特許第6853533号(P6853533)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853533
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】防振架台及びその固定構造
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/04 20060101AFI20210322BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   F16F15/04 G
   F16B5/02 G
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-92796(P2017-92796)
(22)【出願日】2017年5月9日
(65)【公開番号】特開2018-189174(P2018-189174A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2020年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】592063401
【氏名又は名称】株式会社ナベヤ
(73)【特許権者】
【識別番号】390040844
【氏名又は名称】株式会社かわでん
(73)【特許権者】
【識別番号】517161348
【氏名又は名称】株式会社タルイシ
(74)【代理人】
【識別番号】100078190
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 三千雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115174
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 正博
(72)【発明者】
【氏名】武藤 隆則
(72)【発明者】
【氏名】馬場 美充
(72)【発明者】
【氏名】安孫子 勝行
(72)【発明者】
【氏名】▲たる▼石 義隆
【審査官】 鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−075228(JP,A)
【文献】 特開2016−176557(JP,A)
【文献】 特開2014−066272(JP,A)
【文献】 特開2016−223458(JP,A)
【文献】 特開2015−143577(JP,A)
【文献】 特開2016−048077(JP,A)
【文献】 特開2014−074488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/00− 15/06
F16B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防振対象機器が搭載される上側架台と、該上側架台の下方に配置された下側架台と、それら上側架台と下側架台との間に設置されて、それら両架台間の振動伝達を抑制乃至は阻止する防振マウントと、該防振マウントに並設されてなる形態において、該上側架台と該下側架台の相対向する水平部間に配設され、それら両架台間の過大な変位を阻止するストッパ機構とを備えた防振架台において、
該ストッパ機構が、頭部側の脚部部位が大径部とされる一方、該脚部の先端側の部位が小径部とされて、かかる小径部の外周面にねじが形成されてなる段付き構造の取付ボルトを有し、該取付ボルトの脚部の大径部が、前記上側架台の水平部に設けられた取付孔に、該取付ボルトの頭部が該上側架台の水平部の上側に位置するように且つ水平方向に移動可能に挿通されると共に、該取付ボルトの脚部の小径部に螺合された上側ナットの締付けによる該取付ボルトの大径部と小径部との間の段部への当接によって、該取付ボルトを該上側架台の水平部に対して所定のクリアランスが形成されるようにして取り付ける一方、かかる取付ボルトが、その脚部の小径部において、前記下側架台の水平部に設けられた取付孔に水平方向に移動可能に挿通され、かかる脚部の該下側架台の水平部から下方に突出する部位に対して、ナット付きワッシャが、そのナット部分において螺合されてなると共に、該ナット付きワッシャのワッシャ部分に対して、該下側架台の水平部に設けられた貫通孔に水平方向に移動可能に挿通された固定ボルトが螺合せしめられることにより、該ナット付きワッシャが該下側架台の水平部に固定される一方、前記取付ボルトの脚部の小径部に螺合された下側ナットの締付けによって、該下側架台の水平部を該下側ナットと該ナット付きワッシャとの間で挟持することにより、該取付ボルトが該下側架台の水平部に固定せしめられることにより、該取付ボルトにて、それら上側架台と下側架台とが連結されていることを特徴とする防振架台。
【請求項2】
前記取付ボルトの頭部と前記上側架台の水平部との間に、上側ワッシャと上側防振部材とを、該上側防振部材が該上側架台の水平部側に位置するように、介在せしめる一方、該上側架台の水平部と前記取付ボルトの小径部に螺合された上側ナットとの間に、下側防振部材と下側ワッシャとを、該下側防振部材が該上側架台の水平部側に位置するように、介在せしめて、前記上側ナットの締付けにより、該上側架台の水平部と該下側防振部材との間に、前記クリアランスが形成されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の防振架台。
【請求項3】
