(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の食器洗浄機では、単に上記回転ブラシ体の毛で食器を動かし回収容器中に落下させるようにしているだけである。つまり、それは回収容器中に食器を投入することを可能にするだけであり、回収容器中への食器の整然とした回収の点で改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、食器洗浄機において搬送されてくる食器をより整然と回収することに向けられた構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、
搬送されてくる食器を食器回収部に受け入れるように構成された食器受入機構を備え、
該食器受入機構は、
循環するように動かされる複数の受け部であって各々は食器を受けることを可能に構成されている複数の受け部と、
複数の前記受け部の各々の動作を可能にするように構成されている動作機構であって、前記受け部は、前記食器を載せることが可能であるように張り出す第1の状態と、前記第1の状態よりも張出量が少ない第2の状態とに選択的に位置づけられる、動作機構と
を備えた、
食器回収システム
を提供する。
【0007】
好ましくは、複数の前記受け部は、無端被駆動体に所定間隔で配置されている。
【0008】
好ましくは、前記食器受入機構の前記動作機構は、前記受け部を前記第1の状態から前記第2の状態に動かすように前記受け部に作用可能である第1の作用部と、前記受け部を前記第2の状態から前記第1の状態に動かすように前記受け部に作用可能である第2の作用部とを備える。
【0009】
好ましくは、前記第1の状態の前記受け部により第1の食器を前記食器回収部内に導き、前記食器回収部内の第2の食器であって前記第1の食器よりも先に前記食器回収部内に導かれた前記第2の食器により前記受け部が前記第1の状態から前記第2の状態に向けて動かされるように、前記食器受入機構は前記食器回収部と関係付けられている。
【0010】
好ましくは、前記食器受入機構は、第1循環部と、該第1循環部に対向するように位置付けられる第2循環部とを備え、前記第1循環部及び前記第2循環部はそれぞれ、複数の前記受け部と、前記動作機構とを備えるとよい。
【0011】
好ましくは、前記食器回収部は、食器保持部と、該食器保持部に対して延出可能に構成された案内延出部とを有し、前記食器受入機構に対して取り外し可能に構成されている。この場合、前記案内延出部は、搬送されてくる食器を前記食器受入機構に案内可能であるように構成されているとよい。
【0012】
好ましくは、食器洗浄機の搬送機構と前記食器受入機構との間に設けられる搬出補助用傾斜部材から前記食器受入機構の前記受け部が突き出るように、前記食器受入機構は設けられる。
【0013】
本発明は、前述の食器回収システムを備えた、食器洗浄機にも存する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様に係る上記食器回収システムによれば、上記構成を備えるので、搬送されてくる食器をより整然と回収することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態を添付図に基づいて説明する。同一の部品(又は構成)には同一の符号を付してあり、それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0017】
本発明の一実施形態に係る食器洗浄機10の概略構成を
図1に示す。食器洗浄機10は、洗浄部12と、該洗浄部12に食器Tの搬送を行うように設けられた搬送機構14と、後述する食器回収システム60とを備える。なお、ここでは、食器洗浄機10の被洗浄体は食器Tであり、幾つかの食器Ta、Tb、Tc、Td、Te、Tf、・・・を単に模式的に例示する。被洗浄体は、食器に限定される必要はない。つまり、本発明は、食器洗浄機10が食器以外の物を洗浄することを排除するものではないが、好ましくは、食器洗浄器10は、食器Tの洗浄に向けられている。
【0018】
