特許第6853555号(P6853555)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853555
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 37/16 20060101AFI20210322BHJP
   B32B 5/02 20060101ALI20210322BHJP
   B32B 15/14 20060101ALI20210322BHJP
   B32B 15/04 20060101ALI20210322BHJP
   B29C 65/44 20060101ALI20210322BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   B32B37/16
   B32B5/02 B
   B32B15/14
   B32B15/04 Z
   B29C65/44
   C08J5/04
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-107633(P2018-107633)
(22)【出願日】2018年6月5日
(65)【公開番号】特開2019-209599(P2019-209599A)
(43)【公開日】2019年12月12日
【審査請求日】2020年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】392030184
【氏名又は名称】エステック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514045843
【氏名又は名称】APC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(74)【代理人】
【識別番号】100166659
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 和也
(72)【発明者】
【氏名】永島 正嗣
(72)【発明者】
【氏名】崔 源煥
(72)【発明者】
【氏名】與倉 三好
【審査官】 相田 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−044328(JP,A)
【文献】 特開2014−177026(JP,A)
【文献】 特開平09−208713(JP,A)
【文献】 特開平10−036521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B29C 65/44
C08J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の積層体を製造する積層体の製造方法であって、
炭素繊維を含む複数層のシート材を形成するシート材形成工程と、
金属板における前記シート材を接合する接合面にプラズマ処理を施す金属板側プラズマ処理工程と、
前記シート材を、熱圧着により、前記金属板の前記接合面に接合する接合工程とを有し、
前記シート材形成工程では、炭素繊維シートと熱可塑性樹脂シートとを交互に積層させたものを両面側から熱圧着することにより、シート材を成形する
ことを特徴とする積層体の製造方法。
【請求項2】
前記プラズマ処理工程では、真空プラズマによるプラズマ照射を行うことで、前記金属板の両面側にプラズマ処理を施し、
前記接合工程では、前記金属板の両面側に、前記シート材を熱圧着する
請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項3】
前記接合工程は、前記金属板3と前記シート材2とを熱圧着する際の温度は、シート材2を形成する際に前記炭素繊維シートと熱可塑性樹脂シートとを熱圧着させる際の温度よりも低い温度とした
請求項1又は2に記載の積層体の製造方法。
【請求項4】
前記シート材形成工程では、前記シート材における金属板との接合面側には、熱可塑性樹脂シートを配置する
請求項1乃至3の何れかに記載の積層体の製造方法。
【請求項5】
前記シート材の前記金属板に接合される接合面にもプラズマ処理を施すシート材側プラズマ処理工程を有する
請求項に記載の積層体の製造方法。
【請求項6】
前記シート材形成工程では、炭素繊維シートの熱可塑性樹脂シートとの接合面側にプラズマ処理を施す
請求項乃至5の何れかに記載の積層体の製造方法。
【請求項7】
前記接合工程は、前記金属板のみを熱圧着が可能となる温度まで加熱して行う
請求項1乃至6の何れかに記載の積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維を含むシート材と金属板とを接合した積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
板状の積層体を製造する積層体の製造方法であって、炭素繊維を含む複数層のシート材を形成するシート材形成工程と、前記シート材を、熱圧着により、前記金属板の前記接合面に接合する接合工程とを有し、高強度且つ高剛性の板状の積層体を製造できる特許文献1に記載の積層体の製造方法が従来公知である。
【0003】
