(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記搬送ローラの順方向の回転が停止した後、前記検出部によって検出された印字媒体の印字開始位置を前記印字部に合わせるために前記搬送ローラが逆方向に回転するように制御する、
請求項1又は2に記載されたプリンタ。
前記剥離部材を備え、前記印字媒体を前記剥離部材によって前記台紙から剥離させるときに配置される第1の位置と、前記印字媒体を前記剥離部材によって前記台紙から剥離させないときに配置される第2の位置とに移動可能に設けられた切り替えユニット、をさらに備えた、
請求項1〜5のいずれかに記載されたプリンタ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
(1)プリンタの外観構成
図1Aは実施形態に係るプリンタの連続発行モードでの全体斜視図であり、
図1Bは実施形態に係るプリンタの剥離発行モードでの全体斜視図である。
図2はカバーの開放状態における
図1Aおよび
図1Bのプリンタおよびロール紙の外観を示す全体斜視図である。
図3は
図1Aおよび
図1Bのプリンタのカバーの要部の斜視図である。
【0011】
本実施形態のプリンタ1は、
図1Aおよび
図1Bに示すように、例えば、扁平な直方体形状に形成された携帯型のラベルプリンタである。プリンタ1は、本体ケース2と、カバー3と、切り替えユニット4と、フロントカバー5とを備え、1台で連続発行と剥離発行との切り換えが可能な兼用型の構成を有する。
【0012】
以下の説明では、直方体形状のプリンタ1の長辺に沿った方向(つまり、
図1Aおよび
図1Bの紙面上の左右方向)を前後方向と定義する。このとき、
図1Aおよび
図1Bに示すように、後述する表示部15が設けられている側を前方(FR)と定義し、その反対側を後方(RR)と定義する。
以下の説明において適宜参照される断面図は、プリンタ1を平面に置いたときに、当該平面に直交し、かつ前後方向に沿った平面でプリンタ1を切断したときの側断面を示している。
【0013】
本体ケース2は、プリンタ1の外形の一部を構成し、その一面には、
図2に示すように、開口2aが形成されている。この開口2a内には、収容室6が設けられている。収容室6は、ロール紙Rを収容する空間であり、その内部には用紙ガイド6aが設置されている。用紙ガイド6aは、ロール紙Rの両側面に接触した状態でロール紙Rを回転自在の状態で支持してロール紙Rから繰り出される連続紙の搬送をガイドする部材である。用紙ガイド6aは、ロール紙Rの幅に応じて位置を変えられるようにロール紙Rの幅方向に沿って移動可能な状態で設置されている。
【0014】
図2に示すように、ロール紙Rは帯状の連続紙Pがロール状に巻回されたものである。帯状の連続紙P(連続体の一例)は、帯状の台紙PMと、台紙PM上に予め決められた間隔毎に仮着された複数枚のラベルPL(印字媒体の一例)とを有している。
台紙PMのラベル貼付面(おもて面)には、ラベルPLを容易に剥離することが可能なようにシリコーン等の剥離剤が被覆されている。また、台紙PMの裏面には、予め決められた間隔毎にラベルPLの位置を示す位置検出マークMが形成されている。
ラベルPLの表側は情報が印字される印字面である。印字面には、予め決められた温度領域に達すると特定の色に発色する感熱発色層が形成されている。ラベルPLの裏側は接着剤によって被覆された接着面である。当該接着面が台紙PMのラベル貼付面に貼り付けられることでラベルPLが台紙PMに仮着されている。
【0015】
本実施形態のプリンタ1は、剥離発行モードまたは連続発行モードのいずれかを選択的に設定することができる。剥離発行モードは、ラベルPLが仮着された台紙PMを搬送し、印字されたラベルPLを台紙PMから剥離させて発行するモードである。連続発行モードは、印字されたラベルPLを台紙PMから剥離させずに連続的に発行するモードである。
【0016】
本体ケース2の一方の側面には、
図1A、
図1B、および
図2に示すように、バッテリカバー7が開閉可能な状態で取り付けられている。このバッテリカバー7は、後述のバッテリハウジング(
図1A〜
図3には図示せず)を開放または閉鎖するためのカバーである。
【0017】
カバー3は、収容室6を開放または閉鎖するためのカバーであり、カバー3の前方端が本体ケース2に対して離間および接近する方向に揺動可能なように、カバー3の後方端が本体ケース2の後方端部にヒンジにより軸支されている。また、カバー3は、その後方端に配置されたトーションばね(
図1A〜
図3には図示せず)により開方向(カバー3の前方端が本体ケース2から離間する方向)に付勢されている。
【0018】
このカバー3の先端には、
図2および
図3に示すように、一対のユニット押さえ部3aが形成されている。一対のユニット押さえ部3aは、剥離発行モードにおいてカバー3を閉鎖した場合に切り替えユニット4を剥離発行位置に固定するように押さえる部分であり、カバー3の幅方向の両端に形成されている。
【0019】
カバー3の先端には、
図2および
