特許第6853406号(P6853406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6853406-抗毛嚢炎用外用組成物 図000002
  • 特許6853406-抗毛嚢炎用外用組成物 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6853406
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】抗毛嚢炎用外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7048 20060101AFI20210322BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20210322BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20210322BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20210322BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20210322BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20210322BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20210322BHJP
   A61K 36/488 20060101ALN20210322BHJP
【FI】
   A61K31/7048
   A61P17/10
   A61K47/10
   A61K47/44
   A61K47/22
   A61K47/36
   A61K9/107
   !A61K36/488
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-168779(P2020-168779)
(22)【出願日】2020年10月5日
【審査請求日】2020年10月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】713011924
【氏名又は名称】片山 昌也
(72)【発明者】
【氏名】片山 昌也
(72)【発明者】
【氏名】片山 一朗
【審査官】 福山 則明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−081829(JP,A)
【文献】 特開2004−250406(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/041608(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/043350(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/102388(WO,A1)
【文献】 特開2016−102098(JP,A)
【文献】 特表2003−508041(JP,A)
【文献】 特開2007−126395(JP,A)
【文献】 JOURNAL OF PHARMACEUTICAL AND BIOMEDICAL ANALYSIS,2007年,Vol. 43,pp. 428-434
【文献】 Phytochemistry,1986年,Vol. 25, No. 7,pp. 1772-1775
【文献】 薬学生のための天然物化学,株式会社南江堂,2004年,第140−141頁
【文献】 日本臨牀,1990年,48巻10号,第132−138頁(第2284-2290頁)
【文献】 Frontiers in Veterinary Science,2018年,Vol. 5,Article 166, pp. 1-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/7048
A61K 36/488
A61K 8/00− 8/99
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プエラリン(A)を濃度0.01重量%以上、1重量%以下で含有することを特徴とする抗毛嚢炎用外用組成物
【請求項2】
エタノール(B)、常温で液体の油脂類(C)、トコフェロール(D)を含有することを特徴とする請求項1記載の抗毛嚢炎用外用組成物
【請求項3】
ヘパリン類似物質(E)を含有し、水中油型エマルジョンを特徴とする請求項1記載の抗毛嚢炎用外用組成物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛嚢炎の改善又は治療に使用される外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛嚢炎は、皮膚の毛穴(毛包)にブドウ球菌等の細菌が感染して炎症を起こす皮膚炎であり、毛包部の丘疹ないしは膿疱を中心に赤みがかる症状が一般的である。皮脂の老廃物などが毛包に蓄積し、そこに細菌が繁殖することが原因と考えられているが、薬剤の使用による免疫力の低下などの外的要因や、思春期における性ホルモンの変動などの内的要因が遠因となる場合もある。
【0003】
