29の開口方向と略同じ方向に開口している。溝部35は、内側部分29の外周部に沿う環状に形成されている。
【0041】
そして、溝部35は、ガスケット1の第1筒状部51のシール突部63を溝部35の開口部から内側部分29の延在方向に沿って圧入することができるようになっている。溝部35の溝幅(内側部分29の径方向の幅)は、シール突部63を溝部35に圧入できるように適宜設定される。
【0042】
また、第2部材5Aは、前述の第2流路9Aを有している。第2流路9Aは、その延在方向一端部に開口部37を備えている。第2流路9Aは、第1部材3の対向面15と対向する第2部材5Aの対向面(下端面)39付近で開口部37を外部に露出させ、開口部13を介してガスケット1の第3流路17と接続される。
【0043】
第2流路9Aは、その軸線41が断面視で対向面15(これと平行に広がる略平坦な対向面39)の法線21方向に対して略平行(即ち、所定角度Θ≒0)に延在している。なお、第2流路9Aは、第2部材5Aにおいて、第2流路9Aの延在方向他一端部で第4流路43と接続されている。
【0044】
また、第2部材5Aのガスケット装着部は、ガスケット1の装着方向に関して第1部材3のガスケット装着部と異なる点を除いて、実質的に同じ構成を有している。そのため、第2部材5Aのガスケット装着部については、第1部材3の構成と実質的に同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0045】
図3図4にも示すように、ガスケット1は、第1筒状部51と、第2筒状部53とを備えている。第1筒状部51は、第1流路7Aの延在方向と同じ方向に延在し、前記第1部材における第1流路7Aの開口部13の周りに設けられている。第2筒状部53は、第2流路9Aの延在方向と同じ方向に延在し、第2部材5Aにおける第2流路9Aの開口部37の周りに設けられている。
【0046】
本実施形態において、ガスケット1は、第1筒状部51の延在方向(軸線方向)一端部と第2筒状部53の延在方向(軸線方向)一端部とが直接連結されることによりV字状を呈する筒状体とされている。なお、ガスケット1は、第1筒状部51と第2筒状部53とが間接的に連結されたものであってもよい。
【0047】
また、ガスケット1は、本実施形態においては所定の樹脂から構成されている。たとえば、ガスケット1は、フッ素樹脂(例えば、PFA、PTFE)等から構成され得る。なお、ガスケット1は、使用分野(用途)に応じて、例えばPP、HDPE、LDPE、POM、または、エラストマー等から構成してもよい。
【0048】
詳しくは、第1筒状部51は、その軸線方向他端部側が第1部材3のガスケット装着部に対向面15の法線21方向に対して斜めに圧入可能に構成されている。第1筒状部51は、前記ガスケット装着部への圧入により、対向面15の法線21方向に対して所定角度Θで傾斜した状態で第1部材3に設けられる。
【0049】
第1筒状部51は、その延在方向に延びる貫通孔を有している。この貫通孔は、前述のガスケット1の第3流路17の一部をなす第5流路57を形成している。第5流路57は、第1筒状部51の延在方向に沿って延在し、第1部材3の第1流路7Aと開口部13を介して接続可能とされている。
【0050】
本実施形態において、第1筒状部51は、ベース部61と、シール部(第2のシール部、第4のシール部)としてのシール突部63と、シール部(第1のシール部、第3のシール部)としての傾斜突起65とを有している。
【0051】
ベース部61は、筒状に形成されている。ベース部61は、第1筒状部51の延在方向に沿って延在するように配置されている。なお、ベース部61は、同様の構成を有する第2筒状部53のベース部61と互いに異なる方向に延在した状態で連結されている。
【0052】
ベース部61は、第1部材3の第1流路7Aの直径(内側部分29の内径)と略同じ寸法の内径を有している。この内径が、第5流路57の直径(第3流路17の直径)となっている。ここで、第5流路57の直径は、ベース部61(第1筒状部51)の延在方向において略一定である。
【0053】
シール突部63は、第1部材3のガスケット装着部における前記圧入部分、即ち溝部35に圧入可能に構成されている。本実施形態において、シール突部63は、径方向に略一定の厚さを有する円筒状に形成されている。
【0054】
シール突部63は、ベース部61から第1筒状部51の軸線方向他端部側へ突出するように設けられている。シール突部63は、ベース部61と同じ方向に延在している。シール突部63は、ベース部61と略同軸上に配置されている。
【0055】
シール突部63は、溝部35の溝幅よりも大きい厚さ(径方向幅)を有している。この厚さは、第1部材3の外側部分27の内径および第1部材3の内側部分29の外径に応じて適宜設定され得る。
【0056】
シール突部63は、ベース部61の外径と略同じ寸法の外径を有している。シール突部63が溝部35に圧入された場合には、ベース部61は第1部材3の外側部分27の内側に嵌合される。
【0057】
