【文献】
望月久、他,重心動揺計を用いた姿勢安定度評価指標の信頼性および妥当性,理学療法学,2000年 9月30日,第27巻第6号,第199頁−第203頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記指標値算出部は、前記被検者について得られた前記2つ以上の変動量を、年齢と2つ以上の変動量との関係を示す統計データに基づいて予め定められた関数に適用して、前記被検者の立位姿勢に関する年齢を示す前記指標値を算出する、
請求項1に記載の指標値算出装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、一実施形態に係る指標値算出システムの概略図である。
本実施形態に係る指標値算出システム1は、被検者の立位姿勢の安定性を示す指標値を算出する。特に、指標値算出システム1は、立位の被検者の動きを示す2つ以上の変動量を取得し、取得した変動量に基づいて、被検者の立位姿勢の安定性を1つのスカラ量で示す指標値を算出する。ここでいう被検者は、立位姿勢の安定性評価の対象者である。ここでいう変動量は、指標値算出システム1が備えるセンサによる測定値そのものであってもよいし、測定値に基づいて計算される計算値であってもよい。
指標値算出システム1が、2つ以上の変動量に基づいて指標値を算出することで、被検者の姿勢の安定性に影響する複数の要因を反映した指標値を算出することができる。また、指標値算出システム1が、被検者の立位姿勢の安定性を1つのスカラ量で示す指標値を算出することで、被検者の姿勢の安定性を比較的分かり易く提示する情報を得られる。
【0017】
指標値算出システム1は、VLTC(Virtual Light Touch Contact)生成システム10、フォースプレート20、指標値算出装置30を備える。
VLTC生成システム10は、被検者にVLTCに係る刺激を与えるシステムである。ここでいうVLTCは、模擬的なLTC(Light Touch Contact)である。ここでいうLTCは、体の一部が物に触れた際の触覚フィードバックによって姿勢を安定させる技術である。
【0018】
以下では、VLTC生成システム10が、被検者の指先の物体への接触を模擬することでVLTCを実現させる場合を例に説明する。但し、VLTC生成システム10が刺激を与える体の部分は指先に限らず、いろいろな部分とすることができる。
また、VLTC又はLCTは、指標値算出システム1が指標値を算出するために必須ではない。一方、指標値算出システム1がVLTCを用いて得られたデータで指標値を算出することで、良好な結果が得られている。
【0019】
フォースプレート20は、床圧力(床にかかる圧力)を検出し、検出した床圧力から被検者のCOP(center of pressure:足圧中心)を算出する。これにより、フォースプレート20は、自装置に乗った被検者のCOPを検出するセンサとして機能する。COPは、重心位置を示す情報の例に該当する。なお、フォースプレート20に代えて例えば指標値算出装置30など他の装置が、床圧力から被検者のCOPを算出するようにしてもよい。
指標値算出装置30は、フォースプレート20による重心位置の測定データに基づいて、被検者の立位姿勢の安定性を示す指標値を算出する。特に、指標値算出装置30は、被検者の立位姿勢の安定性を1つのスカラ量で示す指標値を算出する。
【0020】
VLTC生成システム10は、刺激装置100、モーションキャプチャ装置200、計算装置300、増幅器400を備える。
刺激装置100は、被検者の指先に装着可能な筐体110と、筐体110に設けられた振動子120とを備える。本実施形態における振動子120は、振動することにより被検者の指先に対して刺激を与える。
刺激装置100は、接触模擬部の例に該当し、計算装置300の制御に従って指先の物体への接触を模擬する。指標値算出システム1は、この模擬を用いてVLTCを実現する。
【0021】
モーションキャプチャ装置200は、被検者を撮像した画像を解析し、筐体110の位置を算出して位置情報を計算装置300に出力する。当該位置情報は、空間上の所定の位置を原点とした3次元の絶対座標系の値である。なお、モーションキャプチャ装置200は、筐体110に付与されたマーカーを検出することで筐体110の位置を算出しても良いし、筐体110をマーカーとして認識することで筐体110の位置を算出しても良い。あるいは、モーションキャプチャ装置200が、筐体110に設けられた加速度センサ又は位置センサを備えるなど、画像解析以外の方法で筐体110の位置を検出するようにしてもよい。あるいは、モーションキャプチャ装置200が、筐体110の位置に加えて、あるいは代えて、被検者の身体位置を検出するようにしてもよい。
【0022】
また、モーションキャプチャ装置200は、フォースプレート20と共に被検者のCOM(center of mass:身体重心)の検出に用いられる。