前記上側防振部材が、板状の防振体と該防振体の下側部分を収容する受け皿部材とから構成され、該受け皿部材が前記上側架台の水平部上に載置されてなる形態において、取り付けられている請求項2に記載の防振架台。
【請求項4】
請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の防振架台において、前記上側架台の水平部と前記上側ナットとの間に、板状の固定プレートが介挿されて、前記クリアランスが消滅せしめられることにより、該上側架台の水平部と前記下側架台の水平部との間が前記取付ボルトにて固定的に連結されていることを特徴とする防振架台の固定構造。
【請求項5】
前記上側架台の水平部と前記上側ナットとの間に、下側防振部材と下側ワッシャとが、該下側防振部材が該上側架台の水平部側に位置するように介在せしめられており、該下側ワッシャと該上側ナットとの間に、前記固定プレートが介挿されていることを特徴とする請求項に記載の防振架台の固定構造。
【請求項6】
前記固定プレートがU字形状の平面形態を有しており、該U字形状の対向する二つの自由端部の間の間隙内に、前記取付ボルトの脚部が入り込んだ形態において、かかる固定プレートが介挿されていることを特徴とする請求項又は請求項に記載の防振架台の固定構造。
【請求項7】
前記固定プレートが、そのU字形状の二つの自由端部の先端側部位に配設された抜止め手段を有しており、該抜止め手段によって、かかる固定プレートが前記上側架台の水平部と前記上側ナットの間から抜け出さないようになっている請求項に記載の防振架台の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振架台及びその固定構造に係り、特に、所定の機器が搭載される上側架台とこの上側架台を支持する下側架台との間に、防振マウントと共に配設される、それら両架台間の過大な変位を阻止するストッパ機構を備えた防振架台における改良されたストッパ機構と、そのような防振架台の固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、変圧器やエアコン室外機の如き振動発生機器等の防振対象機器が搭載される上側架台と、かかる上側架台の下方に配置されて、それを支持する下側架台との間に、防振マウントを配置して、それら両架台間の振動伝達を抑制乃至は阻止し得るようにした防振架台が、種々提案され(例えば、特開2005−220936号公報、特開2007−22604号公報等参照)、実用化されている。
【0003】
そして、そのような防振架台においては、上側架台と下側架台との間の過大な変位を阻止するストッパ機構が、防振マウントに並設されてなる形態において配設されるようになっており、その構造は、特開2012−26542号公報や特開2016−48077号公報等において明らかにされ、また、特開2014−66272号公報においても、先の特開2012−26542号公報に開示の防振架台に内在する問題を解消し得る防振架台の構造が、提案されているのであるが、そのような防振架台においても、各種の問題が内在しているのである。
【0004】
例えば、特開2014−66272号公報に開示の防振架台においては、ストッパ機構としての揺れ止め装置が、防振マウントであるアイソレータに対して、並列に設置されており、そこでは、アイソレータの振動絶縁を阻害しないように、上側架台と緩衝ゴムとの間に一定のクリアランスを持って、下側架台に固定されてなる構造とされ、地震等によって振動発生機器(防振対象機器)に過大な揺れが生じたときに、上側架台に当接し、その揺れ幅を規制する機能を奏するようになっている。そして、上側架台と下側架台とを連結するボルトの軸と直交する方向である水平方向の揺れ幅は、ボルト通し穴の内周とボルト脚部の外周との間に取り付けられる緩衝ゴムやアルミ金具等の設置スペースと、それぞれのクリアランスにて決定され、下側架台に固定されるボルトの位置にて調整されることとなる。また、ボルトの軸方向である鉛直方向の揺れ幅は、ナットと揺れ止め緩衝ワッシャとの間に取り付けられる上側架台、緩衝ゴム、アルミ金具等の設置スペースと、それぞれのクリアランスで決まり、ボルトの中間に設置されるナット及び揺れ止め緩衝ワッシャの位置にて調整されるようになっている。
【0005】
しかしながら、かかる提案の防振架台構造にあっては、ボルトの水平方向の位置を調整し、下側架台にボルトを固定するに際して、ボルトの頭部を工具にて固定した状態でナットを締め付ける必要があり、そのため、ボルトの位置ずれのリスクが高く、作業性も悪いという問題がある。また、上側架台側のナットと揺れ止め緩衝ワッシャの位置を調整して固定するに際しては、ナット又は揺れ止め緩衝ワッシャの何れか一方を工具で固定し、他方を締め付ける必要があるところから、位置ずれのリスクが高く、作業性も悪い等という問題も内在している。
【0006】
加えて、従来の防振架台にあっては、一般に、その上側架台上に防振対象機器を搭載したまま輸送を行うと、上側架台の長時間の揺れや衝突によって、揺れ止め装置の緩衝ゴムの破損や防振対象機器から外部に接続されたケーブルやチューブ等の付帯部品の破損が惹起されるようになるために、検査や確認のために防振架台に搭載した防振対象機器を、一旦下ろして輸送し、そして設置場所に搬送した後、そこで、再度、防振対象機器を防振架台上に搭載し、防振架台の再調整や防振対象機器の付帯部品の再設置を行うようになっており、そのため、防振対象機器の輸送や設置に多大な手間を要するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−220936号公報
