特許第6853249号(P6853249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6853249グラフェンを含む変性ラテックス及びその調製方法と使用
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  • 特許6853249-グラフェンを含む変性ラテックス及びその調製方法と使用 図000011
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853249
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】グラフェンを含む変性ラテックス及びその調製方法と使用
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/194 20170101AFI20210322BHJP
   C08L 7/02 20060101ALI20210322BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20210322BHJP
   C01B 32/184 20170101ALI20210322BHJP
【FI】
   C01B32/194
   C08L7/02
   C08K3/04
   C01B32/184
【請求項の数】11
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2018-526217(P2018-526217)
(86)(22)【出願日】2016年11月7日
(65)【公表番号】特表2018-537388(P2018-537388A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(86)【国際出願番号】CN2016104933
(87)【国際公開番号】WO2017084507
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2018年5月18日
(31)【優先権主張番号】201510819312.X
(32)【優先日】2015年11月20日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201510847955.5
(32)【優先日】2015年11月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517146633
【氏名又は名称】済南聖泉集団股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】JINAN SHENGQUAN GROUP SHARE HOLDING CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】唐 一林
(72)【発明者】
【氏名】張 金柱
(72)【発明者】
【氏名】許 日鵬
(72)【発明者】
【氏名】劉 頂
【審査官】 青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第104724699(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/182−32/198
C08K 3/04
A61K 33/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフェン構造を含む変性ラテックスであって、グラフェン構造及び非炭素非酸素非水素元素を含み、
前記非炭素非酸素非水素元素はP、Ca、Mg、Fe、Si及びAl元素を含み、
前記Fe、Si及びAl元素は全体として前記変性ラテックスの0.0018wt%〜0.4wt%を占め
前記グラフェン構造及び非炭素非酸素非水素元素を含む物質は、カーボンナノ構造を含む複合体の形態で導入され、
前記カーボンナノ構造を含む複合体はグラフェン、無定形炭素と非炭素非酸素非水素元素を含み、
前記カーボンナノ構造を含む複合体において、前記非炭素非酸素非水素元素はP、Ca、Mg、Fe、Si及びAl元素を含み、
前記非炭素非酸素非水素元素の含有量はカーボンナノ構造を含む複合体の0.5wt%〜6wt%であり、
前記カーボンナノ構造を含む複合体の質量は前記変性ラテックスの質量の0.1wt%〜10wt%を占めている、ことを特徴とするグラフェン構造を含む変性ラテックス。
【請求項2】
前記カーボンナノ構造を含む複合体における炭素元素の含有量は≧80wt%であることを特徴とする請求項に記載の変性ラテックス。
【請求項3】
前記非炭素非酸素非水素元素は単体、酸化物又は炭化物のいずれか1種又は複数種の形態でカーボンナノ構造の表面又は内部に吸着されている、ことを特徴とする請求項1に記載の変性ラテックス。
【請求項4】
前記グラフェン構造の厚みは100nm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の変性ラテックス。
【請求項5】
前記グラフェン構造は、層数が1〜10層の炭素を有する六員環ハニカム状のシート層構造の一種又は複数種の組み合わせである、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の変性ラテックス。
【請求項6】
前記非炭素非酸素非水素元素はNa、Ni、Mn、K、Cr、S及びCoの一種又は複数種を更に含ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の変性ラテックス。
【請求項7】
Fe、Si及びAl元素を除いた非炭素非酸素非水素元素の合計含有量はラテックスの0.5wt%以下を占めている、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の変性ラテックス。
【請求項8】
前記グラフェン構造はバイオマスグラフェンの形態で導入されことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の変性ラテックス。
【請求項9】
前記バイオマスグラフェンはバイオマスを原料として調製されることを特徴とする請求項8に記載の変性ラテックス。
【請求項10】
前記バイオマスは、樹木、藁及びその農林廃棄物で調製されたリグニン、セルロース及びその混合物の一種又は複数種である、ことを特徴とする請求項9に記載の変性ラテックス。
【請求項11】
ラテックス製品であって、請求項1〜10のいずれか一項に記載のラテックスを含み、
前記製品はマクラ、マットレス、クッション、バックパッド、ソファー、腹巻き、靴の中敷、ブラジャー、車両用シート、便座シート、コンドーム、手袋、風船、おしゃぶり、哺乳瓶又はハンドウォーマーを含む、ことを特徴とするラテックス製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2015年11月27日に中国国家知識産権局に出願した出願番号が201510847955.5で発明名称が「グラフェンを含むラテックス及びその調製方法と使用」の中国特許出願と、2015年11月20日に中国国家知識産権局に出願した出願番号が201510819312.Xで発明名称が「複合体とその調製方法、及び高分子材料とその調製方法」の中国特許出願に基づく優先権を主張するものであり、これらの全内容を本願に援用する。
【0002】
本発明は変性ラテックスに関し、特にグラフェンを含む変性ラテックス及びその調製プロセスと使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ラテックスは天然、合成及び人造の3種類に分けることができる。
【0004】
ラテックス製品は、超高弾性で、触感が強く、着用性が良く、整形機能が良く、生物性能が良い等の利点を有しているため、工業農業生産、医療衛生、軍需分野、文化とスポーツ、日常生活においても広く応用されている。よく見かけるラテックス製品として、主にラテックス手袋、ラテックスコンドーム、ラテックス風船、ラテックスホース、ラテックス指サック、ラテックスフィラメント等があり、複数の特別な機能と用途を備えているラテックス製品を更に含む。人々の生活水準の向上や社会文明の日々の進歩、医療衛生事業の大きな発展に伴い、ラテックス製品への需要量も増加しており、同時に、科学技術の発展に伴い、人々の生活品質の向上と健康への安全意識も強まり、ラテックス製品の品質、衛生性能と健康安全との関連性がますます重視され、特に人の皮膚と直接接触するラテックス製品、例えばラテックス医療用手袋、ラテックスコンドームは、その使用の安全性が更に注目されている。それゆえに、市場はラテックス製品の内在の品質に対して更に高く、更に新しい技術的要求を求めている。ラテックス製品の内在の品質を向上させ、市場のニーズを更に満たすために、国外の科学研究、生産と検出工程の技術者は素材、生産技術、機器の改良と検出技術等の面から、大量の科学研究開発業務を行い、ラテックス製品の品質を改善し続け、多くの新製品を開発し、ラテックス工業全体の技術の進歩と発展を推進した。
【0005】
医学レポートによると、マクラ、掛け布団、敷き布団は細菌とイエダニが繁殖する温床であり、マクラは三年以上使用すると、10%のカビ、ダニの糞便、及び満遍なく分布しているダニの死骸を含むことが示されている。医学的な資料によると、12%〜16%の人がアレルギーを持ち、これらの患者のうち、25%は家中のイエダニによるアレルギーであり、また、喘息患者の90%以上は家内のイエダニに起因するものであり、これによりイエダニの人に対する危害の程度が分かる。
【0006】
従って、多機能性を有するラテックス及びその製品をどのように開発するかも、現在本分野内で広く注目されている焦点であり解決すべき問題となっている。
【発明の概要】
【0007】
この観点に鑑み、本発明が解決しようとする技術的問題は、グラフェン構造を含む変性ラテックス及びその調製プロセスと使用を提供することであり、本発明に係る変性ラテックス及びその製品は、良好な遠赤外線性能を有するだけでなく、更に高い抗菌抑菌性能を生じることができる。
【0008】
本発明はグラフェン構造を含む変性ラテックスを提供し、グラフェン構造及び非炭素非酸素非水素元素を含み、
【0009】
前記非炭素非酸素非水素元素はFe、Si及びAl元素を含み、
【0010】
前記Fe、Si及びAl元素は全体として前記変性ラテックスの0.0018wt%〜0.4wt%を占めている。
【0011】
好ましくは、グラフェン構造及び非炭素非酸素非水素元素を含む物質は、カーボンナノ構造を含む複合体の形態で導入される。
【0012】
