(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853320
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】スクリューコンベヤ、シールド掘削機および排土方法
(51)【国際特許分類】
E21D 9/12 20060101AFI20210322BHJP
E02F 7/02 20060101ALI20210322BHJP
B65G 33/14 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
E21D9/12 J
E02F7/02
B65G33/14
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-172481(P2019-172481)
(22)【出願日】2019年9月24日
(65)【公開番号】特開2021-50476(P2021-50476A)
(43)【公開日】2021年4月1日
【審査請求日】2020年9月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 憲
(72)【発明者】
【氏名】志田 智之
(72)【発明者】
【氏名】高見沢 計夫
【審査官】
荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−076398(JP,A)
【文献】
特開平08−199974(JP,A)
【文献】
特開昭53−087534(JP,A)
【文献】
特開平04−068194(JP,A)
【文献】
実開平04−119898(JP,U)
【文献】
特開2002−240923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 1/00−9/14
E02F 5/00−7/10
B65G 33/00−33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を一定方向に搬送する第一搬送区間と、前記第一搬送区間の搬送方向後側において前記搬送物の攪拌を行う攪拌区間と、前記攪拌区間の搬送方向後側において前記搬送物を一定方向に搬送する第二搬送区間とを備えるスクリューコンベヤであって、
前記攪拌区間における回転軸の外面には、周方向に間隔をあけて立設された複数のパドル羽根が前記回転軸の軸方向に間隔をあけて複数列配設されており、
前記第一搬送区間および前記第二搬送区間における前記回転軸の外面には、螺旋状のスクリュー羽根が配設されていることを特徴とする、スクリューコンベヤ。
【請求項2】
前記パドル羽根は、板状を呈しており、前記搬送物に対して前記一定方向と反対方向に押し込む力を作用するように板面が傾斜していることを特徴とする、請求項1に記載のスクリューコンベヤ。
【請求項3】
筒状の外殻を備える本体部と、
前記本体部の前方に設けられたカッターヘッドと、
前記本体部の前部に形成された隔壁と、
前記カッターヘッドと前記隔壁との間に形成されたチャンバーから土砂を排出するスクリューコンベヤと、
前記スクリューコンベヤ内に添加剤を注入する注入手段と、を備えるシールド掘削機であって、
前記スクリューコンベヤは、前記土砂をチャンバー内からチャンバー外方向に移送する螺旋状のスクリュー羽根が設けられた第一搬送区間と、前記第一搬送区間の搬送方向後側において前記土砂を攪拌する複数のパドル羽根が配設された攪拌区間と、前記攪拌区間の搬送方向後側において前記土砂をチャンバー内からチャンバー外方向に移送する螺旋状のスクリュー羽根が設けられた第二搬送区間と、を備えていることを特徴とする、シールド掘削機。
【請求項4】
前記注入手段は、前記パドル羽根および前記スクリュー羽根が設けられた回転軸に形成された複数の注入孔から、前記攪拌区間または前記攪拌区間のチャンバー側に添加剤を注入することを特徴とする、請求項3に記載のシールド掘削機。
【請求項5】
スクリューコンベヤを利用してシールド掘削機のチャンバー内の土砂を排出する排土方法であって、
前記スクリューコンベヤは、前記土砂を前記チャンバー内から前記チャンバー外方向に移送する螺旋状のスクリュー羽根が設けられた第一搬送区間と、前記第一搬送区間の搬送方向後側において前記土砂を攪拌する複数のパドル羽根が配設された攪拌区間と、前記攪拌区間の搬送方向後側において前記土砂を前記チャンバー内から前記チャンバー外に移送する螺旋状のスクリュー羽根が設けられた第二搬送区間と、を備えており、
