特許第6853259号(P6853259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許68532593D物体用のフルカラーデータの処理方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853259
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】3D物体用のフルカラーデータの処理方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/386 20170101AFI20210322BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20210322BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   B29C64/386
   B33Y50/00
   G06T1/00 510
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-535867(P2018-535867)
(86)(22)【出願日】2017年5月11日
(65)【公表番号】特表2019-503905(P2019-503905A)
(43)【公表日】2019年2月14日
(86)【国際出願番号】CN2017083890
(87)【国際公開番号】WO2018107652
(87)【国際公開日】20180621
【審査請求日】2018年7月9日
【審判番号】不服2020-3190(P2020-3190/J1)
【審判請求日】2020年3月6日
(31)【優先権主張番号】201611162438.5
(32)【優先日】2016年12月15日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519314847
【氏名又は名称】チューハイ セイルナー スリーディー テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ZHUHAI SAILNER 3D TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】陳 偉
(72)【発明者】
【氏名】陳 暁坤
(72)【発明者】
【氏名】向 東清
【合議体】
【審判長】 細井 龍史
【審判官】 加藤 友也
【審判官】 岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−210267(JP,A)
【文献】 特開2009−298023(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104786496(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C64/386
B33Y50/00
G06T1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトに対して層形成処理を実行してビットマップ画像を生成するステップと、
前記ビットマップ画像を解析して前記ビットマップ画像の各画素の層色データ及び層構造データを含むスライス層データを各層に対して決定するステップと、
層毎に、前記層色データとビットマット画像の背景色データとが一致する場合に前記層色データ及び前記層構造データを分析し、前記層色データと前記背景色データとが一致しない場合に前記層色データのみを分析することで、オブジェクトに対応する画素を決定し、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定するステップと
を含み、
前記層色データは画素のスライス層における色情報を示し、前記層構造データは画素が前記オブジェクトとする部分又は背景とする部分に対応することを示すことを特徴とする3D物体用のフルカラーデータの処理方法。
【請求項2】
前記オブジェクトに対して層形成処理を実行してビットマップ画像を生成するステップは、
前記オブジェクトに対してスキャン処理を実行して、オブジェクトのオブジェクト情報を得るステップと、
前記オブジェクト情報を層形成スライスソフトにより認識されるデータ形式のオブジェクト情報に変換するステップと、
形式変換後のオブジェクト情報に対して層形成処理を実行して、ビットマップ画像を生成するステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビットマップ画像を解析して、各層のスライス層データを決定した後に、
各層のスライス層データの層色データをカラーフォーマット変換して、処理後の各層のスライス層データを得るステップをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記層毎に、層色データとビットマット画像の背景色データとが一致する場合に前記層色データ及び前記層構造データを分析し、前記層色データと前記背景色データとが一致しない場合に前記層色データのみを分析することで、オブジェクトに対応する画素を決定し、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定するステップにおいて、
前記ビットマップ画像の数が1である場合に、前記ビットマップ画像の各画素の層色データを逐一に分析して、層色データが示す内容を決定し、
前記層色データと前記背景色データとが一致する場合に、前記ビットマップ画像の各画素の層構造データを逐一に分析して、層構造データが示す内容を決定することで、前記層色データが示す内容及び前記層構造データが示す内容に基づいて、オブジェクトに対応する画素を決定し、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定し、
前記層色データと前記背景色データとが一致しない場合に、前記層色データが示す内容のみに基づいて、オブジェクトに対応する画素を決定し、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記層毎に、前記層色データとビットマット画像の背景色データとが一致する場合に前記層色データ及び前記層構造データを分析し、前記層色データと前記背景色データとが一致しない場合に前記層色データのみを分析することで、オブジェクトに対応する画素を決定し、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定するステップにおいて、
前記ビットマップ画像が第1のビットマップ画像及び第2のビットマップ画像を含む場合に、第1のビットマップ画像における各画素の層色データを抽出して分析して、層色データが示す内容を決定し、
前記層色データと前記背景色データとが一致する場合に、第1のビットマップ画像における各画素に一対一に対応した第2のビットマップ画像における各画素の層構造データを抽出して分析して、層構造データが示す内容を決定することで、前記層色データが示す内容及び前記層構造データが示す内容に基づいて、オブジェクトに対応する画素を決定し、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定し、
前記層色データと前記背景色データとが一致しない場合に、前記層色データが示す内容のみに基づいて、オブジェクトに対応する画素を決定し、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のビットマップ画像が24ビットのビットマップ画像であり、前記第2のビットマップ画像は二値画像であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
