特許第6853546号(P6853546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6853546
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】片手操作可能な車椅子
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/02 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   A61G5/02 701
   A61G5/02 703
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-208152(P2020-208152)
(22)【出願日】2020年12月16日
【審査請求日】2020年12月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517338076
【氏名又は名称】合同会社ライフスペース研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100104330
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 誠二
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 徹
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6742493(JP,B1)
【文献】 特開2019−58303(JP,A)
【文献】 特開2020−11028(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0039612(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 5/00− 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、右車輪及び左車輪と、右キャスタ及び左キャスタと、シートと、前記各車輪の車軸と同心に配置された左右一対の円形横断面のハンドリムとを有する車椅子であって、
前記ハンドリムが、それぞれ別体に形成され、前記円形横断面のうち内方下部に位置する第1部分と、前記円形横断面のうち前記第1部分以外を占める第2部分とを有しており、
前記第1部分が、ハンドリムスポークに連結され、前記第2部分が、前記各車輪の基部に連結されており、
一方の側の前記ハンドリムの前記第1部分によって生ずる第1回転力を、他方の側の前記車輪に伝達し、かつ、前記他方の側の前記ハンドリムの前記第1部分によって生ずる第2回転力を、前記一方の側の前記車輪に伝達するための駆動機構を備え、
前記一方の側及び/又は前記他方の側の前記ハンドリムの前記第2部分によって生ずる第3回転力が、対応する側の前記車輪に伝達され、
前記駆動機構が、前記一方の側のハンドリムスポークに連結された前記一方の側の車軸と、前記一方の側の前記車軸に軸部材を介して連結され、かつ、前記他方の側のハンドリムスポークに連結された前記他方の側の車軸と、前記一方の側の前記車軸に配置された第1双方向クラッチと、前記他方の側の前記車軸に配置された第2双方向クラッチとを有し、
前記第1双方向クラッチが、前記第2回転力を前記一方の側の前記車輪に伝達するように、前記第1回転力を前記一方の側の前記車輪に伝達しないように、及び前記一方の側の前記ハンドリムの前記第2部分によって生じる前記第3回転力を前記一方の側の前記車軸に伝達しないように構成され、
前記第2双方向クラッチが、前記第1回転力を前記他方の側の前記車輪に伝達するように、前記第2回転力を前記他方の側の前記車輪に伝達しないように、
及び前記他方の側の前記ハンドリムの前記第2部分によって生じる前記第3回転力を前記他方の側の前記車軸に伝達しないように構成されている、
ことを特徴とする車椅子。
【請求項2】
前記一方の側の前記車軸の外端に設けられた第1キー材が、前記一方の側の前記車軸の外端に回転可能に取り付けられた第1受け材に設置され、前記第1キー材よりも幅広の第1キー溝に係合しており、
前記他方の側の前記車軸の外端に設けられた第2キー材が、前記他方の側の前記車軸の外端に回転可能に取り付けられた第2受け材に設置され、前記第2キー材よりも幅広の第2キー溝に係合しており、
対応する側の前記ハンドリムスポークに連結され、切欠きを有する制御板が取り付けられた前記受け材を回転させることにより、対応する側の前記ハンドリムスポークからの回転力が対応する側の前記車軸に伝達されるようになっており、
前記第1双方向クラッチが、前記一方の側の前記車軸と前記一方の側の前記車輪との間における前記第1回転力の伝達を遮断し又は前記第2回転力の伝達を実施するための第1ローラと、前記第1ローラを所定個所に保持するための第1保持器とを有し、
前記第2双方向クラッチが、前記他方の側の前記車軸と前記他方の側の前記車輪との間における前記第2回転力の伝達を遮断し又は前記第1回転力の伝達を実施するための第2ローラと、前記第2ローラを所定個所に保持するための第2保持器とを有し、
