特許第6853658号(P6853658)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853658
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】車両の触媒コンバータの断熱構造
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/24 20060101AFI20210322BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20210322BHJP
   F01N 13/14 20100101ALI20210322BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20210322BHJP
   F01N 3/023 20060101ALI20210322BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   F01N3/24 LZAB
   F01N3/08 A
   F01N3/08 B
   F01N3/24 E
   F01N3/24 F
   F01N13/14
   F01N3/035 A
   F01N3/24 N
   F01N3/023 A
   B01D53/94 222
   B01D53/94 400
   B01D53/94 245
   B01D53/94 280
   B01D53/94 241
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-239173(P2016-239173)
(22)【出願日】2016年12月9日
(65)【公開番号】特開2018-62932(P2018-62932A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2019年9月13日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0131439
(32)【優先日】2016年10月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 津 夏
(72)【発明者】
【氏名】沈 ジェ 基
(72)【発明者】
【氏名】朴 鎮 佑
【審査官】 二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−114011(JP,A)
【文献】 特開2010−007524(JP,A)
【文献】 特表2002−527663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00− 3/38
F01N 9/00−11/00
F01N 1/00− 1/24
F01N 5/00− 5/04
F01N 13/00−13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンから排出される排気ガスが流入して反対側に排出されるように形成され、空燃比が高い雰囲気で排気ガスに含まれている窒素酸化物を吸蔵し、空燃比が低い雰囲気で吸蔵された窒素酸化物を脱着し、排気ガスに含まれている窒素酸化物または脱着された窒素酸化物を還元させるLNTコンバータと、
前記LNTコンバータから排出された排気ガスの経路を垂直に切り替え、排気ガスにウレア(Urea)還元剤の投入が必要な時にウレア噴射が可能な噴射モジュールが備えられた連結ハウジングと、
前記連結ハウジングから流入する排気ガスの経路の方向が前記連結ハウジングを介して前記LNTコンバータから排気ガスが排出される方向とは反対方向に切り替えられ、噴射された還元剤を用いて排気ガスに含まれている窒素酸化物を還元し、フィルタにSCR触媒がコーティングされたSDPFコンバータと、
前記LNTコンバータ、前記連結ハウジング、および前記SDPFコンバータに接触する内皮と、前記内皮の反対面の外皮とから構成され、前記LNTコンバータ、連結ハウジング、およびSDPFコンバータを取り囲み、前記LNTコンバータ、前記連結ハウジング、および前記SDPFコンバータから発生する熱を断熱する断熱カバーと、
前記断熱カバーの外皮と内皮との間に挿入付着した断熱材と、を含み、
前記断熱カバーの外皮は、150℃〜600℃の範囲の耐熱性を有するガラス繊維にシリコーンコーティングまたはアルミニウム薄板コーティングして形成され、
前記断熱カバーの内皮と外皮は、耐熱糸で返し縫い処理して結合され、
前記断熱材は、包装材によって包装されたことを特徴とする車両の触媒コンバータの断熱構造。
【請求項2】
前記断熱カバーは、ファブリック素材で形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両の触媒コンバータの断熱構造。
【請求項3】
前記断熱カバーは、可撓性のあるセラミックカバー材質で形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両の触媒コンバータの断熱構造。
【請求項4】
