(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0013】
(表示装置の概要)
図1は、本実施の形態に係る表示装置の外観を例示する斜視図である。
図2は、本実施の形態に係る表示装置の投影光学系を例示する模式図である。
【0014】
図1及び
図2に示す表示装置1は、使用者の眼の網膜に映像を直接投影する網膜走査型のヘッドマウントディスプレイである。
【0015】
表示装置1は、例えば、データベース等に予め記録された作業支援のための情報を使用者に視認させる装置として利用することができる。或いは、表示装置1にカメラモジュールを設け、カメラモジュールで得た情報を使用者に視認させる装置として利用することができる。或いは、両者の機能を併せ持つ装置であっても構わない。
【0016】
表示装置1は、主要な構成要素として、使用者(装着者)の頭部に装着可能な装着部10と、装着部10を制御する制御装置20(後述)を内蔵する制御ボックス20Bとを有している。制御ボックス20Bは、例えば直方体の筐体であり、必要に応じ各種スイッチや表示部等を設けることができる。装着部10と制御ボックス20B内の制御装置20とは、光ファイバや電線を含む伝送ケーブル30により接続されている。
【0017】
本実施の形態では、一例として装着部10は眼鏡型をしており、左右に1組ずつ略対称に設けられたフロント10f及びテンプル10tにより構成されている。フロント10fには、レンズ(度数がゼロである場合も含む)が保持されている。
【0018】
左右の何れか一方のテンプル10t(
図1では左眼側)には、
図2に示す光走査部15、レンズ161及びハーフミラー162を備えた投影光学系16が実装されている。すなわち、表示装置1では、光走査部15及び投影光学系16が片眼側にのみ実装されている。光走査部15及び投影光学系16は、右眼側にも左眼側にも配置可能であり、配置された側の眼の網膜に映像を投影する機能を有している。
【0019】
光走査部15は、入射するレーザ光を2次元に走査し、走査されたレーザ光はレンズ161及びハーフミラー162を介して表示装置1の装着者の眼球500の網膜に直接投影され2次元の映像を形成する。
【0020】
光走査部15は、例えば、直交する2軸に対して揺動する1つのミラーを備えている。光走査部15は、例えば、半導体プロセス等で作製されたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)とすることができる。光走査部15のミラーは、例えば、圧電素子の変形力を駆動力とするアクチュエータにより駆動することができる。なお、投影光学系16は、レンズ161、及びハーフミラー162以外の光学部品等を備えていてもよい。
【0021】
図3は、本実施の形態に係る制御装置について説明するブロック図の一例である。なお、
図3の一点鎖線で囲まれた部分はAPC制御にかかわる部分を示している。
【0022】
図3に示すように制御装置20において、レーザモジュール21は、電流値に応じた光量のレーザ光を出射するレーザ211R、211G、及び211Bや、レーザ211R、211G、及び211Bの夫々の直近の光量をモニタする光量検出センサ215等を備えている。
【0023】
レーザ211Rは、例えば、赤色半導体レーザであり、波長λR(例えば、640nm)の光を出射することができる。レーザ211Gは、例えば、緑色半導体レーザであり、波長λG(例えば、530nm)の光を出射することができる。レーザ211Bは、例えば、青色半導体レーザであり、波長λB(例えば、445nm)の光を出射することができる。
【0024】
光量検出センサ215としては、例えば、フォトダイオード等を用いることができる。光量検出センサ215は、光走査部15に入射する前のレーザ光量を検出できる任意の位置に配置することができる。
【0025】
システムコントローラ23は、例えば、光走査部15のミラー(図示せず)の振れ角制御を行うことができる。システムコントローラ23は、例えば、光走査部15に設けられている水平変位センサ(図示せず)、垂直変位センサ(図示せず)で得られるミラーの水平方向及び垂直方向の傾きをバッファ回路24を介してモニタし、ミラー駆動回路25に角度制御信号を供給することができる。そして、ミラー駆動回路25は、システムコントローラ23からの角度制御信号に基づいて、光走査部15のミラーを所定角度に駆動(走査)することができる。