例えば、モーションキャプチャ装置200が、被検者の重心の高さ方向の位置を検出する。一般に、立位姿勢における重心の位置は臍からやや下の位置である。被検者の重心付近と思われる位置にマーカーを付しておき、モーションキャプチャ装置200がマーカーの画像を検出して重心の高さ方向の位置を算出するようにしてもよい。あるいは、モーションキャプチャ装置200が被検者の画像に対するパターンマッチングによって、重心の位置として予め定められている位置を検出し、重心の高さ方向の位置を算出するようにしてもよい。
また、フォースプレート20が検出するCOMを、被検者の重心の水平方向(前後方向及び左右方向)の位置情報として用いることができる。
以下では、左右方向、前後方向、上下方向を、それぞれX方向、Y方向、Z方向と表記する。これらX方向、Y方向及びZ方向は、例えばフォースプレート20の向きを基準に定められる。
COMは、COPと同様、重心位置を示す情報の例に該当する。
【0023】
計算装置300は、モーションキャプチャ装置200から取得する位置情報に基づいて、被検者の体幹から筐体110までの距離ならびに筐体110の速度および加速度を算出する。計算装置300は、算出結果に基づいて刺激装置100の振動子120を振動させる信号を生成する。
増幅器400は、計算装置300が生成した信号を増幅して振動子120に出力する。
振動子120は、増幅器400が出力する信号により振動する。
【0024】
ここで、振動子120の振動強度の算出方法について説明する。
図2は、一実施形態に係る振動子の振動強度の算出方法を示す図である。
本実施形態に係るVLTC生成システム10は、
図2(A)に示すように、被検者の体幹を中心にインピーダンス特性を有する中空球状の仮想壁である仮想球が配置されていると仮定して、筐体110が当該仮想壁に侵入したときに生じる反力に相当する強度で振動子120を振動させる。これにより、VLTC生成システム10は、仮想的な壁に対するLTCを被検者に提示することができる。
【0025】
本実施形態では、
図2(B)に示すモデルに基づき、筐体110が当該仮想壁に侵入したときに生じる反力F
o(t)を、式(1)に基づいて計算する。
【0027】
ここで、dX
o(t)は、時刻tにおける被検者の体幹を中心とした仮想球の内壁から筐体110への法線ベクトルを示す。法線ベクトルは、仮想球の内壁と筐体110との間の距離と方向を示すものである。つまり、dX
o(t)の1階微分であるdX
o′(t)は、時刻tにおける筐体110の速度を示し、dX
o(t)の2階微分であるdX
o″(t)は、時刻tにおける筐体110の加速度を示す。なお、M
oは、仮想慣性を示す定数である。また、B
oは、仮想粘性を示す定数である。また、K
oは、仮想剛性を示す定数である。
【0028】
図3は、一実施形態に係るVLTC生成システムの計算装置の構成を示す概略ブロック図である。
計算装置300は、位置受信部301、体幹位置記憶部302、ベクトル算出部303、ベクトル記憶部304、速度算出部305、加速度算出部306、条件記憶部307、タイミング決定部308、タイミング通知部309、条件変更部310、強度算出部311、信号出力部312を備える。
【0029】
位置受信部301は、モーションキャプチャ装置200から筐体110の位置情報を逐次受信する。
体幹位置記憶部302は、被検者の体幹の位置情報を記憶する。例えば、体幹位置記憶部302は、被験者の体幹の位置情報として予め定められた定点の位置情報を記憶する。
ベクトル算出部303は、体幹位置記憶部302が記憶する位置情報が示す位置と位置受信部301が受信した最新の位置情報が示す位置とを用いて、式(2)に基づいて被検者の体幹を中心とした仮想球の内壁から筐体110への法線ベクトルdX
o(t)を算出し、ベクトル記憶部304に記録する。
【0031】
ここで、X(t)は、体幹位置記憶部302が記憶する位置情報が示す位置から位置受信部301が受信した最新の位置情報が示す位置へ向かうベクトルである。また、rは仮想球の内壁の半径である。
【0032】
ベクトル記憶部304は、ベクトル算出部303が算出した法線ベクトルを時系列に記憶する。
速度算出部305は、ベクトル記憶部304が記憶する最新の所定数の法線ベクトルを微分することで筐体110の速度を算出する。
加速度算出部306は、ベクトル記憶部304が記憶する最新の所定数の法線ベクトルを2階微分することで、筐体110の加速度を算出する。
【0033】
条件記憶部307は、式(1)の各定数を記憶する。
タイミング決定部308は、刺激の発生条件の切り替えタイミングを決定する。タイミング決定部308が決定する刺激の発生条件の切り替えタイミングを、単に切り替えタイミングとも称する。
具体的には、タイミング決定部308は、乱数を用いて、2つの連続する切り替えタイミング間の時間が、指標値算出装置30による指標値の算出に用いられるサンプリング時間より長くなるように所定数(例えば、3つ)の切り替えタイミングを決定する。