軽度のものは自然治癒するため治療は必要ないが、自然治癒には数日を要するのが一般的である。一方、掻破により炎症が悪化した場合や、何らかの外的要因などにより炎症が起こっている場合は、炎症を抑えるための治療が必要となる。特に顔面における悪化した毛嚢炎は、患者のQOLを著しく低下させるため治療が必要である。
【0004】
毛嚢炎は細菌感染性の炎症であるため、治療には一般的に抗生物質が処方されるが、抗生物質には抗炎症作用はないため即効性は低い。一方、皮膚の炎症を抑制するために一般的に使用されるステロイド外用薬は、免疫抑制の副作用のため毛嚢炎に使用することはできず、仮に使用したとしても治療効果は低い。
【0005】
上記のような理由から、毛嚢炎に対して即効性の高い、換言すれば抗炎症作用を有する治療方法はこれまで存在しなかったが、我々はクズ科の植物であるプエラリア・ミリフィカの根茎抽出物に毛嚢炎の炎症を抑制し治癒させる作用があることを見出し、それを用いた外用組成物をすでに開発した。(特許文献1)
【0006】
プエラリア・ミリフィカ(Pueraria mirifica)は、女性ホルモンであるエストロゲンと類似の作用を有するミロエステロール等を含有していることが知られており、副作用事例の報告もある。エストロゲンを外用剤として使用した例では、加齢によるシワの軽減(非特許文献1)や、更年期障害や卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状の緩和(非特許文献2)が知られており、我々が開発した組成物の効果も、それらの成分の作用である可能性があったが、我々の分析では、乾燥させたプエラリアミリフィカの根茎のエタノール抽出物の主成分はプエラリンであり、ミロエステロール等は微量成分であった。
【0007】
プエラリンは、同属であるクズ(Pueraria lobata)の根茎に多く含まれることが知られており、乾燥させたクズの根茎は“カッコン(葛根)”として古くから使用されている生薬である。カッコンには抗炎症作用を含む様々な作用が知られているが、その機序は現在でもよくわかっていない。クズにはプエラリンをはじめとした大豆イソフラボンが多く含まれることは知られており、カッコンの作用の一部はそれらのイソフラボン類によるものと考えられる。近年、プエラリンに抗炎症性作用があることが動物実験により確認され(非特許文献3)、ヒトにおいては循環器疾患の治療が検討されている(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2017−81829
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】International Journal of Dermatology:Vol.35,No.9,1996,669−674
【非特許文献2】ル・エストロジェル添付文書, 富士製薬工業(株)
【非特許文献3】Biochemical and Biophysical Research Communications:Vol.498,Issue4,2018,707−714
【非特許文献4】Phytother Res.:2014 Jul;28(7),961−75.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、抗毛嚢炎作用を発揮し、かつ即効性の高い抗毛嚢炎用外用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは鋭意検討した結果、葛科植物に多く含まれるプエラリンに、抗毛嚢炎作用があることを見出し、それを配合する外用組成物により、即効性の高い抗毛嚢炎治療薬を作成できることを見出した。
項1.プエラリン(A)を濃度0.01重量%以上、1重量%以下で含有することを特徴とする抗毛嚢炎用外用組成物
項2.エタノール(B)、常温で液体の油脂類(C)、トコフェロール(D)を含有することを特徴とする請求項1記載の抗毛嚢炎用外用組成物
項3.ヘパリン類似物質(E)を含有し、水中油型エマルジョンを特徴とする請求項1記載の抗毛嚢炎用外用組成物
【発明の効果】
【0012】
本発明は、抗毛嚢炎作用を発揮し、かつ即効性の高い抗毛嚢炎用外用組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は抗毛嚢炎用外用組成物の構成要素をまとめたものである。
図2図2は抗毛嚢炎用外用組成物の効果をまとめたものである
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.抗毛嚢炎用外用組成物
本発明の抗毛嚢炎用外用組成物は、プエラリンを有効成分として含有し、毛嚢炎の予防、改善および治療のために使用されるものである。
【0015】
毛嚢炎(毛包炎)は、毛嚢にブドウ球菌等の細菌が感染して引き起こされる細菌性炎症であり、細菌感染を伴うざ瘡(赤ニキビ、化膿ニキビともいう)を含む。ざ瘡には、思春期ざ瘡(尋常性ざ瘡ともいう)、思春期後ざ瘡(大人ニキビ又は吹き出物ともいう)が含まれるが、本発明の抗毛嚢炎用外用組成物の適用対象として好ましくは思春期後ざ瘡である。特に、本発明の抗毛嚢炎用外用組成物は、ステロイド剤を適用できない、もしくはステロイド剤を適用しても症状の改善が認められない毛嚢炎に対して有効である。
【0016】