好ましくは、前記カーボンナノ構造を含む複合体はグラフェン、無定形炭素と非炭素非酸素元素を含み、前記カーボンナノ構造を含む複合体において、前記非炭素非酸素元素はFe、Si及びAl元素を含み、前記非炭素非酸素元素の含有量はカーボンナノ構造を含む複合体の0.5wt%〜6wt%である。
【0013】
好ましくは、前記カーボンナノ構造を含む複合体における炭素元素の含有量は≧80wt%である。
【0014】
好ましくは、前記非炭素非酸素元素はカーボンナノ構造を含む複合体の0.3wt%〜5wt%を占めており、1.5wt%〜5wt%が好ましい。
【0015】
好ましくは、前記非炭素非酸素元素は単体、酸化物又は炭化物のいずれか1種又は複数種の形態でカーボンナノ構造の表面又は内部に吸着されている。
【0016】
選択可能な第1の態様として、前記カーボンナノ構造を含む複合体の調製方法は、
【0017】
(1)触媒の作用で、バイオマス炭素源を触媒処理し、前駆体を取得するステップと、
【0018】
(2)保護ガスの条件で、前記前駆体を140℃〜180℃で1.5h〜2.5h保温し、第1の中間体を取得するステップと、
【0019】
(3)保護ガスの条件で、前記第1の中間体を350℃〜450℃に昇温して3h〜4h保温し、第2の中間体を取得するステップと、
【0020】
(4)保護ガスの条件で、前記第2の中間体を1100℃〜1300℃に昇温して2h〜4h保温し、第3の中間体を取得するステップと、
【0021】
(5)前記第3の中間体がアルカリ洗浄、酸洗、水洗を順に経て、複合体を取得するステップとを含み、
【0022】
前記ステップ(3)、(4)における昇温速度は14℃/min〜18℃/minである。
【0023】
選択可能な第2の態様として、前記カーボンナノ構造を含む複合体の調製方法は、
【0024】
(1)バイオマス炭素源と触媒を混合し、撹拌して触媒処理を行った後、乾燥して前駆体を取得するステップと、
【0025】
(2)保護雰囲気で、前駆体を280〜350℃で1.5〜2.5h保温し、その後、950〜1200℃に昇温する昇温プログラミングを実施し、3〜4h保温し、粗製品を取得し、前記昇温プログラミングの昇温速度は15〜20℃/minであるステップと、
【0026】
(3)粗製品を洗浄した後、カーボンナノ構造の複合体を取得するステップと、を含む。
【0027】
選択可能な第2の態様において、前記バイオマス炭素源と触媒の質量比は1:0.1〜10であり、1:0.5〜5が好ましく、1:1〜3が更に好ましく、
【0028】
好ましくは、前記触媒はマンガンの化合物、鉄含有化合物、コバルト含有化合物及びニッケル含有化合物から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、好ましくは、前記鉄含有化合物は鉄のハロゲン化合物、鉄のシアン化物及び鉄含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、好ましくは、前記コバルト含有化合物はコバルトのハロゲン化合物とコバルト含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、好ましくは、前記ニッケル含有化合物はニッケルの塩化物塩とニッケル含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、好ましくは、前記触媒は塩化第二鉄、塩化第一鉄、硝酸第二鉄、硝酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化カリウム、トリオキサラト鉄(III)酸カリウム、塩化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル及び酢酸ニッケルから選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせである。
【0029】
前記撹拌して触媒処理を行う温度は150〜200℃であり、時間≧4hで、4〜14hが好ましく、好ましくは、前記前駆体における水分含有量は10wt%以下であり、好ましくは、前記前駆体を280〜350℃に昇温する昇温速度は3〜5℃/minであり、好ましくは、前記保護雰囲気は窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、窒素ガスが好ましく、好ましくは、前記粗製品の洗浄は順に行われる酸洗と水洗であり、前記酸洗は、濃度が3〜6wt%の塩酸を使用することが好ましく、濃度が5wt%の塩酸が更に好ましく、前記水洗は、脱イオン水及び/又は蒸留水を使用することが好ましく、好ましくは、前記洗浄の温度は55〜65℃であり、60℃が好ましい。
【0030】
前記バイオマス炭素源はセルロース及び/又はリグニンであり、セルロースが好ましく、多孔質セルロースが更に好ましく、
【0031】
好ましくは、前記多孔質セルロースは以下の方法により取得される。
【0032】
バイオマス資源を酸加水分解してリグノセルロースを取得した後、多孔質化後処理を経て多孔質セルロースを取得し、オプションとして、多孔質セルロースを漂白した後に使用し、
【0033】
好ましくは、前記バイオマス資源は植物及び/又は農林廃棄物から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、農林廃棄物のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせが好ましく、好ましくは、前記農林廃棄物はトウモロコシの茎、トウモロコシの穂軸、モロコシの茎、甜菜スラリー、サトウキビの滓、フルフラールの滓、キシロースの滓、木屑、綿の茎及びアシから選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、トウモロコシの穂軸が好ましい。
【0034】
選択可能な第3の態様として、前記カーボンナノ構造を含む複合体の調製方法は、
【0035】
(1’)トウモロコシの穂軸を酸加水分解してリグノセルロースを取得した後、多孔質化後処理を経て多孔質セルロースを取得し、多孔質セルロースを漂白した後にスタンバイするステップと、
【0036】
(1)質量比1:0.5〜1.5でステップ(1’)の多孔質セルロースと触媒を混合し、150〜200℃で撹拌して触媒処理を4h以上行った後、前駆体の水分含有量が10wt%よりも低くなるまでに乾燥し、前駆体を取得するステップと、
【0037】
(2)保護雰囲気で、3〜5℃/minの速度で前駆体を280〜350℃に昇温し、2h保温した後、950〜1050℃に昇温する昇温プログラミングを実施し、3〜4h保温し、粗製品を取得し、前記昇温プログラミングの昇温速度は15〜20℃/minであるステップと、
【0038】
(3)55〜65℃で、粗製品を濃度が5wt%の塩酸で酸洗した後、水洗してカーボンナノ構造の複合体を取得するステップと、を含む。
【0039】
上記方法で調製されたカーボンナノ構造を含む複合体もバイオマスグラフェンを含む場合の一つに属している。
【0040】
前記カーボンナノ構造を含む複合体について、典型的であるが限定的ではないものは、表aにおける性能を有する物質(1)、物質(2)、物質(3)又は物質(4)のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであってもよい。
【0041】
【表1】
【0042】
表aにおいて、IG/IDはラマンスペクトルにおけるGピークとDピークとのピーク高さの比である。
【0043】
本発明に記載のカーボンナノ構造を含む複合体におけるGピークとDピークとのピーク高さの比は≧2.0であることが好ましく、≧3.0が更に好ましく、≧5.0が特に好ましい。選択可能なものとして、本発明に記載のカーボンナノ構造を含む複合体におけるGピークとDピークとのピーク高さの比は≦30であり、例えば27、25、20、18、15、12、10、8、7等である。
【0044】
当業者であれば、表aに挙げられたカーボンナノ構造を含む複合体の性能指標について、全てカーボンナノ構造を含む複合体の粉体の指標を指しており、前記カーボンナノ構造を含む複合体がスラリーであれば、上記指標はスラリー前粉体を調製する指標であることが分かっている。
【0045】
前記カーボンナノ構造を含む複合体が粉体である場合、表aにおける性能指標を有することができる以外、前記カーボンナノ構造を含む複合体の粉体は、
【0046】
黒色の粉末であり、細かさが均一で、明らかな大粒子がなく、含水量≦3.0%で、粒度D90≦10.0μmで、pHが5.0〜8.0で、見掛け密度が0.2〜0.4g/cm3である、という性能を更に有している。
【0047】
前記カーボンナノ構造を含む複合体がスラリーである場合、カーボンナノ構造を含む複合体を溶剤に分散させる製品であり、表aにおける性能指標を有することができる以外、前記カーボンナノ構造を含む複合体スラリーは、
【0048】
固形分が1.0〜10.0%で、粒度D50≦0.7umで、pHが8.0〜10.0で、ゼータ電位≦−10mVで、粘度が5.0〜8.0mpa・sである、という性能を更に有している。
【0049】
好ましくは、前記カーボンナノ構造を含む複合体の質量は前記変性ラテックスの質量の0.1wt%〜10wt%を占めている。
【0050】
好ましくは、前記グラフェン構造の厚みは100nm以下である。
【0051】
好ましくは、前記グラフェン構造は、層数が1〜10層の炭素を有する六員環ハニカム状のシート層構造の一種又は複数種の組み合わせである。
【0052】
好ましくは、前記非炭素非酸素非水素元素はP、Ca、Na、Ni、Mn、K、Mg、Cr、S及びCoの一種又は複数種を更に含み、好ましくは、これらの元素の合計含有量はラテックスの0.5wt%以下を占めている。
【0053】
好ましくは、Fe、Si及びAl元素を除いた非炭素非酸素非水素元素の合計含有量はラテックスの0.5wt%以下を占めている。
【0054】
好ましくは、前記Fe、Si及びAl元素は全体として前記ラテックスの0.01wt%〜0.4wt%を占めている。
【0055】
好ましくは、前記グラフェン構造と非炭素非酸素非水素元素を含む物質は、カーボンナノ構造を含む複合体の形態で導入される。
【0056】
好ましくは、前記グラフェン構造はバイオマスグラフェンの形態で導入される。
【0057】
好ましくは、前記バイオマスグラフェンはバイオマスを原料として調製される。
【0058】
前記バイオマスは、樹木、藁及びその農林廃棄物で調製されたリグニン、セルロース及びその混合物の一種又は複数種である。
【0059】
ラテックス製品であって、本発明の変性ラテックスで調製され、前記製品はマクラ、マットレス、クッション、バックパッド、ソファー、腹巻き、靴の中敷、ブラジャー、車両用シート、便座シート、コンドーム、手袋、風船、おしゃぶり、哺乳瓶又はハンドウォーマーを含む。
【0060】
