特許第6853334号(P6853334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6853334光合成生物の特徴の改善、及びそれに関する制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853334
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】光合成生物の特徴の改善、及びそれに関する制御
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   A01G7/00 601C
【請求項の数】21
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-213581(P2019-213581)
(22)【出願日】2019年11月26日
(62)【分割の表示】特願2016-568784(P2016-568784)の分割
【原出願日】2015年2月9日
(65)【公開番号】特開2020-62016(P2020-62016A)
(43)【公開日】2020年4月23日
【審査請求日】2019年12月23日
(31)【優先権主張番号】621039
(32)【優先日】2014年2月10日
(33)【優先権主張国】NZ
(73)【特許権者】
【識別番号】516240710
【氏名又は名称】バイオルミック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ウォージェント,ジェイソン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン・デル・ウェルフ,マシュー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】サザン,テリー ロビン
【審査官】 佐藤 智子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−153691(JP,A)
【文献】 特開2001−28947(JP,A)
【文献】 特開2010−94109(JP,A)
【文献】 特開2004−166638(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0298459(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0298052(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0020536(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
H05B 47/00−47/10
F21V 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光合成生物の少なくとも1つの特徴を制御するための光照射システムであって、該光照射システムは標的領域に光を当てるように構成され、該光照射システムは、
(a)標的領域上に位置付けられる、光を供給する少なくとも1つの発光体;
(b)少なくとも1つの発光体により発せられ光の少なくとも1つの特徴を制御するための手段;
(c)少なくとも1つの発光体と標的領域の相対位置を変えるよう構成されたコンベヤ;及び
(d)予め定義された照射量レジームが保管される媒体を読み取るよう構成された照明制御装置
備え
照明制御装置は、予め定義された照射量レジームに従い、標的領域に該少なくとも1つの発光体により発せられ光の少なくとも1つの特徴を変えるように構成され、該発光体により発せられる光の1つ以上の特徴が、該発光体によって発せられる光の方向性、標的領域の上の発光体の位置、標的領域の上の発光体の高さ、および光が発光体によって発せられる持続時間からなる群より選択され、
少なくとも1つの発光体は、280−320nmのUV−B範囲にある波長を有するスペクトルコンテンツを生成し、該UV−Bは、周辺光における既存のUV−Bレベルに基づいて、周辺光レベルを補充し、そして
光合成生物の1つ以上の特徴が、耐久力、彩色、香り、耐病性および耐虫性、収穫後の増加(increased post−harvest)、保存可能期間、ならびに貴重な生体化合物の生合成の増加からなる群より選択される
ことを特徴とする光照射システム。
【請求項2】
少なくとも1つの発光体は1つのアレイにある、ことを特徴とする請求項1に記載の光照射システム。
【請求項3】
少なくとも1つの発光体により発せられ光の少なくとも1つの特徴を制御するための少なくとも1つのフィルタを備える、請求項1又は2に記載の光照射システム。
【請求項4】
少なくとも1つの発光体により標的領域に発せられる光が、実質的に320nm−400nmのUV−A範囲、実質的に622nm−780nm(赤色)の範囲、または実質的に455nm−492nm(青色)の範囲にある波長を持つスペクトルコンテンツを有する、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の光照射システム。
【請求項5】
照明制御装置は、少なくとも1つの発光体及び標的領域の相対位置が変えられる速度を制御する、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の光照射システム。
【請求項6】
コンベヤは、標的領域の上に少なくとも1つの発光体を調節自在に位置付けるように構成される、ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の光照射システム。
