特許第6853476号(P6853476)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853476
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】衝撃吸収体
(51)【国際特許分類】
   F16F 7/12 20060101AFI20210329BHJP
   B62D 21/15 20060101ALI20210329BHJP
   F16F 7/00 20060101ALI20210329BHJP
   B60R 19/18 20060101ALN20210329BHJP
【FI】
   F16F7/12
   B62D21/15 A
   F16F7/00 J
   !B60R19/18 P
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-256401(P2016-256401)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2018-109423(P2018-109423A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】玉田 輝雄
【審査官】 鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−096307(JP,A)
【文献】 特開2011−247384(JP,A)
【文献】 特開2009−161028(JP,A)
【文献】 特開2015−086987(JP,A)
【文献】 特開2012−030619(JP,A)
【文献】 特開平08−198039(JP,A)
【文献】 特開2002−362273(JP,A)
【文献】 特開平05−288232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 7/00,
7/12− 7/14
B29C 49/48
B60R 21/04
B62D 21/15
B60R 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃が加わったときに変形して前記衝撃を吸収する中空の衝撃吸収部を有する衝撃吸収体であって、
前記衝撃吸収部は、互いに離間されて対向する前面壁及び背面壁と、前記前面壁と前記背面壁を連結する周壁を備え、
前記周壁は、前記衝撃吸収部の中空側に凹んだ第1凹部と、前記第1凹部に設けられ且つ前記第1凹部よりも前記衝撃吸収部の中空側に凹んだ第2凹部を備え、
前記第2凹部は、側面が開放された多角形形状に形成され、
前記第2凹部には、前記前面壁及び前記背面壁を結ぶ方向に延びるエッジが2つ以上設けられる、衝撃吸収体。
【請求項2】
前記エッジは、前記前面壁及び前記背面壁を垂直に結ぶ方向から傾斜するように設けられる、請求項1に記載の衝撃吸収体。
【請求項3】
前記エッジは、屈曲点において、傾斜角度が変化するように設けられる、請求項1又は請求項2に記載の衝撃吸収体。
【請求項4】
衝撃が加わったときに変形して前記衝撃を吸収する中空の衝撃吸収部を有する衝撃吸収体であって、
前記衝撃吸収部は、互いに離間されて対向する前面壁及び背面壁と、前記前面壁と前記背面壁を連結する周壁を備え、
前記周壁は、前記衝撃吸収部の中空側に凹んだ第1凹部と、前記第1凹部に設けられ且つ前記第1凹部よりも前記衝撃吸収部の中空側に凹んだ第2凹部を備え、
前記第2凹部には、前記前面壁及び前記背面壁を結ぶ方向に延びるエッジが設けられ、
前記エッジは、前記前面壁及び前記背面壁を垂直に結ぶ方向から傾斜するように設けられ、
前記エッジは、屈曲点において、傾斜角度が変化するように設けられる、衝撃吸収体。
【請求項5】
前記エッジは、前記前面壁及び前記背面壁を垂直に結ぶ方向から0.5度〜20度傾斜するように設けられる、請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の衝撃吸収体。
【請求項6】
平面視における、(第2凹部の面積)/(第1凹部の面積)の値は、0.5以下である、請求項1〜請求項5の何れか1つに記載の衝撃吸収体。
【請求項7】
前記第2凹部が設けられる部位において、前記エッジが延びる方向に垂直な断面での前記第1凹部の曲率半径は5mm以上である、請求項1〜請求項6の何れか1つに記載の衝撃吸収体。
【請求項8】
