(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。以下、効果に関する記載は、本発明の実施の形態の効果の一側面であり、ここに記載するものに限定されない。また、以下で説明するフローチャートを構成する各処理の順序は、処理内容に矛盾や不整合が生じない範囲で順不同である。
【0013】
本発明の実施の形態の概要について説明する。
図1は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、システムの構成を示すブロック図である。
【0014】
図1(a)は、システムの構成に関する1つの例を表す図である。システムは、センサを搭載したディスプレイ装置1と、光線を照射する照射装置2と、ディスプレイ装置1にて表示される画像を生成又は処理するコンピュータ装置3と、センサを搭載したコントローラ4とから構成される。
【0015】
ディスプレイ装置1は、視界を覆うようにして頭部に装着するゴーグル型の表示装置であることが好ましい。ディスプレイは高い透過率を有する透過型ディスプレイであっても、低い透過率を有する非透過型ディスプレイであってもよい。また、ディスプレイ装置1は、搭載された複数のセンサを用いて、ユーザの姿勢を特定することができる。ディスプレイ装置1の構成については後述する。
【0016】
照射装置2は、広範囲にレーザ光線を照射する装置である。照射装置2の周囲にレーザ光線が照射されると、ディスプレイ装置1及びコントローラ4に搭載された光センサによってレーザ光線が感知され、ディスプレイ装置1及びコントローラ4の位置を特定する。この位置特定方法は、「Lighthouse方式」と呼ばれるものである。より正確に位置を特定するために、照射装置2は、所定の間隔を空けて少なくとも2台設置されることが好ましい。
【0017】
コンピュータ装置3は、ディスプレイ装置1及びコントローラ4と通信により接続可能である。通信は、有線又は無線によるものであってもよい。コンピュータ装置3は、ディスプレイ装置1と互いに独立した装置であってもよいし、ディスプレイ装置1に組み込まれた一体の装置であってもよい。
【0018】
コントローラ4は、ボタンとトリガを備え、ユーザの操作により入力を受け付ける入力装置である。また、光センサが搭載されており、照射装置2から照射されたレーザ光線を感知することができる。さらに、タッチセンサが搭載されており、ユーザの接触による入力を受け付けることができる。コントローラ4は、一対にして左右の手に把持して使用するものであるが、いずれか1つのみを使用するものであってもよい。
【0019】
図1(b)は、
図1(a)に示すシステムとは異なるシステムの構成に関する1つの例を表す図である。
図1(b)に示すシステムは、光源となる発光部を備えるディスプレイ装置51と、ディスプレイ装置51やコントローラ54の光源となる発光部から発せられた光を撮影する撮影装置52と、ディスプレイ装置51にて表示される画像を生成又は処理するコンピュータ装置53と、光源となる発光部を備えるコントローラ54とから構成される。
【0020】
ディスプレイ装置51は、ディスプレイ装置1と同様に、視界を覆うようにして頭部に装着するゴーグル型の表示装置であることが好ましい。ディスプレイは高い透過率を有する透過型ディスプレイであっても、低い透過率を有する非透過型ディスプレイであってもよい。
【0021】
撮影装置52は、ディスプレイ装置51及びコントローラ54の光源となる発光部から発せられた光を撮影することにより、ディスプレイ装置51及びコントローラ54の位置を特定するための装置である。
【0022】
コンピュータ装置53は、ディスプレイ装置51及びコントローラ54と通信により接続可能である。通信は、有線又は無線によるものであってもよい。
【0023】
コントローラ54は、ボタンを備え、ユーザの操作により入力を受け付ける入力装置である。光源となる発光部を備え、コントローラ54から発せられた光を撮影装置52が撮影することにより、コントローラ54の位置を特定する。コントローラは手に把持するものであり、対にして使用することが好ましいが、1つのコントローラを使用するものとしてもよい。
【0024】
以下の説明において、本発明の実施の形態においては、
図1(a)に示した方式により、ディスプレイ装置1及びコントローラ4の位置を特定するものとする。しかし、本発明はこの方式に限定されない。例えば、
図1(b)に示した方式や、頭部以外の身体の一部に装着し、ディスプレイ装置1及びコントローラ4の位置を特定するものであってもよい。