図3に示すように、プラテンローラ10が順方向または逆方向に回動可能な状態で軸支されている。プラテンローラ10は、ロール紙Rから繰り出される連続紙Pを搬送する搬送ローラの一例であり、連続紙Pの幅方向に沿って延在した状態で形成されている。プラテンローラ10のプラテン軸10aの一端にはギア10bが接続されている。ギア10bは、カバー3が閉鎖状態のときに開口2a内に設置された図示しないギア等に係合し、そのギア等を介してローラ駆動用のステッピングモータ25(図示せず)等に機械的に接続されるようになっている。
【0020】
プラテンローラ10の両端の近傍には、ユニット当接部3bが設けられている。後述するが、ユニット当接部3bは、切り替えユニット4の傾斜面4cs(後述する)に当接し、切り替えユニット4が連続発行位置に配置されることを補助する役割を果たす。
【0021】
また、
図2および
図3に示すように、カバー3には、プラテンローラ10の近傍において剥離ピン11がプラテンローラ10に沿って設置されている。この剥離ピン11は、台紙PMからラベルPLを剥離する剥離部材の一例であり、その両端はカバー3に軸支されている。
【0022】
図2および
図3に示すように、プラテンローラ10の近傍のカバー3の部分(より具体的には、カバー3が閉鎖状態のときに通紙ルートに対向する面)には、センサ12a,12b(総称して適宜「センサ12」という。)が設置されている。センサ12aは、ラベルPLの基準位置(すなわち、台紙PMの位置検出マークM)を検出するセンサであり、反射型の光センサにより構成されている。一方、センサ12bは、例えば、ラベルPLの有無を検出するセンサであり、透過型の光センサにより構成されている。センサ12bは、台紙PMにおいてラベルPLが仮着されている部分と仮着されていない部分の透過光の光強度に基づいて、ラベルPLの搬送方向における先端位置および/または後端位置を検出する。
【0023】
図2および
図3に示すように、カバー3には、プラテンローラ10の一端の近傍に突起3cが形成されている。カバー3が閉鎖状態のときに突起3cを受け入れる本体ケース2の凹部にはカバーセンサ50が設けられている。カバーセンサ50は例えば光反射型の光センサであり、上記凹部が突起3cを受け入れたか否かに応じた反射光のレベルの違いに基づいてカバー3の状態(開放状態または閉鎖状態)を検出する。
【0024】
切り替えユニット4は、剥離発行モードのときに剥離発行位置(第1の位置の例)に配置され、または、連続発行モードのときに連続発行位置(第2の位置の例)に配置されるユニットである。すなわち、切り替えユニット4は、発行モードに応じて剥離発行位置と連続発行位置の間で移動可能に構成されている。
プリンタ1が剥離発行モードの場合、切り替えユニット4は、印字が行われたラベルPLが仮着されている台紙PMの搬送方向を変更し、ラベルPLを台紙PMから剥離させる機能を有する。換言すれば、切り替えユニット4は、剥離発行モードにおいて、印字が行われたラベルPLを台紙PMから剥がすことで、プラテンローラ10よりも下流側において台紙PMとラベルPLの搬送経路を分ける機能を備えている。切り替えユニット4によって台紙PMの搬送方向は、ラベルPLの搬送方向とは異なる方向に(つまり、後述する剥離ローラ4aに向けるように)変更させられ、それによって当該台紙PMからラベルPLが剥離させられる。
切り替えユニット4の構成については後述する。
【0025】
フロントカバー5は、
図1A、
図1B、および
図2に示すように、プリンタ1の上面のうちカバー3以外の領域を覆うように本体ケース2に固定されている。このフロントカバー5には、表示部15と、操作ボタン16a,16bと、電源ボタン17と、カバーオープンボタン18と、一対の解除レバー19と、カッタ21とが備えられている。カバー3とフロントカバー5との間に発行口が形成されている。
【0026】
表示部15は、操作コマンドやメッセージ等を表示する画面であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されている。操作ボタン16a,16bは、プリンタ1の動作を操作するボタンである。電源ボタン17は、プリンタ1の電源をオンまたはオフするボタンである。カバーオープンボタン18は、カバー3を開放するためのボタンである。
【0027】
一対の解除レバー19は、切り替えユニット4を連続発行位置に配置する部材である。一対の解除レバー19の各々は図示しない付勢部材によって内側に付勢されている。当該付勢部材の付勢力に抗して一対の解除レバー19を互いに接近する方向に移動させることにより、切り替えユニット4が連続発行位置に配置されている状態を解除して切り替えユニット4を剥離発行位置に配置することが可能になっている。
【0028】
カッタ21は、連続発行後の連続紙Pを切断する部材であり、フロントカバー5においてカバー3の向かい側の先端に連続紙Pの幅方向に沿って延在した状態で設置されている。
【0029】
(2)切り替えユニット
次に、切り替えユニット4について
図4〜
図6Bを参照して説明する。
図4は、プリンタ1の切り替えユニット4とその周囲の要部の拡大斜視図である。
図5は、切り替えユニット4の要部の側面図である。
図6Aは、切り替えユニット4の全体斜視図である。
図6Bは、切り替えユニット4の分解斜視図である。
【0030】