従来の技術と比べ、本発明に係るグラフェン構造を含む変性ラテックスは、従来のラテックスにグラフェン構造と非炭素非酸素非水素元素を含む物質(例えば、カーボンナノ構造を含む複合体)を導入し、グラフェン構造、Fe、Si及びAl元素の組み合わせにより、本発明に係る変性ラテックスが遠赤外線性能と抗菌抑菌という複数種の性能を有し、且つ、特定の添加比率を制御することにより、高い遠赤外線効果と抑菌効果を有することができる。実験の結果から、本発明に係る変性ラテックスの遠赤外線性能は最大で0.93に達することができ、抑菌性能は最大で99%に達することができることが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1図1は実施例1と比較例4〜6の異なる種類のグラフェンマクラの温度−時間曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明を更に理解するために、以下に実施例と結び付けて本発明の好ましい実施態様を説明するが、これらの説明は本発明の特徴と利点を更に説明するためのものに過ぎず、発明の特許請求の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。
【0063】
本発明の原料の全てにおいて、その調達元に対する特別な制限はなく、市場で購買されたもの又は当業者に熟知されている従来方法により調製すればよい。
【0064】
本発明の原料の全てにおいて、その純度に対する特別な制限はないが、本発明は分析用試薬(AR、Analytical reagent)を採用することが好ましい。
【0065】
本発明はグラフェン構造を含む変性ラテックスを提供し、グラフェン構造及び非炭素非酸素非水素元素を含み、前記非炭素非酸素非水素元素はFe、Si及びAl元素を含み、前記Fe、Si及びAl元素は全体として前記変性ラテックスの0.0018wt%〜0.4wt%を占めている。本発明に記載のFe、Si及びAl元素は全体として前記変性ラテックスの0.01wt%〜0.4wt%を占めていることが好ましく、0.02wt%〜0.4wt%がより好ましく、0.1wt%〜0.3wt%が最も好ましく、0.05wt%、0.1wt%、0.12wt%、0.13wt%、0.2wt%、0.23wt%、0.28wt%、0.38wt%等であってもよい。本発明に記載のFe、Si及びAl元素が全体として前記変性ラテックスを占めている質量分率は、前記Fe、Si及びAl元素が前記変性ラテックスにおける含有量、即ち元素が混合物における含有量を指している。
【0066】
本発明において前記グラフェン構造に対する特別な制限はなく、当業者に熟知されている定義であれば良く、本発明に記載のグラフェン構造は、単層のグラフェン構造又は多層のグラフェン構造を含む種々の構造の組み合わせを指しており、単層のグラフェンと異なる層数のグラフェンとの組み合わせがより好ましく、本発明に記載のグラフェン構造は、層数が1〜10層の炭素を有する六員環ハニカム状のシート層構造のいずれか一種又は複数種の組み合わせがより好ましく、単層、2層又は3〜10層の構造のいずれか一種又は複数種の組み合わせが更に好ましい。一般的に、層数が10層よりも多くて厚みが100nm以内の炭素の六員環ハニカム状のシート層構造は、グラフェンナノシート層と呼ばれており、バイオマスを炭素源として調製された層数が10層よりも多くて厚みが100nm以内の炭素の六員環ハニカム状のシート層構造は、バイオマスグラフェンナノシート層と呼ばれており、層数が1〜10層の炭素の六員環ハニカム状のシート層構造は、グラフェンと呼ばれており、バイオマスを炭素源として調製された層数が1〜10層の炭素の六員環ハニカム状のシート層構造は、バイオマスグラフェンと呼ばれている。
【0067】
本発明に記載のグラフェン構造は、微視的な見掛けで、前記炭素の六員環ハニカム状のシート層構造が微視的に反り、捲縮、折り畳み立体構造のいずれか一種又は複数種の組み合わせをなしていることが好ましい。複合体におけるシート層構造の微視的な形態について、典型的なものは電子顕微鏡、例えば透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡の観察により取得可能である。本発明に記載のグラフェン構造の厚みは100nm以下であることが好ましく、50nm以下がより好ましく、20nm以下が最も好ましい。
【0068】
本発明に記載の変性ラテックスにおいて、前記非炭素非酸素非水素元素はP、Ca、Na、Ni、Mn、K、Mg、Cr、S及びCoの一種又は複数種を更に含むことが好ましく、P、Ca、Na、Ni、Mn、K、Mg、Cr、S及びCoの複数種がより好ましく、前記非炭素非酸素非水素元素は単体と化合物のいずれか一種又は複数種の組み合わせの形態で存在している。上記好ましい態様において、前記上記元素が前記変性ラテックスにおける含有量は0.5wt%未満であることが好ましく、0.4wt%未満であることがより好ましく、0.3wt%未満であることが更に好ましく、0.2wt%未満であることが最も好ましい。
【0069】
例示的には、本発明に記載の変性ラテックスにおいて、前記非炭素非酸素非水素元素は、PとCaとNaとの組み合わせ、NiとMnとKとCoとの組み合わせ、MgとCrとSとMnとの組み合わせ、PとCaとNaとNiとMnとKとCrとの組み合わせ、PとCaとNaとNiとMnとKとMgとCrとSとCoとの組み合わせ等を含む。前記非炭素非酸素非水素元素が前記変性ラテックスにおける含有量は、例示的には0.21wt%、0.24wt%、0.27wt%、0.29wt%、0.33wt%、0.36wt%、0.38wt%、0.45wt%、0.48wt%等であってもよい。
【0070】
本発明において、前記グラフェン構造と非炭素非酸素非水素元素を含む物質がラテックスをどのように導入するかについては特に限定はなく、当業者に熟知されている導入方法であればよく、本発明はラテックスの性能を向上させるために、前記グラフェン構造と非炭素非酸素非水素元素を含む物質はカーボンナノ構造を含む複合体の形態で導入されることが好ましい。本発明に記載の非炭素非酸素非水素元素を含む物質は、上記元素のナノスケール材料が好ましく、ナノスケール単体、ナノスケール酸化物及びナノスケール無機化合物の一種又は複数種がより好ましい。
【0071】
本発明に記載のカーボンナノ構造を含む複合体の質量が前記変性ラテックス質量を占めている比率は0.1wt%〜10wt%であることが好ましく、1wt%〜8wt%がより好ましく、3wt%〜5wt%が最も好ましく、前記カーボンナノ構造を含む複合体において、炭素元素の含有量は80wt%以上であることが好ましく、85wt%〜97wt%がより好ましく、90wt%〜95wt%が最も好ましく、前記カーボンナノ構造を含む複合体において、前記非炭素非酸素非水素元素の含有量は0.3wt%〜5wt%であることが好ましく、0.3wt%〜4wt%がより好ましく、1wt%〜3wt%が最も好ましく、前記カーボンナノ構造を含む複合体はラマンスペクトルで、炭素元素のGピークとDピークとのピーク高さの比は1〜20であることが好ましく、3〜20がより好ましい。
【0072】
本発明に記載のカーボンナノ構造を含む複合体において、グラフェン構造は、厚みが100nm以下の炭素を有する六員環ハニカム状のシート層構造であることが好ましく、厚みが20ナノ以下の炭素を有する六員環ハニカム状のシート層構造がより好ましく、層数が1〜10層の炭素を有する六員環ハニカム状のシート層構造のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせが更に好ましく、単層、2層又は3〜10層構造のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせが好ましく、好ましくは、前記複合体における炭素の六員環ハニカム状のシート層構造は微視的に反り、捲縮、折り畳み立体構造のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせをなしている。
【0073】
本発明に記載のカーボンナノ構造を含む複合体において、グラフェン構造と無定形炭素を含むことが好ましく、前記非炭素非酸素非水素元素は、単体、酸化物及び炭化物のいずれか一種又は複数種の組み合わせの形態でカーボンナノ構造の表面又は内部に吸着されることが好ましい。無定形炭素には二次元グラファイト層面又は三次元グラファイト結晶子が更に含まれ、結晶子の縁には大量の不規則的な結合が存在しており、大量のsp2炭素を含む以外に、多くのsp3炭素も更に含む。実際には、それら(無定形炭素)の内部構造は真のアモルファスではなく、グラファイトと同じ構造を有する結晶であり、炭素原子の六角形の環状平面のみで形成された層状構造はバラバラで且つ不規則的で結晶に欠陥が形成されており、大部分の無定形炭素は、グラファイトの層形構造の分子フラグメントがほぼ互いに平行するように不規則的に積み重ねられ、乱層構造と略称することができる。層間又はフラグメントの間はダイヤモンド構造の四面体結合の形態の炭素原子で結合されている。
【0074】
好ましくは、変性ラテックスを調製する過程において、グラフェン構造を導入する過程においてグラフェン構造を導入した物質に活性化又は変性を行わない。
【0075】
本発明において前記カーボンナノ構造を含む複合体の調製方法については特に限定されていない。
【0076】
好ましくは、前記カーボンナノ構造を含む複合体はグラフェン、無定形炭素と非炭素非酸素元素を含み、前記カーボンナノ構造を含む複合体において、前記非炭素非酸素元素はFe、Si及びAl元素を含み、前記非炭素非酸素元素の含有量はカーボンナノ構造を含む複合体の0.5wt%〜6wt%である。
【0077】
前記カーボンナノ構造を含む複合体において、炭素元素の含有量は、≧80wt%であることが好ましく、例えば82wt%、86wt%、89wt%、91wt%、94wt%、97wt%、99wt%等であり、85〜97wt%が好ましく、90〜95wt%が更に好ましい。
【0078】
好ましくは、前記非炭素非酸素元素はカーボンナノ構造を含む複合体の0.3wt%〜5wt%を占めており、0.5〜5wt%が好ましく、1.5wt%〜5wt%が更に好ましい。本発明のいくつかの具体的な実施例において、前記非炭素非酸素元素はカーボンナノ構造を含む複合体の0.7wt%、1.1wt%、1.3wt%、1.6wt%、2wt%、2.8wt%、3.5wt%、4.2wt%、5.3wt%又は5.8wt%を占めている。
【0079】
好ましくは、前記非炭素非酸素元素は単体、酸化物又は炭化物のいずれか1種又は複数種の形態でカーボンナノ構造の表面又は内部に吸着されている。
【0080】
選択可能な第1の態様として、前記カーボンナノ構造を含む複合体の調製方法(方法1と記している)は、
【0081】
