特許第6853669号(P6853669)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6853669条件付きの警報転送を用いた患者治療システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853669
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】条件付きの警報転送を用いた患者治療システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20210322BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20210322BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20210322BHJP
【FI】
   A61M5/168 550
   G08B25/04 K
   G16H10/00
【請求項の数】14
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-564957(P2016-564957)
(86)(22)【出願日】2015年4月30日
(65)【公表番号】特表2017-521107(P2017-521107A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】US2015028551
(87)【国際公開番号】WO2015168427
(87)【国際公開日】20151105
【審査請求日】2018年3月23日
【審判番号】不服2020-1965(P2020-1965/J1)
【審判請求日】2020年2月13日
(31)【優先権主張番号】61/986,562
(32)【優先日】2014年4月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/700,357
(32)【優先日】2015年4月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508004797
【氏名又は名称】アイシーユー・メディカル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(72)【発明者】
【氏名】デイ,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】リンド,スティーヴ
(72)【発明者】
【氏名】フォリト,ポール
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】クジノー,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】クレムリオフスキー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ラマチャンドラ,スマント
(72)【発明者】
【氏名】ベルキン,アナトリー
(72)【発明者】
【氏名】ミルズ,ゲイリー
【合議体】
【審判長】 内藤 真徳
【審判官】 栗山 卓也
【審判官】 角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−523895(JP,A)
【文献】 特表2007−525256(JP,A)
【文献】 特表2011−506048(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0229249(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの医療ポンプと、警報生成システムと、発送システムと、警報宛先と、を備える患者治療システムであって、
各医療ポンプは、ポンプによって施される治療状態データ、ポンプ動作データ、または、ポンプによって施される治療状態データおよびポンプ動作データの両方に関する情報のユニットを含むデータメッセージを生成し、
前記警報生成システムは、前記データメッセージを前記医療ポンプから受け取り、
条件が満たされる場合、トリガーを生成するために、第1のアルゴリズムに従って前記データメッセージを評価し、
前記トリガーが生成する場合、警報メッセージを生成し、
前記トリガーが生成する場合、上位レベルの警報を抑制するために、第2のアルゴリズムに従って、前記データメッセージを評価する、
ように構成され、
前記発送システムは、前記警報生成システムに接続され、前記警報メッセージを前記警報宛先に第3のアルゴリズムに従って転送するように構成され、
前記警報宛先は、前記発送システムに接続され、前記警報宛先によって警報を受け取ったとき警報を表し、
情報の前記ユニットは、前記第1および第2のアルゴリズムの両方のための必要な入力であり、
前記第2のアルゴリズムが、前記警報メッセージが遠隔モニタ/制御システムに送られる間に医療ポンプにおける上位レベルの警報を一時的に抑圧するアルゴリズムを含み、
前記上位レベルの警報が、前記医療ポンプの現地の警報を含む、
患者治療システム。
【請求項2】
前記患者治療システムの管理人に規則エディタへのアクセスを提供する管理インタフェースをさらに備え、
前記医療ポンプの臨床看護領域(CCA)が決定的な入力であるように、前記規則エディタは、前記第1および第3のアルゴリズムの少なくとも1つを修正する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記医療ポンプからの前記データメッセージは、前記医療ポンプの前記臨床看護領域(CCA)を含む情報の第2のユニットを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記警報生成システムにアクセス可能なデータベースをさらに備え、
前記医療ポンプからの前記データメッセージは、前記医療ポンプに関連付けられたIDを含み、
前記医療ポンプの前記臨床看護領域(CCA)は、前記医療ポンプに関連付けられた前記IDを用いて、前記データベースから導出される、
請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記患者治療システムの管理人に規則エディタへのアクセスを提供する管理インタフェースをさらに備え、
ポンプ治療情報に関する情報の前記ユニットは、前記医療ポンプによって注入されている薬物のタイプに関する情報を含み、
前記医療ポンプによって注入されている薬物の前記タイプが決定的な入力であるように、前記規則エディタは、前記第1または第3のアルゴリズムの少なくとも1つを修正する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記患者治療システムの管理人に規則エディタへのアクセスを提供する管理インタフェースをさらに備え、
前記規則エディタは、前記上位レベルの警報が抑制されるプロトコルを修正する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記上位レベルの警報は、前記医療ポンプにおける可聴警報であり、
前記プロトコルは、警報消去メッセージが前記警報生成システムによって前記警報宛先から受け取られる場合、前記上位レベルの警報を消去する、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記規則エディタによって、前記管理人は、前記上位レベルの警報が抑制される第2のプロトコルを特定することができ、
前記第1または第2のプロトコルは、前記医療ポンプによって注入されている薬物の種類に基づいて、前記警報生成システムによって適用される、
請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記規則エディタによって、前記管理人は、前記上位レベルの警報が抑制される第2のプロトコルを特定することができ、
前記第1または第2のプロトコルは、前記医療ポンプが位置する臨床看護領域(CCA)に基づいて、前記警報生成システムによって選択および適用される、
請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
患者治療システムの一部としてのコンピュータに前記患者治療システムの警報を監視および制御させるプログラムを格納する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記患者治療システムは、データメッセージを生成する少なくとも1つの医療ポンプと、前記データメッセージを前記医療ポンプから受け取る警報生成システムと、前記警報生成システムに接続されている発送システムと、前記発送システムに接続されている警報宛先と、を有し、前記警報宛先は、前記警報宛先によって警報メッセージを受け取ったとき警報を表し、前記監視および制御する方法は、
条件が満たされる場合、トリガーを生成するために、第1のアルゴリズムに従って前記データメッセージを評価するステップと、
前記トリガーが生成する場合、警報メッセージを生成するステップと、
前記トリガーが生成する場合、上位レベルの警報を抑制するために、第2のアルゴリズムに従って、前記データメッセージを評価するステップと、
前記警報メッセージを前記警報宛先に第3のアルゴリズムに従って転送するステップと、
を含み、
前記データメッセージは、ポンプによって施される治療状態データ、ポンプ動作データ、または、ポンプによって施される治療状態データおよびポンプ動作データの両方に関する情報のユニットを含み、
情報の前記ユニットは、前記第1および第2のアルゴリズムの両方のための必要な入力であり、
前記第2のアルゴリズムが、前記警報メッセージが遠隔モニタ/制御システムに送られる間に医療ポンプにおける上位レベルの警報を一時的に抑圧するアルゴリズムを含み、
前記上位レベルの警報が、前記医療ポンプの現地の警報を含む、
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記警報メッセージは、前記発送システムによって第1の警報宛先に転送され、
前記上位レベルの警報は、前記発送システムによって第2の警報宛先に転送される第2の警報を含む、
請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記監視および制御する前記方法は、
前記警報宛先から前記警報メッセージに対する応答を受け取るステップと、
前記応答を受け取った後、前記上位レベルの警報を消去するステップと、
をさらに含む、
請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記応答は、
警報状態通知が前記警報宛先で受け取られたことの確認応答、
前記警報メッセージが前記警報宛先に成功裏に転送されたことの確認、
前記医療ポンプで入力された現地の警報消去、
前記医療ポンプで入力された構成、前記発送システムにおける前記第1のアルゴリズムに対する第1の変更、および、
前記発送システムにおける前記第2のアルゴリズムに対する第2の変更、
からなる群から選択される、請求項12に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記第3のアルゴリズムは、情報の前記ユニットに基づいて、前記警報メッセージを異種の警報宛先のセットにマップする、
請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
