【実施例】
【0031】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
(1)テラヘルツ波を発する成分が固定化された羽毛の製造及び放射率の評価
本発明の実施例であるテラヘルツ波を発する成分が固定化された羽毛は、以下のように製造した。
テラヘルツ波を発するメゾ構造体を含有するミネラル機能水(
株式会社理研テクノ
システム製、品番:MCウォーター A−20A−CA)に対し、バインダー成分としてサクラ樹脂抽出物を全体の5重量%となるように添加して撹拌することにより、羽毛処理用溶液を得た。
当該羽毛処理用溶液をダウン(未洗浄)に噴霧加工し乾燥させたることによって、実施例の羽毛を得た。
【0033】
得られた実施例の羽毛の黒体に対する放射率を日本電子株式会社製のFT−IR分光分析器(JIR−E500)を使用して測定した。測定温度は35℃、測定波長範囲4〜24μmである。また、比較例として、未加工の原料羽毛(ダウン)についても同様の評価を行った。
【0034】
図1に比較例(未加工羽毛)、
図2に実施例(処理済羽毛)の放射率測定の結果をそれぞれ示す。
図1の未加工羽毛において波長範囲4〜24μmでの放射を示すシグナルが測定されているが、羽毛自体に含まれる分子に起因するその分子構造固有の放射に相当する。これに対し、
図2の実施例の羽毛では、同じ温度で測定した波長範囲4〜24μmのすべての領域で未加工羽毛より強いシグナルが測定された。この結果から、実施例の羽毛では、テラヘルツ波を発する成分が固定化され、波長範囲4〜24μm(育成電磁波の波長域6〜14μmを含む)における放射率を向上させていることが確認された。
【0035】
(2)羽毛製品の評価
(2−1)ダウンベストでの評価
実施例の羽毛を充填したダウンベストを使用して、ダウンベスト着用時の安静時における血流速度及び血液流動性を評価した。
実施例のダウンベストとして、上記実施例の羽毛を充填したダウンベストを使用した。対照として、未加工の羽毛を充填したダウンベストを使用した。(どちらも原料羽毛として、ダウン率は90%の羽毛を使用した)。また、被験者は、健常な成年女子(54歳)である。
【0036】
(血流速度、血流量の評価)
まず、ダウンベスト未着用の状態で20分間の血流速度と血流量の変化を測定した。その後、対照となる比較例のダウンベストを着用し、20分経過後から10分間の血流速度と血流量を測定した。同様に実施例のダウンベストでも測定試験を行った。
血流速度測定試験には、レーザードップラー血流計測定装置(FLO-N1-TWIN オメガウェーブ株式会社製)を使用した。なお、血流速度、血流量とも任意単位(a.u.)である。
【0037】
表1に血流速度測定試験結果を示す。なお、表1の数値は、それぞれの条件で測定(各10回)を行い、10分間の平均血流速度と平均血流量を算出した値である。
また、表2にダウンベスト未着用時の血流量・血流速度を100%とした、実施例、比較例のダウンベスト着用時での血流量・血流速度の相対値(%)を示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
表1,2より、比較例のダウンベスト着用時は、ダウンベスト未着用時と比較して、若干ながら血流量・血流速度が増加していることがわかる。これに対し、実施例のダウンベスト着用時では、比較例と比較してはるかに大きく、血流量・血流速度が増加していることが分かる。実施例と比較例の比較から、実施例のダウンベスト着用による血流量・血流速度の増加は、単にダウンベスト着用に起因する作用(例えば、体温向上)ではなく、実施例の羽毛が発するテラヘルツ波に起因すると考えられる。
【0041】
(血液流動性の評価)