【特許文献2】特開2007−22604号公報
【特許文献3】特開2012−26542号公報
【特許文献4】特開2016−48077号公報
【特許文献5】特開2014−66272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、防振架台におけるストッパ機構の改良された構造と、その固定構造を提供することにあり、また、上側架台と下側架台との間の変位を許容する所定のクリアランスを、正確に且つ容易に設定することの出来るストッパ機構を提供することにあり、更には、防振対象装置を搭載したままで輸送、設置を可能ならしめる構造を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、本発明は、上記した課題又は明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものである。また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書の記載全体並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0010】
(1) 防振対象機器が搭載される上側架台と、該上側架台の下方に配置された下側架台と、それら上側架台と下側架台との間に設置されて、それら両架台間の振動伝達を抑制乃至は阻止する防振マウントと、該防振マウントに並設されてなる形態において、該上側架台と該下側架台の相対向する水平部間に配設され、それら両架台間の過大な変位を阻止するストッパ機構とを備えた防振架台において、該ストッパ機構が、頭部側の脚部部位が大径部とされる一方、該脚部の先端側の部位が小径部とされて、かかる小径部の外周面にねじが形成されてなる段付き構造の取付ボルトを有し、該取付ボルトの脚部の大径部が、前記上側架台の水平部に設けられた取付孔に、該取付ボルトの頭部が該上側架台の水平部の上側に位置するように且つ水平方向に移動可能に挿通されると共に、該取付ボルトの脚部の小径部に螺合された上側ナットの締付けによる該取付ボルトの大径部と小径部との間の段部への当接によって、該取付ボルトを該上側架台の水平部に対して所定のクリアランスが形成されるようにして取り付ける一方、かかる取付ボルトが、その脚部の前記小径部において、前記下側架台の水平部に固定せしめられることにより、該取付ボルトにて、それら上側架台と下側架台とが連結されていることを特徴とする防振架台。
【0011】
(2) 前記取付ボルトの頭部と前記上側架台の水平部との間に、上側ワッシャと上側防振部材とを、該上側防振部材が該上側架台の水平部側に位置するように、介在せしめる一方、該上側架台の水平部と前記取付ボルトの小径部に螺合された上側ナットとの間に、下側防振部材と下側ワッシャとを、該下側防振部材が該上側架台の水平部側に位置するように、介在せしめて、前記上側ナットの締付けにより、該上側架台の水平部と該下側防振部材との間に、前記クリアランスが形成されるように構成されていることを特徴とする前記態様(1)に記載の防振架台。
【0012】
(3) 前記上側防振部材が、板状の防振体と該防振体の下側部分を収容する受け皿部材とから構成され、該受け皿部材が前記上側架台の水平部上に載置されてなる形態において、取り付けられている前記態様(2)に記載の防振架台。
【0013】
(4) 前記取付ボルトが、その脚部の小径部において、前記下側架台の水平部に設けられた取付孔に水平方向に移動可能に挿通され、かかる脚部の該下側架台の水平部から下方に突出する部位に対して、ナット付きワッシャが、そのナット部分において螺合されてなると共に、該ナット付きワッシャのワッシャ部分に対して、該下側架台の水平部に設けられた貫通孔に水平方向に移動可能に挿通された固定ボルトが螺合せしめられることにより、該ナット付きワッシャが該下側架台の水平部に固定される一方、前記取付ボルトの脚部の小径部に螺合された下側ナットの締付けによって、該下側架台の水平部を該下側ナットと該ナット付きワッシャとの間で挟持することにより、該取付ボルトが該下側架台の水平部に固定せしめられていることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(3)の何れか1つに記載の防振架台。
【0014】
(5) 前記態様(1)乃至前記態様(4)の何れか1つに記載の防振架台において、前記上側架台の水平部と前記上側ナットとの間に、板状の固定プレートが介挿されて、前記クリアランスが消滅せしめられることにより、該上側架台の水平部と前記下側架台の水平部との間が前記取付ボルトにて固定的に連結されていることを特徴とする防振架台の固定構造。
【0015】
(6) 前記上側架台の水平部と前記上側ナットとの間に、下側防振部材と下側ワッシャとが、該下側防振部材が該上側架台の水平部側に位置するように介在せしめられており、該下側ワッシャと該上側ナットとの間に、前記固定プレートが介挿されていることを特徴とする前記態様(5)に記載の防振架台の固定構造。
【0016】
(7) 前記固定プレートがU字形状の平面形態を有しており、該U字形状の対向する二つの自由端部の間の間隙内に、前記取付ボルトの脚部が入り込んだ形態において、かかる固定プレートが介挿されていることを特徴とする前記態様(5)又は前記態様(6)に記載の防振架台の固定構造。
【0017】
(8) 前記固定プレートが、そのU字形状の二つの自由端部の先端側部位に配設された抜止め手段を有しており、該抜止め手段によって、かかる固定プレートが前記上側架台の水平部と前記上側ナットの間から抜け出さないようになっている前記態様(7)に記載の防振架台の固定構造。