切り替えユニット4は、剥離ローラ4aと、軸部4bと、一対の支持部4cと、一対の板ばね4daと、ネジ4eと、を備えている。
【0031】
剥離ローラ4aは、切り替えユニット4が剥離発行位置に配置されるときに、プラテンローラ10に対してサーマルヘッド28とは離間した側においてプラテンローラ10に対向するように配置されている。剥離ローラ4aは、プラテンローラ10の下流側においてラベルPLを台紙PMから剥離させ、当該ラベルPLと台紙PMのそれぞれ異なる方向に案内する剥離部材である。プラテンローラ10の下流側では、台紙PMが剥離ローラ4aとプラテンローラ10とで挟み込まれた状態で搬送される。
【0032】
この剥離ローラ4aは、例えば、ゴム等の弾性部材により形成され、一対の支持部4cの間に挟持された軸部4bに回動自在の状態で軸支されている。剥離ローラ4aは、その長さが軸部4bの全長よりも短く形成されており、概ね軸部4bの中央部に配置されている。剥離ローラ4aは、剥離発行モードにおいてプラテンローラ10に対して後述するサーマルヘッド28とは離間した側に配置される。剥離ローラ4aは、剥離発行モードにおいて連続紙Pを介してプラテンローラ10側に押されることで、ラベルPLが剥離した台紙PMをプラテンローラ10との間に挟み込みながらプラテンローラ10の回転に従動して回転する。
【0033】
一対の支持部4cは、剥離ローラ4aおよび軸部4bを支持する部材である。各支持部4cの上部には、各支持部4cの側面から外側に向かって延びる庇部4cpが形成されている。また、各支持部4cの前方側には、
図6Aに示すように、ガイドレール孔4chが形成されている。このガイドレール孔4chは、切り替えユニット4の移動をガイドするとともに、その移動を規制する孔であり、支持部4cの前後方向に沿って長孔状に形成されている。
【0034】
一対の支持部4cの後端には、庇部4cpから延設して、切り替えユニット4の剥離発行位置から連続発行位置へ向かう方向、つまり、ガイドレール孔4chの後側の端から前側の端に向かう方向に対して傾斜した傾斜面4csが設けられている。後述するが、傾斜面4csは、切り替えユニット4を連続発行位置に配置する際に、カバー3のユニット当接部3bと協働して切り替えユニット4を確実に連続発行位置に配置することを補助する役割を果たす。
【0035】
一対の支持部4cには、切り替えユニット4が連続発行位置にあるときに解除レバー19と嵌合する凹部4cdが形成されている。凹部4cdと解除レバー19が嵌合することで、支持部4cが解除レバー19に保持されて切り替えユニット4が連続発行位置に配置される。
【0036】
詳細については後述するが、ガイドレール孔4chに支持台41に取り付けられたシャフト42(
図9参照)が挿通されることにより、切り替えユニット4が支持台41に取り付けられている。なお、本実施形態では、シャフト42は一対の支持部4cに対応して一対設けられているが、一体となっていてもよい。また、シャフト42に代えて、揺動軸としての機能を有する突起を設けてもよい。
【0037】
一対の板ばね4daは、切り替えユニット4が剥離発行位置に移動する際にカバー3の閉鎖に応じてカバー3のユニット押さえ部3aが当接されることにより剥離ローラ4aをプラテンローラ10側に付勢する弾性構造体である。各板ばね4daは、各支持部4cの外側側面において、支持部4cの後方側(剥離ローラ4aのある側)に固定され、そこから前方側(ガイドレール孔4chのある側)に向かって湾曲状に延在し、終端部で浮遊状態になっている。
【0038】
(3)プリンタの内部構造
次に、プリンタ1の内部構造について
図7,
図8Aおよび
図8Bを参照して説明する。
図7は剥離発行モードでのプリンタ1の内部を側面側から透かして見せた概略の断面図である。
図8Aは、
図7のプリンタの要部を拡大して示した概略の断面図である。
図8Bは、
図8Aと同様の断面図であるが、カバー3のユニット押さえ部3aによる作用を説明するための図である。
【0039】
図7に示すように、本体ケース2内には、印字ユニット26が収容室6に隣接した状態で設置されている。印字ユニット26は、連続紙PのラベルPLに印字を施すための機能部であり、ヘッドブラケット27と、サーマルヘッド(印字部の一例)28(
図8B参照)と、コイルばね29(
図8B参照)と、切り替えユニット4と、バッテリハウジング33(
図7参照)とを備えている。
【0040】
ヘッドブラケット27は、閉鎖状態のカバー3を保持する部材である。ヘッドブラケット27は、本体ケース2内において、カバー3が閉鎖状態のときにプラテンローラ10の向かい側に設けられている。ヘッドブラケット27は、回転軸27aを中心に揺動可能である。
ヘッドブラケット27には、溝27bが形成されている。溝27b内にプラテンローラ10のプラテン軸10aが嵌め込まれることにより、カバー3がヘッドブラケット27に保持されるようになっている。
【0041】
ヘッドブラケット27には、押圧部27cが形成されている。この押圧部27cは、カバーオープンボタン18に対向する位置(具体的には、カバーオープンボタン18の直下の位置)に配置されている。カバーオープンボタン18が押されると押圧部27cも押され、ヘッドブラケット27によるカバー3の保持状態が解除される。カバー3の保持状態が解除されると、カバー3は、その後方端に配置されたトーションばね35(