前記チャンバー内に面した取込口から前記スクリューコンベヤに前記土砂を取り込むとともに、前記攪拌区間または前記攪拌区間の前記チャンバー側において前記スクリューコンベヤ内に添加剤を注入し、
前記攪拌区間において前記土砂と前記添加剤とを攪拌することを特徴とする、排土方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリューコンベヤ、シールド掘削機および排土方法に関する。
【背景技術】
【0002】
泥土圧シールド工法では、掘削土に添加剤を加え、難透水性を付与し、スクリューコンベヤにプラグゾーン(止水ゾーン)を形成することで、チャンバー内の圧力と切羽の圧力(土圧+地下水圧)とのバランスを取りながら施工を行う。掘削土に難透水性が不足し、スクリューコンベヤ終端で大気圧まで圧力低下ができない場合は、噴発が発生するおそれがある。
そのため、高水圧下での施工では、スクリューコンベヤに添加剤(例えば、ポリアクリルアミド等の高分子剤)を供給することで、噴発の抑制を図る場合がある。しかしながら、スクリューコンベヤは、攪拌機能を備えていないため、添加剤は、未反応薬剤のロス分を含んだ十分な量を添加する必要があり、費用の低減化の妨げとなっていた。
そのため、特許文献1には、スクリューコンベヤの回転軸に、螺旋状のスクリュー羽根とともに、パドル羽根を取り付けることで、混合効率を高める構成が開示されている。しかしながら、連続したスクリュー羽根の間にパドル羽根を設けた場合であっても、土砂はスクリュー羽根によって移送されるのみで、攪拌の効果は小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−18345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、未反応薬剤のロス分を減らすとともに噴発の発生を抑制し、なおかつ効率的に掘削土砂の搬出を可能としたスクリューコンベヤ、シールド掘削機および排土方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明のスクリューコンベヤは、
搬送物を一定方向に搬送する第一搬送区間と、前記第一搬送区間の搬送方向後側において前記搬送物の攪拌を行う攪拌区間と、前記攪拌区間の
搬送方向後側において前記搬送物を一定方向に搬送する
第二搬送区間とを備えている。前記攪拌区間における回転軸の外面には、周方向に間隔をあけて立設された複数のパドル羽根が前記回転軸の軸方向に間隔をあけて複数列配設されており、前記
第一搬送区間および前記第二搬送区間における前記回転軸の外面には、螺旋状のスクリュー羽根が配設されている。
かかるスクリューコンベヤによれば、攪拌区間を備えているため、スクリューコンベヤ内において添加剤と土砂とが効率的に混合され、ひいては、圧力が高いチャンバー内から土砂を排出する際の噴発の発生を抑制することができる。また、攪拌区間において添加剤と土砂との攪拌混合が効率的に行われるため、添加剤の添加量を必要最小限に抑えることができる。
なお、前記パドル羽根が、板状を呈しており、前記搬送物に対して前記一定方向と反対方向に押し込む力を作用するように板面が傾斜していれば、攪拌効率がより向上する。すなわち、攪拌区間の手前側の搬送区間から攪拌区間に押し込まれた搬送物に対して、攪拌区間において逆向きの力を付与することで、攪拌効率が向上する。なお、搬送物は、パドル羽根同士の間を通過するため、攪拌区間において搬送物が詰まることもない。
【0006】
また、本発明のシールド掘削機は、筒状の外殻を備える本体部と、前記本体部の前方に設けられたカッターヘッドと、前記本体部の前部に形成された隔壁と、前記カッターヘッドと前記隔壁との間に形成されたチャンバーから土砂を排出するスクリューコンベヤと、前記スクリューコンベヤ内に添加剤を注入する注入手段とを備えるものであって、前記スクリューコンベヤは、
前記土砂をチャンバー内からチャンバー外方向に移送する螺旋状のスクリュー羽根が設けられた第一搬送区間と、前記第一搬送区間の搬送方向後側において前記土砂を攪拌する複数のパドル羽根が配設された攪拌区間と、前記攪拌区間の
搬送方向後側において前記土砂をチャンバー内からチャンバー外方向に移送する螺旋状のスクリュー羽根が設けられた
第二搬送区間とを備えている。