現代医療は、薬物送達および監視装置、例えば、薬物送達ポンプまたは患者パラメータモニタまたはその両方を含む薬物管理システムの使用をしばしば含む。薬物送達装置を構成、制御および監視するための薬物管理システムが開示されている。例えば、共有された米国特許第7,895,053号(タイトル「MEDICATION MANAGEMENT SYSTEM」、2011年2月22日発行)および米国特許出願第10/783,573号(タイトル「MEDICATION MANAGEMENT SYSTEM」、2005年12月15日に米国特許出願公開第20050278194(A1)号として公開)は、ユーザによりカスタマイズ可能な薬物ライブラリまたは医療装置構成情報が薬物ライブラリエディタ(DLE)プログラムおよび薬物管理ユニット(MMU)のモジュールを使用して準備される薬物管理システムを開示している。米国イリノイ州レークフォレストのHospira, Inc.から入手可能なHospira MedNet(商標)Meds(商標)ソフトウェアは、この種のDLEプログラムを含む。Hospira MedNet(商標)サーバを備えるソフトウェアであるMMUは、カスタマイズ可能な薬物ライブラリを薬物送達ポンプにダウンロードし、ポンプから状態または活動の情報を受け取る。共有された米国特許第8,065,161号(タイトル「SYSTEM FOR MAINTAINING DRUG INFORMATION AND COMMUNICATING WITH MEDICATION DELIVERY DEVICES」、2011年11月22日発行)は、どのように薬物ライブラリまたは医療装置構成情報が作成され、編集され、格納され、薬剤管理システムに関連する薬物送達装置に通信され、物質、例えば流体または流体薬物またはその両方を患者に送達するのかを開示している。
【0002】
上述した共有され公開された特許出願によると、典型的な薬物管理システムは、看護コンピュータの地点、例えば、看護コンピュータおよび/もしくは薬局コンピュータのバーコード地点、ならびに/または、1つまたは複数の薬物送達装置と通信するMMUを含む。看護コンピュータの地点および/またはMMUは、関連するメモリによって、さまざまな情報、例えば患者情報、処方情報、カスタマイズされた薬物ライブラリまたは他の情報を格納および共有または通信し、患者に対する薬物送達を管理する、例えば、5つの適正チェックを行い、薬物送達装置を構成し、薬物送達装置から受け取るイベント、状態または活動の情報を受け取り、格納する。
【0003】
介護者および臨床従事者は、患者監視装置および機器監視装置からの出力を使用して、さまざまな患者看護決定を行う。患者監視装置および患者看護機器監視装置は、患者監視装置および患者看護機器監視装置からの出力信号を受け取る受信機に接続されてもよい。いくつかの場合、受信機は、患者および患者看護機器監視装置からの情報を表示および/または記録してもよい。他の場合、装置は、監視および/または記録媒体を含んでもよい。受信機または装置は、患者または患者看護機器監視装置からの出力の1つが、予め設定された限界から逸脱するときにトリガーされる、予め設定されるかまたは調節可能な警報をさらに有してもよい。
【0004】
注入ポンプおよび他の医療装置を使用する病院においては、警報が用いられることによって、装置の故障、治療中断、治療の終了および臨床スタッフによって処理される必要のある他のイベントを示す。典型的には、警報は、装置画面に表示され、可聴音を生成する。いくつかの場合、互いに近接して警報を発生するあまりに多くの装置が存在する。その結果、どの装置が実際に警報を発生しているのかを見分けるのは非常に困難である。警報音は、眠っている患者を妨げ、または、起こしてしまう場合もある。看護師は、通常、1つまたは複数の所定の臨床看護領域において、複数の患者上で動作している複数の注入を管理する。看護師が注入の間常に注入装置の同一付近にいることは困難であり、それゆえ、注入関連または注入装置の警報に直ちに反応することは困難である。さらに、臨床スタッフは、必ずしも警報装置のごく近傍にいて、警報を聞くわけではない。この種の状況では、スタッフには、装置の近傍にいるか否かにかかわらず、できるだけ早く装置警報が通知され、彼らの患者の要求によりよく対応できることが望ましい。
【0005】
さらに、何人かの患者の場合、患者を隔離し、不必要な病院条件に患者をさらす(例えば、病室のドアを開いたとき、熱傷患者が気流または空気中の汚染物質にさらされる)のを減らすことは重要である。さらに、複数の看護師は、装置清掃の間に患者に対して同一ポンプを利用しうる。これは、装置に接触する臨床従事者の数が増加するため、汚染が増加する可能性につながる。ポンプは、臨床従事者によって汚染されうる。ポンプを最初に汚染した臨床従事者によって、または、ポンプに接触することによって汚染を得た後、この汚染を、患者を治療する間に患者に移す次の臨床従事者によって、この汚染は患者に移されうる。さらに、ポンプについた汚染は、ポンプの汚染に接触した後、それを他のポンプおよび患者に運ぶ臨床従事者によって他の装置および患者に移され、そこでは、汚染は、堆積および拡散しうる。警報の評価、停止、またはその他の方法での警報に対する応答を行うために、臨床従事者がアラームによって実際にポンプのところに来て、ポンプに接触する必要がある場合、この種の汚染および相互汚染の可能性は増加する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
好適実施形態では、少なくとも1つの医療装置、例えば注入ポンプを含む患者治療システムが開示される。各ポンプは、施されている治療の状態、動作データまたはその両方を含むポンプに関する情報を含むデータメッセージを生成することができる。患者治療システムは、データメッセージをポンプから受け取った警報生成システムを含む。警報生成システムは、ポンプからのデータメッセージを評価し、規則、アルゴリズムまたは命令の第1のセットによって定められる一定の条件が満たされる場合、トリガーを生成する。トリガーの生成は、警報メッセージを生成する。この警報メッセージは、警報メッセージを抑制するべきか否かに関する規則、アルゴリズムまたは命令の第2のセットに従って評価される。第1および第2のアルゴリズムの両方のために、各ポンプによって生成される情報は、必要な入力である。
【0007】
患者治療システムは、警報生成システムに接続されている発送システムもまた含む。発送システムは、規則、アルゴリズムまたは命令の第3のセットに従って警報メッセージを警報宛先に転送するように構成されている。さらに、患者治療システムは、発送システムに接続されている警報宛先を含み、警報宛先は、警報宛先が警報を受け取ったときに警報を表す。
【0008】
患者治療システムの代替実施形態では、医療装置は、患者治療システムの一部ではない。その代わりに、開示されている患者治療システムは、医療装置と相互作用する。患者治療システムの別の代替実施形態では、警報宛先は、患者治療システムの一部ではなく、その代わりに患者治療システムと相互作用する。患者治療システムのさらに別の代替実施形態では、医療装置および警報宛先の両方は、患者治療システムの一部ではなく、その代わりに患者治療システムと相互作用する。患者治療システムのさらに別の実施形態では、医療装置および警報宛先またはその両方を含む場合も、含まない場合も、警報生成システムおよび発送システムは、単一のシステムに結合される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】患者治療システムの一実施形態の構造の概略図である。
図2】患者治療システムの一実施形態のデータフローチャートである。
図3】さまざまな人員と図1の患者治療システムの構成要素との間の情報の流れを示す図である。
図4図1の患者治療システムの一実施形態のフローチャートである。
図5】ポンプをモニタ/制御システムから構成するプロセスを示す患者治療システムの一実施形態の図である。
図6】警報転送および確認応答機能を示す患者治療システムの一実施形態のフローチャートである。
図7】ポンプ注入プログラムをモニタ/制御システムによって変更するプロセスを示す患者治療システムの一実施形態の図である。
図8】1つまたは複数のポンプの監督を、1つのモニタ/コントローラシステムから別のモニタ/制御システムに移すプロセスを示す患者治療システムの一実施形態の図である。
図9】モニタ/制御システムによってポンプによる注入を監視するプロセスを示す患者治療システムの一実施形態の図である。
図10】動作中のさまざまな状態におけるモニタ/制御システムのユーザインタフェースのデザインの一実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照すると、患者治療システムは、図面において全体的に参照符号10が付されて示されている。患者治療システム10は、医療装置12と相互作用し、医療装置12によって生成される警報を管理する。患者治療システム10は、発送システム14と、警報転送システム16と、特定の実施形態では、モニタ/制御システム18と、を含む。
【0011】
患者治療システム10は、医療装置12を利用する任意の病院または他の施設に配備されることが意図されており、医療装置12は、配線を介して、または、ワイヤレス接続によりネットワークに接続された注入ポンプを含むが、これに限定されるものではない。この種のネットワークは、1つまたは複数のポンプ12の互いの接続専用、または、制御または監視装置の接続専用でもよい。ネットワークは、多くの医療装置を接続し、さまざまなこの種の装置の制御または監視を、遠隔位置からおよび遠隔位置への制御または監視を含んで可能にしてもよい。
【0012】
医療装置12は、好ましくは、看護師または他の施術者からプログラミングデータを受け取ることができる注入ポンプ12である。さらに、ポンプ12は、好ましくは、その動作の注入プログラムが、看護師または他の施術者によって検査され、確認され、またはその両方が可能である。ポンプ12の例は、イリノイ州レークフォレストのHospira, Inc.により販売されたPLUM A+(商標)注入システム、LIFECARE PCA(商標)注入システムおよびSAPPHIRE(商標)注入システムである。医療装置12は、好ましくは注入ポンプ12であるが、本発明の患者治療システム10に適用されるポンプ12は、任意の医療ポンプであり、さらに広義には、本明細書に記載されているように、データを生成可能であり、発送システム14に接続可能な任意の医療装置であると理解されることが意図されている。各ポンプ12または他の医療装置は、施される治療の状態、動作データまたはその両方を含むポンプに関する情報を含むデータメッセージを生成することができる。ポンプ12によって生成されるデータメッセージの例は、ポンプ12の状態データ、ポンプ12によって施される治療の状態、ポンプ12に関連付けられたイベントデータ(例えば、特定の期間の満了)、および、ポンプ12に関連付けられた警報またはポンプ12による治療の供給を含むが、これらに限定されるものではない。さらに、いくつかの実施形態では、ポンプ12は、現地の遅延タイマ50を含む。現地の遅延タイマは、機械式タイマまたはソフトウェアで実装されるタイマでもよい。警報状態メッセージがポンプ12によって発送システム14に送信されるとき、現地の遅延タイマ50は、起動し、計数を開始する。ポンプ12の他の実施形態では、ポンプ12は、個別論理52またはソフトウェアによって実装可能な論理52を含む。論理52によって、ポンプ12は、規則、アルゴリズムまたは命令を含み、論理52に実装されたまたは論理52に関連付けられたプログラミングに従って、評価するまたは措置を講ずることができ、特定の実施形態では、現地の遅延タイマ50を提供することもできる。
