(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンズ部の周囲に配置される振れ補正用マグネット部と、前記振れ補正用マグネット部から離間して配置される振れ補正用コイル部と、前記振れ補正用コイル部を含む振れ補正固定部に対して前記振れ補正用マグネット部を含む振れ補正可動部を光軸方向に離間した状態で支持する振れ補正用支持部とを有し、前記振れ補正用コイル部と前記振れ補正用マグネット部で構成される振れ補正用ボイスコイルモーターの駆動力を利用して、前記振れ補正固定部に対して前記振れ補正可動部を光軸方向に直交する平面に対する姿勢を保持したまま揺動させることにより振れ補正を行う振れ補正用駆動部を備え、
前記振れ補正可動部は、前記レンズ部の周囲に配置されるオートフォーカス用コイル部と、前記オートフォーカス用コイル部に対して径方向に離間して配置されるオートフォーカス用マグネット部と、前記オートフォーカス用マグネット部を含むオートフォーカス固定部に対して前記オートフォーカス用コイル部を含むオートフォーカス可動部を支持するオートフォーカス用支持部とを有し、前記オートフォーカス用コイル部とオートフォーカス用マグネット部とで構成されるオートフォーカス用ボイスコイルモーターの駆動力を利用して、前記オートフォーカス固定部に対して前記オートフォーカス可動部を光軸方向に移動させることにより自動的にピント合わせを行うオートフォーカス用駆動部を含み、
前記振れ補正用支持部は、エラストマー材料で形成され、前記振れ補正可動部を光軸に直交する面内で移動可能に支持する2軸ヒンジ構造を有し、
前記オートフォーカス用支持部は、支持部本体と、補剛部と、を有し、
前記支持部本体は、前記オートフォーカス固定部に接続される固定端と、前記オートフォーカス可動部に接続される自由端と、前記固定端と前記自由端を連結するアームと、を有し、
前記アームは、エラストマー材料で形成され、周囲よりも薄肉に形成され光軸方向と直交する方向を軸とする2つのヒンジ部を有し、前記オートフォーカス可動部の光軸方向への移動に伴い、前記2つのヒンジ部における屈曲方向が互いに逆方向となるように屈曲し、
前記補剛部は、前記エラストマー材料よりも剛性の高い材料で形成され、前記アームの前記2つのヒンジ部間に配置されることを特徴とするレンズ駆動装置。
前記振れ補正用マグネット部は、前記光軸方向に直交する平面において矩形を規定する辺のうちの少なくとも直交する2辺に配置される2つの振れ補正用マグネットで構成され、
前記オートフォーカス用マグネット部は、前記振れ補正用マグネットのうちの少なくとも1つで構成されている、
請求項1に記載のレンズ駆動装置。
前記オートフォーカス可動部は、前記アームの延在方向と交差する面に配置され、磁界の変化に基づいて、当該オートフォーカス可動部の光軸方向の位置を検出する位置検出部を有し、
前記オートフォーカス固定部は、前記位置検出部に対向して配置される位置検出用マグネットを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るカメラモジュールAを搭載するスマートフォンM(カメラ搭載装置)を示す図である。
図1AはスマートフォンMの正面図であり、
図1BはスマートフォンMの背面図である。
【0016】
スマートフォンMは、例えば背面カメラOCとして、カメラモジュールAを搭載する。カメラモジュールAは、オートフォーカス機能及び振れ補正機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うとともに、撮影時に生じる振れ(振動)を補正して像ぶれのない画像を撮影する。
【0017】
図2は、カメラモジュールAの外観斜視図である。
図3は、カメラモジュールAの分解斜視図である。
図2、
図3に示すように、本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。カメラモジュールAは、スマートフォンMで実際に撮影が行われる場合に、X方向が上下方向(又は左右方向)、Y方向が左右方向(又は上下方向)、Z方向が前後方向となるように搭載される。すなわち、Z方向が光軸方向であり、図中上側が光軸方向受光側(「マクロ位置側)ともいう)、下側が光軸方向結像側(「無限遠位置側」ともいう)となる。また、光軸方向に直交するX方向及びY方向を「光軸直交方向」と称する。
【0018】
カメラモジュールAは、円筒形状のレンズバレルにレンズが収容されてなるレンズ部2、AF用及びOIS用のレンズ駆動装置1、レンズ部2により結像された被写体像を撮像する撮像部(図示略)、及び全体を覆うカバー3等を備える。
【0019】
カバー3は、光軸方向から見た平面視で正方形状の有蓋四角筒体であり、上面に円形の開口3aを有する。この開口3aからレンズ部2が外部に臨む。カバー3は、レンズ駆動装置1のOIS固定部20(
図5参照)のベース23に固定される。なお、カバー3は、導電性を有する材料で形成され、OIS固定部20を介して接地されるようにしてもよい。
【0020】
