特許第6853614号(P6853614)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6853614LED照明装置、その製造方法及びLED照明方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853614
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】LED照明装置、その製造方法及びLED照明方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20210322BHJP
【FI】
   H01L33/50
【請求項の数】16
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-66919(P2014-66919)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2014-209617(P2014-209617A)
(43)【公開日】2014年11月6日
【審査請求日】2017年3月2日
【審判番号】不服2019-7725(P2019-7725/J1)
【審判請求日】2019年6月11日
(31)【優先権主張番号】特願2013-75380(P2013-75380)
(32)【優先日】2013年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】597096161
【氏名又は名称】株式会社朝日ラバー
(74)【代理人】
【識別番号】100133798
【弁理士】
【氏名又は名称】江川 勝
(72)【発明者】
【氏名】金平 隆史
【合議体】
【審判長】 瀬川 勝久
【審判官】 近藤 幸浩
【審判官】 星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−28668(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/28656(WO,A1)
【文献】 特開2008−270781(JP,A)
【文献】 特開2012−60097(JP,A)
【文献】 特開2012−164742(JP,A)
【文献】 特開2008−34188(JP,A)
【文献】 特開2009−188246(JP,A)
【文献】 特開2008−311532(JP,A)
【文献】 特表2007−507089(JP,A)
【文献】 特開2009−151245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L33/00 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED照明装置であって、
440nm〜480nmの波長領域に発光ピークを有する光を発する青色LED素子と、前記青色LED素子の前記発光ピークを含む光に励起されて495nm〜510nmの波長領域に発光ピークを有する光を発する緑色蛍光体と、前記青色LED素子の前記発光ピークを含む光に励起されて595〜680nmの波長領域に発光ピークを有する光を発する赤色蛍光体とを含み、
前記青色LED素子の発光による青色発光スペクトルと、前記緑色蛍光体の発光による緑色発光スペクトルと、前記赤色蛍光体の発光による赤色発光スペクトルとの混合による混色を発光し、
前記混色の発光色がANSI(American National Standards Institute、C78.377)領域にあり、
前記青色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AB),発光ピーク強度を(IB)とし、前記緑色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AG),発光ピーク強度を(IG)とし、前記赤色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AR),発光ピーク強度を(IR)とした場合、
IB<IG,IB<IR,AB≦AG,AB≦AR,及びAB/(AR+AG)≦0.03を満たすLED照明装置。
【請求項2】
前記混色された光のスペクトルの全相対面積に対して、波長480nm以下の領域の相対スペクトル面積が20%以下である請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
前記混色された光のスペクトルの全相対面積に対して、波長480nm以下の領域の相対スペクトル面積が15%以下である請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項4】
前記青色LED素子の発光に励起されて550nm〜590nmの波長領域に発光ピークを有する光を発する黄色蛍光体をさらに含む請求項1〜3の何れか1項に記載のLED照明装置。
【請求項5】
前記青色LED素子を封止する樹脂封止体を含み、
前記樹脂封止体に前記赤色蛍光体及び前記緑色蛍光体が配合されている請求項1〜4の何れか1項に記載のLED照明装置。
【請求項6】
前記樹脂封止体はシリコーンを含む請求項5に記載のLED照明装置。
【請求項7】
前記青色LED素子からの光を波長変換する樹脂シートを含み、
前記樹脂シートに前記赤色蛍光体及び前記緑色蛍光体が配合されている請求項1〜4の何れか1項に記載のLED照明装置。
【請求項8】
前記青色LED素子を封止する樹脂封止体を含み、
前記樹脂シートは前記樹脂封止体中に封止されている請求項7に記載のLED照明装置。
【請求項9】
前記青色LED素子を封止する樹脂封止体を含み、
前記樹脂シートは前記樹脂封止体を覆うように配置されている請求項7に記載のLED照明装置。
【請求項10】
回路基板及び前記回路基板表面に配設された前記青色LED素子を含む複数のLEDパッケージを備える光源ユニットと、前記光源ユニットを収容するハウジング部材と、前記複数のLEDパッケージを覆うように配置され、前記青色LED素子の発光を波長変換して該波長変換された光を外部に出射するための、少なくとも1枚の前記樹脂シートを備える請求項7に記載のLED照明装置。
【請求項11】
前記樹脂シートはシリコーンを含む請求項7〜10の何れか1項に記載のLED照明装置。
【請求項12】
440nm〜480nmの波長領域に発光ピークを有する光を発する青色LED素子と、前記青色LED素子の前記発光ピークを含む光に励起されて495nm〜510nmの波長領域に発光ピークを有する光を発する緑色蛍光体と、前記青色LED素子の前記発光ピークを含む光に励起されて595nm〜680nmの波長領域に発光ピークを有する光を発する赤色蛍光体とを準備する工程と、
前記青色LED素子の発光による青色発光スペクトルと、前記緑色蛍光体の発光による緑色発光スペクトルと、前記赤色蛍光体の発光による赤色発光スペクトルとの混合により所定の混色を発光させるように、前記緑色蛍光体及び前記赤色蛍光体の配合組成を決定する工程と、