前記エッジは、前記エッジが延びる方向に垂直な断面での曲率半径が1mm以下である、請求項1〜請求項7の何れか1つに記載の衝撃吸収体。
【請求項9】
前記エッジは、少なくとも2箇所に設けられる、請求項1〜請求項8の何れか1つに記載の衝撃吸収体。
【請求項10】
前記第2凹部は、前記エッジが延びる方向に垂直な断面が矩形状である、請求項9に記載の衝撃吸収体。
【請求項11】
前記エッジには、切れ目が設けられる、請求項1〜請求項10の何れか1つに記載の衝撃吸収体。
【請求項12】
前記第1凹部には、前記衝撃吸収部を取付対象物に固定するための取付片が設けられる、請求項1〜請求項11の何れか1つに記載の衝撃吸収体。
【請求項13】
前記取付片は、前記前面壁及び前記背面壁のいずれか一方側に偏った位置に設けられる、請求項12に記載の衝撃吸収体。
【請求項14】
前記エッジは、前記取付片を構成する面と接続されるように設けられる、請求項12又は請求項13に記載の衝撃吸収体。
【請求項15】
前記取付片を取り囲むようにパーティングラインが設けられる、請求項12〜請求項14の何れか1つに記載の衝撃吸収体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両構成部材、例えばドア、ドアトリムあるいはボディーサイドパネル、ルーフパネル、ピラー、バンパー(特に、バンパーフェイシアとバンパービームとの間に介在させてバンパーフェイシアが受ける衝撃を吸収させるもの)などに内設することによって搭乗員が車両構成部材の内壁への衝突するような内部または他の車両との衝突のような外部からの衝撃を吸収するための衝撃吸収体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の衝撃吸収体は、衝撃が加わったときに変形して衝撃を吸収する中空の衝撃吸収部を備えている。衝撃吸収部は、互いに対向する第1壁及び第2壁と、これらを連結する周壁面を備える。周壁面には、第1壁及び第2壁の中央にパーティングラインが設けられ、パーティングラインから突出する取付片が折り曲げられて第2壁に向かって形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−96307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、かかる衝撃吸収体は、取付対象物の構造に合わせて形状が決定される。そして、取付対象物の構造によっては、衝撃吸収体の側壁が内側に凹んだ凹部を有する形状に制限される場合がある。
【0005】
しかし、このような形状では、かかる凹部が衝撃方向に略垂直なリブとして機能し、凹部周辺の強度が意図せず大きくなってしまう。このため、衝撃吸収体に加えられる衝撃に対してくの字変形が発生しづらく、圧縮荷重が急激に上昇する場合があることが分かった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、圧縮荷重の急激な上昇を抑制することができる衝撃吸収体を提供するものである。
【0007】
本発明によれば、衝撃が加わったときに変形して前記衝撃を吸収する中空の衝撃吸収部を有する衝撃吸収体であって、前記衝撃吸収部は、互いに離間されて対向する前面壁及び背面壁と、前記前面壁と前記背面壁を連結する周壁を備え、前記周壁は、前記衝撃吸収部の中空側に凹んだ第1凹部と、前記第1凹部に設けられ且つ前記第1凹部よりも前記衝撃吸収部の中空側に凹んだ第2凹部を備え、前記第2凹部には、前記前面壁及び前記背面壁を結ぶ方向に延びるエッジが設けられる、衝撃吸収体が提供される。
【0008】
本発明に係る衝撃吸収体は、周壁が第1凹部と第2凹部を備えている。また、第2凹部は、第1凹部よりも衝撃吸収部の中空側に凹んでおり、前面壁及び背面壁を結ぶ方向に延びるエッジが設けられる。かかる構成により、衝撃吸収体が衝撃を受けたときに、エッジが衝撃吸収体の破壊を促進する役割を果たす。つまり、かかるエッジが破壊されることにより、エッジを起点として衝撃吸収体の側面が内側に折りこまれるので、衝撃吸収体がくの字変形を開始しやすくなる。このため、凹部を有する衝撃吸収体であっても、圧縮荷重が過度に増大することを抑制することができ、衝撃吸収性能を高めることができる。
【0009】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、平面視における、(第2凹部の面積)/(第1凹部の面積)の値は、0.5以下である。
好ましくは、前記第2凹部が設けられる部位において、前記エッジが延びる方向に垂直な断面での前記第1凹部の曲率半径は5mm以上である。
