特許第6853530号(P6853530)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6853530無人航空機の現在位置検知システム、無人航空機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853530
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】無人航空機の現在位置検知システム、無人航空機
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/16 20060101AFI20210322BHJP
   G01S 3/782 20060101ALI20210322BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20210322BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20210322BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20210322BHJP
   G01S 19/21 20100101ALI20210322BHJP
   G05D 1/10 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   G01S5/16
   G01S3/782 Z
   B64C39/02
   B64C27/08
   B64C13/18 Z
   G01S19/21
   G05D1/10
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-251270(P2016-251270)
(22)【出願日】2016年12月26日
(65)【公開番号】特開2018-105691(P2018-105691A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年10月24日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、革新的研究開発推進プログラムに係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】301022471
【氏名又は名称】国立研究開発法人情報通信研究機構
(73)【特許権者】
【識別番号】715001390
【氏名又は名称】株式会社プロドローン
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】藤原 幹生
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 雅英
(72)【発明者】
【氏名】西澤 亮二
(72)【発明者】
【氏名】市原 和雄
【審査官】 渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−109698(JP,A)
【文献】 特開2012−140101(JP,A)
【文献】 特開2015−014475(JP,A)
【文献】 特開2007−132744(JP,A)
【文献】 特開2002−207073(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/054736(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0032034(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/00 − 1/70
3/00 − 3/789
5/00 − 5/16
19/00 − 19/55
B64B 1/00 − 1/70
B64C 1/00 − 99/00
B64D 1/00 − 47/08
B64F 1/00 − 5/60
B64G 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地点から到着地点まで飛行する無人航空機の現在位置を検知するための無人航空機の現在位置検知システムにおいて、
少なくとも自らの位置情報を含めた光信号を発信する2つ以上の地上発信源と、
前記各地上発信源から発信された光信号をそれぞれ受信することにより前記各地上発信源の位置情報をそれぞれ取得する受信手段と、前記光信号の各入射方向をそれぞれ識別する入射方向識別手段と、前記受信手段により取得した各位置情報と、前記入射方向識別手段により識別された各入射方向とに基づき、前記地上発信源に対する現在位置を算出する算出手段とを有する無人航空機とを備え