前記配合組成に応じた前記緑色蛍光体及び前記赤色蛍光体を透明樹脂に分散させて蛍光体樹脂組成物を調製する工程と、
前記蛍光体樹脂組成物を前記青色LED素子の発光領域に配置する工程とを備え、
前記混色の発光色がANSI(American National Standards Institute、C78.377)領域にあり、
前記配合組成が、
前記青色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AB),発光ピーク強度を(IB)とし、前記緑色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AG),発光ピーク強度を(IG)とし、前記赤色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AR),発光ピーク強度を(IR)とした場合、IB<IG,IB<IR,AB≦AG,AB≦AR,及びAB/(AR+AG)≦0.03を満たすように決定されるLED照明装置の製造方法。
【請求項13】
前記蛍光体樹脂組成物を前記青色LED素子の発光領域に配置する工程が、前記青色LED素子を前記蛍光体樹脂組成物で封止する工程である請求項12に記載のLED照明装置の製造方法。
【請求項14】
前記蛍光体樹脂組成物を前記青色LED素子の発光領域に配置する工程が、
前記蛍光体樹脂組成物をシート状に成形する工程と、前記青色LED素子の発光領域に前記シート状に成形された蛍光体樹脂組成物で前記青色LED素子の発光領域に配置する工程である請求項12に記載のLED照明装置の製造方法。
【請求項15】
440nm〜480nmの波長領域に発光ピークを有する光を発する青色LED素子を発光させる工程と、
前記青色LED素子の前記発光ピークを含む光により、495nm〜510nmの波長領域に発光ピークを有する光を発する緑色蛍光体と、595〜680nmの波長領域に発光ピークを有する光を発する赤色蛍光体とを励起させて発光させる工程と、
前記青色LED素子の発光による青色発光スペクトルと、前記緑色蛍光体の発光による緑色発光スペクトルと、前記赤色蛍光体の発光による赤色発光スペクトルとの混合による混色させる工程とを備え、
前記混色の発光色がANSI(American National Standards Institute、C78.377)領域にあり、
前記青色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AB),発光ピーク強度を(IB)とし、前記緑色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AG),発光ピーク強度を(IG)とし、前記赤色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AR),発光ピーク強度を(IR)とした場合、
IB<IG,IB<IR,AB≦AG,AB≦AR,及びAB/(AR+AG)≦0.03を満たすLED照明方法。
【請求項16】
前記混色された光のスペクトルの全相対面積に対して、波長480nm以下の領域の相対スペクトル面積が20%以下である請求項15に記載のLED照明方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青色LEDの発光により、蛍光体を励起させて発光させるLED(Light Emitting Diode)照明装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、波長420nm〜490nmに発光ピークを有する光を発する青色LEDが知られている。そして、青色LEDの発光により波長550nm〜590nmに発光ピークを有する励起光を発するような黄色蛍光体から黄色光を発光させ、青色LEDの発する青色光と黄色蛍光体の黄色光とを混色することにより、疑似白色光を発する白色LED照明装置が広く用いられている。黄色蛍光体としてはYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体が広く用いられている。このような白色LED照明装置は、パソコン等の液晶ディスプレーのバックライトや一般照明の用途に広く用いられている。
【0003】
一般的に、青色LEDを光源とし、黄色蛍光体としてYAG系蛍光体を用いた白色LED照明装置は、図13に示すように、460nm付近に発光ピークを有する青色LEDの青色光Bと、その青色光と補色関係にある580nm付近に発光ピークを有する黄色蛍光体から発光される黄色光Yとを所定の色割合になるように混色することにより、2つの色座標を結んだ線分YB上に沿って白色光Wが得られるように調整されている。色合わせは、目的とする発光色の色座標に位置するように、青色方向のベクトルと黄色方向のベクトルとの大きさを調整するように行われる。図10図12に青色LEDの青色光とその補色であるYAG系蛍光体が発する黄色光とを混色して得られる疑似白色光の代表的なスペクトルを示す。このようにして、例えば、図14に示すような、ANSI(American National Standards Institute、C78.377)の領域にある白色光や、JIS Z 8725の付属書に記載の方法で計算される色温度および相関色温度のxy座標範囲にある白色光を調整している。
【0004】
上述したような青色LEDを光源とし黄色蛍光体としてYAG系蛍光体を用いた白色LED照明装置の光は、青色光と黄色光とを混色しているだけであるために、幅広いスペクトルを示す自然光に比べて演色性が劣るという問題があった。演色性とは、照明装置が物体を照らしたときに、自然光を物体に照らしたときの色の見え方の違いに及ぼす光源の性質である。すなわち、自然光のスペクトルは広い波長域のスペクトルを有する。一方上述したような白色LED照明装置は、黄色光と青色光とを混色しただけの光であるために、疑似白色光に含まれていない、または含まれている割合が少ない色である赤色や緑色の物体を照らしたときには、自然光を照らしたときとは見え方が異なる。
【0005】
このような青色LEDとYAG系蛍光体を用いた白色LED照明装置の演色性を改良した白色LED照明装置として、例えば下記特許文献1や下記特許文献2に開示されたような、青色LEDとYAG系蛍光体を用いた白色LED照明装置に、補助的に少量の赤色蛍光体や緑色蛍光体を添加した白色LED照明装置も知られている。このような方法によれば、青色LEDとYAG系蛍光体を用いた白色LED照明装置にさらに赤色光や緑色光の成分を混色することにより、そのスペクトルを自然光のスペクトルに近づけることができる。
【0006】
図10図12に示したように、従来の青色LEDを光源とし黄色蛍光体としてYAG系蛍光体を用いた白色LED照明装置においては、主波長460nm付近の青色光を必須成分として多量に含む。近年、可視光線の中で波長380nm〜495nmの青色光をブルーライトと称し、青色光の波長が人間の網膜に悪影響を与える等の報告が多数なされている(例えば下記非特許文献1)。青色光は紫外線に最も近い波長を有するエネルギーが高い可視光領域の光であり、眼の角膜や水晶体で吸収されずに網膜にまで達するとされている。