【0025】
ディスプレイ装置1に表示される画像は、ディスプレイ装置1に搭載されたセンサにより測定された値、及び、コントローラ4へのユーザの入力操作に基づいて、コンピュータ装置3により生成又は処理された画像である。
【0026】
ここで、ディスプレイ装置1の構成について説明する。
図2は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、ディスプレイ装置の構成を示すブロック図である。ディスプレイ装置1は、制御部11、RAM(Random Access Memory)12、ストレージ部13、撮像部14、グラフィックス処理部15、表示部16、センサ部18、通信インタフェース19、インタフェース部20、及びレンズ21からなり、それぞれ内部バスにより接続されている。
【0027】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)から構成される。制御部11は、ストレージ部13に格納されたプログラムを実行し、ディスプレイ装置1の制御を行う。RAM12は、制御部11のワークエリアである。ストレージ部13は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。
【0028】
制御部11は、プログラム及びデータをRAM12及びストレージ部13から読み出して処理を行う。制御部11は、RAM12にロードされたプログラム及びデータを処理することで、描画命令をグラフィックス処理部15に出力する。さらに、制御部11は、センサ部18において測定された各種の値に基づいて処理を行う、あるいは、インタフェース部20を介してコンピュータ装置3へデータを送信する。
【0029】
撮像部14は、レンズ21を介して撮影した画像をグラフィックス処理部15へ出力する。ディスプレイ装置1を頭部に装着することによって視界が覆われる場合には、装置外部の情報を確認することができないため、撮像部14により撮像された情報を、後述する表示部16が備える表示画面17に表示させることで、ユーザは現実空間を認識することができ、安全性を確保することができる。
【0030】
グラフィックス処理部15は、フレーム単位で1枚の画像の描画を実行する。画像の1フレーム時間は、例えば30分の1秒である。グラフィックス処理部15は、描画に関する演算処理の一部を受け持ち、システム全体の負荷を分散させる役割を有する。
【0031】
表示部16は、表示画面17を備え、ユーザの視界を覆うディスプレイ装置1のゴーグル内部に設置される。表示画面17は、例えば、有機ELや無機ELが使用されるが、これに限定されるものではない。
【0032】
センサ部18は、近接センサ18a、赤外線センサ18b、ジャイロセンサ18c、及び、加速度センサ18dを少なくとも備える。近接センサ18aは、ディスプレイ装置1のゴーグル部分に設置され、ユーザの顔部との接触有無を判定するために用いる。赤外線センサ18bは、ディスプレイ装置1に複数設置されるものであり、照射装置2から照射された光線を感知することで、ディスプレイ装置1の位置を特定するために用いる。ジャイロセンサ18c、及び加速度センサ18dは、ユーザの姿勢を特定するために用いる。
【0033】
ここで、図を用いてユーザの姿勢の特定方法について説明する。
図3は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、ディスプレイ装置を頭部に装着した場合にユーザの姿勢を特定するための直交座標系を示す図である。
【0034】
図示するように、ディスプレイ装置1を装着したユーザの頭部を中心にして、XYZ座標を規定する。ユーザが直立する垂直方向をY軸(ヨー角)、Y軸と直交し、かつ、ディスプレイ装置1の表示画面17の中心とユーザの頭部とを結ぶ方向をZ軸(ロール角)、Y軸及びZ軸と直交する方向をX軸(ピッチ角)とする。ジャイロセンサ18cでは、各軸回りの角度(傾き)を検出し、加速度センサ18dでは、ディスプレイ装置1の動きを検知する。検出された角度及び検知された動きに応じて、表示画面17に表示される画像を変化させる。ディスプレイ装置1は、複数のセンサにより測定された値(以下、姿勢情報という)を用いて、ユーザの姿勢を特定することができる。
【0035】
続いて、通信インタフェース19は、無線又は有線により通信回線5に接続が可能であり、通信回線5を介してデータを受信することが可能である。通信インタフェース19を介して受信したデータは、RAM12にロードされ、制御部11により演算処理が行われる。