洗浄部12には、洗浄液吐出システムのうちの複数の洗浄液吐出部(以下、吐出部)16が設けられている。吐出部16の各々は洗浄液を吐出するように構成されている。吐出部16は、図示しないポンプにより圧送されてくる洗浄液を特に噴射するとよく、好ましくはノズル形状の吐出口を有する。洗浄部12で吐出部16から吐出される洗浄液は洗剤を含んでもよいし含まなくてもよい。ここでは、複数の吐出部16のうちの、搬送方向CDの上流側の複数の吐出部16からは洗剤を含む洗浄液を吐出し、それ以外、具体的には搬送方向CDの下流側の複数の吐出部16からは水のみからなる洗浄液を吐出するように、洗浄液吐出システムは実質的に2系統の洗浄液供給システムを有する。洗剤入り洗浄液を吐出する上流側の吐出部16を備えた箇所が洗浄室15のうちの主洗浄室を実質的に構成し、水のみからなる洗浄液つまりすすぎ水を吐出する下流側の吐出部16を備えた箇所が洗浄室15のうちのすすぎ洗浄室を実質的に構成する。これら主洗浄室とすすぎ洗浄室とを分けるように、洗浄部12への入口及び出口に設けるようなカーテンが、それらの間に設けられてもよい。ただし、全ての吐出部16から水のみからなる洗浄液を吐出するように、あるいは、全ての吐出部16から洗剤入り洗浄液を吐出するように、洗浄液吐出システムを構成することもできる。また、洗浄性能を高めるべく、全ての又は一部の吐出部16からの洗浄液の吐出は所定圧以上の高圧でなされるとよい。さらに洗浄性能を高めるべく、これに加えて或いはこれに代えて、全ての又は一部の吐出部16からの洗浄液は所定温度(例えば40℃)以上の温度を有するとよい。なお、食器洗浄機10では、一旦吐出された洗浄液は廃棄されるが、一旦吐出された洗浄液は例えば浄化処理及び/又は異物除去処理がなされて再度利用されてもよい。
【0019】
食器洗浄機10の食器Tの搬送方向CDにおいて、洗浄部12の上流側(
図1中右側)には食器搬入用のテーブル(以下、搬入テーブル)18が設けられていて、その下流側(
図1中左側)には食器搬出用のテーブル(以下、搬出テーブル)20が設けられている。そして、それら搬入テーブル18、洗浄部12及び搬出テーブル20に亘って、搬送機構14が設けられている。
【0020】
図1に示すように、搬出テーブル20の下流側に、つまり搬送機構14の下流側に、搬出補助用傾斜部材としての傾斜板20sが設けられている。傾斜板20sは、下流側ほど下方に傾くように設けられている。これにより、食器が滞留して、搬送機構14と傾斜板20sとの間に食器がかみ込むのを防止しようとしている。傾斜板20sは、板部材であることに限定されず、種々の形状又は構成の部材であってもよい。搬出テーブル20は短くされて又は省略されて、傾斜板20sが洗浄部12の出口に延びるように設けられてもよい。
【0021】
搬送機構14は、複数の回転支持体30と、それらを駆動するように構成された駆動機構32とを備える。複数の回転支持体30の各々は、略棒状体である。複数の回転支持体30は食器Tがその上に載置可能であるように設けられる。複数の回転支持体30の各々は、食器Tの搬送方向CDに直交する幅方向WD(
図2参照)に延在するように配置される。更に、複数の回転支持体30の各々は、他の回転支持体30から搬送方向CDにずれて配置され、特に離間配置される。そして、本実施形態では、複数の回転支持体30は、同一仮想平面(搬送方向CD及び幅方向WDに延びる平面)上において所定の等間隔で配置されている。複数の回転支持体30の各々は、それぞれ設けられる搬入テーブル18、洗浄部12又は搬出テーブル20において、その両端部を軸受(不図示)で回転可能に支持されている。
【0022】
なお、搬送方向CDにおける回転支持体30間の間隔は、被洗浄物である食器Tがそれらの間から脱落しないように設計される。その間隔は、特に回転する回転支持体30の上を食器Tが滑らかに搬送方向CDに搬送されるつまり移動することを可能にするように定められる。
【0023】
駆動機構32は、複数の回転支持体30がそのままの位置でつまりその場でその軸線30A周りに回転するようにつまり自転するように、該複数の回転支持体30を駆動するように構成されている。駆動機構32は、
図1に示され、電動モータ34と、動力伝達機構36とを備えている。電動モータ34は、回転駆動力を発生させる駆動力発生装置の一例であり、ここでは図示しないスイッチのON−OFF切替により作動するように構成されている。電動モータ34の回転速度は一定でもよいが、任意に変更できるとよい。なお、電動モータ34は、洗浄部12の入口側(
図1中右側)に位置付けられているが、他の箇所に設けられてもよく、例えば、洗浄部12の出口側(
図1中左側)に位置付けられてもよい。
【0024】