【0007】
このような青色光が網膜にまで達することの影響を懸念して、例えば下記非特許文献2に開示されているようなブルーライトと称する青色光の波長を選択的にカットする眼鏡も市販されている。このような眼鏡をかけて白色LED照明装置を用いた液晶ディスプレーを見た場合、英国基準BS2724:1987に基づく数値において、ブルーライトが50%以上カットされると述べられている。また、液晶ディスプレーを覆うことにより、青色光の波長を選択的にカットする波長フィルタも市販されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−260393号公報
【特許文献2】特開2008−34188号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】青色光による網膜障害「IOL&RS Vol.17 No.3 Sep 2003 344-345」
【非特許文献2】http://www.jins-jp.com/jins-pc/((株)ジェイアイエヌのウェブサイト)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
液晶ディスプレーを見るときに青色光が網膜にまで達することを抑制するために、眼鏡をかけることは煩雑であり、また、眼鏡を掛けなれていない者にとっては、眼鏡を掛けることがストレスになるという問題があった。また、液晶ディスプレーを覆う波長フィルタも液晶ディスプレーに装着することが煩雑であったり、波長フィルタを装着することにより輝度が低下したり色合いが変わってしまうという問題があった。本発明は、網膜への悪影響が懸念されている青色光を低減させた、発光色がANSI(American National Standards Institute、C78.377)領域にある、LED照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、440nm〜480nmの波長領域に発光ピークを有する光を発する青色LED素子と、青色LED素子の発光ピークを含む光に励起されて495nm〜510nmの波長領域に発光ピークを有する光を発する緑色蛍光体と、青色LED素子の発光ピークの発光ピークを含む光に励起されて595〜680nmの波長領域に発光ピークを有する光を発する赤色蛍光体とを含み、青色LED素子の発光による青色発光スペクトルと、緑色蛍光体の発光による緑色発光スペクトルと、赤色蛍光体の発光による赤色発光スペクトルとの混合による混色を発光し、混色の発光色がANSI(C78.377)領域にあり、青色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AB),発光ピーク強度を(IB)とし、前記緑色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AG),発光ピーク強度を(IG)とし、前記赤色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AR),発光ピーク強度を(IR)とした場合、IB<IG,IB<IR,AB≦AG,AB≦AR,及びAB/(AR+AG)≦0.03を満たすLED照明装置である。
【0012】
本発明のLED照明装置によれば、従来の黄色蛍光体としてYAGを用いた白色LEDに必須であった青色光を大幅に低減させたLED照明装置を提供することができる。
【0013】
一例として、例えば、xy色度座標(0.37,0.37)の白色光を出す場合において、従来の青色LEDとYAG系蛍光体との組み合わせによる場合、青色LEDの相対スペクトル面積(AB)とYAG系蛍光体の相対スペクトル面積(AY)の比率(AB/AY)は0.4を上回る。一方、本発明によれば、AB/(AR+AG)が0.03以下のように制御することができる。このように、ANSI領域の白色光を調整する場合であっても、青色LEDからの青色発光が従来の白色光より低減された白色光を得ることができる。AB/(AR+AG)≦0.4である場合、網膜への悪影響が懸念される青色光を低減できる点から好ましい。また、前記混色された光のスペクトルの全相対面積に対して、波長480nm以下の領域の相対スペクトル面積が20%以下である場合には、青色光の領域を極めて低減させているために、網膜への悪影響が懸念される青色光を特に低減できる点から好ましい。
【0014】
また、混色の発光色は、図14に示すような、JIS Z 8725の付属書に記載の方法で計算される色温度および相関色温度のxy座標範囲にある、またはこのようなANSI(C78.377)領域にある液晶ディスプレーのバックライトや一般照明用途として用いやすく、このようなLED照明装置を用いた場合には液晶ディスプレーを長時間凝視することによる網膜への悪影響の懸念を解消することができる。
【0015】
また、本発明はLED照明装置の製造方法であって、440nm〜480nmの波長領域に発光ピークを有する光を発する青色LED素子、青色LED素子の発光ピークを含む光に励起されて495nm〜510nmの波長領域に発光ピークを有する光を発する緑色蛍光体、及び青色LED素子の発光ピークを含む光に励起されて595nm〜680nmの波長領域に発光ピークを有する光を発する赤色蛍光体を準備する工程と、青色LED素子の発光による青色発光スペクトルと、緑色蛍光体の発光による緑色発光スペクトルと、赤色蛍光体の発光による赤色発光スペクトルとの混合により所定の混色を発光させるように、緑色蛍光体及び赤色蛍光体の配合組成を決定する工程と、配合組成に応じた緑色蛍光体及び赤色蛍光体を透明樹脂に分散させて蛍光体樹脂組成物を調製する工程と、蛍光体樹脂組成物をLED素子の発光領域に配置する工程とを備え、混色の発光色がANSI(C78.377)領域にあり、配合組成が、青色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AB),発光ピーク強度を(IB)とし、緑色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AG),発光ピーク強度を(IG)とし、赤色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AR),発光ピーク強度を(IR)とした場合、IB<IG,IB<IR,AB≦AG,AB≦AR,及びAB/(AR+AG)≦0.03を満たすように決定されるLED照明装置の製造方法である。
【0016】
蛍光体樹脂組成物を青色LED素子の発光領域に配置する工程としては、青色LED素子を蛍光体樹脂組成物で封止する工程や、蛍光体樹脂組成物をシート状に成形した後、青色LED素子の発光領域に蛍光体樹脂組成物で成形されたシートを青色LED素子の発光領域に配置する工程等が挙げられる。
【0017】