【0026】
また、システムコントローラ23は、例えば、制御装置の外部から入力されるデジタルの映像信号に応じた駆動信号をレーザ駆動回路26に供給することができる。なお、制御装置の外部とは、例えば、パーソナルコンピュータやカメラモジュール等である。
【0027】
レーザ駆動回路26は、システムコントローラ23からの駆動信号に基づいて、レーザモジュール21のレーザ211R、211G、及び211Bに所定の電流を供給する。これにより、レーザ211R、211G、及び211Bが映像信号に応じて光量が制御された赤色、緑色、及び青色の光を発し、これらを合成することで、制御装置の外部から入力されるデジタルの映像信号に対応したカラーの映像を形成することができる。
【0028】
また、CPU27は、例えば、レーザ211R、211G、及び211Bの根元の出射光量を、光量検出センサ215の電流出力をI/V変換回路28で電圧に変換した信号によりモニタし、レーザモジュール21に光量制御信号を供給することができる。レーザ211R、211G、及び211Bは、CPU27からの光量制御信号に基づいて、所定の出力(光量)になるように電流制御される。ここで、所定の出力は、光量検出センサ215が検出した外光の光量に基づいて決定された目標光量であり、決定された目標光量からずれた分が光量検出センサ215の出力に基づいてフィードバック制御される。
【0029】
なお、光量検出センサ215は、レーザ211R、211G、及び211Bの出射光量を独立に検出する3つのセンサを含む構成とすることができる。或いは、光量検出センサ215は、1つのセンサのみから構成してもよい。この場合には、レーザ211R、211G、及び211Bを順次発光させて、1つのセンサで順次検出することで、レーザ211R、211G、及び211Bの出射光量の制御が可能となる。
【0030】
レーザ211R、211G、及び211Bから出射された各波長のレーザ光は、ダイクロイックミラー等により合成され、伝送ケーブル30内の光ファイバ(図示せず)を介して、装着部10の光走査部15のミラーに照射され走査される。光走査部15のミラーに走査されたレーザ光は、投影光学系16により装着部10の使用者の網膜に直接投影されて映像が形成され、使用者は所定の輝度の映像を視認できる。
【0031】
なお、
図3において矢印の図示は省略されているが、CPU27は、システムコントローラ23、バッファ回路24、ミラー駆動回路25、及びレーザ駆動回路26とも接続され、これらの初期設定(出力する電圧値の範囲の設定等)を行う仕様となっている。
【0032】
(レーザ光量の制御)
図4は、本実施の形態に係るAPC制御について説明する図であり、
図4(a)は
図3の一点鎖線で囲まれた部分を詳細に示したブロック図であり、
図4(b)はレーザ駆動回路の内部を簡略化して示したブロック図である。
図5は、レーザのI−L特性の一例である。
【0033】
表示装置1で用いるレーザ211R、レーザ211G、及びレーザ211Bは、低出力レーザである。低出力レーザは、一般的な出力のレーザ(出射パワーが数10mW程度)よりも出射パワーの小さいレーザであるが、本明細書では、最大出射パワーが10mW以下のレーザを低出力レーザと称する。又、出射パワーが数10mW程度の一般的な出力のレーザを標準出力レーザと称する場合がある。
【0034】
低出力レーザは、標準出力レーザよりも動作電流が低く、例えば、標準出力レーザの1/5程度の動作電流である。
【0035】
図4(a)に示すように、レーザ211R、レーザ211G、及びレーザ211Bの各々のアノード側はレーザ電源VLDと接続されており、各々のカソード側はレーザ駆動回路26に接続されている。そして、レーザ211Rには抵抗212Rが並列に接続されている。同様に、レーザ211Gには抵抗212Gが並列に接続され、レーザ211Bには抵抗212Bが並列に接続されている。抵抗212R、212G、及び212Bは、本発明に係る分流素子の代表的な一例である。
【0036】
レーザ駆動回路26は、レーザ211R、211G、及び211B、並びに、抵抗212R、212G、及び212Bに電流を供給する機能を有している。レーザ駆動回路26は、低出力レーザ専用に設計された駆動回路ではなく、標準出力レーザ用の駆動回路である。従って、低出力レーザの動作電流よりも高い動作電流の範囲において(つまり、標準出力レーザ用の動作電流の範囲において)電流値を段階的に調整可能な仕様に設計されている。