好ましくは、前記エッジは、前記エッジが延びる方向に垂直な断面での曲率半径が1mm以下である。
好ましくは、前記エッジは、少なくとも2箇所に設けられる。
好ましくは、前記第2凹部は、前記エッジが延びる方向に垂直な断面が矩形状である。
好ましくは、前記エッジには、切れ目が設けられる。
好ましくは、前記エッジは、前記前面壁及び前記背面壁を垂直に結ぶ方向から傾斜するように設けられる。
好ましくは、前記エッジは、前記前面壁及び前記背面壁を垂直に結ぶ方向から0.5度〜20度傾斜するように設けられる。
好ましくは、前記エッジは、屈曲点において、傾斜角度が変化するように設けられる。
好ましくは、前記第1凹部には、前記衝撃吸収部を取付対象物に固定するための取付片が設けられる。
好ましくは、前記取付片は、前記前面壁及び前記背面壁のいずれか一方側に偏った位置に設けられる。
好ましくは、前記エッジは、前記取付片を構成する面と接続されるように設けられる。
好ましくは、前記取付片を取り囲むようにパーティングラインが設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1Aは本発明の第1実施形態に係る衝撃吸収体10の前面壁1f側からの斜視図である。図1Bは本発明の第1実施形態に係る衝撃吸収体10の背面壁1r側からの斜視図である。
図2】第2凹部70周辺の部分拡大図であり、図1Bの曲面箇所CPを背面壁1r側から見た斜視図である。
図3図3Aは衝撃吸収体10の背面壁1r側の平面図である。図3Bは第1凹部50及び第2凹部70周辺における稜線の部分拡大図である。
図4図3Aの領域Xにおける部分拡大図である。
図5図3Aの領域XのA−A線断面図であり、取付片3、傾斜面IS及び内側面3b1以外を省略した図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る衝撃吸収体10及び比較例についての圧縮歪み−圧縮荷重の関係を示すグラフである。
図7図7Aは変形例について説明する概念図である。図7Bは他の変形例について説明する概念図であり、第2凹部70のエッジが延びる方向に垂直な断面が三角形状である例を表す。図7Cは他の変形例について説明する概念図であり、第2凹部70のエッジが延びる方向に垂直な断面が多角形状である例を表す。
図8】本発明の第2実施形態に係る衝撃吸収体10を説明するための図であり、図5に相当する図である。
図9図9Aは本発明の第3実施形態に係る衝撃吸収体10を説明するための図であり、図2に相当する図である。図9B図9Aに示される衝撃吸収体10及び比較例についての圧縮歪み−圧縮荷重の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0012】
<第1実施形態>
以下、図1図6を用いて、本発明第1実施形態に係る衝撃吸収体10について説明する。本実施形態では、衝撃吸収体10は、車両構成部材に内設することによって車両の内部または外部からの衝撃を吸収するための車両用衝撃吸収体である。この場合、取付対象物は、車両である。衝撃吸収体10は、軽自動車のドアの内部に配設されることが想定されている。
【0013】
図1A及び図1Bに示されるように、衝撃吸収体10は、中空の衝撃吸収部1と、1つの取付片3及び2つの取付片4を備える。衝撃吸収部1は、衝撃が加わったときに変形して衝撃を吸収する機能を有する。取付片3及び取付片4は、衝撃吸収部1を取付対象物に固定するために用いられる。
【0014】
衝撃吸収部1は、互いに離間されて対向する前面壁1f及び背面壁1rと、前面壁1fと背面壁1rを連結する周壁1sを備える。また、図2及び図4に示されるように、衝撃吸収部1の曲面箇所CPには、第1凹部50及び第2凹部70が設けられる。第1凹部50は、衝撃吸収部1の中空側に凹んだ凹部である。また、第2凹部70は、第1凹部50に設けられ且つ第1凹部50よりも衝撃吸収1部の中空側に凹んだ凹部である。これら2つの凹部については、図2図4を用いて後述する。
【0015】
衝撃吸収部1内には中空部が設けられる。取付片3及び取付片4は、周壁1sの、前面壁1f側に偏った位置から突出するように設けられている。取付片3は周壁1sの曲面箇所CPに設けられ、取付片4は周壁1sの平面箇所SPに設けられる。また、図1Bに示されるように、周壁1sには衝撃吸収部1の外側に突出する突出部9が設けられる。
【0016】