【0034】
タイミング通知部309は、タイミング決定部308が決定した切り替えタイミングを指標値算出装置30に通知する。
条件変更部310は、タイミング決定部308が決定した切り替えタイミングで、条件記憶部307が記憶する各定数を書き換える。具体的には、条件記憶部307が記憶する各定数が初期値である場合、条件変更部310は、各定数を0に書き換える。他方、条件記憶部307が記憶する各定数が0である場合、条件変更部310は、各定数を初期値に書き換える。つまり、本実施形態における刺激の発生条件の切り替えは、VLTCの提示の有無の切り替えである。このように、条件変更部310は切り替え部の例に該当し、刺激装置100による接触の模擬の有無を切り替える。
【0035】
強度算出部311は、ベクトル算出部303、速度算出部305および加速度算出部306の算出結果、ならびに条件記憶部307が記憶する定数を用いて、上述した式(1)に基づいて振動子120の振動強度を算出する。
信号出力部312は、強度算出部311が算出した強度を示す信号を増幅器400に出力する。
【0036】
図4は、一実施形態に係る指標値算出装置の構成を示す概略ブロック図である。
指標値算出装置30は、開始指示部31、測定データ取得部32、測定データ記録部33、測定データ記憶部34、タイミング取得部35、変動量取得部36、指標値算出部37、提示部38を備える。
開始指示部31は、VLTC生成システム10に刺激の付与の開始を指示する。
測定データ取得部32は、フォースプレート20及びモーションキャプチャ装置200から被検者の重心位置を示すCOP及びCOMを逐次取得する。
測定データ記録部33は、測定データ取得部32が取得したCOP及びCOMを測定データ記憶部34に記録する。
測定データ記憶部34は、被検者のCOP及びCOMを時系列に記憶する。
【0037】
タイミング取得部35は、VLTC生成システム10が被検者に与える刺激の発生条件の切り替えタイミングの通知をタイミング通知部309(
図3)から取得する。
変動量取得部36は、測定データ記憶部34が記憶するCOP及びCOMに基づいて2つ以上の変動量を算出する。変動量取得部36が、指標値算出システム1を用いた1回の測定時間全体のデータに基づいて変動量を算出するようにしてもよいし、1回の測定時間を切り替えタイミングで分割した時間毎に変動量を算出するようにしてもよいし、両方を算出すようにしてもよい。
【0038】
例えば、1回の測定時間を切り替えタイミングで分割した時間毎に変動量を算出する場合、変動量取得部36は、タイミング取得部35が取得した最初の切り替えタイミングの前の所定のサンプリング時間におけるCOP及びCOMを測定データ記憶部34から取得する。そして、変動量取得部36は、取得したCOP及びCOMに基づいて、最初の切り替えタイミング前の変動量を算出する。
また、変動量取得部36は、最初の切り替えタイミング後の所定のサンプリング時間におけるCOP及びCOMを取得し、取得したCOP及びCOMに基づいて、最初の切り替えタイミング後の変動量を算出する。
さらに、変動量取得部36は、2回目以降の切り替えタイミングの各々についても、初回の切り替えタイミングの場合と同様に、切り替えタイミング後の所定のサンプル時間におけるCOP及びCOMを取得する。そして、変動量取得部36は、取得したCOP及びCOMに基づいて、各切り替えタイミング後の変動量を算出する。
【0039】
このように、変動量取得部36が、測定データ記憶部が記憶しているデータのうち所定のサンプリング時間分のデータを抽出して変動量を算出するようにしてもよい。あるいは、変動量取得部36が、測定データ記憶部が記憶しているデータのうち定められた時間(指標値算出システム1を用いた1回の測定時間全体、又は、1回の測定時間を切り替えタイミングで分割した各時間)全体分のデータを用いて変動量を算出するようにしてもよい。
あるいは、変動量取得部36が、切り替えタイミングにおけるセンサ測定値を変動量として取得するなど、センサ測定値そのものを変動量として取得するようにしてもよい。
【0040】
指標値算出部37は、変動量取得部36が取得した変動量に基づいて指標値を算出する。
提示部38は、被検者に対する指示および指標値算出部37が算出した指標値を提示する。
【0041】
ここで、指標値算出部37が算出する指標値について説明する。
図5は、一実施形態に係る変動量取得部が取得する変動量の第一例を示す図である。
図5の例では、変動量取得部36が1人の被検者について取得する15個の変動量がレーダーチャートの形式で示されている。レーダーチャートの軸X1〜X15の各々には、以下の変動量が示されている。
【0042】
X1:COP総軌跡長(XY座標平面におけるCOPの軌跡の長さ)
X2:COP矩形面積(X座標に平行な辺とY座標に平行な辺とで構成され、COPの軌跡に外接する矩形の面積(X座標におけるCOPの最大値と最小値との差と、Y座標におけるCOPの最大値と最小値との差との積))