オブジェクトの全ての層の色が決定されるまで、第1の処理工程及び第2の処理工程を繰り返すステップを含み、
第1の処理工程は、オブジェクトに対して層形成処理を実行してビットマップ画像を生成し、前記ビットマップ画像を解析して予め設定された数の層のスライス層データを決定する工程を繰り返すことを含み
第2の処理工程は、予め設定された数の層の前記層色データ及び前記層構造データを分析して、オブジェクトの予め設定された数の層について、オブジェクトに対応する画素を決定し、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する工程を繰り返すことを含み、
予め設定された数の層の前記層色データ及び前記層構造データを分析することは、前記層色データと前記背景色データとが一致する場合に前記層色データ及び前記層構造データを分析し、前記層色データと前記背景色データとが一致しない場合に前記層色データのみを分析することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第3の処理工程及び第4の処理工程を含み、
第3の処理工程は、オブジェクトに対して層形成処理を実行してビットマップ画像を生成し、前記ビットマップ画像を解析して全ての層のスライス層データを決定する工程を繰り返すことを含み
第4の処理工程は、全ての層の前記層色データ及び前記層構造データ夫々を分析して、オブジェクトの全ての層について、オブジェクトに対応する画素を決定し、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する工程を繰り返すことを含み、
前記全ての層の前記層色データ及び前記層構造データ夫々を分析することは、前記層色データと前記背景色データとが一致する場合に前記層色データ及び前記層構造データを分析し、前記層色データと前記背景色データとが一致しない場合に前記層色データのみを分析することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
オブジェクトに対して層形成処理を実行してビットマップ画像を生成し、前記ビットマップ画像を解析して前記ビットマップ画像の各画素の層色データ及び層構造データを含むスライス層データを各層に対して決定するための層形成モジュールと、
層毎に、前記層色データとビットマップ画像の背景色データとが一致する場合に前記層色データ及び前記層構造データを分析し、前記層色データと前記背景色データとが一致しない場合に前記層色データのみを分析することで、オブジェクトに対応する画素を決定し、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定するための分析モジュールと
を備え、
前記層色データは画素のスライス層における色情報を示し、前記層構造データは画素が前記オブジェクトとする部分又は背景とする部分に対応することを示すことを特徴とする3D物体用のフルカラーデータの処理装置。
【請求項10】
前記層形成モジュールは、
前記オブジェクトに対してスキャン処理を実行してオブジェクトのオブジェクト情報を得、前記オブジェクト情報を層形成スライスソフトにより認識されるデータ形式のオブジェクト情報に変換し、形式変換後のオブジェクト情報に対して層形成処理を実行してビットマップ画像を生成し、前記ビットマップ画像を解析して各層のスライス層データを決定するための層形成子モジュールを備えることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記層形成モジュールは、
前記層形成子モジュールが前記ビットマップ画像を解析して各層のスライス層データを決定した後に、各層のスライス層データの層色データをカラーフォーマット変換して、処理後の各層のスライス層データを得るための変換子モジュールをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記分析モジュールは、
前記ビットマップ画像の数が1である場合に、前記ビットマップ画像の各画素の層色データを逐一に分析して、層色データが示す内容を決定し、
前記層色データと前記背景色データとが一致する場合に、前記ビットマップ画像の各画素の層構造データを逐一に分析して、層構造データが示す内容を決定することで、前記層色データが示す内容及び前記層構造データが示す内容に基づいて、オブジェクトに対応する画素を決定し、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定し、
前記層色データと前記背景色データとが一致しない場合に、前記層色データが示す内容のみに基づいて、オブジェクトに対応する画素を決定し、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記分析モジュールは、
前記ビットマップ画像が第1のビットマップ画像及び第2のビットマップ画像を含む場合に、第1のビットマップ画像における各画素の層色データを抽出して分析して、層色データが示す内容を決定し、
前記層色データと前記背景色データとが一致する場合に、第1のビットマップ画像における各画素に一対一に対応した第2のビットマップ画像における各画素の層構造データを抽出して分析して、層構造データが示す内容を決定することで、前記層色データが示す内容及び前記層構造データが示す内容に基づいて、オブジェクトに対応する画素を決定し、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定し、
前記層色データと前記背景色データとが一致しない場合に、前記層色データが示す内容のみに基づいて、オブジェクトに対応する画素を決定し、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記第1のビットマップ画像は24ビットのビットマップ画像であり、前記第2のビットマップ画像は二値画像であることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
オブジェクトの全ての層の色が決定されるまで、第1の処理工程及び第2の処理工程を繰り返し、
第1の処理工程は、オブジェクトに対して層形成処理を実行してビットマップ画像を生成し、前記ビットマップ画像を解析して予め設定された数の層のスライス層データを決定する工程を繰り返すことを含み
第2の処理工程は、予め設定された数の層の前記層色データ及び前記層構造データを分析して、オブジェクトの予め設定された数の層について、オブジェクトに対応する画素を決定し、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する工程を繰り返すことを含み、
予め設定された数の層の前記層色データ及び前記層構造データを分析することは、前記層色データと前記背景色データとが一致する場合に前記層色データ及び前記層構造データを分析し、前記層色データと前記背景色データとが一致しない場合に前記層色データのみを分析することを含むことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項16】
第3の処理工程及び第4の処理工程を行い、
第3の処理工程は、オブジェクトに対して層形成処理を実行してビットマップ画像を生成し、前記ビットマップ画像を解析して全ての層のスライス層データを決定する工程を繰り返すことを含み