撮像部(図示略)は、撮像素子(図示略)を有し、レンズ駆動装置1の光軸方向結像側、すなわちOIS固定部20の光軸方向結像側に配置される。撮像素子(図示略)は、例えばCCD(charge-coupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等により構成される。撮像素子(図示略)は、レンズ部2により結像された被写体像を撮像し、被写体像に対応する電気信号を出力する
【0021】
図4は、レンズ駆動装置1を示す図である。
図4Aは平面図、
図4Bは正面図、
図4Cは背面図、
図4Dは左側面図、
図4Eは右側面図である。
図4A〜
図4Eのうち、
図4Aにだけ座標軸を示している。
図5は、レンズ駆動装置1の分解斜視図である。
図4、
図5に示すように、レンズ駆動装置1は、OIS可動部10、OIS固定部20、及びOIS用支持部30等を備える。
【0022】
OIS可動部10は、OIS用ボイスコイルモーターを構成するOIS用マグネット部を有し、振れ補正時に、光軸に直交する光軸直交面内で揺動する部分である。OIS固定部20は、OIS用ボイスコイルモーターを構成するOIS用コイル部を有し、OIS用支持部30を介してOIS可動部10を支持する部分である。すなわち、レンズ駆動装置1におけるOIS用駆動部には、ムービングマグネット方式が採用されている。OIS可動部10は、AF用駆動部を含む。OIS可動部10は、光軸方向に直交する面内で移動できるように、OIS固定部20に対して離間して配置される。ここでは、OIS可動部10は、OIS固定部20に対して光軸方向受光側に離間して配置される。
【0023】
OIS用支持部30は、OIS固定部20とOIS可動部10を連結する。本実施の形態では、OIS用支持部30として、従来のサスペンションワイヤーではなく、エラストマーの弾性を利用したリンク部材を採用している(以下「OIS用リンク部材30」と称する)。エラストマーとは、ゴム状の弾性体であり、熱硬化性エラストマー(ゴム)及び熱可塑性エラストマー(弾性を有するプラスチック)を含む。
【0024】
図4、
図5に示すように、OIS用リンク部材30は、上部枠体33、第1の側部支持体31、及び第2の側部支持体32を有する。なお、第1の側部支持体31と第2の側部支持体に共通する構成については、「側部支持体31、32」として説明する。
【0025】
上部枠体33は、平面視で正方形状の枠体であり、OIS固定部20のベース22と光軸方向に対向して配置される。上部枠体33は、剛性の高い材料で形成される。上部枠体33には、金属材料又は樹脂材料を適用できるが、軽量化の観点から樹脂材料であることが好ましい。特に、上部枠体33には、液晶ポリマー(LCP樹脂)が好適である。上部枠体33を液晶ポリマーで形成することにより、軽量化を図りつつ、OIS可動部10の自重による沈み込みを防止でき、良好なチルト特性を確保することができる。
【0026】
側部支持体31、32は、エラストマー材料で形成される。これにより、落下等の衝撃によって、側部支持体31、32が破損する危険性は、OIS用支持部としてサスペンションワイヤーを適用した場合に比較して、極めて低くなる。したがって、高い信頼性を確保できるとともに、レンズ駆動装置1のOIS感度を高めることができる。また、エラストマーの減衰力を利用してOIS用駆動部の一次共振を抑えることができるので、サスペンションワイヤーを適用した場合に行われていたダンパー材を塗布する工程は不要となり、組立作業が容易化されるので、生産性が向上する。
【0027】
エラストマー材料としては、ばね定数を小さく設計でき、かつ射出成形のできる量産性の高い熱可塑性エラストマー(例えばポリエステル系エラストマー)が好適である。ポリエステル系エラストマーは、耐熱性及び低温特性に優れ、温度が変化しても比較的安定した柔軟性を有する。
【0028】
側部支持体31、32は、OIS可動部10を支持しうる強度を有する柱状の部材である。上部枠体33の4辺のそれぞれにおいて、第1の側部支持体31又は第2の側部支持体32が2つずつ配置される。なお、側部支持体31、32は、OIS可動部の側面を覆う板状の部材であってもよい。側部支持体31、32は、2つの軸を中心に屈曲することにより、OIS可動部10の光軸直交面内における平行移動を可能とする2軸ヒンジ構造を有する。
【0029】
具体的には、第1の側部支持体31は、周囲よりも薄肉に形成され、Y方向を軸とする2つのYヒンジ部31a、31bを有する。ここでは、Yヒンジ部31a、31bは、第1の側部支持体31の外面に形成されたヒンジ溝で構成される。
【0030】
第2の側部支持体32は、第1の側部支持体31と同様の形状を有する。すなわち、第2の側部支持体32は、周囲よりも薄肉に形成され、X方向に延びる2つのXヒンジ部32a、32bを有する。ここでは、Xヒンジ部32a、32bは、第2の側部支持体321の外面に形成されたヒンジ溝で構成される。
【0031】
第1の側部支持体31及び第2の側部支持体32におけるヒンジ溝の形状は特に制限されないが、R形状を有することが好ましい。これにより、振れ補正時に繰り返し行われる屈曲動作に対する耐久性が向上する。
【0032】
第1の側部支持体31は、上部枠体33のY方向に沿う2辺のそれぞれの端部に吊設される。第1の側部支持体31の一方の端部は上部枠体33に固定され、他方の端部はOIS可動部10(ここではマグネットホルダー121)に固定される。