【0036】
インタフェース部20は、主にコンピュータ装置3と接続され、コンピュータ装置3において処理又は生成された画像等のデータを受信することができる。また、センサ部18において取得した各種センサの測定値をコンピュータ装置3へ送信することもできる。
【0037】
続いて、コンピュータ装置3について説明する。
図4は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、コンピュータ装置の構成を示すブロック図である。コンピュータ装置3は、制御部31、RAM(Random Access Memory)32、ストレージ部33、サウンド処理部34、グラフィックス処理部35、DVD/CD−ROMドライブ36、通信インタフェース37、インタフェース部38、及びフレームメモリ39からなり、それぞれ内部バスにより接続されている。
【0038】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)から構成される。制御部31は、ストレージ部33に格納されたプログラムを実行し、コンピュータ装置3の制御を行う。RAM32は、制御部31のワークエリアである。ストレージ部33は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。
【0039】
制御部31は、プログラム及びデータをRAM32から読み出して処理を行なう。制御部31は、RAM32にロードされたプログラム及びデータを処理することで、描画命令をグラフィックス処理部35に出力する。
【0040】
サウンド処理部34は、サウンド出力装置40に接続されている。制御部31がサウンド出力の指示をサウンド処理部34に出力すると、サウンド処理部34はサウンド出力装置40にサウンド信号を出力する。サウンド出力装置40は、例えば、ヘッドフォンであり、ユーザがディスプレイ装置1とともに頭部に装着してもよいし、スピーカがディスプレイ装置1に組み込まれていてもよい。
【0041】
グラフィックス処理部35は、フレーム単位で1枚の画像の描画を実行する。画像の1フレーム時間は、例えば90分の1秒である。グラフィックス処理部35は描画に関する演算処理の一部を受け持ち、システム全体の負荷を分散させる役割を有する。コンピュータ装置3のグラフィックス処理部35は、ディスプレイ装置1の位置情報及び姿勢情報と、コントローラ4の位置情報とに基づいて、表示画面17に表示する画像を生成するため、ディスプレイ装置1に含まれるグラフィックス処理部15よりも高い性能を要する。
【0042】
DVD/CD−ROMドライブ36は、ディスク41からデータを読み込み、RAM32にロードされ、制御部31により演算処理が行われる。なお、ディスク41の種類はDVD又はCDに限らず、Blu−ray(登録商標)ディスクやその他の規格であってもよい。
【0043】
通信インタフェース37は無線又は有線により通信回線5に接続が可能であり、通信回線5を介してデータを受信することが可能である。通信インタフェース37を介して受信したデータは、ディスク41から読み込まれたデータと同様に、RAM32にロードされ、制御部31により演算処理が行われる。
【0044】
インタフェース部38は、主にディスプレイ装置1と接続され、コンピュータ装置3において処理又は生成された画像等のデータを送信することができる。
【0045】
なお、上述の説明において、ディスプレイ装置1とコンピュータ装置3とは別装置として記載したが、ディスプレイ装置1によりコンピュータ装置3の処理をすべて行うこととしてもよい。この場合には、コンピュータ装置3は不要となり、コントローラ4はディスプレイ装置1と通信により接続される。
【0046】
続いて、本発明の実施の形態におけるプログラム実行処理について説明する。本発明の実施の形態の一例として、仮想世界において敵キャラクタと仮想戦闘を行うゲームで、プレイヤが所有するカードを選択することで、プレイヤキャラクタの行動を決定し、仮想戦闘を進行させるゲームが挙げられる。プレイヤは、一人のプレイヤキャラクタを操作するようにしてもよいし、複数人のプレイヤキャラクタからなるチームを操作するようにしてもよい。プレイヤが所有するカードは、プレイヤアカウントに直接、あるいは、プレイヤキャラクタと関連付けられて記憶される。
【0047】
