(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853657
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両の能動振動制御方法および装置
(51)【国際特許分類】
B60W 20/17 20160101AFI20210322BHJP
B60K 6/485 20071001ALI20210322BHJP
B60W 10/06 20060101ALI20210322BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20210322BHJP
B60K 6/54 20071001ALI20210322BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20210322BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20210322BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20210322BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20210322BHJP
G01H 17/00 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
B60W20/17
B60K6/485
B60W10/06 900
B60W10/08 900
B60K6/54
B60L50/16ZHV
B60L15/20 J
B60L9/18 J
F02D45/00 362
F02D45/00 358
G01H17/00 D
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-230869(P2016-230869)
(22)【出願日】2016年11月29日
(65)【公開番号】特開2017-105442(P2017-105442A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2019年9月17日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0176325
(32)【優先日】2015年12月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】魚 禎 秀
(72)【発明者】
【氏名】金 成 在
(72)【発明者】
【氏名】梁 炳 訓
【審査官】
佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−044229(JP,A)
【文献】
特開2007−286595(JP,A)
【文献】
特開2003−195951(JP,A)
【文献】
特開平07−133842(JP,A)
【文献】
特開昭63−208913(JP,A)
【文献】
特開2013−076363(JP,A)
【文献】
特開2008−267243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00−20/50
B60K 6/20− 6/547
B60L 1/00−58/40
F02D 45/00
G01H 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン速度またはモータ速度を含む制御信号を感知する段階と、
モータまたはエンジンの位置情報に基づいて基準角信号を選定する段階と、
高速フーリエ変換(FFT)の周期を設定し、前記基準角信号から前記周期に対応する制御信号をFFT変換する段階と、
エンジン速度および負荷に応じた基準スペクトルを設定する段階と、
FFT変換された信号と前記基準スペクトルとを比較して除去対象振動成分を抽出する段階と、
前記除去対象振動成分を周波数別に合算し、逆FFTを行って基準信号を生成する段階と、
エンジン速度および負荷に応じた振幅比を決定する段階と、
前記基準信号、前記振幅比、およびエンジントルクに基づいて各周波数別の能動振動制御を行う段階とを含み、
前記除去対象振動成分を抽出する段階は、前記FFT変換された信号が前記基準スペクトルよりも大きい周波数成分を除去対象振動成分として抽出することを特徴とするハイブリッド車両の能動振動制御方法。
【請求項2】
前記基準角信号は、モータの位置情報に基づいてレゾルバ極数(m)に応じて分周して設定され、あるいは、エンジンの位置情報に基づいて1番シリンダまたは4番シリンダの上死点(TDC)と下死点(BDC)との間に設定されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の能動振動制御方法。
【請求項3】
前記FFTの周期は、エンジンの気筒および行程を考慮して設定されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の能動振動制御方法。
【請求項4】
前記FFT信号を分析する段階は、周波数別の振幅(amplitude)と位相(phase)情報を演算することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の能動振動制御方法。
【請求項5】
前記各周波数別の能動振動制御は、逆FFTで生成された前記基準信号、エンジントルクと振幅比を乗算した値の逆相となる値に対応するモータトルクを出力して振動成分を除去することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の能動振動制御方法。
【請求項6】