【0037】
光量検出センサ215は、レーザ211R、211G、及び211Bの出射光量を独立に検出するセンサ215R、215G、及び215Bを備えている。センサ215R、215G、及び215Bは、例えば、フォトダイオードである。
【0038】
図4(b)に示すように、レーザ駆動回路26は、ビデオイメージを表す電流を生成するVIDEO DACA262及び電流源263と、VIDEO DACB264及び電流源265とを有している。VIDEO DACA262及び電流源263は、
図5のI−L特性におけるI
gain域の電流をレーザに供給し、VIDEO DACB264及び電流源265は
図5に示すI
th域の電流をレーザに供給する。
【0039】
VIDEOSIGNAL261は、システムコントローラ23から入力されるビデオデータをI
th域とI
gain域に割り振り、VIDEO DACA262又はVIDEO DACB264に供給する。なお、
図4(b)の回路は、レーザ211R、211G、及び211Bについて、1つずつ設けられている。
【0040】
例えば、VIDEO DACA262の調整最大値が320mA、VIDEO DACB264の調整最大値が80mAであるとすると、映像信号が256階調であれば、VIDEO DACA262の分解能は1.25mA、VIDEO DACB264の分解能は0.313mAとなる。
【0041】
図6は、APC制御のフローチャートの一例である。まず、ステップS101では、光量検出センサ215は、各階調の光量を電流値として取得する。次に、ステップS102では、I/V変換回路28は、光量検出センサ215が取得した電流値をCPU27が処理可能な電圧値に変換し、CPU27に供給する。
【0042】
次に、ステップS103では、CPU27は、各レーザの光量の目標値及び制御量を計算する。
【0043】
次に、ステップS104及びS105では、レーザ駆動回路26は、CPU27の計算した目標値及び制御量に基づいて調整された光量で光るように、各レーザを制御する。このとき、VIDEO DACA262及び電流源263によりI
gain域コントロールを行い、VIDEO DACB264及び電流源265によりI
th域コントロールを行う。
【0044】
制御量の計算について、以下に説明する。
図4におけるIoutは、Iout=(xxh/FFh)×(yyh/FFh)×a、により計算される。ここで、(xxh/FFh)はビデオデータ(色の階調)、(yyh/FFh)はレーザ電流のゲインレジスタ設定、aはレーザ駆動回路26の各VIDEO DACの調整最大値(定格電流)である。
【0045】
レーザ211Rに並列にレーザ211Rと等価な抵抗212Rを接続した場合と、レーザ211Rに並列に抵抗212Rを接続しない場合とで、ゲインレジスタ値とIoutとの関係が変化する。
図7(a)はレーザ211Rに並列にレーザ211Rと等価な抵抗212Rを接続しない場合のビデオデータとIoutとの関係、
図7(b)はレーザ211Rに並列に抵抗212Rを接続した場合のビデオデータとIoutとの関係を示している。
【0046】
図7(a)及び
図7(b)の何れの場合も、ゲインレジスタ設定を変化させると、ビデオデータに対する傾きが変動するが、レーザ211Rに並列にレーザ211Rと等価な抵抗212Rを接続した場合は、
図7(b)のようにゲイン設定値を半分にすることができる。つまり、同じビデオデータに対して同じゲインレジスタ設定をすると、
図7(b)では
図7(a)の半分のIoutが得られる。
【0047】
これは、レーザ211Rに並列に抵抗212Rを接続すると、レジスタ設定の分解能が向上することを意味する。レーザ211Rに並列にレーザ211Rと等価な抵抗212Rを接続した場合は、レジスタ設定の分解能が2倍になる。抵抗212Rの値を調整することで、レジスタ設定の分解能を所望の値に向上することができる。
【0048】
次に、各レーザに並列に接続する抵抗の算出方法について説明する。レーザ211Rに並列に接続される抵抗212R、レーザ211Gに並列に接続される抵抗212G、及びレーザ211Bに並列に接続される抵抗212Bの算出方法は同じであるため、ここでは