前記無人航空機は、衛星から受信したGNSS(Global Navigation Satellite System)信号に基づいて現在位置を識別するGNSS識別手段と、
前記GNSS識別手段により識別された現在位置と、前記算出手段により算出された現在位置とを比較した結果に基づいて詐称信号の有無を判別する詐称信号判別手段とを有すること
を特徴とする無人航空機の現在位置検知システム。
【請求項2】
前記無人航空機は、予め地図情報を取得すると共に、前記詐称信号判別手段により詐称信号の存在を判別した場合には、前記算出手段により算出された現在位置と前記地図情報とに基づいて、飛行経路の修正を行うこと
を特徴とする請求項記載の無人航空機の現在位置検知システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の無人航空機現在位置検知システムに適用され、前記受信手段と、前記入射方向識別手段と、前記算出手段とを有することを特徴とする無人航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発地点から到着地点まで飛行する無人航空機の現時点の方向や現在位置を検知するための無人航空機の現在位置検知システムに関し、特に詐称信号による位置情報の改ざんを効果的に防止することで安全な運行を実現する上で好適な無人航空機の現在位置検知システム、及びこれに適用される無人航空機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、小型でかつ無人飛行が可能なドローン(マルチコプター)や無人ヘリコプター等からなる無人航空機が普及しつつある。この無人航空機は、測量、災害救助、自然環境の研究、スポーツの中継、農薬散布等を始め、各種産業において活用されている。この無人航空機の技術が今後とも進展するにつれて、更にその使用用途の拡大が期待される。
【0003】
特にこの無人航空機は、航行距離や飛行高度の幅が広く、しかも空中においてほぼ定位置に停留し続けることも可能であることから機動性の面においても優れた特質を備える。このため、近年において重要インフラの監視や物流にも適用されることが期待されている。特に過疎地や離島等のような人口減少地域における物流の無人化は、我が国にとって喫緊の課題となっており、無人航空機により物資を安全に搬送するための技術が切望されている。
【0004】
特に無人航空機は、自らの位置情報を例えば全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)を含む全地球航法衛星システム(GNSS)に基づいて把握した上で航行することを前提としている。ところが、このGNSS信号は、暗号化されていないか、あるいは容易に乗っ取り可能な程度の暗号化しかされていない場合が多い。このため、このGNSS信号に対して強い電波からなる詐称信号を照射することで偽の位置情報に詐称されてしまった場合、無人航空機が自らの位置を正確に把握することができなくなり、本来予定しない方向に向けて誘導され、最悪の場合には墜落し、または第三者に回収されてしまう虞がある。このため、GNSS信号に対して詐称信号が仮に照射されて妨害を受けた場合においても、これに影響を受けることなく無人航空機自体が自らの位置を正確に把握することで、墜落や第三者による回収を防止することが可能な技術が特に近年において望まれていた。
【0005】
特許文献1、2には、記憶装置に記憶された記憶画像と、新たに撮像した撮像画像との間のマッチング誤差に基づいて無人航空機の飛行経路を調整する技術が開示されている。
【0006】
しかしながら、これら特許文献1、2の開示技術には、GNSS信号に対して強い電波からなる詐称信号を照射された場合に、これに影響を受けることなく無人航空機自体が自らの位置を正確に把握するための技術について特段開示されていない。特にGNSS信号以外の信号を受信して自らの位置を把握する場合に、その受信信号自体のセキュリティ性を強化することで無人航空機の航行の安全性をより高める必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−146197号公報