【0013】
発送システム14は、好ましくは、警報を管理し、好ましくは、ソフトウェアを実行することができる発送サーバ20を含むネットワークアプリケーションである。発送システム14の主な機能は、ポンプ12から1つまたは複数の警報宛先(例えば、モニタ/制御システム18)に、およびその反対の警報管理を容易にすることである。例えば、好適実施形態では、発送システム14は、規則、アルゴリズムまたは命令のセットに従って、ポンプ12から1つまたは複数のモニタ/制御システム18に警報メッセージを転送するように構成されている。患者治療システム10の好適実施形態では、これらの規則、アルゴリズムまたは命令は、警報転送システム16において実行され、この警報転送システム16は、実質的に、ポンプ12から1つまたは複数のモニタ/制御システム18へ、およびその反対の警報の流れを組織化し、安全かつ確実な信頼性が高い警報処理を実行する。この実施形態の変形例では、規則、アルゴリズムまたは命令は、ポンプ12自体に実装されてもよい。規則、アルゴリズムまたは命令は、規則エディタによって構成可能である。
【0014】
一実施形態では、発送サーバ14は、警報通信を実際の通信手段から切り離し、規則、アルゴリズムまたは命令に従って警報情報をモニタ/制御システム18に転送する警報転送システム16を組み込む。警報転送システム16は、ポンプ12によって生成され、ポンプ12から警報転送システム16まで発送システム14によって渡されるデータメッセージを評価し、規則、アルゴリズムまたは命令の第1のセットによって定められる一定の条件が満たされる場合、トリガーを生成する。トリガーの生成は、警報メッセージを抑制するべきか否かに関する規則、アルゴリズムまたは命令の第2のセットに従って評価される警報メッセージを生成する。発送サーバ14の例は、イリノイ州レークフォレストのHospira, Inc.により製造販売されたHospira MedNet(商標)薬物管理ソフトウェアを有するサーバである。発送サーバは、病院の既存の警報転送システムと組み合わせて使用可能であるか、または、発送サーバ14から受け取られる警報メッセージのインタフェースとなるように修正された病院の警報転送システムと組み合わせて使用可能である。患者治療システム10の好適実施形態では、発送システム14および警報転送システム16は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)によって、無線か光ファイバによって配線もしくは接続されるかにかかわらず、または、他の任意の通信プロトコルもしくはシステムによって、一緒に接続される別個のシステムである。しかしながら、発送システム14および警報転送システム16は、本明細書に記載されているように、発送システム14および警報転送システム16の機能を実行する単一のシステムに結合可能である。
【0015】
患者治療システム10は、好適実施形態では、発送システム14に接続されている1つまたは複数のモニタ/制御システム18を含む。モニタ/制御システム18の機能は、発送システム14に接続すること、発送システム14から警報およびデータを受け取ること、この種の警報およびデータを臨床従事者に通信すること、いくつかの実施形態では、臨床従事者にこの種の警報およびデータに対する応答を生成させること、ならびに別の方法で確認応答または制御応答を生成し、この種の応答および確認応答を発送システム14に通信させることである。モニタ/制御システム18は、好ましくは、モニタ/制御システム18が警報通知を受け取ったとき、警報を表す。警報は、可聴警報、視覚警報または振動警報を含むが、これらに限定されず、さまざまな形をとることができる。可能性があるモニタ/制御システム18のリストは、移動無線装置、ネットワーク接続のワークステーション、ラップトップコンピュータ、タブレット、電子メール、テキストメッセージ、ページャおよびファックスさえも含むが、これらに限定されるものではない。
【0016】
患者治療システム10の一実施形態では、医療装置12は、データメッセージを発送システム14に転送し、発送システム14は、データメッセージにアクセスし、警報状態が満たされているか否か、および、上位レベルの警報が抑制されるべきか否かを決定する。例えば、警報が遠隔モニタ/制御システム18に送信される間、医療装置12の現地の警報は、一時的に抑制可能である。データメッセージの内容は、警報状態が満たされているか否か、および上位レベルの警報が抑制されるべきか否かの両方の評価のために必要な入力でありうる。上述したように、データメッセージは、ポンプ治療状態データ、ポンプ動作点データ、または、ポンプ治療状態データおよびポンプ動作点データの両方に関する情報を含みうる。警報状態が満たされる場合、発送システム14は、警報転送システム16に、警報メッセージを、1つまたは複数のモニタ/制御システム18に転送させうる。その結果、モニタ/制御システム18は、特定の所定の条件下以外では、モニタ/制御システム18において警報を鳴らさない。さらに、医療装置12自体は、特定の所定の条件に従う場合以外、警報を鳴らさなくてもよい。
【0017】
図2は、看護師および薬剤師に送信され、彼らのワークフローを支援する警報状態を示す(例えば、看護師は、薬物の次のパッケージを薬剤師から手に入れ、薬剤師は、注入が完了に近づいていることを知らされ、そのことは、看護師が来て、注入用薬物の次のパッケージを手に入れる準備をするための合図である)。図2に示す実施形態で分かるように、ポンプ12は発送システム14と通信し、ポンプ12は、ポンプ12に関する状態データを発送システム14に送信する。この種の状態データは、患者の生体測定、生理学的または医学的パラメータ情報、ポンプ12の位置、ならびにポンプ12によって投与される薬物のタイプおよび量を含むが、これらに限定されるものではない。さらに、ポンプ12は、イベントデータを発送システム14に送信する。この種のイベントデータは、注入が完了に近づいていることを示す情報を含むが、これに限定されるものではない。さらに、ポンプ12は、警報データを発送システム14に送信する。本明細書で用いられる警報データは、ポンプ12の動作および安全性を扱う際に、医師、臨床スタッフまたは患者に利益を与えることができるすべての通知を意味する。
【0018】
本明細書に記載されている患者治療システム10は、1つまたは複数のポンプ12と相互作用するが、ポンプ12が患者治療システム10の一部である必要はない。しかしながら、後述するように、患者治療システム10の機能のさまざまな態様は、ポンプ12と共有されてもよく、その結果、いくつかの実施形態では、ポンプ12は、患者治療システム10の一部でもよい。
【0019】
ポンプ12からデータを受け取る他に、発送システム14は、ポンプ12にプログラミングデータを送信することもできる。この種のプログラミングデータは、ポンプ12による薬物の注入と、ポンプ12によって収集され、発送システム14に送信されるデータのタイプ、量および頻度と、の両方に関して、ポンプ12のパラメータおよび動作を再構成してもよい。さらに、発送システム14はまた、ポンプ12に薬物ライブラリデータを送信してもよく、薬物ライブラリデータは、次に、患者に薬物を注入する際に使用される限度および注入器設定を構成するために、ポンプ12により用いられてもよい。さらに、発送システム14は、ポンプ12がその動作のための最新のソフトウェアを有するように、ポンプ12にソフトウェアアップデートを送信してもよい。
【0020】
発送システム14は、警報転送システム16と相互作用し、発送システム14によって発生する警報を適切な受取人に規則、アルゴリズムまたは命令に従って転送する。これらの規則、アルゴリズムまたは命令は、臨床看護領域(CCA)、患者識別、警報優先度、ポンプ12の位置、ポンプ12によって注入される薬のタイプに部分的に基づく、または、これらを考慮に入れることができる。規則、アルゴリズムまたは命令は、固定され予め決定されてもよいし、または、病院もしくは医療機関によって、その好適な実務に従って、もしくは、他者によって推奨された他の実務に従ってカスタマイズされてもよい。適切な受取人の例は、ポンプ12からの治療を受けている患者を看護している看護師である。さらに、警報が適切な受取人に送信される場合、受取人が誰であるのか、または、警報が転送された位置もまた、ポンプ12自体に示されてもまたは表示されてもよい。
【0021】
発送システム14はまた、未加工データまたは発送システム14によって処理されたデータを、インタフェース22を介して臨床システム24に通信してもよい。インタフェース22は、発送システム14と臨床システム24との間の接続を提供する。臨床システム24は、(個別または発送システム14のネットワークによって相互接続されている)別のネットワークでもよく、この種のネットワークは、情報を適切な受取人、例えば、ポンプ12からの治療を受けている患者を看護している看護師の監督責任を有する看護師、患者の治療を監督する医師、患者のための薬物を調合する薬剤師、または、これらの人々およびポンプ12により患者に適用されている注入治療の状態を知る必要があるその他の人々の任意の組み合わせに情報を通信する。インタフェース22を介して発送システム14と臨床システム24との間で通信可能なデータ、および、臨床システム24から適切な受取人に通信可能なデータの例は、ポンプ12によって生成される未加工データ、例えば、ポンプ状態データ、ポンプイベントデータおよびポンプ12に関連付けられた警報、または、発送システム14もしくは警報転送システム16によって処理された規則、結果およびデータを含むが、これらに限定されるものではない。
【0022】
さらに、臨床システム24によって、適切な人員、例えば、患者の治療を監督する医師は、ポンプ12に接触し、ポンプ12の動作を最終的に制御または変更することが可能となる。例えば、医師は、注入命令を臨床システム24に送信し、この注入命令が、インタフェース22および発送システム14を通り、最終的にポンプ12に渡ることによって、ポンプ12の注入パラメータを臨床システム24を介して修正することができる。さらに、新規または修正されたポンプ12用のプログラミングデータは、臨床システム24に入力され、インタフェース22を介して発送システム14を通過し、最終的にポンプ12に渡ってもよく、ポンプ12において、ポンプ12の現在のプログラミングが、好ましくは自動でおよび/または遠隔方法で修正または置換される。
【0023】
