(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853306
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】薄肉ボトル容器用の開栓支援機能付き携行用保持具
(51)【国際特許分類】
B65D 23/00 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
B65D23/00 U
B65D23/00 P
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-126496(P2019-126496)
(22)【出願日】2019年7月5日
(65)【公開番号】特開2021-11289(P2021-11289A)
(43)【公開日】2021年2月4日
【審査請求日】2019年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】509316235
【氏名又は名称】株式会社アイズファクトリー
(74)【代理人】
【識別番号】100096596
【弁理士】
【氏名又は名称】村下 憲司
(72)【発明者】
【氏名】岩本 栄吉
【審査官】
▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−264340(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3066948(JP,U)
【文献】
実開昭51−080996(JP,U)
【文献】
実公昭48−040632(JP,Y1)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0079314(US,A1)
【文献】
意匠登録第1221245(JP,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由端に軸頭要素を備えた第一の係止片と、自由端に軸頭要素を備え且つ他端に固定軸を備えた第二の係止片とが、前記他端側で回動自在に連結されており、前記第一の係止片と第二の係止片の各自由端に備えられた軸頭要素が合わさることで形成される軸頭は吊り下げ具の一端に設けられた軸受部と連結し、前記固定軸は吊り下げ具の他端に設けられた軸受部と連結することで、吊り下げ具が係止具に回動自在に連結され、係止状態が維持されることを特徴とする薄肉ボトル容器用の開栓支援機能付き携行用保持具。
【請求項2】
前記第一の係止片と第二の係止片のそれぞれには、指を添えるための把持部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の薄肉ボトル容器用の開栓支援機能付き携行用保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットボトル特に薄肉ペットボトルなどのボトル容器において用いられる開栓支援機能付きの携行用保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、飲料や液体調味料などを収容する容器としてペットボトルが広く用いられているが、環境負荷の低減や軽量化及びリサイクルを含む産業廃棄物処理の適正化要求から、使用する樹脂量を大幅に減じた薄肉ペットボトルの利用が主流となっている。
【0003】
しかしながら、使用する樹脂量を大幅に減じて薄肉のペットボトルとした結果、僅かな圧力で容易に変形してしまうため、ボトル容器を把持しての開栓が容易に行えず、開栓できたとしてもボトル容器の胴部に加わる把持力により容器が内側方向に撓み、収納している飲料や液体調味料が開口部から吐出してしまうという問題点があった(第一の問題点)。
【0004】
また、ボトル容器を持ち運ぶための吊り下げ具を係止具に取り付けた場合、ボトル容器の重さが吊り下げ具を取付けた係止具の一部に掛かり、その部分を基点にして係止具全体に引っ張る力が加わるため、係止具の形状が撓むことになる。そのため、吊り下げ具を取付ける部位によっては、係止具の撓みによりその係合が解かれてボトルネック部から離脱し、ボトル容器が落下してしまうという問題点があった(第二の問題点)。
【0005】
この改善策として、第一の問題点については、薄肉ボトル容器で最も硬度が維持されているのがボトルネック部であることに着目し、当該ボトルネック部の表面と内面が面密着するよう係止具を装着し、当該係止具又は係止具に設けた把持部に手を添えてボトル容器の栓を開けることで、ボトル容器内の飲料や液体調味料を吐出させることなく開栓できるようにし、且つ、内部の飲料を飲み、又は、内部の液体調味料を注ぎ出せるようにした。