【特許文献2】特開2014−63294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、出発地点から到着地点まで飛行する無人航空機の現時点の方向や現在位置を検知するための無人航空機の現在位置検知システムにおいて、特にGNSS信号に対して詐称信号が仮に照射されて妨害を受けた場合においても、これに影響を受けることなく無人航空機自体が自らの位置をより正確に把握することで、墜落や第三者による回収を強固に防止することが可能な無人航空機の現在位置検知システム、無人航空機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明に係る無人航空機の現在位置検知システムは、出発地点から到着地点まで飛行する無人航空機の現在位置を検知するための無人航空機の現在位置検知システムにおいて、少なくとも自らの位置情報を含めた光信号を発信する2つ以上の地上発信源と、前記各地上発信源から発信された光信号をそれぞれ受信することにより前記各地上発信源の位置情報をそれぞれ取得する受信手段と、前記光信号の各入射方向をそれぞれ識別する入射方向識別手段と、前記受信手段により取得した各位置情報と、前記入射方向識別手段により識別された各入射方向とに基づき、前記地上発信源に対する現在位置を算出する算出手段とを有する無人航空機とを備え、前記無人航空機は、衛星から受信したGNSS(Global Navigation Satellite System)信号に基づいて現在位置を識別するGNSS識別手段と、前記GNSS識別手段により識別された現在位置と、前記算出手段により算出された現在位置とを比較した結果に基づいて詐称信号の有無を判別する詐称信号判別手段とを有することを特徴とする。
【0012】
発明に係る無人航空機の現在位置検知システムは、第発明において、前記無人航空機が、予め地図情報を取得すると共に、前記詐称信号判別手段により詐称信号の存在を判別した場合には、前記算出手段により算出された現在位置及び前記地図情報とに基づいて、飛行経路の修正を行うことを特徴とする。
【0014】
発明に係る無人航空機は、第1発明又は第2発明に係る現在位置検知システムに適用され、前記復号手段と、前記入射方向識別手段と、前記算出手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上述した構成からなる本発明によれば、無人航空機の航行の過程で仮に妨害源による詐称信号が発せられ、これによりGNSS信号に悪影響が及んだ場合においても、地上発信源からの光信号に基づき現在位置を正確に把握することができる。即ち、地上発信源からの現在位置の把握方法は、衛星から送信されるGNSS信号に基づく現在位置を把握することと全く独立していることから、無人航空機は、詐称信号に特段影響を受けることなく、正確な位置情報を常時把握することができる。その結果、特にGNSS信号に対して詐称信号が仮に照射されて妨害を受けた場合においても、これに影響を受けることなく無人航空機自体が自らの位置をより正確に把握することができ、墜落や第三者による回収を強固に防止することが可能となる。しかも、地上発信源から発信される光信号については、予め無人航空機との間で共通の暗号鍵により暗号化されているため、妨害源からの妨害電波が仮に存在していた場合においても、これに影響されることなく自らの現在位置を正確に把握することが可能となる。このため、無人航空機の航行の安全性をより向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明を適用した無人航空機の現在位置検知システムの全体構成を示す図である。
図2】無人航空機のシステム構成を示す図である。
図3】本発明を適用した無人航空機の現在位置検知システムの動作方法について説明するための図である。
図4】地上発信源から発信される光信号のフレーム構造を示す図である。
図5】無人航空機の現在位置の算出方法の詳細について説明するための図である。
図6】一の地上発信源から光信号が無人航空機に対して送信される例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を適用した無人航空機の現在位置検知システムを実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0018】
図1は、本発明を適用した無人航空機の現在位置検知システム1の全体構成を示している。現在位置検知システム1は、衛星2と、衛星2よりも低高度を飛行する無人航空機3と、地上に設置された複数の地上発信源4とを備えている。この現在位置検知システム1は、出発地点Aから到着地点Bまで飛行する無人航空機3の現時点の位置を検知する。
【0019】
衛星2は、地上高度約36,000kmの地球自転周期と一致する軌道周期をもつ地球周回軌道としての対地同期起動を約24時間で周回する、あるいは地上高度20,000kmの準同期起動を約12時間で周回する人工衛星である。この衛星2は、いかなる用途に基づいて打ち上げられたものであってもよい。衛星2は、無人航空機3に対して、GNSS信号を送信する。ちなみにこの衛星2から発信されるGNSS)信号は、従来と同様に特段暗号化されるものではない。