前記第1受け材の回転によって前記制御板を回転させ、前記切欠きを前記第1保持器に設けられた突起部に係合させて前記第1保持器を回転させることにより、前記第1ローラの回転をロックさせずに前記第1回転力の前記一方の側の前記車軸から前記一方の側の前記車輪への伝達を遮断するとともに、前記第1回転力を前記他方の側の前記車軸から前記他方の側の前記車輪に伝達させるように構成されており、
前記第2受け材の回転によって前記制御板を回転させ、前記切欠きを前記第2保持器に設けられた突起部に係合させて前記第2保持器を回転させることにより、前記第2ローラの回転をロックさせずに前記第2回転力の前記他方の側の前記車軸から前記他方の側の前記車輪への伝達を遮断するとともに、前記第2回転力を前記一方の側の前記車軸から前記一方の側の前記車輪に伝達させるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載された車椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、手動式車椅子(以下、単に「車椅子」という)に関する。より詳細には、本発明は、左右いずれかの手で容易に操作できる軽量かつ安価な車椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
車椅子は基本的に、車椅子使用者(以下、単に「使用者」という)が自らの手で左右の車輪を操作することにより、前進、後退、左折、右折等の動作をさせるように構成されているが、左右いずれかの半身が不自由な人は、両手を自由に使えないため、一般的な車椅子を使用することが困難であった。そこで、左半身又は右半身の不自由な人であっても、健常な方の手のみで操作することができる片手操作可能な車椅子が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載された車椅子は、使用者の健常な半身が位置する側の車輪の外方に二重のハンドリムを配置し、健常な方の手でハンドリムを操作することによって、車椅子の動きを制御することができるように構成されている。
【0003】
一方、左右の車輪を連結する回転軸と、レバーやクラッチ等の操作手段を連動させ、これらの操作手段を片手で操作することによって、所望のように制御することができる車椅子も提案されている(特許文献2〜特許文献4参照)。また、特許文献5及び6に記載された車椅子は、それぞれ本発明者が開発したものであって、左右いずれかの手で容易に操作できるという特徴を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭46−13386号公報
【特許文献2】特開2004−141452号公報
【特許文献3】特開2010−279666号公報
【特許文献4】特許第5105256号公報
【特許文献5】特許第6288746号公報
【特許文献6】特許第6742493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された車椅子は、操作用のハンドリムが左右の一方の側にのみ配置され、操作できる側が予め決められているため、車椅子使用者にとっては使い勝手が良くなく、車椅子製造者にとっても左側操作型と右側操作型の2種類を製造しなければならずコスト高の一因になるという課題があった。また、特許文献2に記載された車椅子は、レバーの操作を必要とし、特許文献3に記載された車椅子は、操作時に使用者が身体を左右いずれかに傾けなければならず、肉体的な負担が過重であるという課題があった。また、特許文献4に記載された車椅子は、等速移動に対応する構成が示されておらず、使い勝手が良くないという課題があった。さらに、特許文献5及び6に記載された車椅子は、幸いにも好評を博しているが、前者については、部品数が比較的多いため、車椅子の重量が若干重めになるという改善点があり、後者については、片手で反対側の車輪のみを回転させることができないため、操作によっては手間を要するケースもあるという改善点があった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みて開発されたものであって、左右いずれかの手で容易に操作できる軽量かつ安価な車椅子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に記載された、フレームと、右車輪及び左車輪と、右キャスタ及び左キャスタと、シートと、前記各車輪の車軸と同心に配置された左右一対の円形横断面のハンドリムとを有する片手操作可能な車椅子は、前記ハンドリムが、それぞれ別体に形成され、前記円形横断面のうち内方下部に位置する第1部分と、前記円形横断面のうち前記第1部分以外を占める第2部分とを有しており、前記第1部分が、ハンドリムスポークに連結され、前記第2部分が、前記各車輪の基部に連結されており、一方の側の前記ハンドリムの前記第1部分によって生ずる第1回転力を、他方の側の前記車輪に伝達し、かつ、前記他方の側の前記ハンドリムの前記第1部分によって生ずる第2回転力を、前記一方の側の前記車輪に伝達するための駆動機構を備え、前記一方の側及び/又は前記他方の側の前記ハンドリムの前記第2部分によって生ずる第3回転力が、対応する側の前記車輪に伝達され、前記駆動機構が、前記一方の側のハンドリムスポークに連結された前記一方の側の車軸と、前記一方の側の前記車軸に軸部材を介して連結され、かつ、前記他方の側のハンドリムスポークに連結された前記他方の側の車軸と、前記一方の側の前記車軸に配置された第1双方向クラッチと、前記他方の側の前記車軸に配置された第2双方向クラッチとを有し、 