【0006】
また、第二の問題点については、吊り下げ具の係止具への取付け部を係止具の係合部付近となるよう配置し、且つ、係合部にボトル容器の重さが加わることで係止力が増すようにすることで、ボトル容器やボトル容器に収納される飲料や液体調味料の重量により確実に係止が行われるようにし、それによりボトル容器の落下を防止できるようにした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3066948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、薄肉ペットボトルなどのボトル容器では安定的な開栓が困難なほか、内部の飲料を飲み又は液体調味料を注ぎ出すことも容易でなく、しかも、吊り下げて持ち運ぶ際に自重で係止部などが撓んで係合が解かれ、ボトル容器が落下し易い点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上の課題を解決するために開発された薄肉ボトル容器用の開栓支援機能付き携行用保持具であり、自由端に軸頭要素を備えた第一の係止片と、自由端に軸頭要素を備え且つ他端に固定軸を備えた第二の係止片とが、前記他端側で回動自在に連結されており、前記第一の係止片と第二の係止片の各自由端に備えられた軸頭要素が合わさることで形成される軸頭は吊り下げ具の一端に設けられた軸受部と連結し、前記固定軸は吊り下げ具の他端に設けられた軸受部と連結することで、吊り下げ具が係止具に回動自在に連結され、係止状態が維持されることを特徴とする。
【0010】
本発明はまた、上の薄肉ボトル容器用の開栓支援機能付き携行用保持具であって、第一の係止片と第二の係止片のそれぞれには、指を添えるための把持部が設けられていることも特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る薄肉ボトル容器用の開栓支援機能付き携行用保持具は、薄肉ペットボトルなどのボトル容器であっても安定的に開栓や注ぎ出しを行うことができるほか、ボトル容器とその内部の飲料の重さでしっかり係止状態が維持されるため、持ち運びに際して落下の虞がない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は本発明に係る薄肉ボトル容器用の開栓支援機能付き携行用保持具の実施例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は第一の係止片と第二の係止片の構成を示す平面図である。
【
図3】
図3は第一の係止片と第二の係止片が他端側で連結された状態を示す平面図である。
【
図4】
図4は第一の係止片と第二の係止片を閉じた状態の係止具を示す平面図である。
【
図5】
図5は吊り下げ具の構成を示す斜視図である。
【
図6】
図6は把持部に指を添えてボトル容器を開栓する状態を示す説明図である。
【
図7】
図7は吊り下げ具を持ってボトル容器を運ぶ状態を示す説明図である。
【
図8】
図8は把持部に指を添えて飲料を飲む状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明に係る薄肉ボトル容器の開栓支援機能付き携行用保持具の実施例を示す斜視図、
図2は第一の係止片と第二の係止片の構成を示す斜視図、
図3は第一の係止片と第二の係止片が他端側で連結された状態を示す平面図、
図4は第一の係止片と第二の係止片を閉じた状態を示す平面図、
図5は吊り下げ具の構成を示す斜視図、
図6は把持部に指を添えてボトル容器を開栓する状態を示す説明図、
図7は吊り下げ具を持ってボトル容器を運ぶ状態を示す説明図、
図8は把持部に指を添えて飲料を飲む状態を示す説明図であり、1は係止具、2は第一の係止片、3は第二の係止片、4は第一の係止片の自由端に備えられた軸頭要素、5は第二の係止片の自由端に備えられた軸頭要素、6は軸頭、7は吊り下げ具、8は固定軸が連結される軸受部、9は第二の係止片の他端に設けられた固定軸、10は軸頭が連結される軸受部、11は第一の係止片と第二の係止片が連結される回転軸、12は開栓や飲料を飲む際に指で押える把持部、13は軸頭の軸部、14は固定軸の軸部である。
【実施例】
【0014】
本発明に係る薄肉ボトル容器の開栓支援機能付き携行用保持具は大きく係止具1と吊り下げ具7とから構成され、係止具1は更に第一の係止片2と第二の係止片3とから構成される。
【0015】
第一の係止片2はその自由端に軸頭要素4が備えられており、また、第二の係止片3はその自由端に軸頭要素5が備えられ、且つ、他端には固定軸9が設けられており、第一の係止片2と第二の係止片3はその他端側で回転軸11を中心に回動可能に連結されている。