【請求項7】
コンベヤは、少なくとも1つの発光体と標的領域との間の間隔を調節するように構成される、ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の光照射システム。
【請求項8】
光照射システムは、標的領域に、又はその付近に位置付けられる光センサを備える、ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の光照射システム。
【請求項9】
光センサは照明制御装置にフィードバックをもたらし、該照明制御装置は、光センサからのフィードバックに基づいて、少なくとも1つの発光体により標的領域に発せられる光の少なくとも1つの特徴を変更する、ことを特徴とする請求項8に記載の光照射システム。
【請求項10】
光合成生物の少なくとも1つの特徴を制御するための光照射システムを制御する方法であって、光合成生物の1つ以上の特徴が、耐久力、彩色、香り、耐病性および耐虫性、収穫後の増加(increased post−harvest)、保存可能期間、ならびに貴重な生体化合物の生合成の増加からなる群より選択され、該光照射システムは:
光を生成するための少なくとも1つの発光体であって、該発光体の少なくとも1つは、実質的に280−320nmのUV−B範囲にある波長を持つスペクトルコンテンツを生成し、該UV−Bは、周辺光における既存のUV−Bレベルに基づいて、周辺光レベルを補充する、少なくとも1つの発光体、
該少なくとも1つの発光体により標的領域に発せられる光の少なくとも1つの特徴を制御するための手段、
該少なくとも1つの発光体と標的領域の相対位置を変えるよう構成されたコンベヤ、ならびに
照明制御装置であって、予め定義された照射量レジームを保管した媒体を読み取り、および予め定義された照射量レジームに従って少なくとも1つの発光体により発せられる光の少なくとも1つの特徴を制御するように構成された、照明制御装置
を備え、
該方法は、
a.光強度、発せられる光のスペクトルコンテンツ、発せられる光の方向性、標的領域の上の少なくとも1つの発光体の位置、標的領域の上の少なくとも1つの発光体の高さ、および発せられる光の持続時間の少なくとも1つを制御する工程、
b.コンベヤにより少なくとも1つの発光体を搬送する工程、
c.照明制御装置にフィードバックをもたらすために、光センサを使用する工程、および
d.該光センサからのフィードバックに基づいて、光強度、発せられる光のスペクトルコンテンツ、発せられる光の方向性、標的領域の上の少なくとも1つの発光体の位置、標的領域の上の少なくとも1つの発光体の高さ、および発せられる光の持続時間の少なくとも1つを調節する工程であって、該発せられる光のスペクトルコンテンツが、280−320nmのUV−B範囲にある波長を含む、工程
を含む、方法。
【請求項11】
光合成生物の少なくとも1つの特徴を制御するための光照射システムを使用して植物の特徴を制御する方法であって、光合成生物の1つ以上の特徴が、耐久力、彩色、香り、耐病性および耐虫性、収穫後の増加(increased post−harvest)、保存可能期間、ならびに貴重な生体化合物の生合成の増加からなる群より選択され、該光照射システムは:
光源を生成するための少なくとも1つの発光体であって、該少なくとも1つの発光体は、実質的に280−320nmのUV−B範囲にある波長を持つスペクトルコンテンツを生成し、該UV−Bは、周辺光における既存のUV−Bレベルに基づいて、周辺光レベルを補充する、少なくとも1つの発光体、
該少なくとも1つの発光体により標的領域に発せられる光の少なくとも1つの特徴を制御するための手段、
該少なくとも1つの発光体と標的領域の相対位置を変えるよう構成されたコンベヤ、ならびに
照明制御装置であって、予め定義された照射量レジームを保管した媒体を読み取り、および予め定義された照射量レジームに従って少なくとも1つの発光体により発せられる光の少なくとも1つの特徴を制御するように構成された、照明制御装置
を備え、
該方法は、
a)標的領域に少なくとも1つの植物を配置する工程、
(b)光強度、発せられる光のスペクトルコンテンツ、発せられる光の方向性、標的領域の上の少なくとも1つの発光体の位置、標的領域の上の少なくとも1つの発光体の高さ、および標的領域における植物に対して発せられる光の持続時間の少なくとも1つを制御する工程、
(c)照明制御装置にフィードバックをもたらすために、光センサを使用する工程、および
(d)該光センサからのフィードバックに基づいて、光強度、発せられる光のスペクトルコンテンツ、発せられる光の方向性、標的領域の上の少なくとも1つの発光体の位置、標的領域の上の少なくとも1つの発光体の高さ、および発せられる光の持続時間の少なくとも1つを調節する工程であって、発せられる光のスペクトルコンテンツが、280−320nmのUV−B範囲にある波長を含む、工程
を含む、方法。
【請求項12】
光照射の波長、強度、および持続時間の少なくとも1つが再現可能に与えられる、請求項1に記載の光照射システム。
【請求項13】
発光体と標的領域の相対位置が、標的領域に対して平行である単軸に沿って変えられる、請求項1に記載の光照射システム。
【請求項14】
発光体と標的領域の相対位置が、標的領域に対して平行である平面に沿って変えられる、請求項1に記載の光照射システム。
【請求項15】
発光体と標的領域の相対位置が、標的領域に対する三次元空間において変えられる、請求項1に記載の光照射システム。
【請求項16】
コンベヤが、標的領域に対して平行である平面に沿って、発光体と標的領域の相対位置を変える、請求項10または11に記載の方法。
【請求項17】
