(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1に示すように、この発明に係る予約可能時期予測システム10は、WEBサーバ12と、予約可能時期予測サーバ14と、DBサーバ16を備えている。
WEBサーバ12、予約可能時期予測サーバ14及びDBサーバ16は、通信ネットワークを介して相互に接続されている。
【0024】
上記WEBサーバ12は、インターネット18を介して、ユーザが操作する多数のクライアント端末20と接続されている。
このクライアント端末20としては、通信機能及びWEBブラウザプログラムを備えたPCやタブレット端末、スマートフォン等が該当する。
【0025】
上記予約可能時期予測サーバ14は、OS及び専用のアプリケーションプログラムを備えており、このアプリケーションプログラムに従ってサーバコンピュータのCPUが必要な処理を実行することにより、後述の各種機能を発揮する。
【0026】
上記DBサーバ16は、OS及びデータベース管理プログラムを備えており、その外部記憶装置22内には、イベントDB24、イベント申込DB26、ユーザDB28、天気予報DB29、宿泊施設DB30、宿泊予約DB32、宿泊施設予測DB34、航空便DB36、航空便予約DB38、航空便予測DB40等の各種データベースが格納されている。
【0027】
DBサーバ16は、インターネット18を介して多数の外部サーバ42やデータ登録端末44と接続されている。
外部サーバ42としては、例えば、各航空会社の航空便予約管理サーバ、各宿泊施設の予約管理サーバ、イベント予約代行業者の予約管理サーバ等が該当する。
また、データ登録端末44としては、このシステム10の運用者が管理するPC等が該当する。
【0028】
上記イベントDB24には、日本各地で開催されるスポーツイベント、音楽イベント、展覧会、博覧会等、モーターショー、学会、サミット等、比較的大きな集客数(動員数)が見込まれる各種イベントの情報が格納されている。
例えば、
図2(a)に示すように、イベントID、イベント名称、イベントカテゴリ、開始日時、終了日時、開催地、日毎の参加者数、主催者、登録日時等のデータ項目を備えたレコードが、イベントDB24に格納されている。
これらのイベント情報は、データ登録端末44から随時送信され、DBサーバ16を介してイベントDB24に格納される。
【0029】
また、上記イベント申込DB26には、特定のイベントに対するユーザの申込情報が格納されている。
例えば、
図2(b)に示すように、イベント申込ID、イベントID、ユーザID、参加日、申込受付日時等のデータ項目を備えたレコードが、イベント申込DB26に格納されている。
これらのイベント申込情報は、外部サーバ42(イベント予約代行業者の予約管理サーバ等)から随時送信され、DBサーバ16を介してイベントDB24に格納される。
【0030】
上記ユーザDB28には、各ユーザの属性情報が格納されている。
例えば、
図2(c)に示すように、ユーザID、氏名、住所、性別、生年月日、メールアドレス、登録年月日等のデータ項目を備えたレコードが、ユーザDB28に格納されている。
これらのユーザ情報は、ユーザ登録時にクライアント端末20からWEBサーバ12に送信され、DBサーバ16を介してユーザDB28に格納される。
【0031】
上記天気予報DB29には、天気予報情報が格納されている。
例えば、
図2(d)に示すように、天気予報ID、適用地域、適用期間、増減率、登録年月日等のデータ項目を備えたレコードが、天気予報DB29に格納されている。
これらの天気予報情報は、データ登録端末44から随時送信され、DBサーバ16を介して天気予報DB29に格納される。
【0032】
上記宿泊施設DB30には、各宿泊施設の属性情報が格納されている。
例えば、
図3(a)に示すように、宿泊施設ID、名称、カテゴリ(ホテル/旅館/ペンション等)、所在地、価格帯別客室数等のデータ項目を備えたレコードが、宿泊施設DB30に格納されている。
これらの宿泊施設情報は、データ登録端末44から随時送信され、DBサーバ16を介して宿泊施設DB30に格納される。
【0033】
上記宿泊予約DB32には、各地の主要なホテルや旅館等の宿泊施設における宿泊予約情報(予約実績データ)が格納される。
例えば、
図3(b)に示すように、宿泊予約ID、宿泊施設ID、宿泊日、価格帯、予約受付日時等のデータ項目を備えたレコードが、宿泊予約DB32に格納されている。
これらの宿泊予約情報は、外部サーバ42(各宿泊施設の予約管理サーバ等)から随時送信され、DBサーバ16を介して宿泊予約DB32に格納される。