【0033】
第2の側部支持体32は、上部枠体33のX方向に沿う2辺のそれぞれの端部に吊設される。第2の側部支持体32の一方の端部は上部枠体33に固定され、他方の端部はOIS固定部20(ここではコイル基板21)に固定される。
【0034】
OIS用リンク部材30の上部枠体33は、第2の側部支持体32によってOIS固定部20の光軸方向受光側に架設された状態となる。また、OIS可動部10は、第1の側部支持体31によって上部枠体33に吊設された状態となる。
【0035】
したがって、OIS可動部10がY方向に移動するときには第2の側部支持体32だけが弾性変形し、第1の側部支持体31は弾性変形しない。一方、OIS可動部10がX方向に移動するときには第1の側部支持体31だけが弾性変形し、第2の側部支持体32は弾性変形しない。すなわち、OIS可動部10は、X方向及びY方向に独立して移動することができる。
【0036】
このように、OIS用支持部30は、光軸方向においてOIS固定部20と対向して配置される上部枠体33と、X方向(光軸方向に直交する第1の方向)に対向して配置され、それぞれが上部枠体33とOIS可動部10を連結する第1の側部支持体31と、Y方向(光軸方向及び第1の方向に直交する第2の方向)に対向して配置され、それぞれが上部枠体33とOIS固定部20を連結する第2の側部支持体32と、を有する。第1の側部支持体31は、周囲よりも薄肉に形成されY方向を軸とする2つのYヒンジ部31a、31bを有し、OIS可動部10のX方向への移動に伴い、2つのYヒンジ部31a、31bにおける屈曲方向が互いに逆方向となるように屈曲する(
図10参照)。第2の側部支持体32は、周囲よりも薄肉に形成されX方向を軸とする2つのXヒンジ部32a、32bを有し、OIS可動部10のY方向への移動に伴い、2つのXヒンジ部32a、32bにおける屈曲方向が互いに逆方向となるように屈曲する(
図11参照)。
【0037】
OIS用支持部30として、エラストマーの弾性を利用した機械的ヒンジ構造を採用することにより、OIS可動部10を小さな力で移動させることができるので、省電力化を図ることができる。また、OIS可動部10の平行度が確保されるので、チルト特性が向上する。
【0038】
図6は、OIS可動部10の分解斜視図である。
図7は、AF用支持部13とAF可動部11の取付状態を示す図である。
図7Aは平面図、
図7Bは正面図、
図7Cは背面図、
図7Dは左側面図、
図7Eは右側面図である。
図7A〜
図7Eのうち、
図7Aにだけ座標軸を示している。
図8は、AF用支持部13とAF可動部11の取付状態を示す斜視図である。
【0039】
図6〜
図8に示すように、OIS可動部10は、AF可動部11、AF固定部12、及びAF用支持部13等を備える。AF可動部11は、AF固定部12に対して径方向内側に離間して配置され、AF用支持部13によってAF固定部12と連結される。
【0040】
AF可動部11は、AF用ボイスコイルモーターを構成するAF用コイル部112を有し、ピント合わせ時に光軸方向に移動する部分である。AF固定部12は、AF用ボイスコイルモーターを構成するAF用マグネット部122Aを有し、AF用支持部13を介してAF可動部11を支持する部分である。すなわち、レンズ駆動装置1のAF用駆動部には、ムービングコイル方式が採用されている。
【0041】
AF可動部11は、レンズホルダー111、AF用コイル部112、AF用位置検出部113及びセンサー基板114を有する。
【0042】
レンズホルダー111は、レンズ部2が接着又は螺合により固定される、円筒状のレンズ収容部111aを有する。レンズホルダー111は、X方向に沿う側面に、AF用コイル部112が配置される、コイル取付部111bを有する。また、レンズホルダー111は、Y方向に沿う2つの側面に、リンク取付部111cを有する。
【0043】
AF用コイル部112は、ピント合わせ時に通電される空心コイルであり、レンズホルダー111のコイル取付部111bに巻線される。AF用コイル部112の巻線の両端は、センサー基板114に接続される。AF用コイル部112は、長円形状を有し、コイル面が光軸と平行になるように、ここではXZ面がコイル面となるように配置される。AF用コイル部112は、マグネット部122(第1のマグネット122A)に対向する。
【0044】
センサー基板114は、AF用位置検出部113が実装されるフレキシブルプリント基板である。センサー基板114は、レンズホルダー111の光軸方向結像側に配置される平面部114aと、平面部114aから立ち上がってU字状に屈曲し、レンズホルダー111のコイル取付部111bに隣接して配置されるセンサー取付部114bを有する。センサー基板114は、AF用コイル部112及びAF用位置検出部113に給電するための電源ライン(図示略)、及びAF用位置検出部113から出力される検出信号用の信号ライン(図示略)等を有する。センサー基板114の各配線は、ベース22の配線に電気的に接続される。
【0045】