図5は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、ゲーム実行画面の例である。表示画面17には、仮想戦闘の状況が映しだされており、敵キャラクタ101と、システム指示情報102と、プレイヤキャラクタが使用可能であり、且つ、複数のキャラクタを模した、プレイヤにより選択される選択肢となるカード群103と、仮想世界におけるプレイヤの手部104とが少なくとも表示される。図示しないが、プレイヤキャラクタは、プレイヤキャラクタの体力を表す値(以下、体力値という)を有しており、体力値がなくなると戦闘不能状態となりゲームが終了する。また、敵キャラクタ101の生命力(非図示)がなくなると敵キャラクタは戦闘不能となり、プレイヤが勝利したと判定してゲームが終了する。
【0048】
プレイヤは、コントローラ4を操作することにより、仮想世界内のプレイヤキャラクタに対して行動を指示する。コントローラ4の操作とは、例えば、コントローラ4の位置及び傾きを変更させる操作、あるいは、コントローラ4のボタン等に対する押下又は接触操作をいう。コントローラ4の位置及び傾きの変化情報を入力情報とすることで、プレイヤは直感的な操作を行うことができ、よりゲームに集中することができる。
【0049】
本発明の実施の形態の前提として、プログラムが実行されると、コンピュータ装置3の制御部31は、プログラムによって定義される仮想空間をグラフィックス処理部35に出力させる。また、ディスプレイ装置1を頭に装着したプレイヤの位置、及び、コントローラ4の位置を、照射装置2から照射された光線を受光した位置及び方向に基づいて特定する。さらに、ディスプレイ装置1のセンサ部18の各種センサの測定値により、ディスプレイ装置1の姿勢を特定する。
【0050】
図6は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、仮想空間の概念を表す図である。プログラムにより定義される仮想空間70が、図示するように半球状の空間で表される場合に、ディスプレイ装置1を頭部に装着したプレイヤ80の視野は、可視領域81に該当する。すなわち、可視領域81に該当する映像が、ディスプレイ装置1の表示画面17に表示される。例えば、プレイヤ80が左を向けば、プレイヤ80の動きにしたがって、可視領域81は左側に移動する。上下方向についても同様に、例えば、プレイヤ80が上を向けば、プレイヤ80の動きにしたがって、可視領域81は上側に移動する。
【0051】
続いて、情報を表示する処理について説明する。
図7は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、プログラム実行処理のフローチャートである。最初に、ディスプレイ装置1の姿勢情報を測定する(ステップS1)。姿勢情報は、ディスプレイ装置1のセンサ部18に含まれる各種センサにより測定される。
【0052】
次に、ディスプレイ装置1に搭載された光センサが照射装置2から照射されたレーザ光線を感知し、ディスプレイ装置1の位置及び向きを特定する(ステップS2)。ステップS1及びステップS2の処理は、所定の間隔毎に行い、測定又は特定の都度、コンピュータ装置3へ送信して、ディスプレイ装置1の表示画面17において表示する表示用画像を生成してもよい。
【0053】
ステップS1において測定された姿勢情報、及び、ステップS2において特定された向き及び位置に関する情報をコンピュータ装置3へ送信する(ステップS3)。コンピュータ装置3は、情報を受信し(ステップS4)、ステップS1において測定された姿勢情報、及び、ステップS2において特定された位置情報に基づいて、仮想空間におけるプレイヤの視線を特定する(ステップS5)。
【0054】
仮想空間におけるプレイヤの視線とは、ディスプレイ装置1の姿勢情報(水平面に対する傾きに関する情報)、位置に関する情報、及び向きに関する情報(水平面に平行な平面上でどの方向を向いているかに関する情報)に基づいて特定される、可視領域81において、プレイヤが仮想空間内で見ていると推測される方向である。例えば、ディスプレイ装置1の位置に仮想カメラの視点を設定し、ディスプレイ装置1の向きをもとに、視点を始点として、仮想世界における水平面に平行な平面上でどの方向へ視線が向いているかを特定し、ディスプレイ装置1の姿勢情報をもとに、該水平面に対する視線の傾きを特定することができる。このようにすることで、プレイヤに意識させることなく、仮想世界において、プレイヤが見ていると推測される方向に存在するオブジェクトを、ディスプレイ装置1に表示させることができ、プレイヤの利便性が向上するとともに、より仮想世界に没入することができる。
