(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ユーザが操作するユーザ端末と、前記ユーザが訪問する訪問先に設置される訪問先端末と、感染症対策のために前記ユーザの前記訪問先への入場の可否を判定するための処理を実行する感染症対策装置とが通信回線を介して接続された感染症対策システムであって、
前記ユーザ端末は、
前記ユーザから体調に関する情報の入力を受け付ける体調情報入力受付手段と、
前記体調情報入力受付手段によって入力を受け付けた前記体調に関する情報を含んだユーザの健康管理データを前記感染症対策装置へ送信する健康管理データ送信手段と、
前記ユーザの前記感染症の抗体検査結果を特定する抗体検査結果特定手段と、
前記抗体検査結果特定手段によって特定された前記抗体検査結果の情報を前記感染症対策装置へ送信する抗体検査結果情報送信手段と、
前記ユーザの入場可否を判定するために用いる入場チェック用情報の出力が指示されたときに、前記感染症対策装置へ前記入場チェック用情報の発行を要求する入場チェック用情報要求手段と、
前記感染症対策装置から前記入場チェック用情報を受信して表示する入場チェック用情報表示手段とを備え、
前記感染症対策装置は、
前記ユーザ端末から前記健康管理データを受信して記憶媒体に記録する健康管理データ記録手段と、
前記ユーザ端末から前記抗体検査結果の情報を受信して記憶媒体に記録する抗体検査結果情報記録手段と、
前記ユーザ端末から前記入場チェック用情報の発行が要求されたときに、前記健康管理データと前記抗体検査結果の情報とに基づいて前記ユーザの感染リスクを判定し、該感染リスクに基づいて前記ユーザの前記訪問先への入場可否を判定する入場可否判定手段と、
前記入場可否判定手段によって判定された前記ユーザの前記訪問先への入場可否の判定結果を通知するための前記入場チェック用情報を前記ユーザ端末へ送信する入場チェック用情報送信手段とを備え、
前記訪問先端末は、
前記ユーザ端末に表示された前記入場チェック用情報を読み込む入場チェック用情報読み込み手段と、
前記入場チェック用情報読み込み手段によって読み込まれた前記入場チェック用情報に基づいて、前記訪問先への前記ユーザの入場可否を示す情報を表示する入場可否情報表示手段とを備え、
前記入場可否判定手段は、前記ユーザの基本情報や生活情報に基づくリスク、前記感染者との接触情報に基づくリスク、前記ユーザの症状やバイタルデータに基づくリスク、および前記ユーザのワクチン接種や検査結果に基づくリスクの各リスクごとに、前記ユーザの感染リスクを判定するためのスコアを算出し、各リスクごとに算出したスコアの合計値とあらかじめ設定されている閾値とを比較することにより、前記ユーザの感染リスクの高さを判定することを特徴とする感染症対策システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ウイルスや細菌などの病原体を原因とする感染症は、接触感染や飛沫感染などが感染経路となる可能性があり、イベント会場、飲食店、百貨店、または小売店などの不特定多数の人物の入場が想定される空間で感染が拡大するおそれがある。このため、このような感染症の感染拡大を防止するためには、イベント会場、飲食店、百貨店、または小売店などの不特定多数の人物の訪問が予定される場所で、訪問者が入場する前に訪問者の感染リスクを判定し、感染リスクが高い訪問者の入場を拒否することが有効となる。そこで、本実施の形態における感染症対策システムは、訪問者の訪問先において該訪問者の感染リスクを判定するための仕組みを提供する。
【0009】
図1は、本実施の形態における感染症対策システム10の一実施の形態の構成を示すブロック図である。感染症対策システム10では、ユーザが所持するユーザ端末100と、ユーザの感染症の感染リスクを判定するための処理を実行する感染症対策装置200と、ユーザの訪問先に配置される訪問先端末300とが通信回線、例えばインターネットを介して接続されている。
【0010】
ユーザ端末100は、例えば、スマートフォン、携帯電話機、タブレット端末、パソコンなどが用いられる。
図2は、本実施の形態におけるユーザ端末100として、スマートフォンを用いた場合の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【0011】
ユーザ端末100は、タッチパネル101と、通信モジュール102と、制御装置103と、カメラ104とを備えている。
【0012】
タッチパネル101は、液晶パネル等の表示装置とタッチパッドのような位置入力装置を組み合わせた電子部品であり、画面上の表示を押すことで機器を操作することができる入力装置である。例えば、ユーザ端末100の操作者は、液晶パネル上に表示されたボタンやメニュー等の表示項目を指やタッチペンを用いてタッチまたはスライドさせることにより、ユーザ端末100を操作することができる。タッチパネル101は、操作者によるタッチやスライドといった操作を検出して、その検出信号を制御装置103へ出力する。
【0013】
通信モジュール102は、無線または有線により、LANや携帯電話通信網を介してユーザ端末100をインターネットなどの通信回線に接続させるためのモジュールを含む。ユーザ端末100は、通信モジュール102を介して通信回線に接続することにより、感染症対策装置200と通信を行うことが可能となる。
【0014】
制御装置103は、CPU、メモリ、およびその他の周辺回路によって構成され、ユーザ端末100の全体を制御する。なお、制御装置103を構成するメモリは、例えばSDRAM等の揮発性のメモリやフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリを含む。揮発性のメモリは、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリや、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。また、不揮発性のメモリには、ユーザ端末100を動作させるためのファームウェアや種々のアプリケーションを動作させるためのソフトウェアのプログラムデータが記録される。
【0015】
カメラ104は、レンズ、撮像素子、その他周辺回路によって構成される公知の撮像装置である。カメラ104で撮影された画像や動画のデータは、制御装置103へ出力される。
【0016】
感染症対策装置200は、インターネットに接続された装置であって、例えば、パソコンやサーバーなどが用いられる。
図3は、本実施の形態における感染症対策装置200として、サーバー装置を用いた場合の一実施の形態の構成を示すブロック図である。感染症対策装置200は、接続インターフェース201と、制御装置202と、記憶媒体203とを備えている。
【0017】
接続インターフェース201は、感染症対策装置200をインターネット等の通信回線に接続するためのインターフェースであり、例えば、インターネットに有線で接続するための有線LANモジュールや、インターネットに無線で接続するための無線LANモジュールなどが用いられる。本実施の形態では、感染症対策装置200は、この接続インターフェース201を介してユーザ端末100や訪問先端末300と通信する。
【0018】
制御装置202は、CPU、メモリ、およびその他の周辺回路によって構成され、感染症対策装置200の全体を制御する。なお、制御装置202を構成するメモリは、例えばSDRAM等の揮発性のメモリである。このメモリは、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリや、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。例えば、接続インターフェース201を介して読み込まれたデータは、バッファメモリに一時的に記録される。