尋常性ざ瘡の治療薬としては、過酸化ベンゾイルを始めとした過酸化物の外用剤や、クリンダマイシンなどの抗生物質の内服・外用薬がよく使用されているが、これらの物質には抗炎症作用がないため、一般的に即効性は低い。そのうえ、過酸化物の外用剤は刺激性が強いためかぶれなどの接触皮膚炎を起こす場合があり、抗生物質については耐性菌の発生が危惧されるため、軽度のざ瘡への使用は臨床上好ましくない。本発明の抗毛嚢炎外用組成物は、刺激性がないため接触皮膚炎のリスクは少なく、抗生物質のような使用上の制限もないため、上記の治療薬と比べて投与が容易であり、即効性も高いため、尋常性ざ瘡の治療薬として好適に使用することが可能である。尋常性ざ瘡の治療において、本発明の抗毛嚢炎外用組成物と、上記の過酸化物の外用剤、抗生物質との併用は特に制限されるものではない。
【0017】
思春期においては性ホルモンのバランスの乱れなどが原因でざ瘡を繰り返すことが多い。思春期後においても同様の理由でざ瘡を繰り返すことがある。このような再発性のざ瘡の場合、度重なる炎症により皮下組織がダメージを受けることにより、皮膚に陥没(クレーター)が生じることがよくある。このようなクレーターの治療法としては、ケミカルピーリングや光線治療などにより皮膚のターンオーバーを促進し、新しい皮膚に置き換えるアプローチがとられること多い。しかしながらこれらの処置は皮膚を刺激するため、炎症や痛みを起こすことも少なくなく、患者の皮膚の状態によってはかえって症状を悪化させてしまうこともある。
【0018】
本発明の抗毛嚢炎用外用組成物は、炎症の抑制とともに皮膚の再生を促す機能が見出されており、毛嚢炎やざ瘡後のクレーターの治療においても、単独あるいはケミカルピーリングなどと組み合わせることにより好適に使用することが可能である。
【0019】
本発明の抗毛嚢炎用外用組成物の作用機序についてはよくわかっていない。プエラリンとダイジンはダイゼインの配糖体であり、共通の骨格としてダイゼインを含む。これらはダイズイソフラボンとしても知られており、エストロゲン様作用のあるフィトエストロゲンと呼ばれる化合物群に含まれる。体内における作用は、ダイゼインまたはその代謝物が、エストロゲンレセプターを介して抗炎症作用や皮膚の再生作用をもたらしている可能性がある。
【0020】
ここで「抗毛嚢炎用」とは、上記毛嚢炎の予防用、改善用又は治療用の意味を包含するが、好ましくは改善用又は治療用である。「予防」とは、毛嚢炎の発症を抑制することを意味する。また、「改善」とは、毛嚢炎を発症した際現れる発赤、熱感、腫脹及び疼痛からなる群から選択される少なくとも一つの症状を緩和することを意味する。さらに、「治療」とは、毛嚢炎を発症した際現れる発赤、熱感、腫脹及び疼痛からなる群から選択される少なくとも一つの症状を治すことをいう。
【0021】
本明細書において、「即効性」とは、本発明の外用組成物の塗布を開始してから、遅くとも3日以内、好ましくは2日以内に、毛嚢炎を発症した際現れる発赤、熱感、腫脹及び疼痛からなる群から選択される少なくとも一つの症状を改善又は治療する効果をいう。
【0022】
本発明の抗毛嚢炎用外用組成物に使用されるプエラリンは、試薬として市販されているものを使用することができる。また、カッコンなどの生薬から溶媒を使用して抽出してもよい。エタノールや酢酸エチルなどの有機溶媒が抽出溶媒として好適であるが、それに限定されるものではない。
【0023】
プエラリンを外用組成物として使用する場合、水および油脂への溶解度の低さが問題となる。一般的に軟膏剤の基材は、ワセリンのような高粘度の油脂類、または増粘剤を添加した水である。プエラリンはこの両方に対して溶解度が低いため、軟膏剤への分散が課題となる。
【0024】
検討の結果、エタノールと油脂類の混合物、または水中油型エマルジョン(o/w型エマルジョン)がプエラリンの分散法として好適であり、以下詳細に述べる。
【0025】
本発明の抗毛嚢炎用外用組成物の剤形は、軟膏剤、クリーム剤、又は外用液剤である。 軟膏剤には、油脂性軟膏剤及び水溶性軟膏剤(マクロゴール軟膏、白色軟膏、親水ワセリン等)が含まれる。
【0026】
クリーム剤としては、水中油型(o/w型エマルジョン)クリーム剤が含まれる。
【0027】
外用液剤にはリニメント剤及びローション剤が含まれる。リニメント剤は、皮膚にすり込んで用いる液状又は泥上の外用液剤であるが、好ましくは液状である。ローション剤には、乳剤性ローション(水中油型ローション)、溶液性ローション、懸濁性ローション剤等が含まれるが、好ましくは乳剤性ローションである。
【0028】
本発明の外用組成物の基剤原料は、医薬品、医薬部外品及び化粧品を調製するために使用されるものであれば特に制限されないが、例えば、油性原料、水性原料を使用することができる。また基剤には、界面活性剤、粉体原料等を含んでいてもよい。
【0029】
油性原料としては、油脂類(アボガドオイル、ツバキ油、米ぬか油、サフラワーオイル、大豆油、コーン油、ナタネ油、杏仁油、パーシック油、ヒマワリ油、桃仁油、コットンシードオイル、ココナッツ油、小麦胚芽油、米胚芽油、月見草油、ハイブリットヒマワリ油、マカデミアナッツオイル、メドウファームオイル、ヘーゼルナッツオイル、オリーブオイル、ひまし油、セサミオイル、アーモンドオイル、グレープシードオイル、シアバター、パーム核油、パーム油、ヤシ油、カカオ脂、木ロウ、アルガンオイル、ローズヒップオイル、ミンク油、タートル油、卵黄油、牛脂、乳脂、豚脂、馬油等)、炭化水素類(植物性スクワレン、植物性スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワセリン、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