【0020】
無人航空機3は、いわゆる小型でかつ無人飛行が可能な航空機であり、代表的なものとしてはドローン(マルチコプター)であるが、これに限定されるものでは無く、無人ヘリコプター等で具現化されるものであってもよい。この無人航空機3は、基本的に出発地点Aから到着地点Bまである目的の下で飛行することを前提としたものである。また、この無人航空機3の出発地点Aから到着地点Bまでの飛行目的はいかなるものであってもよく、例えば重要インフラの監視や物流等に適用されるものであってもよい。
【0021】
図2は、無人航空機3を制御するための制御ユニット45のブロック構成を示している。制御ユニット45は、接続されたバッテリー44から電力が供給され、フライトコントローラ50を中心とし、これに対してそれぞれ接続されている符号化復号部52、無線通信部51、電動ジンバル72、カメラ53、ESC(Electronic Speed Controller)54とを備えている。カメラ53とフライトコントローラ50との間には暗号復号部58が設けられている。無線通信部51及びカメラ53には、信号入射方向検知部59が接続されている。
【0022】
次に制御ユニット15の詳細な構成について説明をする。
【0023】
無人航空機3は、複数個のローターを回転させることにより浮力を得ることができる。このローターは、ローター用モーター42の回転に基づき回転させることが可能となる。ローター用モーター42は、バッテリー44から供給されてくる電力に基づいて回転動作可能とされている。ローター用モーター42を回転させることによりローターを回転させることができ、無人航空機3を即座に垂直方向に向けて上昇させ又は下降させることができ、或いはその場で静止させることも可能となる。また、無人航空機3を前後左右に移動させる場合は、進行方向のローター用モーター42の回転数を下げ、進行方向とは反対側のローター用モーター42の回転数を上げる。これにより、無人航空機3は進行方向に対して前かがみの姿勢となり、進行方向に移動することが可能となる。また、ローター用モーター42の回転方向による出力の調整を行うことで、無人航空機3自体を回転させることも可能となる。これらローター用モーター42の回転数の制御は、制御ユニット45におけるフライトコントローラ50による制御の下でESC54を介して行われる。
【0024】
無線通信部51は、地上発信源4との間で無線通信や光通信を行う上で必要な周波数変換やその他各種変換処理を行い、電気信号を電波に変換し、或いは電波を電気信号に変換するアンテナも含まれる。また無線通信部51は、赤外光、近赤外光、レーザ光、又はあらゆる波長の光信号を電気信号に変換し、或いは電気信号を光信号に変換する変換器も含まれる。この無線通信部51は、外部から送信されてきた電波や光信号に重畳されてきた信号を電気信号に変換した上で符号化復号部52へ出力する。またこの無線通信部51は、符号化復号部52から送信されてきた信号を電波や光信号に重畳させて外部へと発信する。
【0025】
符号化復号部52は、無線通信部51から送信されてくる信号を復号した上で、これをフライトコントローラ50へ送信する。また符号化復号部52は、フライトコントローラ50から送られてきた乱数列に対して誤り訂正や盗聴者への漏洩を防ぐための適切な符号化、暗号化処理を施し、これを無線通信部51へ送信する。
【0026】
フライトコントローラ50は、制御部57と、この制御部57に接続されている飛行制御センサ群55及びGNSS受信部56とを備えている。
【0027】
制御部57は、全ての構成要素を制御するためのいわゆる中央演算ユニットである。この制御部57は、図示しないメモリに記憶されているプログラムを読み出して各種動作を行うための命令を各構成要素に対して通知する。例えばメモリに記憶されているプログラムが無人航空機40における暗号化処理方法や飛行方法に関するものであれば、これに基づいて暗号化処理を行う、或いは飛行するための各種命令を静止して各構成要素に送信する。またこの図示しないメモリには、実際に航行を予定している地域の地図情報等を予め記憶させるようにしてもよい。
【0028】
飛行制御センサ群55は、少なくとも加速度センサ、角速度センサ、気圧センサ(高度センサ)、地磁気センサ(方位センサ)に加え、飛行高度を検出するための高度計、風速や風向を検出するための風向風速計、機体の傾斜角度や傾斜方向を検出するための加速度センサ、ジャイロセンサ等を始めとした各種センサで構成されている。飛行制御センサ群55は、検知した各データを制御部57へ送信する。