インタフェース22によって、同様に、適切な人員は、モニタ/制御装置18または臨床システム24に利用可能な規則エディタを介してシステムの警報転送を制御するために用いる規則を管理することができる。管理インタフェースによって、病院職員は、ポンプ12からのデータメッセージのどの内容が、警報メッセージを生成させるのかに関する規則を決定することができる。例えば、管理人は、特定の種類の薬物が、たとえ一時的にのみであっても中断されたときはいつでも、警報が生成されると決定することができ、一方、異なる種類の薬物の中断は、中断が十分な期間でない場合、警報を生成しないと決定することができる。管理インタフェースによって、病院職員は、ポンプ12からのデータメッセージからのどの内容が、特定の警報メッセージがどのように抑制されるか、および、抑制されるか否かを制御することに関する規則を決定することもできる。例えば、管理人は、ライフクリティカルまたは別の面で危険性の高い薬、例えば、鎮痛薬、鎮静剤または抗凝固剤、例えばHeparinに関するデータメッセージに基づいて生成される警報メッセージが、全く抑制されず、より重要でない薬に関するデータメッセージに基づいて生成される警報メッセージが、装置のところで現地で抑制できるが、遠隔では消去できず、全く重要でない薬に関するデータメッセージに基づいて生成される警報メッセージが、装置のところで現地で抑制できるし、かつ、遠隔でも消去できる、と決定することができる。
【0024】
図3を参照して、どのように情報が患者治療システム10において流れるのかに関する例が説明可能である。図3の主な通信ノードは、ポンプ12、発送システム14、警報転送システム16、警報宛先またはモニタ/制御システム18、患者、看護師、遠隔医療職員および薬剤師を含む。見てとれるように、例示的な警報状態23「注入が完了に近づいている」が、ポンプ12から発送システム14に通信される。この警報状態のためのアルゴリズム25に従って動作する発送システム14は、「注入が完了に近づいている」という警報23を警報転送システム16に送信し、警報転送システム16は、その規則またはアルゴリズム25に従って、モニタ/制御システム18および臨床システム24にインタフェース22を介して送信する(図2)。代替的または追加的に、発送システム14は、警報23をインタフェース22に送信することができ、警報23は、次に臨床システム24に渡され、臨床システム24では、警報23は、適切な人員、例えば看護師、薬剤師または医師に渡る。このように、複数の警報メッセージは、発送システム14上で動作しているアルゴリズム25の動作に従って適切な人員に並列に送信される。さらに、この実施形態の変形例では、最初の警報メッセージは、この種の警報メッセージの受取人から、警報メッセージを最初に送信されない別の人に、いわゆる「直列転送」方式で転送されてもよい。さらに、同一の警報が複数の装置によって異なる時間に受け取られるのを回避するために、このことは、実際より多くの警報が存在するという誤った印象を与えかねないので、警報メッセージは、複数の受取人(例えば、さまざまなモニタ/制御システム18、例えばモバイルタブレットおよびナースステーション)に発送されるとき、その警報メッセージが同時に届くように同期されうる。
【0025】
管理インタフェースを用いて、特定の警報メッセージが患者治療システム10においてどのように流れたかを制御することもできる。例えば、ライフクリティカルな薬物に関連する警報メッセージがさまざまなモニタ/制御システム18に並列に転送され、一方、重要度が低い薬物に関連する警報メッセージが、単一の監視システム18に転送され、警報の確認応答がなかった場合のみ、別の監視システム18に直列に転送されるように、警報転送システム16によって警報メッセージに適用される規則は構成可能でありうる。
【0026】
さらに見てとれるように、発送システム14は、適切な人員、この場合看護師から、確認応答メッセージ27を受け取ることができる。警報メッセージを受け取ると、看護師は、警報メッセージの受け取りを確認する確認応答メッセージを送信してもよい。再び、この警報状態のために発送システム14上で動作している規則、アルゴリズムまたは命令25は、確認応答を処理し、追加の措置が講じられる必要があるか否かを決定する。例えば、確認応答メッセージが所定時間以内に受け取られない場合、アルゴリズムは、ポンプ12に、この警報状態の患者の近傍で患者を看護している人々に警告するために現地の警報を発生するように指示することができる。もちろん、所定時間が満了する前に、警報状態の確認応答がされる場合29、アルゴリズム25によって定義されるように、この種の現地の警報は必要とされなくともよいので、ポンプ12による現地の警報は鳴らない。
【0027】
警報状態が発送システム14に転送された患者治療システム10の実施形態では、警報が発生し、転送されたことをポンプ12に示すことは、必須ではないが望ましい。さらに、現地の警報が抑制される状況では、警報が鳴る前または別の方法でポンプ12に現地で示される前の残り時間が表示され、それゆえポンプ12の近傍に位置する臨床従事者がこの情報を見ることができ、この情報に従って適切に行動することができることは、必須ではないが望ましい。
【0028】
さらに、患者治療システム10の望ましい機能は、警報が無事に送達されたことを確認する機能である。図3および図4に示すように、警報メッセージが上述した通りに発送システム14によって適切な人員に送信された後、発送システム14上で動作しているアルゴリズム25は、そのように定められる場合、「転送成功」メッセージ31をポンプ12に返信することができる。この「転送成功」メッセージ31は、発送システム14または警報転送システム16の規則、アルゴリズムまたは命令25によって、またはポンプ12のソフトウェアおよび規則、アルゴリズムまたは命令によって処理され、これらのソフトウェアおよび規則、アルゴリズムまたは命令によって定義されるように措置を講ずることができる。例えば、この種の「転送成功」メッセージ31をポンプ12に送達するだけでなく、「転送成功」メッセージ31は、本明細書に記載されているように、聴覚、視覚または、触覚のメッセージングシステムの起動によることを含んで表示され、この種の受け取りを適切な介護者に警告してもよい。
【0029】
警報転送、確認応答および特定の種類の抑制の組み合わせの各々は、抑制プロトコルと称することができる。例えば、設定時間が経過するまで、または、警報転送確認もしくは確認応答が受け取られるまで、現地の聴覚警報を抑制することの組み合わせは、第1の抑制プロトコルであり、設定時間が経過するまで、または、主要な介護者が警報を医療装置にて現地で消去するまで、監督者に対する遠隔警報を抑制することの組み合わせは、第2の抑制プロトコルである。さまざまな抑制プロトコルは、病院職員によって、上述した規則エディタを利用して形成可能であり、上述した規則エディタは、一実施形態では、Hospira MedNet(商標)ソフトウェアに組み込まれてもよい。さまざまな抑制プロトコルは、医療装置データメッセージ、警報メッセージおよびシステムに利用できる他の情報の内容に基づいて、治療システムによってさらに選択的に適用可能である。このように、特に厳しい抑制プロトコルは、優先度が低い警報に自動的に適用可能であり、より緩い抑制プロトコルは、優先度が高い警報に適用される。
【0030】
ポンプ12からのデータメッセージの内容または警報メッセージの内容を用いて、警報が生成、抑制または転送される方法が制御される上述した状況のすべてにおいて、ポンプまたは医療装置12の臨床看護領域(CCA)は、規則への入力の追加としてまたは代替として用いられ、または、どの規則が適用されるべきなのかを選択するために用いられうる。この機能は、警報転送プロトコルまたは警報抑制プロトコルが1つのCCAにおける所定の医学状況に適切であり、他では適切ではない可能性があるという点で、重要な利点を提供する。例えば、通常の生理食塩水の点滴の一時的な中断は、優先度が低い警報でもよく、それに向けて1つのCCAでは厳しい抑制プロトコルが適用され、一方、同一の医学イベントは、予定の処理からのごくわずかな相違が患者にとってより問題となりうるレベル4のNICUでは優先度が高い。CCAは、最初に、医療装置にダウンロードされる薬物ライブラリにおいて配備または提供されるとき、医療装置にプログラムされることによって、次に、装置上で臨床従事者によって選択され、選択されたCCA情報が、医療装置12によって生成されるデータメッセージの一部として送達されることによって、これらの決定のいずれかに対する入力として受け取られうる。代替的に、CCAは、医療機関の複数の医療装置と通信するサーバに関連付けられたデータベース上で検索動作を実行することによって、データメッセージおよび/または警報メッセージから間接的に決定されうる。例えば、ポンプに関連付けられたID番号は、データメッセージに受け取られ、次に、データベースに適用され、ポンプが最後に配備されたか、プログラムされたか、または、ネットワークを介して問い合わせされたCCA領域を調べることができる。
【0031】
図4は、患者治療システム10の1つの考えられる機能の動作を示す。この機能において、発送システム14および警報転送システム16は、別個のシステムとして示される。しかし、上述したように、発送システム14および警報転送システム16が、本明細書に記載されているように、単一のシステムに組み合わせられる、または、発送システム14および警報転送システム16の機能を実行するソフトウェアモジュールに組み合わせられることは、本発明の範囲内であることが意図されている。さらに、図4において分かるように、医療ポンプ12自体は、特定のアルゴリズムに従って動作してもよいし、発送システム14および警報転送システム16の機能の一部をそれ自体で実行してもよい。
【0032】
この例では、26において、警報状態が発生する場合、28において、ポンプ12は警報状態メッセージを生成する。この警報状態メッセージは、ポンプ12から発送システム14に送信され、30において、警報状態メッセージが評価される。警報状態メッセージは、好ましくは、警報に関連する情報、例えば、ポンプ12のID、患者のID/名前、ポンプ12の位置および使用する薬のタイプ/濃度/名称を含む。ポンプ12は、発送システム14のサーバから、転送システム16および/または警報宛先または受け取りエンティティから警報および確認応答を受け取ったという確認応答を受け取る。
【0033】
30における評価は、発送システム14において定められる規則、アルゴリズムまたは命令に従って発生する。ステップ30において、ポンプ12から受け取られた警報状態が警報転送システム16に渡され、管理されるべきであると決定される場合、ステップ32において、警報状態は、警報転送システム16に渡され、受け取られる。次に、警報転送システム16は、その特定の警報状態のために警報転送システム16において定められる規則、アルゴリズムまたは命令に従って、モニタ/制御システム18を介して適切な人員に警報状態を転送する。警報は、異なる優先度および繰り返し速度を有し、異なる応答を必要とする。その結果、1つまたは複数の警報が同時に存在し、かつ、警報における警報情報の適切なルーティング、タイミングおよび表示が矛盾するとき、警報転送システム16において定められる規則、アルゴリズムまたは命令は、どの警報の優先度が高いのかを決定する。さらに、警報転送システム16において定められる規則、アルゴリズムまたは命令は、特に警報が矛盾する状況において、どのように、いつ、誰によって警報がキャンセルまたは抑制されうるのかを決定する。
【0034】
警報転送システム16が警報状態を転送するモニタ/制御システム18は、多くの装置、例えばページャ、携帯電話、無線装置、タブレット、ワークステーション、電子メール、または、警報転送システム16と通信し、情報を適切な人員に通信できるその他の形態の通信のいずれでもよい。図示の実施形態では、発送システム14自体は、発送システム14において定められる規則、アルゴリズムまたは命令に従って、ポンプ12から受け取った警報状態が、警報転送システム16に渡され、管理されるべきか否かを評価する。代替実施形態では、発送システム14は、この種の評価システムを含まないが、その代わりに警報メッセージを直接警報転送システム16に渡す。