また、本発明は、440nm〜480nmの波長領域に発光ピークを有する光を発する青色LED素子を発光させる工程と、青色LED素子の発光ピークを含む光により、495nm〜510nmの波長領域に発光ピークを有する光を発する緑色蛍光体と、595〜680nmの波長領域に発光ピークを有する光を発する赤色蛍光体とを励起させて発光させる工程と、青色LED素子の発光による青色発光スペクトルと、緑色蛍光体の発光による緑色発光スペクトルと、赤色蛍光体の発光による赤色発光スペクトルとの混合による混色させる工程とを備え、混色の発光色がANSI(C78.377)領域にあり、青色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AB),発光ピーク強度を(IB)とし、前記緑色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AG),発光ピーク強度を(IG)とし、赤色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AR),発光ピーク強度を(IR)とした場合、IB<IG,IB<IR,AB≦AG,AB≦AR,及びAB/(AR+AG)≦0.03を満たすLED照明方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば従来の黄色蛍光体としてYAGを用いた、混色の発光色がANSI(C78.377)領域にある、白色LEDにおいて必須であった青色光を大幅に低減させたLED照明装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明に係る一実施形態の白色LED照明装置10の模式断面図である。
図2図2は、それぞれ、青色LED素子1の発光による青色発光スペクトルB1、緑色蛍光体Gの発光による緑色発光スペクトルG1、赤色蛍光体Rの発光による赤色発光スペクトルR1の例を示す。
図3図3は、白色LED照明装置10から発光された混色光のスペクトルの例を示す。
図4図4は、CIE表色系のxy色度座標における、LED照明装置10から発光された緑色発光スペクトルG1の座標G,赤色発光スペクトルR1の座標R、混色光のスペクトルの座標W1を示す。
図5A図5Aは、本発明に係る一実施形態の白色LED照明装置20の模式断面図である。
図5B図5Bは、本発明に係る一実施形態の白色LED照明装置21の模式断面図である。
図6A図6Aは、本発明に係る一実施形態の白色LED照明装置30の模式断面図である。
図6B図6Bは、本発明に係る他の一実施形態の白色LED照明装置40の模式断面図である。
図6C図6Cは、図6Bの白色LED照明装置40のA−A'断面における断面模式図である。
図7図7は、実施例1で得られた混色光を形成する各色のスペクトルとその混色のスペクトルを示す。
図8図8、参考実施例2で得られた混色光を形成する各色のスペクトルとその混色のスペクトルを示す。
図9図9、参考実施例3で得られた混色光を形成する各色のスペクトルとその混色のスペクトルを示す。
図10図10は、比較例1で得られた混色光を形成する各色のスペクトルとその混色のスペクトルを示す。
図11図11は、比較例2で得られた混色光を形成する各色のスペクトルとその混色のスペクトルを示す。
図12図12は、比較例3で得られた混色光を形成する各色のスペクトルとその混色のスペクトルを示す。
図13図13は、CIE表色系のxy色度座標における、従来の青色LEDを光源とし黄色蛍光体としてYAG系蛍光体を用いたLED照明装置の調色を説明する図である。
図14図14は、CIE表色系のxy色度座標におけるANSI規格またはJIS規格による発光色範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明に係る第一実施形態であるLED照明装置10を模式的に示す模式断面図である。第一実施形態のLED照明装置10は、外部へ延出されている一対のリード5a,5bが配置された上面が開口した凹部を有する発光体収容部材5と青色領域に発光ピークを有するLED素子1とを備え、LED素子1を収容する凹部は、赤色蛍光体FR及び緑色蛍光体FGを含む樹脂封止体2により封止されている。LED素子1の一方の電極はリード5aに接続され、LED素子1の他方の電極が金線6によりワイヤーボンディングされてリード5bに接続されている。
【0022】
LED素子1は、440nm〜480nmの青色領域に主波長(ピーク波長)を有する青色発光スペクトルB1を発光する。また、緑色蛍光体FGは、LED素子1の青色発光スペクトルB1の発光ピークを含む光により励起されて、495nm〜510nmの緑色領域に主波長(ピーク波長)を有する緑色発光スペクトルG1を発光する。また、赤色蛍光体FRは、LED素子1の青色発光スペクトルB1の発光ピークを含む光により励起されて、595nm〜680nmの赤色領域に主波長(ピーク波長)を有する赤色発光スペクトルR1を発光する
【0023】
LED照明装置10においては、青色発光スペクトルB1の青色光は赤色蛍光体FR及び緑色蛍光体FGの励起によりその多くが消費され、青色光の発光が著しく低減されている。一方、赤色蛍光体FRが発する赤色光及び緑色蛍光体FGの発する緑色光は、それらの混色により白色等の色を形成する。
【0024】
図2は、それぞれ、青色LED素子1の発光による青色発光スペクトルB1、緑色蛍光体FGの発光による緑色発光スペクトルG1、赤色蛍光体FRの発光による赤色発光スペクトルR1の一例を示す。
【0025】
図3は、図2に示したような、青色発光スペクトルB1と、赤色発光スペクトルR1と、緑色発光スペクトルG1とを所定の割合で混合させて得られた、LED照明装置10から発光された混色のスペクトルの一例を示す。
【0026】
目的色を発光させるために、青色発光スペクトルB1、緑色発光スペクトルG1、赤色発光スペクトルR1をそれぞれ所定の発光比で混合することにより、図3に示すような混色のスペクトルW1が生成される。図3の混色の発光スペクトルW1には、波長460nm近傍に青色発光スペクトルB1のピーク、波長495nm近傍に緑色発光スペクトルG1のピーク、波長650nm近傍に赤色発光スペクトルR1のピークが存在している。
【0027】
図3に示すLED照明装置10の混色の発光スペクトルの例においては、青色発光スペクトルB1の相対スペクトル面積(AB)は1.08であり、主波長ピーク460nmの発光ピーク強度(IB)は0.27である。また、緑色発光スペクトルG1の相対スペクトル面積(AG)は21.00であり、主波長ピーク495nmの発光ピーク強度(IG)は1.00である。さらに、赤色発光スペクトルR1の相対スペクトル面積(AR)は23.02であり、主波長ピーク650nmの発光ピーク強度(IR)は1.00である。そして、AB/(AR+AG)=0.025である。
【0028】
ここで、混色における各色の発光スペクトルの相対スペクトル面積とは、混色を形成している各色のスペクトルを形成する各波長の相対ピーク強度の積算値を意味する。また、混色における各色の発光スペクトルの発光ピーク強度とは、各色の発光スペクトルにおける最も高い強度を示す波長における相対強度を意味する。なお、発光スペクトルの相対スペクトル面積は、各色のスペクトルの分布と面積を予め測定しておき、それらの合成光が上述したようなピークを満たすように調整し、調整したピーク値の高さから各相対スペクトル面積に換算することができる。