【0055】
ところで、ディスプレイ装置1が、ディスプレイ装置1を装着したユーザの視線を追跡することができる機能を有するようにしてもよい。この場合には、眼球の動作から視線を算出することができる。
【0056】
次に、ステップS5において特定されたプレイヤの視線が、仮想空間内のオブジェクトと交差しているか判定する(ステップS6)。オブジェクトとは、キャラクタ、敵キャラクタ、アイテム、あるいは、仮想空間に表示される物体等をいう。
【0057】
プレイヤの視線が仮想空間内のオブジェクトと交差していると判定された場合(ステップS6においてYES)には、コンピュータ装置3のストレージ部33に記憶された情報、ディスク41から読み込まれた情報、通信インタフェース37から読み込まれた情報、あるいは、インタフェース部38から読み込まれた情報から、キャラクタに関連する情報のうち表示すると設定された情報を抽出し(ステップS7)、抽出された情報を含めて表示する画像を生成する(ステップS8)。プレイヤの視線が仮想空間内のオブジェクトと交差していないと判定された場合(ステップS6においてNO)には、情報を抽出することなく、表示する画像を生成する(ステップS8)。
【0058】
続いて、コンピュータ装置3は、生成された画像をディスプレイ装置1へ送信する(ステップS9)。ディスプレイ装置1は、画像を受信し(ステップS10)、受信した画像を表示画面17に表示して(ステップS11)、終了する。
【0059】
なお、ステップS6においてオブジェクトと交差していると判定され、ステップS8において情報を追加された画像が生成された後に、プレイヤがディスプレイ装置1の位置及び向きを変化させることによって、ステップS6において視線が交差していないと判定された場合には、追加されて表示されていた情報が削除され、ステップS8において画像が生成されることとなる。つまり、プレイヤがオブジェクトから視線を逸らすと、オブジェクトに関する情報が非表示となる。
【0060】
ここで、プレイヤの視線とオブジェクトとの交差について説明する。
図8は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、仮想空間におけるプレイヤの視線とオブジェクトの交差の概念を説明する図である。交差とは、視線と、オブジェクトを形成する境界面とが交差することをいい、線と面とが接することも含む概念である。
【0061】
図8(a)は、仮想戦闘におけるプレイヤの視線とキャラクタとが交差していない状況の例である。表示画面17には、プレイヤキャラクタ以外のキャラクタ111、敵キャラクタ112、及び、プレイヤの視線方向を示す点113が表示される。点113が表示されると仮想世界に没入することを妨げるため、点113は表示画面上で非表示であってもよい。
【0062】
図8(b)は、
図8(a)の状況におけるキャラクタ111及び113の位置関係を模式化して俯瞰した図である。ディスプレイ装置1を装着したプレイヤの正面方向には、プレイヤから所定の距離を隔てて、視線方向を示す点113が表示される。さらに、キャラクタ111には、プレイヤの視線と交差した場合に情報を表示するか否かの交差判定を行うための判定領域114が予め設定されている。ディスプレイ装置1と点113とを結ぶ線115は、プレイヤが仮想空間内で見ていると推測される方向を表す線である。ステップS6における交差判定は、キャラクタ111に設定された判定領域114と、線115とが交差しているか否かにより判定されるものである。
【0063】
図9は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、仮想空間におけるプレイヤの視線とオブジェクトの交差の概念を説明する図である。
図9(a)は、仮想戦闘におけるプレイヤの視線とキャラクタとが交差している状況の例である。表示画面17には、プレイヤキャラクタ以外のキャラクタ111、敵キャラクタ112、プレイヤの視線方向を示す点113、及び、視線がキャラクタ111と交差した結果表示された、キャラクタ111に関する情報116が表示される。
【0064】
図9(b)は、
図9(a)の状況におけるキャラクタ111及び113の位置関係を模式化して俯瞰した図である。ディスプレイ装置1を装着したプレイヤの正面方向には、プレイヤから所定の距離を隔てて、視線方向を示す点113が表示される。さらに、キャラクタ111には判定領域114が予め設定されている。ディスプレイ装置1と点113とを結ぶ線115は、プレイヤが仮想空間内で見ていると推測される方向を表す線である。