取付片3及び取付片4には、取付孔3a及び取付孔4aが設けられており、取付孔3a及び取付孔4aに挿通させたボルトを取付対象物に固定することによって衝撃吸収体10を取付対象物に固定することが可能になっている。
【0017】
前面壁1fには、前面壁1fが凹まされて形成された丸リブ1faと、第1溝リブ1fb及び第2溝リブ1fcが設けられている。第1溝リブ1fbは、取付片3に向けて形成される溝リブであり、第2溝リブ1fcはその他の溝リブである。
【0018】
背面壁1rには、背面壁1rが凹まされて形成された丸リブ1raと、第1溝リブ1rb及び第2溝リブ1rcが設けられている。
【0019】
衝撃吸収部1と取付片3,4は、例えば、分割金型の間に円筒状の溶融パリソンを配置した状態で分割金型を閉じ、溶融パリソン内部にエアーを吹き込むことによって得られた成形体を取り出し、この成形体に対してプレス加工を行ってバリの除去及び取付孔3a,4aの形成を行うことによって形成することができる。このような工程によって、衝撃吸収部1と取付片3,4が一体で形成される。なお、取付片3,4は、溶融パリソンがコンプレッションされることで形成される。
【0020】
また、取付片3,4は、分割金型に挟まれた部位に形成される。このため、図1A及び図1Bに示すように、パーティングラインPLは、周壁1s及び取付片3,4を取り囲むように形成される。また、取付片3,4が設けられる領域では、パーティングラインPLは、前面壁1f側に偏った位置に形成される。また、取付片3,4の付け根も前面壁1f側に偏った位置に形成されている。このように、取付片3,4は、前面壁1f側に偏った位置において周壁1sから突出し、パーティングラインPLが取付片3,4を取り囲むように設けられている。
【0021】
<第1凹部50及び第2凹部70の構成>
次に、図2図4を用いて、曲面箇所CPにおける取付片3の近傍の構造、特に第1凹部50及び第2凹部70の構成について説明する。図1A図2及び図5に示されるように、取付片3は、取付対象物に対向する主面3eを備え、その先端3cが主面3eから背面壁1rに向けてせり上がっている。また、取付片3は、支持壁3bによって強固に支持される。そして、先端3cから取付片3の側縁3dに向けて緩やかや弧を描き、支持壁3bの外側面3b2へと繋がる。
【0022】
また、図2及び図4に示されるように、取付片3は、平面視において略円形であり、支持壁3bの内側面3b1と第1凹部側面SS1との間を連結側面CSが連結するように構成される。そして、第1凹部50には、第1凹部50よりも衝撃吸収部1の中空側に凹んだ第2凹部70が形成される。具体的には、図2に示されるように、ポイントP1及びP2から衝撃吸収部1のさらに中空側に向けて凹み、前面壁1fと背面壁1rを結ぶ方向に傾斜面ISが形成される。また、傾斜面ISの両側には、傾斜面ISに略垂直な第2凹部側面SS2が形成される。換言すると、第2凹部70は、第1凹部50を構成する第1凹部側面SS1から衝撃吸収部1の中空側に凹ませた、側面が開放された多角柱形状である。図2の例では、傾斜面IS、2つの第2凹部側面SS2及び開放された側面(ポイントP1及びP2を1辺とする側面)により、四角柱の4側面が構成される。なお、第1実施形態では、第1凹部側面SS1から衝撃吸収部1の中空側に凹ませた構成としているが、第2凹部70はこれに限定されない。例えば、第1凹部50が平面箇所SPに設けられる場合には、第2凹部70は、第1凹部50における衝撃吸収部1の中空側の側面から衝撃吸収部1の中空側に凹ませた、側面が開放された多角柱形状となる。そして、傾斜面ISと第2凹部側面SS2の間には、前面壁1fと背面壁1rを結ぶ方向に延びるエッジBL1及びBL2が形成される。ここで、エッジBL1及びBL2は、側面が開放された多角柱形状の側面同士(つまり、傾斜面ISと第2凹部側面SS2)が交わる辺に相当する。エッジの数は特に限定されないが、少なくとも2箇所にエッジが設けられることが好ましい。また、エッジBL1及びBL2は、取付片3を構成する面と接続されるように設けられる。
【0023】
第1実施形態では、内側面3b1、連結側面CS及び第1凹部側面SS1により、衝撃吸収部1の中空側に凹んだ第1凹部50が形成される。ここで、図3Bに示されるように、第1凹部50は、平面視において2つの第1凹部稜線5を有する。取付片3は、かかる第1凹部50に設けられるものである。
【0024】
また、第1実施形態では、第2凹部側面SS2及び傾斜面ISにより、第1凹部50より衝撃吸収部1の中空側に凹んだ第2凹部70が形成される。
【0025】