コンベヤが、標的領域に対する三次元空間において、発光体と標的領域の相対位置を変える、請求項10または11に記載の方法。
【請求項18】
植物の少なくとも1つの特徴を制御するための光照射システムであって、光合成生物の1つ以上の特徴が、耐久力、彩色、香り、耐病性および耐虫性、収穫後の増加(increased post−harvest)、保存可能期間、ならびに貴重な生体化合物の生合成の増加からなる群より選択され、該光照射システムは標的領域に光を当てるように構成され、該光照射システムは:
(a)標的領域上に位置付けられ、二次元空間方向に固定されている、光を供給する少なくとも1つの発光体;
(b)少なくとも1つの発光体により発せられる光の少なくとも1つの特徴を制御するための手段;
(c)少なくとも1つの発光体と標的領域の相対位置を変えるよう構成されたコンベヤ;および
(d)予め定義された照射量レジームが保管される媒体を読み取るよう構成された照明制御装置
を備え、
該照明制御装置は、予め定義された照射量レジームに従い、標的領域に該少なくとも1つの発光体により発せられる光の少なくとも1つの特徴を変えるように構成され、該発光体により発せられる光の1つ以上の特徴が、該発光体によって発せられる光の方向性、標的領域の上の発光体の位置、標的領域の上の発光体の高さ、および光が発光体によって発せられる持続時間からなる群より選択され、該少なくとも1つの発光体は、280−320nmのUV−B範囲にある波長を有するスペクトルコンテンツを生成することを特徴とする、光照射システム。
【請求項19】
少なくとも1つの発光体が、少なくとも1つの列に配列された複数の発光体を含むアレイ中にあり、該アレイの各列は、特定のスペクトル範囲の光を発することが可能である発光体を備える、請求項1または18に記載の光照射システム。
【請求項20】
請求項19に記載の光照射システムであって、アレイが、
(a)実質的に320nm−400nmのUV−A範囲にある波長を有する発光体の少なくとも1つの列;
(b)280−320nmのUV−B範囲にある波長を有する発光体コンテンツの少なくとも1つの列;
(c)実質的に622nm−780nm(赤色)の範囲にある波長を有する発光体の少なくとも1つの列;および
(d)実質的に455nm−492nm(青色)の範囲にある波長を有する発光体の少なくとも1つの列
を備える、光照射システム。
【請求項21】
発光体が制御装置によって選択的に活性化される、請求項19または20に記載の光照射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光合成生物の特徴の改善、及びそれに関する制御に関係する。本発明は、光合成生物の1以上の特徴を制御する方法、及び、光合成生物の1以上の特徴の制御を提供するためのシステムを含む。
【背景技術】
【0002】
近年の研究により、光合成生物の特定の特徴が光の特定の波長を適用することにより制御され得ることが示されてきた。制御される特徴の限定されない例は、移植によるショックの減少、色の変化、味の変化、疾患の減少、耐久力、及び/又は移植保管期間を含む。光合成生物の望ましい特徴を確実に再現する能力は、光合成生物が供される処置において、光の照射(dose)に対する高度な制御、又は光の照射量(dosages)のレジーム(regime)を必要とする。
【0003】
光合成生物に光の照射をもたらすために使用される現行のシステムは、特定の処置における光の照射又は照射量における正確な波長、強度、及び持続時間に必要とされる高度な制御を提供するその能力を制限される。波長、強度、及び持続時間の特質の各々は、望ましい特徴の再現性において重要な役割を果たす。それ故、これらの特質の何れか1つに対する制御を提供しないシステムはおそらく、光を照射するという形の処置を提供するための商業上のシステムが必要とする、望ましい光合成生物特徴の必要な再現性を提供することはできない。
【0004】
光合成生物に光の照射をもたらすために使用される現行のシステムの更なる短所は、規模の1つ(one of scale)である。実験室環境において、光の特定の照射の効果を判定するために少数の光合成生物を処置するために、単一の定常光アレイが使用されてもよいことが、認識されるであろう。しかし、工業規模においては、光線療法を必要とする多くの光合成生物は、かなり大きな光アレイと、対応する大多数の発光体とを必要とする場合がある。典型的に、標準のヒトが視認できる光線スペクトルの外部にある光の波長を生成する発光体は、高価である。それ故、商業的な光合成生物照射システムを商業上実行可能にするのに十分な大きさの大規模な光アレイを作るコストは、法外なコストの場合がある。
【0005】
本発明は、前述の問題に対処し、或いは、少なくとも公衆に有用な選択を提供することを目的とする。
【0006】
本明細書で引用される任意の特許又は特許出願を含む参照は全て、参照により本明細書に組み込まれる。任意の参照が先行技術を構成することは認められていない。参照についての議論はその著者が主張するものを述べ、本出願人は引用された文書の精度と適切性を要求する権利を持つ。多くの先行技術刊行物が本明細書に引用されるが、この参照は、ニュージーランド又は任意の他国での、当該技術分野における共通の一般的知識の一部をこのような文書の何れかが形成するという容認を構成しないことが、明白に理解される。
【0007】
本明細書の全体にわたり、単語「含む(comprise)」、又は「含む(comprises)」或いは「comprising」などの変形は、明示された要素、整数、又は工程、或いはそれら要素、整数、又は工程の群の包含を示唆するが、任意の他の要素、整数、又は工程、或いはそれら要素、整数、又は工程の群の排除を示唆しないことが、理解される。