【0035】
32において、警報転送システム16が警報状態メッセージを受け取ると、図示の実施形態では、プログラムは、ステップ34に進み、警報転送システム16が警報状態メッセージの「受け取り成功」確認応答を送信するように構成されるか否かが決定される。警報転送システム16がそのように構成される場合、プログラムは、ステップ34からステップ36に進み、「受け取り成功」確認応答メッセージが生成され、警報転送システム16から発送システム14に送信される。
【0036】
警報転送システム16から送信される「受け取り成功」メッセージは、ステップ38において、発送システム14によって受け取られる。ステップ38は、ポンプ12によって最初に生成され、発送システム14に渡された警報状態メッセージが警報転送システム16に成功裏に転送されたか否かを決定する。このステップ38の論理演算に従って、警報状態メッセージが警報転送システム16によって受け取られなかった場合、プログラムは、ステップ40に進み、上位レベルの方式が開始する。上位レベルの方式は、警報状態メッセージが確認応答されなかったとき、規則、アルゴリズムまたは命令による適切な応答の決定を含む。この種の適切な応答の例は、警報状態メッセージを再送すること、警報状態メッセージを別のモニタ/制御システム18に送信すること、警報状態の現地の表示をポンプ12上に起動すること、警報警告状態の表示を何らかの他の装置上に生じさせること、または、患者を治療する人々によって決定されるような、かつ、発送システム14上で動作する規則、アルゴリズムまたは命令にプログラムされた他の任意の適切な応答とすることができる。
【0037】
ポンプ12によって生成された警報状態メッセージが警報転送システム16によって最終的に受け取られた場合、ステップ38において、確認メッセージは、ステップ42および44の両方に自動的に送信され、上述したように論理52の動作によってポンプ12上で処理される。ステップ42において、警報状態メッセージが警報転送システム16に成功裏に転送されたか否かが評価される。警報状態メッセージが警報転送システム16に成功裏に転送されなかった場合、プログラムは、ステップ46に進み、現地の警報が視覚的に表示される。しかしながら、ステップ42において、警報状態が警報転送システム16によって成功裏に受け取られたことが確認される場合、プログラムは、ステップ48に進み、現地の警報はポンプ12によって表示されない。
【0038】
本実施形態では、ポンプ12は、上述したように現地の遅延タイマ50を含む。ステップ28において、警報状態メッセージがポンプ12によって発送システム14に送信されるとき、この種の現地の遅延タイマ50は起動する。上述したように、ステップ38において、発送システム14は、ポンプ12によって生成された警報状態メッセージが警報転送システム16によって受け取られたか否かを決定する。警報状態メッセージが警報転送システム16によって最終的に受け取られた場合、プログラムは、ステップ44にも進む。ステップ44は、現地の遅延タイマ50を終了させるべきか否かを決定する。ステップ44におけるこの決定は、規則、アルゴリズムまたは命令に従って発生する。特に、この決定は、好ましくは、警報メッセージの受け取りの確認応答54が58において医療関係者によって送信され、ステップ60および62を通過し、最終的にステップ54に渡され、確認応答メッセージがステップ54からステップ44に送信されるか否かを考慮する。現地の遅延タイマ50(図1)がその待ち時間を超過する場合、および、好ましくはステップ44を支配している規則、アルゴリズムおよび規則の下で、警報状態メッセージの確認応答がステップ54を介して発送システム14から受け取られない場合、ポンプ12内の論理52(図1または図4の全体的な矢印)は、現地の警報メッセージを送信するように設定される。しかしながら、54において、警報状態メッセージの確認応答を発送システム14から受け取ると、現地の遅延タイマ50は、計数を中止し、現地の警報メッセージは生成されない。現地の遅延タイマ50内で設定される遅延の長さは、例えば、生成される警報28のタイプの優先度またはポンプ12によって注入されている薬物のタイプ/濃度/名称に従って設定可能である。さらに、警報状態メッセージの確認応答の受け取りが現地の遅延タイマ50のタイムアウトの後にステップ54から到着し、その結果、現地の警報が規則、アルゴリズムまたは命令に従ってすでに開始した場合、患者治療システム10は、現地の警報を停止するか、現地の遅延タイマ50を再開するか、またはその両方をすることができる。
【0039】
モニタ/制御システム18において警報状態を受け取ると、モニタ/制御システム18は、56において、警報状態を表示する。この表示は、視覚、聴覚または触覚の表示という形をとることができる。例えば、表示は、可聴警報を鳴らし、臨床従事者に警報状態メッセージの受け取りを示してもよい。さらに、表示は、観察画面に警報状態メッセージに関連した情報を表示してもよい。さらに、表示は、閃光のような、警報状態メッセージの受け取りの可視的表示器の起動を含むことができる。最後に、表示は、触覚表示、例えば臨床従事者に警報状態メッセージの受け取りを示す振動装置という形をとってもよい。可能性がある表示のこのリストは、モニタ/制御システム18が使用しうる可能性がある表示または指示を例示することが意図されている。しかしながら、このリストが例示的であり制限することは意図されていないことを理解されたい。その結果、臨床従事者の注意を警報状態メッセージの受け取りに引きつける、表示する、または別の方法で警報状態メッセージの内容を通信する任意のタイプの表示が、本発明の患者治療システム10の範囲内であることが意図されている。
【0040】
モニタ/制御システム18により警報状態メッセージを受け取ると、臨床従事者は、彼らの宛先装置が双方向通信を許容する場合、「受け取りの確認応答」メッセージを発送システム14に返信することができる。この種の確認応答メッセージを生成し、送信することは、58において、モニタ/制御システム18において発生する。確認応答受け取りメッセージは、60において、モニタ/制御システム18から警報転送システム16に送信され、警報状態メッセージの受け取りの確認応答は、62において、発送システム14に渡される。ステップ62は、発送システム14から以前送信された警報メッセージ28が確認応答されたか否かを決定する。確認応答されなかった場合、プログラムは、40に進み、上位レベルの方式が規則、アルゴリズムまたは命令に従って決定される。
【0041】
ステップ62において、警報状態確認応答メッセージが受け取られたと決定された場合、プログラムは、ステップ54に進み、確認応答メッセージが、44において、発送システム14からポンプ12に送信される。64において、この警報状態28は、規則、アルゴリズムまたは命令に従って、この警報状態がポンプ12上の現地の警報の表示を必要とするか否かを決定するために評価される。この種の警報状態28がポンプ12上の現地の警報の表示を必要とするか否かは、ポンプ12にプログラムされた特定の規則、アルゴリズムまたは命令に従って決定される。警報状態28が、現地の警報がポンプ12に表示されることを必要とする場合、この種の警報は、46において表示される。警報状態28が、現地の警報が表示されることを必要としない場合、プログラムは42に進み、警報状態が発送システム14および警報転送システム16を通して適切な人員に成功裏に転送されたか否かが評価される。
【0042】
26における警報状態の形成は、ステップ28における警報状態メッセージの送信に加えて、論理52に従ってポンプ12上で動作しているプログラムをステップ66に移動させ、規則、アルゴリズムまたは命令に従って、ポンプ12が現地の警報である可聴警報を抑制するように構成されるか否かが決定される。ポンプ12が現地の警報である可聴警報を表すように構成されるか否かを決定することは、ポンプ12にプログラムされた規則、アルゴリズムまたは命令に従って行われる。
【0043】
ステップ66において、規則、アルゴリズムまたは命令に従って、ポンプ12が現地の可聴警報を抑制するように構成されると決定される場合、プログラムは、ステップ68に進み、現地の可聴警報をその規則、アルゴリズムまたは命令に基づいて遅延または抑制するべきか否かが評価され、ここで、現地の遅延タイマ50の現段階を参照することを含むがこれに限定されるものではない。ステップ68において、現地の可聴警報が抑制されるべきと決定される場合、プログラムはステップ70に進む。ステップ70は、現地の遅延タイマ50がその所定の遅延時間を使い果たしたか否か、および、警報状態が依然持続するか否かを決定する。現地の遅延タイマ50がその現地の遅延時間を使い果たし、警報状態が依然持続する場合、プログラムは、ステップ72に進み、警報が抑制されると以前決定された場合であっても、ポンプ12は、現地の可聴警報を提供する。本実施形態では、警報抑制が無効にされる理由は、現地の遅延タイマ50の時間切れによって証明されたように、警報通知の受け取りの確認応答を受け取ることを失敗し、規則、アルゴリズムまたは命令に従って警報が生成される必要があると決定されたことである。また、規則、アルゴリズムまたは命令に従って、警報は、直ちに生成可能であるか、または、さらなる措置を講じた後に生成可能である(例えば、警報メッセージの確認応答または受け取りが戻るか否かを見るために警報メッセージを再送する)。ステップ66において、ポンプ12が現地の可聴警報表示を抑制するように構成されないと決定される場合、プログラムは、ステップ72に進み、ポンプ12は、現地の可聴警報を提供する。現地の聴覚警報または視覚警報の一方または両方は、46および72において生成可能である。
【0044】
上述した患者治療システム10の実施形態は、警報状態メッセージの「受け取り成功」の確認応答を送信する警報転送システム16を有したが、これは患者治療システム10にとって必須ではない。さらに、患者治療システム10のこれらの実施形態は、上位レベルの方式40を有するが、これも患者治療システム10にとって必須ではない。同様に、さまざまな明確な動作、評価、送信または抑制されるメッセージ、起動または抑制される警報、および、上述した実施形態のおよび図示した他の実施形態に関する類似の態様は、除去されてもよいし、または多種多様な順列および組み合わせで追加されてもよく、依然として本発明の範囲内に存在することができる。患者治療システム10は、「管理」という用語のすべての種類の警報の管理を考慮に入れる。本明細書において与えられる警報を「管理する」さまざまな態様は、例示的であり制限的ではないことを意図している。
【0045】
図5は、管理人、例えば、情報技術(IT)専門家、生医学的技術者または看護師もしくは患者の治療に責任があるその他の臨床従事者と、ポンプ12と、の間の相互関係であって、発送システム14、警報転送システム16およびモニタ/制御システム18を介した相互関係を示す。74において、管理人がポンプ12を構成することを望む場合、76において、管理人はモニタ/コントローラシステム18を介して命令を送信する。
【0046】