エンジンとモータを動力源として含むハイブリッド車両の能動振動制御装置において、
前記エンジンまたはモータの位置情報を検出する位置センサと、
制御器とを含み、
前記制御器は、
前記位置センサで検出された前記位置情報に基づいて基準角信号を選定し、
エンジン速度またはモータ速度を含む制御信号を高速フーリエ変換(FFT)し、
エンジン速度および負荷に応じた基準スペクトルを設定し、
FFT変換された信号と前記基準スペクトルとを比較して除去対象振動成分を抽出し、
前記除去対象振動成分を周波数別に合算した後、逆FFTを行って基準信号を生成し、
エンジン速度および負荷に応じた振幅比を決定し、
前記振幅比とエンジントルクを前記基準信号に反映して各周波数別の能動振動制御を行い、
前記除去対象振動成分の抽出は、前記FFT変換された信号が前記基準スペクトルよりも大きい周波数成分を除去対象振動成分として抽出することを特徴とするハイブリッド車両の能動振動制御装置。
【請求項7】
前記制御器は、逆FFTで生成された前記基準信号、前記エンジントルク、および前記振幅比を乗算した値の逆相となる値に対応するモータトルクを出力して除去対象振動成分を除去することを特徴とする請求項6に記載のハイブリッド車両の能動振動制御装置。
【請求項8】
前記制御器は、モータの位置情報に基づいてレゾルバ極数(m)に応じて分周して基準角信号を設定したり、エンジンの位置情報に基づいて1番シリンダまたは4番シリンダの上死点(TDC)と下死点(BDC)との間に前記基準角信号を設定することを特徴とする請求項6に記載のハイブリッド車両の能動振動制御装置。
【請求項9】
前記制御器は、エンジンの気筒および行程を考慮してFFTの周期を設定し、周波数別の振幅(amplitude)と位相(phase)情報を演算して前記FFT変換された信号を分析することを特徴とする請求項6に記載のハイブリッド車両の能動振動制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両の能動振動制御方法および装置に係り、より詳しくは、FFT(Fast Fourier Transform)を利用した周波数スペクトル分析により異常振動成分を制御できるハイブリッド車両の能動振動制御方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両は、互いに異なる2種類以上の動力源を用いる自動車であって、一般に、燃料を燃焼させて駆動力を得るエンジンと、バッテリ電力で駆動力を得るモータとによって駆動される車両を意味する。
ハイブリッド車両は、エンジンとモータとから構成される2つの動力源で走行する過程でエンジンとモータをどのようにバランス良く動作させるかによって最適な出力トルクが提供される。
ハイブリッド車両は、エンジンとモータを動力源として多様な構造を形成することができるが、エンジンとモータをエンジンクラッチを介して連結し、モータに変速機が連結されたTMED(Transmission Mounted Electric Device)方式と、モータがエンジンのクランク軸に直接連結され、フライホイールを介して変速機に連結されるFMED(Flywheel Mounted Electric Device)方式とがある。
【0003】
このうち、FMED方式のハイブリッド車両は、騒音および振動が激しいため、振動を低減するための方法が研究されているが、ほとんど周波数分析方法を活用して振動成分を抽出するものである。
従来の周波数分析には、バンドパス(band pass)フィルタを用いたアナログ方法が主に使用されてきており、これは、予想される各ポイントの周波数帯域における振幅を見て異常の有無を判定する。
しかし、エンジン固有の振動成分とノイズ性振動成分の区分が明確でなく、場合によっては、必要以上の過度な振動抑制制御によって制御効率性およびエネルギー管理の面で否定的な影響を与える。また、特定の周波数成分に対する基準信号の生成および同期化だけが可能なため、追加して誘発される他の周波数成分に対する包括的で能動的な制御を行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10−2010−0064603号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、FFT(Fast Fourier Transform)を利用した全体周波数スペクトル分析により異常振動成分を精度良く制御し、フィードバックにより振動制御による周辺周波数成分の変化までリアルタイムに反映できるハイブリッド車両の能動振動制御方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明の実施形態に係るハイブリッド車両の能動振動制御方法は、エンジン速度またはモータ速度を含む制御信号を感知する段階と、モータまたはエンジンの位置情報に基づいて基準角信号を選定する段階と、高速フーリエ変換(FFT)の周期を設定し、前記基準角信号から前記周期に相当する制御信号をFFT変換する段階と、エンジン速度および負荷に応じた基準スペクトルを設定する段階と、FFT変換された信号と前記基準スペクトルとを比較して除去対象振動成分を抽出する段階と、前記除去対象振動成分を周波数別に合算し、逆FFTを行う段階と、エンジン速度および負荷に応じた振幅比を決定する段階と、前記振幅比とエンジントルクに基づいて各周波数別の能動振動制御を行う段階とを含むことを特徴とする。
【0007】
前記基準角信号は、モータの位置情報に基づいてレゾルバ極数(m)に応じて分周して設定されたり、エンジンの位置情報に基づいて1番シリンダまたは4番シリンダの上死点(TDC)と下死点(BDC)との間に設定されることを特徴とする。
【0008】