AF用位置検出部113は、例えばホール効果を利用して磁界を検出するホール素子である(以下「AF用ホール素子113」と称する)。AF用ホール素子113は、主として第1のマグネット122Aによって形成される磁界を検出する。AF用ホール素子113の検出結果に基づいて、光軸方向におけるAF可動部11の位置を特定することができる。AF用ホール素子113は、クローズドループ制御によりピント合わせを行う際に用いられる。AF用ホール素子113は、センサー基板114のセンサー取付部114bに実装される。
【0046】
このように、AF可動部11は、アーム412の延在方向と交差する面(図ではXZ面)に配置され、磁界の変化に基づいて、AF可動部11の光軸方向の位置を検出するAF用ホール素子113(AF用位置検出部)を有する。なお、第1のマグネット122Aとは別に、位置検出用磁石をAF固定部12に配置するようにしてもよい。
【0047】
本実施の形態では、AF固定部12に片持ち状態で取り付けられるAF用支持部13により、AF可動部11は支持される。この場合、AF用支持部13のアーム412の延在方向と交差する方向に振動(共振)が生じやすい。そのため、アーム412の延在方向に沿う面(図ではYZ面)にAF用ホール素子113を配置すると、共振による位置ずれの影響を受けやすく、AF用ホール素子113の検出精度が低下する虞がある。これに対して、本実施の形態では、アーム412の延在方向と交差する面にAF用ホール素子113が配置されているので、AF用ホール素子113は、共振による位置ずれの影響を受けにくく、高い検出精度でAF可動部11の位置を検出することができる。
【0048】
AF固定部12は、マグネットホルダー121及びマグネット部122を有する。
【0049】
マグネット部122は、第1のマグネット122A及び第2のマグネット122Bを有する。第1のマグネット122A及び第2のマグネット122Bは、両面4極の直方体状の永久磁石(符号略)である。すなわち、第1のマグネット122A及び第2のマグネット122Bにおいては、6面すべてにおいて、N極とS極が等分に現れている。第1のマグネット122Aは、AF用コイル部112に対向するように、X方向に沿って配置される。第2のマグネット122BはY方向に沿って配置される。
【0050】
AF用コイル部112における2つの長辺部分をY方向に横切る磁界が、互いに逆向きとなるように、AF用コイル部112及び第1のマグネット122Aの大きさや位置が設定される。これにより、AF用コイル部112に通電が行われたとき、AF用コイル部122の2つの長辺部分には、Z方向に同じ向きのローレンツ力が発生する。
【0051】
このように、第1のマグネット122A(AF用マグネット部)は、両面4極の直方体形状を有し、X方向(光軸方向に直交する第1の方向)に沿って配置される。AF用コイル部112は、長円形状を有し、コイル面が第1のマグネット122Aに対向するとともに、2つの長辺部分を第1のマグネット122Aからの磁束が逆向きに交差するように配置される。
【0052】
第1のマグネット122AとAF用コイル部112によって、AF用ボイスコイルモーターが構成される。また、第1のマグネット122A及び第2のマグネット122BとOIS用コイル部211(
図9参照)によって、OIS用ボイスコイルモーターが構成される。つまり、第1のマグネット122Aは、AF用マグネット部とOIS用マグネット部を兼用する。
【0053】
第1のマグネット122A及び第2のマグネット122Bは、光軸直交面内におけるOIS可動部10の位置検出に用いられる。また、第1のマグネット122Aは、光軸方向におけるAF可動部11の位置検出に用いられる。なお、第1のマグネット122A及び第2のマグネット122Bとは別に、AF固定部12(OIS可動部10)に位置検出用のマグネットを配置するようにしてもよい。
【0054】
マグネットホルダー121は、AF可動部11を収容可能な空間を有する、平面視で略正方形の四角筒体である。マグネットホルダー121は、X方向に沿う一方の側壁にマグネット収容部121aを有し、Y方向に沿う一方の側壁にマグネット収容部121bを有する。マグネット収容部121aに第1のマグネット122Aが配置され、マグネット収容部121bに第2のマグネット122Bが配置される。
【0055】
マグネットホルダー121は、X方向に沿う他方の側壁に、AF用リンク固定部121cを有する。AF用リンク固定部121cに、AF用リンク部材13のマグネットホルダー固定部131が固定される。
【0056】
マグネットホルダー121は、Y方向に沿う2辺のそれぞれの端部(計4箇所)に、OIS用リンク固定部121dを有する。それぞれのOIS用リンク固定部121dに、OIS用リンク部材30の第1の側部支持体31が固定される。
【0057】
AF用支持部13は、AF固定部12に対してAF可動部11を支持する。本実施の形態では、AF用支持部13として、従来の板ばねではなく、OIS用リンク部材30と同様に、エラストマーの弾性を利用したリンク部材を採用している(以下「AF用リンク部材13」と称する)。AF用リンク部材13は、AF固定部12(マグネットホルダー121)に、片持ち状態で取り付けられる。
【0058】
AF用リンク部材13は、支持部本体41及び補剛部42を有する。支持部本体41は、マグネットホルダー固定部411、アーム412及びレンズホルダー固定部413を有する。