【0029】
GNSS受信部56は、衛星2から送られてくるGNSS信号に基づいて無人航空機40の飛行時における現時点の位置情報をリアルタイムに取得する。GNSS受信部56は、取得した位置情報を制御部57へ送信する。
【0030】
なお上述した構成要素のうち、フライトコントローラ50、ESC54等は何れもバッテリー44に接続されており、電力が供給される。
【0031】
電動ジンバル72は、カメラ53が載置される回転台である。この電動ジンバル72は、制御部57による制御の下で回転自在に構成されている。この電動ジンバル72を回転させることによりカメラ53の撮影方向を変化させることができる。電動ジンバル72は、無人航空機3からの揺動がカメラ53に伝達しないようにするための振動吸収機構が設けられていてもよい。
【0032】
カメラ53は、電動ジンバル72の回転に基づいて定められた撮影方向の被写体を撮像する。カメラ53の撮像タイミングは、制御部57により制御されることとなる。カメラ53は撮影した画像は暗号復号部58を介して制御部57へ送信される。この制御部57へ送信された画像は、当該制御部57による制御の下でメモリに記憶される他、必要に応じて無線通信部51を介して公衆通信網へと送信される場合もある。 本発明を適用した現在位置検知システム1において、この無人航空機3におけるカメラ53は、主として各地上発信源4から発信される可視光からなる信号を撮像する。カメラ53は、例えば広角の撮像装置により具現化されていてもよい。これにより、地上発信源4a、4bの双方から発信される可視光領域の信号を同時に撮像することも可能となる。
【0033】
機体の移動が機体の傾斜により実現される一般的なマルチコプター等においては、カメラ映像の傾きやずれを補正するために傾きを補正するための電動ジンバル72が搭載される場合が多い。電動ジンバル72は機体が傾いてもカメラの撮影範囲が不変となるような可動部を持つ装置であるが、このような電動ジンバル72を用いる場合に地上発信源4の方向(情報の入射方向)が正しく検知できない場合がある。かかる場合には、電動ジンバル72が機体に対して回転している絶対量と、傾き補正量を用いることで、入射方向を正しく検知することが可能となる。
【0034】
暗号復号部58は、カメラ53により撮像された可視光からなる光信号(画像)が暗号化されていた場合に、これを復号するための処理を行う。
【0035】
信号入射方向検知部59は、地上発信源4から送信され、無線通信部51により受信する光信号の入射方向を検知するためのデバイスであり、例えばジャイロ等で構成されている。この信号入射方向検知部59は、カメラ53により撮像された可視光の入射方向を検知するためのデバイスとして構成されていてもよい。かかる場合には、各地上発信源4からの可視光の撮影方向等を検知するための撮影角度測定部として構成されていてもよい。信号入射方向検知部59は、この検知した光信号の入射方向を制御部57に通知する。実際にカメラ53に入射した可視光の方向を検知する上では、カメラ53自体に信号入射方向検知部59の機能を実装してもよい。即ち、カメラ53を広角カメラとして、地上発信源4a、4bから発信されるそれぞれの可視光の光信号を撮像し、画像処理技術を利用してその入射角度を判別するようにしてもよい。
【0036】
地上発信源4は、可視光や赤外光等の光信号を発信する信号発信源である。当該地上発信源4は、可視光に基づく信号を発信するものであれば、光灯台等により構成されていてもよい。この光灯台からは、LD(Laser Diode)やLED(Light Emitting Diode)等から可視領域の波長の光が発信されることとなる。また赤外光等他の波長の光に基づく信号を発信するものであれば、赤外光源等で構成されていてもよい。当該地上発信源4は、このような光信号を発信する上で、これに暗号化処理を施すようにしてもよい。当該地上発信源4の設置位置は、以下の例において互いに間隔が既知である出発地点A、到着地点Bの2箇所とされている場合を例に取り説明をする。即ち、出発地点Aに設置されている地上発信源4aと、到着地点Bに設置されている地上発信源4bの2箇所とされている場合を例に取り説明をするが、これに限定されるものではない。当該地上発信源4は、出発地点A、到着地点B以外であって、かつ発信した光信号が無人航空機3に到達しえる箇所であれば、いかなる箇所に設置されていてもよい。
【0037】
なお、この発信する光信号に対して施される暗号化方法は、従来のいかなる方法に基づくようにしてもよい。例えば、時刻92、地上発信源ID93、位置情報94等をまとめてワンタイムパッド暗号化するようにしてもよい。