X3:COP外周面積(XY座標平面においてCOP軌跡によって囲まれる領域の面積)
X4:COP速度平均(XY座標平面におけるCOPの移動速度の平均値)
X5:COP平均動揺ベクトル長(単位時間毎の重心の動揺をベクトル表示した重心動揺ベクトルの長さの平均値)
【0043】
X6:COM総軌跡長(XYZ座標空間におけるCOMの軌跡の長さ)
X7:COM・X方向速度平均(X座標方向におけるCOMの移動速度の平均値)
X8:COM・Y方向速度平均(Y座標方向におけるCOMの移動速度の平均値)
X9:COM・Z方向速度平均(Z座標方向におけるCOMの移動速度の平均値)
【0044】
X10、X11、X12:切り替えタイミング前後3秒間の評価値(変動量取得部36が、3回の切り替えタイミングの各々について、切り替えタイミング前後3秒間のCOMを測定データ記憶部34から読み出し、予め定められている評価式に代入して評価値を算出する)
X13、X14、X15:1ヘルツ以上の周波数成分の割合(変動量取得部36が、予め定められているサンプリング時間毎にCOMを測定データ記憶部34から読み出し、1ヘルツ以上の周波数成分の割合を算出する)
【0045】
これらの変動量のいずれも、値が小さいほど立位姿勢が安定していると評価できる。
図5に示すレーダーチャートでは、変動量の各々を規格化した値が示されている。変動量取得部36は、例えば変動量毎に、被検者の変動量を測定対象者全員の変動量の平均値で除算することで規格化を行う。
【0046】
図6は、一実施形態に係る変動量取得部が取得する変動量の第二例を示す図である。
図6の例では、
図5の場合とは異なる1人の被検者について変動量取得部36が取得する15個の変動量がレーダーチャートの形式で示されている。レーダーチャートの各軸に示される変動量は、
図5の場合と同様である。変動量取得36が変動量の規格化を行う点も、
図5の場合と同様である。
【0047】
図5の例と
図6の例とを比較すると、軸X1〜X9、X13〜X15に示される変動量は、
図5の場合よりも
図6の場合のほうが大きい。一方、軸X10、X11に示される変動量は、
図5の場合と
図6の場合とでほぼ同様となっている。また、軸X12に示される変動量は、
図5の場合よりも
図6の場合のほうが小さい。
このように、同一の被検者であっても変動量によって値(規格化された値)にばらつきがある。従って、評価者が1つの変動量を参照して立位姿勢の安定性を評価する場合、参照する変動量によって評価が異なる。変動量によって値にばらつきが生じる理由の1つとして、立位姿勢の安定性には複数の要因があり、変動量毎に影響を受ける要因又は影響の度合いが異なることが考えられる。
【0048】
評価者が何れか1つの変動量を選択して立位姿勢の安定性を評価し、転倒防止トレーニングの要否を判定する場合、変動量の選択のために専門的な知識が必要であり、評価を行える者が限定されてしまう。また、評価者の技能によって選択する変動量が異なることが考えられ、評価者によって評価結果に差が生じてしまう可能性がある。
また、転倒リスクへの対応の観点から被検者自らが測定結果を把握することが好ましいが、一般的には被検者は変動量に関する専門的な知識を有しておらず、評価者など専門的な知識を有する者による説明が必要であり、専門的な知識を有する者に負担が生じる。また、専門的な知識を有する者が多忙であり説明の時間をとれない場合など、被験者が説明を受けられない場合、被験者は自らの測定結果を把握できない。
【0049】
立位姿勢の安定性評価のもう1つの方法として、評価者が
図5及び
図6のレーダーチャートを参照するなど、2つ以上の変動量に基づいて総合的な評価を行うことが考えられる。この方法でも、2つ以上の変動量に基づいて総合的な評価を行うために専門的な知識が必要であり、評価を行える者が限定されてしまう。また、評価者の技能によって評価結果に差が生じてしまう可能性がある。
被検者自らが測定結果を把握する点に関しても、一般的には被検者単独ではレーダーチャートを読むことができず、評価者など専門的な知識を有する者による説明が必要であり、専門的な知識を有する者に負担が生じる。また、専門的な知識を有する者が多忙であり説明の時間をとれない場合など、被験者が説明を受けられない場合、被験者は自らの測定結果を把握できない。
【0050】
このように、変動量に関する専門的な知識を有する者の負担の増加を抑制でき、かつ、被検者の姿勢の安定性に影響する複数の要因を総合的に評価して安定的な評価を行えることが求められるという課題が見出された。
そこで、指標値算出部37は、2つ以上の変動量を予め定められた関数に適用して、被検者の立位姿勢の安定性を1つのスカラ量で示す指標値を算出する。
例えば、指標値算出部37は、2つ以上の変動量を式(3)に代入して指標値S(I)を算出する。
【0052】
ここで、N
maxは、指標値算出部37が式(3)に代入する変動量の数を示す。l