かかるシールド掘削機によれば、スクリューコンベヤ内の攪拌区間において土砂と添加剤とが混合されるため、必要最小限の添加剤によりチャンバー内から排出された土砂の噴発を抑制することができる。すなわち、スクリューコンベヤ内に添加剤を添加し、スクリューコンベア内の圧力が取込口(チャンバー側)から排出口(坑口側)に向かって徐々に減少するプラグゾーンを形成することで噴発を抑制する。
また、前記注入手段は、前記パドル羽根および前記スクリュー羽根が設けられた回転軸に形成された複数の注入孔から、前記攪拌区間または前記攪拌区間のチャンバー側に添加剤を注入するものであるのが望ましい。このシールド掘削機によれば、スクリューコンベヤの側面に形成された注入孔などから添加剤を注入する場合に比べて、添加剤を予め分散させた状態で注入することが可能となるため、添加剤の攪拌効率がより向上する。
【0007】
また、本発明の排土方法は、スクリューコンベヤを利用してシールド掘削機のチャンバー内の土砂を排出するものであって、前記スクリューコンベヤは、
前記土砂をチャンバー内からチャンバー外方向に移送する螺旋状のスクリュー羽根が設けられた第一搬送区間と、前記第一搬送区間の搬送方向後側において前記土砂を攪拌する複数のパドル羽根が配設された攪拌区間と、前記攪拌区間の
搬送方向後側において前記土砂をチャンバー内からチャンバー外方向に移送する螺旋状のスクリュー羽根が設けられた
第二搬送区間とを備えており、前記チャンバー内に面した取込口から前記スクリューコンベヤに土砂を取り込むとともに、前記攪拌区間または前記攪拌区間の前記チャンバー側において前記スクリューコンベヤ内に添加剤を注入し、前記攪拌区間において前記土砂と前記添加剤とを攪拌する。
かかる排土方法によれば、スクリューコンベヤ内の攪拌区間において土砂と添加剤とを混合するため、噴発を抑制できる。また、パドル羽根が設けられた攪拌区間において添加剤を混合するため、全長にわたってスクリュー羽根が設けられた従来のスクリューコンベヤに比べて攪拌効率が高い。その結果、添加剤の添加量を最小限に抑えることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスクリューコンベヤ、シールド掘削機および掘削土砂排出方法によれば、掘削土砂と添加剤とを効率よく攪拌することで未反応薬剤のロス分を減らすとともに噴発の発生を抑制し、なおかつ効率的に掘削土砂を搬出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係るシールド掘削機を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態では、高地下水圧の地盤中において、シールド掘削機1を利用して泥土圧シールド工法によってトンネルを施工する場合について説明する。シールド掘削機1は、
図1に示すように、筒状の外殻を備える本体部2と、本体部2の前方に設けられたカッターヘッド3と、本体部2の前部に形成された隔壁4と、カッターヘッド3と隔壁4との間に形成されたチャンバー5から土砂を排出するスクリューコンベヤ6と、スクリューコンベヤ6内に添加剤を注入する注入手段7とを備える。
カッターヘッド3により切削された土砂は、チャンバー5に取り込まれる。チャンバー5に取り込まれた土砂は、スクリューコンベヤ6によりトンネル坑内に排出された後、ベルトコンベヤ等の搬送手段8を介してトンネル坑外へと搬送する。なお、チャンバー5内は、通常、切羽の圧力(土圧+地下水圧)以上の圧力に保たれている。そのため、スクリューコンベヤ6に取り込まれた土砂をスクリューコンベヤ6から排出する際(スクリューコンベヤ6から搬送手段8の移し替える際)に噴発が発生することを抑制するために、スクリューコンベヤ6内において添加剤を土砂に混合する。
【0011】
スクリューコンベヤ6は、
図2に示すように、円筒状の外筒61と、外筒61の中心部に配設された回転軸62と、回転軸62に回転力を付与する動力源(例えば、モータ)63と、回転軸62の外面に設置されたパドル羽根64と、回転軸62の外面に設置された螺旋状のスクリュー羽根65とを備えている。スクリューコンベヤ6の一端はチャンバー5内に挿入されていて、スクリューコンベヤ6の取込口6aはチャンバー5内に面している。一方、スクリューコンベヤ6の他端は、隔壁4の坑口側に配置されていて、排出口6bが搬送手段8の上方に配設されている。スクリューコンベヤ6は、一端側が他端側よりも低くなるように傾斜した状態で設けられている。