前記第1双方向クラッチが、前記第2回転力を前記一方の側の前記車輪に伝達するように、前記第1回転力を前記一方の側の前記車輪に伝達しないように、及び前記一方の側の前記ハンドリムの前記第2部分によって生じる前記第3回転力を前記一方の側の前記車軸に伝達しないように構成され、前記第2双方向クラッチが、前記第1回転力を前記他方の側の前記車輪に伝達するように、前記第2回転力を前記他方の側の前記車輪に伝達しないように、及び前記他方の側の前記ハンドリムの前記第2部分によって生じる前記第3回転力を前記他方の側の前記車軸に伝達しないように構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
本願請求項2に記載された片手操作可能な車椅子は、前記請求項1の片手操作可能な車椅子において、前記一方の側の前記車軸の外端に設けられた第1キー材が、前記一方の側の前記車軸の外端に回転可能に取り付けられた第1受け材に設置され、前記第1キー材よりも幅広の第1キー溝に係合しており、前記他方の側の前記車軸の外端に設けられた第2キー材が、前記他方の側の前記車軸の外端に回転可能に取り付けられた第2受け材に設置され、前記第2キー材よりも幅広の第2キー溝に係合しており、対応する側の前記ハンドリムスポークに連結され、切欠きを有する制御板が取り付けられた前記受け材を回転させることにより、対応する側の前記ハンドリムスポークからの回転力が対応する側の前記車軸に伝達されるようになっており、前記第1双方向クラッチが、前記一方の側の前記車軸と前記一方の側の前記車輪との間における前記第1回転力の伝達を遮断し又は前記第2回転力の伝達を実施するための第1ローラと、前記第1ローラを所定個所に保持するための第1保持器とを有し、前記第2双方向クラッチが、前記他方の側の前記車軸と前記他方の側の前記車輪との間における前記第2回転力の伝達を遮断し又は前記第1回転力の伝達を実施するための第2ローラと、前記第2ローラを所定個所に保持するための第2保持器とを有し、前記第1受け材の回転によって前記制御板を回転させ、前記切欠きを前記第1保持器に設けられた突起部に係合させて前記第1保持器を回転させることにより、前記第1ローラの回転をロックさせずに前記第1回転力の前記一方の側の前記車軸から前記一方の側の前記車輪への伝達を遮断するとともに、前記第1回転力を前記他方の側の前記車軸から前記他方の側の前記車輪に伝達させるように構成されており、前記第2受け材の回転によって前記制御板を回転させ、前記切欠きを前記第2保持器に設けられた突起部に係合させて前記第2保持器を回転させることにより、前記第2ローラの回転をロックさせずに前記第2回転力の前記他方の側の前記車軸から前記他方の側の前記車輪への伝達を遮断するとともに、前記第2回転力を前記一方の側の前記車軸から前記一方の側の前記車輪に伝達させるように構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車椅子によれば、いずれか一方の手のみ用いた簡単な操作で、運転制御を行うことができる車椅子が提供される。本発明の車椅子では、ハンドリムが複数の部分に分割されており、持ち替える必要がないので、使い勝手がよいうえ、部品数が少ないため軽量かつ安価に製造することができる。
【0010】
本発明の車椅子は、半身の不自由な人以外であっても利用できる。すなわち、本発明の車椅子は、両手が健常な人が片手に物品(スマートフォン、食器、傘など)を持って車椅子で移動するような場合に有用である。また、車椅子でテニスやバスケットボールのようなスポーツをする場合にも有用である。さらに、詳細には後述するように、本発明の車椅子では、使用者の体力に応じて休みながら登坂走行を行うことができる点においても、従来の両手操作式の車椅子と比較して有用である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の好ましい実施の形態に係る車椅子を示した右側面図である。
図2図1の車椅子の背面図である。
図3図3(a)は、好ましいハンドリムの断面を示した図、図3(b)は、図3(a)の線3b−3bに沿って見た図である。
図4図4(a)は、ハンドリムの第1部分と第2部分の両方を右手で把持した状態を示した図、図4(b)は、ハンドリムの第2部分のみを右手で把持した状態を示した図、図4(c)は、ハンドリムの第1部分のみを右手で把持した状態を示した図である。
図5図1の線5−5に沿って見た断面図であって、車椅子の駆動機構の構成を示したものである。
図6図5の部分6の拡大断面図である。
図7図7(a)は、図6の線7a−7aに沿って見た図、図7(b)は、図6の線7b−7bに沿って見た図、図7(c)は、図6の線7c−7cに沿って見た図、図7(d)は、図6から保持器のみを取り出して示した断面図、図7(e)は、制御板の切欠きの大きさを説明するための図である。
図8図6に示される双方向クラッチ及び周囲部分を示した拡大斜視図である。
図9図9(a)は、車椅子の右側に位置する双方向クラッチの一例を示した図、図9(b)〜図9(f)は、図9(a)の双方向クラッチの作動状態を示した図である。