(1)触媒の作用で、バイオマス炭素源を触媒処理し、前駆体を取得するステップと、
【0082】
(2)保護ガスの条件で、前記前駆体を140℃〜180℃で1.5h〜2.5h保温し、第1の中間体を取得するステップと、
【0083】
(3)保護ガスの条件で、前記第1の中間体を350℃〜450℃に昇温して3h〜4h保温し、第2の中間体を取得するステップと、
【0084】
(4)保護ガスの条件で、前記第2の中間体を1100℃〜1300℃に昇温して2h〜4h保温し、第3の中間体を取得するステップと、
【0085】
(5)前記第3の中間体がアルカリ洗浄、酸洗、水洗を順に経て、複合体を取得するステップと、
を含む。
【0086】
前記ステップ(3)と(4)における昇温速度は14℃/min〜18℃/minである。
【0087】
前記炭素源はバイオマス炭素源であることが好ましく、バイオマス資源は植物及び/又は農林廃棄物から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、針葉樹、広葉樹、林業用樹、農林廃棄物のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせが好ましく、前記農林廃棄物はトウモロコシの茎、トウモロコシの穂軸、モロコシの茎、甜菜スラリー、サトウキビの滓、フルフラールの滓、キシロースの滓、木屑、綿の茎、シェル、及びアシから選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであることが好ましく、トウモロコシの穂軸が好ましい。バイオマス炭素源はリグノセルロース、セルロース及び/又はリグニンから選ばれ、セルロース及び/又はリグニンがより好ましく、セルロースがより好ましく、多孔質セルロースが更に好ましい。
【0088】
前記バイオマス炭素源と触媒の質量比は1:0.1〜10であり、例えば1:0.2、1:0.5、1:0.8、1:1.1、1:1.5、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9等であり、1:0.5〜5が好ましく、1:1〜3が更に好ましい。
【0089】
好ましくは、前記触媒はマンガンの化合物、鉄含有化合物、コバルト含有化合物及びニッケル含有化合物から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、前記鉄含有化合物は鉄のハロゲン化合物、鉄のシアン化物及び鉄含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、前記コバルト含有化合物はコバルトのハロゲン化合物とコバルト含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、前記ニッケル含有化合物はニッケルの塩化物塩とニッケル含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、更に好ましくは、前記触媒は塩化第二鉄、塩化第一鉄、硝酸第二鉄、硝酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化カリウム、トリオキサラト鉄酸カリウム、塩化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル及び酢酸ニッケルから選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせである。例示的には、前記触媒は塩化第二鉄と硝酸第二鉄との組み合わせ、硝酸第一鉄と硫酸第二鉄と塩化コバルトとの組み合わせ、酢酸コバルトと塩化ニッケルと硫酸ニッケルとの組み合わせ、フェリシアン化カリウムとフェロシアン化カリウムとトリオキサラト鉄酸カリウムと硝酸第一鉄との組み合わせ、塩化コバルトと硝酸コバルトと硫酸コバルトと酢酸コバルトとの組み合わせ等から選ばれる。
【0090】
好ましくは、ステップ(1)における撹拌して触媒処理を行う温度は150〜200℃であり、時間≧4hであり、4〜14hが好ましく、前記前駆体における水分含有量は10wt%以下であることが好ましく、ステップ(2)における前駆体を280〜350℃に昇温する昇温速度は3〜5℃/minであることが好ましく、前記保護雰囲気は窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、窒素ガスが好ましく、ステップ(3)における粗製品の洗浄は順に行われる酸洗と水洗であり、前記酸洗は、濃度が3〜6wt%の塩酸を使用することが好ましく、濃度が5wt%の塩酸が更に好ましく、前記水洗は、脱イオン水及び/又は蒸留水を使用することが好ましく、前記洗浄の温度は55〜65℃であり、60℃が好ましい。
【0091】
本発明に記載の調製ステップは、具体的に以下のとおりであることが更に好ましい。
【0092】
まず、バイオマス炭素源と触媒を混合し、撹拌して触媒処理を行った後、乾燥して前駆体を取得し、
【0093】
次に、保護雰囲気で、前駆体を140〜180℃で1.5〜2.5h保温し、第1の中間体を取得する。本発明のいくつかの具体的な実施例において、前記温度は142℃、148℃、155℃、160℃、172℃又は178℃であり、前記保温時間は1.6h、1.8h、2h、2.2h又は2.4hである。
【0094】
その後、350〜450℃に昇温する昇温プログラミングを実施し、3〜4h保温し、第2の中間体を取得する。本発明のいくつかの具体的な実施例において、前記温度は360℃、370℃、380℃、390℃、410℃、420℃、430℃又は440℃であり、前記保温時間は3.1h、3.3h、3.5h、3.8h又は3.9hである。
【0095】
続いて、1100〜1300℃に再び昇温し、2〜4h保温し、第3の中間体(即ち、生成物の粗製品)を取得する。本発明のいくつかの具体的な実施例において、前記温度は1130℃、1170℃、1210℃又は1280℃であり、前記時間は2.2h、2.4h、2.6h、2.8h、3.0h、3.2h、3.4h、3.6h又は3.8hである。
【0096】
前記昇温プログラミングの昇温速度は14℃/min〜18℃/minであり、本発明のいくつかの具体的な実施例において、前記昇温速度は15℃/min、16℃/min又は17℃/minである。
【0097】
最後に、第3の中間体(即ち、生成物の粗製品)をアルカリ洗浄、酸洗、水洗した後、複合体を取得する。
【0098】
本発明において、前記バイオマス炭素源はリグノセルロース、セルロース及びリグニンの一種又は複数種であることが好ましく、リグノセルロース、セルロース又はリグニンがより好ましい。
【0099】
本発明において、前記バイオマス炭素源と触媒の質量比は1:(0.5〜5)であり、1:(1〜3)が好ましく、本発明のいくつかの具体的な実施例において、前記比率は1:0.5、1:1又は1:3である。
【0100】
本発明において、前記触媒はマンガンのハロゲン化合物、鉄含有化合物、コバルト含有化合物及びニッケル含有化合物から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせである。
【0101】
好ましくは、前記鉄含有化合物は鉄のハロゲン化合物、鉄のシアン化物及び鉄含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせである。前記鉄含有酸塩は鉄元素を含む有機酸の塩又は鉄元素を含む無機酸の塩である。前記鉄のハロゲン化合物は塩化第二鉄及び/又は臭化鉄であってもよい。
【0102】
好ましくは、前記コバルト含有化合物はコバルトのハロゲン化合物とコバルト含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせである。前記コバルト含有酸塩はコバルト元素を含む有機酸の塩又はコバルト元素を含む無機酸の塩である。前記コバルトのハロゲン化合物は塩化コバルト及び/又は臭化コバルトであってもよい。
【0103】
好ましくは、前記ニッケル含有化合物はニッケルの塩化物塩とニッケル含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせである。前記ニッケル含有酸塩はニッケル元素を含む有機酸の塩又はニッケル元素を含む無機酸の塩である。前記ニッケルのハロゲン化合物は塩化ニッケル及び/又は臭化ニッケルであってもよい。
【0104】
好ましくは、前記触媒は塩化第二鉄、塩化第一鉄、硝酸第二鉄、硝酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化カリウム、トリオキサラト鉄酸カリウム、塩化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル及び酢酸ニッケルから選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせである。
【0105】
本発明に記載の触媒の組み合わせについて、典型的であるが限定的ではない実例は、塩化第一鉄と硫酸第二鉄との組み合わせ、フェリシアン化カリウムとトリオキサラト鉄酸カリウムとの組み合わせ、塩化コバルトと硝酸コバルトと塩化第二鉄との組み合わせ、硫酸コバルトと酢酸コバルトと硝酸ニッケルとの組み合わせ、塩化第二鉄と塩化コバルトと酢酸ニッケルとの組み合わせを有している。
【0106】
前記撹拌して触媒処理を行う温度は150℃〜200℃であり、例えば160℃、170℃、180℃、190℃等で、時間≧4hで、4h〜14hが好ましく、本発明のいくつかの具体的な実施例において、前記時間は4.2h、7h、9h、12h、16h、19h、23hである。
【0107】
好ましくは、前記前駆体における水分含有量は10wt%以下であり、本発明のいくつかの具体的な実施例において、前記水分含有量は1wt%、2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、10wt%等である。
【0108】
好ましくは、前記保護雰囲気は窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、窒素ガスが好ましい。
【0109】
好ましくは、前記酸洗は濃度が3wt%〜6wt%の塩酸水溶液を使用し、濃度が5wt%の塩酸水溶液が更に好ましく、前記水洗は脱イオン水及び/又は蒸留水を使用することが好ましく、前記アルカリ洗浄は濃度が5wt%〜15wt%の水酸化ナトリウム水溶液を使用し、濃度が10wt%の水酸化ナトリウム水溶液が更に好ましい。
【0110】
好ましくは、前記洗浄の温度は55〜65℃であり、例えば56℃、57℃、58℃、60℃、63℃等で、60℃が好ましい。
【0111】
前記バイオマス炭素源はセルロース及び/又はリグニンであり、セルロースが好ましく、多孔質セルロースが更に好ましい。