【0029】
このように、本実施形態のLED照明装置から発光された混色のスペクトルは、青色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AB),発光ピーク強度を(IB)とし、緑色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AG),発光ピーク強度を(IG)とし、赤色発光スペクトルの相対スペクトル面積を(AR),発光ピーク強度を(IR)とした場合、IB<IG,IB<IR,AB≦AG,AB≦AR,及びAB/(AR+AG)≦0.03を満たす。このようなLED照明装置から発光された混色のスペクトルにおいては、青色光の波長領域の光が相対的に極めて少なくなる。従って、このような青色光を低減させたLED照明装置によれば、例えば液晶ディスプレー等のバックライトとして用いた場合であっても、液晶ディスプレーを長時間凝視することによる青色光の網膜への悪影響の懸念を解消することができる。
【0030】
本実施形態のLED照明装置から発光された混色のスペクトルにおいては、AB/(AR+AG)≦0.03であり、好ましくはAB/(AR+AG)≦0.01である。AB/(AR+AG)>0.03の場合には、青色光を充分に低減できないために青色光の網膜への悪影響の懸念を解消することができない。また、AB/(AR+AG)の下限は特に限定されないが、0に近づくほど青色光の網膜への悪影響の懸念を解消することができる。また、AB/(AR+AG)≦0.03の範囲にあるANSI領域においては、一般照明用途にも用いられるような色の光において、青色光を大幅に低減することができる点から好ましい。
【0031】
また、本実施形態のLED照明装置から発光された混色のスペクトルは、青色光を大幅に低減した照明光とするために、IB<IG,IB<IRの条件を満たすようにしている。
【0032】
図4は、LED照明装置10から発光された混色光のCIE表色系のxy色度座標を示す。図4中の座標G(0.27,0.53)は緑色発光スペクトルG1の緑色光の色座標を表し、座標R(0.60,0.39)は赤色発光スペクトルR1の色座標を表し、座標B(0.14,0.03)は青色発光スペクトルB1の色座標を表す。また、座標W1(0.390,0.445)はLED照明装置10が発光する図3に示す混色のスペクトルの色座標を表す。
【0033】
図4に示すように、LED照明装置10の例においては、座標W1の色座標で表される色を発光させるために、緑色発光スペクトルG1の緑色光と赤色発光スペクトルR1の赤色光との比率が図3に示したようなスペクトルになるように、赤色蛍光体と緑色蛍光体の配合組成を調整している。一方、従来のLED照明装置においては、図13に示すように、460nm付近に発光ピークを有する青色LEDの青色光Bと、その青色光と補色関係にある580nm付近に発光ピークを有する黄色蛍光体から発光される黄色光Yとを所定の色割合になるように混色して、2つの色座標を結んだ線分YB上に沿って白色光Wが得られるように調整されている。
【0034】
本実施形態のLED照明装置10においては、一例として、座標W1の色座標で表される白色光を発光させるように設計した例を示したが、本実施形態のLED照明装置の発光色は、赤色蛍光体FR及び緑色蛍光体FGの励起により青色光の多くを消費させて赤色蛍光体及び緑色蛍光体の励起により発光される蛍光の混色により実現できる色であれば、その発光色は特に限定されない。とくに、JIS Z 8725の付属書に記載の方法で計算される色温度および相関色温度のxy座標範囲にある、またはANSI(C78.377)領域にあるような色も発光させることができる。図14に示すような、JIS Z 8725の付属書に記載の方法で計算される色温度および相関色温度のxy座標範囲にある、またはANSI(C78.377)領域にある光は、液晶ディスプレーのバックライトや一般照明用途として用いやすい。このようなLED照明装置を用いた場合には液晶ディスプレーを長時間凝視することによる網膜への悪影響の懸念を解消することができる。
【0035】
青色光の波長領域に発光ピークを備えたLED素子としては、440nm〜480nmの範囲に主波長を有するような、所謂、青色LED素子が特に限定なく用いられる。青色LED素子の具体例としては、例えば、GaN系LED、SiC系LED、ZnSe系LED、InGaN系LED等が挙げられる。
【0036】
また、緑色蛍光体としては、青色領域に発光ピークを有するLED素子の光により励起されて、495nm〜510nmの範囲に主波長を有する緑色光を発する緑色蛍光体が挙げられる。なお、本実施形態においては、ピーク波長が比較的短い青色に近い範囲の緑色光を発する緑色蛍光体を選択している。このようなピーク波長が比較的短い緑色蛍光体を用いることにより、青色光を大幅に低減させても演色性を維持することができる。
【0037】
このような緑色蛍光体の具体例としては、例えば、シリケート系緑色蛍光体、アルミネート系緑色蛍光体、β−SiAlON:Eu等のサイアロン系緑色蛍光体等が挙げられる。なお、本実施形態のLED照明装置においては、青色光が少ないために用途によっては青色から緑色領域の演色性が低下することがある。このような点から演色性を向上させるためには、ピーク波長が青色光に近い短い波長域、具体的には495nm〜510nmの光を発するような緑色蛍光体が用いられる。
【0038】
また、赤色蛍光体としては、青色領域に発光ピークを有するLED素子の光により励起されて、595nm〜680nm、好ましくは600nm〜650nmの範囲に主波長を有する赤色光を発する赤色蛍光体が挙げられる。赤色蛍光体の具体例としては、例えば、窒化物系赤色蛍光体、シリケート系赤色蛍光体、CaAlSiN3:Eu等のカズン系赤色蛍光体、サイアロン系赤色蛍光体、等が挙げられる。
【0039】
また、演色性を向上させるために、緑色発光スペクトルと赤色発光スペクトルとの混色によるスペクトルの谷を埋めるために、緑色発光スペクトルと赤色発光スペクトルとの中間的な発光スペクトルを示す、波長550nm〜590nmに発光ピークを有する励起光を発するようなYAG系蛍光体等の黄色蛍光体をさらに含有してもよい。
【0040】
各蛍光体の粒子径は特に限定されないが、平均粒子径が2〜300μm、さらには5〜30μm程度であることが好ましい。また、必要に応じて、ナノレベルの粒子径を有する蛍光体を含有してもよい。
【0041】
また、青色LED素子から発せられる光を散乱させる光拡散材や、着色するために着色剤を配合してもよい。光拡散材の具体例としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、タルク、ガラスパウダー等が挙げられる。また、着色剤の具体例としては、コバルトブルー、群青、酸化鉄等の顔料が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