前記断熱カバーは、ベルクロ(登録商標)(velcro)、高温用線、または鉄線によって外皮が互いに固定され、前記LNTコンバータ、連結ハウジング、およびSDPFコンバータを包み込む形態に形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両の触媒コンバータの断熱構造。
【請求項5】
前記断熱材は、ヒュームドシリカを含むことを特徴とする請求項1に記載の車両の触媒コンバータの断熱構造。
【請求項6】
前記包装材は、ガラス繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両の触媒コンバータの断熱構造。
【請求項7】
前記断熱材は、高温耐熱糸で返し縫い処理して前記断熱カバーに固定されることを特徴とする請求項1に記載の車両の触媒コンバータの断熱構造。
【請求項8】
前記LNTコンバータは、一酸化炭素および炭化水素を酸化させるディーゼル酸化触媒(DOC)に代替できることを特徴とする請求項1に記載の車両の触媒コンバータの断熱構造。
【請求項9】
前記SDPFコンバータは、排気ガスに含まれている粒子状物質を捕集するディーゼル微粒子捕集フィルタ(DPF)に代替できることを特徴とする請求項1に記載の車両の触媒コンバータの断熱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の触媒コンバータの断熱構造に係り、より詳細には、触媒コンバータの熱損失を最小化することができる断熱材および断熱カバーを含む車両の触媒コンバータの断熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
2017年7月以降に発効する強化排気規制のうち、乗用ディーゼル自動車の実道路における窒素酸化物の排出を規制するために、実道路走行排出ガス規制RDE(Real world Driving Emission)とWLTP(World−harmonized Light duty Test Procedure)が施行される。
特に、乗用ディーゼル自動車の実道路運行中における窒素酸化物の排出抑制のためのRDE強化排気規制に対応するためには、既存の窒素酸化物脱着後処理装置のLNT(Lean NOx Trap)とSCR(Selective Catalytic Reduction)では困難が多い。
LNTは、高温高負荷運転時、窒素酸化物浄化効率が急激に低下し、SCRは、低温低負荷時、ウレア(Urea)噴射の難しい条件が発生して窒素酸化物浄化効率が急激に低下する。
特に、SCRシステムは、低温でのウレア噴射が不可能であり(170度以下の条件でウレア水溶液の加水分解によるアンモニア(NH3)発生反応が難しい)、低温条件で噴射時、ウレア結晶化反応によって排気管内の詰り現象などが発生し、窒素酸化物吸蔵効率の低下など、低温での窒素酸化物浄化効率低下の問題が発生する。
【0003】
このような問題を克服するために、SCRシステムまで連結された排気系での熱損失を最小化する必要がある。
既存の技術のエンジンから排出されるガスを浄化するための後処理コンバータの熱損失を低減するために、シリカ不織布またはセラミックブランケットタイプ(blanket type)の断熱材を金属薄板または一定形状のカバーに付着させ、コンバータに溶接で固定して、コンバータ内部の熱が外部に放出されるのを防止する。
【0004】
しかしながら、既存のコンバータ構造では、コンバータの表面にまで伝達されるコンバータ内部の排出ガスの熱が大気中に放出されるのを防止するために、コンバータの表面に付着させた断熱材による保温効果以外に、断熱材を固定するために断熱材上を覆う金属断熱カバーを溶接でコンバータに固定している。そのため、溶接で連結された部位に熱が伝導されて断熱材を迂回して断熱材カバーに熱が放出される問題を有している。また、金属板を金型で形を作る金属カバーの特性上、形状に応じて製作上の制約があり、コンバータの全体を断熱できない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−102088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の問題を解決するために、本発明の目的は、コンバータの熱損失を最小化できる車両の触媒コンバータの断熱構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による車両の触媒コンバータの断熱構造は、エンジンから排出される排気ガスが流入して反対側に排出されるように形成され、空燃比が薄い雰囲気で排気ガスに含まれている窒素酸化物を吸蔵し、排気ガスが濃厚な雰囲気で吸蔵された窒素酸化物を脱着し、排気ガスに含まれている窒素酸化物または脱着された窒素酸化物を還元させるLNTコンバータと、前記LNTコンバータから排出された排気ガスの経路を垂直に切り替え、排気ガスにウレア(Urea)還元剤の投入が必要な時に噴射可能に備えられる連結ハウジングと、前記連結ハウジングから流入する排気ガスの経路を前記LNTコンバータから排出される反対方向に切り替え、噴射された還元剤を用いて排気ガスに含まれている窒素酸化物を還元する、フィルタにSCR触媒がコーティングされたSDPFコンバータと、前記LNTコンバータ、前記連結ハウジング、および前記SDPFコンバータと接触する内皮と、前記内皮の反対面の外皮とから構成され、前記LNTコンバータ、前記連結ハウジング、および前記SDPFコンバータを取り囲み、前記LNTコンバータ、前記連結ハウジング、および前記SDPFコンバータから発生する熱を断熱する断熱カバーと、前記断熱カバーの外皮と内皮との間に挿入付着した断熱材と、を含むことを特徴とする。