【0112】
本発明に記載の多孔質セルロースは従来の技術により取得可能で、典型的であるが限定的ではない多孔質セルロースを取得する従来の技術である。例えば、特許公開番号CN104016341Aに開示されている方法で多孔質セルロースを調製し、CN103898782Aに開示されている方法を採用してセルロースを調製する方法である。
【0113】
好ましくは、前記多孔質セルロースは以下の方法により取得される。
【0114】
バイオマス資源を酸加水分解してリグノセルロースを取得した後、多孔質化後処理を経て多孔質セルロースを取得し、オプションとして、多孔質セルロースを漂白した後に使用する。
【0115】
前記バイオマス資源は植物及び/又は農林廃棄物から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、農林廃棄物のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせが好ましい。
【0116】
好ましくは、前記農林廃棄物はトウモロコシの茎、トウモロコシの穂軸、モロコシの茎、甜菜スラリー、サトウキビの滓、フルフラールの滓、キシロースの滓、木屑、綿の茎及びアシから選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、トウモロコシの穂軸が好ましい。
【0117】
本発明に記載のバイオマス資源の典型的であるが限定的ではない組み合わせの実例は、トウモロコシの茎とトウモロコシの穂軸との組み合わせ、サトウキビの滓とモロコシの茎と木屑との組み合わせ、甜菜スラリーとサトウキビの滓とトウモロコシの穂軸との組み合わせ、モロコシの茎と甜菜スラリーとキシロースの滓との組み合わせ等を含む。
【0118】
選択可能な第2の態様として、前記カーボンナノ構造を含む複合体の調製方法は、
【0119】
(1)バイオマス炭素源と触媒を混合し、撹拌して触媒処理を行った後、乾燥して前駆体を取得するステップと、
【0120】
(2)保護雰囲気で、前駆体を280〜350℃で1.5〜2.5h保温し、その後、950〜1200℃に昇温する昇温プログラミングを実施し、3〜4h保温し、粗製品を取得し、前記昇温プログラミングの昇温速度は15〜20℃/minであるステップと、
【0121】
(3)粗製品を洗浄した後、カーボンナノ構造の複合体を取得するステップと、を含む(方法2と記している)。
【0122】
選択可能な第2の態様において、前記バイオマス炭素源と触媒の質量比は1:0.1〜10であり、1:0.5〜5が好ましく、1:1〜3が更に好ましく、
【0123】
好ましくは、前記触媒はマンガンの化合物、鉄含有化合物、コバルト含有化合物及びニッケル含有化合物から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、好ましくは、前記鉄含有化合物は鉄のハロゲン化合物、鉄のシアン化物及び鉄含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、好ましくは、前記コバルト含有化合物はコバルトのハロゲン化合物とコバルト含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、好ましくは、前記ニッケル含有化合物はニッケルの塩化物塩とニッケル含有酸塩から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、好ましくは、前記触媒は塩化第二鉄、塩化第一鉄、硝酸第二鉄、硝酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化カリウム、トリオキサラト鉄酸カリウム、塩化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル及び酢酸ニッケルから選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせである。
【0124】
前記撹拌して触媒処理を行う温度は150〜200℃であり、時間≧4hで、4〜14hが好ましく、好ましくは、前記前駆体における水分含有量は10wt%以下であり、好ましくは、前記前駆体を280〜350℃に昇温する昇温速度は3〜5℃/minであり、好ましくは、前記保護雰囲気は窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、窒素ガスが好ましく、好ましくは、前記粗製品の洗浄は順に行われる酸洗と水洗であり、前記酸洗は、濃度が3〜6wt%の塩酸を使用することが好ましく、濃度が5wt%の塩酸が更に好ましく、前記水洗は、脱イオン水及び/又は蒸留水を使用することが好ましく、好ましくは、前記洗浄の温度は55〜65℃であり、60℃が好ましい。
【0125】
前記バイオマス炭素源はセルロース及び/又はリグニンであり、セルロースが好ましく、多孔質セルロースが更に好ましく、
【0126】
好ましくは、前記多孔質セルロースは以下の方法により取得される。
【0127】
バイオマス資源を酸加水分解してリグノセルロースを取得した後、多孔質化後処理を経て多孔質セルロースを取得し、オプションとして、多孔質セルロースを漂白した後に使用し、
【0128】
好ましくは、前記バイオマス資源は植物及び/又は農林廃棄物から選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、農林廃棄物のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせが好ましく、好ましくは、前記農林廃棄物はトウモロコシの茎、トウモロコシの穂軸、モロコシの茎、甜菜スラリー、サトウキビの滓、フルフラールの滓、キシロースの滓、木屑、綿の茎及びアシから選ばれるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであり、トウモロコシの穂軸が好ましい。
【0129】
選択可能な第3の態様として、前記カーボンナノ構造を含む複合体の調製方法は、
【0130】
(1’)トウモロコシの穂軸を酸加水分解してリグノセルロースを取得した後、多孔質化後処理を経て多孔質セルロースを取得し、多孔質セルロースを漂白した後にスタンバイするステップと、
【0131】
(1)質量比1:0.5〜1.5でステップ(1’)の多孔質セルロースと触媒を混合し、150〜200℃で撹拌して触媒処理を4h以上行った後、前駆体の水分含有量が10wt%よりも低くなるまでに乾燥し、前駆体を取得するステップと、
【0132】
(2)保護雰囲気で、3〜5℃/minの速度で前駆体を280〜350℃に昇温し、2h保温した後、950〜1050℃に昇温する昇温プログラミングを実施し、3〜4h保温し、粗製品を取得し、前記昇温プログラミングの昇温速度は15〜20℃/minであるステップと、
【0133】
(3)55〜65℃で、粗製品を濃度が5wt%の塩酸で酸洗した後、水洗してカーボンナノ構造の複合体を取得するステップと、を含む(方法3と記している)。
【0134】
上記方法(方法1、2、3)で調製されたカーボンナノ構造を含む複合体もバイオマスグラフェンを含む場合の一つに属している。
【0135】
以上の調製方法で調製されたカーボンナノ構造を含む複合体もバイオマスグラフェンを含む場合の一つに属している。
【0136】
本発明に記載のカーボンナノ構造を含む複合体は更に以下の複数種の方法により調製されることができる。
【0137】
方法4:バイオマス資源を利用して従来のプロセスにより調製して活性炭を取得する。異なる植物体内の微量元素の種類と含有量は大きく異なるため、後期の酸洗、水洗等のステップによって非炭素非酸素非水素元素の含有量を制御し、これに基づいてグラフェンを導入し、非炭素非酸素非水素元素が複合体の0.3wt%〜5wt%を占めているようにする。
【0138】
方法5:市場でリグニンを購入し、不活性ガスで高温炭化或いはそれに対して不十分なグラファイト化反応を行い、また、グラフェンを添加し、後期でナノP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Ni、Mn、K、Mg、Cr、S又はCoのいずれか3種(少なくともFe、Si、Alを含む)及びそれ以上の元素の組み合わせを導入するとともに、その含有量を0.3wt%〜5wt%に制御する。
【0139】
方法6:複数の有機廃材、例えばフェノール樹脂フォームシートを炭化した後、グラフェンを導入し、後期でナノP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Ni、Mn、K、Mg、Cr、S又はCoのいずれか3種(少なくともFe、Si、Alを含む)及びそれ以上の元素の組み合わせを導入し、その含有量を0.3wt%〜5wt%に制御する。
【0140】
方法7:ナノグラファイトに活性炭とグラフェンを添加し、後期でナノP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Ni、Mn、K、Mg、Cr、S又はCoのいずれか3種(少なくともFe、Si、Alを含む)及びそれ以上の元素の組み合わせを導入し、その含有量を0.3wt%〜5wt%に制御する。
【0141】
本発明が導入しようとするカーボンナノ構造を含む複合体は上記調製方法に限定されない。上記方法により調製されたカーボンナノ構造を含む複合体にラテックスを導入した後、得られた変性ラテックスの遠赤外線性能及び抗菌性能は、方法1〜3で得られたものが方法4〜7よりも優れているが、いずれも変性ラテックスを調製する際に前記カーボンナノ構造を含む複合体に活性化又は変性処理を行う必要がなく、即ち、ラテックスにおいてカーボンナノ構造を含む複合体を均一に分散させ、特に方法1〜3については、一定の効果を果たす。
【0142】
本発明はカーボンナノ構造を含む複合体の形態でグラフェン構造とFe、Si及びAl元素を含む物質を導入し、且つ、導入過程において、導入物質に前処理、例えば活性化、変性等を行う必要がなく、ラテックスと効果的な結合を行うことができ、付加的に向上された遠赤外線効果と抑菌効果をもたらす。
【0143】
非炭素非酸素非水素元素の含有量の第1の測定方法:
【0144】
カーボンナノ構造を含む複合体は硝酸(ρ=1.42g/mL)、過塩素酸(ρ=1.67g/mL)、フッ化水素酸(ρ=1.16g/mL)により分解され、硝酸媒体で保温、定容した後、誘導結合プラズマ発光分光分析装置で、検量線方法を用いてカーボンナノ構造を含む複合体におけるP、Si、Ca、Al、Na等の元素の含有量を定量分析する。
【0145】
非炭素非酸素非水素元素の含有量の第2の測定方法:
【0146】
国家規格GB/T17359−1998、「EPMAとSEMのX線EDS定量分析の一般的な仕様」を採用する。
【0147】