第1実施形態では、図4に示されるように、平面視における(第2凹部70の面積S2)/(第1凹部50の面積S1)の値は、0.5以下となるように形成される。好ましくは、0.3以下、さらに好ましくは0.1以下である。下限は特に規定されないが、0.01以上であることが好ましい。また、図3Bに示されるように、第2凹部70が設けられる部位において、エッジBL1及びBL2が延びる方向に垂直な断面での第1凹部50の曲率半径(第1凹部稜線5と破線DLによって規定される曲線の曲率半径)は5mm以上に設計される。好ましくは、かかる曲率半径は、10mm以上であり、20mm以上、30mm以上、40mm以上、50mm以上、100mm以上としてもよい。上限は特に規定されないが、200mm以下であることが好ましい。また、エッジBL1及びBL2は、エッジBL1及びBL2が延びる方向に垂直な断面での曲率半径(破壊促進点BP1及びBP2近傍の平面視における曲率半径)が1mm以下に設計される。好ましくは、かかる曲率半径は、0.5mm以下であり、0.4mm以下、0.3mm以下、0.2mm以下、0.1mm以下としてもよい。下限は特に規定されないが、0.1以上であることが好ましい。。ここで、破壊促進点BP1及びBP2は、平面視においてエッジBL1及びBL2と背面壁1rが交わる点である。
【0026】
また、図3Bに示されるように、第2凹部70は、平面視において、傾斜面ISと背面壁1rが交わる線ISLと略垂直に第2凹部稜線7が形成される。これにより、第2凹部70は、エッジBL1及びBL2が延びる方向に垂直な断面が矩形状となる。そして、図2及び図5に示されるように、エッジBL1及びBL2は、前面壁1f及び背面壁1rを垂直に結ぶ方向(図5中のは破線L)から傾斜するように設けられる。具体的には、傾斜面ISと取付片3から垂直な方向Lのなす角度θの値が、0.5度〜20度傾斜するように設けられる。かかる角度は、好ましくは、1〜12度であり、さらに好ましくは、4〜8度である。
【0027】
<第1凹部50及び第2凹部70の作用>
次に、図3Bを用いて、第1凹部50及び第2凹部70の作用について説明する。図3Bに示されるように、衝撃Fが紙面裏側に向けて衝撃吸収部1に加えられたとする。このとき、第1凹部稜線5が衝撃吸収部1の中空側に凹んでいるため、衝撃吸収部1に衝撃Fが加わると、周壁1sの前後方向(前面壁1fと背面壁1rを結ぶ方向)の略中央が中空部に向かって折れ曲がる方向の外力F1及びF2が図中の矢印の方向に発生する。これにより、破壊促進点BP1及びBP2(エッジBL1及びBL2)に応力が集中し、それぞれ図中の矢印で示される方向に外力が加わることになる。これにより、エッジBL1及びBL2が互いに離間するようになり、エッジBL1及びBL2の少なくとも一方が破壊される。すると、エッジBL1又はBL2が破壊されたことにより衝撃吸収部1全体としての強度が低下し、衝撃吸収部1は、周壁1sの前後方向の中央が中空部に向かって折れ曲がるように変形を開始する。なお、第1実施形態では、エッジを2つ設けているため、エッジBL1及びBL2の少なくとも一方が破壊されると目的が達成される。
【0028】
すなわち、第1実施形態におけるエッジとは、衝撃吸収部1の破壊を促進する破壊促進部であるということができる。つまり、第1実施形態では、前面壁1fと背面壁1rを結ぶ方向に破壊促進部が形成されているといえる。なお、かかる効果を奏する限りにおいて、エッジの角度、曲率半径及び形状については、任意のエッジを採用することができる。
【0029】
図6を用いて、本発明の第1実施形態に係る衝撃吸収体10の衝撃吸収性能について説明する。比較例として、衝撃吸収体10に第1凹部50及び第2凹部70を設けない衝撃吸収体を採用する。本発明者が比較例について圧縮歪みと圧縮荷重の関係を調べたところ、図6の「比較例」のグラフで示すように、圧縮歪みの増大に伴って圧縮荷重が過度に大きくなることが分かった。一方、本発明の第1実施形態に係る衝撃吸収体10では、衝撃が加わったときに周壁の破壊を促進するエッジBL1及びBL2が第2凹部70に設けられているので、圧縮歪みがある程度大きくなるとエッジBL1又はBL2が破壊されて圧縮荷重の増大が抑制され、図6の「本実施形態」のグラフで示すように圧縮歪み−圧縮荷重の関係が理想的な状態となる。
【0030】
以上説明したように、第1実施形態に係る衝撃吸収体10は、衝撃が加わったときに周壁の破壊を促進するエッジBL1及びBL2が第2凹部70に設けられているため、衝撃吸収体が内側に凹んだ凹部を有する形状である場合であっても、衝撃吸収性能を向上させることができる。