第4の処理工程は、全ての層の前記層色データ及び前記層構造データ夫々を分析して、オブジェクトの全ての層について、オブジェクトに対応する画素を決定し、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する工程を繰り返すことを含み、
前記全ての層の前記層色データ及び前記層構造データ夫々を分析することは、前記層色データと前記背景色データとが一致する場合に前記層色データ及び前記層構造データを分析し、前記層色データと前記背景色データとが一致しない場合に前記層色データのみを分析することを含むことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高速成形技術分野に関し、特に3D物体用のフルカラーデータの処理方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速成形技術は、高速原型製造技術又は付加製造技術とも呼ばれる。高速成形技術では、三次元(Three Dimensional、単に「3D」と記す)モデルをスライスして1層ずつ加工して積み上げることで3D物体を作る。
【0003】
従来技術では、3D物体の高速成形技術は、熱溶解積層方式(Fused Deposition Modeling,単に「FDM」と記す)、光造形方式(Stereo Lithography Apparatus、単に「SLA」と記す)、粉末焼結積層造形方式(Selected Laser Sintering、単に「SLS」と記す)、薄膜積層方式(Laminated Object Manufacturing、単に「LOM」と記す)又はインクジェット方式等を含む。
【0004】
これらの方法でフルカラーの3Dモデルを印刷する場合には、3Dモデルの色情報を判別しなければならない。特に、スライス処理後のスライス層の色と、該スライス層の背景画像の色とが一致する場合に、印刷システムは、該色情報における印刷しない背景情報と印刷すべきスライス層とを判別することはできない。例えば、3Dモデルのスライス層にも印刷すべき白色の部分があり、該スライス層の画像の背景色も白色である場合には、スライス層の画像の背景を印刷する必要がないが、色が一致するため、印刷システムは印刷すべき白色と印刷しない白色とを判別することができず、混乱してしまって、印刷しないこと又は印刷間違いを発生させる虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、色が一致するため、印刷システムが印刷すべき白色と印刷しない白色とを判別することができず、混乱してしまって、印刷しないこと又は印刷間違いを発生させるという従来技術における課題を解決するための3D物体用のフルカラーデータの処理方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一様態に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法は、オブジェクトに対して層形成処理を実行して、層色データ及び層構造データを含むスライス層データを各層に対して決定するステップと、前記層色データ及びオブジェクトの背景色データが一致する場合に前記層色データ及び前記層構造データを分析し、前記層色データ及びオブジェクトの背景色データが一致しない場合に前記層色データを分析することで、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定するステップとを含み、前記層色データは前記オブジェクトの色情報を示し、前記層構造データは前記オブジェクトの印刷位置を示す。
【0007】
本発明の他の一様態に係る3D物体用のフルカラーデータの処理装置は、オブジェクトに対して層形成処理を実行して、層色データ及び層構造データを含むスライス層データを各層に対して決定するための層形成モジュールと、前記層色データ及びオブジェクトの背景色データが一致する場合に前記層色データ及び前記層構造データを分析し、前記層色データ及びオブジェクトの背景色データが一致しない場合に前記層色データを分析することで、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定するための分析モジュールとを備え、前記層色データは前記オブジェクトの色情報を示し、前記層構造データは前記オブジェクトの印刷位置を示す。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、以下の技術効果を奏する。オブジェクトに対して層形成処理を実行して、オブジェクトの色情報を示す層色データ及びオブジェクトの印刷位置を示す層構造データを含むスライス層データを各層に対して決定し、層色データ及びオブジェクトの背景色データが一致する場合に層色データ及び層構造データを分析し、層色データ及びオブジェクトの背景色データが一致しない場合に層色データを分析することで、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定することにより、3D物体用のフルカラーデータの処理方法を提供することができる。この処理方法では、3Dオブジェクトをスライスし、スライス後に生成された層色データ及び層構造データを分析し、データの形で3Dオブジェクトのフルカラー情報を示すことで、3Dオブジェクトのスライス層及び背景画像の色が一致する場合に判別することができ、印刷しないこと又は印刷間違いの発生を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例1に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法のフローチャートである。
図2】本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法のフローチャートである。
図3】本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法で生成された1つのビットマップ画像の模式図である。
図4】本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法における3Dオブジェクトの模式図1である。
図5】本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法における3Dオブジェクトの非白色の部分の画素アレイの模式図1である。
図6】本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法における3Dオブジェクトの白色の部分の画素アレイの模式図1である。
図7】本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法で生成された第2のビットマップ画像の模式図である。
図8】本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法で生成された第2のビットマップ画像の1画素に含まれる層構造データの模式図である。
図9】本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法で生成された第1のビットマップ画像の模式図である。
図10】本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法における3Dオブジェクトの模式図2である。
図11】本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法における3Dオブジェクトの非白色の部分の画素アレイの模式図2である。