管理人がポンプ12を再構成することを望む場合、78において、モニタ/コントローラシステム18は、警報転送システム16に「ピンを送信し」、どのポンプ12が構成に利用できるかを決定する。次に、80において、警報転送システム16は、発送システム14に「ピンを送信し」、どのポンプ12が構成に利用できるかを決定する。82において、発送システム14と通信するポンプ12は、自身の識別情報およびデータを発送システム14に送信する。これは、ポンプ12から発送システム14へのデータの略リアルタイムのプッシュ型転送とすることができるか、または、データは、発送システム14によるポンプのリクエストまたは「ピン」に応答してプル型転送されうる。次に、発送システム14は、警報転送システム16に利用できるポンプ12に関する情報を送信し、84において、この種の情報は、モニタ/コントローラシステム18に送信され、86において、モニタ/コントローラ18は、ポンプの現状および再構成のための利用できるオプションの範囲を含むこの特定のポンプ12に関する関連情報を表示する。この情報を表示するモニタ/制御システム18によって、情報は、管理人に対して利用可能にされる。
【0047】
管理人がどのポンプ12が構成に利用できるかについて決定すると、88において、管理人は、そのポンプ12が構成されるように選択する。管理人は、モニタ/コントローラシステム18において所望の選択を行い、次に、90において、モニタ/コントローラシステム18は、この特定のポンプ12について新しく構成された設定を表示する。管理人がモニタ/制御システム18において所望のポンプ12の構成の特定のパラメータを入力すると、モニタ/コントローラシステム18は、この情報を警報転送システム16に渡し、92において、警報転送システム16は、情報を発送システム14に送信し、パラメータ構成は、93において発送システム14によって選択されたポンプ12に送信され、94においてポンプ12によって受け取られ、95においてポンプ12で実行される。
【0048】
類似の方法は、管理人が発送システム14、警報転送システム16またはモニタ/コントローラシステム18自体を構成するために使用される。モニタ/コントローラシステム18自体が構成される必要がある場合、新しい構成をモニタ/制御システム18に入力することによって、構成が直接行われうる。しかしながら、この種の構成変更を、発送システム14または臨床システム24を介して他に警告することは望ましいものでありうる。この場合、モニタ/コントローラシステム18は、構成情報を警報転送システム16に送信し、警報転送システム16は、この情報を発送システム14に送信し、次に、発送システム14は、情報を、発送システム14における規則、アルゴリズムまたは命令に従って適切な位置に送信する。
【0049】
警報転送システム16が新しい構成を受け取る必要がある場合、警報転送システム16の構成可能な態様は、モニタ/コントローラシステム18に表示される。警報転送システム16のための所望の構成は、モニタ/制御システム18に入力され、モニタ/制御システム18は、次に、新しい構成を、実装されるべき警報転送システム16に送信する。また、この種の構成変更を、発送システム14または臨床システム24を介して他に警告することは望ましい。この場合、警報転送システム16は、構成情報を発送システム14に送信し、発送システム14は、次に、情報を、発送システム14における規則、アルゴリズムまたは命令に従って適切な位置に送信する。
【0050】
発送システム14が新しい構成を受け取る必要がある場合、発送システム14および警報転送システム16の構成可能な態様は、発送システム14から受け取られ、警報転送システムを通過して、モニタ/コントローラシステム18に表示される。発送システム14のための所望の構成は、モニタ/制御システム18に入力され、モニタ/制御システム18は、次に、発送システム14によって実装されるべき新しい構成を送信する。また、この種の構成変更を、発送システム14または臨床システム24を介して他に警告することは望ましいものでありうる。この場合、発送システム14は、情報を、発送システム14における規則、アルゴリズムまたは命令に従って適切な位置に送信する。
【0051】
本実施形態では、インタフェース22および臨床システム24は明確には示されない。しかしながら、インタフェース22および臨床システム24は、モニタ/コントローラシステム18に組み込まれてもよい。しかしながら、インタフェース22および臨床システム24が別個かつ独立のシステムでもよいし、またはインタフェース22および臨床システム24の機能が、全体的もしくは部分的に、発送システム14、警報転送システム16もしくはモニタ/制御システム18によって実行されてもよいことを理解されたい。さらに、発送システム14、警報転送システム16、インタフェース22、臨床システム14およびモニタ/制御システム18の機能、要素またはその両方が、単一のシステムに組み込まれることを含むこの種の機能または要素の任意の順列または組み合わせに組み込まれることは、患者治療システム10の範囲内である。
【0052】
図6に、警報転送機能に関する患者治療システム10の動作が示される。26において警報状態が発生すると、ポンプ12は、96において、ポンプ12が発送システム14に接続されているか否かを決定する。ポンプ12が発送システム14に接続されていない場合、プログラムは、ステップ98に進み、ポンプは、視覚警報または可聴警報またはその両方をポンプ12に表示し、そのポンプ12が発送システム14に接続されていないことを示す。ステップ96において、ポンプ12が発送システム14に接続されていると決定される場合、プログラムは、ステップ100に進む。ステップ100において、ポンプ12は、警報状態通知を発送システム14に送信し、102において、発送システム14は、警報状態通知を受け取る。警報状態通知を発送システム14に送信することに加えて、プログラムは、ステップ100からステップ104に進み、ポンプ12が発送システム14に接続されていないことを示す現地の警報状態を表示するようにポンプ12が構成されるか否かが決定される。ポンプ12がこの種の現地の警報通知を表示するように構成される場合、プログラムは、ステップ106に進み、この種の警報状態は、表示されるか、またはその他の方法で示される。ポンプ12がこの種の警報通知を表示するように構成されない場合、プログラムは、ステップ108に進み、後述するような動作が発生する。
【0053】
上述したように、26において警報状態が生成され、ポンプ12が発送システム14に接続されているとき、警報状態メッセージは、ステップ100において発送システム14に送信され、ステップ102において受け取られる。ステップ102において、警報状態メッセージは、規則、アルゴリズムまたは命令に従って評価され、警報状態メッセージが、警報転送システム16、モニタ/コントローラシステム18またはその両方に転送されるべきか否かを決定する。ステップ102において、警報状態メッセージが警報転送システム16またはモニタ/コントローラシステム18の一方に転送されるべきでないと決定される場合、プログラムは、ステップ98に進み、ポンプ12は、警報をポンプ12に表示または生成する。
【0054】
ステップ102において、警報状態メッセージが警報転送システム16またはモニタ/コントローラシステム18の一方に転送されるべきであると決定される場合、プログラムは、警報転送システム16のステップ110に進む。ステップ110において、プログラムは、規則、アルゴリズムまたは命令に従って、警報状態が受取人にルーティングされるべきか否か、ルーティングされるべきならばどの受取人に対してかを決定する。警報状態通知が受取人に転送されるべきと決定される場合、プログラムは、警報転送システム16のステップ110からモニタ/コントローラシステム18のステップ112に進む。
【0055】
プログラムがステップ110に到達するために、警報状態メッセージは、警報転送システム16によって受け取られなければならない。したがって、ステップ110において、プログラムは、ステップ114に進み、警報転送システム16が警報通知メッセージの受け取り成功の確認応答を送信するように構成されるか否かが決定される。警報転送システム16がこの種の確認応答を送信するように構成されない場合、プログラムは、116に進み、さらなる動作は行われない。しかしながら、警報転送システム16がこの種の確認応答を送信するように構成される場合、プログラムは、ステップ118に進み、この種の確認応答は、警報転送システム16によって生成され、発送システム14に送信され、ステップ120において受け取られる。ステップ120において、警報状態メッセージが警報転送システム16によってうまく受け取られたと決定される場合、プログラムは、ポンプ12のステップ108に進む。
【0056】
ステップ108において、ステップ100で生成された警報状態メッセージが警報転送システム16によって受け取られなかったと決定される場合、プログラムは、ステップ106に進み、警報状態メッセージが警報転送システム16によって受け取られなかったことを示す警報状態が、ポンプ12に表示される。しかしながら、ステップ108において、ステップ100で生成された警報状態メッセージが警報転送システム16によってうまく受け取られたと決定される場合、プログラムは、ステップ122に進み、警報は、現地でポンプ12に表示されない。
【0057】
ステップ120において、ステップ102で発送システム14によってポンプ12から受け取られた警報状態メッセージが警報転送システム16に成功裏に転送されなかったと決定される場合、プログラムは、上位レベルの方式40に進み、適正レベルのエスカレーションが、上述したように規則、アルゴリズムまたは命令に従って決定される。また、ステップ120において、ポンプ12によって生成され、発送システム14によって受け取られた警報状態メッセージが警報転送システム16によって成功裏に受け取られたと決定される場合、プログラムは、ステップ44にも進み、現地の遅延タイマ50がキャンセルされ、警報メッセージは生成されない。
【0058】
モニタ/コントローラシステム18のステップ112において、警報状態表示がモニタ/制御システム18に示される場合、プログラムは、ステップ124に進み、警報状態メッセージの受取人は、警報状態メッセージの受け取りの確認応答を行う機会が与えられる。受取人がこの種のメッセージの受け取りの確認応答を生成することを選択する場合、プログラムは、警報転送システム16のステップ126に進み、確認応答は、発送システム14のステップ128に渡される。ステップ128は、受取人がポンプ12によって送信される警報状態メッセージの受け取りを確認応答したか否かを確認する。回答が「はい」であれば、プログラムは、ステップ130に進み、確認応答は、発送システム14からステップ44に送信され、現地の遅延タイマ50はキャンセルされ、それゆえ、警報メッセージは生成されない。
【0059】
ステップ112において、警報状態表示がモニタ/制御システム18に送信される場合、プログラムは、ステップ132に進み、規則、アルゴリズムまたは命令に従って、警報状態が遠隔消去できるか否かが確認される。警報状態が遠隔消去できない場合、プログラムはステップ134に進み、さらなる措置は講じられない。しかしながら、警報状態が遠隔消去できる場合、プログラムはステップ136に進み、警報は、モニタ/制御システム18において資格のある臨床従事者によって消去可能である。
【0060】