【0059】
マグネットホルダー固定部411は、マグネットホルダー121のAF用リンク固定部121cに対応する形状を有する。マグネットホルダー固定部411は、レンズホルダー111の規制ボス111dが挿入されるボス収容部411aを有する。レンズホルダー固定部413は、レンズホルダー111のリンク取付部111cに対応する切欠部413aを有する。
【0060】
アーム412は、エラストマー材料で形成される。アーム412は、レンズホルダー収容部111aの周面に沿う湾曲形状を有する。2本のアーム412(第1のアーム及び第2のアーム)は、それぞれ、光軸方向に離間して設けられる上側アーム412Aと下側アーム412Bを有する。上側アーム412Aと下側アーム412Bの基端部は、マグネットホルダー固定部411に接続され、間接的にAF固定部12に固定される。上側アーム412Aと下側アーム412Bの先端部は、レンズホルダー固定部413によって連結される。
【0061】
上側アーム412A及び下側アーム412Bは、2つの軸を中心に屈曲することにより、AF可動部11の平行移動を可能とする2軸ヒンジ構造を有する。エラストマーの弾性を利用した機械的ヒンジ構造を採用することにより、AF可動部11を小さな力で移動させることができるので、省電力化を図ることができる。
【0062】
具体的には、上側アーム412A及び下側アーム412Bは、周囲よりも薄肉に形成され、X方向を軸とする2つのヒンジ部412a、412bを有する。ここでは、ヒンジ部412a、412bは、上側アーム412A及び下側アーム412Bの内面に鋭角に形成されたヒンジ溝で構成される。ヒンジ溝の形状は特に制限されないが、R形状を有することが好ましい。
【0063】
補剛部42は、アーム412において、2つのヒンジ部412a、412bの間に配置される。補剛部42は、エラストマー材料よりも剛性の高い材料、すなわち熱膨張率の小さい材料で形成される。補剛部42は、例えば金属片(例えばステンレス片)をインサート成形することにより形成される。また例えば、補剛部42は、樹脂材料(例えば液晶ポリマー)の二色成形により形成される。
【0064】
なお、補剛部42の大きさは、AF可動部11の共振を抑制できる程度であればよく、極端に言えば、ヒンジ部412aとヒンジ部412bの間がすべて補剛部42となっていてもよい。
【0065】
エラストマー材料は、熱膨張率が比較的大きいため、周囲温度が高温になるほど、アーム412は延在方向に伸びて長くなる。アーム412が長くなると、共振の影響を受けやすくなる。また、伸びの分だけAF可動部11の光軸直交面内における位置がずれるため、振れ補正が適切に行われず、画質の低下を招く虞がある。アーム412の伸びを考慮して振れ補正を行えばよいが、演算処理が複雑になり、処理負担が増大するため、好ましくない。
【0066】
これに対して、本実施の形態では、アーム412に補剛部42を配置しているので、アーム412の全体をエラストマー材料で形成する場合に比較して、剛性が向上する。これにより、AF用リンク部材13のアーム延在方向における伸びが小さくなるので、不要共振の周波数が高くなり、共振ピークも小さくなる(
図13参照)。
図13は、AF用位置検出部113の周波数特性を示す図である。
図13に示すように、補剛部42を配置した場合、1kHz付近に生じる共振が高周波数に遷移し、共振ピークは格段に小さくなる。また、AF可動部11の光軸直交面内における位置ずれも抑制される。したがって、AF用位置検出部113及びOIS用位置検出部23の検出信号に基づいて、クローズドループ制御を行う際の安定性が向上し、レンズ駆動装置1の信頼性が向上する。
【0067】
レンズホルダー111は、アーム412の内側に位置するように配置される。レンズホルダー111のリンク取付部111cにAF用リンク部材13の切欠部413aが嵌合され、接着されることにより、レンズホルダー111とAF用リンク部材13が連結される。AF用リンク部材13は、レンズホルダー111の側面に近接して配置されるので、レンズ駆動装置1の平面視におけるサイズを抑制できるとともに、AF可動部11を安定した状態で支持することができる。
【0068】
また、レンズホルダー111の規制ボス111dは、AF用リンク部材13のボス収容部411aに挿入される。規制ボス111dは、AF可動部11の光軸方向への移動を規制する規制部として機能する。すなわち、AF可動部11が光軸方向に移動する際、規制ボス111dの上端(光軸方向受光側の端部)又は下端(光軸方向結像側の端部)がボス収容部411aに当接することにより、それ以上の移動が規制される。
【0069】
規制ボス111dとボス収容部411aとの隙間は、ダンパー材115によって封止される。これにより、AF可動部11の共振レベルをさらに低下することができる。
【0070】
このように、支持部本体41は、AF固定部12に接続されるマグネットホルダー固定部411(固定端)と、AF可動部11に接続されるレンズホルダー固定部413(自由端)と、マグネットホルダー固定部411とレンズホルダー固定部413を連結するアーム412とを有する。アーム412は、エラストマー材料で形成され、周囲よりも薄肉に形成されX軸(光軸方向と直交する方向)を軸とする2つのヒンジ部412a、412bを有し、AF可動部11の光軸方向への移動に伴い、ヒンジ部412a、412bにおける屈曲方向が互いに逆方向となるように屈曲する(