、パラフィン、軟質イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動ポリイソブチレン、水添ポリイソブチレン、オゾケライト、セレシン、合成スクワラン、α−オレフィンオリゴマー、ポリブテン、ポリエチレン等)、脂肪酸エステル類(ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミスチリン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、ステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、トリカプリリン、トリミリスチン、トリオクタノイン、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ステアリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン等、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、イソステアリン酸イソセチル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、クエン酸トリオクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル等)、ロウ類(ミツロウ、ラノリン、還元ラノリン、ホホバ油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、米ぬかロウ、オレンジラフィー油、セラック、モンタンロウ等)、高級脂肪酸(ラウリル酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、エチルヘキサン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、イソトリデカン酸、イソノナン酸、ペンタデカン酸等)、高級アルコール(ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、セタノール、コレステロール、イソコレステロール、シトステロール、スチグマステロール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール等)、シリコーンオイル等が挙げられる。
【0030】
油性原料として好ましくは、油脂類(アボガドオイル、ツバキ油、米ぬか油、マカデミアナッツオイル、ヘーゼルナッツオイル、オリーブオイル、ひまし油、セサミオイル、アーモンドオイル、グレープシードオイル、シアバター、パーム核油、パーム油、ヤシ油、カカオ脂、木ロウ、アルガンオイル、ローズヒップオイル)、炭化水素類(植物性スクワレン、植物性スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワセリン、スクワレン、スクワラン、合成スクワラン)、及びロウ類(ミツロウ、ラノリン、還元ラノリン、ホホバ油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、米ぬかロウ)からなる群から選択される少なくとも一種である。油性原料としてより好ましくは、セサミオイル、スイートアーモンドオイル、植物性スクワラン、スクワラン、ワセリン、ミツロウ、シアバター、ホホバ油等である。油性原料としてさらに好ましくは、セサミオイルであり、中でも低温で搾油したセサミオイルが好ましい。
【0031】
水性原料としては、水、多価アルコール(グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、糖アルコール等)、低級アルコール(エタノール、イソプロパノール等)、単糖類(グルコース、フルクトース等)、二糖類(トレハロース、マルトース、硫酸化トレハロース、多糖類(プルラン等)、高分子類(アルギン酸、カラギーナン、寒天、グアーガム、コンニャクマンナン、タマリンドガム、タラガム、デキストリン、デンプン、ローストビーンガム、アラビアガム、ガッティガム、カラヤガム、トラガカントガム、アラビノガラクタン、ペクチン、マルメロ、小麦タンパク質、大豆タンパク質、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、アルブミン、カゼイン、ゼラチン、コラーゲン、カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、シクロデキストリン、デキストラン、サクシノグルカン、微結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン、デンプンリン酸エステル、デンプングルコール酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸塩、カチオン化グアーガム、カルボキシメチル−ヒドロキシプロピル化グアーガム、ヒドロキシプロピル化グアーガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポロエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体、高分子シリコーン、ベントナイト、ラポタイト、スメクタイト、微粉化珪素、コロイダルアルミナ等)、ヒドロキシカルボン酸ナトリウム、アミノ酸、尿素、酵母エキス、ローヤルゼリー、シルク抽出物、トリメチルグリシン等を挙げることができる。特に、水とグリセリン、ラノリンアルコール、セトステアリルアルコール等の混合物が好適である。