【0065】
図9(b)では、点113をプレイヤからキャラクタ111までの距離より遠い位置に図示したが、
図9(a)では、点113をキャラクタ111より手前に図示している。プレイヤの視線がキャラクタ111と交差していると判定されると、表示画面17には、キャラクタ111に関する情報116が表示される。情報116には、例えば、キャラクタの名前、属性、キャラクタの調子を表すアイコン、キャラクタの体力を表す体力値、キャラクタの気力を表す気力値等が含まれる。
【0066】
情報116は、現実世界では見えない情報ではあるが、ゲームを進行させるうえでは必要な情報であるため、視線を対象に向けた場合にだけ表示されることが好ましい。このようにすることで、プレイヤの没入感を損なうことなく、より趣向性の高い画面表示制御を行うことが可能となる。
【0067】
さらに、プレイヤの視線と交差した場合に情報を表示するための交差判定を行う判定領域114の設定について説明する。
図10は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、仮想世界におけるプレイヤの視線と交差判定を行う領域の設定方法を説明する図である。
【0068】
図10(a)は、人型のキャラクタに対して設定された判定領域114を表す。判定領域114は、キャラクタの形状に沿って判定領域を設定することが好ましいが、形状が複雑化することで判定処理の負荷が増大すること、及び、判定領域を設定する人的コストの観点から困難である。
【0069】
そこで、図示するように、人型キャラクタを包含する球体を定義して、判定領域114とすることができる。球の中心点は、人型キャラクタの大きさを表す座標位置から算出してもよいし、人型キャラクタがポリゴンにより表示される場合には、特定のボーンの頂点を中心点としてもよい。このようにすることで、違和感なくキャラクタへの視線を判定することができ、かつ、判定処理の負荷を軽減することができる。
【0070】
一方、極端に一方向に長いキャラクタ等においては、判定領域を、球体として設定してしまうと、キャラクタとは遠く離れた空間にまで判定領域を広げてしまい、キャラクタが明らかに存在しない空間においても、キャラクタに関連する情報が追加で表示されてしまうことになり、プレイヤに違和感を与えることとなり得る。そこで、
図10(b)に示すように、身体の部位毎に複数の判定領域114を設定することができる。具体的には、頭部、胴体部、左右の腕部、左右の脚部にそれぞれ判定領域114a〜114eを設定する。このようにすることで、判定処理の負荷及び開発コストを抑えつつ判定領域114を設定することができ、プレイヤに違和感を与えることなく情報を表示することができる。
【0071】
なお、三次元空間における線分と物体の交差判定には、例えば、レイトレーシング法において物体とレイ(光線)との交点を求めるための方法を用いることができる。その他の方法によっても可能であり、本発明においては交差判定の方法により限定されるものではない。
【0072】
本発明の実施の形態を適用可能なゲームとして、例えば、複数のキャラクタが登場するようなロールプレイングゲーム(RPG)や、宝探しのように仮想世界に存在するオブジェクトの情報をプレイヤが知ることで進めるゲームが好ましいが、これに限定されない。また、インターネットを介して不特定多数のプレイヤが参加するMMO(Massively Multiplayer Online)型のゲームにも適用可能である。
【0073】
本発明の実施の形態では、ディスプレイ装置1及びコントローラ4の位置を特定するための光線はレーザ光線であって、例えば、赤外線が挙げられるが、光線はこれに限定されず、可視光線であってもよいし、不可視光線であってもよい。
【0074】
本発明の実施の形態では、視線とオブジェクトが交差した場合に、視認可能な態様で画像を生成する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、人の知覚により認識することができる態様であればよく、例えば、視線とオブジェクトが交差した場合に、聴覚により認識可能な態様で発音するようにしてもよい。
【0075】
本発明の実施の形態の一側面として、プレイヤの視線とオブジェクトとが交差した場合に、情報を表示させることで、プレイヤのゲームへの没入感の低下を抑制することができる。
【0076】
本発明の実施の形態の一側面として、交差判定の領域を球体とすることで、判定処理の負荷を軽減し、判定領域を設定するコストを軽減することができる。