図7参照)の付勢力により自動的に開くようになっている。
【0042】
サーマルヘッド28(
図8B参照)は、例えば、文字、記号、図形またはバーコード等の情報を、ロール紙Rから搬送される台紙PMに仮着されているラベルPLに印字する。サーマルヘッド28は、カバー3が閉鎖状態のときにプラテンローラ10に対向するようにサーマルヘッド28の印字面を通紙ルートに向けた状態でヘッドブラケット27に取り付けられている。サーマルヘッド28の印字面には、通電により発熱する複数の発熱抵抗体(発熱素子)が連続紙Pの幅方向に沿って並んで設置されている。なお、回路基板36は、サーマルヘッド28に印字信号を伝送する配線基板である。
【0043】
コイルばね29(
図8B参照)は、カバー3の閉鎖位置に置いてヘッドブラケット27およびサーマルヘッド28をプラテンローラ10側に付勢する部材であり、ヘッドブラケット27の背面側に設置されている。コイルばね29の付勢力によりヘッドブラケット27がプラテンローラ10側に押されるので、ヘッドブラケット27の溝27b内に嵌り込んだプラテン軸10aが確実に押さえられる。
【0044】
図8Bに示すように、剥離発行モードにおいてカバー3のユニット押さえ部3aが、切り替えユニット4の庇部4cpと板ばね4daとの隙間に配置され、板ばね4daに接触した状態で下方向に押圧することにより切り替えユニット4を押さえるようになっている。これにより、切り替えユニット4が剥離発行位置に固定されるとともに、切り替えユニット4の剥離ローラ4aがプラテンローラ10側に付勢されるようになっている。したがって、剥離発行モードにおいて、切り替えユニット4の剥離ローラ4aをプラテンローラ10に対して安定した状態で付勢させることができる。
【0045】
(4)切り替えユニットの支持台
次に、切り替えユニット4が取り付けられた支持台41について
図9〜11を参照して説明する。
図9は連続発行位置での切り替えユニット4と支持台41を示す斜視図である。
図10は
図9の切り替えユニット4と支持台41の側面図である。
図11は支持台41の第1の取付片の第2の取付片(後述する)の間に形成された構成要素と切り替えユニット4との関係を示す説明図である。
【0046】
支持台41は本体ケース2内に設けられており、センサ43が取り付けられた台座部41aを有している。センサ43は、発行モードを判定するために後方の剥離ローラ4aの有無を検出し、かつ、剥離発行モードにおいて剥離させられたラベルPLの有無を検出する光反射型のセンサである。
台座部41aの幅方向の両端には、切り替えユニット4を取り付けるための一対のユニット取付部41bが形成されている。
【0047】
ユニット取付部41bは、台座部41aの幅方向(つまりプリンタ1の横方向)において外側に位置する第1の取付片41baと、内側に位置して第1の取付片41baに対向した第2の取付片41bbとで構成されている。第1の取付片41baと第2の取付片41bbの間の横方向の間隙に、切り替えユニット4の支持部4cが挟み込まれている。
【0048】
ユニット取付部41bには、第1の取付片41baと第2の取付片41bbとに跨がるようにしてシャフト42が取り付けられている。このシャフト42は、第1の取付片41baと第2の取付片41bbとに挟み込まれた支持部4cに形成されたガイドレール孔4chに挿通されている。つまり、ガイドレール孔4chがシャフト42に係合している。それにより、切り替えユニット4は、シャフト42に対してガイドレール孔4chに沿ってスライド移動可能になっている。切り替えユニット4はさらに、シャフト42を支点にして揺動可能になっている。
【0049】
図9および
図10に示すように、切り替えユニット4と支持台41との間にはコイルばね44が取り付けられている。コイルばね44の一方の端は、ユニット取付部41bの第1の取付片41baの後方端に形成された取付突起41bcに固定されている。コイルばね44は、取付突起41bcから第1の取付片41baの側面に略L字形に湾曲形成されたガイド庇41bdに沿って前方に湾曲して延びている。そしてコイルばね44の他方の端は、支持部4cの前方端に形成された取付突起4ciに取り付けられている。
【0050】
コイルばね44によって、切り替えユニット4には、ガイドレール孔4chの取付突起4ci側の端がシャフト42に当接する方向(連続発行位置とは反対方向)の付勢力が与えられるとともに、シャフト42に当接したガイドレール孔4chの取付突起4ci側の端を支点にしてサーマルヘッド28から離間する方向(以下、適宜「第1の回転方向」という。)に揺動する付勢力が与えられている。つまり、コイルばね44によって、切り替えユニット4には、スライド移動する付勢力と第1の回転方向に揺動する付勢力との2つの付勢力が与えられている。
【0051】
これにより、切り替えユニット4は、連続発行位置に配置されている状態が解除レバー19によって解除されると、コイルばね44の付勢力により連続発行位置と反対側にスライド移動してガイドレール孔4chの取付突起4ci側の端がシャフト42に当接し(スライド移動位置)、当該シャフト42を支点に第1の回転方向に所定の揺動端まで揺動する(揺動端位置)。