図11参照)。これにより、オートフォーカス時に繰り返し行われる屈曲動作に対する耐久性が向上するとともに、落下等の衝撃によって、破損する危険性は極めて低くなる。
【0071】
図9は、OIS固定部20の分解斜視図である。
図9に示すように、OIS固定部20は、コイル基板21、ベース22及びOIS用位置検出部23等を備える。
【0072】
コイル基板21は、平面視でL字状の基板である。コイル基板21をL字形状とすることにより、矩形状の基板からの取り数が増えるので、コストの低減を図ることができる。
【0073】
コイル基板21は、光軸方向においてマグネット部122と対向する位置にOIS用コイル部211を有する。OIS用コイル部211は、第1のマグネット122A及び第2のマグネット122Bに対応する第1のOISコイル211A及び第2のOISコイル211Bを有する。
【0074】
第1のOISコイル211Aは、長円形状の2つの平面コイルで形成される。第1のOISコイル211Aは、コイル面が第1のマグネット122Aの光軸方向結像側の面と対向するように配置される。第2のOISコイル122Bは、長円形状の2つの平面コイルで形成される。第2のOISコイル211Bは、コイル面が第2のマグネット122Bの光軸方向結像側の面と対向するように配置される。
【0075】
それぞれのOISコイル211における2つの長辺部分を、Z方向に逆向きの磁界が横切るように、OIS用コイル部211及びマグネット部122の大きさや位置が設定される。これにより、OIS用コイル部211に通電が行われたとき、OIS用コイル部211の2つの長辺部分には、X方向又はY方向に同じ向きのローレンツ力が発生する。
【0076】
ベース22は、平面視で正方形状の部材であり、中央に円形の開口22aを有する。ベース22は、開口22aの周縁に、起立壁22bを有する。起立壁22bによって、ベース22に対するコイル基板の位置決めが行われる。
【0077】
ベース22には、OIS用位置検出部23が実装される。OIS用位置検出部23は、例えばホール効果を利用して磁界を検出するホール素子である(以下「OIS用ホール素子23」と称する)。OIS用ホール素子23は、ベース22の隣接する2辺において、それぞれの略中央、すなわちOISコイル211の離間部分に対応して配置される。
【0078】
OIS用ホール素子23は、主としてマグネット部122によって形成される磁界を検出する。OISホール素子23の検出結果に基づいて、光軸直交面内におけるOIS可動部10の位置を特定することができる。なお、マグネット部122とは別に、位置検出用磁石をOIS可動部10に配置するようにしてもよい。
【0079】
ベース22は、AF用コイル部112、OIS用コイル部211、AF用位置検出部113及びOIS用位置検出部23に給電するための電源ライン(図示略)、並びにAF用位置検出部113、OIS用位置検出部23から出力される検出信号用の信号ライン(図示略)等を有する。これらの配線は、例えばインサート成形によってベース22内部に埋め込まれる。これにより、OIS用位置検出部23を実装するプリント配線基板を省略することができるので、カメラモジュールの小型化、軽量化を図ることができる。
【0080】
レンズ駆動装置1において、OIS用コイル部211に通電すると、マグネット部122の磁界とOIS用コイル部211に流れる電流との相互作用により、OIS用コイル部211にローレンツ力が生じる(フレミング左手の法則)。ローレンツ力の方向は、磁界の方向(Z方向)とOIS用コイル部211の長辺部分に流れる電流の方向(X方向又はY方向)に直交する方向(Y方向又はX方向)である。
【0081】
OIS用コイル部211は固定されているので、マグネット部122に反力が働く。この反力がOIS用ボイスコイルモーターの駆動力となり、マグネット部122を有するOIS可動部10がXY平面内で揺動し、振れ補正が行われる。具体的には、カメラモジュールAの角度振れが相殺されるように、振れ検出部(例えばジャイロセンサー、図示略)からの角度振れを示す検出信号に基づいて、振れ補正用コイル部211の通電電流が制御される。このとき、OIS用位置検出部23の検出結果をフィードバックすることで、OIS可動部10の並進移動を正確に制御することができる。
【0082】
図10Aに示すようにOIS用コイル部211に通電することにより、OIS可動部10にX方向の力が作用すると、
図10Bに示すように、OIS用リンク部材30の第1の側部支持体31が屈曲する。すなわち、
図10Bに示すように、第1の側部支持体31のYヒンジ部31aより下方に位置する部分は、OIS可動部10(マグネットホルダー121)とともにX方向に移動するが、Yヒンジ部31bより上方に位置する部分は、上部枠体33及び第2の側部支持体32を介して間接的にOIS固定部20に接続されているので、移動しない。したがって、第1の側部支持体31は、Yヒンジ部31a、31bにおける屈曲方向が逆方向となるように屈曲する。