上記文献によれば、炭素繊維を熱可塑性樹脂でシート状に成形したシート材と金属板との積層体を、直接振動溶着することによって、接着剤を用いることなく効率良く接合させることができるものであるが、シート材と金属板との接合が十分でなかったり、振動によって接合位置を正確に制御できなかったりする場合がある等の課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−34734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、板状の積層体を製造する積層体の製造方法において、通常は互いに接合させ難い炭素繊維を含むシート材と金属板とを、スムーズ且つ強固に接合させることのできる積層体の製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1に、板状の積層体を製造する積層体の製造方法であって、炭素繊維を含む複数層のシート材を形成するシート材形成工程と、金属板における前記シート材を接合する接合面にプラズマ処理を施す金属板側プラズマ処理工程と、前記シート材を、熱圧着により、前記金属板の前記接合面に接合する接合工程とを有し、前記シート材形成工程では、炭素繊維シートと熱可塑性樹脂シートとを交互に積層させたものを両面側から熱圧着することにより、シート材を成形することを特徴としている。
【0007】
上記課題を解決するため、第2に、前記プラズマ処理工程では、真空プラズマによるプラズマ照射を行うことで、前記金属板の両面側にプラズマ処理を施し、前記接合工程では、前記金属板の両面側に、前記シート材を熱圧着することを特徴としている。
【0008】
上記課題を解決するため、第3に、前記接合工程は、前記金属板3と前記シート材2とを熱圧着する際の温度は、シート材2を形成する際に前記炭素繊維シートと熱可塑性樹脂シートとを熱圧着させる際の温度よりも低い温度としたことを特徴としている。
【0009】
上記課題を解決するため、第に、前記シート材形成工程では、前記シート材における金属板との接合面側には、熱可塑性樹脂シートを配置することを特徴としている。
【0010】
上記課題を解決するため、第に、前記シート材の前記金属板に接合される接合面にもプラズマ処理を施すシート材側プラズマ処理工程を有することを特徴としている。
【0011】
上記課題を解決するため、第6に、前記シート材形成工程では、炭素繊維シートの熱可塑性樹脂シートとの接合面側にプラズマ処理を施すことを特徴としている。
【0012】
上記課題を解決するため、第7に、前記接合工程は、前記金属板のみを熱圧着が可能となる温度まで加熱して行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明者は、炭素繊維を含む前記シート材と前記金属板とを接合させた積層体を製造するにあたり、前記金属板の接合面側にプラズマ処理を施すことによって、前記シート材と金属板側の接合面とをスムーズ且つ強固に熱圧着させることができることを見出した。
【0014】
また、前記シート材形成工程では、炭素繊維シートと熱可塑性樹脂シートとを交互に積層させたものを両面側から熱圧着することにより、シート材を成形するものによれば、高強度、高靭性の前記シート材を安価に成形することができる。
【0015】
また、前記シート材形成工程では、前記シート材における金属板との接合面側には、熱可塑性樹脂シートを配置するものによれば、前記シート材と金属板とがより接合し易くなる。
【0016】
また、前記シート材の前記金属板に接合される接合面にもプラズマ処理を施すシート材側プラズマ処理工程を有するものによれば、前記シート材と金属板との接合がより容易になる。
【0017】
また、前記金属板側プラズマ処理工程では、前記金属板の両面側にプラズマ処理を施し、前記接合工程では、前記金属板の両面側に、前記シート材を熱圧着するものによれば、積層体が一方側に曲がり難くなるため、フラットな積層体が製造し易くなる。
【0018】
また、前記シート材形成工程では、炭素繊維シートの熱可塑性樹脂シートとの接合面側にプラズマ処理を施すものによれば、シート材を構成する炭素繊維シートと熱可塑性シート間の接合力も増加するため、積層体の強度もより向上する。
【0019】
なお、前記接合工程は、前記金属板のみを熱圧着が可能となる温度まで加熱して行うものによれば、金属板とシート材とを圧着させる際に、シート材は常温のまま移送することができるため、接合位置への位置合わせを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明で製造される積層体の構成を示したモデル図である。
図2】本発明の積層体の製造方法を示すフロー図である。
図3】積層体の別実施例の構成を示した図である。
図4】積層体の別実施例2の構成を示した図である。
図5】(A)は、金属板側にプラズマ処理をした場合の積層体の接合状態を確認した実験結果であり、(B)は、プラズマ処理を省略した場合の積層体の接合状態を確認した実験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明者らは、鋭意検討の結果、炭素繊維を含むシート材と、金属板とを接合させた板状の積層体を製造するにあたり、金属板側の接合面にプラズマ処理を施すことによって、該金属板と前記シート材とをスムーズ且つ強固に熱圧着させることができることを見出した。
【0022】
以下、本発明の実施例について説明する。図1は、本発明で製造される積層体を示したモデル図である。図示されるように、前記積層体1は、炭素繊維を含む前記シート材2と、接合面にプラズマ処理が施された前記金属板3とから構成され、前記シート体2と、前記金属板3の接合面とを熱圧着することによって板状に形成されている。