【0038】
次に、上述した構成からなる現在位置検知システム1の動作について説明をする。
【0039】
先ず無人航空機3は、図3のステップS11に示すように、出発地点Aにおいて起動し、例えば荷物等を搭載させた後、到着地点Bに向けて離陸する。このとき無人航空機3は、地上発信源4a、4bとの間で予め共通の暗号鍵を共有しておく。無人航空機3は、この暗号鍵を暗号復号部58や符号化復号部52等において記憶させておくことによりこれを保持する。
【0040】
次にステップS12に移行し、出発地点Aを離陸した無人航空機3は、基本的には受信したGNSS信号に基づいて自らの位置を把握する。即ち、制御部57は、GNSS受信部56を介して受信したGNSS信号に基づいて現時点における位置情報をリアルタイムに取得する。そして制御部57は、この取得した現時点における位置情報と、予め設定してある出発地点Aから到着地点Bに向けた航行路とを参照し、ロータ用モータ42を制御することで飛行方向の調整を図る。以上の処理動作は、通常の無人航空機3において行われる飛行方向の制御と同様である。
【0041】
前記に加えて本発明においては、前記地上発信源4a、4bから可視光や赤外光等の光信号が随時発信され、無人航空機3は、この光信号を随時受信する。当該地上発信源4a、4bからの光信号は、無人航空機3との間で共通化した暗号により暗号化された状態で発信されることとなる。仮に地上発信源4a、4bから送信される光信号が赤外波長等である場合において、無人航空機3は、当該光信号を、無線通信部51を介して受信する。また地上発信源4a、4bから送信される光信号が可視光域である場合において、無人航空機3は、当該光信号を、カメラ53を介して撮像することにより受信する。
【0042】
前記地上発信源4a、4bから発信される光信号は、例えば図4に示すようなフレーム構造により構成されていてもよい。当該フレーム構造は、先頭から鍵ID91、時刻92、地上発信源ID93、位置情報94、MAC(Message Authentication Code)フレーム95が順次続く構成とされていてもよい。鍵ID91は、暗号化される鍵に基づくIDであり、時刻92は、発信時の時刻に関する情報が記述されている。また地上発信源ID93には、地上発信源4毎に割り当てられたIDが記述されている。また位置情報94は、地上発信源4毎の位置情報等が記述されている。
【0043】
このようなフレーム構造が上述した共通の暗号鍵により暗号化されている。赤外波長等からなる光信号を無線通信部51を介して受信した場合には、当該光信号を符号化復号部52において復号する。また可視光域の光信号をカメラ53を介して受信した場合には、これを暗号復号部58において復号することとなる。符号化復号部52、暗号復号部58ともに地上発信源4と共通の暗号鍵を予め保有している。具体的には、データフレームにおける鍵ID91とIDが合致する暗号鍵を保有している。そもそもデータフレームの鍵IDは、共通の暗号鍵を介して地上発信源4側に暗号化されたものであるから、符号化復号部52、暗号復号部58ともに当該共通の暗号鍵を介して復号することが可能となる。複合化したデータフレームは、制御部57に送られる。
【0044】
なお、本発明においては光信号を暗号化して送ることは必須ではなく、地上発信源4は、暗号化することなく光信号を無人航空機3に対して送信するようにしてもよい。かかる場合において、無人航空機3は、暗号を復号するための手段の実装を省略することが可能となる。
【0045】
制御部57は、復号されたデータフレームから地上発信源ID93を得ることができ、しかも位置情報94から、地上発信源4a、4bの位置情報を取得することもできる。
【0046】
この地上発信源ID93と、地上発信源4a、4bの位置情報とをSHA−2等のハッシュ関数もしくはWegman-Carter方式のような予め共有しておいた乱数(暗号鍵)でハッシュしてMAC値を取る。そして、制御部57は、光信号から取得したこのMAC値と、離陸前に各地上発信源4a、4bから取得したMAC値とを比較し、互いに一致している旨を判定した場合には、真正の地上発信源4a、4bとして認証する。制御部57は、真正の地上発信源4a、4bである旨を認証した場合、地上発信源4a、4bに対してその認証を行った旨の認証信号を返信する。この認証信号の返信は、制御部57による制御の下で例えば無線通信部51等を介して行うようにしてもよい。一方、光信号から取得したこのMAC値と、離陸前に各地上発信源4a、4bから取得したMAC値とが互いに相違するものであれば、制御部57は、無人航空機3の航行を妨害するための詐称信号を受信した可能性があることを判別することとなる。