【0032】
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤(ヤシ油脂肪酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ステアリン酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウムなど、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、オレイル、硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−ラウロイル−N−メチルーβ−アラニントリエタノールアミン液、N−ラウロイル−L−アスパラギン酸ナトリウム塩、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、Nε−ラウロイル−L−リジン、N−ラウロイル−L−スレオニンカリウム、ステアロイル乳酸カリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、セチルリン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲンナトリウム、ヤシ油脂肪酸加水分解大豆タンパク質カリウム液、ヤシ油脂肪酸加水分解トウモロコシタンパク質カリウム、ラウリルアミノプロピオン酸液,ラウリルアミノジ酢酸ナトリウム液、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ミリストイルメチルアミノ酢酸ナトリウム等)、非イオン界面活性剤(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンオレイン酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル40、モノステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸ソルビタン、ジステアリン酸ポリグリセロール、セスキオレイン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、ラウリン酸マルチトールエステル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセロール、ジステアリン酸ポリオキシエチレンメチルグルコシド、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセロール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンミツロウ(8EO)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン液状ラノリン、ポリオキエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンセテルエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルアミン、ポリオキシエチレンオレイルセテルエーテル、ポリオキシエチレンセチルステアリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ステアリン酸ポリオキシエチレンセチルエーテル等)、カチオン界面活性剤(塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ラウリルピリジニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム等)、カチオン化加水分解ポリペプチド(塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ステアリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解ケラチン、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ヤシ油アルキルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コラーゲン、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解シルク等)、両極性界面活性剤(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルベタイン液、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン液、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン液、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシエチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシメトキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム、ラウリルジメチルアミンオキシド液、オレイルジメチルアミンオキシド等)、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DLピロリドンカルボン酸塩、塩化ジポリオキシエチレンステアリルメチルアンモニウム液、塩化トリポリオキシエチレンステアリルアンモニウム(5EO)、塩化ステアリルコラミノホルミルメチルピリジニウム等が挙げられる。界面活性剤として、セトステアリル硫酸ナトリウムなどの高級脂肪酸を骨格に含む硫酸塩が好ましい。