本発明は前記非炭素非酸素非水素元素の測定方法に対する限定がなく、本分野にて周知されている或いは新しい測定方法も全て本発明に用いることができる。本発明は2種の非炭素非酸素非水素元素の含有量の測定方法を提供しているが、「第1種の非炭素非酸素非水素元素の含有量の測定方法」で測定することが好ましく、本発明の実施例では「第1種の非炭素非酸素非水素元素の含有量の測定方法」を選択して測定を行う。
【0148】
前記カーボンナノ構造を含む複合体に対する赤外線検出データは、GBT7286.1−1987『金属と非金属材料のトータルノーマルエミッタンスの試験方法(Test method for total normal emittance of metals and non−metallic materials)』に基づき、
【0149】
前記カーボンナノ構造を含む複合体に対する抑菌検出データは、GB/T20944.3−2008の検査方法に従って黄色ブドウ球菌を例とするものに基づく。
【0150】
本発明はグラフェン構造を含むラテックスの調製方法を提供し、天然ラテックス、加硫剤、老化防止剤、酸化防止剤、加硫促進剤等の原料を混合した後に均一に撹拌し、グラフェン構造及び非炭素非酸素非水素元素を含む物質を導入し、同時に混合してもよいステップを含む。
【0151】
本発明に記載のグラフェン構造は一種の混合物の形態により導入されることが好ましく、非グラフェン構造成分、例えば無定形炭素成分を含むことが好ましい。
【0152】
前記カーボンナノ構造を含む複合体について、典型的であるが限定的ではないものは、表aにおける性能を有する物質(1)、物質(2)、物質(3)又は物質(4)のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであってもよい。
【0153】
【表2】
【0154】
表aにおいて、IG/IDはラマンスペクトルにおけるGピークとDピークとのピーク高さの比である。
【0155】
当業者であれば、表aに挙げられたカーボンナノ構造を含む複合体の性能指標について、全てカーボンナノ構造を含む複合体の粉体の指標を指しており、前記カーボンナノ構造を含む複合体がスラリーであれば、上記指標はスラリー前粉体を調製する指標であることが分かっている。
【0156】
前記カーボンナノ構造を含む複合体が粉体である場合、表aにおける性能指標を有することができる以外に、前記カーボンナノ構造を含む複合体の粉体は、
【0157】
黒色の粉末であり、細かさが均一で、明らかな大粒子がなく、含水量≦3.0%で、粒度D90≦10.0μmで、pHが5.0〜8.0で、見掛け密度が0.2〜0.4g/cm3である、という性能を更に有する。
【0158】
前記カーボンナノ構造を含む複合体がスラリーである場合、カーボンナノ構造を含む複合体を溶剤に分散させる製品であり、表aにおける性能指標を有することができる以外に、前記カーボンナノ構造を含む複合体スラリーは、
【0159】
固形分が1.0〜10.0%で、粒度D50≦0.7umで、pHが8.0〜10.0で、ゼータ電位≦−10mVで、粘度が5.0〜8.0mpa・sである、という性能を更に有している。
【0160】
本発明は製品を提供し、上記技術内容のいずれか一項に記載の変性ラテックス、又は上記技術内容のいずれか一項に記載の調製方法で調製された変性ラテックスを含み、前記製品はマクラ、マットレス、クッション、バックパッド、ソファー、腹巻き、靴の中敷、ブラジャー、車両用シート、便座シート、コンドーム、手袋、風船、おしゃぶり、哺乳瓶又はハンドウォーマーを含むことが好ましい。
【0161】
本発明に係る変性ラテックス及びその調製プロセスと使用製品は、従来のラテックスにグラフェン構造と非炭素非酸素非水素元素を導入し、グラフェン構造、Fe、Si及びAl元素の組み合わせにより、本発明に係る変性ラテックスは遠赤外線性能と抗菌抑菌という複数種の性能を有し、且つ、特定の添加比率を制御することにより、高い遠赤外線効果と抑菌効果を有することができる。なお、本発明はカーボンナノ構造を含む複合体の形態でグラフェン構造と非炭素非酸素非水素元素を含む物質を導入し、且つ、導入過程において、導入物質に前処理、例えば活性化、変性等を行う必要がなくても、ラテックスと効果的な結合を行うことができ、付加的に向上された遠赤外線効果と抑菌効果をもたらす。
【0162】
本発明は、前記変性ラテックスの遠赤外線性能と抗菌性能に対して検出を行い、検出規格は以下のとおりである。
【0163】
赤外線検出データは、GBT7286.1−1987『金属と非金属材料のトータルノーマルエミッタンスの試験方法』に基づき、
【0164】
抑菌検出データは、GB/T31402−2015『プラスチック、プラスチックの表面の抗菌性能の試験方法』において黄色ブドウ球菌を例とするものに基づく。
【0165】
実験の結果から、本発明に係る変性ラテックスの遠赤外線性能は最大で0.93に達することができ、抑菌性能は最大で99%に達することができることが示されている。
【0166】
本発明を更に説明するために、以下で実施例と結び付けて本発明に係る変性ラテックス及びその調製プロセスと使用を詳細に説明するが、本発明の保護範囲は以下の実施例により限定されるものではない。
【0167】
実施例1
【0168】
カーボンナノ構造を含む複合体は、以下の方法により取得される。
【0169】
(1)質量比1:1でトウモロコシの穂軸セルロースと塩化第一鉄を混合し、150℃で撹拌して触媒処理を4h行い、前駆体の水分含有量が10wt%になるまでに乾燥し、前駆体を取得し、
【0170】
(2)保護雰囲気で、3℃/minの速度で前駆体を170℃に昇温し、2h保温した後、400℃に昇温する昇温プログラミングを実施し、3h保温した後、1200℃に昇温し、3h保温した後に粗製品を取得し、前記昇温プログラミングの昇温速度は15℃/minであり、
【0171】
(3)55〜65℃で、粗製品を濃度が10%の水酸化ナトリウム溶液で洗浄し、4wt%の塩酸で酸洗した後、水洗してカーボンナノ構造を含む複合体を取得した。
【0172】
実施例1で調製されたカーボンナノ構造を含む複合体にラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークの高さの比が3であることを示しており、
【0173】
第1種の非炭素非酸素非水素元素の含有量の測定方法を用いて、カーボンナノ構造を含む複合体において主にP、Si、Ca、Al、Fe、Mg元素を含むことを検出した。
【0174】
実施例2
【0175】
実施例1中のトウモロコシの穂軸セルロースをアシセルロースに置き換える。
【0176】
実施例2で調製されたカーボンナノ構造を含む複合体にラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークの高さの比が4.8であることを示しており、
【0177】
第1種の非炭素非酸素非水素元素の含有量の測定方法を用いて、カーボンナノ構造を含む複合体において主にSi、Ca、Al、Fe、Mg、S元素を含むことを検出した。
【0178】
実施例3
【0179】
実施例1中のトウモロコシの穂軸セルロースをハコヤナギセルロースに置き換える。
【0180】
実施例3で調製されたカーボンナノ構造を含む複合体にラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークの高さの比が4.6であることを示しており、
【0181】
第1種の非炭素非酸素非水素元素の含有量の測定方法を用いて、カーボンナノ構造を含む複合体において主にP、Si、Al、Na、Fe、Ni元素を含むことを検出した。
【0182】
実施例4
【0183】
実施例1中のトウモロコシの穂軸セルロースをトウモロコシの穂軸リグニンに置き換える。
【0184】
実施例4で調製されたカーボンナノ構造を含む複合体にラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークの高さの比が2.8であることを示しており、
【0185】
第1種の非炭素非酸素非水素元素の含有量の測定方法を用いて、カーボンナノ構造を含む複合体において主にP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Mg、Fe、Mg、K元素を含むことを検出した。
【0186】
実施例5
【0187】
トウモロコシの穂軸の予備品を3倍量の44%の塩化亜鉛液(塩酸でpH=1に調整する)に投入し、十分に撹拌して含浸させ、静置して5時間吸収し、再び十分に撹拌して、また静置して5時間吸収し、塩化亜鉛液が全て吸収されるまでになると、開口の平底炭化炉に移して密閉炭化を行い、400℃で3時間炭化し、30分間程度ごとに一回の撹拌を徹底的に行い、撹拌する前に炉温を100℃以下に降温し、撹拌した後に再び昇温して密閉炭化を行い、黒いコークスになるまでにすると、吐出して冷却し、2倍量の44%の塩化亜鉛液(pH=1)を用いて含浸させ、塩化亜鉛液が全て吸収されるように十分に撹拌し、賦活炉に移し、650℃で70分間活性化させ、吐出して冷却し、樽内に移し、等量の40%のアンモニウムクロライド液を投入し、十分に撹拌して洗浄し、静置して清澄化させ、上澄み液をサイフォンし、30%、12%及び3%のアンモニウムクロライド液を順に用いて撹拌して洗浄し、また、等量の30%の塩酸で撹拌して洗浄し、炭素粒子を濾過して取得し、鍋に投入し、同じ体積の清水を投入し、洗浄してアンモニウムクロライドがなくなるまでに煮沸して洗浄し、加熱して蒸発させ、撹拌して炒め、水分を廃棄し、乾燥、粉砕し、120メッシュのふるいに掛け、活性炭を取得した。これに基づき、グラフェンを導入し、且つ、P、Si、Ca、Al、Fe、Mgを含むナノ材料を投入し、具体的には、添加材料がナノ五酸化二リン、ナノケイ素粉末、ナノ炭酸カルシウム、ナノアルミナ、ナノ鉄、ナノマグネシウム粉末であり、カーボンナノ構造を含む複合体を取得した。
【0188】
実施例6
【0189】
リグニンを炭化炉内で密閉炭化を行い、400℃で3時間炭化し、30分間程度ごとに一回の撹拌を徹底的に行い、撹拌する前に炉温を100℃以下に降温し、撹拌した後にアルゴンガスの条件で再び2200℃に昇温して密閉してグラファイト化を2h行い、吐出して冷却し、30%、12%及び3%のアンモニウムクロライド液を順に用いて撹拌して洗浄し、また、等量の30%塩酸で撹拌して洗浄し、乾燥、粉砕し、120メッシュのふるいに掛け、グラファイトと活性炭の混合炭素材料を取得した。これに基づき、グラフェンを導入し、且つ、P、Si、Ca、Al、Fe、Mgを含むナノ材料を投入し、具体的には、ナノ五酸化二リン、ナノ二酸化ケ素、ナノ炭酸カルシウム、ナノアルミニウム粉末、ナノ鉄、ナノ炭酸マグネシウムであり、カーボンナノ構造を含む複合体を取得した。
【0190】
実施例7
【0191】