図8に示すように、レーザ211Rに並列に抵抗212Rを接続した場合について、抵抗212Rの算出方法について説明する。
【0049】
図8において、I
OUTは、レーザ電源VLDから供給される電流、i
1はレーザ211Rを流れる電流、i
2は抵抗212Rを流れる電流、V
1はレーザ211Rの両端の電圧、V
2は抵抗212Rの両端の電圧である。
【0050】
図8において、I
OUT=i
1+i
2であり、V=V
1=V
2であるから、抵抗212Rの抵抗値をRとすると、i
2=V/Rとなる。
【0051】
又、レーザ211RのI−V特性は例えば
図9のようになり、これを関数fi(V)とすると、任意のVから一意のIが求められるので、i
1=fi(V)となる。I
OUT=i
1+i
2、i
2=V/Rと併せて考えると、I
OUT=fi(V)+V/R・・・(式1)となる。
【0052】
ここで、分解能を2倍にする場合を考える。この場合、i
1=i
2とすればよいので、
I
OUT=i
1+i
2=V/R+V/R=2V/Rとなる。これと式1より、fi(V)=V/Rとなり、これを変形すると、R=V/fi(V)・・・(式2)を導くことができる。式2より、分解能を2倍にするための各色のレーザと並列に接続する抵抗の抵抗値を求めると表1に示す値となる。表1に示すように、発光波長の異なる(色の異なる)各々のレーザと並列に、抵抗値の異なる抵抗が接続される。
【0053】
【表1】
ここで、比較例として、レーザ211Rに並列に抵抗212Rを接続しない場合について考える。
図10に示すように、レーザ211Rに並列に抵抗212Rを接続しない場合、
I
OUT=i
1、V=V
1であるから、式1より、I
OUT=fi(V)となる。
【0054】
一方、レーザ211Rに並列に抵抗212Rを接続した場合は、式1及び式2より、I
OUT=2fi(V)となる。これは、
図8の回路では、
図10に示す比較例の回路と比べて、
図11に示すように同じパワーPを出力するときのI
OUTが2倍になることを意味している。なお、
図11では、抵抗ありの場合は抵抗なしの場合と比べてI
th域が2倍となり、I
gain域のI−L特性の傾きが1/2となっている。
【0055】
前述の場合と同様に、VIDEO DACA262の調整最大値を320mA、VIDEO DACB264の調整最大値を80mAであるとすると、映像信号が256階調であれば、VIDEO DACA262の分解能は1.25mA、VIDEO DACB264の分解能は0.313mAとなる。
【0056】
図10に示す比較例の従来回路の場合のI
th、I
OP、1ステップ当たりの分解能の一例を表2に示す。なお、表2に示すI
thは各レーザが発振を開始する電流、Iopは各レーザの標準出力時の動作電流である。Iopは、I
gain域の何れかに属する。
【0057】
表2では、比較のため、一般的な出力のレーザ(すなわち、標準出力レーザ)の場合の数値例も示している。表2より、
図10に示す比較例の従来回路の場合には、各色において、一般的な出力のレーザと低出力レーザとを比較すると、低出力レーザの分解能の粗さは一般的な出力のレーザの5倍以上となる。
【0058】
【表2】
次に、
図8に示す回路の場合について、表1のようにi
1=i
2とした場合の各色の分解能を求めてみる。赤色の場合、表1より、i
1=i
2=35mAであるから、I
OUT=i
1+i
2=70mAとなる。VIDEO DACA262の分解能1.25mAは70mAに対して1.79%の調整幅を持つ。同様に緑色及び青色の場合の分解能(調整幅)を計算した結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
表3において、1ステップ当たりの分解能は、レーザに並列に抵抗を接続していない場合のレジスタ設定の分解能(つまり、表2の値)である。レーザに並列に抵抗を接続することにより、各色においてレジスタ設定の分解能が2倍になっていることがわかる。レーザに並列に接続する抵抗の値を調整してi
1とi
2との比率を変えることで、更にレジスタ設定の分解能を上げることも可能である。
【0060】