【0008】
前記断熱カバーは、ファブリック素材で形成されることを特徴とする。
【0009】
前記ファブリック素材は、シリカ繊維またはガラス繊維を含むことを特徴とする。
【0010】
前記断熱カバーの内皮は、シリカ繊維およびバーミキュライト(vermiculite)材質で形成されることを特徴とする。
【0011】
前記断熱カバーの外皮は、約150度〜約600度水準の材質のガラス繊維にシリコーンコーティングまたはアルミニウム薄板コーティングして形成されることを特徴とする。
【0012】
前記断熱カバーの内皮と外皮とは、耐熱糸で返し縫い処理して結合されることを特徴とする。
【0013】
前記断熱カバーは、可撓性のあるセラミックカバー材質で形成されることを特徴とする。
【0014】
前記断熱カバーは、ベルクロ(登録商標)(velcro)、高温用線、または鉄線によって外皮が互いに固定され、前記LNTコンバータ、連結ハウジング、およびSDPFコンバータを包み込む形態に形成されることを特徴とする。
【0015】
前記断熱材は、ヒュームドシリカを含むことを特徴とする。
【0016】
前記断熱材は、包装材によって包装されることを特徴とする。
【0017】
前記包装材は、ガラス繊維HTを含むことを特徴とする。
【0018】
前記断熱材は、高温耐熱糸で返し縫い処理して前記断熱カバーに固定されることを特徴とする。
【0019】
前記LNTコンバータは、一酸化炭素および炭化水素を酸化させるディーゼル酸化触媒(DOC)に代替できることを特徴とする。
【0020】
前記SDPFコンバータは、排気ガスに含まれている粒子状物質を捕集するディーゼル微粒子捕集フィルタ(DPF)に代替できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の実施形態によれば、SDPF再生時、排気昇温が速くなり、再生効率が上昇する。
また、SDPF再生のための昇温時間が速くなることによって、再生燃費が改善される。
さらに、触媒コンバータの大部分を断熱カバーでカバーすることによって、騒音改善効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の車両の触媒コンバータの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の車両の触媒コンバータを示す斜視図である。
図3】本発明の車両の触媒コンバータの断熱構造を示す斜視図である。
図4】本発明の断熱カバーの外皮を概略的に示す図である。
図5】本発明の断熱カバーの内皮を概略的に示す図である。
図6】本発明の断熱材および断熱カバーの結合構造を示す図である。
図7】本発明の断熱材および断熱カバーの材質別SDPF再生時のSDPF入口温度特性を示すグラフである。
図8】本発明の断熱材および断熱カバーの材質別SDPF入口再生温度特性を示すグラフである。
図9】本発明の断熱材および断熱カバーの材質別再生開始後のSDPF入口温度630度の到達時間を示すグラフである。
図10】本発明の断熱材および断熱カバーの材質別総再生期間中の触媒コンバータの熱損失分析を示すグラフである。
図11】本発明の断熱材および断熱カバーの材質別再生初期の触媒コンバータの熱損失分析を示すグラフである。
図12】本発明の断熱材および断熱カバーの材質別再生後期の触媒コンバータの熱損失分析を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0024】
以下、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係る車両の触媒コンバータに関して説明する。
図1は、本発明の車両の触媒コンバータの構成を示すブロック図であり、図2は、本発明の車両の触媒コンバータを示す斜視図である。図1図2に示す車両の触媒コンバータは、概略的な構成を示すもので、この構成に限定されるものではない。
【0025】
図1に示すように、本発明の車両の触媒コンバータは、LNTコンバータ100と、連結ハウジング200と、SDPFコンバータ300とを含む。
LNTコンバータ100に流入して排出される排気ガスは、図面を基準として左側から右側方向に流れる。
連結ハウジング200は、LNTコンバータ100から排出された排気ガスが垂直下方に流れるように排気ガスの経路を切り替える。つまり、連結ハウジング200の内部で排気ガスは上から下方向に流れる。この時、排気ガスに噴射モジュールを通して還元剤を噴射する。
そして、連結ハウジング200からSDPFコンバータ300に流入した排気ガスは、LNTコンバータ100の内部を右側から左側方向に流れる。つまり、LNTコンバータ100内部での排気ガスの流れと、SDPFコンバータ300内部での排気ガスの流れとは反対方向となる。
【0026】