傾斜突起65は、第1部材3の内側部分29の内周側接触面(傾斜部)33に圧接可能に構成されている。本実施形態において、傾斜突起65は、径方向に所定の厚さを有する円筒状に形成されている。
【0058】
傾斜突起65は、ベース部61から第1筒状部51の軸線方向他端部側へ突出するように設けられている。傾斜突起65は、ベース部61およびシール突部63の各々と同じ方向に延在している。
【0059】
傾斜突起65は、シール突部63に対して、ガスケット1の径方向内側に所定間隔を隔てて配置されている。傾斜突起65は、シール突部63と略同軸上に配置されている。傾斜突起65は、ベース部61に対する突出長として、シール突部63よりも小さい突出長を有している。
【0060】
傾斜突起65には、外周側接触面67が設けられている。外周側接触面67は、第1部材3の内側部分29の内周側接触面33と圧接可能なものであり、傾斜突起65の外周部に配置されている。外周側接触面67は、シール突部63に囲まれるように環状に形成されている。
【0061】
傾斜突起65の外周側接触面67は、第5流路57の軸線69に対して傾斜するように形成されている。外周側接触面67は、傾斜突起65の外径がベース部61側から傾斜突起65の突出端側(第1筒状部51の軸線方向他端部側)へ向かって漸次縮小するように形成されている。
【0062】
傾斜突起65の外周側接触面67は、第1筒状部51が第1部材3に設けられたときに傾斜突起65の延在方向(軸線方向)において第1部材3の内側部分29の内周側接触面33と圧接することができるように、内周側接触面33の傾斜度合いに応じた傾斜度合いを有している。
【0063】
本実施形態においては、第5流路57の軸線69に対する外周側接触面67の傾斜角度が、第5流路57の軸線69(即ち第1流路7Aの軸線31)に対する内周側接触面33の傾斜角度と異なるように設定されている。なお、外周側接触面67の傾斜角度と内周側接触面33の傾斜角度とは略同じであってもよい。
【0064】
また、第2筒状部53は、その軸線方向他端部側が第2部材5Aのガスケット装着部に対して対向面15の法線21方向に圧入可能なように構成されている。第2筒状部53は、この圧入により対向面15の法線21方向に対して略平行(即ち、所定角度Θ≒0)に延在した状態で第2部材5Aに装着される。
【0065】
第2筒状部53は、その延在方向に延びる貫通孔を有している。この貫通孔は、前述のガスケット1の第3流路17の残部をなす第6流路71を形成している。第6流路71は、第2筒状部53の延在方向に沿って延在し、第2部材5Aの第2流路9Aと開口部37を介して接続可能とされている。
【0066】
第6流路71は、第2筒状部53が第1筒状部51と連結された部分において、第1筒状部51の第5流路57と接続されている。第6流路71は、図4に示すように、その軸線73が断面視で第5流路57の軸線69に対して所定角度Θをなすように形成されている。
【0067】
なお、第2筒状部53が断面視で第1筒状部51と交差する角度(互いの延在方向が交差する角度)は、本実施形態においては所定角度Θに設定されているが、この所定角度Θは、第1部材3の第1流路7Aの延在方向および第2部材5Aの第2流路9Aの延在方向に応じて適宜設定され得る。
【0068】
また、第2筒状部53は、ガスケット1において第1筒状部51と異なる方向に延在している点を除いて、実質的に同じ構成を有している。そのため、第2筒状部53については、第1筒状部51の構成と実質的に同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0069】
以上のような構成により、第1筒状部51のシール突部63を第1部材3における溝部35に圧入して、ガスケット1を第1部材3に装着することが可能となる。また、第2筒状部53のシール突部63を第2部材5Aにおける溝部35に圧入して、ガスケット1を第2部材5Aに装着することが可能となる。したがって、第1部材3と第2部材5Aとの間に介在するガスケット1により、第1部材3と第2部材5Aとを接合することができる。
【0070】
なお、本実施形態においては、ガスケット1が第1部材3と第2部材5Aとの間に介在するように第2部材5Aを第1部材3上に設置した状態で、ボルト等の締結具81を用いて(図1参照)、第2部材5Aを第1部材3に締結することにより、第1部材3における溝部35への第1筒状部51のシール突部63の圧入を完了させるとともに、第2部材5Aにおける溝部35への第2筒状部53のシール突部63の圧入を完了させるようになっている。
【0071】
そして、ガスケット1における第1筒状部51のシール突部63の圧入が完了したときには、第1筒状部51のシール突部63を、第1部材3の外側部分27および内側部分29の少なくとも一方に径方向に圧接させることができる。ガスケット1における第2筒状部53のシール突部63の圧入が完了したときには、第2筒状部53のシール突部63を、第2部材5Aの外側部分27および内側部分29の少なくとも一方に径方向に圧接させることができる。
【0072】