前記FFTの周期は、エンジンの気筒および行程を考慮して設定されることを特徴とする。
【0009】
前記FFT信号を分析する段階は、周波数別の振幅(amplitude)と位相(phase)情報を演算することを特徴とする。
【0010】
前記FFT変換された信号が前記基準スペクトルより大きい周波数成分を除去対象振動成分として抽出することを特徴とする。
【0011】
前記各周波数別の能動振動制御は、逆FFTで生成された基準信号、エンジントルクと振幅比を乗算した値の逆数に対応するモータトルクを出力して振動成分を除去することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記エンジンまたはモータの位置情報を検出する位置センサと、前記位置センサの信号に基づいて基準角信号を選定し、エンジン速度またはモータ速度を含む制御信号を高速フーリエ変換(FFT)し、FFT分析により振動成分を抽出した後、逆FFTを行って各周波数別の能動振動制御を行う制御器とを含むことを特徴とする。
【0013】
前記制御器は、エンジン速度および負荷に応じた基準スペクトルを設定し、前記基準スペクトルとFFT信号とを比較して振動成分を抽出することを特徴とする。
【0014】
前記制御器は、FFT分析により抽出された除去対象振動成分を周波数別に合算した後、逆FFTを行って基準信号を生成することを特徴とする。
【0015】
前記制御器は、エンジン速度および負荷に応じた振幅比を決定し、前記振幅比とエンジントルクを反映して各周波数別の能動振動制御を行うことを特徴とする。
【0016】
前記制御器は、逆FFTで生成された基準信号、エンジントルク、および振幅比を乗算した値の逆数に対応するモータトルクを出力して除去対象振動成分を除去することを特徴とする。
【0017】
前記制御器は、モータの位置情報に基づいてレゾルバ極数(m)に応じて分周して基準角信号を設定するか、あるいは、エンジンの位置情報に基づいて1番シリンダまたは4番シリンダの上死点(TDC)と下死点(BDC)との間に基準角信号を設定することを特徴とする。
【0018】
前記制御器は、エンジンの気筒および行程を考慮してFFTの周期を設定し、周波数別の振幅(amplitude)と位相(phase)情報を演算してFFT信号を分析することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、FFT周波数スペクトル分析により周波数別の正確な振動成分を抽出できるため、能動的に振動を加減するように制御することができる。したがって、エンジンやモータの基準角判断システムはそのまま活用しながらも、従来技術のような信号同期化のための別途の装置やアルゴリズムを省略することができる。
また、振動制御対象の周波数と振動加減量を個別に調節可能で、過度の振動除去制御による非効率的なエネルギー使用を防止することができ、リアルタイムなフィードバック制御により正確で効率的な能動振動制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係るハイブリッド車両の能動振動制御装置を概略的に示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るハイブリッド車両の能動振動制御方法を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施形態に係るハイブリッド車両の能動振動制御方法が適用され、振動が低減される様子を示す図である。
【
図4】Aは、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両の能動振動制御方法を説明するためのグラフである。Bは、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両の能動振動制御方法を説明するためのグラフである。Cは、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両の能動振動制御方法を説明するためのグラフである。Dは、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両の能動振動制御方法を説明するためのグラフである。Eは、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両の能動振動制御方法を説明するためのグラフである。Fは、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両の能動振動制御方法を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
いくつかの方法は、少なくとも1つの制御器によって実行できる。制御器という用語は、メモリと、アルゴリズム構造で解析される1つ以上の段階を実行するようになったプロセッサとを含むハードウェア装置を言及する。前記メモリは、アルゴリズム段階を保存するようになっており、プロセッサは、以下に記載する1つ以上のプロセスを行うために前記アルゴリズム段階を特別に実行するようになっている。
さらに、本発明の制御ロジックは、プロセッサ、制御器、またはこれと類似するものによって実行される実行可能なプログラム命令を含むコンピュータ読取可能な手段上の、一時的でないコンピュータ読取可能な媒体で実現できる。コンピュータ読取可能な手段の例は、これに限定されないが、ROM、RAM、CD−ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、フラッシュドライブ、スマートカード、および光学データ保存装置を含む。コンピュータ読取可能な再生媒体は、ネットワークで連結されたコンピュータシステムに分散して、例えば、テレマティクスサーバやCAN(Controller Area Network)によって分散方式で保存され実行できる。