【0033】
本発明の外用組成物は、抗炎症効果、抗菌効果、抗真菌効果、創傷治癒効果、美白効果、肌荒れ防止効果、皮脂分泌抑制効果等を有する植物抽出物(精油、浸出油、エキス、チンキ、芳香水、芳香蒸留水、流エキス等)、保湿成分、殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0034】
植物抽出物としては、カレンデュラ抽出物(花の精油、浸出油、チンキ、エキス等)、アルニカ抽出物(花の浸出油等)、セージ抽出物(葉の精油、浸出油、チンキ、エキス等)、ローズマリー抽出物(葉の精油、浸出油、チンキ、エキス等)、ティートリー抽出物(葉の精油等)、ニーム抽出物(実の核から圧搾機で絞ったニームオイル等)、バードック抽出物(根の浸出油、エキス等)、ユーカリ抽出物(葉の精油等)、ラベンダー抽出物(花の精油、チンキ、エキス、芳香蒸留水等)、レモンバーム抽出物(葉の精油等)、ドクダミ抽出物(葉のチンキ、エキス等)、ハトムギ抽出物(実のエキス、チンキ等)、ヒース抽出物(花のエキス、チンキ等)、エキセアナ抽出物(全草のチンキ、エキス等)、ウスベニアオイ抽出物(花又は葉のエキス、チンキ等)、ジャーマンカモミール(抽出物花の精油、チンキ、エキス等)、マシュマロウ抽出物(根又は葉のエキス等)、ヤロー抽出物(花の精油、エキス、チンキ等)を挙げることができる。好ましくは、カレンデュラ抽出物(特にカレンデュラオイル)、ティートリー抽出物(葉の精油)、ドクダミ抽出物(特に葉のチンキ、エキス)、ハトムギ抽出物(実のエキス、チンキ等)であり、特に好ましくはカレンデュラオイルである。
【0035】
これらの植物抽出物は、公知の方法に従って調製してもよいが、株式会社生活の木、ナチュラスサイコス(ハーバルインデックス有限会社)、株式会社ニールズヤードレメディーズ等から購入することができる。
【0036】
保湿成分としては、ヘパリン類似物質が好適に用いられる。ヘパリン類似物質は血行障害の緩和による抗炎症作用も期待でき、その外用組成物は保湿剤として長い実績がある。
【0037】
殺菌剤又は防腐剤としては、安息香酸、デヒドロ酢酸、フェニルエタノール、フェノキシイソプロピルアルコール、ヒドロキシ安息香酸エステル類、クロルクレゾール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、プロピレングリコール、パラオキシ安息香酸エステル、ソルビテン酸、チモール等を挙げることができる。
【0038】
酸化防止剤としては、油性基材の場合はトコフェロールが好ましいが、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等も使用することができる。
【0039】
このほかに添加剤として、紫外線吸収剤(パラアミノ安息香酸及びその誘導体、ケイ皮酸及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導体、サリチル酸及びその誘導体等)、紫外線散乱剤(酸化チタン、酸化亜鉛等)、美白剤(アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、ルシノール、ビタミンC及びその誘導体、リノール酸等)、生体成分(コラーゲン、ヒアルロン酸、セラミド、ホルモン、胎盤抽出物等)を含んでいてもよい。
【0040】
また、本発明の抗毛嚢炎用外用組成物には、必要に応じて色材や香料(ローズ、ゼラニューム、ラベンダー、ハッカ、レモン、ネロリ、グレープフルーツ、オレンジ等の精油等)。pH調整剤(リン酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、ジイソプロパノールアミン、酢酸、酢酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム等)を添加してもよい。
【0041】
本発明の抗毛嚢炎用外用組成物中に含まれるプエラリンの含有量は、最終組成物全体の量を100重量%とした場合、プエラリンが0.01〜1重量%の範囲が最適であるが、基材によって濃度の最適値は異なるため、上記濃度での使用に限定されるものではない。
【0042】
植物抽出物の含有量は、抽出物が乾燥エキスの場合には、最終組成物全体の量を100重量%とした場合、当該乾燥エキスが0.001〜5重量%の範囲で含まれればよく、当該乾燥エキスの含有量の下限値として、好ましくは0.01重量%、より好ましくは0.05重量%である。当該乾燥エキスの含有量の上限として、好ましくは1重量%、より好ましくは0.5重量%である。
【0043】
植物抽出物が、浸出油、流エキス、チンキの場合には、最終組成物全体の量を100重量%とした場合、当該植物抽出物が5〜90重量%の範囲で含まれればよく、含有量は剤形の形状を維持できる範囲において調製することができる。当該植物浸出油の含有量の下限値として、好ましくは10重量%、より好ましくは20重量%、さらに好ましくは40重量%である。当該植物抽出物の含有量の上限として、好ましくは80重量%、より好ましくは70重量%、さらに好ましくは60重量%である。