【0019】
記憶媒体203は、感染症対策装置200が蓄える種々のデータや、制御装置202が実行するためのプログラムのデータ等を記録するための記憶媒体であり、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等が用いられる。なお、記憶媒体203に記録されるプログラムのデータは、CD−ROMやDVD−ROMなどの記録媒体に記録されて提供されたり、ネットワークを介して提供され、操作者が取得したプログラムのデータを記憶媒体203にインストールすることによって、制御装置202がプログラムを実行できるようになる。
【0020】
訪問先端末300は、例えば、パソコン、スマートフォン、タブレット端末などが用いられる。
図4は、訪問先端末300として、スマートフォンを用いた場合の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【0021】
訪問先端末300は、タッチパネル301と、通信モジュール302と、制御装置303と、二次元コード読み取り装置304とを備えている。
【0022】
タッチパネル301は、液晶パネル等の表示装置とタッチパッドのような位置入力装置を組み合わせた電子部品であり、画面上の表示を押すことで機器を操作することができる入力装置である。例えば、訪問先端末300の操作者は、液晶パネル上に表示されたボタンやメニュー等の表示項目を指やタッチペンを用いてタッチまたはスライドさせることにより、訪問先端末300を操作することができる。タッチパネル301は、操作者によるタッチやスライドといった操作を検出して、その検出信号を制御装置303へ出力する。
【0023】
通信モジュール302は、無線または有線により、LANや携帯電話通信網を介して訪問先端末300をインターネットなどの通信回線に接続させるためのモジュールを含む。訪問先端末300は、通信モジュール302を介して通信回線に接続することにより、感染症対策装置200と通信を行うことが可能となる。
【0024】
制御装置303は、CPU、メモリ、およびその他の周辺回路によって構成され、訪問先端末300の全体を制御する。なお、制御装置303を構成するメモリは、例えばSDRAM等の揮発性のメモリやフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリを含む。揮発性のメモリは、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリや、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。また、不揮発性のメモリには、訪問先端末300を動作させるためのファームウェアや種々のアプリケーションを動作させるためのソフトウェアのプログラムデータが記録される。
【0025】
二次元コード読み取り装置304は、二次元コード、例えばQRコード(登録商標)を読み取るための公知の装置である。なお、二次元コード読み取り装置304は、訪問先端末300が備えていてもよく、所定のインターフェースを介して無線や有線により訪問先端末300に接続されていてもよい。
【0026】
本実施の形態における感染症対策システム10では、上述したようなイベント会場、飲食店、百貨店、または小売店などのユーザの訪問先のシステムから取得したユーザの訪問に関する情報があらかじめ感染症対策装置200の記憶媒体203に記録されているものとする。ユーザの訪問に関する情報の内容は訪問先によって異なるが、例えば、ユーザの氏名、生年月日、住所、訪問先名、訪問予定日時、ユーザの座席の席割情報などが含まれる。
【0027】
例えば、訪問先がイベント会場である場合には、イベントのチケット販売システムから取得したイベントのチケット購入者の氏名、生年月日、住所、対象イベント名、イベントの開催日時、およびユーザが購入したチケットの座席情報がユーザの訪問に関する情報に含まれる。また、訪問先が飲食店である場合には、飲食店の予約システムから取得した予約者の氏名、生年月日、住所、予約店舗名、予約日時、飲食時にユーザが着席する予定の座席の情報がユーザの訪問に関する情報に含まれる。また、訪問先が小売り店である場合には、小売店の接客予約システムから取得した予約者の氏名、生年月日、住所、予約店舗名、予約日時、接客時にユーザが着席する予定の座席の情報がユーザの訪問に関する情報に含まれる。
【0028】
ユーザ端末100を所持するユーザは、日ごろから自身の体調に関する情報をユーザ端末100にインストールされている健康管理アプリケーションに入力しておく。健康管理アプリケーションは、ダウンロードなどの方法により取得され、あらかじめユーザ端末100にインストールされているものとする。
【0029】
ユーザは、健康管理アプリケーションを利用するに当たり、初回起動時にユーザに関するユーザ情報を登録する。ユーザ情報としては、例えば、ユーザの氏名、氏名のフリガナ、性別、生年月日、血液型、身長、および体重などの情報を含む。なお、本実施の形態における感染症対策システム10では、ユーザの氏名と生年月日を用いてユーザを特定するものとする。ユーザ端末100では、制御装置103は、ユーザによって入力されたユーザ情報を感染症対策装置200へ送信する。感染症対策装置200では、制御装置202は、ユーザ端末100から受信したユーザ情報を記憶媒体203に記録する。
【0030】
自身の体調に関する体調情報としては、ユーザの感染症の感染リスクを判定するために必要な情報が入力されるものとし、本実施の形態では、例えば体温、症状、酸素飽和度(SpO2)が入力されるものとする。健康管理アプリケーションは、体温、症状、酸素飽和度などの情報をこれらの計測タイミングごとに入力できる機能を備えており、ユーザは、体温や酸素飽和度を計測した際に、その計測日時と対応付けて体温や酸素飽和度のデータを画面上で入力できるようになっている。また、ユーザは、画面上で自身の現在の症状を入力することができる。本実施の形態では、ユーザは、一日に一回、または一日に複数回など、あらかじめ決められた頻度、またはユーザが任意に決めた頻度で体温と酸素飽和度の計測、および症状の入力を行う。なお、入力する症状は、感染症の感染リスクを判定するために必要な項目として、対象とする感染症の特徴的な症状に応じた項目があらかじめ設定されており、例えば、咳がでる、鼻汁がでる、呼吸が苦しい、せきこむ、嘔吐或いは下痢の症状がある、味覚の異常がある、嗅覚の異常がある、および普段より水分がとれないなどの項目とする。また、症状の入力方法は特に限定されないが、ユーザは上記の各項目に対して「はい」または「いいえ」を選択して入力するようにすればよい。
【0031】
制御装置103は、ユーザによって体温や症状や酸素飽和度の情報が入力されると、入力されたデータと入力された日時の情報とユーザを一意に識別するためのユーザ識別情報とを関連付けた健康管理データを感染症対策装置200へ送信する。感染症対策装置200では、感染症対策装置200の制御装置202は、ユーザ端末100からユーザの健康管理データを受信すると、受信した健康管理データを記憶媒体203に記録する。これによって感染症対策装置200の記憶媒体203にはユーザの健康管理データが蓄積されていく。
【0032】