【0008】
本発明の更なる態様と利点は、ほんの一例として与えられる次の記載から明白になる。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、制御された光の照射により光合成生物を照射するためのシステムに関する。光合成生物が光合成などプロセスのために日光に依存することが認識されている。用語「光合成生物」は、日光を自身のエネルギーの産生のために使用する、任意の生体、植物、又は動物を指すと理解されねばならない。
【0010】
自然光の特定の波長は、光合成生物の特定の特徴、例えば、それらの耐久力、彩色、香り、及び耐病性並びに耐虫性、収穫後の増加(increased post−harvest)、及び貴重な生体化合物の生合成の増加を変えると見出された。本発明は、光合成生物がその望ましい特徴を誘導するために制御された光の照射に供され得るシステムを提供する。
【0011】
本発明の1つの態様に従い、標的領域に光を当てるよう構成された光照射システムが提供され、該光照射システムは、以下を含む:
a)標的領域上に位置付けられる1以上の発光体;
b)発光体により発せられた光の1以上の特徴を制御するための手段;
c)発光体と標的領域の相対位置を変えるよう構成されたコンベヤ;及び
d)予め定義された照射量レジームが保管される媒体を読み取るよう構成された照明制御装置。
【0012】
ここで、照明制御装置は、予め定義された照射量レジームに従い、標的領域に1以上の発光体により発せられた光の1以上の特徴を変えるように構成される。
【0013】
好ましい実施形態において、照明制御装置は、1以上の予め定義された照射量レジームでプログラムされる場合がある。
【0014】
照射量レジームは、標的領域への光の波長の、予め定義された適用を指すと理解されねばならない。各照射量レジームは、標的領域に位置する光合成生物のための特定の処置を定義することになる。典型的に、照射量レジームは、使用される光の波長、そのような光の波長の強度、及び波長が適用される期間を定義することになる。
【0015】
予め定義された照射量レジームによる照明制御装置のプログラミングは、滞留時間、光度、及び活性化又は非活性化するための発光体、並びに伝達の速度を示すデータセットを記録するといった多くの方法で、行われる場合があることが認識される。データセットが読み取り自在となり、照明制御装置により実行されることが可能になることが認識される。本発明のこのような態様は、埋め込まれたソフトウェア設計の技術分野において周知であると考えられ、それ故、当業者に周知の態様である。
【0016】
代替的な実施形態は、1以上の照射量レジームが定義され得る、手動で調整自在なインターフェースを含む場合がある。手動で調整自在なインターフェースは、手動で設定自在なタイマー、強度調整、サイクルカウンタなどを随意に含むインターフェースを指すと理解されねばならない。
【0017】
好ましい実施形態において、1以上の照射量レジームは、照明制御装置により読み取り自在且つ実施自在な、コンピュータ可読媒体に保管される。
【0018】
標的領域への光の入射は、本発明の範囲から逸脱することなく多くの方法で提供される場合がある。例えば光は、1以上の発光体から標的領域に直接投射されてもよい。代替的に光は、1以上の発光体から、1以上のレンズ、フィルタ、又は光配向手段を介して、標的領域に向けられてもよい。
【0019】
好ましくは、光照射システムに関連した複数の発光体が存在する。しかし、幾つかの実施形態(具体的に、より小さな標的領域上で作動するもの)は、1つの発光体しか必要としない場合もある。明確にするために、本明細書は発光体を指すが、この用語は、単一及び複数の発光体の構成を指すことが認識されねばならない。
【0020】
好ましい実施形態において、各発光体が標的領域上に位置付けられる。標的領域上に位置付けられるということは、標的領域に対する発光体の相対位置を決定するために垂直成分を画定することが、認識される。
【0021】
好ましい実施形態において、発光体のアレイが存在する。
【0022】
発光体は、本発明の範囲から逸脱することのない任意の数の形態を取る場合がある。幾つかの実施形態において、多くの異なる発光体は、光波長の所望の範囲を組み込む、光の量を達成するために使用されてもよい。例えば、蛍光、LED、HID、ハロゲン、水銀蒸気、又は他の任意の数の照明技術の1以上の組み合わせが、所望の光の量に使用されてもよい。
【0023】
好ましい実施形態において、発光体により発せられた光の1以上の特徴を制御するための手段は、1以上のフィルタを含む。
【0024】
幾つかの好ましい実施形態において、発光体により発せられた光の1以上の特徴を制御するための手段は、発光体の電子制御を含む場合がある。幾つかの発光体により生成された光の強度及び波長などの特徴は、発光体により供給された電圧/電流を変えることにより異なる場合があることが、当業者に認識される。
【0025】
特定の照明技術により生成された光は、特定の光の量には望ましくない光の波長を含む場合があることが、当業者に認識される。
【0026】
望ましくない波長の除去は、多くの方法、例えば、発光体とフィルタとの間に材料を追加し、それにより、望ましくない光の波長が発光体から標的領域に到達するのを遮ることにより、行われる場合がある。本出願の目的のために、光の波長を遮るために任意の材料を加えることは、フィルタ処理の定義内に包含されることを理解されねばならない。フィルタ処理は、レンズ、コーティング、又は、光を特異的な材料に通過させることより達成される場合がある。フィルタの正確な構成は限定的なものとして見なされてはならず、帯域通過、帯域阻止、低域通過、又は広域通過の構成など、任意の数の形態で構成され得る。