【0077】
本発明の実施の形態において、「ディスプレイ装置」とは、例えば、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)と呼ばれる装置が挙げられる。「頭部に装着」とは、例えば、帽子のように頭に被ること、眼鏡のように顔に付けること、あるいは、その他頭部の一部に付着させることをいい、身体の一部から延長させて頭部を覆うような場合も含む概念である。「向き」とは、例えば、単に物体の方向や角度だけでなく、加速度のような単位時間の変化量に関する方向を含む概念である。「仮想空間」とは、例えば、プログラム及びデータにより定義される空間であって、コンピュータにより生成される仮想的な空間をいう。
【0078】
本発明の実施の形態において、「照射装置」とは、例えば、所定の範囲内に光を照射する装置であって、範囲の広狭は問わない。「仮想カメラ」とは、例えば、コンピュータグラフィックスを描くときの視点又は画角をカメラに例えたものをいう。「視軸」とは、例えば、仮想カメラの視線の軸をいう。「オブジェクト」とは、例えば、仮想空間内に存在する有形の物体をいう。
【0079】
「オブジェクトに関連付けられた情報」とは、例えば、他のキャラクタの体力、状態、属性等の情報や、アイテムに関する情報、その他オブジェクトデータに関連する情報をいう。「オブジェクトに関連付けられた情報を追加」とは、例えば、付加された情報を人の知覚により認識できる態様で追加することをいう。「基準点」とは、例えば、オブジェクトを包含する球体の中心点をいう。
【0080】
[付記]
上で述べた実施の形態の説明は、下記の発明を、発明の属する分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができるように記載した。
【0081】
[1] プレイヤの頭部に装着することで利用される表示装置を備える表示システムであって、
表示装置の向き及び/又は位置に応じて、仮想空間内の仮想カメラの視軸及び/又は位置を特定する仮想カメラ特定手段と、
仮想カメラの視軸及び/又は位置に応じて、仮想空間内のオブジェクトを表示装置に表示する表示手段とを備え、
表示手段が、
仮想カメラ特定手段により特定された視軸上にオブジェクトが存在する場合に、オブジェクトに関連付けられた情報を追加して表示する、表示システム。
【0082】
[2] オブジェクトに所定の領域が設定されており、
オブジェクトについて設定された所定の領域と、仮想カメラの視軸が交差するか否かを判定する交差判定手段とを備え、
表示手段が、
交差判定手段により、所定の領域と視軸が交差すると判定された場合に、視軸上にオブジェクトが存在するとして、オブジェクトに関連付けられた情報を追加して表示する、
[1]に記載の表示システム。
【0083】
[3] 表示手段が、
交差判定手段により、所定の領域と視軸が交差すると判定された後に、仮想カメラの視軸及び/又は位置が変化することにより、所定の領域と視軸が交差しないと判定された場合に、表示されていたオブジェクトに関連付けられた情報を非表示にする、
[1]又は[2]に記載の表示システム。
【0084】
[4] オブジェクトに設定された所定の領域が、オブジェクトに設定された基準点を中心とする球である、[1]〜[3]のいずれかに記載の表示システム。
【0085】
[5] プレイヤの頭部に装着することで利用される表示装置と、コンピュータ装置とを備える表示システムにおいて実行される表示方法であって、
表示装置の向き及び/又は位置に応じて、仮想空間内の仮想カメラの視軸及び/又は位置を特定する仮想カメラ特定ステップと、
仮想カメラの視軸及び/又は位置に応じて、仮想空間内のオブジェクトを表示装置に表示する表示ステップとを備え、
表示ステップが、
仮想カメラ特定ステップにより特定された視軸上にオブジェクトが存在する場合に、オブジェクトに関連付けられた情報を追加して表示する、表示方法。
【0086】
[6] プレイヤの頭部に装着することで利用される表示装置と通信による接続が可能なコンピュータ装置であって、
表示装置の向き及び/又は位置に応じて、仮想空間内の仮想カメラの視軸及び/又は位置を特定する仮想カメラ特定手段と、
仮想カメラの視軸及び/又は位置に応じて、仮想空間内のオブジェクトを表示装置に表示する表示手段とを備え、
表示手段が、
仮想カメラ特定手段により特定された視軸上にオブジェクトが存在する場合に、オブジェクトに関連付けられた情報を追加して表示する、コンピュータ装置。