このように、LNTコンバータ100内部での排気ガスの流れと、SDPFコンバータ300内部での排気ガスの流れとが反対方向となるようにすることで、LNTコンバータ100とSDPFコンバータ300とを直接連結する効果を有するようになり、これによって排気ガスの熱損失が発生することを最小化することができる。
【0027】
LNTコンバータ100は、エンジンから排出される排気ガスが流入して反対側に排出されるように形成され、空燃比が薄い雰囲気で排気ガスに含まれている窒素酸化物を吸蔵し、排気ガスが濃厚な雰囲気で吸蔵された窒素酸化物を脱着し、排気ガスに含まれている窒素酸化物または脱着された窒素酸化物を還元させる。
【0028】
そして、連結ハウジング200は、LNTコンバータ100から排出された排気ガスの経路を垂直に切り替え、排気ガスにウレア(Urea)還元剤の投入が必要な時に噴射可能に備えられ、SDPFコンバータ300は、連結ハウジングから流入する排気ガスの経路をLNTコンバータ100から排出される反対方向に切り替え、噴射された還元剤を用いて排気ガスに含まれている窒素酸化物を還元する。
【0029】
SDPF出口312側には、後段の窒素酸化物センサが設けられる後段の窒素酸化物センサブラケット315と、差圧センサが設けられる後段の圧力センサブラケット314とが形成される。後段の窒素酸化物センサにより、SDPF触媒を通過した排気ガスに含まれている窒素酸化物の量を検出する。後段の圧力センサブラケット314と前段の圧力センサブラケット214との間には差圧センサが設けられる。差圧センサにより、SDPF触媒を通過する前後の排気ガスの圧力差を検出する。また、SDPFの前段には温度センサブラケット212が設けられる。
【0030】
一方、LNTコンバータ100は、一酸化炭素および炭化水素を酸化させるディーゼル酸化触媒(DOC)に代替でき、SDPFコンバータ300は、排気ガスに含まれている粒子状物質を捕集するディーゼル微粒子捕集フィルタ(DPF)に代替できる。
【0031】
以下、図3図6を参照して、本発明の一実施形態に係る車両の触媒コンバータの断熱構造を説明する。
【0032】
図3は、本発明の車両の触媒コンバータの断熱構造を示す斜視図であり、図4は、本発明の断熱カバーの外皮を概略的に示す図であり、図5は、本発明の断熱カバーの内皮を概略的に示す図であり、図6は、本発明の断熱材および断熱カバーの結合構造を示す図である。
【0033】
図3図6を参照すれば、触媒コンバータの断熱構造は、断熱カバー20と、断熱材10とを含む。断熱カバー20は、LNTコンバータ100、連結ハウジング200、およびSDPFコンバータ300と接触する内皮20−1と、内皮20−1の反対面の外皮20−2とから構成され、LNTコンバータ100、連結ハウジング200、およびSDPFコンバータ300を取り囲み、LNTコンバータ100、連結ハウジング200、およびSDPFコンバータ300から発生する熱を断熱する。
断熱カバー20は、ファブリック(fabric)素材で形成される。ファブリック素材は、高温耐熱性を有し、触媒コンバータの表面から放出される伝導による熱を一次断熱する効果があり、これによって断熱材が熱を遮断する効果が大幅に向上できる。
【0034】
ファブリック素材は、シリカ(silica)繊維またはガラス繊維を含むことができる。触媒コンバータと接触する断熱カバー20の内皮20−1は、シリカ繊維およびバーミキュライト(vermiculite)材質で形成される。
断熱カバー20の外側は内側よりは高温に露出しないことから、断熱カバー20の外皮20−2は、中温つまり、約150度〜約600度水準の材質のガラス繊維にシリコーンコーティングまたはアルミニウム薄板コーティングして形成される。断熱カバー20の外皮20−2は、オイル、埃などによる汚染が防止されなければならず、雨、洗車などの水に対して対応可能な防水機能がなければならない。また、触媒コンバータの外部の周辺部品への熱伝達を防止する遮熱効果がなければならないことから、伝導による熱伝達率が低くなければならない。
【0035】
断熱カバー20の内皮20−1と外皮20−2とは、耐熱糸で返し縫い処理して結合され、断熱カバー20は、可撓性のあるセラミックカバー材質で形成される。
一方、断熱カバー20は、ベルクロ(登録商標)(Velcro)、高温用線、または鉄線によって外皮が互いに固定され、LNTコンバータ100、連結ハウジング200、およびSDPFコンバータ300を包み込む形態に形成される。
高温耐熱ファブリック素材の内皮20−1と中温耐熱ファブリック素材の外皮20−2とが高温用糸で裁縫され、その間に断熱材10を挿入付着させて、断熱カバー20は触媒コンバータを包み込める形態に形成され、触媒コンバータを服を着せたようにして断熱を実施する。
【0036】
断熱材10は、ヒュームドシリカを含むことができる。断熱材10は、包装材15によって包装され、包装材15は、ガラス繊維HTを含むことができる。断熱材10は、高温耐熱糸で返し縫い処理して断熱カバー20に固定される。断熱材10は、ヒュームドシリカ材質以外に、既存のシリカ不織布またはセラミックブランケットタイプの断熱材の使用も可能である。特に、シリカまたはセラミック繊維が短繊維の場合、断熱カバー20の内部に挿入して製作されると、断熱材10との人体接触を避けられて断熱材10の効率を高めることができる。