【0052】
ここで、
図11に示すように、切り替えユニット4の支持部4cには、ガイドレール孔4chの上方に第1の爪部4cjが形成され、ガイドレール孔4chの下方に第2の爪部4ckが形成されている。また、第1の取付片41baにおける第2の取付片41bbとの対向面には、第1の突出部41beおよび第2の突出部41bfが形成されている。
【0053】
そして、第1の突出部41beには、切り替えユニット4がシャフト42に沿って連続発行位置からその反対側にスライド移動するときに、第1の爪部4cjが摺動して切り替えユニット4の移動方向を案内するガイド面45が形成されている。また、第1の突出部41beには、前述したように切り替えユニット4がシャフト42を支点に第1の回転方向に揺動したときに第1の爪部4cjが当接して揺動端位置を規定する第1のストッパ46が形成されている。さらに、第1の突出部41beには、切り替えユニット4が揺動端位置から第1の回転方向とは反対の第2の回転方向(すなわち、サーマルヘッド28に近接する方向)に揺動して剥離発行位置に移行するときに、第1の爪部4cjが摺動して切り替えユニット4が連続発行位置に戻ることを規制する規制面47が形成されている。
【0054】
なお、切り替えユニット4が揺動端位置にあるときには、切り替えユニット4のカバー3に対向する端(つまり、切り替えユニット4の後端)は、カバー3の揺動軌跡内に存在するように構成されている。
【0055】
一方、第2の突出部41bfには、切り替えユニット4が剥離発行位置に配置されたときに第2の爪部4ckが当接して、切り替えユニット4が連続発行位置に戻ることを規制するための第2のストッパ48が形成されている。
【0056】
(5)連続発行および剥離発行
次に、プリンタ1の連続発行および剥離発行について
図12Aおよび
図12Bを参照して説明する。
図12Aは、連続発行モードでのプリンタ1の概略の断面図である。
図12Bは、剥離発行モードでのプリンタ1の概略の断面図である。
【0057】
連続発行および剥離発行のいずれの場合も印字工程においては、収容室6から繰り出された連続紙Pをサーマルヘッド28とプラテンローラ10との間に挟み込んだ状態でプラテンローラ10を回転させることにより連続紙Pを搬送する。この搬送の際、センサ12により検出された情報に基づいて印字タイミングを図り、サーマルヘッド28に送信された印字信号によりサーマルヘッド28の発熱抵抗体を選択的に発熱させて連続紙PのラベルPLに所望の情報を印字する。
【0058】
ここで、連続発行においては、
図12Aに示すように、切り替えユニット4をプリンタ1の内部の連続発行位置に配置する。印字後のラベルPLは、台紙PMから剥がされることなく排出される。連続発行の場合、必要枚数のラベルPLが貼られた台紙PMを作成しておき、現場でラベルPLを台紙PMから剥がして貼り付けることができるので、ラベルPLを貼り付ける対象物がプリンタ1から離れた場所にある場合に適している。
連続発行位置においては、剥離ローラ4aは本体ケース2の内部に格納されている。これにより、剥離ローラ4aの本体ケース2からの出っ張りがなくなって作業者の手に触れにくくなり、剥離ローラ4aの劣化が防止される。
【0059】
一方、剥離発行においては、
図12Bに示すように、切り替えユニット4を剥離発行位置に配置するとともに、剥離ピン11を介して台紙PMを切り替えユニット4の剥離ローラ4aとプラテンローラ10との間に挟み込んだ状態にする。これにより、印字のためにプラテンローラ10を回転させ連続紙Pを搬送すると、台紙PMは剥離ローラ4aとプラテンローラ10とに挟まれた状態で搬送される一方、印字後のラベルPLは1枚毎に台紙PMから剥がされてプリンタ1の外部に排出される。剥離発行の場合、ラベルPLが1枚ずつ排出されるので、ラベルPLを貼り付ける対象物が作業者の近くにある場合に適している。
【0060】
(6)連続発行モードから剥離発行モードへの設定の切り替え
次に、本実施形態のプリンタ1の切り替えユニット4において連続発行モードから剥離発行モードへの設定の切り替えに伴う切り替えユニット4の動作について、
図13〜15を参照して説明する。
図13〜15は、それぞれ、切り替えユニット4を剥離発行位置に配置する際の切り替えユニットとカバーとの状態を示したプリンタの要部概略構成図である。
【0061】
図13の状態ST1は、切り替えユニット4が連続発行位置に配置されている状態を示している。このとき、
図11にも示したように、コイルばね44の付勢力に抗してガイドレール孔4chの一方端がシャフト42に当接しており、剥離ローラ4aはプラテンローラ10とは対向しない位置にある。
【0062】
この連続発行位置から、カバーオープンボタン18を押してカバー3を開放状態にし、さらに解除レバー19を操作して切り替えユニット4の連続発行位置における保持状態を解除する。すると、
図13の状態ST2に示すように、切り替えユニット4は、コイルばね44の付勢力により連続発行位置と反対側に移動(スライド)する。切り替えユニット4が連続発行位置と反対側に移動すると、ガイドレール孔4chの一方端がシャフト42に当接する(スライド移動位置)。このとき、支持部4cに形成された第1の爪部4cjが台座部41aに形成されたガイド面45を摺動することにより、切り替えユニット4は、スムーズにスライド移動位置へと移動する。