本実施形態のLED照明装置の発光色は、上述のように、青色光の波長領域に発光ピークを備えたLED素子と、LED素子の発光に励起されて赤色光の波長領域の光を発光する赤色蛍光体と、LED素子の発光に励起されて緑色光の波長領域の光を発光する緑色蛍光体とを含み、IB<IG,IB<IR,AB≦AG,AB≦AR,及びAB/(AR+AG)≦0.03を満たすものであれば特に限定されない。
【0043】
また、本実施形態のLED照明装置の発光色は、混色された光のスペクトルの全相対面積に対して、波長480nm以下の領域の相対スペクトル面積が20%以下、さらには、15%以下であることが、青色光の領域を極めて低減させているために、網膜への悪影響が懸念される青色光を特に低減できる点から好ましい。
【0044】
なお、本実施形態のLED照明装置の形態は特に限定されない。図1に示したLED照明装置10のような形態の他、以下のような形態が例示できる。例えば、図5Aに示すような蛍光体含有シート8を載置し封止して得られるような形態のLED照明装置20が挙げられる。図5Aは、緑色蛍光体FG及び赤色蛍光体FRをシリコーン樹脂やシリコーンゴムなどの樹脂12に分散させてシート状に成形した蛍光体含有シート8を青色LED素子1を封止する樹脂封止体3中に配置したLED照明装置20の模式断面図である。LED照明装置20においては、青色LED素子1の発光が蛍光体含有シート12中の緑色蛍光体FG及び赤色蛍光体FRを励起させて蛍光を発光させることにより波長変換を行わせている。
【0045】
また、別の形態としては、例えば、図5Bに示すような蛍光体含有シート18を表面に載置したような形態のLED照明装置21であってもよい。図5Bは、緑色蛍光体FG及び赤色蛍光体FRをシリコーン樹脂やシリコーンゴムなどの樹脂13に分散させてシート状に成形した蛍光体含有シート18を青色LED素子1を封止する樹脂封止体3の表面に配置したLED照明装置21の模式断面図である。LED照明装置21においても、青色LED素子1の発光が蛍光体含有シート18中の緑色蛍光体FG及び赤色蛍光体FRを励起させて蛍光を発光させることにより波長変換を行わせている。
【0046】
また、図6Aは、チップオンボードの形態のLED照明装置30の模式断面図を示す。図6Aにおいては回路基板15の図略の回路上に青色LED素子1が実装されており、青色LED素子1が緑色蛍光体FG及び赤色蛍光体FRを封止樹脂22に分散させて封止されている。LED照明装置30においては、青色LED素子1の発光が封止樹脂22中に分散された緑色蛍光体FG及び赤色蛍光体FRを励起させて蛍光を発光させることにより波長変換を行わせている。本実施形態のLED照明装置の他、砲弾型LED照明装置や青色LED照明装置に蛍光体を含むキャップを被せたような形態であってもよい。かかるキャップやシートは青色LED素子と空間を隔てて離れた位置に配置された、LED照明装置であってもよい。
【0047】
図6Bは、青色LED素子と空間を隔てて離れた位置に蛍光体含有シートが配置されたLED照明装置40を説明するための斜視図であり、図6C図6BのLED照明装置40のA−A'断面における断面図である。図6B及び図6C中、41は青色LED素子1を含む青色光を発するLEDパッケージ、42は蛍光体含有シート、43は回路基板、43aは回路基板43の表面に形成された電気回路、44は、ハウジング部材、45は回路基板43に電力を供給するためのプラグ、46は蛍光体含有シート42を支持するための溝である。なお、図6BではLED照明装置40の内部構造を説明するために、蛍光体含有シート42の一部分を透かして表現している。
【0048】
LED照明装置40においては、回路基板43の表面に形成された電気回路43aに、複数のLEDパッケージ41を2列の直線上に並べて実装して光源ユニットが構成されている。そして、プラグ45を図略のコンセントに挿入して回路基板43に電力を供給することにより、LEDパッケージ41が点灯する。また、回路基板43上には、必要に応じて、LEDパッケージ41の点灯を制御するための制御回路や光センサー、電子タイマー等を設けてもよい。そして、このような光源ユニットは、ハウジング部材44に収容されている。ハウジング部材44は、LEDパッケージ41の発光面側に、開口を有するか、光透過面を有する。
【0049】
蛍光体含有シート42は、複数のLEDパッケージ41と所定の距離を隔ててハウジング部材44に設けられた溝46により支持されている。そして、1枚の蛍光体含有シート42は、LEDパッケージ41を覆っている。なお、蛍光体含有シート42はハウジング部材44に設けられた溝46により脱着自在に支持されている。このように蛍光体含有シート42は溝46により支持されることにより、容易に取り外し及び取り付けされる。
【0050】
そして、LEDパッケージ41においては、回路基板43にプラグ45から電力を供給することによりLEDパッケージ41が発光する。そして、LEDパッケージ41の発する青色光は蛍光体含有シート42に入射する。そして、蛍光体含有シート42に入射した青色光は、蛍光体含有シート42に含有される蛍光体により、その蛍光体組成に応じて定まる波長に波長変換される。
【0051】
LED照明装置40においては、発光の混色のスペクトルにおいて、IB<IG,IB<IR,AB≦AG,AB≦AR,及びAB/(AR+AG)≦0.03を満たすように、蛍光体含有シート42が、赤色蛍光体及び緑色蛍光体を含有する。
【0052】
蛍光体含有シート42は複数のLEDパッケージ41を覆う、上述したような蛍光体を含有する1枚の樹脂シートであればその形態は特に限定されない。蛍光体含有シート42は、上述したように蛍光体を含有する単層のシートであっても、また、互いに蛍光体の種類や配合組成の異なる複数層が積層された積層体であってもよい。また、脱着性を向上させるために、蛍光体含有シートは、透明樹脂シートに積層されていてもよい。透明樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ポリカーカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂,シリコーン樹脂等の光透過性樹脂材料が挙げられる。
【0053】
蛍光体含有シート42の厚みとしては、10〜3000μm、さらには50〜500μm程度であることが好ましい。
【0054】
次に、本実施形態のLED照明装置の製造方法の一例について説明する。本実施形態のLED照明装置の製造においては、はじめに、上述したような、440nm〜480nmの波長領域に発光ピークを有する光を発する青色光の波長領域に発光ピークを備えたLED素子、LED素子の発光に励起されて595nm〜680nmの赤色光の波長領域の光を発光する赤色蛍光体、及びLED素子の発光に励起されて495nm〜510nmの緑色光の波長領域の光を発光する緑色蛍光体を準備する。
【0055】