【0027】
好ましい実施形態において、発光体により発せられた光の1以上の特徴を制御するための手段は、特異的なスペクトルコンテンツを持つ光を生成する発光体の選択的な活性化を含む。
【0028】
発光体の異なる技術が、特定の光の波長の生成において、コスト又は効率の点でより有効な場合があることが認識される。この結果、光の照射において使用可能な光波長の範囲を生成するために、多くの異なる光源を使用する場合がある。特定の照射のために、幾つかの波長が必要とされるが、活性化される少数の利用可能な光源しか必要としない。他のより多くの照射、又は全ての照射については、利用可能な波長が必要とされ、活性化される利用可能な発光体の全てを必要とする場合がある。
【0029】
幾つかの好ましい実施形態において、発光体により標的領域に発せられた光は、実質的に320nm−400nmのUV−A範囲の波長を持つスペクトルコンテンツを有する場合がある。
【0030】
UV−A波長の適用は、光合成生物における様々な既知の反応を誘発し、その限定されない例は、植物における葉の発色現像、及び特定の藻類における2次代謝産物の誘発を含む。UV−A波長が特定の照射から除外されることも、望ましい場合がある。例えば、UV−A波長の除外は、害虫の視覚破壊、又は植物病原胞子形成の減少に有用な場合がある。
【0031】
幾つかの好ましい実施形態において、発光体により標的領域に発せられた光は、実質的に280nm−320nmのUV−B範囲にある波長を持つスペクトルコンテンツを有する場合がある。
【0032】
UV−B波長は、光合成生物において様々な既知の反応を誘発する。植物における限定されない例は、葉の厚みの増加の刺激、二次代謝の誘発、及び茎成長の減少を含む。
【0033】
幾つかの好ましい実施形態において、発光体により標的領域に発せられた光は、実質的に622nm−780nm(赤色)の範囲にある波長を持つスペクトルコンテンツを有する場合がある。
【0034】
赤色波長は、光合成作用のために光合成生物により利用される光合成有効放射の重要な構成要素である。特定の赤色波長のバランスは、茎と葉の伸長速度を調節すると知られている。
【0035】
幾つかの好ましい実施形態において、発光体により標的領域に発せられた光は、実質的に455nm−492nm(青色)の範囲にある波長を持つスペクトルコンテンツを有する場合がある。
【0036】
青色波長は、光合成作用のために光合成生物により利用される光合成有効放射の重要な構成要素である。青色光はまた、UV波長により引き起こされるような遺伝物質への損傷を慣例的に修復し、そして故にその損傷を毎日制限するために、大半の光合成生物に必要とされる。
【0037】
照明制御装置の好ましい実施形態は、次の1つ以上を制御する:
・光度;
・照明システムにより発せられた光のスペクトルコンテンツ;
・照明システムにより発せられた光の方向性;及び/又は
・光が発せられる持続時間。
【0038】
特定の光の照射量において提示された光の強度、スペクトルコンテンツ、方向性、及び持続時間を制御する能力は、標的領域における光合成生物の特徴が、高度に再現自在であり且つ制御された方法で扱われることを可能にする。
【0039】
更に、光の照射量にもたらされる制御が大きくなるほど、その照射に対する標的領域における光合成生物への反応の可測性が大きくなる。
【0040】
発光体により生成された光の強度は、電子手段又は機械的手段の1つ或いはその両方により制御される場合がある。
【0041】
適切な電子制御手段の例は、パルス幅の変調、電流制限、電圧制限、又は、1以上の発光体の選択的なオンオフの切り換えを含む場合があるが、これらに限定されるべきではない。
【0042】
強度を制御するための機械的手段は、機械的フィルタ、又は、標的領域に対する発光体の移動、即ち、強度の増加のためにはより近接し、且つ強度の減少のためにはより遠くへの移動を含む場合がある。
【0043】
スペクトルコンテンツは、次のような多くの限定されない方法で制御される場合がある:異なる波長光出力を生成する様々な発光体を選択的に活性化すること;1以上の発光体により、或いは電圧/電流を特定の発光体に変更することにより発せられる光の経路へと、及びその経路からフィルタを機械的に切り換えること。
【0044】
光の方向性は、発光体が付けられているフレームワークの角度を機械的に調整することにより制御される場合がある。
【0045】
好ましい実施形態において、照明制御装置は、1以上の発光体の伝達の速度を制御する。
【0046】
コンベヤは、本発明の範囲から逸脱することのない任意の数の形態を取る場合があることが、認識される。
【0047】
限定されない1つの例は、移動自在なガントリ、又は同様のフレームワークである。ガントリは自己推進するものでもよく、即ち、モータを組み込み且つアセンブリを駆動させ、或いは、ケーブルなどにより引っ張れられるものであってもよい。コンベヤは幾つかの実施形態において、発光体を移動させるのではなく発光体の下に標的領域を移動させる場合がある。例えば、標的領域はコンベヤシステムの一部でもよい。
【0048】
好ましい実施形態において、コンベヤは、標的領域の上に1以上の発光体を調節自在に位置付けるように構成される。
【0049】
幾つかの実施形態において、大規模な温室(glasshouses)などにおいて、標的領域は大きな物理的領域を含む場合がある。そのような場合、完全な標的領域に有効な光の照射をもたらすのに十分な大きさの発光体のアレイを含めると、法外にコストが高くなる。そのような場合、発光体のより小さな可動性のアレイが設けられ、それは、標的領域全体に光の照射を経時的にもたらすことが可能となるように動かされ得る。