次に、プログラムは、警報転送システム16のステップ138に進む。ステップ138は、警報消去のメッセージを発送システム14のステップ140に渡し、警報消去のメッセージは、ステップ142においてポンプ12に渡される。ステップ142では、ポンプ警報は、ポンプ12において消去される。ポンプ警報がステップ142でポンプ12において消去される場合、プログラムは、発送システム14のステップ144に進む。ステップ144において、発送システム14は、ステップ100でポンプ12によって以前生成された警報状態メッセージが遠隔消去されたということが通知される。次に、プログラムは、警報転送システム16のステップ146に進み、現地の警報通知は、警報転送システム16上で動作している規則、アルゴリズムまたは命令によって決定されるような適切な受取人に送信される。さらに、プログラムは、モニタ/コントローラシステム18のステップ148に進み、現地の警報状態は、適切なモニタ/制御システム18において示され、警報状態通知が消去されたことを示す。
【0061】
次に、プログラムは、ステップ150に進み、警報状態が解消されたか否かが決定される。警報状態が解消された場合、プログラムは、ポンプ12のステップ152に進み、ポンプ12の警報が消去される。ステップ150において、プログラムが、警報状態が解消されていないと決定した場合、プログラムは、ステップ40に進み、上位レベルの方式が開始され、以前決定された規則、アルゴリズムまたは命令に従って、適切な措置が講じられえて、警報状態を解消する。ステップ144において、プログラムは、ステップ72にも進み、上述したように、ポンプ12が現地の可聴警報を抑制するように構成されない場合、ポンプ12は、現地の可聴警報を提供する。
【0062】
臨床従事者によって手動で、または、患者治療システム10上で動作している規則、アルゴリズムまたは命令に従って自動的に、警報が消去されるとき、「警報消去のメッセージ」は、元の警報を受け取ったすべてのエンティティに送信されてもよい。この種の警報消去のメッセージは、警報がどのように、いつ、誰によって消去されたかを示してもよく、元の警報が何であったかという指示、そのタイムスタンプおよびどのように警報が解消されたのかを含んでもよい。さらに、警報がある位置において消去されたものとして示されたが、警報は、ポンプ12、発送システム14、警報転送システム16、臨床システムサーバ24またはモニタ/制御システム18のいずれであれ、臨床従事者が患者治療システム10にアクセスできるどこから消去されてもよい。消去が遠隔で発生したことをポンプ12自体に明確に示し、または、強調し、消去の出所の近くで世話をしている人員に警告することは望ましいものでありうる。さらに、警報が遠隔で消去される前に現地で消去される場合、発送システムサーバ14は、この発生の通知を受け取り、この種の通知を遠隔の受取人に転送する。
【0063】
さらに、警報が遠隔で消去されるが、現地で消去されない場合、臨床従事者が遠隔で警報を消去するが、ポンプ12を点検し、現地でポンプの警報を消去するのを忘れる場合に備えて、所定時間の満了後、上述した現地の遅延タイマを用いて、本明細書に記載されている警報シーケンスを再開することが望ましい。
【0064】
図7は、ポンプ12上で動作する注入プログラムがオペレータによって修正または置換される患者治療システム10の実施形態を例示する。患者治療システム10のこの実施形態では、ポンプ12は、後述するようにモニタ/コントローラシステム18によって制御されるために、発送システム14に接続されていなければならない。さらに、ポンプ12は、製造業者によって、またはより好ましくは、医療機関によって選択または構成される設定を有する適切な薬物ライブラリを有さなければならず、それによって注入プログラムは、警報管理目的のためにモニタ/制御システムから遠隔で修正または置換可能になる。薬物ライブラリは、ポンプに格納されるか、または別の方法でポンプ12にアクセス可能でなければならない。本実施形態では、適切な人または許可された人、例えば患者に治療を提供している看護師は、彼らのそれぞれのモニタ/コントローラシステム18において、患者に対するポンプ12の動作の何らかの態様を選択する。例えば、図7に示すように、ステップ154において、臨床従事者は、注入滴定を選択することができる。その結果として、156において、臨床従事者は、モニタ/コントローラ18上のプログラミング画面にアクセスする。次に、臨床従事者は、ステップ158において、所望のプログラミング情報を、モニタ/制御システム18のプログラミング画面において入力する。その後、方法は、ステップ160に進み、臨床従事者は、プログラム情報を確認する。次に、方法は、ステップ162に進み、モニタ/コントローラシステム18は、新しいプログラム情報を警報転送システム16に送信し、ステップ164において受け取られる。ステップ164において、警報転送システムは、プログラミング命令を発送システム14に送信し、ステップ166において受け取られる。ステップ166において、発送システム14は、プログラム命令を注入ポンプ12に送信し、ステップ168において、プログラム命令は、受け取られ、ポンプ12に組み込まれる。ポンプ12は、図7に示すように、新しいもしくは変更されたプログラム命令にて直ちに動作してもよく、または、現地もしくは遠隔確認の後、遅延した方法で進行してもよい。
【0065】
患者治療システム10の説明で分かるように、ソフトウェアか、または、患者治療システム10およびポンプ12の各種要素上の個別論理か、にかかわらず、論理の一部として実行される特定のステップが存在する。しかし、この種の論理の一部でもなく、この種の論理によって実行されるわけでもない臨床従事者によって実行される特定のステップも存在する。患者治療システム10を含むプロセスが、臨床従事者によって実行されるが患者治療システム10によって実行されないステップを含む場合、ポンプ12またはモニタ/コントローラ18を含む実施形態か否かにかかわらず、臨床従事者によって実行されるプロセスステップは、患者治療システム10の一部ではない。
【0066】
また、図7に示すように、169において、ポンプ12は、ポンプ12による注入が患者に対して開始されたという確認を発送システム14に送信する。発送システム14は、170において、ポンプ12による注入が開始したという確認を受け取り、この情報を172において警報転送システム16に渡す。ステップ172において、警報転送システム16は、ポンプ12が注入を開始したという確認を174においてモニタ/コントローラ18に送信する。ステップ174において、モニタ/コントローラシステム18は、ポンプ12による注入が開始したという確認を表示する。ステップ174において、モニタ/コントローラシステム18は、注入がポンプ12によって開始したことを表示する。この確認は、ステップ176において、モニタ/コントローラ18から(警報転送システム16を介して)発送システム14にも送信される。ステップ176において、発送システム14は、ポンプ12によって開始された注入が、モニタ/コントローラ18によってプログラムされた所望の注入であるか否かを確認する。注入が正しくない場合、発送システム14は、ステップ40に進み、上位レベルの方式が開始され、上位レベルの方式において設定される規則、アルゴリズムまたは命令に従って措置が講じられる。
【0067】
図8には、患者治療システム10の別の管理機能が示される。この機能において、臨床従事者は、1つまたは複数のポンプ12に対する権限を別の臨床従事者に移動する。この機能にアクセスするために、移動を実行する臨床従事者およびポンプ12に対する権限の移動を受け取る臨床従事者の両方は、発送システム14および警報転送システム16への適切なアクセスを、例えば、各臨床従事者の適切なインタフェースを有するそれぞれのモニタ/制御システム18を介して有さなければならない。モニタ/コントローラシステム18にアクセスすることによって、178において、臨床従事者は、移動されるべきポンプ12のリストを選択する。方法は、ステップ180に進み、臨床従事者は、ポンプ12に対する権限が移動されるモニタ/制御システム18を選択する。
【0068】
方法は、ステップ182に進み、次に、ポンプ12に対する権限を移動する人のためのモニタ/コントローラ18は、選択されたポンプ12のリストを、ポンプ12に対する権限を受け取る人のモニタ/制御システム18に、警報転送システム16を介して転送し、この情報は、184において受け取られる。ステップ184において、警報転送システム16は、選択されたポンプのリストを、選択されたモニタ/コントローラ18に転送し、選択されたモニタ/コントローラ18は、186において、ポンプ12に対する権限を受け取る。186において、それぞれのモニタ/制御システム18は、ポンプ12の移動されたリストを表示し、移動の確認を求める。次に、188において、ポンプ12に対する新しい権限に関連付けられた臨床従事者は、彼らのモニタ/制御システム18において、ポンプリストの移動を受け入れる。また、臨床従事者がポンプ12の移動リストを受け入れた結果、次に、190において、その臨床従事者のモニタ/コントローラ18は、新しく獲得されたポンプ12のリストを表示する。
【0069】
図9には、患者治療システム10の注入モニタ機能が表示される。ポンプ12は、発送システム14と相互作用するように構成される。192において、ポンプ12は、非警報状態情報を発送システム14に送信し、194において受け取られる。この種の非警報状態情報の例は、送達される薬物、用量、速度、注入される容積(VTBI)および注入期間を含むが、これらに限定されるものではない。ステップ194は、非警報状態情報をポンプ12から警報転送システム16に転送し、非警報状態情報は、196において受け取られる。次に、ステップ196は、警報転送システム16上で動作する規則、アルゴリズムまたは命令によって構成されるように、ポンプ12の非警報状態情報を1つまたは複数の適切な受取人にルーティングする。ステップ198において、ポンプ12の非警報状態情報の各受取人は、この状態情報を、それぞれのモニタ/コントローラシステム18において受け取る。その結果、モニタ/コントローラシステム18は、ポンプ12からの非警報状態情報を表示するので、臨床従事者は、この種の状態を知ることができる。特定の臨床従事者のモニタ/制御システム18は複数のポンプ12を監視している場合、各ポンプ12に関する個々の情報を選択し、表示するように設定可能である。ステップ200において、臨床従事者は、ポンプ12を選択し、そのポンプ12の非警報状態の詳細を見る。特定のポンプ12を監視するために選択した結果、モニタ/コントローラシステム18は、202において、そのポンプ12のための非警報注入状態情報を表示する。
【0070】
患者治療システム10は、特定の情報がモニタ/コントローラシステム18に表示される期間に影響を及ぼす機能を含むこともできる。図9には、この種の機能の例が示される。プログラムは、202からステップ204に進んでもよく、ステップ204は、臨床従事者とモニタ/コントローラシステム18との相互作用に関連付けられた非活動量を測定するタイマである。臨床従事者がモニタ/コントローラシステム18と相互作用せずに、規則、アルゴリズムまたは命令に従って十分に長い時間(例えば10秒)が経過する場合、プログラムは、ステップ206に進み、モニタ/制御システム18は、特定のポンプ12により提供される非警報状態情報の詳細図を閉じる。もちろん、詳細図をこのように閉じることを起動する前に経過しなければならない時間は、変化することができ、臨床従事者の好みに合わせるために、臨床従事者によって選択可能でもよいし、または特定の安全プロトコルに従って予め設定されてもよい。さらに、この機能は、特定の情報が表示される時間の長さに加えて、どんな情報が表示されるのかを決定することも含み、両方のために、臨床従事者が誰であるのか、ポンプ状態が何であるのか、および、臨床従事者の位置を考慮してもよい。