図10図10(a)は、車椅子の左側に位置する双方向クラッチの一例を示した図、図10(b)〜図10(f)は、図10(a)の双方向クラッチの作動状態を示した図である。
図11】中立位置における双方向クラッチの各構成要素の状態を示した図である。
図12】第1時点における双方向クラッチの各構成要素の状態を示した図である。
図13】第2時点における双方向クラッチの各構成要素の状態を示した図である。
図14】第3時点における双方向クラッチ各構成要素の状態を示した図である。
図15】車椅子の直進走行、左折走行、及び右折走行を示した模式的な平面図である。
図16】車椅子の右折走行、及び左折走行を示した模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係る車椅子について詳細に説明する。図1は、本発明の好ましい実施の形態に係る車椅子を示した右側面図、図2は、図1の車椅子の背面図である。
【0013】
図1において全体として参照符号10で示される本発明の好ましい実施の形態に係る車椅子は、車椅子の骨格を形成するフレーム12と、右車輪14a及び左車輪14bと、一対のキャスタ16a、16bと、シート18とを備えている。なお、車椅子10は、原則としてその中心線に対して左右対称であり左右それぞれの側に同じ構成要素を有しているが、以下の説明において、車椅子10の右側に位置する構成要素の参照符号に「a」を付し、車椅子10の左側に位置する構成要素の参照符号に「b」を付すものとする。以下、主として車椅子10の右側部分の構成について説明する。
【0014】
車椅子10はまた、右車輪14aの車軸24aと同心に配置されたハンドリム20aを備えている。ハンドリム20aは、図3(a)に示されるように、2つの部分、すなわち、円形横断面のうち内方下部に位置する第1部分20a1と、円形横断面のうち第1部分20a1以外を占める第2部分20a2とを有し、第1部分20a1と第2部分20a2は、別体として形成されている。これにより、使用者がハンドリム20aを把持したとき、親指以外の指の指先が第1部分20a1に接し、親指と掌が第2部分20a2に接するようになっており、使用者が意図した部分(第1部分20a1のみ、第2部分20a2のみ、又は第1部分20a1と第2部分20a2の両方)を操作することができるようになっている。なお、本明細書において「内方」とは、車椅子に着座する使用者が位置する側を意味し、「外方」とは、使用者が位置する側と反対側を意味する。
【0015】
ハンドリム20aには、図3(a)及び(b)に示されるように、第1部分20a1の外面に所定間隔Dを隔てて規則的に配置され、手指のかかりを良くするための複数基の凸部20a3が設けられている。所定間隔Dは、人差指から薬指までの3本の指が入るように選定され、第1部分20a1を把持した際に、人差指の横又は薬指の横が凸部20a3に当たって回転力を第1部分20a1に伝達しやすいようになっている。第1部分20a1に凸部20a3を設けることにより、使用者が第1部分20a1を指で把持しやすいという効果がある。
【0016】
ハンドリム20aの第1部分20a1は、ハンドリムスポーク22aに連結され、第2部分20a2は、右車輪14aの基部に連結されている。
【0017】
図4(a)は、ハンドリム20aの第1部分20a1と第2部分20a2の両方を右手で把持した状態を示し、図4(b)は、第2部分20a2のみを右手で把持した状態を示し、図4(c)は、第1部分20a1のみを右手で把持した状態を示している。
【0018】
次に、図5図10を参照して、車椅子10の駆動機構の構成について説明する。図5は、図1の線5−5に沿って見た断面図、図6は、図5の部分6の拡大断面図、図7(a)〜図7(c)は、図6の線7a−7a〜線7c−7cにそれぞれ沿って見た図、図8は、図6に示される双方向クラッチ及び周囲の部分を示した拡大斜視図である。車椅子10は、右車輪14aを支持する車軸24aを備えており、車軸24aは、車軸ホルダ28a、取付ボス30aを介して、フレーム12に取り付けられている。車軸24aの外端に受け材25aが回転可能に取り付けられており、受け材25aにハンドリムスポーク22aが連結されている。車軸24aの外端に、放射方向に延びたキー材24a1が設けられており、キー材24a1は、受け材25aに設けられ、キー材24a1よりも幅広のキー溝25a1に係合している(図7(c)参照)。これにより、ハンドリムスポーク22aを回転させると、キー溝25a1の一端がキー材24a1に当接し、ハンドリムスポーク22aからの回転力が車軸24aに伝達されるようになっている。また、受け材25aには、リング状の制御板25a2が取り付けられており、制御板25a2には、扇形(中心角β)の切欠き25a3が設けられている(図7(b)参照)。
【0019】
車軸24aは、軸受26aによって、車軸ホルダ28a(従って、フレーム12)に回転可能に配置されている。また、車椅子10の左側部分にも、対応する箇所に、同様の構成を有する車軸24bが設けられており、車軸24aと車軸24bは、円柱形の軸部材32及び連結スリーブ32a、32bを介して、1本の回転軸を形成している。
【0020】