本実施の形態では、ユーザの訪問先からユーザに宛てて事前に感染症の抗体検査キットが送付され、ユーザは、ユーザ端末100を操作して健康管理アプリケーション上で抗体検査の結果を登録するものとする。例えば、ユーザの訪問先は、上述したユーザの訪問に関する情報に含まれる住所に宛てて、ユーザの訪問予定日よりも前、例えば2週間前程度に届くように抗体検査キットを送付する。抗体検査キットには、例えば、穿刺針と使用方法が記載されたマニュアルと清浄綿と検査への同意書と検査に用いる試薬などが付属している。
【0033】
ユーザは、決められたタイミング、例えば訪問予定日の前日に抗体検査キットを使用して抗体検査を実施する。抗体検査は、例えば、穿刺針を使用して自身の血液を採取し、採取した血液を検査キットの所定の場所へ滴下することにより行う。ユーザは、検査の結果が判明した場合には、その結果を健康管理アプリケーション上で入力する。本実施の形態では、健康管理アプリケーションが検査キットを撮影した画像に基づいて、陽性または陰性の検査結果を判定する機能を備えているものとする。以下、検査キットを撮影した画像に基づく陽性または陰性の判定方法について説明する。
【0034】
図5は、本実施の形態においてユーザの抗体検査を行うための検査キットを模式的に表した図である。本実施の形態では、採取した血液を試料として血液中のウイルスのIgM抗体とIgG抗体を検出するための検査キットとして、例えば
図5に示すような検査キットを用いるものとする。
図5に示す検査キットには、IgM抗体の検査を行うために試料と試薬を滴下するための試料及び試薬滴下部位5aと、IgM抗体の判定結果が表示されるIgM判定結果表示部5bと、IgG抗体の検査を行うために試料と試薬を滴下するための試料及び試薬滴下部位5cと、IgG抗体の判定結果が表示されるIgG判定結果表示部5dと、検査キットを一意に識別するための検査キットIDが表示された検査キットID表示部5eとが配置されている。
【0035】
IgM判定結果表示部5bとIgG判定結果表示部5dでは、確認ライン部Cと判定ライン部Tへのラインの出現状況に基づいて抗体の陽性または陰性を判定することができる。本実施の形態では、確認ライン部Cと判定ライン部Tの両方にラインが出現した場合に陽性と判断される。本実施の形態の検査キットにおける陽性または陰性の判定方法について、
図6〜
図9を用いて説明する。なお、本願発明における抗体検査の判定方法は、
図6〜
図9に示す例に限定されるものではない。
【0036】
図6に示すようにIgM抗体の確認ライン部CとIgG抗体の確認ライン部Cにラインが出現した場合には、IgM抗体とIgG抗体はいずれも陰性と判定される。また、
図7に示すようにIgM抗体の確認ライン部CとIgG抗体の確認ライン部Cにラインが出現するとともにIgM抗体の判定ライン部Tにラインが出現した場合には、IgM抗体は陽性と判定される。また、
図8に示すようにIgM抗体の確認ライン部CとIgG抗体の確認ライン部Cにラインが出現するとともにIgG抗体の判定ライン部Tにラインが出現した場合には、IgG抗体は陽性と判定される。また、
図9に示すようにIgM抗体の確認ライン部CとIgG抗体の確認ライン部Cにラインが出現するとともにIgM抗体とIgG抗体の判定ライン部Tにラインが出現した場合には、IgM抗体とIgG抗体は陽性と判定される。なお、検査の結果、
図5に示すようにいずれのラインも出現しない場合や
図10に示すように判定ライン部Tにしかラインが出願しない場合には、検査は無効であると判断される。
【0037】
ユーザは、自身から採取した血液をIgMの試料及び試薬滴下部位5aとIgGの試料及び試薬滴下部位5cに滴下した後に、検査キットに付属する試薬をIgMの試料及び試薬滴下部位5aとIgGの試料及び試薬滴下部位5cに滴下する。その後、判定結果が出るまでの所定時間、例えば10分間経過した後に、ユーザは、健康管理アプリケーション上で抗体検査の結果判定のために検査キットの読み取りを指示することができる。
【0038】
制御装置103は、抗体検査の結果判定が指示されるとカメラ104を起動して検査キットを撮影する。そして、制御装置103は、撮影して得た検査キットの画像に基づいて、IgM判定結果表示部5bとIgG判定結果表示部5dにおけるラインの出現状況を判定することにより、抗体検査の結果を判定する。すなわち、制御装置103は、IgM判定結果表示部5bとIgG判定結果表示部5dの確認ライン部Cと判定ライン部Tにおけるラインの出現状況を画像処理により判別し、
図5〜
図10を用いて説明した判定方法に基づいてユーザのIgM抗体とIgG抗体の陽性または陰性を判定する。また、撮影した画像内から検査キットID表示部5e内に表示されている検査キットIDを読み取る。なお、撮影した画像内でIgM判定結果表示部5bとIgG判定結果表示部5dの確認ライン部Cと判定ライン部Tのどの位置にラインが出現しているかを判定するための処理と、検査キットID表示部5e内に表示されている検査キットIDを読み取るための処理は、公知の画像処理技術を利用することが可能なため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0039】
制御装置103は、抗体検査の結果を判定した場合には、判定結果をタッチパネル101上に表示するとともに、判定結果を含んだ検査結果情報を感染症対策装置200へ送信する。検査結果情報には、例えばユーザを識別するためのユーザ識別情報と、IgM抗体とIgG抗体の検査結果を示す情報と、検査キットIDの情報が含まれる。
【0040】
感染症対策装置200では、制御装置202は、ユーザ端末100からユーザの検査結果情報を受信すると、受信した検査結果情報を記憶媒体203に記録する。これによって感染症対策装置200の記憶媒体203にユーザの抗体検査の結果を示す検査結果データが登録される。このとき、ユーザの事前検査で検査は無効であると判断された場合、すなわちIgM判定結果表示部5bとIgG判定結果表示部5dの状態が
図5や
図10に示した状態の場合には、ユーザの検査結果データとして事前検査が失敗したことを示す情報が記録される。
【0041】
なお、制御装置202は、ユーザ端末100からユーザの検査結果情報を受信したときに、検査結果情報に含まれる検査キットIDに基づいて、ユーザ端末100からの抗体検査結果の報告が不正なものではないかをチェックするようにしてもよい。例えば、記憶媒体203にはあらかじめユーザに送付された検査キットの検査キットIDが記録されており、制御装置202は、記憶媒体203に記録されている検査キットIDの中に検査結果情報に含まれる検査キットIDと一致するものがある場合にはユーザ端末100からの抗体検査結果の報告は問題がないと判定し、記憶媒体203に記録されている検査キットIDの中に検査結果情報に含まれる検査キットIDと一致するものがない場合にはユーザ端末100からの抗体検査結果の報告は不正なものであると判定すればよい。
【0042】
ユーザは、上記のように健康管理データと検査結果データとを事前に感染症対策装置200に登録した上で、訪問日にユーザ端末100を所持して訪問先を訪問する。訪問先には、事前の抗体検査に失敗した訪問者のために抗体検査会場が用意されており、事前の抗体検査に失敗したユーザはここで上述した抗体検査キットを使用して抗体検査を行うことができる。
【0043】
なお、訪問先での抗体検査の実施は、例えば訪問先の近隣に抗体検査用のテントを設置することにより行えばよい。抗体検査用のテントは、陰圧フィルターシステムを接続することによってテント内部の気圧を外部より下げ、抗体検査を受けるユーザが持ち込んだウイルスなどの外部への拡散を防ぐようになっている。また、テント内で空気の流れを作って換気を行なうことにより、検査を行う医療従事者が感染しにくい環境が作られている。