【0050】
また、標的領域に所望の強度又は波長の光をもたらすことを要求される発光体の数は、単一のアレイに物理的に付けることはできないという場合もある。そのような実施形態において、発光体及び関連するレンズ、フィルタ、及び/又はフレームワークのアレイは、照射される領域よりも物理的に大きくなる。移動自在なアレイは、発光体のアレイの物理的寸法を照射領域よりも大きくすることが可能であり、一方で照射され得る標的領域を最大化する。
【0051】
好ましくは、コンベヤは、1以上の発光体と標的領域との間の間隔を調節するように構成される。この間隔は、標的領域に対して垂直及び/又は水平に調節されてもよい。
【0052】
発光体の多くのタイプの1つの制限は、それらが光を拡散的に生成するということである。それ故、発光体から標的領域までの距離が長くなるにつれ、照射の強度は減少する。同様に、発光体と標的領域との間の距離が短くなるにつれ、強度は増加する。光合成生物が成長すると、標的領域(光合成生物)と発光体との間の距離が短くなり、それにより受け取られる照射量を効果的に調整することが、認識される。
【0053】
光アレイの垂直的な調節により、光合成生物が成長すると照射量が維持され得る好都合な手段がもたらされる。
【0054】
加えて、それにより低照射量が必要な場合、発光体は、より大きな標的領域の上に低強度の照射量をもたらすように、標的領域から更に遠く移動され得る。対照的に、高強度の照射量は、発光体を標的領域へとより接近して移動させることにより、小さな標的領域にもたらされ得る。このことは、一定の発光体の強度で低い且つ高い照射レベルの両方をもたらすという利点を持つ。
【0055】
好ましくは、照明制御装置は1以上のマイクロプロセッサを備える。
【0056】
幾つかの実施形態において、光照射システムは、標的領域に、又はその付近に位置付けられる光センサを備える場合がある。
【0057】
好ましくは、前記センサは照明制御装置にフィードバックを提供する。
【0058】
標的領域に、又はその付近に光センサを位置付けることにより、マイクロプロセッサは、標的に所望の光度をもたらすために発光体により生成された光を動的に調整することが可能となる。温室の状況において、自然光の存在と強度が、光の照射量を管理する(schedule)ために光照射システムにより使用される場合があることが、認識される。光センサの使用はまた、所望の照射量をもたらすために光照射システムが現存の光レベルを補うように、自然光のレベルを測定するために使用されてもよい。
【0059】
幾つかの好ましい実施形態において、照明制御装置は、センサフィードバックに基づいて、発光体により標的領域に発せられる光の1以上の特徴を変更する。
【0060】
幾つかの好ましい実施形態において、照明制御装置は、センサからのフィードバックに基づいて、照射量を調整する又は特定の照射量レジームを選択するように構成される。例えば、特定の光合成生物はセンサにより識別される場合があり、照明制御装置は、識別された生体、又は大きさ、色、或いは、センサにより検出される生体の他の幾つかの特質に基づいて、照射量レジームを選択する場合がある。
【0061】
光照射システムの構成は、センサからのフィードバックと、現在選択された照射量レジームとの両方に依存することが、認識される。アレイの高さ、伝達の速度、及び放出強度などの様相は、センサからのフィードバックに基づいて、同じ照射量レジームの例の間で異なる場合がある。
【0062】
本発明の更なる態様に従い、光照射システムを制御する方法が提供され、該光照射システムは、
1以上の発光体、
発光体により標的領域に発せられた光の1以上の特徴を制御するための手段;
発光体と標的領域の相対位置を変えるよう構成されたコンベヤ;及び
発光体により発せられた光の1以上の特徴を制御するように構成された照明制御装置
を含み、前記方法は:
a)発光体により標的領域に発せられる光の1以上の特徴を制御する工程
b)コンベヤにより1以上の発光体を搬送する工程
を含む。
【0063】
幾つかの実施形態において、前記方法は、光センサから照明制御装置へと光の照射量のフィードバックをもたらす付加的な工程を含む場合がある。
【0064】
好ましくは、光センサからのフィードバックに応じて、照明制御装置は、発光体により発せられた光の1以上の特徴を変えるように構成される。
【0065】
本発明のまた更なる態様に従い、光照射システムを使用して光合成生物の特徴を制御する方法が提供され、該光照射システムは、
1以上の発光体、
発光体により標的領域に発せられた光の1以上の特徴を制御するための手段;
発光体と標的領域の相対位置を変えるよう構成されたコンベヤ;及び
発光体により発せられた光の1以上の特徴を制御するように構成された照明制御装置
を含み、前記方法は:
a)標的領域に1以上の光合成生物を位置付ける工程;
b)発光体により標的領域における光合成生物に発せられた光の1以上の特徴を制御する工程
を含む。
【0066】
好ましくは、発光体により発せられた光の1以上の特徴を制御する工程は、次の1つ以上を制御する工程を含む:
・発光体により生成された光の強度;
・発光体により発せられた光のスペクトルコンテンツの1以上の様相;
・発光体により発せられた光の方向性;
・標的領域上の発光体の位置;
・標的領域からの発光体の高さ、及び/又は
・発光体により光が発せられる持続時間。
【0067】
好ましくは、制御されている光合成生物の特徴は、次の1つ以上である:
・耐久性;
・移植によるショック;
・収穫後の処理(post−harvest handling);
・保管期間;
・色;
・味;及び/又は
・耐病性。
【0068】