【0063】
続いて、スライド移動位置に移動した切り替えユニット4は、
図14の状態ST3に示すように、コイルばね44の付勢力により、横置きにしたプリンタ1において、第1の回転方向(つまり、シャフト42を支点にして剥離ローラ4aがサーマルヘッド28から離間する方向)に揺動する。そして、第1の爪部4cjが台座部41aに形成された第1のストッパ46に当接することによって、切り替えユニット4が揺動端位置に達する。
【0064】
このとき、前述したように、切り替えユニット4の揺動端位置では、切り替えユニット4のカバー3に対向する一端部側である先端部側は、カバー3の揺動軌跡内に存在している。そのため、
図14の状態ST4に示すように、カバー3を閉めていくと、当該カバー3の先端に切り替えユニット4の先端が係合する。そして切り替えユニット4は、カバー3の動きに合わせるようにしてシャフト42を支点に、コイルばね44の付勢力に抗して第2の回転方向に揺動し、剥離発行位置への移行を開始する。
【0065】
さらにカバー3を閉めていくと、
図15の状態ST5に示すように、カバー3の閉鎖状態への揺動に伴って、切り替えユニット4は、さらに第2の回転方向へ揺動する。このとき、支持部4cに形成された第1の爪部4cjが台座部41aに形成された規制面47を摺動していくことにより、切り替えユニット4が連続発行位置に戻ることが規制されている。
【0066】
その後、カバー3を完全に閉めきると、
図15の状態ST6に示すように、カバー3に軸支されたプラテンローラ10のプラテン軸10aがヘッドブラケット27の溝27bに嵌まり込むことにより、カバー3が保持される。また、これとともにカバー3により切り替えユニット4の剥離ローラ4aがプラテンローラ10に付勢された状態で、切り替えユニット4が剥離発行位置に保持される。
ここで、
図15の状態ST3から状態ST6に変化する間、台紙PM(連続紙P)は切り替えユニット4の剥離ローラ4aとプラテンローラ10の間に位置する。そのため、カバー3を閉める動作によって切り替えユニット4が剥離発行位置に保持されると自動的に、台紙PMが剥離ローラ4aとプラテンローラ10に挟持された状態となる。
そして、剥離発行位置では、支持部4cに形成された第2の爪部4ckが第2のストッパ48に形成された第2の突出部41bfに当接することによって、切り替えユニット4が連続発行位置に戻ることが規制されている。
【0067】
切り替えユニット4を剥離発行位置から連続発行位置に戻すときには、カバーオープンボタン18を押してカバー3を開放状態にし、カバー3による切り替えユニット4の剥離発行位置での保持状態を解除する。これにより、切り替えユニット4は、コイルばね44の付勢力により第1の回転方向へ揺動する。切り替えユニット4が第1の回転方向へ揺動すると、支持部4cに形成された第1の爪部4cjが支持台41の第1のストッパ46に当接する。これにより、切り替えユニット4は、揺動端位置になる。
【0068】
次に、切り替えユニット4の第1の爪部4cjを支持台41に形成された規制面47に押し当てながら当該切り替えユニット4をコイルばね44の付勢力に抗して第2の回転方向に揺動させる。すると、切り替えユニット4は、規制面47の端を過ぎた後に前述したスライド移動位置(連続発行位置と反対側にスライド移動した位置)に移行する。そこで、コイルばね44の付勢力に抗して切り替えユニット4を押し込むと連続発行位置になり、解除レバー19により当該連続発行位置で固定される。
【0069】
上述したように本実施形態のプリンタ1では、切り替えユニット4の配置を連続発行位置から剥離発行位置に切り替える場合、オペレータは、カバーオープンボタン18を押してカバー3を開放状態とし、再度カバー3を閉鎖状態とすれば足りる。つまり、連続発行により台紙PMの先頭部分の1または複数枚のラベルPLが剥離しているため、その後にオペレータが上記動作を行うことで自動的に、切り替えユニット4は台紙PMが剥離ローラ4aとプラテンローラ10に挟持された剥離発行位置となる。
【0070】
(7)プリンタの電気的構成
次に、
図16を参照してプリンタ1の電気的構成について説明する。
図16は、プリンタ1の内部の電気的構成を示すブロック図である。
図16に示すように、プリンタ1では、制御部30、ヘッド駆動部23、および、モータ駆動部24が図示しない制御回路基板に実装されている。
制御部30は、CPU、メモリ(RAM,ROM)、および、例えばA/D変換器、D/A変換器等の信号処理回路を含み、プリンタ1の動作を制御する。CPUは、プリンタ1の起動時にROMに記憶されているファームウェアを読み出して実行し、各部を制御する。ファームウェアが実行されると制御部30は、センサ12,43,50の検出信号、操作入力部16の入力信号、およびプリンタ1の設定情報に基づき、所定の処理が実行されるように各部を制御する。
【0071】
例えば、制御部30は、操作入力部16から、あるいは図示しない通信回線から印字データを受信する。ヘッド駆動部23は、当該印字データに基づき、サーマルヘッド28の各発熱素子に電流を流す、あるいは流さないようにする。