【0031】
<変形例>
図7A図7Cは、第1実施形態に係る衝撃吸収体10の変形例を表す図である。図7Aに示されるように、第1凹部50を衝撃吸収体10の周壁1sの曲面箇所CPに設けることに加え、第1凹部50を衝撃吸収体10の周壁1sの平面箇所SPに設けてもよい。また、図7Bに示されるように、第2凹部70を、エッジが延びる方向に垂直な断面が三角形状となるように構成してもよい。この場合、破壊促進点はB1の1つ、つまりエッジが1つとなる。さらに、図7Cに示されるように、第2凹部70を、エッジが延びる方向に垂直な断面が多角形状となるように構成してもよい。図7Cの例では、破壊促進点はB1〜B3の3つ、つまりエッジが3つとなる。図7A図7Cの例においても、各エッジは、側面が開放された多角柱形状の側面同士が交わる辺に相当する。
【0032】
<第2実施形態>
次に、図8を用いて、本発明の第2実施形態に係る衝撃吸収体10について説明する。ここで、図8は、図5に相当する図である。以下、第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0033】
第2実施形態における第1実施形態と異なる点は、傾斜面ISが屈曲点FPにおいて、傾斜角度が変化するように設けられる点である。具体的には、取付片3から傾斜面IS1が設けられ、傾斜面IS1と取付片3から垂直な方向Lのなす角度がθ1となっている。そして、屈曲点FPを介して傾斜面IS1から傾斜面IS2が設けられ、傾斜面IS1と取付片3から垂直な方向L2のなす角度がθ2となっている。ここで、第2実施形態では、θ1がθ2より大きくなるように構成される。θ1の大きさは特に限定されないが、具体的には、5度〜20度、好ましくは6〜15度、さらに好ましくは7〜10度、特に好ましくは8度である。また、θ2の大きさは特に限定されないが、具体的には、0.1度〜4.9度、好ましくは1〜4度、さらに好ましくは2〜3.5度、特に好ましくは3度である。屈曲点FPが設けられることにより、衝撃吸収体10に衝撃が与えられたときに、屈曲点FPを起点として傾斜面IS1及び傾斜面IS2が内折れするため、第1実施形態よりも破壊が促進される。
【0034】
<第3実施形態>
次に、図9A及び図9Bを用いて、本発明の第2実施形態に係る衝撃吸収体10について説明する。ここで、図9A図2に相当する図であり、図9B図9Aに示される衝撃吸収体10及び比較例についての圧縮歪み−圧縮荷重の関係を示すグラフである。ここで、図9Bにおける比較例は、第1実施形態に係る衝撃吸収体10である。
【0035】
第3実施形態では、エッジBL2に切れ目SLが設けられる。切れ目SLの位置は任意であり、エッジBL1に設けてもよく、エッジBL1及びBL2の両方に設けてもよい。切れ目SLの大きさは特に限定されないが、例えば3mm以上であり、10mm以上が好ましい。また、3〜10mmの間の任意の値であってもよく、4,5,6,7,8,9mmとしてもよい。
【0036】
かかる切れ目SLにより、衝撃吸収体10に衝撃が与えられたときに、切れ目SLからエッジBL2の破壊が促進されるため、第1実施形態よりも破壊が促進される。
【0037】
図9Bに示されるように、切れ目SLがある場合(第3実施形態)と切れ目SLがない場合(第1実施形態)について、圧縮歪み−圧縮荷重の関係を調べたところ、切れ目SLがある場合の方が切れ目SLがない場合と比べて、圧縮歪みの増大に伴う圧縮荷重の増加を低減でき、さらに衝撃吸収性能を向上させることが可能となった。
【符号の説明】
【0038】
1 :衝撃吸収部
1f :前面壁
1fa:前面壁側の丸リブ
1fb:前面壁側の第1溝リブ
1fc:前面壁側の第2溝リブ
1r :背面壁
1ra:背面壁側の丸リブ
1rb:背面壁側の第1溝リブ
1rc:背面壁側の第2溝リブ
1s :周壁
3 :取付片
3a :取付孔
3b :支持壁
3b1:支持壁の内側面
3b2:支持壁の外側面
3c :取付片の先端
3d :取付片の側縁
3e :取付片の主面
4 :取付片
4a :取付孔
5 :第1凹部稜線
7 :第2凹部稜線
9 :突出部
10 :衝撃吸収体
50 :第1凹部
60 :第2凹部
PL :パーティングライン
BP :破壊促進点
BL :エッジ
FP :屈曲点
IS :傾斜面
SS1:第1凹部側面
SS2:第2凹部側面
CS :連結側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9