n(n=1、2、・・・N
max)の各々は、変動量を示す。
指標値算出部37は、規格化された変動量を式(3)に代入する。変動量の規格化は、変動量の重み付けの例に該当する。規格化された変動量を式(3)に代入して指標値を算出する処理は、2つ以上の変動量の重み付け合計を算出する演算を含む予め定められた関数に基づいて指標値を算出する処理の例に該当する。
【0053】
このように、指標値算出部37が、2つ以上の変動量に基づいて指標値を算出することで、被検者の姿勢の安定性に影響する複数の要因を反映した指標値を算出できる。
また、指標値算出部37が、被検者の立位姿勢の安定性を1つのスカラ量で示す指標値を算出することで、指標値を参照する者(例えば、評価者又は被検者)は、指標値の大小によって姿勢の安定性を把握することができる。
【0054】
指標値算出部37が、立位姿勢の安定性を年齢で示す指標値を算出するようにしてもよい。以下では、立位姿勢の安定性を年齢で示す指標値を、立位年齢と称する。
図7は、一実施形態に係る変動量と実年齢との関係の例を示す図である。
図7に示すグラフの横軸は実年齢を示す。縦軸は式(3)のS(I)を示す。
ここで、200人以上の測定対象者の各々について、VTLCを用いてCOP及びCOMを測定し、S(I)を算出したところ、測定対象者の実年齢と、実年齢毎のS(I)の平均値との間に、
図7の例のように指数関数で近似されるという関係が見出された。
なお、測定では、VLTCの提示有り、提示無し、提示有り、提示無しの順に切り替えてCOP及びCOMを測定した。変動量としては、COP総軌跡長、COP矩形面積、COP外周面積、COP速度平均、COP平均動揺ベクトル長、COM総軌跡長、COM・X方向速度平均、COM・Y方向速度平均、及び、COM・Z方向速度平均の9つの変動量を算出した。
【0055】
この実年齢とS(I)の平均値との関係から、指標値算出部
37が2つ以上の変動量の重み付け合計を指数関数に適用して被検者の立位年齢を算出することで、高精度な立位年齢を算出できると期待される。
指標値算出部37は、例えば式(4)に基づいて立位年齢S
ageを算出する。
【0057】
ここで、α、βは、いずれも実数定数の係数である。例えば、上記の実測データで、最小二乗法を用いてα=2.78、β=0.035と決定したところ、近似誤差0.87という結果が得られた。
【0058】
次に、本実施形態に係る指標値算出システム1による指標値の提示方法を説明する。
図8は、一実施形態に係る指標値算出装置の動作を示すフローチャートである。
指標値算出装置30が起動すると、提示部38は、被検者に対し、開眼でフォースプレート20上に起立する指示を提示する(ステップS1)。次に、指標値算出装置30は、被検者の開眼時における指標値の算出処理を行う(ステップS2)。なお指標値の算出処理の詳細は、後述する。指標値算出装置30が開眼時における指標値を算出すると、提示部38は、被検者に対し、閉眼でフォースプレート20上に起立する指示を提示する(ステップS3)。次に、指標値算出装置30は、被検者の閉眼時における指標値の算出処理を行う(ステップS4)。指標値算出装置30が閉眼時における指標値を算出すると、提示部38は、開眼時および閉眼時の指標値を提示する(ステップS5)。
あるいは、指標値算出システム1を用いて開眼時または閉眼時のいずれか一方のみの測定を行うようにしてもよい。
【0059】
次に、指標値算出装置30による指標値の算出処理について詳述する。
図9は、一実施形態に係る指標値の算出処理の動作を示すフローチャートである。
指標値算出装置30がステップS2またはステップS4にて指標値の算出処理を開始すると、開始指示部31は、VLTC生成システム10に刺激の付与の開始を指示する(ステップS101)。
【0060】
VLTC生成システム10が刺激の付与を開始すると、指標値算出装置30は、所定の計測時間の間、以下に示すステップS102およびステップS103の処理を繰り返し実行する。すなわち、計測時間の間、測定データ取得部32は、フォースプレート20及びモーションキャプチャ装置200から被検者のCOP及びCOMを取得する(ステップS102)。測定データ記録部33は、測定データ取得部32が取得したCOP及びCOMを測定データ記憶部34に記録する(ステップS103)。
【0061】
計測時間が終了すると、タイミング取得部35は、VLTC生成システム10から切り替えタイミングの通知を取得する(ステップS104)。次に、変動量取得部36は、計測時間を切り替えタイミングで分割した各時間における所定のサンプリング時間の間の変動量を算出する(ステップS105)。
【0062】
次に、指標値算出部37は、ステップS106で得られた変動量に基づいて指標値を算出する(ステップS106)。
【0063】
次に、指標値算出装置30から刺激の付与の開始指示を受け付けたときのVLTC生成システム10の動作について説明する。