【発明の効果】
【0018】
このように、本発明に従う防振架台にあっては、上側架台と下側架台との連結に段付き構造の取付ボルトを用い、この取付ボルトを、上側の頭部側を大径部とした脚部を上側架台の水平部に設けた取付孔に挿通する一方、かかる脚部の小径部側の端部(下端)側の部位において、下側架台の水平部に固定せしめてなる形態において、その取付ボルトの脚部の小径部に螺合されている上側ナットを締め付けて、取付ボルトの脚部における大径部と小径部との間の段部、換言すれば脚部の大径部の下端部に当接せしめることにより、かかる上側ナットの位置決めが確実に行われ得ることとなるのであり、これによって、上側架台の水平部に対して、取付ボルトが簡単に取り付けられると共に、防振対象機器が搭載された状態下において、上側架台と下側架台との間の振動伝達を抑制乃至は阻止するように防振マウントを作動せしめるクリアランスが、上側架台の水平部の両側に簡単に且つ容易に形成され得ることとなるのであって、それ故に、従来の防振架台に内在しているようなボルトの位置ずれリスクや作業性等の問題が、悉く解消され得ることとなったのである。
【0019】
また、本発明に従う防振架台の固定構造によれば、防振対象機器が搭載された上側架台の水平部と上側ナットとの間に、板状の固定プレートを介挿せしめて、上側ナットを締め付けるようにすることによって、かかる上側架台の水平部の両側に形成されたクリアランスが、容易に消滅せしめられてなる形態となり、そしてその状態において、上側架台の水平部と下側架台の水平部とが、取付ボルトにて固定的に連結せしめられてなる状態となるところから、上側架台に防振対象機器を搭載しても、その荷重が直ちに防振マウントに作用することがなくなり、それによって、そのような防振対象機器を搭載した状態での輸送が可能となるのであり、そしてそのために、防振対象機器の輸送や設置が容易となり、また防振架台の再調整等の手間も有利に解消され得て、設置コストや設置工期の低減乃至は短縮が有利に図られ得るのである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に従う防振架台の一例を示す説明図であって、(a)は、その平面形態説明図であり、(b)は、その正面説明図である。
図2図1に示される防振架台の右側面拡大説明図であって、上側架台上に防振対象機器が搭載されてなる状態を示している。
図3図1に示される防振架台の斜視説明図である。
図4図1(b)における右側のストッパ機構による上側架台と下側架台との連結形態を示す拡大説明図である。
図5図4の縦断面説明図であって、図1(a)におけるA−A断面に相当する図である。
図6図5に示される断面形態において、それぞれの部材を分解して示す説明図である。
図7図4において用いられている取付ボルトを示す説明図であって、(a)は、その平面形態説明図であり、(b)は、その正面形態説明図であり、(c)は、その底面形態説明図である。
図8図4において用いられている上側防振部材を示す説明図であって、(a)は、その平面形態説明図であり、(b)は、その底面形態説明図であり、(c)は、(a)におけるB−B断面説明図である。
図9図4において用いられているナット付きワッシャの説明図であって、(a)は、その平面形態説明図であり、(b)は、その底面形態説明図であり、(c)は、(a)におけるC−C断面説明図である。
図10】ストッパ機構に固定プレートを差し込んで、クリアランスを消滅させてなる形態を示す説明図であって、(a)は、図4に対応する説明図であり、(b)は、(a)の側面説明図である。
図11図10(a)における縦断面説明図であって、図5に対応する断面説明図である。
図12図10において用いられる固定プレートの説明図であって、(a)は、その平面形態説明図であり、(b)は、その正面形態説明図であり、(c)は、その斜視説明図である。
図13】ストッパ機構に対する固定プレートの差し込み方向を示す、図10(b)に対応する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0022】
先ず、本発明に従う防振架台の一例を示す図1乃至図3において、2は、矩形の平面形態を呈する上側架台であり、また4は、かかる上側架台2の下方に所定距離隔てて配置された、同じく矩形の下側架台であって、それら両架台は、それぞれ、従来と同様な板状体構造又は枠体構造において構成されている。更に、それら上側架台2と下側架台4との間には、それら両架台間の振動伝達を抑制乃至は阻止する防振マウント6が、矩形形状の四つの角部に、それぞれ、配設されていると共に、それら防振マウント6に並設されてなる形態において、上側架台2と下側架台4の相対向する水平部間に、それら両架台間の過大な変位を阻止するストッパ機構8が、それぞれ、配設されている。そして、上側架台2上には、図2に示される如く、変圧器の如き振動発生機器等の防振対象機器10が、搭載せしめられるようになっている。
【0023】
具体的には、上側架台2及び下側架台4は、それぞれ、本体部2a,4aと、その矩形形状の長手方向に対向する一組の辺部にそれぞれ固定された、上方に開口するコ字型の取付ブラケット2b,2b及び下方に開口するコ字型の取付ブラケット4b,4bとから構成されており、それら上側架台2と下側架台4の両側に配設されたコ字型の取付ブラケット2b,2b;4b,4bの相対向する水平部2h,4h間を連結するように、ストッパ機構8の四つが、矩形形状の長手方向に直角な方向の端部において、それぞれ配設されている。また、下側架台4のコ字型の取付ブラケット4bの配設されていない本体部4aの相対向する他の一組の辺部には、長尺のL字型取付ブラケット4cの一つと短尺なL字型取付ブラケット4dの二つがそれぞれ固設され、これらL字型取付ブラケット4c;4d,4dを介して、下側架台4が載置されて、支持されるベースに対して、固定せしめられ得るようになっている。