【0044】
訪問先での抗体検査の結果は、上述した事前検査の場合と同様に、ユーザ端末100で検査キットの画像を撮影することにより制御装置103が判定する。制御装置103は、抗体検査の結果判定が指示されるとカメラ104を起動して検査キットを撮影する。そして、制御装置103は、撮影して得た検査キットの画像に基づいて、IgM判定結果表示部5bとIgG判定結果表示部5dにおけるラインの出現状況を判定することにより、抗体検査の結果を判定する。そして、制御装置103は、判定結果をタッチパネル101に表示するとともに、判定結果を含んだ検査結果情報を感染症対策装置200へ送信する。感染症対策装置200では、制御装置202は、検査キットIDに基づく不正判定を行った後にユーザ端末100から受信した検査結果情報を記憶媒体203に記録する。
【0045】
訪問先には、入り口に訪問者の体温を計測するためのサーモグラフィーゲートが設置されており、ここでユーザの体温が計測される。訪問先の担当者は、サーモグラフィーゲートで計測された体温があらかじめ設定されている所定の閾値以上であるかどうかを確認する。ここで、体温を確認する際に用いる閾値は、感染症に感染している疑いがある体温があらかじめ設定されているものとし、本実施の形態では例えば37.5度とする。
【0046】
訪問先の担当者は、訪問者の体温が37.5度未満の場合には、訪問先端末300にインストールされている入場チェックアプリケーションを用いて、訪問者であるユーザの入場可否を確認する。以下、入場チェックアプリケーションを用いてユーザの入場可否を確認するための方法について説明する。
【0047】
訪問者であるユーザは、ユーザ端末100を操作して、ユーザの入場可否を判定するために用いる入場チェック用情報として、入場チェック用の二次元コードをタッチパネル101に表示させる。制御装置103は、ユーザによって二次元コードの表示が指示されると、感染症対策装置200に入場チェック用の二次元コードの発行を要求する。
【0048】
感染症対策装置200では、制御装置202は、ユーザ端末100から入場チェック用の二次元コードの発行が要求された場合には、入場可否の判定結果を通知するための入場チェック用情報として、訪問先名と入場可否の判定結果の情報を含んだ入場チェック用の二次元コードを生成してユーザ端末100へ送信する。ここで訪問先名は、記憶媒体203に記録されている上述したユーザの訪問に関する情報から取得すればよい。また、感染症対策装置200で実行される入場可否を判定するための処理は次のようになる。
【0049】
本実施の形態では、制御装置202は、以下に説明する処理を実行してユーザの感染症の感染リスクを判定する。感染リスクは、高、中、低の3段階で判定するものとし、制御装置202は、感染リスクが高いユーザ、例えば感染リスクが高と判定したユーザは入場不可と判定し、感染リスクが低いユーザ、例えば感染リスクが中または低と判定したユーザは入場可と判定する。なお、以下に説明するリスク判定処理で使用する種々の情報のうち、上述した処理で登録済みのものはそのデータを使用し、それ以外のデータは、あらかじめユーザによって健康管理アプリケーション上で入力され、感染症対策装置200の記憶媒体203にユーザごとの情報として記録されているものとする。
【0050】
本実施の形態では、制御装置202は、ユーザの基本情報や生活情報に基づくリスク、感染者との接触情報に基づくリスク、ユーザの症状やバイタルデータに基づくリスク、ユーザのワクチン接種や検査結果に基づくリスクの各リスクに基づいて、ユーザの感染症に対する感染リスクを判定する。具体的には制御装置202は、以下のように感染リスクを判定するためのスコアを算出することにより、ユーザの感染リスクを判定する。
【0051】
なお、本実施の形態では、以下に説明するリスク要因ごとにポイントを加減算する例について説明するが、リスク要因は以下の例に限定されず、感染症の特性に合わせて設定されるものとする。すなわち、本実施の形態では、以下に示すリスク要因ごとにあらかじめ設定されたポイント数を加減算することによりユーザの感染リスクを精度高く判定することができる感染症を想定するが、設定されるリスク要因や各リスク要因に応じたポイント数は感染症ごとに異なるものが設定され、感染リスクの判定に用いるリスク要因や設定されるポイント数は以下の内容に限定されない。
【0052】
ユーザの基本情報や生活情報に基づくリスクは、感染症の特徴に合わせたリスクとして、ユーザの性別、年齢、既往歴、一日の運動時間、喫煙の有無、飲酒の有無、および睡眠時間に基づいて、制御装置202によって例えば以下のように感染リスク判定用のスコアが算出される。特定の性別に感染者が偏る特徴がある場合にはユーザが感染可能性が高い性別の場合にあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。所定の年齢以上に感染者が多いという特徴がある場合にはユーザがその年齢以上の場合にあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。特定の既往歴を有している場合に感染可能性が高いという特徴がある場合にはユーザがその既往歴を有している場合にあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。特定の既往歴としては、例えば呼吸器疾患、循環器病疾患、糖尿病、またはがんなどが考えられる。一日の平均運動時間が所定時間以上である場合に感染可能性が低くなるという特徴がある場合にはユーザの一日の平均運動時間が所定時間以上である場合にあらかじめ設定された所定のポイントをスコアから減算する。たばこを習慣的に吸っている場合に感染可能性が高いという特徴がある場合にはユーザがたばこを習慣的に吸っている場合にあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。飲酒量が多い場合に感染可能性が高いという特徴がある場合にはユーザの飲酒状況として1週間当たりの飲酒回数が所定の閾値以上で1回当たりの飲酒量(ml)が所定の閾値以上である場合にあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。一日の睡眠時間が所定時間未満の場合には感染可能性が高いという特徴がある場合にはユーザの一日の睡眠時間が所定時間未満である場合にあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。
【0053】
ユーザの感染者との接触情報に基づくリスクは、陽性患者と接触した可能性の高さに応じて、制御装置202によって例えば以下のようにスコアが算出される。2週間以内に家族内に陽性患者がいる場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。イベントの席割距離2席内に陽性患者がいる場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。イベントの席割距離1席内に陽性患者がいる場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。ユーザが外出時に常にマスクをつけている場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアから減算する。ユーザが手洗いを心掛けている場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアから減算する。ユーザが外出時にフェイスシールドをつけている場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアから減算する。ユーザが通勤・通学等に公共交通機関を使っている場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。ユーザが外出時に接触した人数が所定の人数以上である場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。人口1000人あたりの陽性者が所定の閾値を超えている場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。