【0016】
そうして、第一の係止片2と第二の係止片3を開いてボトル容器のボトルネック部に嵌め込み、第一の係止片2と第二の係止片3を閉じると、第一の係止片2の自由端に備えられた軸頭要素4と第二の係止片3の自由端に備えられた軸頭要素5が合わさることで軸頭6が形成されるようになっている。
【0017】
かくして、係止具1が
図4に示す状態になったら、次いで、係止具1に吊り下げ具7が取り付けられる。吊り下げ具7は
図5に示すとおり、一端には固定軸9が嵌め込まれる軸受部8が設けられており、他端には軸頭6が嵌め込まれる軸受部10が設けられており、軸受部8と軸受部10は共に上下逆向きのヒョウタン状に切り欠かれた孔部として形成されている。
【0018】
そうして、軸受部8には固定軸9を、軸受部10には軸頭6を、ヒョウタン状の広い孔部に挿入し、次いで、固定軸9の軸部14と軸頭6の軸部13を狭い孔部に移動させることで、軸部14と軸部13の双方は狭い孔部の縁部に締め付けられ、係止具1の全体がボトルネック部を締め込むことで、吊り下げ具7が強い係止状態を維持しつつ、回動自在に連結されることになる。
【0019】
かくして、係止具1と吊り下げ具7が連結され、
図1に示す状態となったら、例えば、ボトル容器を開栓する際は
図6に示すとおり、係止具1又は第一の係止片2と第二の係止片3に設けた把持部12に指を添えるだけで容易にキャップを回すことができ、また、ボトル容器を持ち運ぶ際は
図7に示すとおり、強固且つ回動自在に連結された吊り下げ具7を持ち上げて安定的に運ぶことができる。更に、ボトル容器内の飲料を飲む際は
図8に示すように、把持部12を指で押えて口内に注ぎ込むことで、安定的に飲料を飲むことができる。もちろん同様にして、ボトル容器内の液体調味料を注ぎ出すこともできる。加えて、ボトル容器のボトルネック部と係止具1との面密着をより強固なものとするため任意で、第一の係止片2と第二の係止片3の内側面にゴムなどの摩擦体を設け、又は、内側面に小さな凹凸を形成しても良い。
【0020】
本発明に係る薄肉ボトル容器の開栓支援機能付き携行用保持具を用いることで安定的に開栓し、飲料を飲み又は液体調味料を注ぎ出せるのは、ボトル容器で最も硬度が維持されているボトルネック部の表面と係止具1の内面が面密着の状態でしっかり締め付けられているためであるが、これは吊り下げ具7によりボトル容器を持ち運ぶ際の安定性にも貢献している。
【0021】
すなわち、第一の係止片2の自由端に備えられた軸頭要素4と第二の係止片3の自由端に備えられた軸頭要素5が合わさることで軸頭6が形成されるが、その軸部13は吊り下げ具7の他端に設けられたヒョウタン型の軸受部10の狭い方の孔部で締め付けられて離脱困難な状態になり、ボトル容器の重さが掛かることで軸頭6の軸受部10への係合がより強固且つ確実に行われるため、係止具1が撓んで係合が解かれ、ボトル容器が落下してしまうことがない。
【0022】
この点、例えば、先行技術として示した実用新案登録第3066948号の公報に記される携帯用ペットボトルホルダでは、本発明の軸頭6と同じ部位に係止片とこれが係合する溝があり、本発明の吊り下げ具7に相当する紐類を取付ける掛け部が、環状体上の支持軸と係合部の中間付近に設けられているが、この構成では重量のあるボトルを紐類で持ち上げた場合、掛け部を基点にして環状体全体に引っ張る力が加わるため、環状体の形状が撓んで係止片と溝との係合が解かれ、ボトルが落下し易くなる傾向があった。
【0023】
本発明に係る薄肉ボトル容器の開栓支援機能付き携行用保持具はこの点に着目し、上の欠点を解消するため、如上の構成を採用したものであり、本来は重さが加わった場合に最も破綻し易いのは係合部や接合部であるところ、敢えて係合部に当たる軸頭6にボトル容器の重さが掛かるようにし、しかしボトル容器の重さが加わることでその係合がより強固・確実に行われるようにして、ボトル容器の落下防止を図ったのが、本発明である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明に係る薄肉ボトル容器の開栓支援機能付き携行用保持具は薄肉ペットボトルなどのボトル容器に用いられるものであるが、薄肉ペットボトル以外のボトル容器にも利用することが可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 係止具
2 第一の係止片
3 第二の係止片
4 軸頭要素
5 軸頭要素
6 軸頭
7 吊り下げ部
8 軸受部
9 固定軸
10 軸受部
11 回転軸
12 把持部
13 軸部
14 軸部