フェノール樹脂フォームシートを利用し、330℃で一回の炭化を行い、水素元素と酸素元素を除去し、そして700℃で高温炭化を行い、これに基づいてグラフェンを導入し、且つ、P、Si、Ca、Al、Fe、Mgを含むナノ材料を添加し、カーボンナノ構造を含む複合体を取得した。
【0192】
実施例8
【0193】
ナノグラファイトに活性炭とグラフェンを添加し、且つ、P、Si、Ca、Al、Fe、Mgを含むナノ材料を添加し、具体的には、ナノ五酸化二リン、ナノケイ素粉、ナノアルミニウム粉末、ナノ鉄、ナノマグネシウム粉であり、カーボンナノ構造を含む複合体を取得した。
【0194】
実施例9
【0195】
(1)多孔質セルロースの調製:
【0196】
90℃で、硫酸でトウモロコシの穂軸の水溶液をpH=3に調整し、10min浸漬して加水分解を行い、リグノセルロースを取得した。前記硫酸の質量は前記トウモロコシの穂軸の質量の3%である。続いて、70℃で得られたリグノセルロースを酸性の亜硫酸塩に1h浸漬し、多孔質セルロースを取得した。ただし、酸は硫酸で、亜硫酸塩は亜硫酸マグネシウムであり、前記硫酸の質量は前記リグノセルロースの質量の4%で、液固比が2:1であり、調製された後にスタンバイする(このステップは公開号がCN104016341Aの特許文献を参考にすることができる)。
【0197】
(2)質量比1:1でステップ(1)で得られた多孔質セルロースと塩化第二鉄を混合し、200℃で撹拌して触媒処理を8h行い、前駆体の水分含有量が4wt%になるまでに乾燥し、前駆体を取得し、保護雰囲気で、5℃/minの速度で前駆体を350℃に昇温し、2h保温した後、1000℃に昇温する昇温プログラミングを実施し、4h保温して粗製品を取得した。前記昇温プログラミングの昇温速度は20℃/minであり、55〜65℃で、粗製品を濃度が4wt%の塩酸で酸洗した後、水洗してカーボンナノ構造の複合体を取得した。
【0198】
実施例9で調製されたカーボンナノ構造の複合体にラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークの高さの比が6.8であることを示しており、
【0199】
第1種の非炭素非酸素元素の含有量の測定方法を用いて、カーボンナノ構造の複合体において主にP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Mg、Fe、Mg、K元素を含むことを検出した。
【0200】
実施例10
【0201】
実施例9との区別は、ステップ(2)において、
【0202】
質量比1:5で実施例9のステップ(1)で得られた多孔質セルロースと塩化マンガンを混合し、180℃で撹拌して触媒処理を5h行い、前駆体の水分含有量が6wt%になるまで乾燥し、前駆体を取得し、保護雰囲気で、4℃/minの速度で前駆体を300℃に昇温し、3h保温した後、1000℃に昇温する昇温プログラミングを実施し、4h保温して粗製品を取得した。前記昇温プログラミングの昇温速度は17℃/minであり、60℃で、粗製品を濃度が5wt%の塩酸で酸洗した後、水洗してカーボンナノ構造の複合体を取得した。
【0203】
実施例10で調製されたカーボンナノ構造の複合体にラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークの高さの比が15であることを示しており、
【0204】
第1種の非炭素非酸素元素の含有量の測定方法を用いて、カーボンナノ構造の複合体において主にP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Mg、Mn、S元素を含むことを検出した。
【0205】
実施例11
【0206】
(1)小麦の藁を粉砕して前処理した後、酸全体の濃度が80wt%のギ酸と酢酸の有機酸液を使用して処理後の小麦の藁を蒸解した。本実施例の有機酸液において、酢酸とギ酸の質量比は1:12であり、且つ原料を入れる前に小麦の藁の原料の1wt%を占めている過酸化水素(H22)を触媒として投入し、反応温度を120℃に制御し、30min反応させ、固体と液体の質量比は1:10であり、且つ、得られた反応液に一回目の固液分離を行った。一回目の固液分離で得られた固体を酸全体の濃度が75wt%のギ酸と酢酸の有機酸液に投入して酸洗浄を行い、そのうち、上記酸全体の濃度が75wt%の有機酸液に小麦の藁の原料の8wt%を占めている過酸化水素(H22)を触媒として投入し、且つ、酢酸とギ酸の質量比は1:12であり、温度を90℃に制御し、洗浄時間は1hで、固体と液体の質量比は1:9であり、併せて反応液に二回目の固液分離を行った。一回目と二回目の固液分離で得られた液体を収集し、120℃、301kPaで高温高圧の蒸発を行い、乾燥するまで蒸発し、得られたギ酸と酢酸の蒸気を凝縮してステップ(1)の反応釜に還流させて蒸解液とし、ステップ(1)の蒸解に用いた。二回目の固液分離で得られた固体を収集し、併せて水洗する。水洗温度を80℃に制御し、水洗スラリーの濃度は6wt%であり、併せて得られた水洗スラリーに三回目の固液分離を行った。三回目の固液分離で得られた液体を収集し、水、酸精留を行い、得られた混合酸液をステップ(1)の反応釜においてステップ(1)の蒸解に用いられる蒸解液として再利用し、得られた水をステップ(5)の水洗用の水として再利用する。三回目の固液分離で得られた固体を収集して且つ選別して必要な細かいスラリーセルロースを得る(このステップは公開号がCN103898782Aの特許文献を参考にすることができる)。
【0207】
(2)質量比1:0.1でステップ(1)で得られた細かいスラリーセルロースと塩化第一鉄を混合し、150℃で撹拌して触媒処理を4h行い、前駆体の水分含有量が10wt%になるまでに乾燥し、前駆体を取得し、保護雰囲気で、3℃/minの速度で前駆体を280℃に昇温し、2h保温した後、950℃に昇温する昇温プログラミングを実施し、3h保温して粗製品を取得した。前記昇温プログラミングの昇温速度は15℃/minであり、55〜65℃で、粗製品を濃度が4wt%の塩酸で酸洗した後、水洗してカーボンナノ構造の複合体を取得した。
【0208】
実施例11で調製されたカーボンナノ構造の複合体にラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークの高さの比が3であることを示しており、
【0209】
第1種の非炭素非酸素元素の含有量の測定方法を用いて、カーボンナノ構造の複合体において主にP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Mg元素を含むことを検出した。
【0210】
実施例12
【0211】
実施例11との区別は、ステップ(2)において、
【0212】
質量比1:1で実施例11のステップ(1)で得られたセルロースと塩化第二鉄を混合し、200℃で撹拌して触媒処理を8h行い、前駆体の水分含有量が8wt%になるまでに乾燥し、前駆体を取得し、保護雰囲気で、5℃/minの速度で前駆体を350℃に昇温し、2h保温した後、1050℃に昇温する昇温プログラミングを実施し、4h保温して粗製品を取得した。前記昇温プログラミングの昇温速度は20℃/minであり、55〜65℃で、粗製品を濃度が6wt%の塩酸で酸洗した後、水洗してカーボンナノ構造の複合体を取得した。
【0213】
実施例12で調製されたカーボンナノ構造の複合体にラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークの高さの比が4.8であることを示しており、
【0214】
第1種の非炭素非酸素元素の含有量の測定方法を用いて、カーボンナノ構造の複合体において主にP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Mg元素を含むことを検出した。
【0215】
実施例13
【0216】
(1)ハコヤナギ又はユーカリの枝葉を粉砕して前処理した後、濃度が90%のギ酸と濃度が5%の酢酸及び5%の水の有機酸液を用いて処理後のリグノセルロースバイオマスに酸加水分解を行い、反応温度を165℃に制御し、10min反応させた。前記ギ酸と酢酸の混合酸液と、バイオマス原料との液体と固体の質量比は1:20であり、且つ、得られた反応液に一回目の固液分離を行った。(2)ステップ(1)で分離された固体を濃度が90%のギ酸と濃度が5%の酢酸及び5%の水の有機酸液に投入して酸洗浄を行った。温度は60〜80℃で、洗浄時間は0.5〜1hであり、且つ、反応液に二回目の固液分離を行い、分離された固体を水洗処理した後に必要なセルロースを取得した。(3)ステップ(1)とステップ(2)で固液分離された液体を収集して減圧蒸留濃縮を行い、ギ酸と酢酸の蒸気、及び濃度が元の液体の濃度の4〜5倍の濃縮液を取得した。(4)ステップ(3)で蒸留されたギ酸と酢酸の蒸気を凝縮してステップ(1)の反応釜に還流させ、ステップ(1)の酸分解に用いた。(5)ステップ(3)で得られた濃縮液に水を添加して希釈した。前記助剤と前記濃縮液との質量比は2:1で、60〜70℃に制御して0.5〜1h撹拌し、併せて三回目の固液分離を行い、得られた固体に水(水と前記固体との質量比は3:1)を添加し、且つ、75〜80℃で2〜3h撹拌して水洗でエステル化を除去した後、必要なリグニンを取得した(このステップは公開号がCN103131018Aの「リグノセルロースバイオマスの統合利用プロセス」を参考することができる)。
【0217】
られたリグニンと塩化第二鉄を質量比1:1で混合し、200℃で撹拌して触媒処理を8h行い、前駆体の水分含有量が8wt%になるまでに乾燥し、前駆体を取得し、保護雰囲気で、5℃/minの速度で前駆体を350℃に昇温し、2h保温した後、1050℃に昇温する昇温プログラミングを実施し、4h保温して粗製品を取得した。前記昇温プログラミングの昇温速度は20℃/minであり、55〜65℃で、粗製品を濃度が6wt%の塩酸で酸洗した後、水洗してカーボンナノ構造の複合体を取得した。
【0218】
実施例13で調製されたカーボンナノ構造の複合体にラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークの高さの比が4.6であることを示しており、
【0219】
第1種の非炭素非酸素元素の含有量の測定方法を用いて、カーボンナノ構造の複合体において主にP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Mg、Ni、K元素を含むことを検出した。
【0220】
実施例14
【0221】
実施例13との区別は、ステップ(2)において、
【0222】