【0054】
ユーザの症状やバイタルデータに基づくリスクは、ウイルスの特徴にあわせたリスクに応じて、制御装置202によって例えば以下のようにスコアが算出される。咳がでる場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。鼻汁がでる場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。呼吸が苦しい場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。せきこむ場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。SpO2が95%未満の場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。SpO2が95%未満が2週間以内に2日以上続いた場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。体温が普段から比べて1.5度以上高い場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。体温が直近2週間以内に37.5度以上が2日以上続いた場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。嘔吐あるいは下痢の症状がある場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。味覚の異常がある場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。嗅覚の異常がある場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。普段より水分がとれない場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。
【0055】
ユーザのワクチン接種や検査結果に基づくリスクは、制御装置202によって例えば以下のようにスコアが算出される。なお、ユーザのワクチン接種や検査結果に基づくリスクについては、以下のA〜Hのうち、A〜Gについては該当するいずれか一つのものが加減算の対象となる。もしA〜Gのうち複数の項目に該当した場合には、最も優先順位が高い項目が採用される。ここではAが最も優先順位が高く、B、C、D、E、Fの順で優先順位が下がり、Gが最も優先順位が低いものとする。
A:1週間以内に行ったPCR検査の結果が陽性である場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。
B:1週間以内に行った抗原検査の結果が陽性である場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。
C:2週間以内に行った抗体検査の結果、IgM抗体が陽性でIgG抗体が陰性である場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。
D:2週間以内に行った抗体検査の結果、IgM抗体とIgG抗体がいずれも陽性である場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアに加算する。
E:1週間以内に行ったPCR検査の結果が陰性である場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアから減算する。
F:1週間以内に行った抗原検査の結果が陰性である場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアから減算する。
G:半年以内に行った抗体検査の結果、IgM抗体が陰性でIgG抗体が陽性である場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアから減算する。
H:EまたはFまたはGの検査結果後に、体温が2日以上37.5度以上になっておらず、かつSpO2が95%未満に2日以上なっていない場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアから減算する。
I:過去にワクチンを接種したことがある場合にはあらかじめ設定された所定のポイントをスコアから減算する。
【0056】
本実施の形態においては例えば以下のようにスコアを加算または減算していく。なお、以下に示すスコアの加減算例は一例であり、加減算するポイント数は感染症対策システム10が対象とする感染症に合わせて設定されるものとする。
【0057】
ユーザの基本情報や生活情報に基づくリスクについては、性別が男性である場合に1ポイントを加算し、年齢が65歳以上である場合に2ポイントを加算し、既往歴に呼吸器疾患がある場合に2ポイントを加算し、既往歴に循環器病疾患がある場合に2ポイントを加算し、既往歴に糖尿病がある場合に2ポイントを加算し、既往歴にがんがある場合に2ポイントを加算し、一日平均1時間以上の運動をしている場合に3ポイントを減算し、たばこを習慣的に吸っている場合に3ポイントを加算し、週3回以上500ml以上のお酒を飲む場合に1ポイントを加算し、睡眠が一日6時間未満の場合に1ポイントを加算するものとする。
【0058】
ユーザの感染者との接触情報に基づくリスクについては、2週間以内に家族内に陽性患者がいる場合に10ポイントを加算し、席割距離2席内に陽性患者がいる場合に3ポイントを加算し、席割距離1席内に陽性患者がいる場合に5ポイントを加算し、外出時に常にマスクをつけている場合に3ポイントを減算し、手洗いを心掛けている場合に3ポイントを減算し、外出時にフェイスシールドをつけている場合に3ポイントを減算し、通勤・通学等に公共交通機関を使っている場合に3ポイントを加算し、外出時の接触人数が30人以上いる場合に3イントを加算し、人口1000人あたりの陽性者が10人を超えている場合に3ポイントを加算する。
【0059】
ユーザの症状やバイタルデータに基づくリスクについては、咳がでる場合に5ポイントを加算し、鼻汁がでる場合に2ポイントを加算し、呼吸が苦しい場合に5ポイントを加算し、せきこむ場合に5ポイントを加算し、SpO2が95%未満の場合に5ポイントを加算し、SpO2が95%未満が2週間以内に2日以上続いた場合に3ポイントを加算し、体温が普段から比べて1.5度以上高い場合に5ポイントを加算し、体温が直近2週間以内に37.5度以上が2日以上続いた場合に3ポイントを加算し、嘔吐あるいは下痢の場合に2ポイントを加算し、味覚の異常がある場合に3ポイントを加算し、嗅覚の異常がある場合に5ポイントを加算し、普段より水分がとれない場合に2ポイントを加算する。
【0060】