図1から理解できるように、動力伝達機構36は、電動モータ34に対して設けられた駆動歯車(不図示)と、複数の回転支持体30の各々に対して設けられた被駆動歯車38と、これらの駆動歯車と被駆動歯車38とに架け渡された環状動力伝達体40とを備えている。ここでは、環状動力伝達体40は無端チェーンとして構成されているが、無端ベルト等であってもよい。
【0025】
洗浄部12の複数の吐出部16は、上で説明したように設けられた複数の回転支持体30の上下に位置付けられている。
図1に模式的に示すように、回転支持体30の鉛直方向上側の吐出部16は、洗浄部12内の下側に向けて、つまり回転支持体30側に向けて洗浄液を吐出するように設けられ、回転支持体30の鉛直方向下側の吐出部16は、洗浄部12内の上側に向けて、つまり回転支持体30側に向けて洗浄液を吐出するように設けられている。そして、洗浄液吐出システムにおける、回転支持体30の鉛直方向下側の複数の吐出部16は、特に、複数の回転支持体30の間の隙間から、複数の回転支持体30の上側に洗浄液が直接的に抜ける又は通過するように、配置されている。なお、本実施形態では、複数の吐出部16は複数の回転支持体30の上下に位置付けられているが、例えば複数の回転支持体30の鉛直方向下側にのみ設けられてもよい。
【0026】
更に、食器洗浄機10の搬送機構14は、複数の回転支持体30の上側に位置付けられて、この複数の回転支持体30に対して食器Tを押し付けるように構成された押付機構46を有する。押付機構46は、支持部48と、押圧部としての押圧カーテン部50とを有する。
図1に示すように、支持部48は、洗浄部12の上流端及び下流端に設けられ、押圧カーテン部50を支持する。搬送途中の食器は、押圧機構46の押圧カーテン部50により回転支持体30に対して押し付けられる。押圧カーテン部50は水等の洗浄液を通過可能に構成されていて、複数の貫通孔部を有する。
【0027】
更に、食器洗浄機10は、前述の食器回収システム60を備える。食器回収システム60は、搬出テーブル20の下流側に設けられている。洗浄部12の洗浄室15から搬送されて搬出テーブル20に至った食器Tを回収するように、食器回収システム60は適用されている。
【0028】
食器回収システム60は、搬送されてくる食器を食器回収部64に受け入れるように構成された食器受入機構62を備える。食器受入機構62は、食器を受け入れるために、循環受入部66を備えて構成されている。循環受入部66は、一対の循環部67a、67bを備える。ここでは、食器受入機構62は2つの循環受入部66を備えるが、食器受入機構62における循環受入部66の数は1つであっても3つ以上であってもよい。
図1及び
図2から明らかなように、食器受入機構62は、2つの循環受入部66を有する。
【0029】
図1では、1つの循環受入部66を示す。1つの循環受入部66は、循環部(以下、第1循環部)67aと、この第1循環部67aに対向するように第1循環部67aよりも下流側に位置付けられる循環部(以下、第2循環部)67bとを備える。第1循環部67a及び第2循環部67bはそれぞれ、後述する説明から明らかなように、複数のフック部材74と、動作機構MMとを備える。詳しくは、第1循環部67aは、搬出テーブル20側つまり搬送機構14側の循環部であり、第2循環部67bは、それに対向するように第1循環部67aよりも搬送機構14から離れて位置付けられる循環部である。第1及び第2循環部67a、67bは、それらの間に、食器Tを受け入れることができるように構成されている。
【0030】
循環受入部66の循環部67a、67bは、それぞれ、駆動歯車68と、被駆動歯車70とを有し、それらに掛け回された無端チェーン72を有する。駆動歯車68は電動モータで動かされる。なお、この電動モータは図示しないスイッチのON−OFF切替により作動するように構成されている。ここでは、2つの循環部67a、67bの2つの駆動歯車68は同じ電動モータで作動される。したがって、2つの循環部67a、67bの動作を同じにすることができる。2つの駆動歯車68には個別に電動モータが設けられて、その電動モータは同期されてもよい。無端チェーン72は、無端被駆動体の一例であり、無端ベルト等であってもよい。無端チェーン72には、その周囲に、所定間隔で、食器を受けることを可能に構成されている受け部としてのフック部材74が複数配置されている。複数のフック部材74は無端チェーン72に設けられるので、循環するように動かされる。循環受入部66は食器を受け入れるように、特に後述する食器回収部に食器を受け入れるように構成されているので、第1循環部67aにおける無端チェーン72の回転方向及びフック部材74の取付方向は、第2循環部67bにおける無端チェーン72の回転方向及びフック部材74の取付方向とそれぞれ逆である(