【0012】
本実施形態のスクリューコンベヤ6の内部は、土砂(搬送物)と添加剤との攪拌混合を行う攪拌区間66と、攪拌区間66の前後において土砂を一定方向(チャンバー5内からチャンバー5外方向)に搬送する第一搬送区間67および第二搬送区間68とを備えている。なお、第一搬送区間67と第二搬送区間68とを区別しない場合には、単に搬送区間67,68と称する。
回転軸62は、円柱状の部材であって、動力源63の動力により、軸心を中心に回転する。攪拌区間66における回転軸62の外面には複数のパドル羽根64が配設されており、搬送区間67,68における回転軸62の外面には螺旋状のスクリュー羽根65が配設されている。攪拌区間66にスクリュー羽根65は配置されておらず、搬送区間67,68にパドル羽根64は配設されていない。また、回転軸62には、第一搬送区間67において複数の注入孔69が形成されている。注入孔69は、回転軸62の周方向に間隔をあけて複数形成されているとともに、回転軸62の軸方向に間隔をあけて複数列(本実施形態では2列)形成されている。さらに、回転軸62には、注入手段7が接続されている。なお、回転軸62の軸方向前後に配設された注入孔69は、回転軸62の周方向にずらした位置(千鳥状)に配設してもよい。
【0013】
注入手段7は、添加剤を貯留する添加剤槽71と、添加剤槽71から回転軸62に至る注入管72と、注入管72を介して添加剤槽71内の添加剤を回転軸62に圧送する圧送ポンプ73とを備えている。注入手段7は、回転軸62に形成された複数の注入孔69から、スクリューコンベヤ6内に添加剤を注入する。添加剤には、ポリアクリルアミド等の高分子剤を使用する。添加剤は、流動性の高い土砂の水分を吸収するとともに周囲の土粒子と反応して団粒化(凝集)することによって、土砂の流動性を低下させる。土砂の流動性が低下することで、スクリューコンベヤ6の排出口6bからの噴発が抑制される。
スクリューコンベヤ6に添加する添加剤の量は、スクリューコンベヤ6から排出される土量および排土状況に応じて適宜設定する。すなわち、スクリューコンベヤ6の排土能力に応じて設定された基準添加量を基準として、スクリューコンベヤ6から排土された土量や、スクリューコンベヤ6から排土された土砂の状況(土質や添加剤の混合状況等)に応じて、添加量を調整する。
【0014】
スクリュー羽根65は、螺旋状に加工された板材からなり、スクリューコンベヤ6内に取り込まれた土砂を、チャンバー5内(切羽側)からチャンバー5外方向(坑口側)へ搬送する。スクリューコンベヤ6内には、スクリュー羽根65に代えて、複数のパドル羽根64が配設された区間がある。本実施形態では、スクリュー羽根65の2ピッチ分(スクリュー羽根65が回転軸62を一周するのに要する区間を1ピッチとする)をパドル羽根64の区間(攪拌区間66)とする。
【0015】
複数のパドル羽根64は、回転軸62の周方向に間隔をあけて立設されている。本実施形態では、四枚のパドル羽根64が等間隔に配設されている。また、本実施形態では、回転軸62の周方向に並ぶ四枚のパドル羽根64の列が、回転軸62の軸方向に間隔をあけて四列配設されている。パドル羽根64は、回転軸62の軸方向から見た際に、回転軸62の軸方向で隣り合う他のパドル羽根64の列におけるのパドル羽根64同士の中間位置に配置されている。すなわち、複数のパドル羽根64は、千鳥状に配置されている。
また、パドル羽根64は、板状を呈している。また、パドル羽根64は、搬送物に対して一定方向(切羽側から坑口側に向かう方向)と反対方向(坑口側から切羽側に向かう方向)に押し込む力を作用するように、板面が回転軸62と直交する面に対して傾斜している(捻じれている)。パドル羽根64は、スクリューコンベヤ6内に取り込まれた土砂と、注入手段7を介して注入孔69から注入された添加剤とを攪拌する。
【0016】
スクリューコンベヤ6を利用したチャンバー5内の土砂の排土方法では、まず、チャンバー5内に面したスクリューコンベヤ6の取込口6aから土砂を取り込む。スクリューコンベヤ6に取り込まれた土砂は、第一搬送区間67のスクリュー羽根65によって、坑口側(攪拌区間66)に搬送される。このとき、スクリューコンベヤ6には、注入手段7により添加剤を添加する。注入手段7は、スクリューコンベヤ6の動力源63のON/OFFと連動しており、動力源63とともに作動する。そのため、スクリューコンベヤ6内に土砂を取り込むとともに、スクリューコンベヤ6内に添加剤が添加される。土砂が攪拌区間66に到達すると、パドル羽根64によって土砂と添加剤が攪拌混合される。