図6に示される車軸ホルダ28aは、軸受26aをそれぞれ有する一対のホルダ部材28a1、28a2によって従来の通常の車椅子の取付ボス30aを挟持するように構成されているので、従来の通常の車椅子への後付けアタッチメントとして機能させることができ、これにより従来の通常の車椅子のフレームをそのままにして車輪14a、14bを本発明仕様のものに交換することが可能になる。
【0021】
図5では、作図の都合上、軸部材32が左右分離した状態で図示されているが、実際は、軸部材32は、1本の円柱形の軸で形成されている。また、車軸24a、軸部材32、車軸24bを一体に形成してもよい。
【0022】
なお、図5及び図6では、車軸24a、24bが中空になっており、両端に隆起部24a3が設けられたロッド24a2が挿入されているが、ロッド24a2は、車輪14aをフレーム12に着脱するためのものである。車軸24aのこのような構成自体は公知のものであり、本願発明の要旨を構成しない。
【0023】
双方向クラッチ34aが、車軸ホルダ28aの外方において車軸24aに取り付けられている。ここで、双方向クラッチ34aとは、車軸24aに入力すると、内輪34a1には回転力を伝達するが後述する外輪34a7には回転力を伝達せず、反対側の双方向クラッチ34bの外輪34b7にのみ回転力を伝達することができ、外輪34a7に入力すると、回転力を車軸24aに伝達することができず、かつ、車軸24bに入力すると、軸部材32、車軸24a、内輪34a1を介して外輪34a7に回転力を伝達することができるクラッチをいう。
【0024】
双方向クラッチ34aは、車軸ホルダ28aの外方において車軸24aに回転不能に取り付けられた正多角形(図9(a)に示される例では、正六角形)の内輪34a1を有している。内輪34a1の車軸24aへの取り付けは、キー溝(図9(a)参照)や圧入等を用いて、回転不能になるように構成されており、車軸24aを両方向(時計回り、反時計回り)に回転させると、内輪34a1も同一方向に回転するようになっている。正多角形の内輪34a1の各辺は、後述するように、カム面となる。なお、図10(a)は、車椅子10の左側に位置する双方向クラッチ34bを示した図であって、図9(a)と同様な図である。
【0025】
正多角形の内輪34a1の各辺には、図9(a)に示されるように、それぞれ1個のローラ34a3が配置されており、内輪34a1の外側には、ローラ34a3を所定個所に保持するため、軸受34a2によって内輪34a1に回転可能に支持された保持器34a4が配置されている。図7(d)は、図6から保持器34a4のみを取り出して示した断面図である。保持器34a4は、ほぼ円筒形の形状を有しており、各ローラ34a3が位置する個所にポケットすなわち開口34a4−1がそれぞれ設けられている。開口34a4−1の大きさは、ローラ34a3が開口34a4−1内に収まる程度に選定されている。保持器34a4には、その内端の近傍に、リング状のフランジ34a4−2が設けられ、フランジ34a4−2の内端側の面に、フランジ34a4−2の外径よりも小さな外径をもつリング状の段部34a4−3が設けられている。フランジ34a4−2および段部34a4−3は、図示されるように保持器34a4と一体に形成してもよいし、別体の部材を保持器34a4に取り付けることによって形成してもよい。また、保持器34a4には、その外端の1カ所に、保持器34a4の面内において外方に延びた突起部34a4−4が設けられ、突起部34a4−4は、制御板25a2の切欠き25a3に係合している(図7(b)参照)。
【0026】
図7(e)は、制御板25a2の切欠き25a3の大きさ(中心角β)を決める際の考え方を示した図である。キー材24a1とキー溝25a1によって形成される隙間α(図7(c)参照)が微小であるので、隙間αをゼロとしてキー材24a1がキー溝の一端に当接して車軸24aと受け材25aが一体に回転する状態にあると仮定すると、制御板25a2の回転は、車軸24aの回転と同じになる。図7(e)において、A1は内輪34a1の時計回りの回転時においてロックされたローラ、A2は内輪34a1の反時計回りの回転時においてロックされたローラを示し、線B1はローラがA1に位置するときの保持器34a4の開口34a4−1の側面、線B2はローラがA2に位置するときの保持器34a4の開口34a4−1の側面を示している。線B1と線B2とのなす角度よりも僅かに大きな又は同じ角度を中心角βとすれば、内輪34a1の回転力を外輪34a7に伝達することができる。
【0027】
図6に示されるほぼリング状のスイッチングプレート34a5が、保持器34a4の段部34a4−3に取り付けられている(段部34a4−3の外径よりも僅かに大きな内径を有するスイッチングプレート34a5を段部34a4−3に嵌め込むことにより、スイッチングプレート34a5が保持器34a4に取り付けられている)。また、スイッチングプレート34a5の外周には、放射方向に延びた1個の突起部34a5−1が設けられ、突起部34a5−1を車軸ホルダ28aに取り付けられた係止部材34a5−3によって挟持することにより、スイッチングプレート34a5が回転しないように構成されている(図7(a)参照)。スイッチングプレート34a5は、保持器34a4に設置された波形ばね34a5−2によって、保持器34a4のフランジ34a4−2に押し付けられており、これにより保持器34a4の回転時に一定の負荷が加えられる。スイッチングプレート34a5は、保持器34a4の回転に一定の抵抗を付与する役目を果たす。