図12】本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法における3Dオブジェクトの白色の部分の画素アレイの模式図2である。
図13】本発明の実施例3に係る3D物体用のフルカラーデータの処理装置の構成模式図である。
図14】本発明の実施例4に係る3D物体用のフルカラーデータの処理装置の構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施例の目的、技術方案及び利点を一層明確にさせるために、以下では本発明の実施例を示す図面に基づいて本発明の実施例における技術方案を明確に詳細に説明する。勿論、説明する実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全部の実施例ではない。当業者が本発明の実施例に基づいて創造的な行為が要らずに得た他の実施例は、全て本発明の技術的範囲に属する。
【0011】
図1は本発明の実施例1に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法のフローチャートである。図1に示すように,本実施例に係る方法は以下のステップを含む。
【0012】
ステップ101:
オブジェクトに対して層形成処理を実行して、各層のスライス層データを決定する。スライス層データは層色データ及び層構造データを含む。ここで、層色データはオブジェクトの色情報を示し、層構造データはオブジェクトの印刷位置を示す。
【0013】
本実施例では、具体的に、3Dオブジェクトを取得し、スライスソフトで3Dオブジェクトに対して層形成処理を実行することで、3Dオブジェクトの各層を得て、3Dオブジェクトの各層のスライス層データを得ることができる。ここで、各層のスライス層データは層色データ及び層構造データを含む。
【0014】
ここで、層色データは、スライスソフトによって3Dオブジェクトの層が形成された後の3Dオブジェクトの色彩分布、即ち3Dオブジェクトの色情報を示すものである。層構造データは、スライスソフトによって3Dオブジェクトの層が形成された後の3Dオブジェクトの物理的位置、即ち3Dオブジェクトの印刷位置を示すものである。
【0015】
ステップ102:
層色データとオブジェクトの背景色データとが一致する場合に層色データ及び層構造データを分析し、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致しない場合に層色データを分析することで、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する。
【0016】
本実施例では、具体的に、スライスソフトで3Dオブジェクトに対して層を形成させた後に得たスライス層データを印刷に用いる場合に、3Dオブジェクトの各層のスライス層データにおける層色データや層構造データを分析して3Dオブジェクトの層の色を決定してオブジェクトの印刷情報を決定する必要がある。具体的には、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致する場合には、層色データ及び層構造データを分析する必要があるが、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致しない場合には、層色データのみを分析する。これにより、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定することができる。
【0017】
本実施例では、オブジェクトに対して層形成処理を実行することで、各層のスライス層データを決定する。スライス層データは層色データ及び層構造データを含む。ここで、層色データはオブジェクトの色情報を示し、層構造データはオブジェクトの印刷位置を示す。層色データとオブジェクトの背景色データとが一致する場合に層色データ及び層構造データを分析し、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致しない場合に層色データを分析することで、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する。これにより、3D物体用のフルカラーデータの処理方法を提供することができる。この処理方法では、3Dオブジェクトをスライスし、スライス後に生成された層色データ及び層構造データを分析し、データの形で3Dオブジェクトのフルカラー情報を示すことで、3Dオブジェクトのスライス層及び背景画像の色が一致する場合に判別することができ、印刷しないこと又は印刷間違いの発生を避けることができる。
【0018】
図2は本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法のフローチャートである。実施例1を基にし、図2に示すように、本実施例の方法において、ステップ101は、具体的に、以下のステップを含む。
オブジェクトに対してスキャン処理を実行してオブジェクトのオブジェクト情報を得る。
オブジェクト情報を層形成用のスライスソフトにより認識されるデータ形式のオブジェクト情報に変換する。
形式変換後のオブジェクト情報に対して層形成処理を実行してビットマップ画像を生成する。
ビットマップ画像を解析して各層のスライス層データを決定する。
各層のスライス層データの層色データをカラーフォーマット変換して処理後の各層のスライス層データを得る。
【0019】
本実施例では、具体的に、3Dオブジェクトのオブジェクト情報を得て、オブジェクト情報を、例えばステレオリソグラフィー(Stereolithography、単に「STL」と記す)形式、ポリゴンファイルフォーマット(Polygon File Format、単に「PLY」と記す)形式、仮想現実モデリング言語(Virtual Reality Modeling Language、単に「VWRL」と記す)形式等、処理端末の層形成用のスライスソフトにより認識されるデータ形式に変換することにより、層形成用のスライスソフトにより認識されるデータ形式のオブジェクト情報を得る。ここで、オブジェクト情報は層を単位とする。そして、形式変換後のオブジェクト情報に対して、層形成用のスライスソフトでスライス処理即ち層形成処理を実行することで、ビットマップ画像を生成することができる。その後、各ビットマップ画像を解析して各層のスライス層データを得る。ここで、ビットマップ画像は複数の画素の組み合わせで形成されたラスタ画像である。スライス層データは画素に含まれるデータ情報であり、各層の層色データは画素内に含まれる層色データであり、各層の層構造データは画素内に含まれる構造データである。
【0020】
従来技術では、スライス層データに含まれる層色データ及び構造データは同じデータである。具体的には、従来技術において、層形成によりビットマップ画像が生成された場合に、ビットマップ画像の背景色を3Dオブジェクトの色と異なるいずれか1つの色に定義し、即ち、ビットマップ画像の背景色と3Dオブジェクトの色とを異ならせる。そして、層色データを読み取ると同時に該層色データが印刷部分に属するか否かを判定する。層色データが示す色が背景画像の色と異なる場合には、印刷部分であると判定する。そうではない場合には、印刷する必要がない背景色であると判定する。
【0021】
ところが、本実施例では、層色データが示す色と背景画像の色とが同一であるか否かについて限定しないため、データ上でフルカラーの目的を果たすことができる。本実施例では、スライスして層を形成して得たスライス層データにおける層色データと層構造データとは、内容が異なる2つのデータとして、それぞれが異なる印刷情報を示し、即ち、層色データが3Dオブジェクトの色情報を示し、層構造データが3Dオブジェクトの印刷位置を示す。また、各層のスライス層データは、3Dオブジェクトの材料情報を更に含んでもよい。該材料情報は、3Dオブジェクトが単一材料又は多材料で印刷されることを示し、具体的な必要に応じて設定すればよい。