【0071】
1つまたは複数のポンプ12に対する権限を別のモニタ/制御システム18に移動した結果、臨床従事者は、自分のモニタ/制御システム18から移動されたポンプ12を消去することができる。もちろん、臨床従事者は、ステップ208において行われているように、ポンプ12に対する権限を最初に移動したにちがいなく、上述したプロセスは、単一のステップ208にまとめられる。その後、プログラムは、210に進み、臨床従事者は、移動されたポンプ12を消去する。次に、プログラムは、ステップ212に進み、モニタ/制御システム18は、以前は監視されていたが現在は別の臨床従事者に移されたポンプ12を消去する。
【0072】
図10は、モニタ/制御システム18の例を示す。モニタ/制御システム18は、携帯電話、ラップトップコンピュータ、タブレット、または、警報転送システム16および発送システム14と相互作用することができ、情報を表示することができ、ならびに、情報を入力して警報転送システム16および発送システム14に送信できる他の任意の移動装置でもよい。図10の部分Aにおいて見られるように、いくつかの異なる位置(例えば、ベッド2、ベッド5およびベッド7)にある監視されている装置の状態は、主要状態画面214に表示可能である。画面に表示される情報は、ポンプ12の名称および注入状態である。さらに、図10の部分Bに示すように、主要状態画面214からポンプ12が選択される場合、任意の特定のポンプ12によって発生する注入の詳細が表示可能である。例えば、図10の部分Bの例に示されるように、ポンプ12が「ベッド2」に位置する「注入器1」として示される場合、状態「注入中」が示され、同様に、注入されている薬物(この場合「ドーパミン」)も示される。さらにまた、ドーパミンの濃度(5mg/100ml)は、用量(5ml/時)、速度(250ml/時)およびVTBI(500ml)と同様に示される。「患者」の指定は、もちろん、本発明の範囲から逸脱することなく、「ベッド」の指定と置換可能である。
【0073】
図10の部分Cに示すように、警報状態は、モニタ/コントローラシステム18にも表示可能である。この場合、「ベッド2」に位置する「注入器3」として示されるポンプ12は、その注入プログラムの終了に到達している。その結果、「注入終了」の警報メッセージが生成されている。この種の警報メッセージを生成する1つの可能性がある結果は、モニタ/制御システム18自体が警報を示すことでもよい。特定のポンプ12の状態(ここで「注入終了」)を示すことに加えて、モニタ/制御システム18はまた、視覚、聴覚または触覚の警報を起動し、この警報メッセージを受け取る臨床従事者に警告してもよい。
【0074】
さらに、監視されているポンプ12の表示の順序は、それらのそれぞれの状態の優先度を表すために変更可能である。例えば、図10の部分Cに示すように、「ベッド2」の「注入器3」によって指定されるポンプ12は、この特定のポンプ12に関連付けられた警報メッセージの存在により、他のポンプ12より優先度が高い状態にある。その結果、このポンプ12は、優先度がより低い状態の他のポンプ12より、モニタ/制御システム18の表示において高くリストされ、このポンプ12の高められた状態に注目を集める。
【0075】
この説明の全体に渡って、反復記載は、「規則、アルゴリズムまたは命令」になされた。これらの規則、アルゴリズムまたは命令は、安全性を促進する、または、有効性、長命性もしくは使いやすさを改良することを含むが、これらに限定されず、有用であると決定される実質的に何であっても対象としうる。さらに、臨床従事者がポンプ12を構成または再構成している際、これらの規則、アルゴリズムまたは命令は、特定の構成が認められた境界外にあるかまたは危険である場合に、臨床従事者に警告するために安全装置を含むことができ、臨床従事者がこの種の構成を、患者治療システム10によって受け取られる前に確認するように要求されてもよい。さらに、どこで、いつ、および誰に対して、警報メッセージが転送または通信されうるのかは、警報の上位レベルの方式40が存在していたかまたは存在するかにかかわらず、実質的にいくつかの可能性がある考慮を挙げると、利用可能なスタッフ、臨床看護領域(CCA)、施される治療、薬物のタイプ、患者の条件、時刻、曜日を考慮に入れてもよい。
【0076】
本明細書に記載されている患者治療システム10は、開示される実施形態の1つまたは複数において、患者の安全性が向上し、臨床従事者にとっての使いやすさが向上したという現在のシステムに勝る有利な効果を有する。患者の安全性の向上に関して、患者治療システム10は、1つまたは複数の実施形態では、警報転送が臨床関係者に到達しないとき、または、彼らがタイムリーに警報に応答または確認応答できないとき、警報を鳴らすことによって患者の安全性を向上させる。このようにして、臨床従事者の不在または臨床従事者が警報に応答するのに失敗する可能性は減少する。最初の警報が見落とされる、または、応答に失敗した場合に備えて、医療関係者が互いにバックアップするのに役立つ警報の上位レベルの手順を作成することによっても、臨床従事者の不在または臨床従事者が警報に応答するのに失敗する可能性は減少し、したがって患者の安全性は向上する。さらに、逆注入イベントまたは保留中の逆注入イベントまでの医療関係者による応答時間が短縮するので、患者の安全性は、患者治療システム10の1つまたは複数の実施形態によって向上する。医療関係者がポンプ12から物理的に遠く離れている場合であっても、医療関係者にこの種の有害事象または現在の有害事象に対して警告することによって、この応答時間は短縮する。
【0077】
さらに、患者の安全性は、患者治療システム10の1つまたは複数の実施形態では、規則、アルゴリズムまたは命令に従って動作する警報評価および発送のシステムを作成することによって向上し、その結果、警報管理ロジックは、個々のおよびさまざまなモニタ/コントローラシステム18ならびに対応する通信技術から削除され、その代わりに、より少ない数の装置(場合によっては、単一の発送システム14)上で動作する規則、アルゴリズムおよび命令の減少したセット(場合によっては、単一のセット)によって支配および制御される。
【0078】
さらに、患者の安全性は、患者治療システム10の1つまたは複数の実施形態では、患者を不必要な接触にさらすことなく、または、ポンプ12がポンプ12自体でプログラムされる必要なく、医療関係者が注入をプログラムまたは修正できることによって向上する。臨床従事者が物理的に存在したり、または、ポンプ12に直接接触したりする必要はないので、臨床従事者による患者の汚染の可能性は減少する。さらに、臨床従事者が物理的に存在したり、または、ポンプ12に直接接触したりする必要はないので、複数の臨床従事者が同一の注入ポンプ12を利用するとき、複数の臨床従事者による相互汚染の可能性は減少する。このように、第一に、ポンプ12は臨床従事者によって汚染されず、ポンプ12が最初に汚染された場合であっても、次の臨床従事者が、ポンプ12のプログラミングを変更もしくは修正する、または、ポンプ12の状態もしくはポンプ12上で動作する注入プログラムを点検するためにポンプ12に接触したり、ポンプ12の近傍にいたりする必要はないので、相互汚染は排除される。必要に応じて、以前ポンプ12で行われたプログラム値の確認またはダブルチェックは、モニタ/制御システム18の臨床従事者によって行われうる。
【0079】
患者治療システム10のさらに他の実施形態では、患者の安全性は、誤った治療が施される可能性を減らすことによって向上する。臨床従事者は、治療を施すのに含まれうる多数の装置のインタフェースを熟知する必要がある代わりに、単一のインタフェース(モニタ/制御システム18)に精通していれば十分であるので、誤った治療を施す可能性は減少する。さらに、1つまたは複数の実施形態では、患者治療システム10に実装された規則、アルゴリズムまたは命令に組み込まれた点検が存在するので、誤った治療を施す可能性は減少する。
【0080】
患者治療システム10は、臨床従事者のための使いやすさも向上する。使いやすさの向上に関して、患者治療システム10の1つまたは複数の実施形態では、患者治療システム10によって、医療関係者は、当該関係者が警報を消去するためにポンプ12のところに移動することを必要とする代わりに、遠隔で警報を消去することができる。さらに、患者治療システム10の1つまたは複数の実施形態では、医療関係者のための使いやすさは、プログラミングを修正または更新するのに関連する必要な時間および困難さを減らすこと、ならびに注入プログラムの更新によって向上する。この種のプログラミングを修正または更新するための簡略化したプロセスを生じる他に、使いやすさは、臨床従事者が、治療を施すのに関連しうる各装置のインタフェースの代わりに単一のインタフェース(例えば、モニタ/制御システム18)のみに精通すれば十分であることによって、向上する。
【0081】
さらに、患者治療システム10は、1つまたは複数の実施形態では、医療関係者が装置の近傍にいない(すなわち、医療関係者がポンプ12の視覚および聴覚範囲外にいる)ときでも、警報メッセージを医療関係者に送信することによって、医療関係者のための使いやすさを向上する。さらに、1つまたは複数の実施形態では、医療関係者に役立つまたは必要な警報メッセージに関する情報、例えば、ポンプ12のID、ポンプ12の位置、患者情報、医薬品情報、プログラム情報などは、この種の関係者が警報を評価するのを支援するための警報メッセージに与えられている。その結果、医療関係者は、彼らの患者からのより大きい範囲を有することができ、さらに、安全かつ有効な治療を施すことができる。
【0082】
患者治療システム10の1つまたは複数の実施形態では、医療関係者のための使いやすさを向上する患者治療システム10の別の態様は、病院の警報ノイズが減少することであり、これは、特に夜間に有益である。警報ノイズの減少は、誤ったまたは不必要な警報を除去するための規則、アルゴリズムまたは命令に従う警報の処理によるものであり、これによって、より少ない可聴警報または視覚警報が生成される。不快な、気が散る、誤ったまたは不必要な警報の数を減少することは、医療関係者だけでなく患者および他の近くの患者にとっても有益である。
【0083】
これらの利点のすべてが、患者治療システム10のすべての実施形態に存在するというわけではなく、いくつかの実施形態は、これらの利点の1つのみを有してもよく、他の実施形態は、複数の利点を有し、いくつかの実施形態は、すべての利点を有してもよい。本開示は、特定の実施形態、組み合わせ、構成および相対的な寸法を対象としてきた。しかしながら、本明細書において与えられる説明は、本発明を説明および例示するために与えられており、本発明の範囲を制限することは意図されないということを理解されたい。本明細書において与えられる説明に対する変更および修正が当業者により考案されることをさらに理解されたい。それゆえ、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ制限されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10