【0047】
また制御部57は、真正の地上発信源4a、4bからの受信を認証した場合、受信した光信号に含まれる地上発信源4a、4bの位置情報に基づき、無人航空機3自らの現在位置を算出する。
【0048】
この無人航空機3の現在位置の算出方法は、例えば図5に示すように、地上発信源4a、4bの位置は、当該地上発信源4a、4bそれぞれから送られてきた光信号に含まれる当該地上発信源4a、4bの位置情報に基づいて特定される。その結果、当該地上発信源4a、4b間の距離Lも、当該地上発信源4a、4bのそれぞれの位置情報から求めることが可能となる。
【0049】
次に、信号入射方向検知部59により検知される光信号の入射角度から、図5中の角度θ1、θ2を算出する。その結果、距離Lと、θ1、θ2が特定され、これらの数値を計算することにより無人航空機3の位置も特定されることとなる。前記地上発信源4a、4bの位置は既知であることから、通常の三角測量と同一の原理で、この無人航空機3の現在位置を緯度、経度からなる座標系上において特定することが可能となる。このとき、飛行制御センサ群55から取得した高度や、速度、加速度等も情報も、この無人航空機3の現在位置を決定する上で参照するようにしてもよい。また時刻92から抽出した現在時刻に関する情報も、実際に現在位置を算出結果の補正に利用するようにしてもよい。その結果、無人航空機3は、GNSS信号を一切利用することなく、前記地上発信源4a、4bからの光信号のみを利用して自身の現在位置を把握することが可能となる。
【0050】
このとき、制御部57は、前記地上発信源4a、4bからの光信号のみに基づいて算出した現在位置と、前記衛星2から送信されるGNSS信号に基づいて把握した現在位置とを比較するようにしてもよい。この光信号に基づく現在位置と、GNSS信号に基づく現在位置とが互いに一致している場合には、当該GNSS信号が詐称信号により妨害されていない旨を判別する。
【0051】
一方、前記地上発信源4a、4bからの光信号に基づく現在位置と、前記GNSS信号に基づく現在位置とが互いに不一致の場合には、当該GNSS信号が詐称信号により妨害されていることを判別する。かかる場合には、無人航空機3は、このような詐称信号を発信している妨害源が存在することを、無線通信部51を介して外部に送信して無人航空機管理者等に対して注意喚起し、或いは制御部57内のメモリにその妨害源の存在を記憶しておくこと等は必要に応じて随時行われることとなる。ただし、最優先に行われるべき処理動作は、現在航行している無人航空機3の安全性を確保することである。このため、当該光信号に基づく現在位置と、当該GNSS信号に基づく現在位置とが互いに不一致の場合には、その後の航行において、当該光信号に基づく現在位置のみ参照して自らの飛行航路の修正等を行うものとし、当該GNSS信号に基づいて取得した現在位置は一切考慮しないものとする。かかる場合において、制御部57は、当該光信号に基づいて算出した現在位置と、予め取得した地図情報とを参照し、目的地点Bに向けて飛行航路を決定し、当該飛行航路に基づいて現在位置からの飛行方向の修正を図ることとなる。当該詐称信号の発信を判別した場合には、最低限墜落を防止するための航行モードに移行し、光信号に基づいて算出した現在位置と、予め取得した地図情報とを参照し、民家の少ない領域にとりあえず移動するようにしてもよい。
【0052】
最終的には、図3のステップS13に示すように無人航空機3は、目的地点Bに到着することとなる。
【0053】
即ち、本発明を適用した現在位置検知システム1によれば、無人航空機3の航行の過程で仮に妨害源による詐称信号は発せられ、これによりGNSS信号による現在位置把握に悪影響が及んだ場合においても、地上発信源4からの光信号に基づき現在位置を正確に把握することができる。即ち、地上発信源4からの現在位置の把握方法は、当該GNSS信号に基づく現在位置を把握することと全く独立していることから、無人航空機3は、当該詐称信号に特段影響を受けることなく、正確な位置情報を常時把握することができる。その結果、仮に当該詐称信号照射による妨害を受けた場合においても、無人航空機3自体は当該妨害の影響を受けることなく自らの位置をより正確に把握することができ、墜落や第三者による回収を強固に防止することが可能となる。しかも、地上発信源4から発信される光信号については、予め無人航空機3との間で共通の暗号鍵により暗号化されているため、仮に妨害源からの妨害電波が存在する場合においても、無人航空機3自体は当該妨害電波に影響されることなく自らの現在位置を正確に把握することが可能となる。このため、無人航空機3の航行の安全性をより向上させることが可能となる。