ユーザのワクチン接種や検査結果に基づくリスクについては、Aの場合は30ポイントを加算し、Bの場合は30ポイントを加算し、Cの場合は20ポイントを加算し、Dの場合は15ポイントを加算し、Eの場合は20ポイントを減算し、Fの場合は15ポイントを減算し、Gの場合は10ポイントを減算し、Hの場合は5ポイントを減算し、Iの場合は10ポイントを減算する。
【0061】
制御装置202は、上述した処理により算出したリスク判定用スコアの合計値が感染リスク高と判定するための閾値以上である場合は感染リスク高と判定する。また、判定用スコアが感染リスク低と判定するための閾値未満である場合は感染はリスク低と判定する。また、判定用スコアが感染リスク低と判定するための閾値以上、かつ感染リスク高と判定するための閾値未満である場合は感染リスク中と判定する。例えば、感染リスク高と判定するための閾値が30であり、判定用スコアが感染リスク低と判定するための閾値が9である場合には、制御装置202は、上記処理で算出したユーザの判定用スコアが30ポイント以上の場合は感染リスク高と判定し、10ポイント以上29ポイント未満の場合は感染リスク中と判定し、9ポイント未満の場合は感染リスク低と判定する。
【0062】
ユーザ端末100では、制御装置103は、感染症対策装置200から受信した二次元コードをタッチパネル101に表示する。ユーザは、訪問先端末300の二次元コード読み取り装置304にタッチパネル101に表示された二次元コードをかざす。訪問先端末300では、あらかじめ訪問者の入場可否を確認するための入場チェックアプリケーションが実行されており、制御装置303は、二次元コード読み取り装置304を介して二次元コードを読み取ると、読み取った情報に含まれる入場可否の判定結果に基づいて、訪問先へのユーザの入場可否を示す情報をタッチパネル301に表示する。
【0063】
訪問先の担当者は、表示された判定結果が入場可の場合はユーザの入場を許可し、表示された判定結果が入場不可の場合はユーザの入場を拒否する。これによって、サーモグラフィーゲートで計測したユーザの体温が感染症に感染している疑いがある体温未満であるとしても、感染症対策装置200で判定された感染リスクが高い場合には入場を拒否して、訪問先での感染症の感染拡大を防止することができる。
【0064】
一方、訪問先の担当者は、サーモグラフィーゲートでの検温の結果、訪問者の体温が37.5度以上の場合には、訪問者であるユーザに対して感染症の抗原検査を実施する。また。サーモグラフィーゲートでの検温の結果、訪問者の体温が37.5度未満である場合であっても、ユーザの過去2週間の間の体温に37.5度以上が2回以上あるか、抗体検査の結果IgM抗体とIgG抗体のいずれかが陽性である場合にも訪問者であるユーザに対して感染症の抗原検査を実施することにする。ユーザの抗原検査の結果は感染症対策装置200に送信され、記憶媒体203に記録されることによって登録される。
【0065】
なお、ユーザの抗原検査は、抗原検査のための設備を備えた車両、例えば抗原検査用バスなどを訪問先の近隣に停車させて行えばよい。医療従事者は防壁の穴に装着された手袋でユーザの検体を採取するようにしたり、検査が終わるごとに噴霧で除菌したりするなど、バス内には感染予防のための様々な仕組みがあり、被検者や医療従事者を感染から守る構造となっている。
【0066】
ユーザの抗原検査の結果を登録した後に、ユーザは、ユーザ端末100を操作して、入場チェック用の二次元コードをタッチパネル101に表示させる。制御装置103は、ユーザによって二次元コードの表示が指示されると、感染症対策装置200に入場チェック用の二次元コードの発行を要求する。
【0067】
感染症対策装置200では、制御装置202は、ユーザ端末100から入場チェック用の二次元コードの発行が要求された場合には、新たに登録された抗原検査の結果を加味して上述した入場可否の判定処理を行い、訪問先名と入場可否の判定結果の情報を含んだ入場チェック用の二次元コードを生成してユーザ端末100へ送信する。この場合も訪問先の担当者は、表示された判定結果が入場可の場合はユーザの入場を許可し、表示された判定結果が入場不可の場合はユーザの入場を拒否する。これによって、ユーザの体温が感染症に感染している疑いがある体温以上であるとしても、感染症対策装置200で判定された感染症の感染リスクが高くないユーザの入場は許可することができる。また、体温が感染症に感染している疑いがある体温以上であって、かつ感染症対策装置200で判定された感染リスクが高いユーザは入場を拒否して、訪問先での感染症の感染拡大を防止することができる。
【0068】
本実施の形態における感染症対策システム10では、ユーザ端末100にインストールされた健康管理アプリケーションには、ユーザが医師等に健康相談を行うための機能が搭載されている。例えば、ユーザは、チャットやビデオ通話により医師や看護師と会話をして自身の健康に関する相談をすることができる。このとき、ユーザに感染症の陽性が発覚した場合には、ユーザが陽性であることを示す情報を感染症対策装置200に登録するようにしてもよい。
【0069】
また、本実施の形態における感染症対策システム10では、ユーザ端末100にインストールされた健康管理アプリケーションには、ユーザが入力した体温や症状や酸素飽和度の情報を時系列で表示したり、過去に受けた抗体検査、抗原検査、およびPCR検査の結果を時系列で表示したりする機能も備えている。例えば、日付ごとに体温、症状、酸素飽和度、抗体検査の結果、抗原検査の結果、およびPCR検査の結果をグラフや一覧表により表示するようにすれば、ユーザはこれらの情報を時系列で確認することができる。
【0070】
図11は、本実施の形態におけるユーザ端末100で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図11に示す処理は、ユーザ端末100で上述した健康管理アプリケーションの実行が指示されると起動するプログラムとして、制御装置103によって実行される。なお、
図11に示す処理においては、上述したユーザの訪問に関する情報とユーザ情報は、あらかじめ感染症対策装置200の記憶媒体203に記録されているものとする。
【0071】
ステップS10において、制御装置103は、上述したようにユーザによって体温や症状や酸素飽和度などの体調情報が入力されたか否かを判断する。ステップS10で否定判断した場合には、後述するステップS30へ進む。これに対して、ステップS10で肯定判断した場合には、ステップS20へ進む。
【0072】
ステップS20では、制御装置103は、ユーザによって入力された体調情報のデータと入力された日時の情報とユーザを一意に識別するためのユーザ識別情報とを関連付けた健康管理データを感染症対策装置200へ送信する。その後、ステップS30へ進む。
【0073】
ステップS30では、制御装置103は、ユーザによって抗体検査の結果判定が指示されたか否かを判断する。ステップS30で否定判断した場合には、後述するステップS70へ進む。これに対して、ステップS30で肯定判断した場合には、ステップS40へ進む。
【0074】
ステップS40では、制御装置103は、上述したように、カメラ104を起動して検査キットを撮影し、撮影して得た検査キットの画像に基づいてIgM判定結果表示部5bとIgG判定結果表示部5dにおけるラインの出現状況を判定することにより、抗体検査の結果を判定する。その後、ステップS50へ進む。
【0075】
ステップS50では、制御装置103は、抗体検査の判定結果をタッチパネル101上に表示する。その後、ステップS60へ進む。
【0076】