図1参照)。なお、ここでは、駆動歯車68が下側に位置付けられ、被駆動歯車70が上側に位置付けられている。しかし、これにこれらの位置関係は限定されない。例えば、駆動歯車68が上側に位置付けられ、被駆動歯車70が下側に位置付けられてもよい。また、被駆動歯車70に代えて、フリーローラーなどが用いられてもよい。
【0031】
図2は、2つの循環受入部66の2つの第1循環部67aの上部側を示す。
図2に示すように、第1循環部67aは、食器洗浄機10の搬送機構14と食器受入機構62との間に設けられる傾斜板20sに設けた溝部20aから、第1循環部67aにおけるフック部材74が突き出るように、食器受入機構62の第1循環部67aは傾斜板20sに関係づけられてそこに設けられている。
【0032】
2つの循環受入部66の各々における、第1循環部67aにおけるフック部材74の動作機構は、第2循環部67bにおけるフック部材74の動作機構と同じである。そこで、以下では、第2循環部67bにおけるフック部材74の動作機構MMについて
図1、
図3から
図6に基づいて説明し、第1循環部67aにおけるフック部材74の動作機構の説明を省略する。
【0033】
第2循環部67bにおける被駆動歯車70周囲の一部の拡大図を
図3に示す。また、第2循環部67bにおいて無端チェーン72に取り付けられたフック部材74の張出状態及び折畳状態とそれらの間の状態とを
図4(a)に示す。なお、
図4(b)は
図4(a)のIVB−IVB線断面図である。無端チェーン72の一部の斜視図を
図5に示す。フック部材74の斜視図、正面図、上面図及び左側面図を
図6(a)、(b)、(c)及び(d)に示す。
【0034】
無端チェーン72は、周知のチェーンと同様に、内リンク76と外リンク78とが交互に連結されて構成されている。そして、
図5に示すように、外リンク78の2つの対向する外プレート78aの各々から、それに直交するように羽部78bが付き出している。その羽部78bにはピン部材80が貫通可能なピン孔78cが設けられている。
【0035】
一方、フック部材74は、
図6に示すように、支持用延出部74aと、該支持用延出部74aに直交するように支持用延出部74aの端部に設けられたストッパ部74bとを備える。フック部材74の支持用延出部74aは、そこに設けられた孔部74dに挿入されるピン部材80により、外リンク78の2つの対向する羽部78b間に取り付けられる。したがって、無端チェーン72に対するストッパ部74bでの規制範囲内で、フック部材74はピン部材80周りに回動可能である。これにより、フック部材74は、食器Tを載せることが可能であるように張り出す第1の状態S1と、例えば受け入れた食器Tの妨げとならないように第1の状態S1よりも張出量が少ない第2の状態S2との間で動作を可能にされる。なお、
図4(a)において、一番上側のフック部材74は第1の状態S1にあり、一番下側のフック部材74は第2の状態S2にあり、それらの間のフック部材74は第1の状態S1と第2の状態S2との間の状態にある。なお、第1の状態S1と第2の状態S2とはそれぞれある程度幅があることが理解できよう。
【0036】
図3の第2循環部67bにおける被駆動歯車70周囲の拡大図に示すように、被駆動歯車70には、その周囲から略径方向に突き出る突出部82が一体的に設けられている。被駆動歯車70には複数の突出部82が等間隔で同じように突き出るように設けられている。突出部82は無端チェーン72の間に入り、特に外リンク78の外プレート78a間に入ることができるように配置されている。そして、突出部82は、
図3から明らかなように、フック部材74に作用することで、第2の状態S2にあるフック部材74を張り出すように起こし、よって張り出した第1の状態S1にする。突出部82は、複数のフック部材74の各々の第1の状態S1と第2の状態S2との間での動作を可能にする動作機構MMのうちの、フック部材74を第2の状態S2から第1の状態S1に動かすようにフック部材74に作用可能である第2の作用部に相当する。突出部82によるフック部材74への作用を滑らかに生じさせるために、フック部材74の支持用延出部74aには、湾曲面部74cが設けられている。湾曲面部74cは突出部82が接触し得る部分である。湾曲面部74cは、支持用延出部74aにおいて孔部74dを間に介してストッパ部74bの略反対側に設けられている。