半導体レーザは温度等の外的な要因によって特性が変動する特徴をもつ。特性が変動すると投影したい映像の色味に大きく影響してしまう。そのため、レーザを光源として持つ映像投影方式では、特性変動に対応した光量の制御が必要となる。これを自動で制御するのがホワイトバランスのオートパワーコントロール(APC)である。
【0061】
上記のように、レジスタ設定の分解能が向上すると、ホワイトバランスのAPC調整精度が向上する。これにより、従来よりも映像画質を劣化させずに保持することが可能となる。すなわち、レーザに並列に抵抗を接続してレジスタ設定の分解能を上げることにより、レーザ電流の調整幅を細かくできるので、ホワイトバランスのAPC調整精度を向上することができる。
【0062】
図12は、ホワイトバランスの調整について説明する図であり、
図12(a)はレジスタ設定の分解能が低くレーザ電流の調整幅が粗い場合(
図10の場合)を示し、
図12(b)はレジスタ設定の分解能が高くレーザ電流の調整幅が細かい場合(
図8の場合)を示している。又、
図12(a)及び
図12(b)において、隣接する写真は、調整幅を1ステップ変えた場合を示している。
【0063】
図12(a)に示すように、レジスタ設定の分解能が低くレーザ電流の調整幅が粗い場合には、調整幅が不足し、この例では3段階の調整しかできないため、調整幅を1ステップ変えたときの明るさが極端に変化する。特に、I
gain域が少ない低出力レーザではホワイトバランスの制御が困難である。
【0064】
これに対して、
図12(b)に示すように、レジスタ設定の分解能が高くレーザ電流の調整幅が細かい場合には、調整幅が十分であり、この例では6段階の調整ができるため、調整幅を1ステップ変えたときの明るさを徐々に変化させることができる。これにより、I
gain域が少ない低出力レーザであっても、ホワイトバランスの制御を容易に行うことが可能となる。
【0065】
このように、レーザ電流の調整幅の細かさは、表示装置1で投影された映像の明るさ(ホワイトバランス)の調整精度に関わる。そして、低出力レーザに並列に抵抗を接続してレジスタ設定の分解能を上げることにより、レーザ電流の電流値の調整分解能を改善することが可能となり、ホワイトバランスのAPC調整精度を向上することができる。その結果、低出力レーザを標準出力レーザ用の駆動回路で駆動する表示装置1において、温度変化に依存せず、安定した画質で映像を投影することが可能となる。
【0066】
〈第1の実施の形態の変形例〉
第1の実施の形態の変形例では、レーザに抵抗以外の分流素子を並列に接続する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0067】
図13は、レーザに抵抗以外の分流素子を並列に接続する例について説明する図である。
図13に示す回路では、レーザ211Rにレーザ219Rが並列に接続されている。図示は省略するが、レーザ211G及び211Bについても同様の回路とする。
【0068】
図13の回路において、レーザ211Rとレーザ219Rとして同一仕様のレーザを用いれば、各々に流れる電流を略同一にすることができる。そのため、レーザ211Rに並列にレーザ211Rと等価な抵抗212Rを接続した場合と同様に、ゲイン設定値を半分にすることができる。
【0069】
これにより、第1の実施の形態と同様に、レーザ電流の電流値の調整分解能を改善することが可能となり、ホワイトバランスのAPC調整精度を向上することができる。その結果、低出力レーザを標準出力レーザ用の駆動回路で駆動する表示装置1において、温度変化に依存せず、安定した画質で映像を投影することが可能となる。
【0070】
又、レーザ211Rと並列に適宜な仕様のレーザを接続してi
1とi
2との比率を変えることで、更にレジスタ設定の分解能を上げることも可能である。なお、レーザ219Rは電流値の調整のために使用するものであり画像の形成には寄与しないため、レーザ219Rの出射光が画像に影響しないような対策が必要である。
【0071】
図13の回路において、レーザ219Rに代えて、レーザ以外のダイオード、可変抵抗等を用いてもよい。可変抵抗を用いた場合には、レジスタ設定の分解能を可変にすることができる点で好適である。CPU27により、可変抵抗の設定(抵抗値)を調整できるようにしても良い。
【0072】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。