図10は、一実施形態に係るVLTC生成システムの動作を示すフローチャートである。
まず、計算装置300が指標値算出装置30から刺激の付与の開始指示を受け付けると、タイミング決定部308は、乱数を用いて、2つの連続する切り替えタイミング間の時間がサンプリング時間より長くなるように所定数の切り替えタイミングを決定する(ステップS201)。計測時間が60秒であり、サンプリング時間が5秒であり、切り替えタイミングの数が3つである場合、タイミング決定部308は、例えば、14秒目、22秒目および38秒目を切り替えタイミングに決定する。
【0064】
次に、位置受信部301は、モーションキャプチャ装置200から新たな位置情報を受信する(ステップS202)。次に、ベクトル算出部303は、体幹位置記憶部302が記憶する位置情報が示す位置から、位置受信部301が受信した位置情報が示す位置へ向かうベクトルを算出する(ステップS203)。次に、ベクトル算出部303は、上記式(2)に基づいて被検者の体幹を中心とした仮想球の内壁から筐体110へ向かう法線ベクトルを算出する(ステップS204)。
【0065】
次に、ベクトル算出部303は、算出した法線ベクトルをベクトル記憶部304に記録する(ステップS205)。次に、速度算出部305は、ベクトル記憶部304が記憶する最新の所定数の法線ベクトルについて微分フィルタを掛けることにより、筐体110の速度を示すベクトルを算出する(ステップS206)。また、加速度算出部306は、ベクトル記憶部304が記憶する最新の所定数の法線ベクトルについて微分フィルタを2回掛けることにより、筐体110の加速度を示すベクトルを算出する(ステップS207)。
【0066】
次に、強度算出部311は、ベクトル算出部303が算出した法線ベクトルの方向が、被検者の体幹から離間する方向であるか否かを判定する(ステップS208)。強度算出部311は、法線ベクトルの方向が被検者の体幹に対向する方向であると判定した場合(ステップS208:NO)、筐体110が仮想球の内壁に達していないため、振動子120の振動の強度を0とする(ステップS209)。
他方、強度算出部311は、法線ベクトルの方向が被検者の体幹から離間する方向であると判定した場合(ステップS208:YES)、式(1)に基づいて振動子120の振動の強度を算出する(ステップS210)。
【0067】
そして、信号出力部312は、強度算出部311がステップS209またはステップS210で算出した強度を示す信号を、増幅器400を介して刺激装置100に出力する(ステップS211)。これにより、刺激装置100の振動子120は、仮想球の内壁に接触したときの反力に応じた振動刺激を被検者に与えることができる。なお、条件記憶部307が記憶する各定数がいずれも0である場合、ステップS210で算出される振動の強度は0となる。つまり、条件記憶部307が記憶する各定数がいずれも0である場合、VLTC生成システム10は被検者にVLTCを提示しない。
【0068】
次に、条件変更部310は、現在時刻がタイミング決定部308が決定した切り替えタイミングに達しているか否かを判定する(ステップS212)。現在時刻が切り替えタイミングである場合(ステップS212:YES)、条件変更部310は、条件記憶部307が記憶する定数が初期値であるか否かを判定する(ステップS213)。条件記憶部307が記憶する定数が初期値である場合(ステップS213:YES)、条件変更部310は、当該定数を0に書き換える(ステップS214)。他方、条件記憶部307が記憶する定数が0である場合(ステップS213:NO)、条件変更部310は、当該定数を初期値に書き換える(ステップS215)。
【0069】
現在時刻が切り替えタイミングでない場合(ステップS212:NO)、またはステップS214もしくはステップS215で条件変更部310が定数を書き換えた場合、計算装置300は、処理の開始時刻からの経過時間が所定の計測時間に達したか否かを判定する(ステップS216)。経過時間が計測時間に達していない場合(ステップS216:NO)、計算装置300は、処理をステップS202に戻り、処理を継続する。他方、経過時間が計測時間に達した場合(ステップS216:YES)、タイミング通知部309は、タイミング決定部308が決定した切り替えタイミングを、指標値算出装置30に通知し(ステップS217)、処理を終了する。
上述した処理により、VLTC生成システム10は、切り替えタイミングごとにVLTCの提示の有無を切り替えることができる。
【0070】
以上のように、変動量取得部36は、立位の被検者の動きを示す2つ以上の変動量を取得する。指標値算出部37は、2つ以上の変動量を予め定められた関数に適用して、被検者の立位姿勢の安定性を1つのスカラ量で示す指標値を算出する。
指標値算出部37が、2つ以上の変動量に基づいて指標値を算出することで、被検者の姿勢の安定性に影響する複数の要因を反映した指標値を算出できる。また、指標値算出部37が、被検者の立位姿勢の安定性を1つのスカラ量で示す指標値を算出することで、指標値を参照する者(例えば、評価者又は被検者)は、指標値の大小によって姿勢の安定性を把握することができる。