そして、次に、LED素子の発光による青色発光スペクトルと、赤色蛍光体の発光による赤色発光スペクトルと、緑色蛍光体の発光による緑色発光スペクトルとの混合により所定の混色を発光させるように、赤色蛍光体及び緑色蛍光体の配合組成を決定する。このとき、配合組成は、混色のスペクトルにおいて、IB<IG,IB<IR,AB≦AG,AB≦AR,及びAB/(AR+AG)≦0.03を満たすように決定される。
【0056】
そして、配合組成に応じた赤色蛍光体及び緑色蛍光体を透明樹脂成分に分散させて蛍光体樹脂組成物を調製する。透明樹脂成分としては、例えば、LED照明装置のLED素子の封止体として用いられるような、エポキシ系樹脂、シリコーン系ゴム,シリコーン系エラストマー,シリコーン系樹脂等のシリコーン、アクリル樹脂、アクリルゴム、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系エラストマー等が挙げられる。これらの中では、シリコーン系ゴムやシリコーン系エラストマーが、耐熱性、耐光性及び光透過性に優れているために長時間使用による変色等の劣化が少なく、また、蛍光体を均一に分散させやすい点から好ましい。蛍光体樹脂組成物を調製する方法は、従来からLED照明装置の製造に用いられている方法が特に限定なく用いられる。また、シリコーン系ゴムやシリコーン系エラストマーの硬度は、JIS K6253のJIS−A硬度0〜JIS−A硬度90であることが好ましい。
【0057】
蛍光体樹脂組成物中に含有される各種蛍光体の合計の含有割合は、特に限定されないが、20〜90質量%、さらには30〜70質量%の範囲であることが好ましい。なお、青色光を低減させるために、蛍光体は比較的多く含有させることが好ましい。なお、蛍光体の分散性を向上させるためには、蛍光体の表面をシランカップリング剤等で処理してもよい。
【0058】
なお、蛍光体樹脂組成物を調製する場合、次のような問題が生じることがある。低粘度の液状樹脂中に蛍光体を分散させた場合、比重差に応じて経時的に蛍光体が沈降して分散性が不均一になる。特に、蛍光体の含有割合が低い場合には、蛍光体がより沈降しやすくなる。蛍光体が沈降した場合、領域毎に蛍光体の含有量がばらつく。このような場合においては、常温で粘度200Pa・sec以上、好ましくは1000Pa・sec以上の液状または常温で固体状または半固体状の蛍光体樹脂組成物を調製することが好ましい。なお、粘度は、常温(25℃)において、JIS K7117に準じて「単一円筒回転粘度計を用いる方法」により測定される値である。なお、上記測定方法による適用範囲を超える高粘度の場合には、常温(25℃)において、JIS K2220 に準じて「見かけ粘度試験方法」により粘度を測定することができる。
【0059】
このような樹脂成分としては、ミラブル型シリコーンや常温で粘度200Pa・sec以上の液状のシリコーンが挙げられる。ミラブル型シリコーンの具体例としては、例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク社製の「TSE−2257U」,「TSE‐2287U」等や、信越化学工業(株)製の「KE‐9610-U」,「KE-9710-U」等、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製の「SE-88611-CVU」,「SE-8711-CVU」等が挙げられる。また、常温で粘度200Pa・sec以上の液状のシリコーンの具体例としては、例えば、信越化学工業(株)製の「LPS-L400」,「LPS-3412」,「KE−1950-70」,「KEG-2000-70」(以上「 」内は、商品名)等が挙げられる。
【0060】
そして、このようにして形成された蛍光体樹脂組成物を青色LED素子の発光領域に配置する。この工程は、例えば、青色LED素子を蛍光体樹脂組成物で封止する工程であっても、蛍光体樹脂組成物をシート状に成形し、そのシートを青色LED素子の発光領域に配置する工程であっても、青色LED素子の発光領域を含む封止体に蛍光体樹脂組成物を塗布するような工程であってもよい。LED照明装置の形態に応じて適宜選択される。
【実施例】
【0061】
[実施例1]
色度座標(0.14,0.03)に位置する、主波長ピークが460nmである青色光を発する青色LED素子を含む青色LED照明装置を準備した。一方、表1に示すように、ミラブルタイプのシリコーンゴム100質量部に、緑色蛍光体90質量部及び赤色蛍光体10質量部を均一に分散させ、厚み0.5mmの蛍光体含有シートを作製した。なお、緑色蛍光体としては、シートにしたときに座標(0.20,0.43)に位置する、主波長510nmの緑色光を発するシリケート系緑色蛍光体を用い、赤色蛍光体としては、シートにしたときに座標(0.62,0.38)に位置する、主波長650nmの赤色光を発する窒化物系赤色蛍光体を用いた。
【0062】
青色LED照明装置の発光面に蛍光体含有シートを装着して発光させたところ、色度座標(0.38,0.38)に位置する、相関色温度4000Kの白色光が観測された。各色及び混色の発光スペクトルを図7に示す。なお、青色発光スペクトルの相対スペクトル面積(AB)は1.20、主波長ピーク460nmの発光ピーク強度(IB)は0.30であり、緑色発光スペクトルの相対スペクトル面積(AG)は14.73、主波長ピーク510nmの発光ピーク強度(IG)は0.70であり、赤色発光スペクトルの相対スペクトル面積(AR)は23.02、主波長ピーク650nmの発光ピーク強度(IR)は1.00であり、AB/AR+AG=0.03であった。また、混色された光のスペクトルの全相対面積に対して、波長480nm以下の領域の相対スペクトル面積は13%であった。結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
[実施例2(参考例)
色度座標(0.14,0.03)に位置する、主波長ピークが460nmである青色光を発する青色LED含む青色LED照明装置を準備した。一方、表1に示すように、ミラブルタイプのシリコーンゴム100質量部に、緑色蛍光体45質量部及び赤色蛍光体11質量部を均一に分散させ、厚み0.5mmの蛍光体含有シートを作製した。なお、緑色蛍光体としては、シートにしたときに座標(0.26,0.50)に位置する、主波長525nmの緑色光を発するアルミネート系緑色蛍光体を用い、赤色蛍光体としては、シートにしたときに座標(0.62,0.38)に位置する、主波長650nmの赤色光を発する窒化物系赤色蛍光体を用いた。
【0065】
青色LED照明装置の発光面に蛍光体含有シートを装着して発光させたところ、色度座標(0.41,0.39)に位置する、相関色温度3500Kの白色光が観測された。各色及び混色の発光スペクトルを図8に示す。なお、青色発光スペクトルの相対スペクトル面積(AB)は1.60、主波長ピーク460nmの発光ピーク強度(IB)は0.40であり、緑色発光スペクトルの相対スペクトル面積(AG)は12.63、主波長ピーク525nmの発光ピーク強度(IG)は0.60であり、赤色発光スペクトルの相対スペクトル面積(AR)は23.02、主波長ピーク650nmの発光ピーク強度(IR)は1.00であり、AB/AR+AG=0.05であった。また、混色された光のスペクトルの全相対面積に対して、波長480nm以下の領域の相対スペクトル面積は10%であった。結果を表1に示す。