ステップS60では、制御装置103は、上述したように、抗体検査の判定結果を含んだ検査結果情報を感染症対策装置200へ送信する。その後、ステップS70へ進む。
【0077】
ステップS70では、制御装置103は、ユーザによって上述した入場チェック用の二次元コードの表示が指示されたか否かを判断する。ステップS70で否定判断した場合には、後述するステップS110へ進む。これに対して、ステップS70で肯定判断した場合には、ステップS80へ進む。
【0078】
ステップS80では、制御装置103は、感染症対策装置200に入場チェック用の二次元コードの発行を要求する。その後、ステップS90へ進む。
【0079】
ステップS90では、制御装置103は、感染症対策装置200から入場チェック用の二次元コードを受信したか否かを判断する。ステップS90で肯定判断した場合には、ステップS100へ進む。
【0080】
ステップS100では、制御装置103は、感染症対策装置200から受信した二次元コードをタッチパネル101に表示する。その後、ステップS110へ進む。
【0081】
ステップS110では、制御装置103は、健康管理アプリケーションの終了が指示されたか否かを判断する。ステップS110で否定判断した場合には、ステップS10へ戻る。これに対して、ステップS110で肯定判断した場合には、処理を終了する。
【0082】
図12は、本実施の形態における感染症対策装置200で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図12に示す処理は、感染症対策装置200で動作する感染症対策システム用のソフトウェアが実行されると起動するプログラムとして、制御装置202によって実行される。なお、感染症対策システム用のソフトウェアの実行は、操作者によって指示されてもよく、感染症対策装置200の電源がオンされると自動的に指示されるようにしてもよい。あるいは、その他の開始条件を満たしたときに実行されるようにしてもよい。なお、
図12に示す処理においては、上述したユーザの訪問に関する情報とユーザ情報は、あらかじめ感染症対策装置200の記憶媒体203に記録されているものとする。
【0083】
ステップS210において、制御装置202は、ユーザ端末100から上述したユーザの健康管理データを受信したか否かを判断する。ステップS210で否定判断した場合には、後述するステップS230へ進む。これに対して、ステップS210で肯定判断した場合には、ステップS220へ進む。
【0084】
ステップS220では、制御装置202は、受信した健康管理データを記憶媒体203に記録する。その後、ステップS230へ進む。
【0085】
ステップS230では、制御装置202は、ユーザ端末100から上述したユーザの検査結果情報を受信したか否かを判断する。ステップS230で否定判断した場合には、後述するステップS250へ進む。これに対して、ステップS230で肯定判断した場合には、ステップS240へ進む。
【0086】
ステップS240では、制御装置202は、受信した検査結果情報を記憶媒体203に記録する。その後、ステップS250へ進む。
【0087】
ステップS250では、制御装置202は、ユーザ端末100から上述した入場チェック用の二次元コードの発行が要求されたか否かを判断する。ステップS250で否定判断した場合には、後述するステップS290へ進む。これに対して、ステップS250で肯定判断した場合には、ステップS260へ進む。
【0088】
ステップS260では、制御装置202は、上述したように、感染リスクを判定するためのスコアを算出し、算出したスコアをあらかじめ設定されている閾値と比較することにより感染リスクを高、中、低の3段階で判定して、感染リスクが高のユーザは入場不可とし、感染リスクが中と低のユーザは入場可とする入場可否の判定処理を行う。その後、ステップS270へ進む。
【0089】
ステップS270では、制御装置202は、上述したように、訪問先名と入場可否の判定結果の情報を含んだ入場チェック用の二次元コードを生成する。その後、ステップS280へ進む。
【0090】
ステップS280では、制御装置202は、生成した入場チェック用の二次元コードをユーザ端末100へ送信する。その後、ステップS290へ進む。
【0091】
ステップS290では、制御装置202は、ユーザの抗原検査の結果を受信したか否かを判断する。ステップS290で否定判断した場合には、後述するステップS310へ進む。これに対して、ステップS290で肯定判断した場合には、ステップS300へ進む。
【0092】
ステップS300では、制御装置202は、受信した抗原検査の結果情報を記憶媒体203に記録する。その後、ステップS310へ進む。
【0093】
ステップS310では、制御装置202は、感染症対策システム用のソフトウェアの終了条件を満たしたか否かを判断する。感染症対策システム用のソフトウェアの終了条件は、操作者によって終了が指示されたときに満たしたと判定してもよいし、感染症対策装置200の電源がオフされたときに満たしたと判定してもよい。またはその他の終了条件があらかじめ設定されていてもよい。ステップS310で否定判断した場合には、ステップS210へ戻る。これに対して、ステップS310で肯定判断した場合には、処理を終了する。
【0094】
図13は、本実施の形態における訪問先端末300で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図13に示す処理は、訪問先端末300で上述した入場チェックアプリケーションの実行が指示されると起動するプログラムとして、制御装置303によって実行される。
【0095】
ステップS410において、制御装置303は、二次元コード読み取り装置304を介して二次元コードを読み取ったか否かを判断する。ステップS410で否定判断した場合には、後述するステップS430へ進む。これに対して、ステップS410で肯定判断した場合には、ステップS420へ進む。
【0096】
ステップS420では、制御装置303は、二次元コード読み取り装置304を介して読み取った二次元コードに含まれる入場可否の判定結果の情報に基づいて、訪問先へのユーザの入場可否を示す情報をタッチパネル301に表示する。その後、ステップS430へ進む。
【0097】
ステップS430では、制御装置303は、入場チェックアプリケーションの終了が指示されたか否かを判断する。ステップS430で否定判断した場合には、ステップS410へ戻る。これに対して、ステップS430で肯定判断した場合には、処理を終了する。
【0098】
以上説明した実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)ユーザ端末100では、制御装置103は、ユーザから体調に関する情報の入力を受け付け、入力を受け付けた体調に関する情報を含んだユーザの健康管理データを感染症対策装置200へ送信し、ユーザの感染症の抗体検査結果を特定し、特定した抗体検査結果の情報を感染症対策装置200へ送信し、ユーザの入場可否を判定するために用いる入場チェック用情報の出力が指示されたときに、感染症対策装置200へ入場チェック用情報として二次元コードの発行を要求し、感染症対策装置200から入場チェック用の二次元コードを受信してタッチパネル101に表示するようにした。感染症対策装置200では、制御装置202は、ユーザ端末100から健康管理データを受信して記憶媒体203に記録し、ユーザ端末100から抗体検査結果の情報を受信して記憶媒体203に記録し、ユーザ端末100から入場チェック用の二次元コードの発行が要求されたときに、健康管理データと抗体検査結果の情報とに基づいてユーザの訪問先への入場可否を判定し、判定したユーザの訪問先への入場可否の判定結果を通知するための二次元コードをユーザ端末100へ送信するようにした。訪問先端末300は、制御装置303は、ユーザ端末100に表示された入場チェック用の二次元コードを読み込み、読み込んだ入場チェック用の二次元コードに基づいて、訪問先へのユーザの入場可否を示す情報を表示するようにした。このように、健康管理データと抗体検査結果の情報とに基づいてユーザの訪問先への入場可否を判定するようにしたので、ユーザの日頃の体調や事前の抗体検査の結果などを加味して訪問者の入場可否を精度高く判定することができる。また、訪問先では、入場不可と判定されたユーザの入場を拒否することができるため、訪問先での感染拡大を防止することができる。