【0028】
保持器34a4の外側には、軸受34a6によって保持器34a4に回転可能に支持された外輪34a7が配置されている。外輪34a7は、ほぼ円筒形の形状を有しており、右車輪14aの車輪スポーク14a1に連結されている。
【0029】
上述のような双方向クラッチ34aの構成は、公知である(例えば、NTN株式会社(英語版カタログ)のツーウェイクラッチ)。
【0030】
以上の記載では、主として車椅子10の右側部分の構成について説明してきたが、車椅子10の左側部分も、右側部分と実質的に同一の構成を有している。すなわち、主要な構成要素について記すと、20bはハンドリム、22bはハンドリムスポーク、24bは車軸、34bは双方向クラッチをそれぞれ示している。
【0031】
以上のように構成された双方向クラッチ34a、34bの作動について、図9図14を参照して説明する。図9及び図10において、実線矢印は入力回転を示し、破線矢印は出力回転を示している。図11図14は、ハンドリムスポーク22aの回転に伴う双方向クラッチ34a、34bの各構成要素の状態を示した図であって、双方向クラッチ34a、34bの各構成要素を右側から左側に向かって見た図である。
【0032】
図11は、中立位置(内輪34a1、34b1のカム面の中央にローラ34a3、34b3がそれぞれ位置し(図9(b)、図10(b)参照)、受け材25a、25bのキー溝25a1、25b1の中央に車軸24a、24bのキー材24a1、24b1がそれぞれ位置し、制御板25a2、25b2の切欠き25a3、25b3の中央に保持器34a4、34b4の突起部34a4−4、34b4−4がそれぞれ位置している)における双方向クラッチ34a、34bの各構成要素の状態を示した図である。
【0033】
図12は、ハンドリムスポーク22a(従って、受け材25a)が時計回りに回転してキー材24a1にキー溝25a1の一端が当接した瞬間の時点(第1時点)における双方向クラッチ34a、34bの各構成要素の状態を示した図である。第1時点においては、車軸24aは未だ回転していないが、受け材25aに取り付けられた制御板25a2は同一方向に回転する(切欠き25a3の幅(中心角)βが角度αよりも大きいので、第1時点では、保持器34a4の突起部34a4−4に切欠き25a3が当接しておらず、保持器34a4に回転力が伝達されない)。受け材25aが第1時点からさらに時計回りに回転すると、回転力がキー材24a1を介して車軸24aに伝達されて車軸24aも同一方向に回転する。
【0034】
図13は、ハンドリムスポーク22a(従って、受け材25a)が第1時点からさらに時計回りに回転して切欠き25a3の一端が突起部34a4−4に当接した瞬間の時点(第2時点)における双方向クラッチ34a、34bの各構成要素の状態を示した図である。第2時点においては、車軸24aの回転力が軸部材32を介して車軸24bに伝達されるので、車軸24bも同一方向に回転してキー材24b1がキー溝25b1の一端に当接する。第2時点では、車軸24a、24bを介して内輪34a1、34b1がそれぞれ回転するが、制御板25b2は未だ回転しておらず、保持器34a4、34b4、ローラ34a3、34b3(内輪34a1、34b1のカム面の各辺の左端部34a1b(図9(c)参照)、34b1b(図10(c)参照)と中間部34a1a、34b1aとの間に位置する)、外輪34a7、34b7も回転していない。
【0035】
図14は、ハンドリムスポーク22a(従って、受け材25a)が第2時点からさらに時計回りに回転するが、その回転によって後述するようにローラ34b3がロックされ、かつ、切欠き25b3の一端が突起部34b4−4に当接する前の時点(第3時点)における双方向クラッチ34a、34bの各構成要素の状態を示した図である。第3時点においては、双方向クラッチ34aと双方向クラッチ34bの作動が相違する。
【0036】
すなわち、双方向クラッチ34aでは、内輪34a1が回転するとともに、制御板25a2の回転により保持器34a4も同一方向に回転するため、ローラ34a3が内輪34a1のカム面の各辺の左端部34a1bと中間部34a1aとの間(図13と同じ位置)に位置するため、ローラ34a3と内輪34a1のカム面との相対的な位置関係は第2時点と変わらず、ローラ34a3がロックされない。したがって、内輪34a1の回転力が外輪34a7に伝達されない。
【0037】
一方、双方向クラッチ34bでは、内輪34bが回転するが、上述のように、切欠き25b3の一端が突起部34b4−4に当接する前の第3時点であるため、制御板25b2が回転せず、したがって、保持器34b4も回転しない。内輪34b1が時計回りに回転すると、ローラ34b3が内輪34b1のカム面の各辺の中間部34b1aと左端部34b1bとの間の位置から左端部34b1bまで移動する(この間は、内輪34b1の回転力は外輪34b7に伝達されない)。ローラ34b3が左端部34b1bに到達すると、ローラ34b3の回転がロックされ(図10(c)参照)、内輪34b1の回転力(図10(c)の実線矢印)が外輪34b7に伝達され、外輪34b7は、時計回りに回転する(図10(c)の破線矢印)。なお、受け材25aが反時計回りに回転して内輪34b1が反時計回りに回転する場合には、ローラ34b3が内輪34b1のカム面の各辺の中間部34b1aと右端部34b1cとの間の位置から右端部34b1cまで移動する(この間は、内輪34b1の回転力は外輪34b7に伝達されない)。ローラ34b3が右端部34b1cに到達すると、ローラ34b3の回転がロックされ(図10(d)参照)、内輪34b1の回転力(図10(d)の実線矢印)が外輪34b7に伝達され、外輪34b7は、反時計回りに回転する(図10(d)の破線矢印)。