【0054】
また、本発明によれば、カメラ53により可視光を撮像するのみで位置情報を確認することができ、無人航空機3そのものを非常に安価な構成で実現することができる利点もある。
【0055】
また、詐称信号が検知されなかった旨を判別した場合、無人航空機3は、しばらくの間は通常と同様に衛星2から発信されるGNSS信号のみに基づいて自らの現在位置を把握するようにしてもよい。地上発信源4からの光信号に基づいて自らの現在位置を把握する方法では、計算負荷が大きく、その分において電力を消費してしまうことになるが、当該GNSS信号のみで現在位置を把握することでその消費電力の軽減を図ることができるためである。
【0056】
なお、本発明においては、地上発信源4からの光信号をカメラ53の画面略中央に位置させることにより、光学的に最も検知精度が高い撮像エリアで情報を処理する方法とすることができる。特に地上発信源4からの光信号の受信スポットサイズが小さい場合や、地上発信源4から無人航空機3までの距離が長い場合に検出データの検知信頼性を向上させることができる。
【0057】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。2つ以上の地上発信源4a、4bからの光信号に基づいて無人航空機3の現在位置を把握する場合に限定されるものではなく、図6に示すように1つの地上発信源4cから光信号が無人航空機3に対して送信される場合も含まれる。この図6に示す形態においても処理動作そのものは同様である。この地上発信源4cの設置位置も出発地点A、到着地点B又はそれ以外の地点の何れに設置されていてもよい。
【0058】
ただし、1つの地上発信源4cから受信した光信号のみでは、地上発信源4cに対する無人航空機3の方位(角度)のみしか判別することができず、現在位置までは正確に把握することができない。このため、図6に示す形態では、あくまで地上発信源4cに対する無人航空機3の方位(角度)の判別に特化したものとなる。しかし、仮に詐称信号によってGNSS信号からの位置情報の信頼性が保持できなくなった場合においても、この判別した地上発信源4cの方位(角度)の情報に基づき、飛行方向を修正することができ、ひいては地上発信源4cの設置位置まで案内することができる。この地上発信源4cを到着地点Bに設置しておくことで、この地上発信源4c、ひいては到着地点Bに向けて無人航空機3を案内することも可能となる。
【0059】
このとき、本発明によれば、更に無人航空機3の傾きを飛行制御センサ群55から取得するようにしてもよい。無人航空機3の傾きを検知することができれば、これに応じてカメラ53の受信面がどの程度傾斜しているかも識別することができる。信号入射方向検知部59は、無人航空機3の傾き、又はカメラの受信面の傾きを考慮した上で、光信号の入射方向を算出するようにしてもよい。このようにして得られた光信号の入射方向と、地上発信源4の位置情報に基づいて、上述と同様に無人航空機の空間方向を算出する。このとき、地上発信源4の位置情報は、受信した光信号から取得するようにしてもよいし、予め取得したものであってもよい。
【0060】
このとき、信号入射方向検知部59は、無人航空機3の傾き、並びにカメラ53の受信面の傾きの双方を検出し、これら双方に基づいて光信号の入射方向を算出するようにしてもよい。仮に電動ジンバル72が二軸ジンバルである場合には、機体の前後左右のみの傾斜しかキャンセルできず、機体の回転方向のブレはキャンセルできない。このため、カメラ53の受信面の傾きに加え、無人航空機3自体の傾きを検知し、これらを勘案した光信号の入射方向の判別を行う。これにより、光信号の入射方向の判別精度をより向上させることが可能となる。
【0061】
なお、1つの地上発信源4cから光信号を送信する場合においても同様に、光信号を暗号化して送ることは必須ではなく、地上発信源4は、暗号化することなく光信号を無人航空機3に対して送信するようにしてもよい。かかる場合において、無人航空機3は、暗号を復号するための手段の実装を省略することが可能となる。
【符号の説明】
【0062】
1 現在位置検知システム
2 衛星
3 無人航空機
4 地上発信源
15 制御ユニット
40 無人航空機
42 ロータ用モータ
44 バッテリー
45 制御ユニット
50 フライトコントローラ
51 無線通信部
52 符号化復号部
53 カメラ
55 飛行制御センサ群
56 受信部
57 制御部
58 暗号復号部
59 信号入射方向検知部
72 電動ジンバル
92 時刻
94 位置情報
95 フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6