【0022】
以下、本発明の好ましい実施形態を、添付した図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両の能動振動制御装置を概略的に示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両の能動振動制御装置は、エンジン10と、モータ20と、位置センサ25と、クラッチ30と、変速機40と、バッテリ50と、制御器60とを含む。
エンジン10は、動力源として始動オンの状態で燃料を燃焼させて動力を出力する。つまり、エンジン10には、既存の化石燃料を使用するガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンなどの公知の各種エンジンが使用できる。エンジン10から発生した回転動力は、クラッチ30を介して変速機40側に伝達される。
モータ20は、エンジン10に連結され、内部のインバータを介して駆動電源を受けてエンジン10を始動させたり、エンジン10の出力を補助する。また、モータ20は、惰行走行において発電機として動作し、回生エネルギーをバッテリ50に供給する。
モータ20は、エンジン10のクランク軸に直接連結される。
【0023】
位置センサ25は、エンジン10またはモータ20の位置情報を検出する。つまり、位置センサ25は、エンジンのクランク軸の回転角度または回転位置を検出するクランクシャフト位置センサ(Crankshaft Position Sensor)と、モータの固定子と回転子の位置を検出するモータ位置センサとを含むことができる。
エンジン速度は、クランクシャフト位置センサから感知されたクランクシャフトの回転角度を微分して算出することができ、モータ速度はモータ位置センサから感知されたモータの位置を微分して算出することができる。あるいは、位置センサ25は、エンジン速度またはモータ速度を測定する別の速度センサ(図示省略)であってもよい。
クラッチ30は、エンジン10のクランク軸に連結されたモータ20と変速機40との間に配置され、変速機40に伝達される動力を断続する。クラッチ30は、油圧式摩擦クラッチまたは乾式摩擦クラッチとして適用可能である。
変速機40は、車速と運行条件に応じて変速比が調整され、印加されるトルクを変速比で分配して駆動ホイールに伝達させることによって、車両が走行できるようにする。変速機40は、自動変速機(AMT)またはデュアルクラッチ変速機(DCT)のうちのいずれか1つとして適用可能である。
【0024】
バッテリ50は、複数の単位セルからなり、モータ20に駆動電圧を提供するための高電圧が貯蔵される。バッテリ50は、ハイブリッド車両の走行モードに応じてモータ20に駆動電圧を供給したり、モータ20から発電される電圧で充電される。
制御器60は、位置センサ25の信号に基づいて基準角信号を選定し、制御信号に対して高速フーリエ変換(FFT)を行い、FFT分析により各周波数別の振動成分を抽出した後、逆FFTを行って各周波数別の能動振動制御を行う。
つまり、制御器60は、制御信号(例えば、エンジン速度および負荷)に応じた基準スペクトルを設定し、基準スペクトルとFFT信号分析結果とを比較して各周波数別の振動成分を抽出し、各周波数別の振動成分中の除去対象周波数を選定して合算した後、逆FFTを行って基準信号を生成することができる。ここで、基準信号は、周波数別の除去対象周波数の逆FFT信号を意味する。
【0025】
この目的のために、制御器60は、設定されたプログラムによって動作する1つ以上のプロセッサで実現可能であり、設定されたプログラムは、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両の能動振動制御方法の各段階を行うようにプログラミングされたものである。
ここで説明される多様な実施形態は、例えば、ソフトウェア、ハードウェア、またはこれらの組み合わされたものを用いて、コンピュータまたはこれと類似する装置で読取可能な記録媒体内で実現できる。
ハードウェア的には、ここで説明される実施形態は、ASICs(application specific integrated circuits)、DSPs(digital signal processors)、DSPDs(digital signal processing devices)、PLDs(programmable logic devices)、FPGAs(field programmable gate arrays)、プロセッサ(processors)、制御器(controllers)、マイクロコントローラ(micro−controllers)、マイクロプロセッサ(microprocessors)、その他の機能を行うための電気的なユニットのうちの少なくとも1つを用いて実現できる。
ソフトウェア的には、本明細書で説明される手順および機能のような実施形態は、別のソフトウェアモジュールで実現できる。ソフトウェアモジュールそれぞれは、本明細書で説明される1つ以上の機能および作動を行うことができる。適切なプログラム言語で書かれたソフトウェアアプリケーションでソフトウェアコードが実現できる。
【0026】
以下、
図2および
図3を参照して、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両の能動振動制御方法について具体的に説明する。
図2は、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両の能動振動制御方法を示すフローチャートであり、