【0034】
上記宿泊施設予測DB34には、予約可能時期予測サーバ14によって算出された予約可能時期の予測データが、DBサーバ16を介して逐次格納される。
例えば、
図3(c)に示すように、宿泊施設予測ID、ユーザID、予測対象日、予測対象地域、価格帯、確実予約可能期限、予約可能期限、予測実施日時等のデータ項目を備えたレコードが、宿泊施設予測DB34に格納されている。
【0035】
上記航空便DB36には、各航空便の属性情報が格納されている。
例えば、
図4(a)に示すように、航空便ID、航空便名、出発空港、到着空港、出発時刻、到着時刻、座席数等のデータ項目を備えたレコードが、航空便DB36に格納されている。
これらの航空便情報は、データ登録端末44から随時送信され、DBサーバ16を介して航空便DB36に格納される。
【0036】
上記航空便予約DB38には、各航空会社の航空便に対する航空便予約情報(予約実績データ)が格納される。
例えば、
図4(b)に示すように、航空便予約ID、航空便ID、搭乗日、予約受付日時等のデータ項目を備えたレコードが、航空便予約DB38に格納されている。
これらの航空便予約情報は、外部サーバ42(各航空会社の航空便予約管理サーバ等)から随時送信され、DBサーバ16を介して航空便予約DB38に格納される。
【0037】
上記航空便予測DB40には、予約可能時期予測サーバ14によって算出された予約可能時期の予測データが、DBサーバ16を介して逐次格納される。
例えば、
図4(c)に示すように、航空便予測ID、ユーザID、予測対象日、出発空港、到着空港、確実予約可能期限、予約可能期限、予測実施日時等のデータ項目を備えたレコードが、航空便予測DB40に格納されている。
【0038】
つぎに、
図5のフローチャートに従い、このシステム10による宿泊施設の予約可能時期予測の処理手順について説明する。
まず、クライアント端末20からWEBサーバ12に対し、宿泊施設の予約可能時期予測のリクエストが送信されると(S10)、WEBサーバ12からクライアント端末20に対して、予測条件指定画面(図示省略)が送信される(S12)。
【0039】
これに対し、ユーザが上記画面上で宿泊予定の日付(例えば「2016年12月1日」)と地域(例えば「沖縄県那覇市」)を指定すると、これらの条件がクライアント端末20からWEBサーバ12に送信される(S14)。
【0040】
WEBサーバ12経由でこれらの予測条件を受け取った予約可能時期予測サーバ14は、後述するS16〜S20の処理を通じて「確実予約可能期限」及び「予約可能期限」を算出し、WEBサーバ12に渡す。
つぎに予約可能時期予測サーバ14は、「確実予約可能期限」及び「予約可能期限」を含む宿泊施設予測データを生成し、DBサーバ16を介して宿泊施設予測DB34に格納する(S22)。
【0041】
一方、WEBサーバ12は、「確実予約可能期限」及び「予約可能期限」が記載された予測結果提示画面を生成し、クライアント端末20に送信する(S24)。
図6は、クライアント端末20のWEBブラウザ上に表示された宿泊施設に関する予測結果提示画面50を示すものであり、図示の通り、この画面上には(1)〜(5)の価格帯別に、「確実予約可能期限」と「予約可能期限」が表示されている。
ここで「確実予約可能期限」とは、宿泊予定日の予約を余裕で入れることができる期日のことを意味している。
また、「予約可能期限」とは、宿泊予定日に対して予約を入れることが可能な限界点を示しており、翌日以降は予約が極めて困難となることを意味している。
【0042】
例えば、1泊3,000円未満の廉価な宿泊施設の場合、2016年12月1日の予約を確実にするためには、「2016年8月21日」の確実予約可能期限までに動く必要があることになる。
もちろん、この確実予約可能期限以降であっても予約を入れることは可能であるが、それでも「2016年9月21日」の予約可能期限を過ぎると予約が非常に難しくなる。
【0043】
したがってユーザは、3,000円未満の比較的安い宿を確保するためには、「2016年8月21日」までに予約を入れるのが安全であり、遅くとも「2016年9月21日」までに予約を入れなければならないことを事前に認識できる。
これに対し、1泊12,000円以上の高価な宿泊施設の確保を希望しているユーザの場合には、最大限「2016年11月27日」の予約可能期限まで予約を留保できることがわかる。
【0044】
現時点(2016年6月1日)で予約を入れることを決断したユーザは、希望する価格帯に係る予約ボタン52をクリックする。