【0023】
前記シート材2は、炭素繊維からなるカーボンシート等を含むシート状の部材であって、複数枚のカーボンシート4と、所定温度以上に加熱することで接着剤として機能する熱可塑性樹脂シート6とから形成されている。
【0024】
前記金属板3は、図示する例では、鉄板を用いた。なお、該金属板3は、鉄板に限られず、後述するプラズマ処理によって官能基が形成されるものであれば、ステンレス鋼や、その他金属であっても良い。
【0025】
すなわち、前記積層体1は、基板となる金属板3の表面に炭素繊維を含む前記シート材2を積層・接合することにより成形されており、該積層体1は、前記金属板3と比較して、軽量且つ高強度で、衝撃にも強い板状部材となる。また、該積層体1は、比較的高価な炭素繊維を含むシート材2が、表面部分にのみ配置するため、高強度な板状部材をより低コストで製造することができる。以下、上述の積層体の製造方法について具体的に説明する。
【0026】
次に、図2に基づき、前記積層体の製造方法について説明する。図2は、本発明の積層体の製造方法を示すフロー図である。図示されるように、前記積層体の製造方法は、シート材形成工程と、プラズマ処理工程(金属板側プラズマ処理工程)と、接合工程とを有している。
【0027】
前記シート材形成工程では、炭素繊維の束を帯状にした帯体をシート状に編込むことによって薄いシート状に形成された複数(図示する例では4枚)の前記カーボンシート4と、前記熱可塑性樹脂シート6とを交互に積層し、該熱可塑性樹脂シート6が溶融して接着剤として機能する温度で積層された各部材を熱圧着することによって、単一の前記シート材2を形成している(図1参照)。
【0028】
このとき、前記シート材2は、図示されるように、熱圧着される両外面側には前記熱可塑性樹脂シート6を配置することにより、該シート材2の表面側は前記熱可塑性樹脂シート6となるように構成されている。言い換えると、前記シート材2は、少なくとも、前記金属板3との接合面側は、熱可塑性樹脂シート6側となるように形成されている。
【0029】
なお、該熱可塑性樹脂シート6は、所定温度以上(100〜300℃程度)に加熱することによって接合シートとして機能する熱可塑性樹脂であれば良く、ナイロン等のポリアミド、ポリカーボネート(PC)、ポリエステル等からなる所謂エンジニアリングプラスチックの他、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、アクリル(PMMA)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、フッ素樹脂(PFA)等であっても良い。
【0030】
前記プラズマ処理工程は、前記金属板3のうち、前記シート材2側と接合する接合面3a側に、真空プラズマ(低圧プラズマ)によるプラズマ照射(グロー放電等)を行うことにより、プラズマ処理を施す。これにより、該金属板3の接合面3a側に、高密度の官能基が表出される。
【0031】
また、該プラズマ処理工程は、金属板3の接合面3a側に官能基を表出させることができれば良いため、真空プラズマによるプラズマ照射に限られず、大気圧プラズマによるプラズマ照射(アーク放電等)であっても良い。
【0032】
なお、前記プラズマ処理工程は、前記金属板3側にプラズマ処理を施す金属板側プラズマ処理工程と、前記シート材2側にプラズマ処理を施すシート材側プラズマ処理工程とを含むように構成し、金属板3側の接合面3aだけでなく、前記シート材2側にもプラズマ処理を施した接合面(官能基形成面)を形成しても良い。
【0033】
該構成によれば、後述の接合工程において、プラズマ処理された接合面同士を熱圧着させる構成となるため、前記シート材2と金属板3との接合がよりスムーズ且つ、強力になる。
【0034】
前記接合工程は、基板となる前記金属板3の接合面3a側と、前記シート材2の熱可塑性樹脂シート6側とを熱圧着することにより、別途に接着剤等を用いることなく、前記金属板3とシート材2とを積層させた状態で強固に接合させた積層体を形成する。
【0035】
このとき、接合工程による金属板3とシート材2とを熱圧着する際の温度は、シート材2を形成する際に前記カーボンシート4と前記熱可塑性樹脂シート6とを熱圧着させる際の温度よりも低い温度、言い換えると、使用された熱可塑性シート6の融点よりも低い温度で行われる。
【0036】
該構成によれば、シート材2を構成する熱可塑性シート6が溶融することを確実に防止できるため、シート材2の一部が溶融して白濁化したり変形したりすることなく、前記金属板3の接合面(官能基形成面)3aと、前記シート材2の接合面とをスムーズ且つ強固に熱圧着させることができる。
【0037】
ちなみに、前記接合工程は、前記金属板3のみをシート材2と接合可能な温度で保持されるように加熱した状態で、前記金属板3とシート材2との熱圧着を行うように構成しても良い。
【0038】
該構成によれば、前記シート材2を金属板3との熱圧着を行う接合位置まで搬送する際に、前記シート材2は常温の状態で供給できるため、前記シート材2と金属板3との位置合わせが容易になり、接合工程の作業時間を大幅に短縮することができる。
【0039】