【0024】
なお、ここで用いられている防振マウント6は、防振対象機器10において発生する振動が外部に伝わるのを阻止し、或いは外部から防振対象機器10に振動が伝わるのを阻止するために、上側架台2と下側架台4との間の振動伝達を抑制乃至は阻止する機能を有する、従来から公知の構造を備える防振マウントであって、例えば、樹脂ケース内にコイルばねや粘弾性体を内蔵してなる構造を有するもの等が採用され、下側架台4上に固設されている。
【0025】
また、ストッパ機構8は、図4に示される拡大図や図5に示される縦断面図、更には図6に示される分解図から明らかなように、その構成部材の一つである取付ボルト12が、上側架台2の上側取付ブラケット2bの水平部2hと下側架台4の下側取付ブラケット4bの水平部4hとを貫通するようにして、配設されて、それら上側架台2と下側架台4とが連結せしめられ得るようになっている。
【0026】
すなわち、そこにおいては、取付ボルト12は、図7に示されているように、六角形状の頭部12aと所定長さの脚部12bを有していると共に、かかる脚部12bが、頭部12a側の所定長さ部位がネジ山のない大径部12blとされる一方、脚部12bの先端側の部位が小径部12bsとされて、その小径部12bsの外周面にネジ山が形成されてなる段付き構造とされているのである。従って、ネジ山のない大径部12blとネジ山のある小径部12bsとの間に段部が形成されることとなる。なお、ネジ山が設けられていない大径部12blの軸方向長さは、上側取付ブラケット2bの水平部2hに対して所定のクリアランス18(18a+18b)が形成されるように、かかる所定のクリアランス18(18a+18b)に、後述するスプリングワッシャ24、上側ワッシャ22、上側防振部材20、上側取付ブラケット2bの水平部2h、下側防振部材26、下側ワッシャ28、スプリングワッシャ32の各厚さをそれぞれ加えた大きさとなるように、設定されることとなる。
【0027】
そして、ここでは、かかる取付ボルト12が、図4及び図5から明らかな如く、その脚部12bの大径部12blにおいて、上側架台2の上側取付ブラケット2bの水平部2hに設けられた、大径部12blよりも充分に大なる直径を有する取付孔14に、かかる取付ボルト12の頭部12aが上側取付ブラケット2bの水平部2hの上側に位置するようにして挿通されて、水平方向に移動可能となるように構成されていると共に、取付ボルト12の脚部12bの小径部12bsに螺合された上側ナット30を締め付けることによって、かかる上側ナット30が取付ボルト12の脚部12bにおける段部に当接して、その上昇が阻止されることにより、所定のクリアランス18(18a+18b)を形成しつつ、取付ボルト12が、上側架台2の上側取付ブラケット2bにおける水平部2hに対して取り付けられるようになっている。
【0028】
具体的には、ここでは、取付ボルト12の頭部12aと上側架台2の上側取付ブラケット2bにおける水平部2hとの間には、それぞれ円形平面形態を呈する上側防振部材20と上側ワッシャ22とが、かかる上側防振部材20が上側架台2の上側取付ブラケット2bの水平部2h側に位置するように、重ね合わせて載置され、更にその上に、皿ばね形態のスプリングワッシャ24が載置された形態において介在せしめられている。なお、上側防振部材20は、図8からも明らかな如く、ゴムやウレタン等の弾性材料からなる、所定幅で厚肉の円環板形状を呈する防振体20aと、この防振体20aの下側部分を収容する金属製の受け皿部材20bとから構成されている。そして、この受け皿部材20bには、その底部中央部に形成された穴の周縁部から下方に所定長さ垂下する垂下部20cが形成され、この垂下部20cにおいて、図5に示されるように、上側取付ブラケット2bの水平部2hに形成された取付孔14に嵌合せしめられてなる形態において、上側防振部材20が取り付けられているのである。また、上側ワッシャ22は、上側防振部材20の防振体20aと略同じ直径を有する大型の円環板形状を呈する金属部材にて、構成されており、この上側ワッシャ22を介して、取付ボルト12の頭部12aに対して弾性的に連結されるようになっている。
【0029】
また、上側架台2の上側取付ブラケット2bにおける水平部2hの下側には、上側防振部材20における防振体20aと同様に、ゴムやウレタン等の弾性材料からなる所定幅の円環板形状の下側防振部材26と、この下側防振部材26と同様な大きさを呈して、かかる下側防振部材26を支持する大型円形の金属製下側ワッシャ28とが配置されており、取付ボルト12の脚部12bの小径部12bsに螺合せしめられている上側ナット30が、締め付けられて、上方に移動せしめられ、皿ばね形態のスプリングワッシャ32を介して、取付ボルト12の脚部12bにおける大径部12blの段部に当接することにより、上側ナット30の位置決めが行われることによって、上側取付ブラケット2bの水平部2hと上側ナット30との間に、下側防振部材26及び下側ワッシャ28が介在せしめられると共に、かかる水平部2hに対して、所定のクリアランス18(18a+18b)が形成されるようになっている。
【0030】