【0017】
攪拌区間66では、スクリュー羽根65が無いために土砂の移動速度が遅くなる(土砂が滞留する)とともに、第一搬送区間67から攪拌区間66に押し込まれた土砂に対してパドル羽根64によってチャンバー5向きの押し返す力が作用することで、土砂の流れが乱されるため、土砂と添加剤との攪拌が促進する。また、間欠的に配設されたパドル羽根64によって土砂の塊を切断してかき回す力が作用することで、土砂および添加剤の攪拌混合が行われる。さらに、土砂と添加剤との混合体は、パドル羽根64同士の間を通過することで、攪拌区間66を通過する。
攪拌区間66を通過した土砂と添加剤との混合体は、第二搬送区間68のスクリュー羽根65によってスクリューコンベヤ6の排出口6bへ搬送された後、排出口6bから排出される。排出口6bから排出された混合体は、搬送手段8によりトンネル坑外に搬送される。
【0018】
本実施形態のスクリューコンベヤ6(シールド掘削機1)を利用した排土方法によれば、スクリュー羽根65をパドル羽根64に変更した攪拌区間66を備えているため、スクリューコンベヤ6内において添加剤と土砂とが効率的に混合される。そのため、圧力が高いチャンバー5内から土砂を排出する際の噴発の発生を、必要最小限の量の添加剤により抑制することができる。
また、パドル羽根64が、土砂に対して搬送方向と反対方向に押し込む力を作用するように板面が傾斜した板状部材であるため、攪拌効率が高い。すなわち、攪拌区間66の手前側の第一搬送区間67から押し込まれた土砂に対して、攪拌区間66において逆向きの力を付与することで、攪拌効率が向上する。また、土砂は、パドル羽根64同士の間を通過するため、攪拌区間66において搬送物が詰まる(圧密される)こともない。
添加剤は、回転軸62に形成された複数の注入孔69から注入するため、添加剤と土砂との混合を効率的に行うことができる。すなわち、回転軸62に形成された複数の注入孔69から添加剤を予め分散させた状態で注入することで添加剤の攪拌効率がより向上する。
【0019】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、泥土圧シールド工法について説明したが、シールド工法は限定されるものではなく、例えば、気泡シールド工法であってもよい。なお、本実施形態のスクリューコンベヤ6を気泡シールド工法で使用する場合は、添加剤として消泡剤を使用すればよい。
【0020】
前記実施形態では、攪拌区間66が1区間の場合について説明したが、スクリューコンベヤ6は、複数の攪拌区間66を有していてもよい。
攪拌区間66の区間長は、適宜決定すればよいが、スクリュー羽根65の2ピッチ分以内に設定するのが望ましい。
【0021】
また、パドル羽根64の枚数および配置は限定されるものではない。例えば、回転軸62の周方向に対して3枚配設したものを回転軸62の軸方向に3列配置してもよいし、回転軸62の周方向に4枚の列と3枚の列とを回転軸62の軸方向に交互に配置してもよい。また、パドル羽根64は必ずしも千鳥状に配置する必要はない。
前記実施形態では、パドル羽根64の板面が、回転軸62と直交する面に対して傾斜しているものとしたが、パドル羽根64の板面の角度は限定されるものではなく、例えば、回転軸62と直交する面と平行であってもよい。
【0022】
また、注入孔69の形成箇所は、第一搬送区間67に限定されるものではなく、攪拌区間66に形成してもよい。また、第一搬送区間67に注入孔69を形成する場合において、注入孔69は、第一搬送区間67と攪拌区間66との境界からスクリュー羽根65の1〜2ピッチ分手前に形成するのが望ましい。
注入手段7の構成は限定されるものではない。例えば、注入手段7は必ずしも回転軸62に接続されている必要はなく、スクリューコンベヤ6の外筒61に形成された注入孔から添加剤を注入してもよい。また、添加剤は、複数個所から注入してもよい。
【符号の説明】
【0023】
1 シールド掘削機
2 本体部
3 カッターヘッド
4 隔壁
5 チャンバー
6 スクリューコンベヤ
61 外筒
62 回転軸
63 動力源
64 パドル羽根
65 スクリュー羽根
66 攪拌区間
67 第一搬送区間(搬送区間)
68 第二搬送区間(搬送区間)
7 注入手段
8 搬送手段