【0037】
図7は、本発明の断熱材および断熱カバーの材質別SDPF再生時のSDPF入口温度特性を示すグラフである。
図7に示すように、断熱カバー20および断熱材10がない場合(NoC_Nol)、シリカN/P不織布、セラミックブランケット、シリカN/P不織布の複合3層の場合(NVH_3L)、シリカN/P不織布面密度1000g/mの場合(NVH_1000)、シリカN/P不織布面密度1300g/mの場合(NVH_1300)、シリカN/P不織布面密度130g/mの場合(DBW_130)、シリカN/P不織布面密度150g/mの場合(DBW_150)、およびヒュームドシリカを用いた場合(Kyung Dong Won(ヒュームドシリカ))、SDPF再生経過時間に応じてSDPF入口温度の推移を示すグラフである。
【0038】
図7に示すように、断熱材をヒュームドシリカを用いた場合(Kyung Dong Won(ヒュームドシリカ))、SDPF入口温度が高くて断熱性能に優れていることが分かる。また、断熱カバー20の断熱面積および断熱材の密度が高いほど断熱効果に優れ、断熱カバー20および断熱材10の未装着時(NoC_Nol)のSDPF入口温度は630度に到達できないことが分かる。
【0039】
図8は、本発明の断熱材および断熱カバーの材質別SDPF入口再生温度特性を示すグラフである。
図8に示すように、SDPF再生90秒後の到達温度は、断熱材10にヒュームドシリカを用いた場合(KDW)が最も高く、SDPF再生630度到達後再生終了時までの平均温度も、断熱材10にヒュームドシリカを用いた場合(KDW)が最も高く、この場合、断熱効果が最も優れていることが分かる。断熱材10および断熱カバー20の未装着時(No)、SDPF再生目標温度(630度)を達成することは不可能である。
【0040】
図9は、本発明の断熱材および断熱カバーの材質別再生開始後のSDPF入口温度630度の到達時間を示すグラフである。
図9に示すように、SDPF再生開始後のSDPF入口温度が630度に到達する時間は、シリカN/P不織布面密度150g/mの場合(DBW_150)、および断熱材10にヒュームドシリカを用いた場合(KDW)が最も短い。
図8および図9に示すように、630度到達後のSDPF入口温度は、ファブリックカバーおよびヒュームドシリカを断熱カバー20および断熱材10として用いた場合(KDW)に最も高くて熱損失が最も少なく、SDPF再生期間の短縮が予想される。
【0041】
図10は、本発明の断熱材および断熱カバーの材質別総再生期間中の触媒コンバータの熱損失分析を示すグラフである。
図10に示すように、再生総期間中、LNT触媒の劣化指標であるLNTの前段(B1)と後段(B2)の発熱温度差は、ファブリックカバーおよびヒュームドシリカを断熱カバー20および断熱材10として用いた場合(KDW)に最も小さく、LNT触媒の劣化防止の側面で有利であることが分かる。また、再生時、LNTの前段およびSDPF入口の間の温度差が、ファブリックカバーおよびヒュームドシリカを断熱カバー20および断熱材10として用いた場合(KDW)に最も小さく、媒煙(soot)再生期間の短縮で燃費改善効果が予想される。
【0042】
図11は、本発明の断熱材および断熱カバーの材質別再生初期の触媒コンバータの熱損失分析を示すグラフである。
図11に示すように、90秒以内の再生初期、LNTの前段(B1)と後段(B2)の発熱温度差は、ファブリックカバーおよびヒュームドシリカを断熱カバー20および断熱材10として用いた場合(KDW)に最も小さく、断熱効果に優れていることが分かる。SDPF再生初期には、同一水準の未燃炭化水素(HC)によってLNTとSDPFとの間の温度差が大きく広がらない。
【0043】
図12は、本発明の断熱材および断熱カバーの材質別再生後期の触媒コンバータの熱損失分析を示すグラフである。
図12に示すように、90秒後の再生後期、LNTの前段(B1)と後段(B2)の発熱温度差は、ファブリックカバーおよびヒュームドシリカを断熱カバー20および断熱材10として用いた場合(KDW)に最も小さく、断熱効果に優れていることが分かる。また、SDPF再生期間の短縮が予想され、中低負荷運転の低温再生条件でのSDPF再生効率および燃費の改善効果が予想される。
【0044】
このように、本発明の実施形態によれば、SDPF再生時、排気昇温が速くなり、再生効率が上昇する。
また、SDPF再生のための昇温時間が速くなることによって、再生燃費が改善される。
さらに、触媒コンバータの大部分を断熱カバーでカバーすることによって、騒音改善効果がある。
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0045】
100 LNTコンバータ
200 連結ハウジング
300 SDPFコンバータ
10 断熱材
15 包装材
20 断熱カバー
20−1 断熱カバーの内皮
20−2 断熱カバーの外皮
119 ???
200 連結ハウジング
212 温度センサブラケット
214 圧力センサブラケット
312 SDPF出口
314 圧力センサブラケット
315 センサブラケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12