すなわち、上側架台2に防振対象機器10が搭載された状態においては、図4図5に示される如く、上側架台2の上側取付ブラケット2bにおける水平部2hの両側に、クリアランス18a,18bが形成されることになるが、ここでは、取付ボルト12の頭部12aとスプリングワッシャ24との間に形成される上側クリアランス18aよりも、上側取付ブラケット2bの水平部2hと下側防振部材26との間に形成される下側クリアランス18bの方が、より大きな間隙となるように、構成されている。
【0031】
一方、取付ボルト12は、その脚部12bの小径部12bsにおいて、下側架台4の下側取付ブラケット4bにおける水平部4hに対して固定せしめられるようになっており、これによって、上側架台2と下側架台4とが連結されるようになっているのである。
【0032】
具体的には、取付ボルト12は、ここでは、その脚部12bの小径部12bsの先端側部位において、下側取付ブラケット4bにおける水平部4hに設けられた取付孔33に遊挿され、下側取付ブラケット4bの水平部4hの下側に配置された円形平面形態のナット付きワッシャ34と、かかる水平部4hの上側に配置された、取付孔33よりも充分な大きさの円形のワッシャ36及び皿ばね形態のスプリングワッシャ38を介して締付け力を作用せしめる、取付ボルト12の脚部12bの小径部12bsに螺合された下側ナット40との間において、締め付け、固定せしめられるようになっている。このような下側取付ブラケット4bの水平部4hに対する取付ボルト12の脚部12bの固定位置によって、上側架台2と下側架台4との間の距離が、防振マウント6による振動伝達の抑制乃至は阻止機能を有効に発揮せしめ得る距離に設定されるようになっているのである。
【0033】
なお、そこにおいて、ナット付きワッシャ34は、図9に示されるように、所定幅の円環板形状乃至はドーナツ形状のワッシャ部(金具)34aと、取付ボルト12の脚部12bにおける小径部12bsに螺合せしめられるナット部34bとが、溶接や圧入等により一体化せしめられてなる構造を有しており、そのワッシャ部34aには、二つのタップ穴34c,34cが対称的に設けられている。そして、下側取付ブラケット4bの水平部4hにおいて、取付孔33を挟むように対称的に設けられた二つの貫通孔42,42に遊挿された二本の固定ボルト44,44が、それぞれ、ナット付きワッシャ34の二つのタップ穴34c,34cにそれぞれ螺入せしめられて、貫通孔42よりも充分に大きな皿ばね形態のスプリングワッシャ46を介して締め付けられ、固定されるようになっている。
【0034】
また、ここでは、下側取付ブラケット4bにおける水平部4hに設けられた取付孔33と貫通孔42とが、取付ボルト12の脚部12bにおける小径部12bsや取付ボルト44の脚部の径よりも、それぞれ、数mm程度大なる径とされているところから、取付孔33内に遊挿された小径部12bsは、水平方向に移動可能に挿通されてなる形態となり、また貫通孔42内に遊挿された固定ボルト44の脚部も、水平方向に移動可能に挿通されてなる形態となっているのである。このため、二つの固定ボルト44,44を緩めて、ナット付きワッシャ34の水平方向の取付け位置を調整することが可能となるのであり、そして、ナット付きワッシャ34の水平方向の取付け位置を調整した後、固定ボルト44,44をそれぞれ締め付けることによって、かかるナット付きワッシャ34の水平方向の位置が正確に固定されることとなるのである。更には、それによって、ナット付きワッシャ34のナット部34bに、小径部12bsにおいて螺合せしめられている取付ボルト12の水平方向の位置決めが為された状態において、下側ナット40を締め付けることによって、取付ボルト12は、下側取付ブラケット4bの水平部4h、ひいては下側架台4に対して固定せしめられることとなるのである。
【0035】
そして、上述の如き構成のストッパ機構8を上側架台2と下側架台4との間に設置するに際しては、一般に、上側架台2上に所定の防振対象機器10を搭載してなる状態において、先ず、取付ボルト12の脚部12bが、スプリングワッシャ24、上側ワッシャ22、上側防振部材20、上側取付ブラケット2bの水平部2hの取付孔14、下側防振部材26、下側ワッシャ28、スプリングワッシャ32を順次挿通し、そしてその小径部12bsに対しては、上側ナット30と下側ナット40が螺合せしめられ、更にスプリングワッシャ38、ワッシャ36、下側取付ブラケット4bの水平部4hの取付孔33を順次挿通した後、その小径部12bsの先端側部位には、ナット付きワッシャ34のナット部34bが、螺合せしめられる。
【0036】
次いで、そのような形態において、取付ボルト12が上側取付ブラケット2bの水平部2hに設けられた取付孔14のセンタを通るように、ナット付きワッシャ34の水平方向の位置が調整されて、二つの固定ボルト44,44が螺入せしめられて締め付けることにより、取付ボルト12が、その小径部12bsにおいて固定され、更に下側ナット40の締付けによって、かかる取付ボルト12が、その脚部12bの小径部12bsにおいて、下側取付ブラケット4bの水平部4h、ひいては下側架台4に対して固定せしめられるのである。
【0037】