本発明の好ましい実施形態は、先行技術よりも多くの利点をもたらす場合があり、その限定されない例は、次のものを含む:
・制御された光の照射が、再現自在且つ商業上規模を調節自在な(scalable)方式で標的領域に適用されるのを可能にするシステムを提供すること
・光合成生物の特徴が、光合成生物が位置付けられる標的領域に対する制御された光の照射により商業上の規模で再現自在に制御されることを可能にするシステムを提供すること
・制御された光の照射が再現自在に生成されるのを可能にし、光の照射の波長、強度、及び持続時間を制御するシステムを提供すること
・標的領域の大きさに対して発光体をほとんど必要としないシステムを提供すること。
【図面の簡単な説明】
【0069】
本発明の更なる態様とは、ほんの一例として与えられる次の記載から、及び、次の添付図面を参照することにより、明白になる。
図1】本発明の1つの好ましい実施形態に従う、光合成生物に照射するための第1のシステムの斜視図を示す。
図2】本発明の1つの好ましい実施形態に従う、光合成生物に照射するための第2のシステムの斜視図を示す。
図3】本発明の1つの好ましい実施形態に従う、光合成生物に照射するための第3のシステムの斜視図を示す。
図4】本発明の1つの好ましい実施形態に従う、照明モジュールの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
<本発明を実施するための最良の形態>
図1乃至3を参照すると、制御された光の照射により、植物の形態である光合成生物に照射するためのシステムの3つの変形が示されている。しかし、図1乃至3を参照するとともに記載されるシステムは、他の光合成生物にも照射するように構成され得ることが、認識されねばならない。
【0071】
図1は、X及びZの方向で光アレイの伝達をもたらす、第1のシステム(1a)を示す。
【0072】
図2の第2のシステム(1b)は、X、Y、及びZの方向で光アレイの伝達をもたらす。
【0073】
図3の第3のシステム(1c)3は、X、Y、Zの方向での移動を提供する。
【0074】
図1乃至3に示されるシステム(1a)、(1b)、及び(1c)は、本発明の物理的構成において可能な多数の変形が存在することを示す。また、図1と2に示されるガントリ(11)のスケールは、工場において共通して見出されるものなどの、産業上の大きさのガントリシステムにスケールを合わせられる場合があることが、認識されねばならない。
【0075】
光照射システム(1a)、(1b)、及び(1c)は各々、使用時に1以上の植物(図示せず)が位置する、編み目状で示される(shown as hashed)標的領域(2)に光を向けるように構成される。照射され得る植物の数は光照射システムのスケールによってのみ制限されることが、認識される。しかし、商業上のシステムは数千の植物を照射することができると予想される。
【0076】
光照射システム(1a)、(1b)、(1c)の各々は、照明モジュール(4)に付けられた発光体(3)(図4に示される)を備える。照明モジュール(4)は発光体(3)を単に搬送する場合があるが、幾つかの場合、ヒートシンクを形成するか、又は駆動回路を包含する場合があり、その何れかのために発光体が必要とされねばならない。照明モジュール(4)と、付けられた発光体(3)は、発光体(3)から発せられた光が標的領域(2)、及び使用時に標的領域(2)の中の任意の植物へと下方に向けられるように、標的領域(2)の上に位置付けられる。
【0077】
マイクロプロセッサ、及び関連する電子駆動回路(5)は、発光体(3)により発せられた光の1以上の特徴を制御する。マイクロプロセッサ、及び関連する駆動回路(5)は、使用される発光体(3)のトポロジー、及びシステムにより使用されるセンサの数などに依存して異なることが、認識される。マイクロプロセッサ、及び関連する駆動回路(5)は、全て予め定義された照射量レジーム(図示せず)に従い、発光体(3)により発せられる光の光度、スペクトルコンテンツ、方向性、及び持続時間を制御するように構成される。予め定義された照射量レジームは、マイクロプロセッサ、又はマイクロプロセッサにより読み取り自在な関連する媒体へとプログラム化される場合がある。新規な又は付加的な照射量レジームによるマイクロプロセッサのプログラミングは、任意の数の方法で達成され得、その方法は、限定されないが、メモリモジュールなどの付加的な媒体の追加、USB又は無線技術による、或いはマイクロプロセッサに関連したユーザーインターフェースによる付加的な照射量レジームへの侵入による、マイクロプロセッサ又はマイクロプロセッサのメモリにより読み取り自在な媒体のプログラミングなどである。
【0078】
システム(1a)、(1b)、及び(1c)の各々は、発光体(3)に供給される駆動電圧/電流の調整と、発光体(3)が付けられる照明モジュール(4)の物理的な移動との組み合わせにより、光の強度を制御する。
【0079】
駆動電圧調整は、発光体(3)のトポロジーに依存して異なり、例えば、LEDはパルス幅変調(PWM)又は電流制御を使用する場合がある。他の発光体の技術は、電流制御、電圧制御、又はPWMの1以上を使用する場合がある。
【0080】
システム(1a)、(1b)、及び(1c)において、照明モジュール(4)の移動は、垂直調節モータ(6)の形にある電子アクチュエータにより実行される。標的領域(2)の方に近づいて照明モジュール(4)を動かすことにより、標的領域(2)に対する光の強度が増加し得、そして標的領域(2)から更に離れて照明モジュール(4)を動かすことにより、光の強度は低減され得る。幾つかの実施形態において、照射アレイ(4)の垂直の調節機能は、システムにより自動的に調整されるのではなく、手動で行われてもよい。