【0022】
ここで、3Dオブジェクトに対して層形成処理を実行して層色データを得るステップにおいて、グラフィックソフトウェアで3Dオブジェクトの層色データを直接に描画することができる。例えば、グラフィックソフトウェアのCAD、Proe、Solidwork、UG、3DMax等で層色データを描画する。ここで、グラフィックソフトウェアで描画したのは3Dオブジェクトの基本構造モデルである。
【0023】
層色データは赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の組み合わせにより形成されたデータである。スライスソフトで3Dオブジェクトに対して層を形成して得たスライス層データは、印刷に適用する際に層印刷データに変換する必要がある。具体的には、各層のスライス層データの層色データをカラーフォーマット変換することで、処理後の各層のスライス層データを得る。例えば、層色データは、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の組み合わせによるカラーシステムで記憶されたデータであり、印刷に適用する際に、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の組み合わせで記憶されたデータを変換して、1画素内の赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の組み合わせで記憶された層色データをシアン(C)、マゼンタ(M)、黄色(Y)の組み合わせ、又はシアン(C)、マゼンタ(M)、黄色(Y)、黒色(K)の組み合わせ、又はシアン(C)、マゼンタ(M)、黄色(Y)、白色(W)の組み合わせ、又は他の色の組み合わせに変換する必要があり、これにより、変換後の層色データを得る。例えば、1画素内の赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の組み合わせで記憶された層色データをシアン(C)、マゼンタ(M)、黄色(Y)の組み合わせに変換する。
【0024】
ステップ102は2つの形態で実現できる。
【0025】
ステップ102を実現するための第1の形態とするステップS1021では、以下の処理を実行する。
ビットマップ画像の数が1である場合に、ビットマップ画像の各画素の層色データを逐一に分析して、層色データが示す内容を決定する。
層色データとオブジェクトの背景色データとが一致する場合に、ビットマップ画像の各画素の層構造データを逐一に分析して、層構造データが示す内容を決定し、これにより、層色データが示す内容及び層構造データが示す内容に基づいてオブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する。
層色データとオブジェクトの背景色データとが一致しない場合に、層色データが示す内容に基づいてオブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する。
【0026】
本実施例では、具体的に、ビットマップ画像の数が1である場合に、該ビットマップ画像内の画素に含まれるスライス層データは層色データ及び層構造データを含む。層色データはカラーシステムの形で含まれたデータであり、層色データ及び層構造データは対立した2つのデータである。例えば、該ビットマップ画像において1画素の層色データが赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の組み合わせによるカラーシステムで記憶されたデータであり、白色が(255,255,255)であり、層構造データが0又は1である場合に、該画素に含まれるスライス層データは、(255,255,255,0)、(0,255,255,255)、(255,0,255,255)、又は(255,255,0,255)である。
【0027】
この場合、該ビットマップ画像の各画素の層色データ及び層構造データを逐一に分析して3Dオブジェクトの層の色を決定することができる。ビットマップ画像の数が1である場合、該ビットマップ画像における各画素に含まれた層色データ及び層構造データを抽出し、各画素における赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)のデータを分析して、層色データが示す内容を決定すると同時に、各画素の層構造データを分析して、層構造データが示す内容を決定することができる。
【0028】
具体的には、該ビットマップ画像の各画素の層色データを逐一に分析して、層色データが示す内容を決定することができる。層色データとオブジェクトの背景色データとが一致する場合には、ビットマップ画像の各画素の層構造データを逐一に分析して、層構造データが示す内容を決定する。これにより、層色データが示す内容及び層構造データが示す内容に基づいて、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する。層色データとオブジェクトの背景色データとが一致しない場合には、ビットマップ画像の各画素の層構造データを逐一に分析して層構造データが示す内容を決定する必要はない。この場合には、直接に層色データが示す内容に基づいてオブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定することができる。これにより、方法が簡単になり、作動資源を省くことができる。
【0029】
例を挙げて説明する。図3は本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法で生成された1つのビットマップ画像の模式図である。図3は24ビットのビットマップ画像である。図3に示すように、3Dオブジェクト11における白色の部分は背景画像と区別できない。具体的に説明すると、図4は本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法における3Dオブジェクトの模式図1であり、図4に示すように、3Dオブジェクト11は非白色の部分12及び白色の部分13を有する。
【0030】
図5は本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法における3Dオブジェクトの非白色の部分の画素アレイの模式図1である。図5には、図4における3Dオブジェクト11の非白色の部分12の画素アレイが示されており、図5に示すように、3Dオブジェクト11に対して層を形成して、層色データ及び層構造データを得て、非白色の部分12における1画素に対して抽出して分析する。該画素について、層色データ及び層構造データが記憶されており、層色データは赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)のカラーシステムで記憶されたデータである。図5に示すように、該画素は3Dオブジェクト11の非白色の部分12に属し、ビットマップ画像の背景色が白色であるため、層構造データを抽出しなくても、該画素が印刷すべき部分であると判定できる。
【0031】