その後、取付ボルト12の頭部12aとスプリングワッシャ24との間に、所定の隙間(上側クリアランス18a)が確保されるように、それに対応する厚さを有するスペーサ等を介在せしめて、鉛直方向の取付け高さを調整した上で、上側ナット30を回して締め付け、スプリングワッシャ32を介して、取付ボルト12の脚部12bにおける大径部12blの段部(下端部)に当接せしめるようにすることによって、上側取付ブラケット2bの水平部2hと下側防振部材26との間に、所定の間隙(下側クリアランス18b)が形成されて、取付ボルト12が、上側取付ブラケット2bの水平部2hに対して取り付けられることとなる。その後、取付ボルト12の頭部12aとスプリングワッシャ24との間に介在されたスペーサ等が取り除かれることにより、それらの間には、目的とする上側クリアランス18aが形成されることとなる。
【0038】
このように、上述の如き構成のストッパ機構8にあっては、段付きボルト12の脚部12bの端部側部位において、下側架台4の下側取付ブラケット4bにおける水平部4hに対して固定せしめてなる形態において、上側ナット30を締め付けることにより、スプリングワッシャ32を介して、脚部12bの大径部12blの段部に当接するようにすることによって、上側ナット30の締付け位置が正確に規定され得ることとなるのであり、これによって、従来の防振架台に内在する位置ずれのリスクや作業性が悪い等の問題も、悉く解消され得ることとなるのである。
【0039】
しかも、かかる例示のストッパ機構8にあっては、取付ボルト12の脚部12bの下端部位における下側架台4に対する固定が、ナット付きワッシャ34を用いて行う構造が採用されているところから、取付ボルト12の水平位置を、ナット付きワッシャ34にて、予め、設定しておくことが出来、更にナット付きワッシャ34のナット部34bが固定された状態となるところから、取付ボルト12が、正確な位置に容易に固定され得るという利点も享受することとが出来る。
【0040】
ところで、かかる例示の如き構成の防振架台にあっては、その上側架台2上に、防振対象機器10を搭載した状態において、輸送することが可能である特徴を有しているのであるが、そのような輸送に際しては、上側架台2の水平部2hと上側ナット30との間に、所定の固定プレートを介挿して、上側ナット30を締め付けることにより、水平部2hの両側に形成されるクリアランス18a,18bを、それぞれ、消滅せしめるようにすることによって、上側架台2の水平部2hと下側架台4の水平部4hとの間を、取付ボルト12にて固定的に連結して、かかる防振架台を固定せしめてなる構造とされ、その状態において、防振対象機器10の輸送が行われることとなるのである。
【0041】
具体的には、図10及び図11に示されているように、板状の固定プレート50が、上側架台2の水平部2hの下側において、下側ワッシャ28とスプリングワッシャ32との間に介挿せしめられて、上側ナット30にて締め付けられていることにより、上側架台2の水平部2hの両側に存在するクリアランス18a,18bが消滅せしめられてなる形態において、かかる上側架台2の水平部2hと取付ボルト12とが固定され、以てストッパ機構8のストッパ機能が作動停止とされた状態において、輸送が行われるようになっているのである。
【0042】
なお、固定プレート50は、ここでは、図12に示されるように、所定幅で延びるU字形状の平面形態を有する板状体にて構成されており、そのU字形状の開口部を形成する二つの自由端部50a,50aの間隙内に、取付ボルト12の脚部12b(具体的には、大径部12bl)が入り込み得るような形態とされている一方、そのU字形状の基部から、外方に所定幅で延びる突片部50bが一体的に設けられており、この突片部50bを把持することにより、固定プレート50の差し込みや抜き出しの作業が容易となるように、構成されている。そして、この固定プレート50の板厚は、取付ボルト12の頭部12aとスプリングワッシャ24との間に形成されるクリアランス18aと、上側取付ブラケット2bの水平部2hと下側防振部材26との間に形成されるクリアランス18bとの合計間隙よりも少し大きくされており、固定プレート50を差し込んでセットしたときに、上側防振部材20における防振体20aや下側防振部材26に適度な圧縮が加えられるようになっている。
【0043】
また、固定プレート50は、そのU字形状の二つの自由端部50a,50aの先端側部位に、抜止め手段としての六角穴ボルト52,52が、それぞれ、螺着されており、この六角穴ボルト52,52の間隔が、固定プレート52の上側に位置する下側ワッシャ28の直径よりも狭くされていることにより、固定プレート50が、下側ワッシャ28とスプリングワッシャ32との間に介挿されて、セットされた状態においては、かかる六角穴ボルト52,52が、下側ワッシャ28の外周部に当接して、その抜け出しが阻止され得るようになっている。
【0044】
さらに、かかる固定プレート50のストッパ機構8に対する介挿に際しては、図13に示される如く、上側ナット30を緩めて、下方に移動せしめることにより、下側ワッシャ28とスプリングワッシャ32との間に、充分な間隙が形成され得るようにした状態において、固定プレート50を、その二つの自由端部50a,50aの間の間隙内に、取付ボルト12の脚部12b(具体的には、大径部12bl)が入り込むように側方から差し込み、その後、上側ナット30を再び締め付けて、スプリングワッシャ32を介して、上側ナット30が、取付ボルト12の脚部12bの大径部12blの段部(下端部)に当接せしめるようにされる。これによって、固定プレート50の厚さが、上側架台2の水平部2hの両側に存在せしめられているクリアランス18a,18bの合計間隙よりも大きくされているところから、上側架台2の水平部2hは、図11から明らかなように、その両側に、上側防振部材20、上側ワッシャ22、スプリングワッシャ24及び下側防振部材26、下側ワッシャ28、固定プレート50、スプリングワッシャ32が介在されてなる形態において、取付ボルト12の頭部12aと上側ナット30との間で挟持され、以て、水平部2hの両側のクリアランス18a,18bを消滅せしめてなる形態において、上側架台2と取付ボルト12との固定が実現されるのである。