【0083】
一方、
図11Aに示すようにOIS用コイル部211に通電することにより、OIS可動部10にY方向の力が作用すると、
図11Bに示すように、OIS用リンク部材30の第2の側部支持体32が屈曲する。すなわち、第2の側部支持体32のXヒンジ部32aより上方に位置する部分は、OIS可動部10(マグネットホルダー121)とともにY方向に移動するが、Xヒンジ部32bより下方に位置する部分は、OIS固定部20のベース22に接続されているので、移動しない。したがって、第2の側部支持体32は、Xヒンジ部32a、32bにおける屈曲方向が逆方向となるように屈曲する。
【0084】
また、レンズ駆動装置1において、AF用コイル部112に通電すると、第1のマグネット122Aの磁界とAF用コイル部112に流れる電流との相互作用により、AF用コイル部112にローレンツ力が生じる。ローレンツ力の方向は、磁界の方向(Y方向)とAF用コイル部112に流れる電流の方向(X方向)に直交する方向(Z方向)である。この力がAF用ボイスコイルモーターの駆動力となり、AF用コイル部112を有するAF可動部11が光軸方向に移動し、ピント合わせが行われる。合焦位置は、例えば、AF可動部11を移動させながら撮像部(図示略)で取得される複数の画像情報を解析し、コントラスト評価を行うことによって調整される。
【0085】
なお、ピント合わせを行わない無通電時には、AF可動部11は、AF用リンク部材13によって、無限遠位置とマクロ位置との間に吊られた状態(以下「基準状態」と称する)で保持される。すなわち、OIS可動部10においては、AF可動部11(レンズホルダー111)が、AF用リンク部材13によって、AF固定部12(マグネットホルダー121)に対して位置決めされた状態で、Z方向両側に変位可能に支持される。ピント合わせを行うときには、AF可動部11を基準状態からマクロ位置側へ移動させるか、無限遠位置側に移動させるかに応じて、電流の向きが制御される。また、AF可動部11の移動距離に応じて、電流の大きさが制御される。
【0086】
図12Aに示すようにAF用コイル部112に通電することにより、AF可動部11にZ方向の力が作用すると、
図12Bに示すようにAF用リンク部材13のアーム412が屈曲する。すなわち、
図13Bに示すように、アーム412のヒンジ部412bより左方に位置する部分は、AF可動部11とともにZ方向に移動するが、ヒンジ部412aより右方に位置する部分は、マグネットホルダー固定部131を介してAF固定部12に接続されているので、移動しない。したがって、アーム412は、ヒンジ部412a、412bにおける屈曲方向が逆方向となるように屈曲する。
【0087】
このように、レンズ駆動装置1は、レンズ部2の周囲に配置されるマグネット部122(振れ補正用マグネット部)と、マグネット部122から離間して配置されるOIS用コイル部211(振れ補正用コイル部)と、OIS用コイル部211を含むOIS固定部20(振れ補正固定部)に対してマグネット部122を含むOIS可動部10(振れ補正可動部)を光軸方向に離間した状態で支持するOIS用支持部30(振れ補正用支持部)とを有し、OIS用コイル部211とマグネット部122で構成されるOIS用ボイスコイルモーターの駆動力を利用して、OIS固定部20に対してOIS可動部10を光軸方向に直交する平面内で揺動させることにより振れ補正を行う振れ補正用駆動部を備える。OIS可動部10は、レンズ部2の周囲に配置されるAF用コイル部112(オートフォーカス用コイル部)と、AF用コイル部112に対して径方向に離間して配置される第1のマグネット122A(オートフォーカス用マグネット部)と、第1のマグネット122Aを含むAF固定部12(オートフォーカス固定部)に対してAF用コイル部112を含むAF可動部11(オートフォーカス可動部)を支持するAF用支持部13(オートフォーカス用支持部)とを有し、AF用コイル部112と第1のマグネット122Aとで構成されるAF用ボイスコイルモーターの駆動力を利用して、AF固定部12に対してAF可動部11を光軸方向に移動させることにより自動的にピント合わせを行うオートフォーカス用駆動部を含む。OIS用支持部30は、エラストマー材料で形成され、OIS可動部10を光軸に直交する面内で移動可能に支持する2軸ヒンジ構造を有する。AF用支持部13は、支持部本体41と、補剛部42と、を有する。支持部本体41は、AF固定部12に接続されるマグネットホルダー固定部411(固定端)と、AF可動部11に接続されるレンズホルダー固定部413(自由端)と、マグネットホルダー固定部411とレンズホルダー固定部413を連結するアーム412と、を有する。アーム412は、エラストマー材料で形成され、周囲よりも薄肉に形成され光軸方向と直交する方向を軸とする2つのヒンジ部412a、412bを有する。アーム412は、AF可動部11の光軸方向への移動に伴い、2つのヒンジ部412a、412bにおける屈曲方向が互いに逆方向となるように屈曲する。補剛部42は、エラストマー材料よりも剛性の高い材料で形成され、アーム412の2つのヒンジ部412a、412b間に配置される。
【0088】