この結果、クライアント端末20は旅行代理店のWEBサーバに接続され、希望する価格帯の宿泊施設がリストアップされた予約申込画面(図示省略)が表示される。
【0045】
これに対し、希望する価格帯における予約可能期限が過ぎてしまっている場合(例えば、11月に入ってから3,000円未満の価格帯の予約を入れる場合)、ユーザは予測条件変更欄54において「予測する日付」または「予測する地域」を選択し直した後、再予測ボタン56をクリックする。
この結果、変更後の予測条件にマッチする予測結果がリストアップされた画面が、クライアント端末20上に表示される。
【0046】
イベントの開催地である「那覇市」でイベント前日の「2016年12月1日」に3,000円未満の宿泊施設について予約を入れることはできなくても、その近隣にまで地域を広げれば11月時点でも予約できる可能性があるため、上記のように予測条件を変えて再予測することには意味がある。
【0047】
つぎに、上記の「確実予約可能期限」及び「予約可能期限」の算出方法について説明する。
まず、予約可能時期予測サーバ14は、宿泊施設DB30を参照し、指定された地域に所在する宿泊施設を抽出する(S16)。
つぎに、予約可能時期予測サーバ14は、宿泊予約DB32を参照し、抽出した各宿泊施設に関する過去の所定期間内における、過去の所定日に関する予約率を日毎に算出する(S18)。
【0048】
例えば、「2016年12月1日」が今回の予約対象日である場合、予約可能時期予測サーバ14は、その1年前である2015年12月1日を、今回の予約対象日に対応する「過去の予約対象日」と認定し、これを起点に1年分遡った2014年12月2日までに属する各月日について、2015年12月1日に対する予約率を、指定された地域に所在する宿泊施設の価格帯別に算出する。
【0049】
仮に、沖縄県那覇市に存する価格帯が「3,000円未満」の全宿泊施設の合計客室数が1,000室であり、2015年7月1日の時点における「2015年12月1日」の予約数が300室であった場合、「2015/07/01の予約率=30%」となる。
これに対し、同宿泊施設の2015年9月1日の時点における「2015年12月1日」の予約数が750室であった場合、「2015/09/01の予約率=75%」となる。
【0050】
つぎに、予約可能時期予測サーバ14は、上記期間内における日毎の予約率の推移を解析し、価格帯毎に2015年12月1日に関する「確実予約可能期限」と「予約可能期限」を特定する(S20)。
【0051】
例えば、
図7(a)に示すように、価格帯が「3,000円未満」の宿泊施設について、2015年8月21日における予約率が「46%」であるのに対し、翌8月22日にこれが「52%」まで上昇していた場合、「予約率50%を超えた日の前日を確実予約可能期限とする」という第1の判定ルールに従い、予約可能時期予測サーバ14は8月21日を「確実予約可能期限」と認定する。
【0052】
また、2015年9月21日における予約率が「87%」であるのに対し、翌9月22日にこれが「91%」まで上昇していた場合、「予約率90%を超えた日の前日を予約可能期限とする」という第2の判定ルールに従い、予約可能時期予測サーバ14は9月21日を「予約可能期限」と認定する。
上記の判定ルールはあくまでも一例であり、他のルールを適用できることは言うまでもない(以下同様)。
【0053】
あるいは、
図7(b)に示すように、価格帯が「8,000円以上12,000円未満」の宿泊施設について、2015年11月1日における予約率が「48%」であるのに対し、翌11月2日にこれが「51%」まで上昇していた場合、「予約率50%を超えた日の前日を確実予約可能期限とする」という第1の判定ルールに従い、予約可能時期予測サーバ14は11月1日を「確実予約可能期限」と認定する。
また、2015年11月20日における予約率が「88%」であるのに対し、翌11月21日にこれが「90%」まで上昇していた場合、「予約率90%を超えた日の前日を予約可能期限とする」という第2の判定ルールに従い、予約可能時期予測サーバ14は11月20日を「予約可能期限」と認定する。
【0054】
つぎに、予約可能時期予測サーバ14は、上記の2015年12月1日に関する「確実予約可能期限」及び「予約可能期限」に対して単純に1年を加算することにより、2016年12月1日に関する「確実予約可能期限」及び「予約可能期限」を推定する。
【0055】
この結果、価格帯が「3,000円未満」の宿泊施設についての、2016年12月1日に関する確実予約可能期限は「2016年8月21日」となり、予約可能期限は「2016年9月21日」となる。