【0044】
植物抽出物が、精油の場合には、最終組成物全体の量を100重量%とした場合、当該植物抽出物が0.01〜1重量%の範囲で含まれればよく、含有量は剤形の形状を維持できる範囲において調製することができる。当該植物浸出油の含有量の下限値として、好ましくは0.04重量%、より好ましくは0.08重量%、さらに好ましくは0.1重量%である。当該植物抽出物の含有量の上限として、好ましくは0.8重量%、より好ましくは0.5重量%、さらに好ましくは0.3重量%である。
【0045】
殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、美白剤、生体成分等の添加剤は、最終組成物の0.00001〜10重量%の範囲の間で適宜添加することができる。保湿成分であるヘパリン類似物質等は、市販されている水準である0.3重量%が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0046】
各剤形の基剤に含まれる各原料の含有量は、調製しようとする剤形を維持できる範囲において適宜設定することができる。
【0047】
油性軟膏剤は、例えば解説書等に記載の公知の方法等によって調製することができる。例えば、まず、上記油脂類、ロウ類、炭化水素類等の油性原料を約70〜80℃に加熱して油相(溶液状態)とする。別途有効成分を液状の水性又は油性原料に溶解もしくは分散させた主薬相を調製し、油相に主薬相を加え混合及び冷却し、油性軟膏剤を得ることができる。
【0048】
水溶性軟膏剤も、例えば上記解説書に記載の公知の方法等によって調製することができる。例えば、まず、マクロゴール軟膏であれば、マクロゴール(ポリエチレングリコール)4000を約65℃で加熱し、溶液状にする。別途、有効成分を液状のマクロゴール400に溶解もしくは分散させ主薬相を調製し、溶液状にしたマクロゴール4000に主薬相を加え、混合及び冷却し、水溶性軟膏剤を得ることができる。
【0049】
クリーム剤も、上記解説書等に記載の公知の方法等によって調製することができる。例えば、まず、水に水溶性成分を溶かし、70〜80℃に加熱して水相を調製する。別に、上記油脂類、ロウ類、炭化水素類等の油性原料及び/又は界面活性剤などを70〜80℃に加熱して油相(溶液状態)を調製する。有効成分は、その薬剤の溶解性や耐熱性などにより、水相あるいは油相に添加するか、もしくは、別に加温しない主薬相として調製することができる。油相と水相を合わせ、さらに主薬相を加え、乳化及び冷却し、クリーム剤を得ることができる。HLB(Hydrophile− Lipophile Balance、親水性親油性バランス)が3〜6であれば、油中水型エマルジョン(w/o型エマルジョン)となり、HLBが8〜18であれば、水中油型エマルジョン(o/w型エマルジョン)となる。本発明に好適なクリーム剤は、水中油型エマルジョン(o/w型エマルジョン)である。すでに調整されている水中油型エマルジョン(o/w型エマルジョン)の製剤に、プエラリンやその他添加物を添加して混合し、外用組成物としてもよい。
【0050】
リニメント剤も、公知の方法によって調製することができる、リニメント剤は、例えばエタノール溶液に有効成分及びその他の成分を溶解し調製することができる。また、ピーナッツオイル、コットンシードオイル、オリーブオイル、ひまし油、セサミオイル等の環境温度15〜35℃で液体の油脂に有効成分及びその他の成分を直接溶解して、又は有効成分の濃縮液を希釈して調製することができる。
【0051】
乳剤性ローション剤の調製も水中油型エマルジョン(w/o型エマルジョン)のクリーム剤に準ずる公知の方法にしたがい、油性原料と水溶性原料を上記界面活性剤等で乳化させ、水等の水性原料をさらに加えることにより調製することができる。
【0052】
溶液性ローション剤の調製も、解説書等に記載の公知の方法等によって調製することができる。例えば水性原料に有効成分、必要に応じて上記添加剤を直接溶解して調製することができる。また、水に直接溶解しにくい成分については、エタノールあるいは多価アルコール等の好適な溶媒に溶解してから、これを水と合わせ、混合して溶液性ローション剤を得ることができる。
【0053】
懸濁性ローション剤は、上記解説書等に記載の公知の方法によって調製することができる。例えば、添加剤等の成分をエタノールあるいは多価アルコール類などの溶媒に溶解させ、これを水と合わせた後、有効成分または主薬を分散させることにより調製できる。また、主薬や添加剤を分散させるため、少量の水溶性高分子(アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ベントナイト等)の懸濁化剤として添加することで膨潤させた水を加え、混合して懸濁性ローション剤を調製することができる。
【0054】
本発明の抗毛嚢炎用外用組成物には、医薬品、医薬部外品、化粧品として使用することができる。ここで、化粧品には、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に規定される薬用化粧品(有効成分が配合された化粧品)が含まれる。
【0055】