図6は本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法における3Dオブジェクトの白色の部分の画素アレイの模式図1である。図6には、図4における背景画像及び3Dオブジェクト11の白色の部分13の画素アレイが示されており、図6に示すように、3Dオブジェクト11に対して層を形成して、層色データ及び層構造データを得て、白色の部分13における1画素に対して抽出して分析する。該画素について、層色データ及び層構造データが記憶されており、層色データは赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)のカラーシステムで記憶されたデータである。該画素が白色であるため、ビットマップ画像の背景色及び3Dオブジェクト11の白色の部分13のうちどちらであるかは決定できない。よって、層色データに対応した層構造データを抽出し、該層構造データを分析して、層構造データが示す内容を決定する。層構造データは、対立するデータの0又は1を含む。ここで、0は、該ビットマップ画像において背景画像とする部分を示し、1は該ビットマップ画像において3Dオブジェクト実体とする部分を示す。又は、1は該ビットマップ画像において背景画像とする部分を示し、0は該ビットマップ画像において3Dオブジェクト実体とする部分を示す。
【0032】
ステップ102を実現するための第2の形態とするステップ1022では、以下の処理を実行する。
ビットマップ画像が第1のビットマップ画像及び第2のビットマップ画像を含む場合には、第1のビットマップ画像における各画素の層色データを抽出して分析して、層色データが示す内容を決定する。
層色データとオブジェクトの背景色データとが一致する場合には、第1のビットマップ画像における各画素に一対一に対応した第2のビットマップ画像における各画素の層構造データを抽出して分析して、層構造データが示す内容を決定することで、層色データが示す内容及び層構造データが示す内容に基づいて、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する。
層色データとオブジェクトの背景色データとが一致しない場合には、層色データが示す内容に基づいて、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する。
【0033】
ここで、第1のビットマップ画像は24ビットのビットマップ画像であり、第2のビットマップ画像は二値画像である。
【0034】
本実施例では、具体的に、ビットマップ画像の数が2である場合に、第1のビットマップ画像及び第2のビットマップ画像を含み、第1のビットマップ画像の画素に含まれるデータは層色データであり、第2のビットマップ画像の画素に含まれるデータは層構造データである。第1のビットマップ画像は24ビットのビットマップ画像であり、第2のビットマップ画像は二値画像である。例えば、第1のビットマップ画像における1画素の層色データは赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の組み合わせによるカラーシステムで記憶されたデータであり、白色は(255,255,255)であり、第2のビットマップ画像において第1のビットマップ画像の画素に対応した画素の層構造データは0又は1である。
【0035】
この場合には、第1のビットマップ画像における各画素の層色データと、第1のビットマップ画像における各画素に一対一に対応した第2のビットマップ画像における各画素の層構造データとを逐一に分析することで、層の色を決定する。例えば、第1のビットマップ画像における1画素に含まれる層色データを抽出し、該画素における赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)のデータを分析し、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)のデータを分析することで該画素の層色データが示す内容を決定した後に、第1のビットマップ画像の該画素に対応した第2のビットマップ画像における画素の層構造データを抽出し、該画素の層構造データが示す内容を決定する。
【0036】
具体的には、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致する場合に、第1のビットマップ画像における各画素に一対一に対応した第2のビットマップ画像における各画素の層構造データを抽出して分析して、層構造データが示す内容を決定し、その後、層色データが示す内容及び層構造データが示す内容に基づいて、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定することができる。一方で、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致しない場合には、第1のビットマップ画像における各画素に一対一に対応した第2のビットマップ画像における各画素の層構造データを抽出して分析する必要はなく、層色データが示す内容に基づいて直接にオブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定することができる。
【0037】
例を挙げて説明する。図7は本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法で生成された第2のビットマップ画像の模式図である。図7に示すように、層形成後に生成された第2のビットマップ画像は二値画像であり、層構造データは二値画像データである。ここで、11は3Dオブジェクトを示す。図8は本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法で生成された第2のビットマップ画像における1画素に含まれる層構造データの模式図である。3Dオブジェクト11の層形成後の第2のビットマップ画像における1画素に含まれる層構造データは、図8に示すように、層構造データが対立する2つのデータのうちの0又は1を含む。ここで、0は該二値画像において背景画像とする部分を示し、1は該二値画像において3Dオブジェクト実体とする部分を示す。又は、1は該二値画像において背景画像とする部分を示し、0は該二値画像において3Dオブジェクト実体とする部分を示す。
【0038】
図9は本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法で生成された第1のビットマップ画像の模式図である。図8図7の二値画像に対応した第1のビットマップ画像、即ち層色データの24ビットのビットマップである。図9に示すように、3Dオブジェクト11が白色の部分を有するため、背景色と区別できない。具体的に、図10は本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法における3Dオブジェクトの模式図2である。図10に示すように、3Dオブジェクト11は非白色の部分121及び白色の部分131を有する。
【0039】