同様に、価格帯が「8,000円以上12,000円未満」の宿泊施設についての、2016年12月1日に関する確実予約可能期限は「2016年11月1日」となり、予約可能期限は「2016年11月20日」となる。
【0056】
以上の算出方式は、毎年同じ期間に同じ地域で同一の大型イベントが開催される場合に特に有効であるが、年毎の環境変化を反映させることにより、精度をより高めることができる。
以下、具体的に説明する。
【0057】
[イベント開催日が曜日絡みで決定される場合の補正]
すなわち、特定イベントの開催の有無によって特定地域の宿泊施設の予約状況に大きな変動が生じるケースにおいて、当該イベントの開催日が月日ではなく曜日との絡みで決定される場合、今回の予約対象日に対応する「過去の予約対象日」として、昨年のイベント開催日が特定されることが望ましい。
【0058】
例えば、NAHAマラソンの開催日が「毎年12月第1日曜日」と規定されている場合において、「2016年12月3日(2016年の開催日の前日)」を予約対象日とする予測リクエストが入力された場合、予約可能性予測サーバ14は「イベント関連予約」と認定し、「過去の予約対象日」として昨年の同イベント開催日の前日である「2015年12月5日」を特定する。
【0059】
この結果、昨年の実績ベースで「2015年12月5日」に関する確実予約可能期限として「2015年8月10日」が認定された場合、イベント開催日のズレを反映させ、2日前の「2016年8月8日」が本年の確実予約可能日と推定される。
もっとも、人口の多い東京や大阪などの大都市においては、オリンピックや万国博覧会といった国際的な超大型イベントは兎も角として、一般的なイベントの開催によって宿泊の予約動向にそれほど大きな変動が生じることはないため、上記のような補正処理を講じなくともよい。
【0060】
[現時点までの予約実績の反映]
今年の所定日における予約率、あるいは今年の所定期間における平均予約率と、昨年の所定日における予約率、あるいは昨年の対応期間における平均予約率とを比較し、両者間に一定以上の乖離が生じている場合には、これを算出結果に反映させることが該当する。
【0061】
例えば、2016年12月1日に関する価格帯が「3,000円未満」の宿泊施設の予約率が、現時点(2016年6月1日)で32%に達しているのに対し、昨年の同時点(2015年6月1日)で20%であった場合、
図8(a)に示すように、昨年実績をベースに算出した日毎の予約率に対し、一律に12%を加算することが該当する。
【0062】
この結果、2016年12月1日に関する確実予約可能期限は、2016年8月21日よりも前の時点に移動すると共に、予約可能期限も2016年9月21日より前の時点に移動することとなる。
もちろん、増加した12%をそのまま加算する代わりに、その一部(例えば半分の6%)の加算に止めることもできる。
【0063】
これとは逆に、2016年12月1日に関する価格帯が「3,000円未満」の宿泊施設の予約率が、現時点(2016年6月1日)で8%に止まるのに対し、昨年の同時点(2015年6月1日)で20%であった場合、
図8(b)に示すように、昨年実績をベースに算出した日毎の予約率に対し、一律に12%を減ずる補正が施される。
【0064】
この結果、2016年12月1日に関する確実予約可能期限は、2016年8月21日よりも後の時点に移動すると共に、予約可能期限も2016年9月21日より後の時点に移動することとなる。
この場合も、減少した12%をそのまま減算する代わりに、その一部(例えば半分の6%)の減算に止めることもできる。
【0065】
[イベント開催の有無による影響の反映]
昨年、予測対象時期に予測対象地域において開催された大型イベントが今年は開催されない場合や、開催日が変更された場合、あるいは昨年は存在していなかった大型イベントが今年初めて開催される場合には、その参加予定数や定員を予測結果に反映させることが望ましい。
【0066】
例えば、昨年(2015年)の12月1日に同地域において開催されたイベント(参加人数:3,000)の開催日が、今年(2016年)は12月8日に変更された場合、2016年12月1日に関する予約可能時期の予測に際し、その参加人数の50%に相当する1,500を、価格帯の数である5で除して「−300」の減少数を求める。
つぎに、2014年12月2日〜2015年12月1日の期間に属する各日の価格帯別予約率を求める際に、それぞれの予約数から300をマイナスして計算する。
【0067】