また、このときには、ガスケット1における第1筒状部51の傾斜突起65(外周側接触面67)を、第1部材3における内側部分29(内周側接触面33)に圧接させることができる。ガスケット1における第2筒状部53の内側部分29(外周側接触面67)を、第2部材5Aにおける内側部分29(内周側接触面33)に圧接させることができる。
【0073】
よって、ガスケット1を第1部材3および第2部材5Aの各々に装着した場合に、第1筒状部51のシール突部63と第1部材3の外側部分27および内側部分29の少なくとも一方との間に径方向に作用するシール力を発生させて、第1筒状部51のシール突部63と第1部材3の第1部材3の外側部分27および内側部分29の少なくとも一方との間をシールすることができる。第2筒状部53のシール突部63と第2部材5Aの外側部分27および内側部分29の少なくとも一方との間に径方向に作用するシール力を発生させて、第2筒状部53のシール突部63と第2部材5Aの外側部分27および内側部分29の少なくとも一方との間をシールすることができる。
【0074】
また、第1筒状部51の傾斜突起65と第1部材3における内側部分29との間に延在方向(軸線方向)に作用するシール力を発生させて、第1筒状部51の傾斜突起65と第1部材3における内側部分29との間をシールすることができる。第2筒状部53の傾斜突起65と第2部材5Aにおける内側部分29との間に延在方向(軸線方向)に作用するシール力を発生させて、第2筒状部53の傾斜突起65と第2部材5Aにおける内側部分29との間をシールすることができる。
【0075】
しかも、ガスケット1に、互いに異なる方向に延在することになる第1部材3の第1流路7Aおよび第2部材5Aの第2流路9Aに沿ってそれぞれ延びる第1筒状部51および第2筒状部53を備えるので、第1部材3の第1流路7Aに繋がる第1筒状部51の第5流路57の開口面積を第1流路7Aの流路面積に応じた必要最小限の開口面積にするとともに、第2部材5Aの第2流路9Aに繋がる第2筒状部53の第6流路71の開口面積を第2流路9Aの流路面積に応じた必要最小限の開口面積にすることが可能となる。したがって、ガスケット1の開口面積の増大を極力抑えることができる。したがって、ガスケット1の全体的な小型化を図ることができる。結果、第1部材3および第2部材5Aに対するガスケット1のフットプリントの縮小化を図ることができる。
【0076】
なお、本実施形態のように第1部材3と第2部材5Aとの接合のために締結具81を用いる場合には、図5図6に示すように、ガスケット1に、締結具81の推進力を受けることができる受部91を設けてもよい。
【0077】
この場合、受部91は、第2筒状部53の鍔状体から構成される。すなわち、受部91は、第2筒状部53の径方向に突出するように、第2筒状部53(ベース部61)に設けられる。そして、受部91に、推進力を受けるために第2部材5Aの対向面39と接触可能な受面93が設けられる。
【0078】
たとえば、受面93は、第1部材3の対向面15の法線21方向と直交する略平坦な面とされる。そして、図7に示すように、ガスケット1が第1部材3と第2部材5Aとの間に介在する場合に、受面93が、第1部材3の対向面15と同一平面上に位置して、第2部材5Aの対向面39と接触する構成とされる。
【0079】
したがって、第2部材5Aを第1部材3に締結具81により締結するとき、締結具81の締結方向(図7の矢印95方向)において、ガスケット1の受部91の受面93により第2部材5Aの対向面39を受けることが可能となる。よって、ガスケット1において締結具81の推進力を受ける箇所を増やして、この推進力をガスケット1の各部に効果的に伝えることができる。
【0080】
結果、前述のような各シール突部63の圧入および各傾斜突起65の圧接を良好に行うことができる。たとえば、締結具81の推進力を用いて第2筒状部53の傾斜突起65に第2部材5Aの内側部分29を圧接させる場合に、この傾斜突起65が第2部材5Aの内側部分29により前記締結方向に必要以上に強く押されて、第6流路71側にたわむことを防止することができる。結果、傾斜突起65が第6流路71側にたわむことにより、流体の流れが阻害されたり、流体溜まり部が発生したりすることをなくすことができる。
【0081】
上述の教示を考慮すれば、本発明が多くの変更形態および変形形態をとり得ることは明らかである。したがって、本発明が、添付の特許請求の範囲内において、本明細書に記載された以外の方法で実施され得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0082】
1 ガスケット
3 第1部材
5 第2部材
7A 第1流路
9A 第2流路
13 第1流路の開口部
33 内周側接触面(第1傾斜部、第2傾斜部)
35 溝部(第1溝部、第2溝部)
37 第2流路の開口部
63 シール突部(第2のシール部、第4のシール部)
65 傾斜突起(第1のシール部、第3のシール部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7