質量比1:0.5で実施例13のステップ(1)で得られたユーカリセルロースと塩化ニッケルを混合し、170℃で撹拌して触媒処理を5h行い、前駆体の水分含有量が6wt%になるまでに乾燥し、前駆体を取得し、保護雰囲気で、4℃/minの速度で前駆体を300℃に昇温し、3h保温した後、1000℃に昇温する昇温プログラミングを実施し、4h保温して粗製品を取得した。前記昇温プログラミングの昇温速度は17℃/minであり、60℃で、粗製品を濃度が5wt%の塩酸で酸洗した後、水洗してカーボンナノ構造の複合体を取得した。
【0223】
実施例14で調製されたカーボンナノ構造の複合体にラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークの高さの比が2.1であることを示しており、
【0224】
第1種の非炭素非酸素元素の含有量の測定方法を用いて、カーボンナノ構造の複合体において主にP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Mg、Ni、K元素を含むことを検出した。
【0225】
実施例15
【0226】
実施例13との区別は、ステップ(2)において、
【0227】
質量比1:3でステップ(1)で得られたリグニンと塩化第一鉄を混合し、180℃で撹拌して触媒処理を5h行い、前駆体の水分含有量が6wt%になるまでに乾燥し、前駆体を取得し、保護雰囲気で、4℃/minの速度で前駆体を300℃に昇温し、3h保温した後、1000℃に昇温する昇温プログラミングを実施し、4h保温して粗製品を取得した。前記昇温プログラミングの昇温速度は17℃/minであり、60℃で、粗製品を濃度が5wt%の塩酸で酸洗した後、水洗してカーボンナノ構造の複合体を取得した。
【0228】
実施例15で調製されたカーボンナノ構造の複合体にラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークの高さの比が2.1であることを示しており、
【0229】
第1種の非炭素非酸素元素の含有量の測定方法を用いて、カーボンナノ構造の複合体において主にP、Si、Ca、Al、Na、Fe、Mg、Ni、K元素を含むことを検出した。
【0230】
比較例1
【0231】
CN104016341Aで名称が「多孔質グラフェンの調製方法」に開示されている実施例7で得られたグラフェンを比較例1とする。比較例で調製されたグラフェンにラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークの高さの比が13であることが示されている。
【0232】
比較例2
【0233】
CN103508444Aに開示されている方法を用いて、リンをドープしたグラフェンを調製する。その調製方法は、具体的に以下のとおりである。
【0234】
1gの純度が95%のグラファイトを24mlの質量分率が65%の濃硝酸と90mlの質量分率が98%の濃硫酸に投入して混合し、混合物を氷水混合浴の環境で置き、20分間撹拌し、更に混合物に過マンガン酸カリウムを徐々に投入しる。過マンガン酸カリウムとグラファイトの質量比は5:1であり、1時間撹拌し、続いて混合物を85℃に加熱して30min保持し、その後、脱イオン水を添加して85℃で30min保持し続ける。脱イオン水とグラファイトとの液固比は90mL:1gである。最後に、質量分率が30%の過酸化水素溶液を添加する。過酸化水素溶液とグラファイトとの液固比は10mL:1gであり、10min撹拌し、混合物を吸引濾過し、更に、希塩酸と脱イオン水を順にそれぞれ用いて固形物を洗浄する。希塩酸、脱イオン水とグラファイトの固液比は100mL:150mL:1gであり、共に3回の洗浄を行い、最後に、固形物を60℃の真空オーブン内で12時間乾燥して酸化グラファイトを取得する。質量比が1:2の比率で酸化グラファイトと五酸化二リンを取って均一に混合し、流量が300ml/minのアルゴンガス雰囲気内に配置し、15℃/minの昇温速度で900℃に昇温し、2h保持し、その後、流量が300ml/minのアルゴンガス雰囲気内で室温に降温し、リンをドープしたグラフェンを作製した。
【0235】
比較例2で調製されたリンをドープしたグラフェンにラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークの高さの比が5であることを示しており、
【0236】
第1種の非炭素非酸素非水素元素の含有量の測定方法を用いて、得られたリンをドープしたグラフェンにおいて主にP元素を含むことを検出した。
【0237】
比較例3
【0238】
平行比較実験例
【0239】
CN104118874Aに開示される活性炭/グラフェンの複合体及びその調製方法における実施例1を利用し、活性炭とグラフェンの複合体を調製した。
【0240】
比較例3で調製された活性炭/グラフェンの複合体にラマンスペクトル検出を行い、結果として、GピークとDピークの高さの比が0.5であることを示しており、
【0241】
第1種の非炭素非酸素非水素元素の含有量の測定方法を用いて、得られた活性炭/グラフェンの複合体においてS、N、Cl元素を含むことを検出した。
【0242】
実施例1〜15及び比較例1〜3で調製された生成物を利用してラテックスを調製した。
【0243】
ラテックスマクラの調製を例として、天然ラテックス85〜100部、加硫剤3〜5部、天然エッセンシャルオイル0.1〜0.2部、ゲル化剤5〜8部、酸化防止剤2〜3部とステアリン酸ナトリウム1〜2部、実施例1〜15及び比較例1〜3で調製された生成物0.5〜10部を、均一に混合し、液体原料にヘリウムガスを導入し、撹拌しつつ泡を形成し、続いて配管によって泡をマクラ金型のキャビティに導入し、マクラ金型のキャビティが泡により満たされた時に型締シールを行う。ヘリウムガスは密度が小さく泡内に封止され、ラテックスマクラの弾性と支持性を向上させ、睡眠の快適度を向上させる。マクラ金型を加熱室内に移し、加熱室内に高温蒸気を充填することによってマクラ金型内の泡を硬化させ、その後、加熱室から移し出し、冷却した後に金型を開き、成形したラテックスマクラを取得した。
【0244】
具体的には、天然ラテックス100部、加硫剤3部、天然エッセンシャルオイル0.1部、ゲル化剤5部、酸化防止剤2部とステアリン酸ナトリウム1部、実施例1〜15及び比較例1〜3で調製された生成物がそれぞれ天然ラテックスの0.1wt%、1wt%、3wt%、5wt%、10wt%、12wt%であるものを例として、ラテックスマクラを調製した。
【0245】
ラテックスマクラの遠赤外線性能と抗菌性能に検出を行い、検出規格は以下のとおりである。
【0246】
赤外線検出データは、GBT7286.1−1987『金属と非金属材料の全ノーマルエミッタンスの試験方法』に基づき、
【0247】
抑菌検出データは、GB/T31402−2015『プラスチック、プラスチックの表面の抗菌性能の試験方法』において黄色ブドウ球菌を例とするものに基づく。
【0248】
検出の結果:
【0249】
実施例1〜15及び比較例1〜3の生成物の添加量が0.1wt%である場合、調製されたラテックスマクラは以下のとおりである。
【0250】
【表3】
【0251】
添加量が1wt%である場合、調製されたラテックスマクラは以下のとおりである。
【0252】
【表4】
【0253】
添加量が3wt%である場合、調製されたラテックスマクラは以下のとおりである。
【0254】
【表5】
【0255】
添加量が5wt%である場合、調製されたラテックスマクラは以下のとおりである。
【0256】
【表6】
【0257】
添加量が10wt%である場合、調製されたラテックスマクラは以下のとおりである。
【0258】
【表7】
【0259】
添加量が12wt%である場合、調製されたラテックスマクラは以下のとおりである。
【0260】
【表8】
【0261】
ラテックスを調製する過程においてグラフェン構造及びFe、Si及びAl元素等の非炭素非酸素非水素元素を導入した後、一連の後続動作ステップを更に経る必要があるため、Fe、Si及びAl元素等の非炭素非酸素非水素元素の含有量と当該物質を導入したベクター或いは混合物又は複合体は対応する同じ正比例の関係ではない。例えば、カーボンナノ構造を含む複合体の形態によってグラフェン構造と非炭素非酸素非水素元素を導入し、カーボンナノ構造を含む複合体の添加量がラテックスの1wt%である場合、Fe、Si及びAl元素の含有量はラテックスマクラの0.2wt%を占めており、添加量がラテックスの3wt%である場合、Fe、Si及びAl元素の含有量はラテックスの0.5wt%を占めている。従って、ラテックスに含まれているグラフェン構造及び非炭素非酸素非水素元素のタイプと含有量はラテックスの遠赤外線性能と抗菌性能に重要な作用を果す。添加量が10wt%を超えた場合、調製されたマクラには分散のムラが明らかに現れ、性能に影響を及ぼす。
【0262】
以上の実施例と比較例から、植物自体には多くの微量元素が存在し、植物自体を利用してグラフェン構造と微量元素を含む物質を直接調製することは、生成物における各成分、例えば微量元素の分散を更に均一にさせ、その後の高分子材料等の物質と結合すると、達成可能な効果が更に優れている。後期で微量元素を導入すると、混合が均一になればなるほど効果が著しくなり、効果は天然混合の効果よりも若干悪くなることが分かっている。
【0263】
比較例4〜6
【0264】
ナノカーボンブラック(鄭州市泰瑞化工有限責任公司、型番TR1800)、ナノ鱗状グラファイト(青島天越黒鉛有限公司、1000メッシュ)と購買したグラフェン(常州第六元素材料科技株式会社、型番SE1331)をそれぞれ取って変性ラテックスマクラを生産し、そのうち、ナノカーボンブラック、ナノ鱗状グラファイトと購買したグラフェンはそれぞれ変性ラテックスマクラの1wt%を占めている。
【0265】
実施例1で調製された変性ラテックスマクラと比較例4〜6で調製されたマクラに温度上昇測定を行い、結果は以下のとおりである。
【0266】
基本的な実験条件:
室温:17℃、
湿度:85%、
赤外線ランプからテーブル表面までの高さ:51cm
赤外線ランプの型番:PHLIPS
【0267】
【表9】
【0268】
本発明の実施例1で調製された物質を用いて調製された変性ラテックスは、比較例4〜6と比べ、昇温効果が最も優れており、遠赤外線性能が優れていることを間接的に証明していることが分かる。
【0269】
本願における抑菌検出方法に基づき比較例4〜6を検出する。抑菌率はそれぞれ30%、20%、30%である。
【0270】
以上、本発明に係るグラフェン構造を含む変性ラテックス及びその調製プロセスと使用物品について詳細に説明した。本文では具体的な例を用いて本発明の原理及び実施形態を説明したが、上記実施例の説明は本発明の方法及びその要旨を理解するためのものに過ぎない。なお、当業者であれば、本発明の原理から逸脱しない前提で、本発明に対する種々の改良と修飾を更に行うことができ、これらの改良と修飾も本発明の特許請求の保護範囲内に含まれているといえる。
図1