この結果、例えば「3,000円未満」の価格帯での2016年12月1日に関する確実予約可能期限は、2016年8月21日よりも後に繰り下がり、また2016年12月1日に関する予約可能期限も、2016年9月21日よりも後に繰り下がることとなる。
なお、既存イベントの規模(参加予定数や定員)が大幅に縮小した場合にも、上記と同様の修正処理がなされる。
【0068】
これとは逆に、昨年(2015年)の12月1日には存在しなかった新たなイベント(参加人数:3,000)が、今年(2016年)の12月1日に開催される場合、2016年12月1日に関する予約可能時期の予測に際し、その参加人数の50%に相当する1,500を、価格帯の数である5で除して「+300」の増加数を求める。
つぎに、2014年12月2日〜2015年12月1日の期間に属する各日の価格帯別予約率を求める際に、それぞれの予約数に300をプラスして計算する。
【0069】
この結果、例えば「3,000円未満」の価格帯での2016年12月1日に関する確実予約可能期限は、2016年8月21日よりも前に繰り上がり、また2016年12月1日に関する予約可能期限も、2016年9月21日よりも前に繰り上がることとなる。
なお、既存イベントの規模(参加予定数や定員)が大幅に拡大した場合にも、上記と同様の修正処理がなされる。
【0070】
上記においては、増減する参加人数の50%を予測結果に反映させる例を示したが、この比率は一例に過ぎず、他の比率を適用することも当然に可能である。
また、上記比率に基づいて算出した増加数または減少数を価格帯の数で単純に割り算して、各価格帯の予約数に加算または減算する数を求める代わりに、予め決められたルールに従って各価格帯に割り振る増加数または減少数を求めることもできる(例えば、「3,000円未満」の価格帯:50%、「3,000円以上5,000円未満」の価格帯:20%、…等)。
【0071】
[天気予報情報の反映]
予測結果に、天気予報の情報を反映させることもできる。
例えば、今年(2016年)の冬、長野県地方が暖冬となるとの長期予報が発令された場合、スキー場周辺の宿泊施設に対する需要は減少することが予想されるため、同地方の宿泊施設に関する予測処理にこれを反映させることが望ましい。
【0072】
このためには、データ登録端末44からDBサーバ16の天気予報DB29に、適用地域、適用期間、増減率を規定したレコードを格納しておく。
一方、予約可能時期予測サーバ14は、天気予報DB29を参照し、ユーザからリクエストのあった予測対象地域及び予測対象日にマッチする天気予報データが登録されている場合、その増減率を過去の予約データに基づいて算出した予約数に適用させる。
【0073】
一例を挙げると、長野県北佐久郡立科町の「3,000円未満」の宿泊施設について、昨年の実績ベースで2015年12月1日に関する予約率が2015年9月1日に50%に達していたとしても、今年は暖冬であるため一律に「−10%」の増減率を適用し、2016年9月1日の予約率を40%と予測することが挙げられる。
【0074】
[宿泊施設予測データの活用]
宿泊施設予測DB34には、上記の通り、ユーザのリクエストに応じて予測処理が実行される都度、予測対象日、予測対象地域、価格帯、確実予約可能期限、予約可能期限が蓄積されていくため、後でこの予測データを分析することにより、このシステム10における予測精度を高めることが可能となる。
【0075】
すなわち、以下のように、宿泊施設予測DB34に格納された予測データと、宿泊予約DB32に格納された宿泊予約データに基づいて算出した実績データを比較することにより、現状の予測精度を検証することができる。
【0076】
[予測データ]
予測実施日:2016年6月1日
予測対象日:2016年12月1日
予測対象地域:沖縄県那覇市
価格帯:3,000円未満
確実予約可能期限:2016年8月21日(予約率50%を超えない期限)
予約可能期限:2016年9月21日 (予約率90%を超えない期限)
【0077】
[実績データ(1)]
分析対象日:2016年8月21日
予測対象日:2016年12月1日
予測対象地域:沖縄県那覇市
価格帯:3,000円未満
予約率:30%
算出日:2016年8月22日
【0078】
[実績データ(2)]
分析対象日:2016年9月21日
予測対象日:2016年12月1日
予測対象地域:沖縄県那覇市
価格帯:3,000円未満
予約率:85%
算出日:2016年9月22日
【0079】
まず、実績データ(1)は、予測データにおいて確実予約可能期限とされた「2016年8月21日」における実際の予約率を示すものであり、これが「30%」に止まっていることがわかる。