【0037】
そして、
図1及び
図3に示すように、第2循環部67bの被駆動歯車70の突出部82による作用により第1の状態S1になったフック部材74は、第1循環部67aの同じく第1の状態S1になったフック部材74と対向するとともに、
図1で上側から下側に向けて移動する。そして、フック部材74は、食器受入機構62の第2循環部67bの下部の収納用作用部84に触れることで、第1の状態S1から第2の状態S2になることができる。この収納用作用部84は、複数のフック部材74の各々の第1の状態S1と第2の状態S2との間での動作を可能にする動作機構MMのうちの、フック部材74を第1の状態S1から第2の状態S2に動かすようにフック部材74に作用可能である第1の作用部に相当する。なお、収納用作用部84は、第2循環部67bの下方に設けられるとよい。ここでは、食器受入機構62内への食器回収部の設置を妨げず、かつ、関連する外リンク78が駆動歯車68と噛み合い状態になる前にフック部材74が第2の状態S2になるように、収納用作用部82は位置付けられている。なお、収納用作用部84は、ここでは円筒状部材であるが、他の形状の部材であってもよい。
【0038】
上記第2循環部67bの構成を、上記第1循環部67aも同じく備える。そして、
図1に示すように、第2循環部67bにおいて被駆動歯車70との噛み合い状態を脱して駆動歯車68に向かう無端チェーン72の部分に設けられたフック部材74は、第1循環部67aにおいて被駆動歯車70との噛み合い状態を脱して駆動歯車68に向かう無端チェーン72の部分に設けられたフック部材74とまさに対向し、協働して食器T、Td、Teを移動させることを可能にする。このとき、第1の状態S1のフック部材74により食器Td、Teを食器回収部64内に導き、食器回収部64内に先に導かれた収納されている別の食器Tfによりフック部材74が第1の状態S1から第2の状態S2に向けて動かされるように、食器受入機構62は食器回収部64と関係付けられている。
図1及び
図4(a)では、食器Tfに接触することで、フック部材74が折り畳まれて、第1の状態S1からそれよりも張出量の少ない第2の状態S2に変化するところを示している。
【0039】
上記構成の食器受入機構62には、食器回収部64としての食器かご86が取り外し可能に配置される。食器かご86は、食器受入機構62のフック部材74を介して受け入られた食器Tを順に回収可能に構成されている。
図7に食器かご86を示す。食器かご86は、食器保持部としてのかご本体88と、かご本体88に対して延出可能に構成された案内延出部としてのガイド部90とを有する。ガイド部90は、軸部92周りに、かご本体88に対して回動可能に構成されている。かご本体88は四角形状の箱型であり、複数のパイプ部材を接続することで構成されているが、他の構成を有してもよい。ガイド部90は略三角形の部分であり、かご本体88上に位置するとき、ここではバンド部材94を用いて、かご本体88に接続して食器かご86の取っ手となる。なお、その接続には、はめ込み式などの機械的機構又は磁石などが用いられてもよい。
【0040】
図1に、食器受入機構62に設けられた食器かご86を示す。食器かご86のかご本体88から延出するガイド部90は傾斜板20sを超えて搬出テーブル20上にまで延び、洗浄部12から搬出されてくる食器Tを案内する。
【0041】
上記構成の食器回収システム60による食器回収について説明する。なお、ここでの説明では、主に
図1の状態での食器Tを参照する。
【0042】
食器洗浄機10の洗浄室15で洗浄されて搬出テーブル20に搬送されてくる食器Tcは、食器かご86のガイド部90により循環受入部66内に導かれる。搬出テーブル20から傾斜板20sに至った食器は搬送機構14により送られてきた勢いがあるとき、ガイド部90による案内のみで循環受入部66に至ることができる。その勢いが強い場合には、
図1及び
図2に示すように傾斜板20sから突き出る第1循環部67aの第1の状態S1のフック部材74に引っ掛かり、食器の勢いが抑制され、好適な速度で第1循環部67aと第2循環部67bとの間により積極的に導かれ得る。また、食器Tは、例えばプラスチック製であるために軽量であるなどの理由によりその勢いがない場合には、