【0072】
モータ駆動部24は、プラテンローラ10の回転を制御するステッピングモータ25を駆動することによって、連続紙Pを搬送させる。モータ駆動部24は、制御部30からの搬送要求に応じて、当該搬送要求によって指定される搬送方向(順方向あるいは逆方向)および搬送量で連続紙Pを搬送させる。指定された搬送方向および搬送量は、例えばステッピングモータ25の回転方向およびステップ数に対応している。モータ駆動部24は、当該回転方向およびステップ数に基づいてステッピングモータ25を駆動する。
【0073】
(8)ラベルの頭出し処理
次に、本実施形態のプリンタ1によるラベルの頭出し処理について、
図17〜19を参照して説明する。
図17は、本実施形態のプリンタ1によるラベルの頭出し処理を示すフローチャートである。
図18および
図19は、それぞれ、本実施形態のプリンタ1において剥離発行モードにおけるラベルの頭出し動作を概略的に示す図である。
図17に示すフローチャートの各処理は、制御部30内のCPUが上記ファームウェアを実行することにより実現される。
【0074】
ここでは、
図18の状態ST11に例示するように、ラベルの頭出し処理を開始する時点では、連続紙Pの台紙PMの先頭においてラベルPLが仮着されていない部分が比較的長い状況が想定されている。かかる状況は、例えば、連続発行モードによって印字した複数のラベルPLをオペレータが手作業で剥離させた後に剥離発行モードに切り替えた場合や剥離発行モード時に搬送ジャムエラーが発生し、ジャム対象の複数のラベルをオペレータが剥がすなどの場合に生じうる。
【0075】
図17において、カバーセンサ50の検出結果に基づいてカバー3が閉鎖されたと判定した場合(ステップS10:YES)、制御部30は、先ず発行モードの判定を行う(ステップS12)。発行モードの判定は、支持台41に設けられたセンサ43(
図9参照)の検出結果に基づいて行われる。すなわち制御部30は、センサ43による剥離ローラ4aの有無の検出結果に基づいて、切り替えユニット4が剥離発行位置に配置されているか、または連続発行位置に配置されているか判定する。
なお、切り替えユニット4の位置の決定は、以下のように行ってもよい。すなわち、デフォルトの設定として制御部30内の設定情報に、切り替えユニット4の位置を連続発行位置として記録しておく。センサ43が剥離ローラ4aを検出しない場合には剥離発行モードであると判断し、切り替えユニット4の位置が剥離発行位置を示すように上記設定情報を書き換える。センサ43が剥離ローラ4aを検出した場合には、デフォルトの設定情報を維持する。制御部30はステップS12において、設定情報を読み出することによって、切り替えユニット4が剥離発行位置に配置されているか(つまり、剥離発行モードであるか)、または連続発行位置に配置されているか(つまり、連続発行モードであるか)判定する。
【0076】
ステップS12において連続発行モードと判定された場合には(ステップS12:連続発行モード)、ラベルの頭出し処理を終了する。
【0077】
ステップS12において剥離発行モードと判定された場合には(ステップS12:剥離発行モード)、剥離発行モードでのラベルの頭出し処理を行う。その場合、制御部30はプラテンローラ10を回転させ、順方向への連続紙Pの搬送を開始する(ステップS30)。次いで制御部30は、通紙ルートに対向して配置されているセンサ12bの検出結果に基づき、ラベルを検出済みであるか否かを判断する(ステップS32)。
制御部30は、プラテンローラ10の回転数に基づいて連続紙Pが所定距離走行済みでない限り(ステップS34:NO)、搬送を継続させる。ラベルを検出することなく所定距離走行した場合には(ステップS34:YES)、ラベル切れであると考えられるため、制御部30はエラー出力を行った後(ステップS22)、ラベルの頭出し処理を終了する。
【0078】
制御部30は、センサ12bの検出結果に基づいてラベルを検出したと判断した場合(ステップS32:YES)、センサ43によってラベルが検出されるまで順方向の搬送を継続させる。すなわち、台紙PMに仮着されている先頭のラベル(つまり、最も下流側のラベル)の先端がセンサ43によって検出されたタイミングで(ステップS36:YES)、制御部30は連続紙の順方向の搬送を停止させる(ステップS38)。ステップS38における順方向の搬送の停止タイミングは、ラベルの搬送方向の長さに関係なく行われる。制御部30は、センサ43がラベルの先端を検出した際に連続紙の搬送を停止させるように制御してもよい。制御部30は、センサ43がラベルの先端を検出すると同時に、あるいは検出した直後に連続紙の搬送を停止させてもよい。
図18の状態ST12では、台紙PM上のラベルPL1,PL2,PL3,PL4,…のうち、搬送方向の下流側において先頭にあるラベル(以下、「先頭ラベル」という。)PL1の先端が検出され、それによって連続紙Pの搬送が停止された状態が示される。
【0079】
ラベルの先端から印字開始位置までの搬送方向の距離、すなわちラベル先端からの余白距離がセンサ43からサーマルヘッド28の図示しない発熱体までの搬送方向の距離よりも短い場合には、サーマルヘッド28の位置まで連続紙Pを逆方向に搬送(バックフィード)させる(ステップS40)。これは、そのような場合、ラベルの印字開始位置が