図3は、本発明の実施形態に係るハイブリッド車両の能動振動制御方法が適用され、振動が低減される様子を示す図である。
図2に示すように、能動振動制御方法は、位置センサ25を介してエンジン10またはモータ20の位置情報を検出し、制御器60は、位置情報を用いてエンジン速度またはモータ速度を検出する(S100)(
図4A参照)。
制御器60は、位置センサ25の信号に基づいて基準角信号を選定する(S110)(
図4A参照)。つまり、制御器60は、エンジン10の位置情報またはモータ20の位置情報に応じて基準角信号を選択する。
【0027】
制御器60は、モータ20の位置情報に基づいてレゾルバ極数(m)に応じて分周して基準角信号を設定し、あるいは、エンジン10の位置情報に基づいて1番シリンダまたは4番シリンダの上死点(TDC)と下死点(BDC)との間に基準角信号を設定することができる。例えば、制御器60は、モータ20の位置情報に応じて基準角信号を選択し、16極信号の場合に8分周して基準角信号を生成することができる。ここで、基準角信号は、FFT変換を行うための始点を意味する。
以降、制御器60は、高速フーリエ変換(FFT)を行うためのFFT周期を設定する(S120)。制御器60は、エンジン10の気筒および行程を考慮して全体周期を設定することができる。例えば、エンジン10が4気筒4行程の場合、クランク角度は720度である。
S120段階でFFT周期が設定されると、制御器60は、制御信号に対してFFTを行う(S130)。つまり、制御器60は、基準角信号からFFT周期に対応するエンジン速度、エンジン加速度、エンジン回転周期、モータ速度、モータ加速度、またはモータ回転周期をFFT変換する。つまり、制御信号は、エンジン速度、エンジン加速度、エンジン回転周期、モータ速度、モータ加速度またはモータ回転周期である。
【0028】
制御器60は、FFT変換された信号を分析して周波数別の振幅(amplitude)と位相(phase)情報を演算する。
また、制御器60は、エンジン速度および負荷に応じた基準スペクトルを設定する(S140)。つまり、制御器60は、エンジンの運転点に応じた周波数別の振動基準値を設定する。
S140段階で基準スペクトルが設定されると、制御器60は、除去対象振動成分を抽出する(S150)。つまり、制御器60は、設定された振動基準値とFFT分析結果値とを比較して振動制御が必要な対象を選定する。制御器60は、FFT変換された信号が基準スペクトルより大きい周波数成分を除去対象振動成分として選定する。例えば、
図4Bに示すように、f2周波数成分を除去対象振動成分として選定することができる。
基準スペクトルは、エンジン速度と負荷に応じた正常な振動成分を意味するため、基準スペクトルより大きい周波数成分は除去されるべき異常振動と判断する。
S150段階で周波数別の除去対象振動成分が抽出されると、制御器60は、除去対象振動成分を周波数別に合算し、逆FFTを行って基準信号を生成する(S160)。上述のように、基準信号は、周波数別の除去対象振動成分の逆FFT信号を意味する。
【0029】
また、制御器60は、エンジン速度および負荷に応じた振幅比を決定し、エンジントルクを反映する(S170)。つまり、制御器60は、エンジンの運転点に応じた振幅比とエンジントルクを、逆FFTで生成された基準信号に入力することができる。ここで、エンジン速度および負荷に応じた振幅比は、予め設定されたマップに応じて決定できる。
以降、制御器60は、振幅比およびエンジントルクに基づいて各周波数別の能動振動制御を行う(S180)。つまり、制御器60は、逆FFTで生成された基準信号、エンジントルク、および振幅比を乗算した値の逆数に対応するモータトルクが出力されるように制御することによって、除去対象振動成分を除去することができる(
図4D参照)。
周波数別の除去対象振動成分を逆FFT変換した基準信号は、時間に応じた速度で表現されるため、トルク成分に変換して、前記振幅比とエンジントルクを基準信号に反映して除去対象振動成分を除去する。つまり、能動振動制御により、
図4Eおよび
図4Fに示すように、基準スペクトルに対応する周波数成分だけが残るように制御する。
【0030】
図3に示す通り、図面の左上段には、設定されたFFTの周期に応じてFFT分析を行って演算された各周波数別の振動成分の振幅と位相情報を示しており、図面の左下段には、除去対象振動成分を重ねた逆位相トルクが示している。
つまり、左に示す各周波数別の振動成分と逆位相トルクを反映して、図面の右に示すように、除去対象振動成分を全て除去し、所望の振動成分だけが残っているように制御する。
上述のように、本発明の実施形態によれば、FFT周波数スペクトル分析により周波数別の正確な振動成分を抽出可能なため、能動的に振動を加減するように制御することができる。したがって、エンジンやモータの基準角判断システムはそのまま活用しながらも、従来技術のような信号同期化のための別途の装置やアルゴリズムを省略することができる。
また、振動制御対象の周波数と振動加減量を個別的に調節可能で、過度の振動除去制御による非効率的なエネルギー使用を防止することができ、リアルタイムなフィードバック制御により正確で効率的な能動振動制御を行うことができる。
【0031】
以上、本発明に係る好ましい実施形態を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されず、本発明の属する技術分野を逸脱しない範囲でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0032】
10 エンジン
20 モータ
25 位置センサ
30 クラッチ
40 変速機
50 バッテリ
60 制御器