図1及び
図2に示すように傾斜板20sから突き出る第1循環部67aの第1の状態S1のフック部材74に引っ掛かり、第1循環部67aと第2循環部67bとの間により積極的に導かれる。したがって、傾斜板20sのみを設ける場合に比べて、傾斜板20sから突き出るフック部材74により、食器は過剰な勢いで搬出されることなく、或いは、滞留することもなく、より好適に食器回収システム60の食器受入機構62に導かれ得る。
【0043】
そして、それら循環部67a、67bの間に導かれた食器Td、Teは、フック部材74に載りそれらの支持用延出部74aにより支持されて、それらの間に受け入れられるように移動する。こうして、
図1に示すように、食器かご86の底部86b上に順に食器Tは載置されて重ねられる。そして、食器かご86内にある食器T、例えば積み重ねられた食器のうちの最上部の食器Tfにフック部材74が触れると、食器Tはあたかも収納突起部84であるかのように作用する。これにより、フック部材74は第2の状態S2になることができる。このように、第1の状態S1のフック部材74により食器を食器かご86内に導き、食器かご86内の食器によりフック部材74が第1の状態S1から第2の状態S2に向けて動かされるように、食器受入機構62は食器かご86と関係付けられている。よって、食器受入機構62のフック部材74は食器かご86内での食器Tの順の重ね合わせに悪影響を及ぼすことは無い。
【0044】
なお、食器かご86内に回収された食器Tは、食器かご86ごと食器受入機構62から取り外され、食器乾燥機及び/又は滅菌室等に運ばれる。食器かご86はここではステンレス製であるので、食器かご86ごと食器を乾燥や滅菌することができる。
【0045】
以上述べたように、上記構成の食器受入機構62を有する食器回収システム60によれば、搬送されてくる食器を順により整然と回収することができる。この結果、従来に比べて、食器洗浄機10の作業者人数を減らすことが可能になり、例えば深夜などの作業者が少ない時間帯でも食器を食器洗浄機10で好適に洗浄することができる。
【0046】
以上、本発明の代表的な実施形態及び変形例について説明したが、本発明はそれらに限定されない。本願の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、種々の置換、変更が可能である。
【0047】
例えば上記実施形態及び変形例の任意の一部同士の種々の組み合わせが可能である。例えば、本発明は、種々の社員食堂、レストラン、学校、病院などで用いられる業務用の食器洗浄機に適用することができる。
【0048】
上記実施形態における食器受入機構62では、食器を受け入れるために、2つの循環受入部66が対になるように構成されていた。しかし、食器の受け入れは、たった1つの循環受入部66によりなされてもよい。例えば、これは、フック部材74の支持用延出部74aを幅広形状にすることで実現できる。
【0049】
また、食器受入機構62における第1循環部67aと第2循環部67bとの間の距離は可変とされるとよい。具体的には、第1循環部67aに対して第2循環部67bは移動可能であるとよい。この場合、第2循環部67bはレール上に配置されて、レール上を移動されるとよい。これにより、食器受入機構62は、種々の大きさ又は形状の食器に用いることが可能になる。なお、食器受入機構62の循環受入部66が、2つの循環部67a、67bを備えることに限定されず、例えば、たった1つの循環部(上記第1循環部67aに相当)のみを備えて構成されることを、本発明は排除するものではない。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る食器回収システム60は、搬送されてくる食器を食器回収部64に受け入れるように構成された食器受入機構62を備え、該食器受入機構は、循環するように動かされる複数の受け部74であって各々は食器を受けることを可能に構成されている複数の受け部と、複数の前記受け部の各々の動作を可能にするように構成されている動作機構MMであって、前記受け部は、前記食器を載せることが可能であるように張り出す第1の状態S1と、前記第1の状態よりも張出量が少ない第2の状態S2とに選択的に位置づけられる、動作機構とを備える。