【0081】
標的領域(2)に対する光の入射のスペクトルコンテンツは、異なる発光体(3)の選択的活性化により制御される。発光体(3)は、生成する光の波長に従った群で、又は、発光体を生成する相違した波長の群で、配される場合がある。アレイにおける発光体は、本発明の範囲から逸脱することなく多くの方法で配される場合があることが、認識される。発光体の態様は、図4に関して更に詳しく議論される。
【0082】
システム(1a)、(1b)、(1c)の各々はコンベヤを含み、図1と2はガントリ(7)を使用する。図1のガントリはX方向での移動をもたらし、図2のガントリはXとYの両方向での移動をもたらす。ガントリの大きさと形状は制限されず、使用時に、設置の特定の大きさに合わせて構成される。
【0083】
代替的な実施形態は、ガントリシステムよりもコンベヤの他の形態を使用し、例えば、図3のシステム(1c)において、照明アレイは定常的なままである一方で、コンベヤベルト(20)の一部は標的領域(2)を通過する。コンベヤベルトを使用するシステムは典型的に、XとYの方向で固定されるアレイを持つが、コンベヤベルトに対して可変性のY軸又は高さを含む場合がある。時間における任意の特定の例では、標的領域は、発光体により照らされている、移動しているコンベヤベルトの領域である。標的領域の特定の例は、時間が経過するとともに発光体に対して移動する。コンベヤ(7)の機能は、より大きな標的領域(2)に対して、相対的に小さな照明モジュール(4)を移動させることである。
【0084】
標的領域(2)に対して照明モジュール(4)を移動させる能力は、特定の標的領域を覆うのに必要な発光体の数の減少により、照明モジュール(4)のコストを下げ、同様に、多様な発光体を特定の標的領域の上に位置付け自在にすることを可能にする。
【0085】
図1、2、及び3のコンベヤはまた、モータ(6)により照明モジュール(4)の垂直調節をもたらす。垂直調節により、光の照射の強度が調節されるようになり、同様に、照射された植物が成長し照明モジュール(4)の近くに移動すると、特定の照射強度が維持される。照明モジュールの垂直調節は、システムにより自動的に実行されてもよく、又は代替的に、垂直調節は手動で実行されてもよい。
【0086】
図4を参照すると、本発明の1つの好ましい実施形態により使用されるような照明モジュール(4)が示される。照明モジュール(4)は、指示子(3)により通常示されるような複数の発光体を含む。図4に示されるアレイは、4つの列である(9a)、(9b)、(9c)、及び(9d)を含み、その各々はここで11の個々の発光体(3)を含む。発光体の列(9a)、(9b)、(9c)、及び(9d)の各々は、特異的なスペクトル範囲で光を生成することができる発光体を含む。列(9a)はスペクトルのUV−A部分において光の波長をもたらし、列(9b)はスペクトルのUV−B部分において光の波長をもたらし、列(9c)はスペクトルの青色部において光の波長をもたらし、そして列(9d)はスペクトルの赤色部において光の波長をもたらす。
【0087】
列(9a)、(9b)、(9c)、及び(9d)の各々における個々の発光体の近接は、隣接する発光体により標的領域に発せられた光の重なりをもたらす。このような光の発行の重なりは、特定の列における発光体の一部のみを選択的に活性化することにより、照射の強度を変更することを可能にする。例えば、最大照射量は、列(9a)、(9b)、(9c)、(9d)において全ての発光体を活性化することにより適用される場合があり、最小照射量は、列(9a)、(9b)、(9c)、(9d)においてほんの1つの発光体を活性化することにより適用される場合がある。
【0088】
図1に示されるシステム(1a)は、標的領域(2)に位置付けられる光センサ(12)を備える。光センサ(12)は、標的領域(2)で測定された光度のフィードバックをもたらす。標的領域における光度のモニタリングにより、照明制御装置は、所望の照射量強度を自動的に達成するために、発光体の高さを上下に調整することができる。幾つかの実施形態において、別個のセンサが、照射量において使用される各タイプの波長のために設けられる場合がある。典型的な光センサに線形応答特徴が無い場合があり、それ故、別個のセンサがスペクトルの各所望の部分の測定に必要とされる場合があることが、認識される。
【0089】
図1の光照射システムはまた、照射される植物(図示せず)の上部から照明モジュールの高さを判定するためのセンサ(13)を備える。幾つかの代替的実施形態において、センサ(13)は、湿度、圧力、温度、及び色のセンサを随意に含む、様々なセンサを備えてもよい。
【0090】
植物は成長すると、発光体(3)に接近して移動し、それにより、植物が受ける光の照射量は、望ましいものよりも大きなレベルにまで増加される場合があることが、認識される。照明モジュール(4)から、照射される植物の上部までの距離を検出することにより、照明制御装置は、正確な照射量レベルをもたらすために、植物の成長に合わせて自動的に調節することができる。
【0091】
高さ/強度の関係及び典型的な植物成長速度のためにシステムを較正することにより同等な結果が達成され得るので、センサはシステムに対する随意の要素であることが認識される。光のレベルを感知するという利点は、周囲照明条件が照射量の強度に因子分解され得(factored)、同様に、周期的なタイミングが自然光パターンに一致するために使用され得るということである。
【0092】
本発明の態様はほんの一例として記載されてきたが、添付の請求項に定義されるようにその範囲から逸脱することなく、修正と追加がなされることもあることを、認識されたい。
図1
図2
図3
図4