【0045】
そして、輸送後においては、上側ナット30を緩めて、上側架台2の水平部2hとの間に充分な隙間が形成されるようにして、下側ワッシャ28とスプリングワッシャ32との間に介挿した固定プレート50を取り外した後、再び、上側ナット30を締め付けて、スプリングワッシャ32を介して、取付ボルト12の脚部12bの大径部12blの下端部(段部)に当接せしめるようにすれば、ストッパ機構8のストッパ機能は、容易に回復せしめられ得ることとなるのである。
【0046】
このように、上述した防振架台におけるストッパ機構8のストッパ機能は、上側ナット30と固定プレート50とによって容易に固定され、また回復せしめられ得ることとなるところから、防振対象機器10を上側架台2上に搭載したまま、輸送が可能となることに加えて、輸送後における防振架台の再調整等の手間も全く必要でなくなり、従来の防振架台に内在するような問題が有利に解消され得ることとなるところから、輸送、梱包、再調整に係るコストの低減や設置工期の短縮が可能となる利点を、有利に享受し得るのである。しかも、上側架台2は、取付ボルト12に対して、上側防振部材20と下側防振部材26に挟まれた状態で保持されて運搬されることとなるために、防振対象機器10に加わるトラックの走行振動やフォークリフトによる積み卸しの際の衝撃等を、有利に低減することも可能となっているのである。
【0047】
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
【0048】
例えば、上述の実施形態においては、防振対象機器10として振動発生機器を挙げて、かかる振動発生機器において発生した振動が、上側架台2から下側架台4に伝達されるのを抑制乃至は阻止するようにした構造の防振架台に対して、本発明を適用した例が明らかにされているが、本発明は、そのような防振架台に限定されるものでは決してなく、精密機器類の如き振動を嫌う機器が上側架台2上に搭載される場合において採用される、下側架台4から上側架台2への振動伝達を抑制乃至は阻止するようにした構造の防振架台に対しても、本発明は有利に適用され得るものである。
【0049】
また、本発明において、上側架台2と下側架台4との間に設置されて、それら両架台間の振動伝達を抑制乃至は阻止する防振マウント6としては、先に指摘せる如く、従来から公知の各種の防振マウントが、そのまま用いられ得るものであって、具体的には、特開2005−220936号公報、特開2007−22604号公報、特開2012−26542号公報等に開示の防振マウント構造が、そのまま用いられることとなる。
【0050】
さらに、取付ボルト12を、その脚部12bの小径部12bsにおいて、下側架台4の水平部4hに固定せしめる構造としては、例示の構造が、最も望ましいものであるが、かかる取付ボルト12が、その脚部12bの小径部12bsにおいて、下側架台4に固定され得ることとなるならば、公知の如何なる構造をも採用され得るものであることは、言うまでもないところである。
【0051】
加えて、固定プレート50にあっては、例示の如き望ましい形状の他、取付ボルト12に対して、側方から挿入し得る各種の形状の板状体を用いることが可能であり、また、そのような固定プレート50に配設される抜止め手段としても、例示の六角穴ボルト52に代えて、ピンを立設したり、端部を折り曲げたり、或いは端部間を連結せしめて、取付ボルト12の脚部12bが挿入される部位の開口部を選択的に閉塞及び開放し得る部材を配設する等の構成を、採用することも可能である。
【0052】
なお、例示の実施形態にあっては、上側防振部材20として、板状の防振体20aと、それを収容する受け皿部材20bとから構成される部材が採用され、これによって、特開2016−48077号公報に記載の如き作用・効果を享受し得るようになっているが、これに代えて、下側防振部材26の如く、単純な板状の防振体のみからなる構成のものとして使用することも可能である。
【0053】
また、上側防振部材20における板状の防振体20aや下側防振部材26を構成する弾性材料としては、例示のゴムやウレタンに限られるものではなく、公知の各種の弾性材料を用いることが可能である。要するに、そのような防振体20aや下側防振部材26は、上側架台2(水平部2h)と下側架台4(水平部4h)とが、取付ボルト12を介して、剛体的に連結されて、それらの間で直接的に振動が伝達されることを抑制乃至は阻止する機能を有するものであればよいのである。
【0054】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0055】
2 上側架台 2h,4h 水平部
4 下側架台 8 ストッパ機構
10 防振対象機器 12 取付ボルト
12a 頭部 12b 脚部
12bl 大径部 12bs 小径部
14,33 取付孔 18a,18b クリアランス
20 上側防振部材 22 上側ワッシャ
24,32,38,46 スプリングワッシャ
26 下側防振部材 28 下側ワッシャ
30 上側ナット 34 ナット付きワッシャ
36 ワッシャ 40 下側ナット
42 貫通孔 44 固定ボルト
50 固定プレート 52 六角穴ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13