本発明の抗毛嚢炎用外用組成物は、毛嚢炎の改善又は治療するために、毛嚢炎を発症した患部に、例えば1日に1〜4回、好ましくは1日に1〜2回直接塗布又はすり込むことができる。また、毛嚢炎を予防するためには、例えば1日に1〜2回顔に当該外用組成物を塗布するか、週に1〜2回当該外用組成物で顔をマッサージすることができる。
【0056】
1日の間で、本発明の抗毛嚢炎用外用組成物を使用する時間帯は、特に制限されないが、就寝前に使用することが好ましい。
【0057】
本発明の抗毛嚢炎用外用組成物は、頭皮等を含む全身の皮膚に使用することができるが、好ましくは顔、背中等の皮膚であり、より好ましくは顔の皮膚に使用することができる。
【0058】
2.抗毛嚢炎用外用組成物の調製方法
【0059】
本発明の抗毛嚢炎用外用組成物の調製方法は、使用する基材によって最適な手法が異なるため、以下にその実施例を示す。
【実施例】
【0060】
以下、本発明の実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。

調製例1.葛根の浸出油
【0061】
化粧品用セサミオイル(サミット製油株式会社)99gを80℃で10分間攪拌して低温揮発成分を除去し、その後60℃でエタノールを1g添加した。そこに日本薬局方に適合している葛根の乾燥粉末(中屋彦十郎薬局)10gを加え、自然冷却して1晩放置した。浸漬液を定量ろ紙(Advantec No.5C)でろ過して、葛根の浸出油90gを得た。得られた浸漬油をHPLCで委託分析したところ、溶解しているプエラリンの濃度は約0.05重量%であった。

調製例2.カレンデュラオイルの調製
【0062】
市販のスイートアーモンドオイル1L((株)生活の木)に対して、マリーゴールド乾燥花100gを浸漬させ、5℃で2週間冷蔵保管して抽出を行った。その後固形物を濾過し、カレンデュラオイル950mLを得た。

実施例1〜3.外用組成物の調製
【0063】
表1の配合表に従い外用剤の配合を行った。使用したプエラリン(東京化成工業株式会社)、トコフェロール(東京化成工業株式会社)、化粧品用セサミオイル(サミット製油株式会社)は試薬会社から購入し、ミツロウは市販されているものを購入した。水中油型エマルジョンの検討には、ヒルドイドクリーム(マルホ株式会社)を使用した。

実施例1
【0064】
プエラリン40mgを無水エタノール4gに溶解させ、1%のプエラリン溶液を調整した。セサミオイル80gを80℃で10分間攪拌して低温揮発成分を除去して一旦冷却した。そこにトコフェロール3gとミツロウ16gを添加して加熱し、ミツロウが完全に溶解するまで70〜80℃で5分程度攪拌した。ミツロウの溶解を確認後、上記で作成した1%のプエラリン溶液を1g添加し、プエラリン濃度が0.01重量%の外用組成物1を得た。

実施例2
【0065】
セサミオイル78g、トコフェロール3g、ミツロウ16g、1%プエラリン溶液3gを用いて、実施例1と同様の方法により、プエラリン濃度が0.03重量%の外用組成物2を得た。

実施例3
【0066】
調整例1で調整した葛根の浸出油40gおよび調整例2で調整したカレンデュラオイル40gをビーカーに入れ、さらにトコフェロール3gとミツロウ17gを加えた。さらに混合物を70℃まで加温し、ミツロウが完全に溶解するまで撹拌した。混合物を冷却し、外用組成物3を得た。

実施例4
【0067】
軟膏ツボにヒルドイドクリームを4.95g入れ、そこにプエラリン粉末50mgを加えた。プエラリン粉末が確認できなくなるまで常温で攪拌し、プエラリン濃度が1重量%の水中油型エマルジョンである外用組成物4を得た。

実施例5
【0068】
軟膏ツボにヒルドイドクリームを2.91g入れ、そこにプエラリン粉末9mgを加えた。プエラリン粉末が確認できなくなるまで常温で攪拌し、プエラリン濃度が0.3重量%の水中油型エマルジョンである外用組成物5を得た。

各外用組成物の構成を図1に示す。

実験例
【0069】
毛嚢炎の被験者1名(発明者)を対象として、実施例1〜5の外用組成物、および比較例としてベピオゲル(マルホ株式会社)を、1日1回患部に塗布し症状が改善するか否かを検討した。毛嚢炎の状態、並びに使用後の本人の評価を表2に示す。本発明の外用組成物の塗布後24時間で自覚している症状の著名な改善が見られ、塗布後48時間で医師の判定においても顕著な改善が認められると診断された。一方、比較例として用いたベピオゲルでは、48時間程度では症状の大きな改善は認められなかった。

評価の結果を図2に示す。
【0070】
実施例1〜5の効果はそれほど大きな差はなかったが、油性基材を使用している実施例1〜3の方がより即効性が高く、特に実施例3が最も優れていた。症状が改善する際は、塗布して24時間以内に毛包炎を起こしている部位の周辺から膨張が収まり、中心が凸になったような状態を経て、発赤が収まり通常の皮膚の状態に戻るという転帰をたどった。比較例として用いたベピオゲルでは、48時間以内に症状の有意な改善は確認できなかった。
【要約】
【課題】
本発明は、抗毛嚢炎作用を発揮し、かつ即効性の高い抗毛嚢炎用外用組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】
プエラリンを濃度0.01重量%以上、1重量%以下で含有することを特徴とする外用組成物であって、剤形が軟膏剤、クリーム剤、又は外用液剤である抗毛嚢炎用外用組成物。特に、エタノール、常温で液体の油脂類、トコフェロールを含有することを特徴とする外用組成物、および、ヘパリン類似物質を含有し、水中油型エマルジョンを特徴とする外用組成物。
【選択図】図1
図1
図2