3Dオブジェクト11に対して層を形成させて、層色データ及び層構造データを得てから、抽出して分析する。図11は本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法における3Dオブジェクトの非白色の部分の画素アレイの模式図2である。図11図10における3Dオブジェクト11の非白色の部分121の画素アレイであり、図11に示すように、該アレイにおいて、画素は赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の組み合わせで記憶された層色データを含む。該アレイにおける1画素について、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の組み合わせで記憶された層色データを抽出し、該層色データに基づいて、該画素の色が非白色で印刷すべき非白色の部分121であると決定する。図12は本発明の実施例2に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法における3Dオブジェクトの白色の部分の画素アレイの模式図2である。図12には、図10における背景画像及び3Dオブジェクト11の白色の部分131の画素アレイが示されている。該アレイにおいて、画素は赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の組み合わせで記憶された層色データを含む。該アレイにおける1画素について、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の組み合わせで記憶された層色データを抽出し、該層色データに基づいて該画素の色が白色であると判定する。この場合、画素が第1のビットマップ画像の背景色であるのか、3Dオブジェクト11の白色の部分131であるのかは判定できない。よって、該画素に対応した図3における画素の層構造データの0又は1を抽出して、該画素が背景画像であるのか、3Dオブジェクト11の白色の部分131であるのかを判定する。
【0040】
本発明の方法について、2つの形態で実現できる。第1の形態では、オブジェクトの全ての層の色が決定されるまで第1の処理工程及び第2の処理工程を繰り返す。
【0041】
ここで、第1の処理工程は、オブジェクトに対して層形成処理を実行して、予め設定された数の層のスライス層データを決定する工程を繰り返すことを含む。スライス層データは層色データ及び層構造データを含む。
【0042】
第2の処理工程は、予め設定された数の層の層色データ及び層構造データを分析して、オブジェクトの予め設定された数の層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する工程を繰り返すことを含む。ここで、予め設定された数の層の層色データ及び層構造データを分析することは、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致する場合に層色データ及び層構造データを分析し、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致しない場合に層色データを分析することを含む。
【0043】
第1の形態では、3Dオブジェクトの予め設定された数の層のスライス層データのみを分析すれば3Dオブジェクトの予め設定された数の層の色を決定することができる。例えば、層形成ソフトウェアで3Dオブジェクトに対して1層を形成し、該層のスライス層データを得て、スライス層データの層色データ及び層構造データを抽出して分析すると同時に、層形成ソフトウェアで次の1層の形成処理を実行し、3Dオブジェクト体に対する分析が完了するまで上記処理を繰り返す。
【0044】
第2の形態は、第3の処理工程及び第4の処理工程を含む。
【0045】
第3の処理工程は、オブジェクトに対して層形成処理を実行して、全ての層のスライス層データを決定する工程を繰り返すことを含む。スライス層データは層色データ及び層構造データを含む。
【0046】
第4の処理工程は、全ての層の層色データ及び層構造データ夫々を分析して、オブジェクトの全ての層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する工程を繰り返すことを含む。ここで、全ての層の層色データ及び層構造データ夫々を分析することは、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致する場合に層色データ及び層構造データを分析し、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致しない場合に層色データを分析することを含む。
【0047】
第2の形態では、3Dオブジェクトの全ての層のスライス層データを得て、全ての層のスライス層データを逐一に分析することで、各層のスライス層データにおける層色データ及び層構造データを分析する必要がある。即ち、全ての層に対する分析が完了するまで、層毎に画素毎に抽出して分析することにより、オブジェクトの層の色を得る。
【0048】
本実施例では、オブジェクトに対して層形成処理を実行して、各層のスライス層データを決定する。スライス層データは層色データ及び層構造データを含む。ここで、層色データはオブジェクトの色情報を示し、層構造データはオブジェクトの印刷位置を示す。ビットマップ画像の数によって、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致する場合に層色データ及び層構造データを分析し、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致しない場合に層色データを分析することで、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する。これにより、3D物体用のフルカラーデータの処理方法を提供することができる。この処理方法では、3Dオブジェクトをスライスし、スライス後に生成された層色データ及び層構造データを分析し、データの形で3Dオブジェクトのフルカラー情報を示すことで、3Dオブジェクトのスライス層及び背景画像の色が一致する場合に判別することができ、印刷しないこと又は印刷間違いの発生を避けることができる。
【0049】
図13は本発明の実施例3に係る3D物体用のフルカラーデータの処理装置の構成模式図である。図13に示すように、本実施例に係る装置は、層形成モジュール31及び分析モジュール32を備える。
【0050】
層形成モジュール31は、オブジェクトに対して層形成処理を実行して、各層のスライス層データを決定するためのものである。スライス層データは層色データ及び層構造データを含む。ここで、層色データはオブジェクトの色情報を示し、層構造データはオブジェクトの印刷位置を示す。
【0051】
分析モジュール32は、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致する場合に層色データ及び層構造データを分析し、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致しない場合に層色データを分析することで、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定するためのものである。
【0052】
本実施例の3D物体用のフルカラーデータの処理装置は、本発明の実施例1に係る3D物体用のフルカラーデータの処理方法を実行することができ、その実行原理が類似するため、ここで説明を省略する。
【0053】
本実施例では、オブジェクトに対して層形成処理を実行して、各層のスライス層データを決定する。スライス層データは層色データ及び層構造データを含む。ここで、層色データはオブジェクトの色情報を示し、層構造データはオブジェクトの印刷位置を示す。層色データとオブジェクトの背景色データとが一致する場合に層色データ及び層構造データを分析し、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致しない場合に層色データを分析して、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する。これにより、3D物体用のフルカラーデータの処理方法を提供することができる。この処理方法では、3Dオブジェクトをスライスし、スライス後に生成された層色データ及び層構造データを分析し、データの形で3Dオブジェクトのフルカラー情報を示すことで、3Dオブジェクトのスライス層及び背景画像の色が一致する場合に判別することができ、印刷しないこと又は印刷間違いの発生を避けることができる。