このように、指標値算出システム1によれば、被検者の姿勢の安定性に影響する複数の要因を反映し、かつ、被検者の姿勢の安定性を比較的分かり易く提示する指標値を得られる。
【0071】
また、刺激装置100は、被検者の指先に装着され、装着された部分の物体への接触を模擬する。条件変更部310は、刺激装置100による接触の模擬の有無を切り替える。
変動量取得部36は、2つ以上の変動量のうち少なくとも1つを、刺激装置100が接触の模擬を行っている状態でのフォースプレート20及びモーションキャプチャ装置200による測定値、及び、刺激装置100が接触の模擬を行っていない状態でのフォースプレート20及びモーションキャプチャ装置200による測定値を用いて算出する。
指標値算出部37は、この変動量を用いて指標値を算出することで、VLTCの提示の有無の切り替わりの際の姿勢の安定性を反映した指標値を算出することができる。
VLTCの提示の有無が切り替わる状態は、sensory reweighting(状況に応じた平衡感覚の重み付けの調整)の過渡状態の例に該当する。sensory reweightingの過渡状態における姿勢の安定性は、状況変化への適応能力を示しており、立位姿勢の安定性に大きく影響を及ぼす重要な要因といえる。指標値算出部37が、sensory reweightingの過渡状態における姿勢の安定性を評価対象に含む指標値を算出する点で、被検者の姿勢の安定性を高精度に評価することができる。
また、VLTCの提示の有無が切り替えによって被検者がバランスを崩した状態を疑似的に作り出すことができ、安全に転倒リスクを評価することができる。
【0072】
また、指標値算出部37は、2つ以上の変動量の重み付け合計を算出する演算を含む予め定められた関数に基づいて指標値を算出する。
指標値算出部37が、重み付け平均という比較的簡単な演算を行って指標値を算出できる点で、指標値算出部37の負荷が比較的小さくて済む。
また、指標値算出部37は、変動量の重み付けによって変動量を規格化することができる。この規格化により、2つ以上の変動量を同等の重要度で指標値に反映させることができる。この点で、指標値算出部37が算出する指標値によって、被検者の姿勢の安定性を高精度に評価することができる。
【0073】
また、指標値算出部37は、被検者について得られた2つ以上の変動量を、年齢と2つ以上の変動量との関係を示す統計データに基づいて予め定められた関数に適用して、被検者の立位年齢を算出する。
指標値算出部37が被検者の立位年齢を算出することで、この立位年齢を参照する者は、被検者の実年齢を考慮した上での姿勢の安定性の優劣を容易に判定することができる。例えば評価者が、被検者の立位年齢が実年齢よりも所定年数(例えば10年)以上高い場合に転倒防止トレーニングが必要と判断するなど、被検者の実年齢を考慮した上での姿勢の安定性を、立位年齢と実年齢の比較により容易に評価することができる。
【0074】
また、指標値算出部37は、2つ以上の変動量の重み付け合計を指数関数に適用する演算を含む予め定められた関数に基づいて被検者の立位年齢を算出する。
図7を参照して説明したように、COP及びCOMの実測データにおいて、測定対象者の実年齢と、測定対象者毎に2つ以上の変動量の重み付け合計を算出して実年齢毎に平均した平均値との間に、指数関数で近似されるという関係が見出された。このことから、指標値算出部37が、2つ以上の変動量の重み付け合計を指数関数に適用して被検者の立位年齢を算出することで、高精度な立位年齢を算出できると期待される。
また、姿勢の安定性評価手法の1つである重心動揺検査では、30歳〜50歳代について大きな差を見いだせなかった。これに対し、指標値算出部37が算出する立位年齢は、実年齢が30歳〜50歳代の被検者についても、実年齢の増加に応じて増加傾向を示しており、実年齢の差を立位年齢に反映できていると評価できる。
【0075】
また、実測データにて、転倒歴のある人は転倒歴のない人よりも立位年齢が高くなる傾向、及び、体力テストの成績が比較的悪い人は、体力テストの成績が比較的良い人よりも立位年齢が高くなる傾向が見受けられた。
これらの傾向から、立位年齢が、姿勢の安定性評価の指標値として適切であることが期待される。
【0076】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、本実施形態に係る指標値算出システム1は、刺激の発生条件の切り替えとして、VLTCの提示の有無を切り替えるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る指標値算出システム1は、式(1)の定数を他の値に変更すること、仮想球の半径を変更すること、法線ベクトルの向きを逆転させることなどによって、発生条件を切り替えても良い。