【0038】
上述のように、ハンドリムスポーク22aの回転によって生じる各構成要素(車軸24a、24b、内輪34a1、34b1、制御板25a2、25b2、保持器34a4、34b4)の回転に時間差を設けることによって、回転力をハンドリムスポーク22aと同じ側の右車輪14aには伝達せず、反対側の左車輪14bには伝達するように構成されている。すなわち、ハンドリムスポーク22aを回転させると、微小時間が経過(キー材24a1にキー溝25a1の一端が当接)した後に車軸24aが回転し、軸部材32を介して、車軸24bも回転する。車軸24a、24bが回転すると、車軸24a、24bに回転不能に取り付けられた内輪34a1、34b1も回転する。ハンドリムスポーク22aをさらに回転させると、一定時間が経過(切欠き25a3の一端が突起部34a4−4に当接)した後、制御板25a2が回転すると、保持器34a4も回転し始めるが、制御板25b2が回転しないので、保持器34b4は回転しない。保持器34a4が回転すると、ローラ34a3がロックされないので、内輪34a1の回転が外輪34a7に伝達されない。一方、保持器34b4が回転しないので、ローラ34b3がロックされ、内輪34b1の回転が外輪34b7に伝達される。
【0039】
ハンドリム20a、20bの第2部分20a2、20b2を把持して回転させると、回転力が双方向クラッチ34a、34bの外輪34a7、34b7に伝達される。外輪34a7、34b7が時計回りに回転する(図9(e)、図10(e)の実線矢印)と、外輪34a7、34b7の内面がカム面ではなく円形面であるため、外輪34a7、34b7の回転力は内輪34a1、34b1に伝達されず、内輪34a1、34b1は回転しない。また、外輪34a7、34b7が反時計回りに回転する(図9(f)、図10(f)の実線矢印)と、外輪34a7、34b7の内面がカム面ではなく円形面であるため、外輪34a7、34b7の回転力は内輪34a1、34b1に伝達されず、内輪34a1、34b1は回転しない。
【0040】
上述のような双方向クラッチ34a、34bと同様に作動するものであれば、他の構成の双方向クラッチを採用してもよい。
【0041】
図15及び図16を参照して、双方向クラッチ34a、34bを備えた車椅子10の作動について説明する。図15は、車椅子10の直進走行、左折走行、及び右折走行を示した模式的な平面図、図16は、車椅子10の右折走行、及び左折走行を示した模式的な平面図である。
【0042】
右手を用いて直進(前進又は後退)しようとする場合には、右手でハンドリム20aの第1部分20a1と第2部分20a2の両方を把持して前方又は後方に回転させる(図15(a)参照)。すると、第1部分20aの回転力がハンドリムスポーク22aを介して車軸24a、軸部材32、車軸24b、双方向クラッチ34bに伝達され、外輪34b7に伝達されて左車輪14bを前方又は後方に回転させるとともに、第2部分20aの回転力が対応する側の車輪(右車輪14a)に直接伝達されて(その際、双方向クラッチ34aの外輪34a7が回転しても、内輪34a1は回転しない)右車輪14aを前方又は後方に回転させるので、車椅子10は前進又は後退する。
【0043】
左手を用いて直進(前進又は後退)しようとする場合には、左手でハンドリム20bの第1部分20b1と第2部分20b2の両方を把持して前方又は後方に回転させる(図15(b)参照)。すると、第1部分20bの回転力がハンドリムスポーク22bを介して車軸24b、軸部材32、車軸24a、双方向クラッチ34aに伝達され、外輪34a7に伝達されて右車輪14aを前方又は後方に回転させるとともに、第2部分20bの回転力が対応する側の車輪(左車輪14b)に直接伝達されて(その際、双方向クラッチ34bの外輪34b7が回転しても、内輪34b1は回転しない)左車輪14bを前方又は後方に回転させるので、車椅子10は前進する。
【0044】
右手を用いて左折(前進又は後退)しようとする場合には、右手でハンドリム20aの第2部分20a2のみを把持して前方又は後方に回転させる(図15(c)参照)。すると、第2部分20aの回転力が対応する側の車輪(右車輪14a)に直接伝達されて(その際、双方向クラッチ34aの外輪34a7が回転しても、内輪34a1は回転しない)右車輪14aを前方又は後方に回転させるので、左車輪14bが回転しない状態で右車輪14aが回転し、これにより車椅子10は左折(前進又は後退)する。
【0045】
左手を用いて右折(前進又は後退)しようとする場合には、左手でハンドリム20bの第2部分20b2のみを把持して前方又は後方に回転させる(図15(d)参照)。すると、第2部分20bの回転力が対応する側の車輪(左車輪14b)に直接伝達されて(その際、双方向クラッチ34bの外輪34b7が回転しても、内輪34b1は回転しない)左車輪14bを前方又は後方に回転させるので、右車輪14aが回転しない状態で左車輪14bが回転し、これにより車椅子10は右折(前進又は後退)する。