確実予約可能期限は、上記の通り「予約率50%を超えない期限」を示すものであるため、実際には20%近い乖離が存在したこととなる。
【0080】
また、実績データ(2)は、予測データにおいて予約可能期限とされた「2016年9月21日」における実際の予約率を示すものであり、これも「85%」に止まっていることがわかる。
予約可能期限は、上記の通り「予約率90%を超えない期限」を示すものであるため、実際には5%近い乖離が存在したこととなる。
【0081】
上記のように、各予測データと実績データとの比較を繰り返すことにより、予測精度の現状を把握することが可能となり、これに基づいて予測に用いる各種パラメータや補正値を最適化することも可能となる。
【0082】
つぎに、
図9のフローチャートに従い、このシステム10による航空便の予約可能時期予測の処理手順について説明する。
まず、クライアント端末20からWEBサーバ12に対し、航空便の予約可能時期予測のリクエストが送信されると(S30)、WEBサーバ12からクライアント端末20に対して、予測条件指定画面(図示省略)が送信される(S32)。
【0083】
これに対し、ユーザが上記画面上で搭乗予定の日付(例えば「2016年12月1日」)と、出発空港(例えば「羽田空港」)及び到着空港(例えば「那覇空港」)の組合せ、すなわち路線を指定すると、これらの条件がクライアント端末20からWEBサーバ12に送信される(S34)。
【0084】
WEBサーバ12経由でこれらの予測条件を受け取った予約可能時期予測サーバ14は、後述するS36〜S40の処理を通じて「確実予約可能期限」及び「予約可能期限」を算出し、WEBサーバ12に渡す。
つぎに予約可能時期予測サーバ14は、「確実予約可能期限」及び「予約可能期限」を含む航空便予測データを生成し、DBサーバ16を介して航空便予測DB40に格納する(S42)。
【0085】
一方、WEBサーバ12は、「確実予約可能期限」及び「予約可能期限」が記載された予測結果提示画面を生成し、クライアント端末20に送信する(S44)。
図10は、クライアント端末20のWEBブラウザ上に表示された航空便に関する予測結果提示画面70を示すものであり、図示の通り、この画面上には(1)〜(6)…の航空便別に、「確実予約可能期限」と「予約可能期限」が表示されている。
ここで「確実予約可能期限」とは、当該航空便の予約を余裕で入れることができる日のことを意味しており、「予約可能期限」とは、当該航空便に対して予約を入れることが可能な限界点を意味している。
【0086】
例えば、2016年12月1日7時55分羽田発の(6)JAL 903便について予約を確実に入れるためには、「2016年9月15日」の確実予約可能期限までに動く必要があることになる。
もちろん、この確実予約可能期限以降であっても予約を入れることは可能であるが、それでも「2016年10月30日」の予約可能期限を過ぎると予約が非常に難しくなる。
【0087】
したがってユーザは、2016年12月1日のJAL 903便の航空券を確保するためには、「2016年9月15日」までに予約を入れるのが安全であり、遅くとも「2016年10月30日」までに予約を入れなければならないことを認識できる。
これに対し、2016年12月1日のANA 461便の航空券の確保を希望しているユーザの場合には、最大限「2016年11月7日」の予約可能期限まで予約を留保できることとなる。
【0088】
現時点(2016年6月1日)で予約を入れることを決断したユーザは、希望する航空便に係る予約ボタン72をクリックする。
この結果、クライアント端末20は航空会社や旅行代理店のWEBサーバに接続され、希望する航空便の予約申込画面(図示省略)が表示される。
【0089】
一方、希望する航空便の予約可能期限が過ぎてしまっている場合、ユーザは予測条件変更欄74において「予測する日付」または「予測する路線」を選択し直した後、再予測ボタン76をクリックする。
この結果、変更後の予測条件にマッチする予約可能時期の予測結果がリストアップされた画面が、クライアント端末20上に表示される。
【0090】
つぎに、上記の「確実予約可能期限」及び「予約可能期限」の算出方法について説明する。
まず、予約可能時期予測サーバ14は、航空便DB36を参照し、指定された路線に係る航空便を抽出する(S36)。
つぎに、予約可能時期予測サーバ14は、航空便予約DB38を参照し、抽出した各航空便に関する過去の所定期間内における、過去の所定日に関する予約率を日毎に算出する(S38)。
【0091】