【0077】
また、本実施形態に係るVLTC生成システム10は、モーションキャプチャ装置200が検出した刺激装置100の位置情報に基づいて刺激装置100と体幹との距離を検出するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るVLTC生成システム10は、被検者の体幹と刺激装置100とにそれぞれ通信機を設け、当該通信機の送受信電力比に基づいて刺激装置100と体幹との距離を検出しても良い。
【0078】
また、本実施形態に係る指標値算出システム1は、被検者にVLTCに係る刺激を与えるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る指標値算出システム1は、被検者に物理的なLTCに係る刺激を与えても良い。
なお、LTCに係る刺激を与える場合、例えば評価者が、切り替えタイミングにおいて、被検者が触れる対象物を触れることのできない位置に移動させる。
【0079】
また、他の実施形態に係る指標値算出システム1は、VLTCおよびLTC以外の方法で他の受容器への刺激の発生条件を切り替えても良い。例えば、他の実施形態に係る指標値算出システム1は、VLTC生成システム10に代えて、被検者の両側乳様突起や隆椎への電気刺激を与える装置を用いても良い。また、他の実施形態に係る指標値算出システム1は、VLTC生成システム10に代えて、被検者のアキレス腱への振動刺激を与える装置を用いても良い。
【0080】
また、他の実施形態に係る指標値算出システム1は、体性感覚以外の平衡感覚への刺激の発生条件を切り替えるものであっても良い。例えば、他の実施形態に係る指標値算出システム1は、被検者の視界の遮断の有無を切り替えることで、視覚への刺激の発生条件を切り替えても良い。また例えば、他の実施形態に係る指標値算出システム1は、被検者の三半規管への電気刺激の有無を切り替えることで、前庭感覚への刺激の発生条件を切り替えても良い。つまり、被検者の目は、視覚に関する刺激を受容する感覚器である。また、被検者の三半規管は、前庭感覚に関する刺激を受容する感覚器である。
【0081】
また、本実施形態に係る指標値算出システム1においては、VLTC生成システム10が決定した切り替えタイミングを指標値算出装置30に通知することで、タイミング取得部35が切り替えタイミングを取得するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るVLTC生成システム10が刺激の発生条件を切り替える度に発する切り替えの通知の受信時刻に基づいて、タイミング取得部35が切り替えタイミングを特定しても良い。
また他の実施形態では、タイミング取得部35が切り替えタイミングを決定し、当該切り替えタイミングをVLTC生成システム10に通知しても良い。
【0082】
また、本実施形態では、計算装置300と指標値算出装置30とを別の装置として設けるが、これに限られない。例えば他の実施形態に係る指標値算出システム1は、計算装置300および指標値算出装置30に代えて、計算装置300の機能と指標値算出装置30の機能とを両方備える1つの装置を備えても良い。
【0083】
図11は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ90は、CPU91、主記憶装置92、補助記憶装置93、インタフェース94を備える。
上述の指標値算出装置30および計算装置300は、それぞれコンピュータ90に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置93に記憶されている。CPU91は、プログラムを補助記憶装置93から読み出して主記憶装置92に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU91は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置92に確保する。
【0084】
なお、少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置93は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース94を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ90に配信される場合、配信を受けたコンピュータ90が当該プログラムを主記憶装置92に展開し、上記処理を実行しても良い。
【0085】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置93に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0086】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。