次に、図3に基づき、本発明の別実施例について説明する。図3は、積層体の別実施例の構成を示した図である。前記積層体1は、前記プラズマ処理工程において、前記金属板3の両面側にプラズマによるプラズマ処理を施すことにより、該金属板3の両面側に前記接合面3aを形成し、前記接合工程において、前記金属板3の両面側に前記シート材2をそれぞれ熱圧着することによって、一対のシート材2によって基板となる金属板3を挟むように積層させた構成であっても良い。
【0040】
該構成によれば、前記金属板3とシート材2と熱圧着する際に、金属板3とシート材2との熱膨張率の差に起因して、積層体1の一方側の面が縮むようにして屈曲する事態を効率的に防止できるため、フラットに形成された積層体を製造し易くなる。また、該積層体1の両面に前記シート材2を設けたことにより、前記積層体1の強度がより向上するとともに、両面側とも衝撃に強くなる。
【0041】
次に、図4に基づき、本発明の別実施例2について説明する。図4は、積層体の別実施例2の構成を示した図である。図示されるように、前記積層体は、前記金属板3の両面側に接合される前記シート材2を、前記接合工程の前に熱圧着させない状態でシート状に積層させて構成し、前記接合工程において、まとめて熱圧着させる構成であっても良い。
【0042】
該構成によれば、前記カーボンシート4と熱可塑性樹脂シート6との熱圧着と、前記金属板3と熱可塑性樹脂シート6との熱圧着とを、同時に実行できるため、製造工程がより簡易になり、該積層体をよりスムーズに製造することができる。上述の積層体の製造工程について、上述の例と異なる点について以下、具体的に説明する。
【0043】
前記シート材形成工程では、フラットな面上で前記熱可塑性樹脂シート6と、前記カーボンシート4とを、互いに熱圧着させることなく交互に積層させることによって一体的なシート状にしたシート材2を形成している。このとき、該シート材2は、両外面側、言い換えると、接合工程時に前記金属板3と接合する面と、積層体の外面側となる面とが熱可塑性樹脂シート6となるように積層されている(図4参照)。なお、該シート材2は、積層された熱可塑性シート6とカーボンシート4とを、仮止めする仮止め手段によって固定しても良い。
【0044】
また、該シート材2は、製造される積層体に要求される強度に応じて、積層されるカーボンシート4と熱可塑性樹脂シート6の枚数を任意に増やすことができる(図4参照)。この場合でも、該カーボンシート4と熱可塑性樹脂シート6とは交互に積層されるとともに、熱可塑性樹脂シート6がシート材2の両外面側に配置されるように構成されている。
【0045】
前記接合工程では、両面側にプラズマ処理が施された前記金属板3と、仮止めされた状態の前記シート材2とを、同時に熱圧着させることによって、積層体を製造する(図4参照)。この場合、接合工程時の熱圧着の温度は、熱可塑性シート6が溶融することによって強力に接合する温度で行われる。
【0046】
ちなみに、図示する例では、前記シート材形成工程において、カーボンシート4と熱可塑性樹脂シート6とを積層してシート状に形成する前に、カーボンシート4側の接合面に予めプラズマ処理を施す前処理工程を設けても良い(図示しない)。該構成によれば、前記金属板3と熱可塑性樹脂シート6との間だけでなく、前記カーボンシート4と熱可塑性樹脂シート6との間の接合力も増加するため、製造される積層体の強度も更に向上する。
【0047】
次に、図5に基づき、本発明の製造方法による積層体の接合力を確認した実験結果を示す。図5(A)は、金属板側にプラズマ処理をした場合の積層体の接合状態を確認した実験結果であり、図5(B)は、プラズマ処理を省略した場合の積層体の接合状態を確認した実験結果である。
【0048】
前記シート材2は、炭素繊維を帯状にした帯体を編み込んだカーボンシート4と、ナイロン製の熱可塑性樹脂シート6とを積層させ、280℃程度の温度で熱圧着することによりシート状に形成し、前記金属板3として鉄板を用いた。
【0049】
このとき、前記金属板3の接合面3a側にプラズマによるプラズマ処理を施して官能基を表出させた後、金属板3とシート材2とを熱圧着した積層体1と、前記金属板3側にプラズマ処理を施さないで、金属板3とシート材2とを直接熱圧着した積層体1とを製造し、各積層体1の金属板3とシート材2とを無理やり剥離させることにより、金属板3とシート材2との接合状態を確認した。
【0050】
図5(A)に示されるように、上述の製造方法に沿って、金属板3側の接合面3aにプラズマ処理を施した場合、前記シート材2の接合面側に金属板3側の接合面から剥離した金属板3の一部が全体的に付着しており、プラズマ処理によって接合面に形成された親水性の官能基と強固に結合していたことが確認できる。
【0051】
その一方で、図5(B)に示されるように、前記プラズマ処理工程を省略し、金属板3側の接合面3aにプラズマ処理を施さなかった場合、金属板3とシート材2とが容易に剥がれるとともに、シート材2の接合面側に金属板3が殆ど付着していないことが確認できる。
【0052】
以上より、通常は互いに接合し難い、炭素繊維を含むシート材2と金属板3とを、シート材2側ではなく、金属板3側にプラズマ処理をして接合面(官能基形成面)を形成することにより、前記シート材2と金属板3とを、別途に接着剤等を用いることなくスムーズ且つ強力に接合させることができることが確認できた。
【符号の説明】
【0053】
2 シート材
3 金属板
3a 接合面
4 炭素繊維シート
6 熱可塑性樹脂シート
図1
図2
図3
図4
図5