【0054】
図14は本発明の実施例4に係る3D物体用のフルカラーデータの処理装置の構成模式図である。図14に示すように、本実施例に係る装置の層形成モジュール31は、実施例3を基とし、層形成子モジュール311を備える。
【0055】
層形成子モジュール311は、以下の処理を実行するためのものである。
オブジェクトに対してスキャン処理を実行してオブジェクトのオブジェクト情報を得る。
オブジェクト情報を層形成スライスソフトにより認識されるデータ形式のオブジェクト情報に変換する。
形式変換後のオブジェクト情報に対して層形成処理を実行してビットマップ画像を生成する。
ビットマップ画像を解析して各層のスライス層データを決定する。
【0056】
層形成モジュール31はさらに変換子モジュール312を備える。
【0057】
変換子モジュール312は、層形成子モジュール311がビットマップ画像を解析して各層のスライス層データを決定した後に、各層のスライス層データの層色データをカラーフォーマット変換して処理後の各層のスライス層データを得るためのものである。
【0058】
分析モジュール32は、具体的に以下の処理を実行するためのものである。
ビットマップ画像の数が1である場合には、ビットマップ画像の各画素の層色データを逐一に分析して、層色データが示す内容を決定する。
層色データとオブジェクトの背景色データとが一致する場合には、ビットマップ画像の各画素の層構造データを逐一に分析して、層構造データが示す内容を決定することで、層色データが示す内容及び層構造データが示す内容に基づいてオブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する。
層色データとオブジェクトの背景色データとが一致しない場合には、層色データが示す内容に基づいて、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する。
【0059】
又は、分析モジュール32は、具体的に以下の処理を実行するためのものである。
ビットマップ画像が第1のビットマップ画像及び第2のビットマップ画像を含む場合には、第1のビットマップ画像における各画素の層色データを抽出して分析して、層色データが示す内容を決定する。
層色データとオブジェクトの背景色データとが一致する場合には、第1のビットマップ画像における各画素に一対一に対応した第2のビットマップ画像における各画素の層構造データを抽出して分析して、層構造データが示す内容を決定することで、層色データが示す内容及び層構造データが示す内容に基づいて、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する。
層色データとオブジェクトの背景色データとが一致しない場合には、層色データが示す内容に基づいて、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する。
第1のビットマップ画像は24ビットのビットマップ画像であり、第2のビットマップ画像は二値画像である。
【0060】
装置は、具体的に、オブジェクトにおける全ての層の色が決定されるまで、第1の処理工程及び第2の処理工程を繰り返すためのものである。
【0061】
第1の処理工程は、オブジェクトに対して層形成処理を実行して、予め設定された数の層のスライス層データを決定する工程を繰り返すことを含む。スライス層データは層色データ及び層構造データを含む。
【0062】
第2の処理工程は、予め設定された数の層の層色データ及び層構造データを分析して、オブジェクトの予め設定された数の層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する工程を繰り返すことを含む。ここで、予め設定された数の層の層色データ及び層構造データを分析することは、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致する場合に層色データ及び層構造データを分析し、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致しない場合に層色データを分析することを含む。
【0063】
又は、装置は、具体的に、第3の処理工程及び第4の処理工程を行うためのものである。
【0064】
第3の処理工程は、オブジェクトに対して層形成処理を実行して、全ての層のスライス層データを決定する工程を繰り返すことを含む。スライス層データは層色データ及び層構造データを含む。
【0065】
第4の処理工程は、全ての層の層色データ及び層構造データ夫々を分析して、オブジェクトの全ての層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する工程を繰り返すことを含む。ここで、全ての層の層色データ及び層構造データ夫々を分析することは、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致する場合に層色データ及び層構造データを分析し、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致しない場合に層色データを分析することを含む。
【0066】
スライス層データは材料情報を更に含む。
【0067】
本実施例では、オブジェクトに対して層形成処理を実行して、各層のスライス層データを決定する。スライス層データは層色データ及び層構造データを含む。ここで、層色データはオブジェクトの色情報を示し、層構造データはオブジェクトの印刷位置を示す。ビットマップ画像の数によって、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致する場合に層色データ及び層構造データを分析し、層色データとオブジェクトの背景色データとが一致しない場合に層色データを分析することで、オブジェクトの層の色を決定して、オブジェクトの印刷情報を決定する。これにより、3D物体用のフルカラーデータの処理方法を提供することができる。この処理方法では、3Dオブジェクトをスライスし、スライス後に生成された層色データ及び層構造データを分析し、データの形で3Dオブジェクトのフルカラー情報を示すことで、3Dオブジェクトのスライス層及び背景画像の色が一致する場合に判別することができ、印刷しないこと又は印刷間違いの発生を避けることができる。
【0068】
当業者であれは、以下のことが理解できる。上記各方法に係る実施例の全部又は一部のステップはプログラム指令に係るハードウェアにより実現される。前述したプログラムはコンピュータにより読み取られる記憶媒体に記憶されてもよい。該プログラムは、上記の各方法に係る実施例のステップを実行する。前述した記憶媒体は、ROM、RAM、磁気ディスク、又は光ディスクなど、プログラムのコードを記憶することが可能な媒体を含む。
【0069】
前述した実施例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を制限するものではない。前述した実施例に基づいて本発明を詳しく説明したが、当業者であれば、前述した各実施例に記載の発明を変更し、又はその一部の技術的特徴を均等に置き換えることができ、これらの変更又は置き換えは、技術の本質を各実施例に係る発明の思想及び範囲から逸脱させることがないと理解できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14