【0046】
右手を用いて右折(前進又は後退)しようとする場合には、右手でハンドリム20aの第1部分20a1のみを把持して前方又は後方に回転させる(図16(a)参照)。すると、第1部分20a1の回転力がハンドリムスポーク22aを介して車軸24a、軸部材32、車軸24b、双方向クラッチ34bに伝達され、外輪34b7に伝達されて左車輪14bを前方又は後方に回転させるので、右車輪14aが回転しない状態で左車輪14bが前方又は後方に回転し、これにより車椅子10は右折(前進又は後退)する。
【0047】
左手を用いて左折(前進又は後退)しようとする場合には、左手でハンドリム20bの第1部分20b1のみを把持して前方又は後方に回転させる(図16(b)参照)。すると、第1部分20b1の回転力がハンドリムスポーク22bを介して車軸24b、軸部材32、車軸24a、双方向クラッチ34aに伝達され、外輪34a7に伝達されて右車輪14aを前方又は後方に回転させるので、左車輪14bが回転しない状態で右車輪14aが前方又は後方に回転し、これにより車椅子10は左折(前進又は後退)する。
【0048】
ハンドリム20a、20bの2つの部分を左右の手で持ち替えることにより、登坂走行を快適に行うことができる。すなわち、例えば、最初に両手でハンドリム20a、20bの2つの部分を把持して前方に回転させて登坂走行を行う。一度漕ぎ切った後に停止しようとする場合は、右手でハンドリム20aの第1部分20a1と第2部分20a2の両方を回転させずに把持していればよい。次いで、左手をハンドリム20bの第1部分20b1と第2部分20b2から離して最初の漕ぎ出す位置に戻して、左手でハンドリム20bの第1部分20b1と第2部分20b2の両方を回転させずに把持して(持ち替えて)停車を維持する。次いで、右手をハンドリム20aの第1部分20a1と第2部分20a2から離して最初の漕ぎ出す位置に戻し、右手でハンドリム20aの第1部分20a1と第2部分20a2の両方を回転させずに把持して(持ち替えて)停車を維持する。両手でハンドリム20a、20bの2つの部分を把持したまま前方に回転させて登坂走行を行う。この一連の動作を繰り返して登坂する。このように左右の手を持ち替えて操作することにより、従来の両手操作式の車椅子とは異なり、使用者の体力に応じて休みながら登坂走行を行うことができる。
【0049】
なお、以上の記載では、車椅子10の主として右側部分について説明してきたが、左側部分についても、右側部分と同様である。
【0050】
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0051】
たとえば、図示した車椅子の構成要素の細部は単なる例示的なものであり、これらの細部を修正してもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 車椅子
12 フレーム
14a、14b 車輪
14a1、14b1 車輪スポーク
16a、16b キャスタ
18 シート
20a、20b ハンドリム
20a1、20b1 第1部分
20a2、20b2 第2部分
20a3、20b3 凸部
22a、22b ハンドリムスポーク
24a、24b 車軸
24a1、24b1 キー材
24a2、24b2 ロッド
24a3、24b3 隆起部
25a、25b 受け材
25a1、25b1 キー溝
25a2、25b2 制御板
25a3、25b3 切欠き
26a、26b 軸受
28a、28b 車軸ホルダ
30a、30b 取付ボス
32 軸部材
32a、32b 連結スリーブ
34a、34b 双方向クラッチ
34a1、34b1 内輪
34a1a、34b1a カム面の各辺の中間部
34a1b、34b1b カム面の各辺の左端部
34a1c、34b1c カム面の各辺の右端部
34a2、34b2 軸受
34a3、34b3 ローラ
34a4、34b4 保持器
34a4−1、34b4−1 開口
34a4−2、34b4−2 フランジ
34a4−3、34b4−3 段部
34a4−4、34b4−4 突起部
34a5、34b5 スイッチングプレート
34a5−1、34b5−1 突起部
34a5−2、34b5−2 波形ばね
34a5−3、34b5−3 係止部材
34a6、34b6 軸受
34a7、34b7 外輪
【要約】
【課題】左右いずれかの手で容易に操作できる軽量かつ安価な車椅子を提供する。
【解決手段】ハンドリムが、第1部分と第2部分とを有しており、一方の側の第1部分によって生ずる第1回転力を他方の側の車輪に伝達し、かつ、他方の側の第1部分によって生ずる第2回転力を一方の側の車輪に伝達するための駆動機構を備え、一方の側及び/又は他方の側の第2部分によって生ずる第3回転力が、対応する側の車輪に伝達され、駆動機構が、一方の側のハンドリムスポークに連結された一方の側の車軸と、一方の側の車軸に軸部材を介して連結され、かつ、他方の側のハンドリムスポークに連結された他方の側の車軸と、一方の側の車軸に配置された第1双方向クラッチと、他方の側の車軸に配置された第2双方向クラッチとを有する車椅子が提供される。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16