レンズ駆動装置1によれば、落下等の衝撃によって、振れ補正用支持部やオートフォーカス用支持部が破損する危険性は極めて低くなる。また、従来に比較して構造が簡単であり、部品点数も少ない。さらには、AF可動部11が受ける共振の影響を格段に低減することができる。したがって、高い信頼性を確保できるとともに、OIS感度を高めることができ、さらには組立作業を容易化することができる。
【0089】
また、レンズ駆動装置1は、隣接する2辺にのみマグネット部122が配置されているので、2つのレンズ駆動装置1を180°反転させた状態で並設することにより、互いのマグネット部122を遠ざけることができる。したがって、磁気干渉の少ないデュアルカメラを実現することができる。
【0090】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0091】
例えば、OIS用支持部30及びAF用支持部13は、エラストマー材料で形成され、2軸ヒンジ構造を有していればよく、実施の形態で示した支持構造に限定されない。
【0092】
また例えば、OIS可動部10の光軸直交面内の位置を検出するOIS用位置検出部23は、ベース22と電気的に接続されるセンサー基板に実装されるようにしてもよい。
【0093】
また例えば、第1のOIS用コイル211A及び第2のOIS用コイル211Bは、
図14に示すように、長円状の上側コイル層211a(第1のコイル層)と、上側コイル層211aを長手方向に2つに分割した下側コイル層211b(第2のコイル層)からなる2層構造を有するようにしてもよい。上側コイル層211aと下側コイル層211bは、例えば1本の巻線で形成され、流れる電流の向きは同じである。なお、上側コイル層211aと下側コイル層211bを異なる巻線で形成してもよい。この場合、流れる電流の向きが同じとなるように配線される。OIS用ホール素子23は、下側コイル層211bの分割部分に対応する位置に配置される。「分割部分に対応する位置」とは、分割部分の間はもちろん、分割部分から光軸方向にずれた位置を含む。
【0094】
図15に示すように、上側コイル層211a及び下側コイル層211bに矢印方向の電流Iが流れると、上側コイル層211aによる磁界B1は、OIS用ホール素子23を下から上に横切る。一方、下側コイル層211bによる磁界B2は、OIS用ホール素子23を上から下に横切る。したがって、上側コイル層211a及び下側コイル層211bによってOIS用ホール素子23の周りに形成される磁界は相殺される。
【0095】
これにより、OIS用コイル部211に通電が行われたときに、OIS用コイル部211で磁束が生じても、OIS用ホール素子23に入射する磁束は小さくなるため、OIS用ホール素子23に対するOIS用コイル部211による磁界の影響が抑制される。すなわち、電気的な共振が抑制され、さらには150〜200Hzでフィードバック制御を行う場合でも低周波数帯域におけるゲインが向上する。したがって、OIS用ホール素子23による検出感度が向上し、OIS用駆動部のセトリングタイムも短くなり、振れ補正の精度も向上する。
【0096】
また、上側コイル層211aは分割されていないので、OIS用コイル部211の全体を分割構造とする場合に比較して、OIS用コイル部211には大きなローレンツ力が生じる。したがって、振れ補正の感度も向上する。
【0097】
また、AF用支持部13のアーム412に埋め込まれる補剛部42に金属材料を適用する場合、これをAF用コイル部112及びAF用ホール素子113の給電ライン又は信号ラインとして利用してもよい。この場合、補剛部42とベース22の配線との間、及び補剛部42とAF用コイル部112及びAF用ホール素子113との間を電気的に接続するために、例えば柔軟性の高いストレッチャブル配線を利用することができる。
【0098】
実施の形態では、カメラモジュールAを備えるカメラ搭載装置の一例として、カメラ付き携帯端末であるスマートフォンを挙げて説明したが、本発明は、情報機器または輸送機器であるカメラ搭載装置に適用できる。情報機器であるカメラ搭載装置とは、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する制御部を有する情報機器であり、例えばカメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)を含む。また、輸送機器であるカメラ搭載装置とは、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像を処理する制御部を有する輸送機器であり、例えば自動車を含む。
【0099】
図16は、カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Vを示す図である。
図16Aは自動車Vの正面図であり、
図16Bは自動車Vの後方斜視図である。自動車Vは、車載用カメラモジュールVCとして、実施の形態で説明したカメラモジュールAを搭載する。
図16に示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用等として使用される。
【0100】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。