図18のST12に示すようにサーマルヘッド28の位置の搬送方向下流側にずれてしまうためである。すなわち、制御部30は、プラテンローラ10の順方向の回転が停止した後、センサ43によって検出されたラベルの印字位置をサーマルヘッド28の発熱体の位置に合わせるためにプラテンローラ10を逆方向に回転するように制御してもよい。バックフィードさせる距離は、ラベルの先端と印字開始位置までの搬送方向の距離に基づいて予め設定される。
尚、ラベルの先端から印字開始位置までの搬送方向の距離、すなわちラベル先端からの余白距離がセンサ43からサーマルヘッド28の図示しない発熱体までの距離よりも
長い場合には、ステップS40を省略することもできる。ステップS36で検出されたラベルを逆方向に搬送させる必要がないからである。
図19の状態ST13に示す例では、連続紙Pのバックフィードにより先頭ラベルPL1の印字開始位置がサーマルヘッド28の発熱体の位置(印字位置)と一致するようになった状態を示している。
【0080】
図17のラベルの頭出し処理が完了すると、自動的に、あるいは所定の操作指示に応じて、先頭ラベルに対する印字が行われる。例えば、ステップS12において剥離発行モードであると判定された場合には、連続紙Pを順方向に搬送させつつ先頭ラベルPL1(
図19の状態ST13を参照)に印字を行う。先頭ラベルPL1の先端がセンサ43によって再度検出された場合、頭出し処理とは異なり先頭ラベルPL1検出後直ぐに搬送を停止させず、先頭ラベルPL1の後端部分(搬送方向の上流側の端部)が台紙PM上に僅かに残留するような距離だけ連続紙Pの搬送を継続して停止させる。
図19の状態ST14は、先頭ラベルPL1の後端部分が台紙PM上に僅かに残留した状態を示している。この状態では、オペレータがラベルPL1を発行口から容易に剥がして使用することができる。
状態ST13から状態ST14に変化するときの連続紙Pの順方向の搬送量は、連続紙Pの搬送の停止時に先頭ラベルが台紙PM上に僅かに残留するようにするため、台紙PMの搬送方向の長さに関係する量となる。それに対して、状態ST11から状態ST12に変化するときの連続紙Pの順方向の搬送量は、先頭ラベルの搬送方向の長さに関係がない量となる。
【0081】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ1の制御部30は、台紙がプラテンローラ10と剥離ローラ4aに挟持された状態で、前記印字媒体の搬送方向の長さに関係なく最も下流側のラベルが検出されるまで継続して連続紙を順方向に搬送するように制御する。そのため、本実施形態のプリンタ1では、剥離発行において先頭ラベルに対する印字を効率良く開始することができる。
【0082】
以上、本発明の一実施形態について詳細に説明したが、本発明のプリンタは上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのは勿論である。
【0083】
例えば上述した実施形態では、プリンタ1の制御部30は、カバー3が開放状態から閉鎖状態へ移行した場合に、プラテンローラ10が順方向への回転を開始するように制御する場合について説明した。しかし、その限りではない。プリンタ1の制御部30は、所定の搬送指示操作が行われた場合に、プラテンローラ10が順方向への回転を開始するように制御してもよい。つまり、
図17のステップS10の判定は、所定の搬送指示ボタンが操作されたか否かに基づいて行ってもよい。
【0084】
上述した実施形態では、
図17のステップS38における順方向の搬送停止が、センサ43が先頭ラベルの先端を検出すると同時に行われる場合について説明したが、その限りではない。センサ43による先頭ラベルの先端を検出するタイミングと、連続紙の搬送を停止させるタイミングとは、所定時間ずれていてもよい。タイミングのずれ量が既知であれば、ステップS40においてバックフィードさせる距離は決定可能である。なお、その場合、タイミングのずれ量は、ラベルの搬送方向の長さとは無関係に決定することができる。
ラベルの搬送方向に沿ってセンサ43が検出可能な領域に先頭ラベルが存在すると判定された場合にはその領域内で先頭ラベルが検出されている限り、任意の位置で、あるいは任意のタイミングで連続紙の搬送を停止させてもよい。
【0085】
図17において、連続発行モードにおけるラベル検出条件(ステップS16)と、剥離発行モードにおけるラベル検出条件(ステップS32)とは異なっていてもよい。例えば、連続発行モードにおけるラベル検出条件は、位置検出マークMを2回検出し、かつ隣接するラベル間のギャップ(ラベルが仮着されていない台紙の部分)を2回検出したことであってもよい。剥離発行モードにおけるラベル検出条件は、当該ギャップを1回検出したこと、または、ラベルの先端位置若しくは後端位置を1回検出したことであってもよい。
【0086】
上述した実施形態では、剥離発行モードと連続発行モードとの間でモードを切り替え可能な切り替えユニットを備える場合について説明したが、その限りではない。発行モードの切り替え機能を有さなくてもよい。