【0099】
(2)制御装置103は、検査結果が表示された抗体検査キットを撮影した画像に基づいてユーザの感染症の抗体検査結果を特定するようにした。これによって、ユーザは検査を行った後に検査キットをカメラで撮影するだけで容易に抗体検査の結果を判定させることができる。
【0100】
(3)制御装置202は、健康管理データと抗体検査結果の情報とに基づいてユーザの感染リスクを判定し、該感染リスクに基づいてユーザの訪問先への入場可否を判定するようにした。これによって、ユーザの感染リスクに基づいて訪問先への入場可否を判定することができる。
【0101】
(4)制御装置202は、健康管理データと抗体検査結果の情報とに基づいてユーザの感染リスクを判定するためのスコアを算出し、該スコアとあらかじめ設定されている閾値とを比較することによりユーザの感染リスクの高さを判定するようにした。これによって、感染リスクを判定するためのリスク要因ごとにスコアに加減算するポイントを設定しておけば、精度高く感染リスクを判定することができる。また、感染症の特性によってリスク要因が異なるため、感染症の特性に合わせて感染リスクを判定するためのリスク要因を設定しておけば、感染リスクの判定精度を向上させることができる。さらに、各リスク要因が感染リスクの判定に及ぼす影響度が異なる場合には、リスク要因ごとに割り当てるスコア計算用のポイント数を変えることにより、リスク要因ごとの影響度を加味して感染リスクを判定することができる。
【0102】
(5)制御装置202は、ユーザの感染リスクが高い場合はユーザは入場不可と判定し、ユーザの感染リスクが低い場合はユーザは入場可と判定するようにした。これによって、感染リスクが高いユーザの入場を拒否して、訪問先での感染拡大を防止することができる。
【0103】
(6)制御装置202は、ユーザが受けた抗原検査の結果やPCR検査の結果も加味してユーザの訪問先への入場可否を判定するようにした。これによって感染症に関する種々の検査結果を加味して、精度高く訪問先への入場可否を判定することができる。
【0104】
(7)制御装置303は、ユーザ端末100のタッチパネル101に表示された二次元コードを読み取ることにより入場チェック用情報を読み込むようにした。これによって、ユーザは二次元コード読み取り装置304に二次元コードをかざすだけで入場チェックを受けることができる。
【0105】
(8)ユーザ端末100では、健康管理データと抗体検査結果の情報とに基づいて、ユーザの体調に関する情報と抗体検査結果に関する情報を時系列で表示できるようにした。これによって、ユーザは健康管理アプリケーション上で自身の体調に関する情報と抗体検査結果に関する情報を時系列で確認することができる。
【0106】
―変形例―
なお、上述した実施の形態の感染症対策システムは、以下のように変形することもできる。
(1)上述した実施の形態では、ユーザは、体温や酸素飽和度を計測し、ユーザ端末100を操作して体温や酸素飽和度のデータを画面上で入力するようにした。しかしながら、ユーザは体温や酸素飽和度を計測することができるウェアラブル端末を装着しておき、該ウェアラブル端末があらかじめ設定されたタイミングでユーザの体温や酸素飽和度を測定するようにしてもよい。この場合、あらかじめユーザ端末100とウェアラブル端末とを通信可能なように設定しておけば、ユーザの体温と酸素飽和度を自動計測してユーザ端末100の健康管理アプリケーションに入力することができる。なお、健康管理データに体温や酸素飽和度以外の情報を含める必要がある場合でも、それらのデータを計測可能なウェアラブル端末を用いれば、種々の健康管理データを自動計測することができる。また、ユーザの体温や酸素飽和度の計測は、これらを計測することができる装置や端末であれば、その計測に用いる装置または端末の種類やその計測方法は限定されない。
【0107】
(2)上述した実施の形態では、健康管理アプリケーションが検査キットを撮影した画像に基づいて、陽性または陰性の検査結果を判定する機能を備えている例について説明した。しかしながら、抗体検査の結果は、ユーザがマニュアルに記載された判定方法に基づいて判定して、判定結果を健康管理アプリケーションの画面上で手動で入力するようにしてもよい。
【0108】
(3)上述した実施の形態では、感染症対策装置200の制御装置202は、ユーザの基本情報や生活情報に基づくリスク、感染者との接触情報に基づくリスク、ユーザの症状やバイタルデータに基づくリスク、ユーザのワクチン接種や検査結果に基づくリスクの各リスクに基づいて、ユーザの感染症に対する感染リスクを判定するものとし、具体的には感染リスクを判定するための項目ごとに設定されたスコアを加減算して判定用のスコアを算出することによりユーザの感染リスクを判定する例について説明した。しかしながら、感染症の特性に合わせて、感染症の感染リスクを精度高く判定することができる項目であれば、感染リスクを判定するための項目は上述した例に限定されない。
【0109】
(4)上述した実施の形態では、感染リスクは、高、中、低の3段階で判定するものとし、制御装置202は、感染リスクが高いユーザ、例えば感染リスクが高と判定したユーザは入場不可と判定し、感染リスクが低いユーザ、例えば感染リスクが中または低と判定したユーザは入場可と判定する例について説明した。しかしながら、感染リスクに応じた入場可否の判定方法はこれに限定されない。例えば、感染リスクが高と中のユーザは入場不可と判定し、感染リスクが低のユーザは入場可と判定するようにしてもよい。また、感染リスクの判定は高、中、低の3段階には限定されず、例えば、感染リスクの判定は高、低の2段階として、制御装置202は、感染リスクが高と判定したユーザは入場不可と判定し、感染リスクが低と判定したユーザは入場可と判定するようにしてもよい。
【0110】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。また、上述の実施の形態と複数の変形例を組み合わせた構成としてもよい。
【解決手段】感染症対策システム10において、、ユーザ端末100と、訪問先端末300と、入場の可否を判定する感染症対策装置200とが通信回線を介して接続される。ユーザ端末は、体調情報入力受付手段によって入力を受け付けたユーザの健康管理データを感染症対策装置へ送信する。感染症対策装置は、ユーザ端末から健康管理データと抗体検査結果の情報をを受信し、ユーザ端末から入場チェック用情報の発行が要求されたときに、健康管理データと抗体検査結果の情報とに基づいてユーザの訪問先への入場可否を判定し、その結果を通知するための入場チェック用情報をユーザ端末へ送信する。訪問先端末は、ユーザ端末に表示された入場チェック用情報を読み込み、それに基づいて、訪問先へのユーザの入場可否を示す情報を表示する。