血液流動性試験には、血液流動性測定装置(MCFAN)(HR300 株式会社山久化成製)を使用した。なお、血流流動性測定(MCFAN)では、毛細管モデルとした7μm幅の微小流路を加工したシリコンチップに採血した血液を通過させ、通過した血液量が100μLに達するまでの所要時間を計測した。このシリコンチップを通過する所要時間をダウンベスト未着用時と比較例のダウンベスト着用時、被実施例のダウンベスト着用時とで数値を比較した。表3に血液流動性試験結果を示す。
【0042】
【表3】
【0043】
表3より、ダウンベスト未着用時に対して、実施例のダウンベストを着用した時に通過所要時間が45.0秒から40.2秒に短縮された。一方で、比較例のダウンベスト着用時の通過所要時間は44.8秒であり、未着用時に対して通過所要時間(45.0秒)とほとんど変わらなかった。
【0044】
以上の結果から、血流速度測定試験及び血液流動性試験において、テラヘルツ波を発する成分が固定化された羽毛を含む実施例のダウンベストの血行改善作用が確認された。
【0045】
(2−2)羽毛布団での評価
上記実施例の羽毛を充填した羽毛布団を実施例群として使用した。未加工の羽毛を充填した羽毛布団を対照群として使用した。
羽毛布団に充填された羽毛のダウン率はどちらも90%のものを使用した。(条件統一のための予備試験期間の3週間は、対照羽毛布団を使用した。)
羽毛布団の羽毛重量とサイズは、一般的に量販店等で出回っている羽毛布団に合わせて作成した。キルトはトライアングルキルトを使用し、布団側地と布団カバーの生地は綿100%のものを使用した。
【0046】
被験者は乾燥肌傾向の成人女性を対象とし、肌環境の改善効果を確認する臨床試験を三重大学医学部皮膚科にて実施した。
試験期間は冬期(2014年)4週間、二群平行二重盲検試験を対照群32名と実施例群31名にて、被験者の肌の保湿・バリア機能・皮膚の拡大写真判定・冷え性等の身体アンケート・使用感アンケート及び有害事象の有無(皮膚科専門医による問診・視診)を実施した。試験時の条件は、配布された羽毛布団を就寝時に被験者の上にかかるように使用することとした。
また、気候変動による寒さが気になる場合は、羽毛布団の上から被験者の愛用している毛布を1枚被せることとした。睡眠は被験者の自宅でとってもらい、肌環境の測定は被験者に三重大学内の皮膚科-機能食品研究所 皮膚測定室にて実施した。
被験者選出は、スクリーニング測定(皮膚測定と皮膚科専門医による問診・視診)により選出した。
【0047】
対照群の羽毛布団を3週間使用してもらい、前処理とした。4週間目からは実施例の羽毛を充填した羽毛布団を使用してもらい、4週間使用し続け、本試験とした。本試験時は毎日日誌を記入してもらうほか、本試験1週間前と本試験4週間終了後の2回は皮膚科医による問診、皮膚の拡大写真撮影、使用感アンケートと身体アンケートを行った。
【0048】
測定は、洗顔後、温度22(±2℃)、相対湿度50%±5%にて15分の馴化をし、各種測定と問診、視診を行った。洗顔は、前被験者同一の洗顔料とクレンジング剤を使用し、条件統一のためクレンジング剤が不要なメイク状態でも使用した。
【0049】
各種測定方法と評価等は下記の通りである。
(i)肌の保湿性測定(角層水分量測定)
表皮角層水分測定装置(SKICON-200EX アイ・ビイ・エス株式会社製)を使用し、高周波電流に対する伝導度を指標として角層水分量を7回測定し、最大値および最小値を除いた5回の平均値を用いた。
【0050】
(ii)バリア機能測定(経表皮水分蒸散量測定)
経表皮水分蒸散量測定装置(Tewameter TM300 CourageKhazaka社製)を用いて、皮膚表面の温湿度を1回測定することにより、水分蒸散量を算出した。
【0051】
(iii)角質の傷みの拡大写真判定
被験部皮膚を特殊観察装置で拡大撮影(約30倍)し、皮膚科専門医が写真映像をもとに角質の傷みについて 5 段階評価(角質の傷みが少ないほど数値が下がる)した。写真撮影は、3Gen 社 dermlite II Pro および Nikon D310018-55VR Kit を用いた。