例えば、「2016年12月1日」が今回の予約希望日である場合、予約可能時期予測サーバ14は、その1年前である2015年12月1日を、今回の予約対象日に対応する「過去の予約対象日」と認定し、これを起点に1年分遡った2014年12月2日までに属する各月日について、2015年12月1日に対する予約率を、抽出した航空便別に算出する。
【0092】
仮に、ANA 461便の座席数が200席であり、2015年6月1日の時点における「2015年12月1日」の予約数が20席であった場合、「2015/06/01の予約率=10%」となる。
これに対し、同航空便の2015年7月1日の時点における「2015年12月1日」の予約数が50席であった場合、「2015/07/01の予約率=25%」となる。
【0093】
つぎに、予約可能時期予測サーバ14は、上記期間内における日毎の予約率の推移を解析し、航空便毎に2015年12月1日に関する「確実予約可能期限」と「予約可能期限」を特定する。
【0094】
例えば、
図11に示すように、(1)ANA 461便について、2015年9月30日の予約率が「47%」であるのに対し、翌10月1日にこれが「51%」まで上昇していた場合、「予約率50%を超えた日の前日を確実予約可能期限とする」という第1の判定ルールに従い、予約可能時期予測サーバ14は9月30日を「確実予約可能期限」と認定する。
【0095】
また、2015年11月7日の予約率が「89%」であるのに対し、翌11月8日にこれが「92%」まで上昇していた場合、「予約率90%を超えた日の前日を予約可能期限とする」という第2の判定ルールに従い、予約可能時期予測サーバ14は11月7日を「予約可能期限」と認定する。
【0096】
つぎに、予約可能時期予測サーバ14は、上記の2015年12月1日に関する「確実予約可能期限」及び「予約可能期限」に対して単純に1年を加算することにより、2016年12月1日に関する「確実予約可能期限」及び「予約可能期限」を推定する。
この結果、ANA 461便についての、2016年12月1日に関する確実予約可能期限は「2016年9月30日」となり、予約可能期限は「2016年11月7日」となる。
【0097】
航空便の予約可能時期予測についても、上記した「イベント開催日が曜日絡みで決定される場合の補正」や「現時点までの予約実績の反映」、到着空港近辺において開催される「イベント開催の有無による影響の反映」、「天気予報情報の反映」と同様の操作を施すことにより、予測精度の向上を図ることができる。
また、航空便予測DB40に格納された航空便予測データと、航空便予約DB38に格納された航空便予約データに基づいて算出した実績データを比較することにより、現状の予測精度の解析及びこれに基づく予測精度の向上を図ることもできる。
【0098】
[ユーザ情報の反映]
航空便の予約可能時期の予測に関してはさらに、イベントにエントリーしているユーザの住所地を分析し、その結果を反映させることにより、さらに予測精度を高めることが可能となる。
例えば、到着空港近辺において予測対象日の翌日に開催される大型イベントの参加者が、昨年は関西居住者が比較的多かったのに対し、今年の申込者は関東居住者の比率が増加している場合、「羽田空港→那覇空港」の路線については昨年実績の予約率に所定の比率をプラスすることが望ましい。
これとは逆に、「大阪空港→那覇空港」の路線については昨年実績の予約率に所定の比率をマイナスすることが望ましい。
【0099】
具体的には、予約可能時期予測サーバ14がイベント申込DB26に格納されている各イベント情報の開催地、開始日時、終了日時、参加予定数を参照し、予測対象日及び予測対象地域(到着空港近辺)において所定規模以上のイベントが存在するか否かを確認する。
【0100】
そして、該当のイベントが存在する場合、予約可能時期予測サーバ14は、イベント申込DB26及びユーザDB28を参照し、昨年、当該イベントに申込をしていた各ユーザの住所分布を割り出す。
つぎに予約可能時期予測サーバ14は、イベント申込DB26及びユーザDB28を参照し、今年、当該イベントに申込をしている各ユーザの住所分布を割り出す。
【0101】
つぎに予約可能時期予測サーバ14は、昨年と今年との間に、ユーザの住所分布に一定の乖離が生じている場合、昨年の実績ベースで算出した予約率に対して、予め設定された値によるプラスまたはマイナスの補正を行う。
【0102】
このシステム10による予約可能時期の予測処理は、他の予約対象物についても当然に適用可能である。
例えば、将来の特定日における特定の地域に停車する列車の指定席の予約や、特定の地域に所在する飲食店のテーブルの予約などが該当する。