【0066】
[実施例3(参考例)]
色度座標(0.14,0.03)に位置する、主波長ピークが460nmである青色光を発する青色LED含む青色LED照明装置を準備した。一方、表1に示すように、ミラブルタイプのシリコーンゴム100質量部に、緑色蛍光体98質量部及び赤色蛍光体1質量部を均一に分散させ、厚み0.5mmの蛍光体含有シートを作製した。なお、緑色蛍光体としては、シートにしたときに主波長510nmの座標(0.20,0.43)に位置する緑色光を発するシリケート系緑色蛍光体を用い、赤色蛍光体としては、シートにしたときに主波長600nmの座標(0.52,0.46)に位置する赤色光を発するシリケート系赤色蛍光体を用いた。
【0067】
青色LED照明装置の発光面に蛍光体含有シートを装着して発光させたところ、色度座標(0.28,0.42)に位置する緑色光が観測された。各色及び混色の発光スペクトルを図9に示す。なお、青色発光スペクトルの相対スペクトル面積(AB)は0.40、主波長ピーク460nmの発光ピーク強度(IB)は0.10であり、緑色発光スペクトルの相対スペクトル面積(AG)は21.04、主波長ピーク525nmの発光ピーク強度(IG)は1.00であり、赤色発光スペクトルの相対スペクトル面積(AR)は6.92、主波長ピーク650nmの発光ピーク強度(IR)は0.30であり、AB/AR+AG=0.01であった。また、混色された光のスペクトルの全相対面積に対して、波長480nm以下の領域の相対スペクトル面積は20%であった。結果を表1に示す。
【0068】
[比較例1]
色度座標(0.14,0.03)に位置する、主波長ピークが460nmである青色光を発する青色LED含む青色LED照明装置を準備した。一方、表1に示すように、ミラブルタイプのシリコーンゴム100質量部に、黄色蛍光体43質量部を均一に分散させ、厚み0.5mmの蛍光体含有シートを作製した。なお、黄色蛍光体としては、シートにしたときに主波長579nmの座標(0.47,0.51)に位置する黄色光を発するYAG系黄色蛍光体を用いた。
【0069】
青色LED照明装置の発光面に蛍光体含有シートを装着して発光させたところ、色度座標(0.38,0.38)に位置する、相関色温度4000Kの白色光が観測された。各色及び混色の発光スペクトルを図10に示す。なお、青色発光スペクトルの相対スペクトル面積(AB)は4.01、主波長ピーク460nmの発光ピーク強度(IB)は1.00であり、黄色発光スペクトルの相対スペクトル面積(AY)は15.37、主波長ピーク579nmの発光ピーク強度(IY)は0.73であり、AB/AY=0.26であった。また、混色された光のスペクトルの全相対面積に対して、波長480nm以下の領域の相対スペクトル面積は21%であった。結果を表1に示す。
【0070】
[比較例2]
色度座標(0.14,0.03)に位置する、主波長ピークが460nmである青色光を発する青色LED含む青色LED照明装置を準備した。一方、表1に示すように、ミラブルタイプのシリコーンゴム100質量部に、黄色蛍光体53質量部を均一に分散させ、厚み0.5mmの蛍光体含有シートを作製した。なお、黄色蛍光体としては、シートにしたときに主波長583nmの座標(0.48,0.50)に位置する黄色光を発するYAG系黄色蛍光体を用いた。
【0071】
青色LED照明装置の発光面に蛍光体含有シートを装着して発光させたところ、色度座標(0.41,0.39)に位置する、相関色温度3500Kの白色光が観測された。各色及び混色の発光スペクトルを図11に示す。なお、青色発光スペクトルの相対スペクトル面積(AB)は4.01、主波長ピーク460nmの発光ピーク強度(IB)は1.00であり、黄色発光スペクトルの相対スペクトル面積(AY)は19.60、主波長ピーク583nmの発光ピーク強度(IY)は0.93であり、AB/AY=0.20であった。また、混色された光のスペクトルの全相対面積に対して、波長480nm以下の領域の相対スペクトル面積は17%であった。結果を表1に示す。
【0072】
[比較例3]
色度座標(0.14,0.03)に位置する、主波長ピークが460nmである青色光を発する青色LED含む青色LED照明装置を準備した。一方、表1に示すように、ミラブルタイプのシリコーンゴム100質量部に、黄色蛍光体53質量部を均一に分散させ、厚み0.5mmの蛍光体含有シートを作製した。なお、黄色蛍光体としては、シートにしたときに主波長540nmの座標(0.32,0.48)に位置する黄色光を発するYAG系黄色蛍光体を用いた。
【0073】
青色LED照明装置の発光面に蛍光体含有シートを装着して発光させたところ、色度座標(0.28,0.43)に位置する緑色光が観測された。各色及び混色の発光スペクトルを図12に示す。なお、青色発光スペクトルの相対スペクトル面積(AB)は4.01、主波長ピーク460nmの発光ピーク強度(IB)は1.00であり、黄色発光スペクトルの相対スペクトル面積(AY)は21.54、主波長ピーク540nmの発光ピーク強度(IY)は1.01であり、AB/AY=0.20であった。また、混色された光のスペクトルの全相対面積に対して、波長480nm以下の領域の相対スペクトル面積は23%であった。結果を表1に示す。
【0074】
実施例1及び比較例1はいずれも相関色温度4000Kの白色光を発し、実施例2及び比較例2はいずれも相関色温度3500Kの白色光を発し、実施例3及び比較例3はいずれも緑色光を発している。各々対応する実施例及び比較例を比較すると、同様の色の光を発しているのにも関わらず、実施例においては網膜への悪影響が懸念されている青色光の割合が著しく低減されていることができたことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明のLED照明装置は、網膜への悪影響が懸念されているブルーライトを低減させている。そのために、白色光として液晶ディスプレー等のバックライトとして用いたり、また、着色された光として自動車のインジケータの光源として用いた場合には、液晶ディスプレーやインジケータを長時間凝視することによる網膜への悪影響の懸念を解消できる。
【符号の説明】
【0076】
1 青色LED素子
2,3,22 樹脂封止体(封止樹脂)
5 発光体収容部材
5a,5b リード
6 金線
10,20,21,30,40 LED照明装置
12,18,42 蛍光体含有シート
15,43 回路基板
41 LEDパッケージ
43a 電気回路
44 ハウジング部材
45 プラグ
46 溝
FG 緑色蛍光体
FR 赤色蛍光体
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
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図13
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