【0103】
上記においては、過去1年間の実績データに基づいて今後の予約可能時期を割り出す方式について説明したが、この発明はこれに限定されるものではない。
例えば、過去3年間の実績データの平均値に基づいて、今後の予約可能時期を推定することも可能である。
【0104】
すなわち、「2016年12月1日」が将来の予約対象日として提示された場合、まず予約可能性予測サーバ14は、(1) 2015年12月1日、(2) 2014年12月1日、(3) 2013年12月1日の3つを過去の予約対象日と認定し、各予約対象日に至る日毎の予約率を各年毎に算出する。
つぎに予約可能性予測サーバ14は、各年の対応する月日間(例えば2015年10月1日、2014年10月1日、2013年10月1日間)で予約率の平均値を算出する。
【0105】
つぎに予約可能性予測サーバ14は、各日毎の予約率の平均値に上記と同様の判定ルールを適用することにより、過去の予約実績データに基づく確実予約可能期限及び予約可能期限を求める。
最後に予約可能性予測サーバ14は、上記の確実予約可能期限及び予約可能期限の月日を本年(2016年)に振り替えることにより、2016年12月1日に対する確実予約可能期限及び予約可能期限と推定する。
【0106】
過去の複数の予約対象日を特定するに際し、上記した「イベント開催日が曜日絡みで決定される場合の補正」を施すことも当然に可能である。
すなわち、対象地域で毎年開催される大型イベントの開催日が「12月の第1日曜日」と規定されている状況下で、「2016年12月3日」が将来の予約対象日として提示された場合、予約可能性予測サーバ14は、(1) 2015年12月5日、(2) 2014年12月7日、(3) 2013年12月1日の3つを過去の予約対象日と認定し、各予約対象日に至る日毎の予約率を各年毎に算出する。
【0107】
つぎに予約可能性予測サーバ14は、各年の対応する月日間で予約率の平均値を算出する際に、過去の予約対象日間のズレを反映させる「調整」を行う。この結果、例えば2015年10月1日、2014年10月3日、2013年9月27日間で、それぞれの予約率の平均値が算出される。
【0108】
また、各年の対応する月日間で予約率の平均値を算出する際に、単純にそれぞれの予約率を加算して年数で除する代わりに、各年の予約率に所定の重み付けを適用する「調整」を施すこともできる。
すなわち、各年の「宿泊施設の客室数の増減」や、「競合イベントの開催状況」、「宿泊を要するイベント参加者数の増減(各イベント申込者の住所から推論)」、「気候条件(暖冬/寒冬等)」等によってその年の予約状況に変動が生じる可能性があるため、これらの条件を反映させた年毎の重み付け値をイベントや地域、予約カテゴリ等に関連付けて予め予約可能性予測サーバ14に設定しておく。
【0109】
例えば、以下の重み付けが設定されていた場合、2015年10月1日、2014年10月3日、2013年9月27日の間で平均値を算出する際には、以下のような調整済予約率が求められ、これらの間での平均値が算出される。
(1)[重み付け値]
2015年NAHAマラソン関連・・・0.9
2014年NAHAマラソン関連・・・0.7
2013年NAHAマラソン関連・・・1.0
(2)[実際の予約率]
2015年10月1日・・・50%
2014年10月3日・・・45%
2013年9月27日・・・60%
(3)[調整済予約率]
2015年10月1日・・・50×0.9=45%
2014年10月3日・・・45%×0.7≒32%
2013年9月27日・・・60%×1.0=60%
【0110】
上記の重み付け値は、予め人間の手によってシステム内に設定しておく他に、予約可能性予測サーバ14が、所定のルールに従い、所定のデータを参照することにより、自動的に算出するように構成することも当然に可能である。
【0111】
上記においては、ユーザからの明示的な予測リクエストを受け付けた後、予約可能性予測サーバ14が特定の予約対象日に関する確実予約可能期限及び予約可能期限を予測する例を示したが、この発明はこれに限定されるものではない。
例えば、イベント申込DB26に将来の予約対象日を暗示する新規のイベント申込データが登録(入力)される都度、当該ユーザが当該イベントに参加するのに必要な宿泊施設や航空便の予約可能時期を予約可能性予測サーバ14が自動的に算出し、WEBページ(マイページ)や電子メールを介してユーザに告知(出力)する仕組みを備えるように構成することもできる。
因みに、宿泊施設や航空便の予約の必要性は、ユーザDB28に登録されたユーザの住所地によって判断される。